2018年03月31日

【ザ・タウン】My Cinema File 1897

ザ・タウン.jpg

原題: The Town
2010年 アメリカ
監督: ベン・アフレック
出演: 
ベン・アフレック: ダグ・マクレイ
レベッカ・ホール:クレア
ジェレミー・レナー: ジェームズ・“ジェム”・コフリン
ジョン・ハム: FBI捜査官フローリー
クリス・クーパー:スティーヴン・マクレイ“ビッグ・マック”
ブレイク・ライブリー:クリスタ・コフリン
ピート・ポスルスウェイト:ファーギー

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
俳優として活躍する一方、前監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が高い評価を受けたベン・アフレックの監督第2作。強盗団のリーダーと人質女性の愛を軸に、犯罪都市に生きる者たちの生きざまが描かれる。監督のベン・アフレックが主演を務めるほか、『それでも恋するバルセロナ』のレベッカ・ホール、「MAD MEN マッドメン」のジョン・ハム、「ゴシップ・ガール」のブレイク・ライヴリーら、豪華実力派キャストが出演。スリリングで骨太な運命のドラマが味わえる。
********************************************************************************************************

 冒頭で、この映画の舞台となる街、ボストン・チャールズタウンはアメリカで最も強盗が多いのだと語られる。そんな街でいきなり銀行強盗のシーンから物語は始まる。手際よく行員と警備員を制圧すると、金庫を開けさせて中身を強奪する。副支店長が支店長の身代わりに名乗り出ると、それを押し退け若い女性支店長を迷いなく金庫の前に立たせ、開錠時間も言い当てるので支店長のクレア・キージーも金庫を開けざるを得ない。実に用意周到な強盗である。

 しかし、支店長クレアの機転で警報装置を鳴らされ、咄嗟の事にリーダーのダグはクレアを人質に取って逃走する。もともと殺人までは考えていなかったダグは、無事逃げおおせるとクレアを開放する。ところがこの措置について、仲間のジェムは気に入らない。既に前科二犯のジェムは、今度逮捕されれば三振アウト法で無期刑となってしまう。始末を主張するジェムに対し、ダグは安心させるためクレアの監視を始める。だが、コインランドリーの店内まで尾行をした彼は逆にクレアから話しかけられてしまう。

 こうしてダグとクレアは、いつの間にかちょくちょく会うようになる。一方、この事件を担当していたFBI捜査官のアダム・フローリーは、ダグたちが犯人であることに目星をつけつつある。ダグとクレアはついに結ばれ、ダグは今までの人生と決別し、クレアとともにタウンを出ることを決意する。しかし、タウンの影の黒幕であるファーギーがそれを良しとしない。ファーギーはクレアに害を加えることをほのめかしながらダグに次の大きな案件も手掛けるよう命じる・・・

 主人公のダグは、表向き工事現場で働いているが、父親もファーギーの下で強盗を働き無期懲役に服するような家庭環境で育っている。仲間は同じような環境で共に育っていて、警察に口をわらなかった父親を英雄視するようなカルチャーが浸透している。自動小銃で武装しての銀行強盗はなかなかの迫力であるし、よくよく考えてみればとんでもないアウトローである。だが、そんな環境に育てば誰だってそうなるのかもしれない。

 ダグは、幼いころに母が父と自分を捨てて出ていったと信じている。ところが真相をファーギーから聞かされ、愕然とする。それで父親がなぜ母を探さなかったのかの理由もわかるのであるが、それがあまりにも悲しい。ジェムの妹クリスタにしても、幼子を抱え、ダグへの想いを抱き、それでも街の中に埋没して生きていかざるを得ない。犯罪は取り締まるだけではなくならないし、根本的な解決にはならないと考えさせられる。映画が終わったあとの街では、次のダグやジェムが同じようなことを繰り返すのだろう。

 ベン・アフレックの監督第2弾と言われても、素人にはその手腕などわかりようもない。ただ、ベン・アフレック主演映画としては、心に染み入る犯罪映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月30日

【バイオハザード:ザ・ファイナル】My Cinema File 1896

バイオハザード:ザ・ファイナル.jpg

原題: Resident Evil: The Final Chapter
2016年 アメリカ
監督: ポール・W・S・アンダーソン
出演: 
ミラ・ジョボビッチ:アリス
アリ・ラーター:クレア・レッドフィールド
ショーン・ロバーツ: アルバート・ウェスカー
ルビー・ローズ:アビゲイル
オーエン・マッケン:ドク
ローラ:コバルト
イ・ジュンギ: チュウ司令官
ウィリアム・レビ:クリスチャン
イアン・グレン:アイザックス
エバー・アンダーソン:レッドクイーン

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
ミラ・ジョヴォヴィッチがヒロイン・アリスにふんし、激しいサバイバルを繰り広げる超大作アクションシリーズの第6作にして最終章。人類最後の生存者となったアリスと、宿敵アンブレラ社が仕掛けるアンデッドとの最後のバトルを活写する。メガホンを取るのは、シリーズ全作に携ってきたポール・W・S・アンダーソン。 アリ・ラーターや、日本でモデルやタレントとして活躍中のローラが共演。ミラの見応えたっぷりのアクションはもちろん、壮大なバトルに期待。
********************************************************************************************************

 早いものでこのシリーズも第6弾で、かつタイトルにある通りこれが最後ということになる。前作(『バイオハザードX:リトリビューション』My Cinema File 1154)では海底の研究施設であったが、今回は再び地上に戻って物語が始まる。その前にアンブレラ社が、アレクサンダー・アイザックス博士とジェームズ・マーカス博士が50%ずつの出資で共同設立したバイオベンチャーであり、マーカスの娘アリシアは「プロジェリア」(早老症)という遺伝病にかかっていて、実は「Tーウイルス」はその特効薬として開発されたものだと説明される。

 しかし、その「Tーウイルス」によって人間はアンデッドと化してしまうのだが、事件を隠蔽して利益を優先させようとするアイザックスと、発売中止を訴えるマーカスが対立。アイザックスは、部下であるウェスカーを使い、マーカスを絞殺し、マーカスの一人娘、アリシアの後見人になる。さらにアイザックスは、アンブレラ社を管理する人工知能に、マーカスが生前保存していたアリシアの脳内データをアップロードする。こうして「レッドクイーン」の説明もされ、あらゆる謎に説明が加えられつつシリーズはエンディングへと向かう。

 荒廃したホワイトハウスが生々しいワシントン。アリスは、巨大な怪鳥を撃退する。そしてある建物の中に入って行くと、なんとそこにレッドクイーンのホログラムイメージが現れる。そしてそのレッドクイーンが言うには、「世界人口は既に4472人となっており、48時間後に人類は滅亡してしまう。それを防ぐにはラクーンシティの「ハイブ」内にあるTーウィルスの散布用ワクチンを時間内に撒くことが必要だ」と。

 これまで過去において、アリスはレッドクイーンと対立してきたはずであるが、ここでは一転。そしてアリスは、ラクーンシティへと向かう。しかし、道中アイザックスとの死闘があり、さらにラクーンシティ内に到達すると、ドクという男が仕切るグループに捕らえられる。そこで4作目(『バイオハザードW アフターライフ』My Cinema File 744)以来、別れ別れになっていたクレアと再会する。そこに押し寄せるアイザックスの武装グループとおびき寄せられた無数のアンデッドの大群。

 アリスの戦いは次から次へと続くが、とにかく展開が早くて目まぐるしい。忙しいの何という感じである。映画全体の時間もそんなに長くないのであるから、もう少しじっくりと描いても良かったのではないかと思う。そしていよいよ物語の原点である研究所ハイブへと戻ってくるアリス。迎え撃つのはウェスカーであり、そして何より意外な黒幕が登場する。そしてさらには驚きの人物も登場する。一応、第1作からのストーリーにはそれなりの説明がつけられる。これまでのシリーズの戦いも程よく織り込まれていて、きれいにストーリーがまとめられる。

 ラストはこれまたあっさりし過ぎた展開であり、ツッコミどころは満載であるが、それは問わぬが花というものだろう。かくして物語は終わるのであるが、続けようと思えば続けられそうなラストだけに、もうこれできっちり終わりにしてほしいと思わず願ってしまう。日本人的にはローラが出演していて、ちょっとびっくり。美人ではあるが、ハリウッド映画とは結びつかなかったから意外であったが、今後もいろいろと出演するのかどうかは興味深いところである。

 まぁ取りあえず終わってホッとしたシリーズ最終作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | アクション/シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

