
原題: The Town
2010年 アメリカ
監督: ベン・アフレック
出演:
ベン・アフレック: ダグ・マクレイ
レベッカ・ホール:クレア
ジェレミー・レナー: ジェームズ・“ジェム”・コフリン
ジョン・ハム: FBI捜査官フローリー
クリス・クーパー:スティーヴン・マクレイ“ビッグ・マック”
ブレイク・ライブリー:クリスタ・コフリン
ピート・ポスルスウェイト:ファーギー
<シネマトゥデイ>
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俳優として活躍する一方、前監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が高い評価を受けたベン・アフレックの監督第2作。強盗団のリーダーと人質女性の愛を軸に、犯罪都市に生きる者たちの生きざまが描かれる。監督のベン・アフレックが主演を務めるほか、『それでも恋するバルセロナ』のレベッカ・ホール、「MAD MEN マッドメン」のジョン・ハム、「ゴシップ・ガール」のブレイク・ライヴリーら、豪華実力派キャストが出演。スリリングで骨太な運命のドラマが味わえる。
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冒頭で、この映画の舞台となる街、ボストン・チャールズタウンはアメリカで最も強盗が多いのだと語られる。そんな街でいきなり銀行強盗のシーンから物語は始まる。手際よく行員と警備員を制圧すると、金庫を開けさせて中身を強奪する。副支店長が支店長の身代わりに名乗り出ると、それを押し退け若い女性支店長を迷いなく金庫の前に立たせ、開錠時間も言い当てるので支店長のクレア・キージーも金庫を開けざるを得ない。実に用意周到な強盗である。
しかし、支店長クレアの機転で警報装置を鳴らされ、咄嗟の事にリーダーのダグはクレアを人質に取って逃走する。もともと殺人までは考えていなかったダグは、無事逃げおおせるとクレアを開放する。ところがこの措置について、仲間のジェムは気に入らない。既に前科二犯のジェムは、今度逮捕されれば三振アウト法で無期刑となってしまう。始末を主張するジェムに対し、ダグは安心させるためクレアの監視を始める。だが、コインランドリーの店内まで尾行をした彼は逆にクレアから話しかけられてしまう。
こうしてダグとクレアは、いつの間にかちょくちょく会うようになる。一方、この事件を担当していたFBI捜査官のアダム・フローリーは、ダグたちが犯人であることに目星をつけつつある。ダグとクレアはついに結ばれ、ダグは今までの人生と決別し、クレアとともにタウンを出ることを決意する。しかし、タウンの影の黒幕であるファーギーがそれを良しとしない。ファーギーはクレアに害を加えることをほのめかしながらダグに次の大きな案件も手掛けるよう命じる・・・
主人公のダグは、表向き工事現場で働いているが、父親もファーギーの下で強盗を働き無期懲役に服するような家庭環境で育っている。仲間は同じような環境で共に育っていて、警察に口をわらなかった父親を英雄視するようなカルチャーが浸透している。自動小銃で武装しての銀行強盗はなかなかの迫力であるし、よくよく考えてみればとんでもないアウトローである。だが、そんな環境に育てば誰だってそうなるのかもしれない。
ダグは、幼いころに母が父と自分を捨てて出ていったと信じている。ところが真相をファーギーから聞かされ、愕然とする。それで父親がなぜ母を探さなかったのかの理由もわかるのであるが、それがあまりにも悲しい。ジェムの妹クリスタにしても、幼子を抱え、ダグへの想いを抱き、それでも街の中に埋没して生きていかざるを得ない。犯罪は取り締まるだけではなくならないし、根本的な解決にはならないと考えさせられる。映画が終わったあとの街では、次のダグやジェムが同じようなことを繰り返すのだろう。
ベン・アフレックの監督第2弾と言われても、素人にはその手腕などわかりようもない。ただ、ベン・アフレック主演映画としては、心に染み入る犯罪映画である・・・
評価:★★☆☆☆