
2016年 日本
監督: 三池崇史
出演:
伊藤英明:小町小吉
武井咲秋:田奈々緒
山下智久:武藤仁
山田孝之:蛭間一郎
小栗旬:本多晃
ケイン・コスギ:ゴッド・リー
菊地凛子:森木明日香
加藤雅也:堂島啓介
小池栄子:大張美奈
篠田麻里子:大迫空衣
滝藤賢一:手塚俊治
太田莉菜:連城マリア
福島リラ:榊原
<映画.com>
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火星で人型に進化したゴキブリ「テラフォーマー」と人類の壮絶な戦いを描いた大ヒットコミックを、鬼才・三池崇史監督のメガホンにより実写映画化。主演を「悪の教典」でも三池監督とタッグを組んだ伊藤英明が務め、武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬ら豪華キャストが集った。2599年、人口増加による貧富の差が激しくなる日本では、新たな居住地開拓のために「火星地球化(テラフォーミング)計画」が始まっていた。しかし、火星の気温を上げるためにコケとともに放たれたゴキブリが異常進化してしまう。そのゴキブリたちを駆除するため、15人の日本人が火星に送り込まれるが……。
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近未来の日本。人類は人口増加に悩み、火星への移住計画を立てている。そのためには、火星を人類にとって住みやすい環境に変えるべく、テラフォーミングが行われる。そのために利用されたのが生命力の優れたゴキブリ。これが奏功し、火星は人類が生存できるレベルまでテラフォーミングが成功する。時に西暦2597年、東京で物語は始まる。
警察に追われる男女が、逃げ切れずに逮捕される。男は小町小吉、女は秋田奈々緒。殺人罪の容疑がかかる2人に本多博士がある提案をする。「火星での虫駆除」という仕事に対し、罪の免除と多額の報酬が提示される。いかにも胡散臭いオファーであるが(こういうオファーは得てして断るのが正解だと本能的に感じる)、奈々緒がサインしてしまい小吉もしぶしぶ承諾する。2人は「適合者」と判定されており、火星に行くために特別な手術が必要と言われ、彼らは手術を受ける。
こうして小吉と奈々緒はじめ、15名の人間が選ばれて宇宙船で火星へと向かう。彼らが受けた特別な手術とは、「バグズ手術」という昆虫のDNAを体内に埋め込むもの。首に「昆虫細胞活性剤」を打つことで、5〜6分の間その個々の昆虫の能力を最大限に引き出すことができるというもの。15人の乗組員は、その使用方法をインプットすると火星へと着陸する。
火星に着陸すると、すぐにマーズレッドPROという害虫駆除剤を発射して散布する。その成果を確かめるべく、船外に出る乗組員。ところが、あたりにゴキブリの死骸はなく、代わりに小吉と奈々緒は人間サイズの二足歩行の生き物と出会う。2人が戸惑っていると、その生物は素早く動き、一瞬で奈々緒の首の骨を折ってしまう。呆気にとられる小吉。宇宙船に戻ると、他にも犠牲者が出ている。そこで本多博士より、謎の生物が火星で独自の進化を遂げたゴキブリだとわかる。
なぜ初めから説明しないのか、なぜもっと本格的な軍隊組織を送り込まないのか、原作は漫画だというが、映画ではそのあたりの説明が省かれている。進化したゴキブリは「テラフォーマー」と呼ばれ、15人が受けたのはテラフォーマーと戦う手術。それもミイデラゴミムシとかサバクトビバッタとか、ネムリユスリカとか昆虫博士でもない限り誰も知らないような昆虫(唯一主人公の小吉のオオスズメバチだけがわかった)。
こうして、各人の特技を生かしながら、テラフォーマーとの戦いが繰り広げられる。なんとなく「仮面ライダー」を見ているような気分になってくる。目的は害虫駆除なのであるが、相手はとにかく数に勝っている。15人ではたとえオオスズメバチが最強で孤軍奮闘しても埒が明かない。数こそは最強の武器といった感じである。送り込まれた者も、みんな脛にキズ持つ者たちで、連係プレーも限られている。この計画、端から破綻している。首謀者の本多博士もどこか異色のキャラであり、それなりに専門分野はあるのかもしれないが、政略的思考は苦手のようである。
結局のところ、ひたすら異生物たちとのバトルが繰り広げられる。『エイリアン』(My Cinema File 49)の日本版と言えなくもない。しかし、原作が漫画だからかどうかわからないが、どうも内容は漫画チックで『エイリアン』(My Cinema File 49)のような迫力も緊迫感も伝わってこない。それこそ子供向けのヒーロー番組を観ているような感覚である。何がどう悪いのかは何とも言えないが、要因の一つは間の抜けたテラフォーマーの顔であることは間違いないだろう。どう見てもギャグにしか見えない。
出演陣はけっこう豪華なのであるが、出来栄えは残念としか言いようがない。原作は大ヒット漫画らしいが、映画化はチープに終わってしまったというところだろう。一度原作も見てみたいと思うのが精一杯の映画である・・・
評価:★★☆☆☆