【マギー】My Cinema File 1895

マギー.jpg

原題: Maggie
2015年 アメリカ
監督: ヘンリー・ホブソン
出演: 
アーノルド・シュワルツェネッガー:ウェイド・ボーゲル
アビゲイル・ブレスリン:マギー・ボーゲル
ジョエリー・リチャードソン:キャロライン・ボーゲル
ダグラス・M・グリフィン:レイ
J・D・エヴァーモア:ホルト

<映画.com>
********************************************************************************************************
アーノルド・シュワルツェネッガーが製作・主演した初のゾンビ映画。感染するとゾンビ化するウイルスが蔓延する近未来のアメリカ。ウイルスに感染したウェイドの娘・マギーは、当局によって特別病棟に収容されてしまった。ウェイドは娘のマギーを捜し出し、家族の元へと連れて帰るが、ウイルスがもたらすマギーの変化は徐々に進行していった。徐々にゾンビへと変化し、苦しむマギーを前にただ見守ることしかできないウェイドだったが、その決断の時は確実に迫っていた。ウェイド役をシュワルツェネッガーが、娘のマギー役を「リトル・ミス・サンシャイン」「ゾンビランド」のアビゲイル・ブレスリンが演じる。監督はTVシリーズ「ウォーキング・デッド」などを手がけ、本作が長編初監督となるヘンリー・ホブソン。
********************************************************************************************************

 政治から復帰後のアーノルド・シュワルツェネッガーの作品は、見逃しているはずはなかったのだが、この作品に気付いて実は驚いた。存在自体を把握していなかったからである。ただ、何となくその理由は推測できたし、実際観てみれば予想通りであった。「面白くない」のである。

 アメリカ、ミズーリ州西部。世界では伝染病が蔓延し、パニック状態に陥っている。その「腐歩病ウイルス」に対しては、いまだ有効なワクチンの開発はできず、政府は感染した農作物を焼却し感染者を隔離する以外の手立ては打てていない。感染者は人を襲い、噛まれた者は、徐々にウィルスに蝕まれ、やがて次の人を襲うようになる。いわゆるゾンビであるが、ゾンビが死んだ人間とすると、この映画では「感染者」は一応生きているようであり、「死んだ人間が歩き回って人を襲う」という冷静に考えればありえない存在からは一応筋が通っている。

 感染者は、初めこそは理性を保っているが、やがて食欲が失せ、嗅覚が鋭くなっていく。「人間の臭い」がわかるようになると理性を失う一歩手前で、そして変転(ターン)≠迎える。こうした症状を十分に説明してくれるので、ストーリーの理解に役立つ。そしてそのストーリー。16歳の娘マーガレット・ヴォーゲル(通称・マギー)は、外出禁止令の出ているカンザスシティに遊びに行き、感染者に左腕を噛まれて感染してしまう。父への手紙がモノ悲しい。

 当然、知らせを聞いた父ウェイドは病院に駆け付ける。溢れかえる感染者。ようやく娘・マギーを見つけると知人のヴァーン医師の口利きで退院させる。家に引き取るも、実はウェイドの家には娘のマギーの他に、後妻のキャロラインと長男・ボビーと娘・モリーがいる。「危険」とあって、ウェイドはボビーとモリーをおばのところへ預ける。マギーは2人と別れを惜しむが、それが今生の別れとなるのは明らか。キャロラインの心境は複雑だと思うが、それでも一緒に残ったのは大きな愛情だと思う。

 家に戻ったものの、何をするということもない。感染初期は、何の変化もない。ただ、食欲がないと語るマギーに、微妙な空気が流れる。ウェイドは農場に出て作物を調べ、感染した畑を焼き払う。庭のブランコに乗っていたマギーは、左指を骨折するが、感染の影響なのか、指の先が取れかかり異常な様子。思い余ったマギーは、なんと包丁を使ってこれを切断してしまう。それでもこれも感染の影響か大した出血はなく済んでしまう。

 森へ行ったウェイドは、家族ぐるみで親しくしていたアンダーソン家の父・ネイサンとその娘・ジュリアに会うが、ともに感染して末期の症状を呈しており、もはや別人。やむなくウェイドは斧で殴り殺し、警察を呼ぶ。感染者を隔離せずに家に匿っていたのは、アンダーソン家の妻・ボニー。いずれ我が身のウェイド。アリーに誘われ友人たちと会ったマギーも、ボーイフレンドが感染したことを知る。感染者も症状が進めば隔離され、ひどい扱いを受けると聞き、ボーイフレンドはその前に頭を撃ち抜くと語る・・・

 いわゆる「ゾンビ」映画であるが、ゾンビ映画も数々の亜流が創られていて、その内容も様々。この映画もそんな亜流でありながら、「次から次へと襲い来るゾンビの群れを叩きのめしながら逃げる」という王道パターンはほとんど出てこない。ちょっと変わったゾンビ映画である。しかし考えてみれば複雑である。不治の病なら自分で覚悟を決めて静かにその時を待てばよい。しかし、ゾンビとなるとそうはいかない。つまり、意識を失ったら家族だろうと襲ってしまうし、襲われた方はそれでゾンビになってしまう。本人からしたらたまったものではない。

 アーノルド・シュワルツェネッガーもここではお得意のアクションは封印。静かに娘と最後のひと時を過ごす父親として登場する。いくらわが娘でもその姿はあまりにも無防備。いくら無敵のシュワちゃんでも、寝ているところを噛まれたら終わりだろうと思うのだが、娘を愛するあまりそんな警戒心もわかないようである。自分だったらどうするだろう。そんなことをふと想像してみたのである。

 ストーリーとしては、やっぱりあまり面白くない。ただ、いろいろと我が身に置き換えて考えさせられるところは大であった。アーノルド・シュワルツェネッガーがなぜ自ら製作に携わって映画化しようとしたのか、その理由が何となくわかる。「つまらない」と評するのは、ちょっと抵抗がある。ゾンビ映画というよりも、人間ドラマに分類したい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月24日

【泣く男】My Cinema File 1894

泣く男.jpg

原題: 우는 남자/No Tears for the Dead
2014年 韓国
監督: イ・ジョンボム
出演: 
チャン・ドンゴン:ゴン
キム・ミニ:チェ・モギョン
ブライアン・ティー:チャオズ
キム・ジュンソン:ジョン・リー
キム・ヒウォン:ビョン室長
カン・ジウ:ユミ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『アジョシ』などのイ・ジョンボム監督が、『ブラザーフッド』などの韓国を代表するスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えた衝撃のアクションドラマ。クールな殺し屋が少女の命を奪ったことをきっかけに、次第に人間的な感情に目覚めていく悲痛な葛藤を本格的アクションと共に描き切る。『恋愛の温度』などのキム・ミニが、殺された少女の母親を熱演。孤独な主人公が贖罪のために選んだ壮絶な死闘はもとより、彼の揺れ動く感情が胸を締め付ける。
********************************************************************************************************

 主人公は、韓国人の殺し屋ゴン。ゴンはその日も組織の命を受け、あるターゲットを殺すためにアメリカのレストランに来ている。近くの席でまだ幼い少女が退屈そうにしているのを見たゴンは、含んだ水をわざと口から垂れ流し少女を笑わせる。そしてゴンは「仕事」に向かう。レストランの奥の部屋で取引中の男たちを一気に射殺するゴン。なかなかの凄腕である。そしてドアの向こうの微かな物音に反応し、ゴンは反射的にドアを撃ち抜く。しかし、ドアの外にいたのはゴンが笑わせた少女。少女は胸を血に染め、静かに倒れる・・・

 実はその場でゴンに射殺された男ハ・グンソクは、ある口座情報をロシアン・マフィアに売り渡そうとしていたが、そのデータの行方がわからない。組織は関係者を洗うこととし、ゴンにはグンソクの元妻チェ・モギョンを調べ、殺すようにと指令を下す。その元妻モギョンは韓国のある優良企業の重役。そして実はゴンが殺した少女ユミの母親であった。ゴンは韓国に渡る。

 モギョンは重役としての華々しい活躍の陰で、認知症を患った母を抱え、さらに娘ユミを亡くした悲しみで夜は酒に溺れている。ゴンはそんなモギョンの身上調査を進めていく。一方、ストーリーは韓国生まれながら母とアメリカに移住したものの、母は貧しさから独り砂漠で拳銃自殺をし、取り残されてしまったゴンの過去を描いていく。母が最期にゴンにかけた言葉は“Don’t cry!”。

 組織が狙うデータは、それと知らずにモギョンの手に渡る。モギョンを殺しデータを奪わなければならないゴンは、しかし少女の死を嘆くモギョンに感化されていく。そんなゴンを見限って次なる殺し屋を仕向けてくる組織。警察と組織とがモギョンを巡って相対峙する中、ゴンは独自にモギョンからつかず離れずその姿を見守る・・・

 見所は何といっても韓流アクション。自動小銃や手榴弾も交え、激しい戦闘が繰り広げられる。ゴンも凄腕ゆえに、組織の殺し屋たちとのバトルは期待通り。ちょっと切ないストーリーと相俟って、韓国映画に期待するものを期待通りに魅せてくれる。ただ、相対的に見れば、たとえば『アジョシ』(My Cinema File 981)などと比べると少し色褪せるところがあるのは否めない。それはやむを得ないかもしれない。

 ラストでゴンと対決した組織の殺し屋チャオスの行動も、地味に良かった。こうした人情の機微はハリウッドモノには見られないかもしれない。隅々まで韓国アクションを楽しめる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月23日

【記憶探偵と鍵のかかった少女】My Cinema File 1893

記憶探偵と鍵のかかった少女.jpg

原題: Mindscape
2013年 アメリカ
監督: ホルヘ・ドラド
出演: 
マーク・ストロング:ジョン・ワシントン
タイッサ・ファーミガ:アナ・グリーン
ブライアン・コックス:セバスチャン
サスキア・リーブス:ミシェル・グリーン
リチャード・ディレイン:ロバート・グリーン
インディラ・バルマ:ジュディス
ノア・テイラー:ピーター・ランドグレン
アルベルト・アンマン:トム・オルテガ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
他人の記憶に入り込める特殊能力を持つ探偵が、謎めいた依頼人の少女の記憶に隠された謎に迫るミステリー。スペインのホルヘ・ドラド監督が、巧妙な伏線がいくつも存在する不穏な空気漂うドラマを構築。『ビトレイヤー』などで存在感を放つマーク・ストロングが初めて単独で映画主演を果たす。彼を翻弄するヒロインに『ブリングリング』などのタイッサ・ファーミガがふんするほか、『ボーン』シリーズなどのブライアン・コックスらが共演。
********************************************************************************************************

 何となくタイトルに惹かれて観てみたいと思った映画。「記憶探偵」とは、他人の記憶の中に入り込み、どのようなことがあったのか探るという能力を持った者であるらしく、それだけでやはり興味を持つ。そんな「記憶探偵」であるジョン・ワシントンは、かつては活躍していたものの、息子を失った悲しみで妻が自殺してしまい、以来仕事から遠ざかり、おまけにアルコール依存症となっていた。

 そんな状態が長く続くわけもなく、いよいよ家族との思い出の家を売らねばならぬほど困窮し、ジョンは仕事への復帰を望む。そんな彼に、上司であるセバスチャンは、16歳の少女アナ・グリーンの案件を担当させる。その少女アナは、裕福な家庭の娘ながら食事をとることを拒否しており、心配した母親が依頼してきたものであった。

 そしてジョンは、グリーン家を訪問する。記憶探偵が記憶に入る方法は、互いに向き合って座り、両手をつなぐというもの。ジョンのリードでアナは目を閉じ、そしてジョンはアナの記憶に入っていく。現実にこういう事ができたらどうだろうか。映画ではあまり詳しく語られていなかったが、どうやらどの記憶に入るかは、入られる本人が選択できる様子。そうでなければ、知られたくない記憶まで見られてしまうことになる。

 アナの記憶に入るジョン。彼女の周りでは同級生が毒物を飲まされたり、性的な写真を撮ったとして逮捕された教師がいることが明らかになる。ジョンは、こうした結果を踏まえ、両親には「入院治療の必要はない」と報告する。ジョン自身、妻の自殺によるショックから立ち直れていない部分もあり、謎の少女アナの記憶調査には危ういところがある。それが最後の展開に現れる。

 興味深かった記憶探偵というテーマであるが、どうも結果的にはイマイチ感が強く残った。もう少し工夫があっても良かったと思うのであるが、「何だかなぁ」と思わざるを得なかった。普段は脇役が多いマーク・ストロングのせっかくの主役だったが、原因はわかりにくさなのかもしれない。結局、ストーリー全体について、アナが何をしたのかがイマイチよく理解できなかったのである。

 ストーリー的にも観る者に対する配慮的にも、もう一工夫欲しかった映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする