2017年12月31日

【ハイネケン誘拐の代償】My Cinema File 1848

ハイネケン誘拐の代償.jpg

原題: Kidnapping Freddy Heineken
2015年 ベルギー・イギリス・オランダ
監督: ダニエル・アルフレッドソン
出演: 
アンソニー・ホプキンス:フレディ・ハイネケン
ジム・スタージェス:コル・ヴァン・ハウト
サム・ワーシントン:ヴィレム・ホーレーダー
ライアン・クワンテン:ヤン・“カット”・ブラート
マーク・ファン・イーウェン:フランス・“スパイクス”・メイヤー
トーマス・コックレル:マーティン・“ブレイクス”・エルカンプス
ジェミマ・ウェスト:ソーニャ

<映画.com>
********************************************************************************************************
有名ビール企業ハイネケンの経営者が誘拐された実在の事件を映画化したクライムサスペンス。エミー賞受賞ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズのベストセラーをもとに、誘拐犯と被害者双方の視点から謎多き事件の真相に迫る。1983年、オランダの都市アムステルダムでハイネケンの会長フレディ・ハイネケンが誘拐された。警察は巨大組織による犯行を疑うが、真犯人は犯罪経験すらない幼なじみの若者5人組だった。犯人たちは莫大な身代金を要求し、計画は順調に進んでいるかに見えた。ところが、人質であるハイネケンの傲慢な態度に振り回されるようになり、次第に追い詰められていく。名優アンソニー・ホプキンスが、素人誘拐犯たちを翻弄する老獪な大富豪役を存在感たっぷりに怪演。誘拐犯一味に「アクロス・ザ・ユニバース」のジム・スタージェス、『アバター』のサム・ワーシントン。
********************************************************************************************************

 こういう事件が実際にあったことなど全く知らなかったが、これは事実に基づいた映画。主人公のコル、ヴィレム、カット、スパイクス、ブレイクスは、5人で会社を経営している。しかし、事業が思わしくなく、資金繰りに窮する。銀行に融資を頼みにいくが、こういう時に銀行の返事は色良いものではない。担保に入れられる建物を有していたが、そこは不法滞在者の溜まり場となっていて、担保価値をみてくれない。思い余って自分たちで不法滞在者を追い出そうしたが、自力救済は法の禁じるところでもあり、5人は警察に逮捕されてしまう。

 釈放されたコルが家に帰ると、妻から妊娠を知らされる。喜びの反面、男として稼がねばならない責任が一層重くなる。ある日、妻と実家に帰ったコルは、父がかつて仕えていたハイネケン氏について誇らしげに語るのを聞く。父親は自分を解雇したハイネケン氏と撮った写真を今でもリビングに大切に飾っている。コルはそれが気に入らない。そして5人で集まった時、窮地を脱するための計画をみんなに話す。それこそが、ハイネケン氏の誘拐計画であった。

 犯罪に走る人間には2通りあって、短絡的に犯行に及ぶ者と用意周到に準備するタイプである。5人は後者。しかし、綿密な計画を立てるにも資金が必要とわかる。そこで5人は銀行を襲う事にする。白昼堂々の犯行にも関わらず、現金輸送車を襲撃して現金を奪う。すぐにパトカーが現れカーチェイスとなり、銃撃戦となるも、なんと1人も犠牲者を出さずに逃げ切ることに成功する。この金で事業を立て直せなかったのだろうかと1人ブツブツ言いながら続きを追う。

そして誘拐計画の準備に着手する5人。ターゲットは、ハイネケン氏のみならず運転手まで含める。そして2人分の偽装した防音完備の監禁部屋まで作る。そこまでやったからこそか、このハイネケン氏誘拐計画は見事に成功する。ここまでは実に見事である。いつも不思議に思うのだが、これだけうまくやれる力があるのなら、その知恵をなぜ事業に使わなかったのだろう。きっとうまくいったと思うのだが・・・

 そして物事は予想通りには運ばないもの。すぐに手に入れられると思った身代金は、なかなか支払われる様子がなく、5人の間には不安から不協和音が流れ始める。やはりそれまで犯罪に手を染めることなく生きてきた者ゆえに、悪になりきれないのだろう。犯罪をチームで行うなら、まず何よりも信頼できる仲間かどうかが重要。そして次に精神力だろう。捕まるかもしれないという不安と恐怖をどう克服していくか。

 映画では、ハイネケン氏の老獪さも出ていた。やはり大企業の経営者ゆえに、不安に駆られた犯罪初心者では対人力が違う。それが実際にはどう影響したのか興味深いところである。どうせなら、どうして犯人逮捕に至ったのか詳しく描いて欲しかったと思うが、そこが残念なところ。そして身代金の一部は、結局回収できなかったというから、その行方も興味深い。それにしても、結局みんな逮捕され、犯罪は割に合わないと証明されることになる。もう少し徹底していたら、あるいは逃げきれたのかもしれない。

やはり真面目に生きのが一番だと改めて思わせてくれる実話映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

【キャットウーマン】My Cinema File 1847

キャットウーマン.jpg

原題: Catwoman
2004年 アメリカ
監督: ピトフ
出演: 
ハル・ベリー:ペイシェンス・フィリップス
ベンジャミン・ブラット:トム・ローン
シャロン・ストーン:ローレル
ランベール・ウィルソン:ジョージ・ヘデア
フランセス・コンロイ:オフィーリア・パワーズ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
人気アメコミシリーズ「バットマン」にたびたび登場する“キャットウーマン”を主人公に、オスカー女優ハル・ベリーが多くのスタントに挑んだアンチ・ヒーロー・アクション。『ヴィドック』のダークで美しい映像が目を引くピトフが監督を務め、ベンジャミン・ブラットやシャロン・ストーン、ランバート・ウィルソンらが出演。女性の持つ2面性を見事に演じ分けたハル・ベリー演じるペイシェンスとキャットウーマンのファッションに注目。
********************************************************************************************************

キャットウーマンの存在を知ったのが、『ダークナイト・ライジング』(My Cinema File 898)であった。演じていたのがアン・ハサウェイだったのが原因だが、その魅力的な姿に興味を持って映画も観てみようと思った次第。しかし、2004年に創られたこの映画は、ちょっとイメージが違うものであった。

主人公は、広告デザイナーのペイシェンス・フィリップス。ただでさえ冴えない女性なのに、仕えているのは高慢な社長ジョージ・ヘデアであり、冒頭からその仕事をなじられている。そしてその手直しを期限を切られて命じられる。社長とイメージモデルを兼務する社長夫人ローレルの仲は芳しくない。社長は若いモデルの起用に踏み切り、今日も2人でどこかへと出かけていく。

ペイシェンスが務める巨大化粧品会社ヘデア社では、新発売の若返りクリーム「ビューリン」の売り出し準備に余念がない。ペイシェンスは何とか命じられた広告デザインを仕上げ、それを届けに工場にまで足を運ぶ。だが彼女がそこで目にしたのは、「ビューリン」がもたらす恐ろしい副作用と、それを知りつつ発売を強行しようとしているヘデア社の陰謀。会社の人間に見つかったペイシェンスは、追われるうちに廃水と共に海に流され、命を落としてしまう。

彼女の死体に何処からともなく集まってきたのは、ネコたち。その中の1匹はペイシェンスにしばしばまとわりついていたネコ。そのネコが、ペイシェンスに息を吹き込むとペイシェンスは翌日自分の部屋で目覚める。そして自分の体に不思議な能力が備わっていることに気づく・・・

こうしてネコの力を身につけた超人的な能力を持つキャットウーマンが誕生するのであるが、どうも何となくイメージと違う。それはアン・ハサウェイとハル・ベリーの違いではなく、もっと根本的なもの。後で『ダークナイト・ライジング』(My Cinema File 898)のページを見てみたらそもそも名前も違う。『ダークナイト・ライジング』(My Cinema File 898)に登場したキャットウーマンの正体は、セリーナ・カイルであったが、ここではペイシェンス・フィリップスとなっている。その理由はわからない。

『ダークナイト・ライジング』(My Cinema File 898)では、怪盗として登場してきたが、ここではトム・ローン刑事と恋仲になり、ヘデア社とローレル夫人の陰謀に対峙していく正義の味方。そレはそれで悪くはないのだが、気になるところである。もっともこの映画はこの映画で楽しめるものである。ネコのように変幻自在に動くキャットウーマン。ペイシェンスは逮捕されるが、手錠をサラリと外し、鉄格子の間をしなやかにすり抜ける。「柔能く剛を制す」タイプのヒーローと言える。

悪いとは思わないが、どうしても最初のイメージとの違いは気になるところ。できることなら「アン・ハサウェイ版」を観てみたいが、今はまだ実現していない。関係者には是非とも検討していただきたいと願いたくなるヒーローである・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | スーパーヒーロー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月28日

【エイリアン:コヴェナント】My Cinema File 1846

エイリアン-コヴェナント.jpg

原題: Alien: Covenant
2017年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演: 
マイケル・ファスベンダー:デヴィッド/ウォルター
キャサリン・ウォーターストン:ダニエルズ
ビリー・クラダップ:オラム
ダニー・マクブライド:テネシー
デミアン・ビチル:ロープ
カルメン・イジョゴ:カリン
ジャシー・スモレット:リックス
キャリー・ヘルナンデス:アップワース
エイミー・サイメッツ:ファリス
ナサニエル・ディーン:ハレット
ジェームズ・フランコ:ブランソン
ガイ・ピアース:ピーター・ウェイランド
ノオミ・ラパス:エリザベス・ショウ

<映画.com>
********************************************************************************************************
リドリー・スコット監督が自身の傑作SF『エイリアン』の前日譚を描いた『プロメテウス』の続編。新たな主人公となる女性ダニエルズを、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で注目されたキャサリン・ウォーターストンが演じ、『プロメテウス』でアンドロイドのデヴィッド役を演じたマイケル・ファスベンダーが続投。前作に続いてスコット監督がメガホンをとった。滅びゆく地球から脱出し、人類移住計画を託された宇宙船コヴェナント号には、カップルで構成された乗組員が搭乗していた。やがて人類の新たな楽園となるであろう未知の惑星にたどり着いたコヴェナント号だったが、そこには想像を絶する脅威が存在していた。その恐怖を目の当たりにした乗組員たちは、命からがら星からの脱出を試みるのだが……。
********************************************************************************************************

大ヒットして一時ブームとなった『エイリアン』(My Cinema File 49)シリーズ。一区切りついたと思ったら前日譚として登場したのが『プロメテウス』(My Cinema File 1145)。その『プロメテウス』(My Cinema File 1145)の続編が本作品。どんな新シリーズになるのか期待して観た映画である。

冒頭、1体の男性型アンドロイドが起動する。その場にいるのは、創造者・ウェイランド。アンドロイドは、ミケランジェロの彫刻を見て自らをデヴィッドと名付ける。そして時は移り2104年。植民船コヴェナント号は、新たな移民惑星「オリガエ6」に向けてを宇宙空間を航行している。コヴェナント号には冷凍休眠中の乗組員15人と2千人の入植者、1千体以上の人間の胎芽が乗っており、アンドロイドのウォルターがすべてを管理している。そして、突如発生したニュートリノの衝撃波を受け、コヴェナント号は甚大なトラブルに見舞われる。

緊急事態に乗員は次々に目覚める。しかし、船長のブランソンのカプセル内で火災が発生し、船長は目覚めることなく死亡する。彼の妻で人類移住計画責任者のダニエルズは悲嘆に暮れる。事態を受け、副船長のオラムが新船長となり船の復旧作業に勤めるが、船外修理中のテネシーが謎の信号を受信する。解析の結果、その歌のような信号の発信源はオリガエ6より遥かに近く、移民に好条件と思われる惑星から届いているものと判明する。オラム船長は先のトラブルの事もあり、この惑星の調査を決定する。

こうして新船長オラム以下11名の調査隊が惑星に降下。信号発信源にあった朽ち果てた宇宙船を発見する。そこで「E・ショウ」と名前が書かれたタグと写真が発見される。その写真に写っていたのは、11年前に消息を絶ったプロメテウス号の乗員エリザベス・ショウ博士だった。その時、生物学調査を行うカリンに同行したレドワードの耳の中に、謎の黒い胞子が潜り込む。レドワードは次第に体調を崩して苦しみ始め、カリンは介抱のために着陸船に引き返し始める。その頃、宇宙船内部を探索中のハレットの鼻孔にも、同じ胞子が侵入する。

苦しむレドワードは吐血し、ついにはその背中を突き破って未知の異生物が現れる。例のエイリアンかと思ったが、姿形がちょっと違う。異生物は付き添っていたカリンに襲いかかり、さらには医療室の窓を破って飛び出す。パニックに陥った船内で、留守に残っていた船員が闇雲に発砲したため、可燃物タンクを誤射し着陸船は大爆発を起こしてしまう・・・

こうしてエイリアンに襲撃され、惑星に取り残されるというのは、過去にもあったパターン。地上に降り立ったクルーたちは、他のエイリアンの襲撃を受ける。そんな時、突然どこからともなく現れた人物が、追い込まれていたクルーたちを助ける。実はこの惑星こそ、『プロメテウス』(My Cinema File 1145)でエリザベス・ショウ博士らが降り立った惑星であり、現れた人物はショウ博士と行動を共にしていたアンドロイド「デヴィッド」なのである。『エイリアン2』(My Cinema File 1790)と同様、惑星からの脱出劇がこの物語で描かれることになる。

このシリーズで、地味にキーとなるのはアンドロイド。ここで登場するのは、前作でも登場したプロメテウス号に乗船していたデヴィッドとその改良型のウォルター。同じ姿形ではあるものの、その思考機能には大きな差がある。デヴィッドが抱いていたのは、(人類にとっては)危険な思考。だが、AIも純粋に進化して行ったらこういう思考を辿ってもおかしくはない気がする。ちょうどターミネーターでスカイネットが人類を敵と判断したように・・・

デヴィッドが抱いていた恐るべき計画。この映画では、エイリアンも進化の途中。一応、脅威を振りまくが、今回の恐怖の中心はデヴィッドである。生き残りのための死闘があって、ここではダニエルズがリプリー的な役割を果たす。コヴェナント号はオリガエ6を目指して航行を続けることになるが、このあとどうノストロモ号事件に発展するのか。それはまたのちの物語ということらしい。

この先、どう展開されていくのか。ちょっと楽しみにしたいところである・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月27日

【地上より永遠に】My Cinema File 1845

地上より永遠に.jpg

原題: From Here to Eternity
1953年 アメリカ
監督: フレッド・ジンネマン
出演: 
バート・ランカスター:ウォーデン曹長
モンゴメリー・クリフト:プルーイット
デボラ・カー:カレン
フランク・シナトラ:マジオ
ドナ・リード:ロリーン
フィリップ・オーバー:ホームズ中隊長
アーネスト・ボーグナイン:ファツォー
ジャック・ウォーデン:バックリー伍長

<映画.com>
********************************************************************************************************
米国軍隊内部をリアルに描いたジェームズ・ジョーンズの小説(51年)を映画化した1953年作品で、「情炎の女サロメ」のバディ・アドラーが製作に当たり「真昼の決闘」のフレッド・ジンネマンが監督した。脚色はダニエル・タラダッシュ、撮影はバーネット・ガフィ、音楽は「情炎の女サロメ」のモリス・W・ストロフの担当。主演は「愛しのシバよ帰れ」のバートランカスター、「終着駅」のモンゴメリー・クリフト、「クオ・ヴァディス」のデボラ・カー、「ネバダ決死隊」のドナ・リード、「錨を上げて」のフランク・シナトラで、フィリップ・オーバー、アーネスト・ボーグナイン、ミッキー・ショウネシー、ハリー・ベラバー、ジョン・デニスらが助演する。
********************************************************************************************************

昔の名画に興味を持ったのは、映画が好きになれば当然の成り行きだったと思う。かつて若い頃にこの映画を観た記憶があるが、もうすっかり忘れてしまっている。そこでもう一度、観てみることにした次第。

時に1941年夏のハワイ、オアフ島のスコフィールド米軍基地。この兵営G中隊にラッパ手のプルーイットが転属してくる。迎えたのは、ボクシングが好きで自分のチームの強化を図る中隊長ホームズ。中隊長は早速、かつてボクサーだったプルーイットに声をかけ、自分のチームに参加するように命じる。参加すれば、昇進もついてくる。

ところがプルーイットはこれを拒絶する。かつて試合中に親友を失明させ、それを苦にしてボクシングをやめたのである。しかし、中隊長ホームズはこれを良しとしない。間に立つのは、曹長ウォーデン。プルーイットを説得しようとするが、頑ななプルーイットに効果はない。これによって中隊長から目をつけられたプルーイットは、分隊長のガロヴィッチらにひどいシゴキを受け始める。

そんなプルーイットに声をかけたのは同僚兵士のアンジェロ・マジオ。だが彼も営倉係長ジェームズ"ファツォー"ジャドソンと酒場で揉めたことから目をつけられる。中隊長ホームズには美人の妻カレンがいるが、カレンはホームズを嫌い、隊の男たちと浮名を流している。そんなカレンにウォーデンは言い寄る。一方、プルーイットはたまたま連れて行かれた酒場で、そこで働くロリーンと知り合う・・・

1941年のハワイといえば、何と言っても12月8日(現地時間では7日)の真珠湾奇襲。しかし、基地内にはそんな時代背景による緊張感などなく、穏やかな空気が漂う。そんな中で、曹長ウォーデン、プルーイットを中心としたドラマが展開される。中隊長ホームズが権力を握る中隊にあっては、ボクシングチームのメンバーを中心に誰もがホームズの機嫌を伺う。そんな中にあって、プルーイットはそれに逆らい、ウォーデンはあろうことかその妻カレンを口説く。誰もいないビーチで二人っきりの海水浴はモノクロの画面がちょっと残念である。

観終わって、名画の感想はと聞かれるとちょっと答えに窮する。モノクロの昔の名画でも『素晴らしき哉、人生!』(My Cinema File 1491)などは今観ても心打たれるものがある。「さすが名画」と唸らされるものがあるが、この映画からはそれが感じられない。かつて観たはずなのに内容を忘れてしまっていたのもそれが原因だと思う。映画は時代とともに生きるところがあるので、公開当時の印象はまた違ったのかもしれないと思ってもみる。

当たりハズレは最新の映画でもあること。名画と評判が高ければそれなりのレベルは保証されているとは思うが、それでも「普通」になることもあるだろう。それはそれで、また今度は違う名画にチャレンジしてみたいと思うのである。今回はそんな感想を持った一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

【ロバート・デ・ニーロ エグザイル】My Cinema File 1844

エグザイル.jpg

原題: Being Flynn
2012年 アメリカ
監督: ポール・ワイツ
出演: 
ロバート・デ・ニーロ:ジョナサン・フリン
ポール・ダノ:ニック・フリン
ジュリアン・ムーア:ジョディ・フリン
オリビア・サールビー:デニス
リリ・テイラー:ジョイ

<映画.com>
********************************************************************************************************
疎遠だった父と息子が織りなす不器用な交流を、名優ロバート・デ・ニーロと『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノ共演で描いたヒューマンドラマ。ニック・フリンの自伝的小説「路上の文豪、酔いどれジョナサンの『幻の傑作』」を、「アバウト・ア・ボーイ」のポール・ワイツ監督が映画化した。幼い頃に父親が刑務所送りとなって以来、母親と2人きりで暮らしてきた青年ニック。ある日、彼のもとに突然、ずっと音信不通だった父親から連絡が入る。父親は現在ニューヨークでタクシー運転手として働いていたが、アパートを追い出されたために荷物運びを手伝ってほしいという。その後、ニックが働くホームレス支援施設に、仕事を失って行き場のない父親がやって来て……。
********************************************************************************************************

主人公のニックは恋人と一緒に住んでいたが、彼女の留守中に別の女性を連れ込んだことが発覚し、部屋を追い出される。住む場所を失ったニックは、友人の家に身を寄せる。そしてそこで知り合ったデニーズに紹介され、ニックはホームレス支援施設で働き始める。一方、ニックの父・ジョナサンは、自ら作家と称し傑作を執筆中であるが、今はタクシー・ドライバーをして生計を立てている。しかし、階下の住人ともめて家を追い出されることになる。困ったジョナサンは18年間音信不通だった息子のニックを呼び、荷物を運び出す手助けを頼む。

ジョナサンは見栄っ張りな性格で、自分は作家であるとし、出版社からの手紙を大事に持っている。また住むところを追い出されても友人に泊めてもらうと言うが、いざ訪ねると断られてしまう。ニックも詩や手記を綴っているが、生活の糧はホームレス支援施設での給料である。そんなある日、ニックの働くホームレス支援施設に行き場を失って窮したジョナサンがやってくる。

ジョナサンは、飲酒運転の事故で車も免許も失っており、施設でもあちこちでトラブルを起こす。そしてとうとう施設からも追い出されてしまう。ニックはニックで、デニーズと関係を持つが、薬物に手を出しデニーズから愛想を尽かされる。ニューヨークの冬は寒さが厳しい。そんな寒風吹きす寒空にホームレス生活は凍死の危険すらある。路上強盗もいる中、ジョナサンはそんな生活すら小説のネタにしようとする・・・

ロバート・デ・ニーロもいろいろな作品に出演しているが、この映画はともに作家志望の親子の交流を綴った地味なドラマである。たぶん、ロバート・デ・ニーロの名前がなければ観なかったかもしれない。妻と離婚し、作家になる夢を捨てられず、周囲とトラブルを起こしては職を転々としている父親と、母の女手一つで育てられた息子。母は次々と付き合う相手を変え、そんな母もいつしか亡くなり独り身のニック。突然目の前に酷く落ちぶれた姿で現れた父親に対する感情は複雑だろう。

ドラマはそんな親子を追っていく。ジョナサンは失職してホームレスとなり、ニックはあてもなく過ごす日々の中で薬物に手を出す。映画としては地味であるが、人は誰でもうまくいかないことや人生で思い煩うことが多々あるもの。そんな思いが脳裏を過る。原作者はニック・フリンとなっており、自伝的小説というからこのドラマは実話を基にしているのだろう。アメリカは、ホームレス支援施設が結構充実しているものだと変なところに感心しながらドラマに見入っていた。

原作は「Being Flynn」。何となく奥深いタイトルだと思うが、邦題はいかがなものかと思わされる。「エグザイル」は英語で「放浪」とか「追放」とかの意味があるようだから、これを転じたのだろう。だが、調べなければわからない身には何のことだかという思いに駆られる邦題である。下手な邦題の映画は数え上げれば暇がないが、これもその一つと言える。

地味な映画ながら、なぜかロバート・デ・ニーロとジュリアン・ムーアという大物が共演している。邦題に囚われず、観ても損はない映画である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする