
原題: Dvadtsat vosem panfilovtsev
2016年 ロシア
監督: キム・ドラジニン/アンドレイ・シャロパ
出演:
アレクサンダー・ウスチュゴフ
ヤコブ・クシャビスキー
アザマト・ニグマノフ
オレグ・フョドロフ
アレクセイ・モロゾフ
アントン・クズネトソフ:
<映画.com>
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第2次世界大戦中、ナチスドイツの戦車部隊にわずか28人で立ち向かったロシア兵たちの死闘を描いたロシア製戦争アクション。ロシア国民で知らない者はいないと言われる有名なエピソード「パンフィロフの28人」を、ロシア文化省による後援とクラウドファンディングを受けて映画化した。1941年、ナチスドイツがロシアに侵攻。同年11月、モスクワは大軍に包囲されつつあった。首都郊外のボロコラムスクを守備していたパンフィロフ将軍率いる第4中隊は、ドイツ軍の装甲師団から猛攻撃を受けて壊滅状態に陥ってしまう。絶望的な状況の中、生き残ったわずか28人の兵士たちは、モスクワを守る最後の砦として戦うことを決意する。新宿シネマカリテの特集企画「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」(17年7月15日〜8月18日)上映作品。
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時に1941年、独ソ戦が開戦され、ナチスドイツは「バルバロッサ作戦」を実行し、怒涛の勢いでソ連領内に侵攻する。モスクワまであとがない状況で、首都郊外のヴォロコラムスクにはパンフィロフ将軍指揮下の第4中隊が展開している。第4中隊は塹壕を張り巡らせて迎え撃つ体制を取っているが、その装備は心許ない。敵戦車に対しては、手製の火炎瓶を用意。何と木型で戦車を作っての訓練には、傍で見るからに頼りない。そしてドイツ軍が到達する。
ドイツ軍は戦車を主体として攻め入る。守るソ連軍も塹壕を利用し、速射砲と対戦者ライフルで対抗する。最初の攻撃に対し、戦車4輌を破壊し、何とかこれを撃退する。しかし、部隊は壊滅寸前に追い込まれ、生き残ったソ連軍兵士も残りわずか28名となっている。後方部隊に増援を要請するも、ソ連軍に余裕はなく、増援要請はあえなく却下される。そしてドイツ軍の二度目の攻撃が始まる。
強力な砲撃を加え、これで塹壕にこもっているソ連軍にも損傷が出る。続いて航空支援を受け戦車部隊が殺到する。迎え撃つソ連軍は、変わらず速射砲と対戦車ライフルとで迎え撃つ。近づいてきた戦車に対しては、手榴弾の束を投げつけ、火炎瓶で炎上させる。双方とも肉弾相打つ戦いが展開される。ソ連軍にあるのは、「後退する場所はどこにもない。俺たちがモスクワを守る最後の砦だ」という指揮官の言葉のみ。
興味深いのは、これが実話であるということ。事実に勝る説得力はないが、まさにその通り。映画だから多少のフィクションは入っているのだろうが、結果的にドイツ軍を撃退したのは間違いない。どこまで史実に忠実に再現されているのかはわからないが、映画で描かれているソ連軍の戦い方は、まさに肉弾戦である。ノモンハンでは逆に日本軍にこれをやられ、戦車も次々に火炎瓶の餌食になったそうであるが、もしかしたらノモンハンの教訓を生かしたのかもしれないなどと想像してしまう。
結果的にモスクワ攻防戦は、ソ連が守り抜いて終わる。映画ではドイツ軍の将校が戦況を見守り、退却を命ずる。しかし、守っていたソ連軍にもう余力はなく、ドイツ軍はあと一押しで突破できていたが、こういうケースはビジネスでもよくありがちだと思う。相手の手の内がわからないので仕方ないが、ドイツ軍にももう少し根性があったらと思わされる。宇宙戦艦ヤマトで、デスラー総統が、「我々も苦しいが敵もまた苦しい。勝利はこの苦しみを耐え抜いた方に訪れる」という言葉を吐いていたが、その言葉が脳裏を過った。
この映画はクラウドファンディングで製作されたのだと言う。ロシア人にとって、第2次世界大戦は、大祖国戦争として誇り高いものがあるのだろう。そういう要素はあるとしても、ロシア人でなくても映画として単純に面白い(ドイツ人にとっては面白くないだろう)。それによくよく見ると、兵士たちは人種がバラバラである。そこまで意識したのかどうかわからないが、白人ばかりでないところも(各地から寄せ集めてきた感がある)史実に即しているのかもしれない。
戦争映画が観たい気分の時にはいいかもしれない映画である・・・
評価:★★☆☆☆