2019年01月29日

【17歳】My Cinema File 2040

17歳.jpg

原題: Jeune et Jolie
2013年 フランス
監督: フランソワ・オゾン
出演: 
マリーヌ・バクト:イザベル
ジェラルディン・ペラス:シルヴィ
フレデリック・ピエロ:パトリック
ファンタン・ラバ:ヴィクトル
ヨハン・レイセン:ジョルジュ
シャーロット・ランプリング:アリス

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『スイミング・プール』などのフランソワ・オゾン監督が、少女から大人へと変化を遂げる17歳の女子高生の心理とセクシュアリティーをあぶり出す青春ドラマ。不特定多数の男と性交を重ねる名門高校に通う美しい女子高生。ある事件をきっかけにその問題行動が発覚、行動の裏にある少女でも大人でもない17歳の女性の揺れ動く気持ちを描き出す。主演は、モデル出身のマリーヌ・ヴァクト。『輝ける女たち』などのジェラルディーヌ・ペラスや『まぼろし』などのシャーロット・ランプリングが共演。オゾン監督らしい繊細で鋭い心理描写に心を揺さぶられる。
********************************************************************************************************

主人公は17歳の高校生イザベル。医師の母シルヴィと再婚相手のパトリック、弟のヴィクトルとリゾート地に来ている。イザベルは密かにドイツ人青年フェリックスと付き合っている。そしてある晩、誘われるままに両親に内緒で家を出てパーティーに参加する。その流れで海辺に行くとそのまま初体験を済ます。近くにラブホテルなどがあろうはずもないが、それでも星空の下で初体験というのにフランスの若者は抵抗がないのだろうかと思ってみる。

そんな間柄なのにイザベルは翌日、フェリックスに素っ気なく、17歳の誕生パーティーにも招かない。やがてバカンスが終わり、一家は帰る時を迎えるが、イザベルはフェリックスに何も言わないまま家路に着く。なんでそんな態度なのだろうかと訝しく思うが、映画を観ていくとその理由は次第にわかってくる。

イザベルはある日、大人びた格好でホテルへと向かう。母親の服を借りての姿であるが、服装に覆われた若さが雰囲気によく出ている。部屋に入っていくと、出迎えたのは初老の男。イザベルは、自ら「レア」と偽名を名乗るとそのまま関係を結び、金を受け取る。そして次のシーンではまた別の男を相手にする。どうやらネットを使って売春をしているようである。相場は300〜500ユーロ。高校生であることを考えてもいい値段である。

事が終われば自分の私服に着替えて何食わぬ顔で帰宅する。もらったお金は密かにクローゼットに隠した財布にしまう。やがて常連客が出てくる。その一人は最初に相手をした初老の紳士。ある日、いつものようにホテルの同じ部屋に入ると、イザベルは洗面所でバイアグラを見つける。それはそうだろうと思う。行為は(映画だからだろうが)いたって穏やかなもの。しかし、その時、男はイザベルの下で心臓発作を起こす。イザベルもどうしてよいかわからず、そのまま部屋を後にする。

なぜ、イザベルは若くて美人で、その気になれば彼氏など簡単に作れるであろうに売春を繰り返すのか。映画ではそれははっきり語られない。両親も揃っていて、父親は再婚相手ではあるが、特に関係が悪いということもない。稼いだお金もただしまっておくだけで、金目的という感じもしない。それが思春期ゆえの心の動きなのであろうか。やがて初老の紳士の死について調べていた警察が、防犯カメラの映像を元にイザベルの身元を割り出す。そしてその事実が家族の知るところとなる・・・

娘が売春をしているとわかれば、親としてはショックであろう。「何の不満があって」と嘆きたくなるのもわかるが、イザベル自身もわからないのかもしれない。それにしてもフランス人はあけすけだ。やがてイザベルも普通に同級生と付き合うようになるが、自分の部屋に相手を泊めても親公認。朝、父親が起こしに行くと、部屋から喘ぎ声が聞こえ、父親が遠慮するというシーンが出てくる。日本人の感覚ではなかなかわかりにくい。そしてベッドでは同級生は当然下手だし、物足りない。女は怖いなと思わされる。

そして再び禁止されていた携帯にSIMカードを入れると、何件もの着信履歴が一気に表示される。揺れ動く思春期の女の子の行動をまともに理解しようとしても無理なのかもしれない。それにしても、この主演女優はなかなかの美形である。観ているだけでも満足できる。映画は特にこれといった盛り上がりがあるわけではないが、静かに訴えかけてくるものはある。
映画の雰囲気をうまく醸し出し、なかなかいい邦題だと思わせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月26日

【デッドプール2】My Cinema File 2039

デッドプール2.jpg

原題: deadpool 2
2018年 アメリカ
監督: デビッド・リーチ
出演: 
ライアン・レイノルズ:ウェイド・ウィルソン/デッドプール/ジャガーノート(声)
ジョシュ・ブローリン:ケーブル
ザジー・ビーツ:ドミノ
モリーナ・バッカリン:ヴァネッサ
ジュリアン・デニソン:ラッセル/ファイヤーフィスト
レスリー・アガムズ:ブラインド・アル
T・J・ミラー:ウィーゼル
ブリアナ・ヒルデブランド:ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド
カラン・ソーニ:ドーピンダー
ジャック・ケシー:ブラック・トム
忽那汐里:ユキオ
ステファン・カピチッチ:コロッサス(声)
エディ・マーサン:理事長
ルイス・タン:シャッタースター

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
マーベルコミックスのヒーローの中でもユーモラスなキャラクター・デッドプールに、ライアン・レイノルズがふんしたアクションの第2弾。“マシーン人間”からある少年を守るために立ち上がったデッドプールがチームを結成し、ド派手なバトルを展開する。監督は『アトミック・ブロンド』などのデヴィッド・リーチ。敵を『アベンジャーズ』シリーズにも出演しているジョシュ・ブローリンが演じるほか、モリーナ・バッカリン、T・J・ミラー、忽那汐里らが出演する。
********************************************************************************************************

前作から2年後。ウェイド・ウィルソン(デッドプール)はガールフレンドのヴァネッサと同棲し、ヒーロー活動も続けている。ヴァネッサも身ごもり、幸せの絶頂にある。しかし、ある日麻薬カルテルの襲撃を受け、流れ弾によってヴァネッサが死んでしまう。

自暴自棄になったウェイドは爆死を図るが、不死の能力を持つデッドプールには無理な相談。そこに現れたX-MENのメンバーのコロッサスは、彼を「恵まれし子らの学園」に連れて行くと、彼を諭し再びX-MENへと勧誘する。ウェイドはこれに渋々同意する。そして「見習い」として最初の任務に挑んだウェイドは、14歳のミュータントであるラッセル・コリンズ(ファイヤーフィスト)の暴走を止める。

しかし、実はラッセルは施設の理事長と職員達から日常的に虐待を受けており、これに気付いたウェイドは、職員らに発砲し数人を殺害する。ウェイドはたちまち拘束され、能力抑制装置を付けられた上でラッセルと共にミュータント専用の刑務所「アイスボックス」に連行される。能力抑制装置により不死の能力が抑制されたため、本来の末期ガンが再発し、瀕死の状態になる。そこへ、突然謎の男ケーブルが現れ、ラッセルの命を狙う。

ケーブルは無敵の能力を発揮、刑務所全体も大混乱に陥る。混乱の中で、ウェイドの能力抑制装置が外れ、なんとかケーブルを退ける。ケーブルの次の攻撃からラッセルを守ることを決めたウェイドは、悪友ウィーゼルと共に味方のミュータントを集めてチーム「X-フォース」を結成し、ケーブルの攻撃に備える。やがて襲い来るケーブル。その戦いの中で、ラッセルは凶暴な巨大ミュータントのジャガーノートの拘束を解き、共に脱出に成功する・・・

『X−MEN』シリーズのスピンオフとして製作されたシリーズも第2弾。それはそれでいいのだが、『アベンジャーズ』シリーズと比較すると大きな違いがある。それは、主要キャラクターが登場しないという点である。ウルヴァリンもプロフェッサーも登場しない(ウルヴァリンはエンドロールでちょっとだけ登場する)。権利の関係かどうかはわからないが、両者の“格”を感じてしまう。

それはそれでいいとして、今回も主役のデッドプールはよくしゃべる。いろいろとジョークやパロディもあるのかもしれないが、残念ながらあまりよくわからない。ただ、ヒーローモノでありながらコメディという要素は随所に出てくる。ラッセルが刑務所で仲良くなったジャガーノートによって、デッドプールは真っ二つに引き裂かれてしまう。治癒能力によって治るのだが、下半身が再生されるまでの間、盲目の老婆アルの家に居候しているウェイドの下半身は幼児のもの。まさにギャグの世界である。

そして今回の強敵は未来から未来の兵器を携えてやってきたケーブルかと思いきや、ラッセルの命を狙うその意外な理由がわかって方向が変わる。単純に悪を退治して終わるという展開から、ちょっと感動的なドラマへと移るのであるが、そこはやっぱりコメディにしたいのか、デッドプールは最後まで口が減らない。まぁこれはこれで気軽に楽しめる映画である。

残念ながら、ラストのエンドロールで、ケーブルのタイムマシン装置を利用していろいろとデッドプールがやるのであるが、その意味がよくわからなかった。ウェイドを演じるライアン・レイノルズが、『グリーン・ランタン』の脚本をもらって喜んでいるところが出てきたりするが、あれは何だったのだろうかと疑問に思う。

まぁそれがわからくてもどうということはない。気軽に楽しめるシリーズとして続いて行ってほしいと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | スーパーヒーロー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月25日

【三度目の殺人】My Cinema File 2038

三度目の殺人.jpg

2017年 日本
監督: 是枝裕和
脚本: 是枝裕和
出演: 
福山雅治:重盛
役所広司:三隅
広瀬すず:山中咲江
満島真之介:川島輝
市川実日子:篠原一葵
松岡依都美:服部亜紀子
橋爪功:重盛彰久
斉藤由貴:山中美津江
吉田鋼太郎:摂津大輔

<映画.com>
********************************************************************************************************
『そして父になる』の是枝裕和監督と福山雅治が再タッグを組み、是枝監督のオリジナル脚本で描いた法廷心理ドラマ。勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。是枝監督作には初参加となる役所広司が殺人犯・三隅役で福山と初共演を果たし、『海街diary』の広瀬すずが物語の鍵を握る被害者の娘役を演じる。第41回日本アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本、助演男優、助演女優、編集の6部門で最優秀賞を受賞した。
********************************************************************************************************

 福山雅治、役所広司、そして広瀬すずが出演となれば、さらに監督が是枝裕和となると迷いなく観てみようと思うものだが、そんな期待に外れずに十分満足させてくれる映画。こういう確実なところはありがたい。

 映画はいきなり河川敷で役所広司演じる三隅高司が、男を殴り殺すところから始まる。三隅はさらに死体を焼却する。なんとも残忍な犯行であるが、その後三隅は逮捕される。場面代わって、福山雅治演じるエリート弁護士重盛朋章は、同じ事務所の弁護士摂津から新たな刑事事件の弁護士を持ちかけられる。被告人は三隅。容疑は冒頭での殺人罪。殺害したのは、勤務先の食品加工会社の社長。既に犯行は認めているものの、証言がコロコロと変わり、摂津も対応に苦慮しての相談であった。

 摂津が手を焼いたとおり、拘置所での数度の接見で三隅の供述は一貫しない。それでも重盛は、証拠資料を丹念に調べると、巧みに三隅を誘導していく。怨恨による強殺よりも殺人と窃盗の方が罪が軽いためである。「真実は誰もわからないのだから、メリットのある結果を出す」というのが重盛のモットー。冷たくクールな弁護士の姿は、福山雅治のイメージとよく合う。しかし、そんな矢先、週刊誌に三隅が「被害者の奥さんに頼まれて保険金目当てで殺害した」と語る内容の記事が載る。

 弁護士にしてみればバカにしたような形であるが、三隅は悪びれる素振りもない。しかしながら、減刑材料にはなるため、重盛は被害者の妻、山中美津江からの殺害依頼メール(と解釈できるメール)を物証として、美津江が主犯となった保険金殺人の線で公判準備を進めていく。その一環で、三隅の住居や実家での調査を進めるうち、三隅と被害者の一人娘、山中咲江との奇妙な関係性が浮上してくる。

 第1回の公判終了後、実は咲江が死亡した父から性的暴行を受け続けてきたこと、美津江のメールは、保険金とは全く関係のない(と言っても内容はバレてはまずい食品偽装に関するもの)ものであったことが相次いで判明する。さらに、ここにきて、突然三隅が一転して殺害容疑の否認をし始め、法定は大混乱に陥る・・・

 実は三隅は30年前にも殺人で無期懲役となった前科を持っている。つまり今回は「二度目の殺人」となる。タイトルにどういう意味があるのか、途中から気になっていく。そして裁判の様子は実にリアル。法廷でのやり取りの前に、事前に裁判官と検事と弁護士とが証拠に基づいて進め方を協議していく。それは「真実」を巡るやり取りというよりも、「関係者の利害調整の場」という雰囲気が強い。

 特に三隅が無罪を主張すると、当初は「犯行の事実を争わない」という前提だったため、裁判を初めからやり直す必要が出てくる。しかし、裁判日程の詰まった裁判官は(さらに裁判員裁判であったため裁判員からのクレームも予想される)、今さら最初からやりたくないので、裁判長が暗黙裡に(判決は変わらないと暗示して)裁判手続きを継続させることを検事と弁護士に運がしていく。事実より手続きという感じがなんとも言えない。

 必死に無罪を訴える三隅。その表情は真に迫っている。果たして真実はどうなのだろう。それは観ている者もわからず混乱に陥れられていく。クールな重盛でさえ、最後は真実を求めて感情を爆発させる。現代の裁判制度のリアルを浮かび上がらせつつ、法廷で真実とされるものの意味を考えさせてくれる。殺人は許されざる罪であるが、そこに至る事情もあるだろうし、そもそも無実なら罰する対象にはならない。真実が明らかにならないとどうにもならないが、それが揺らぐのがこの映画。なかなか考えさせてくれる内容である。

 金目当てや嘱託殺人ならとんでもない男だが、咲江のためを思ってなら同情心も湧いてくる。見る角度によっては三隅の顔はどのようにでも見える。役所広司の演技力のたまものだろうが、最後の重盛との対峙もなかなか見応え十分である。
 名優並び立つ迫力のあるドラマである。


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月22日

【EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー】My Cinema File 2037

EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー.jpg

原題: Earth to Echo
2014年 アメリカ
監督: デイブ・グリーン
出演: 
テオ・ハーム:アレックス
ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー:タック
リース・ハートウィグ:マンチ
エラ・ワレステッド:エマ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『スパイダーマン』シリーズのプロダクションアシスタントを務めてきたデイヴ・グリーンがメガホンを取って放つSFファンタジー。宇宙から到来した未知の物体に遭遇した少年少女が、困難と向き合いながら彼らなりの回答を導き出していく姿を描く。『誘拐の掟』などのブライアン・“アストロ”・ブラッドリーをはじめ、テオ・ハームやリース・ハートウィグらが共演。主人公たちの成長物語はもとより、驚きの展開に期待が膨らむ。
********************************************************************************************************

 主人公は、アレックス、タック、マンチの三人の少年たち。毎日3人でつるんでいるが、少年たちの家は高速道路建設のため立退きが決まっており、近々離れ離れになる予定。最後の日々を納めるべく、みんなの姿を映像に残している。この映画は、最近よくあるように、登場人物が映像を撮る形で描かれていくのである。

 その日の話題は彼らの携帯が突然、謎の画像が表示されておかしくなってしまったこと。原因などわかりようがないが、表示されたおかしな画像はどこかの地図のようにも見える。そこで3人は、離れ離れになる前の最後の冒険として、その画像の指す場所へと行ってみることにする。その場所は、遠く離れていて、とても日中行って帰って来られない。そこで夜にこっそりと抜け出して行くことにする。

 3人は各々自分の母親に友人の家に泊まると伝え家を出る。砂漠の中の道路をひたすら進み、そして画像の示す場所へとたどり着く。そこで見つけたものは、なんのへんてつもない鉄の塊。しかし、次にまた別の地図が表示され、地図の指し示す納屋に行ってみれば、突然小さなパーツが飛び出し高と思うと、鉄の塊にくっつき、中から小さなロボットが顔を覗かせる・・・

 驚く3人だが、さらなる驚きは小さなロボットは音を発し、それによるイエスノークェスチョンでロボットが宇宙から来たことが分かったこと。地球に来た時に撃墜され、そして今は帰還を望んでいるということ。ここに至り、3人の冒険は地図による宝探しから、ロボットを自分の星に帰らせる手伝いへと変わる。しかし、この動きに水面下で活動していた政府機関が絡んでくる。政府機関の目的は、当然ロボットの捕獲と研究である。
 
 3人はロボットをエコーと名付ける。この3人に同じ学校のアイドルエマが加わり、4人によるパーツ探しが始まる。その動きに気がつく政府機関の男たち。実は高速道路建設というのは、政府機関の宇宙人探しの隠れ蓑。そしてエコーを巡って4人と政府機関の男たちとの追撃戦が始まる・・・・

 子供たちと地球にさ迷い込んできた宇宙人との交流、そして自分の星への帰還を子供たちが助けるというストーリーは、そのまんま映画『ET』と同じである。若干の構成を変えただけであり、「何だかなぁ」と思わざるを得ない。助けると言ってもそこは子供であり、大人には対抗できない。最後は力を回復した「かわいい宇宙人(『ET』の宇宙人はあまりかわいいとは言えなかったが・・・)」が、未知の力を使って大人たちを出し抜くのである。

 先の読めるストーリー展開。よくよく考えれば、ツッコミどころも随所にある。まぁそれをいちいち指摘しても意味はない。子供が主人公でほんわかしたストーリーであるが、やっぱりそこは「二番煎じ」である。「本家」を超えるレベルには程遠い。
 短い時間であるし、ちょっとした時間潰しくらいにはなるであろう映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月19日

【祈りの幕が下りる時】My Cinema File 2036

祈りの幕が下りる時.jpg

2018年 日本
監督: 福澤克雄
出演: 
阿部寛:加賀恭一郎
松嶋菜々子:浅居博美
溝端淳平:松宮脩平
田中麗奈:金森登紀子
キムラ緑子:浅居厚子
烏丸せつこ:宮本康代
春風亭昇太:大林
伊藤蘭:田島百合子
小日向文世:浅居忠雄
山崎努:加賀隆正

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
類い稀な推理力で難事件を解決に導く刑事を主人公にした、東野圭吾の人気ミステリー小説を映像化した『新参者』シリーズの完結編。謎に包まれた殺人事件の捜査線上にある女性演出家が浮上したことで、主人公・加賀の母が失踪した理由や父との不和、加賀自身の過去が明かされる。主演の阿部寛をはじめ溝端淳平、田中麗奈、山崎努らレギュラー陣が続投し、新キャストとして松嶋菜々子、伊藤蘭、小日向文世らが参加。テレビドラマ「半沢直樹」などの演出を務めた福澤克雄がメガホンを取る。
********************************************************************************************************

 最近の日本映画は、人気ドラマシリーズの映画化とか、人気小説・漫画原作の映画化作品が多い。東野圭吾の作品は特にそうであり、この作品も撮られるべくして撮られたと言える作品である。
  
 時に震災前。日本橋署の刑事加賀恭一郎は、仙台に住む女性から思わぬ連絡を受ける。それはこの地で亡くなった田島百合子という女性が、加賀の母親ではないかというもの。加賀恭一郎については、『卒業』で学生時代が描かれるが、その前はわからない。気にもしなかったが、この映画では母親の事が触れられる。その母は、加賀がまだ少年の頃、家を出ていて、その後一度も会うことがなかったのである。

 その母、百合子は加賀を残して家を出た後、かつて旅で訪れたことがある仙台にやってきて、そして宮本の経営するスナックセブンで働き始めていた。訳アリなのであろう、過去を多く語らない百合子はやがて店の看板となる。そして綿部という男性客とも親しくなったようであるが、突然死を迎えてしまう。知らせを受けて仙台に駆け付けた加賀だが、母百合子について自分たちと分かれたあとの母親の人生を知ろうとするにも綿部という男の所在もわからず、わずかに日本橋というヒントが残されているだけであった。

 そして現代。小菅のアパートで女性の腐乱遺体が発見される。アパートの住人は越川睦夫と名乗る男で、本人は消息不明。捜査一課刑事、松宮は殺害時期や現場が近い河川敷で発生したホームレス焼死事件との関連性を感じ、捜査会議でDNA検査を行うことを提案する。これは一致せずに落胆するが、従兄弟の加賀恭一郎からDNAの採取について、定番のタオル・剃刀・歯ブラシではなく他のものにしたらというアドバイスを受けて実施する。これが見事に一致する。加賀の本領発揮である。
 
 消息不明の越川睦夫、そして被害者の押谷道子について捜査は進む。押谷道子は滋賀県在住であり、中学の同級生で演出家の浅居博美を訪ねて上京したことがわかる。さっそく松宮は、浅居博美の事情聴取を行うが、なんと浅居博美と加賀が知り合いであることが判明する。浅居博美は明治座で「曾根崎心中」の上演中であった。一方、小菅のアパートで見つかったカレンダーに月ごとに書き込まれた日本橋周辺にある橋の名前が、加賀の母の部屋に残されたカレンダーのメモと同じことがわかる。さらに二つのカレンダーの筆跡も一致。ここに至り、加賀も捜査に加わることになる。
 
 消息不明のアパートの住人越川睦夫は、かつて加賀の母の恋人であった綿部と同一人物なのか。カレンダーに残された日本橋周辺の橋の名前は何を意味するのか。捜査とともに、もう1人の登場人物浅居博美の過去が描かれていく。母親が作った借金で父親とともに夜逃げ同然で地元を離れ、やがて父を亡くし、演出家として成功する。様々に入り組む登場人物たちが、どう絡み合うのか。原作の方は読んではいるものの、映画は映画でストーリーに入り込んでいける。そして次第に浮かび上がる濃厚な人間ドラマ。

 所轄の刑事である加賀は、地道な捜査を厭わない。それがこの刑事の魅力でもある。事件の鍵を探し、日本橋周辺の橋の写真をかき集め、何千枚という写真を丹念に調べて行き、そしてそこにある人物の姿を見つける。そうして明らかになった事件の真相は、なんとも言えない切なさに溢れる。悲しき父と娘の人生。それが加賀の人生と関わり合う。さらに加賀刑事の知られざる家族の話がストーリーとは別の興味を与えてくれる。
 
 人生にはどうしても理不尽が伴う。真面目に生きていても思わぬ悪運に襲われることがある。そんな悪運に飲み込まれ、もがき続けた父と娘。そんなドラマが胸を打つ。そして知られざる日本橋と加賀の関わり。もはや刑事モノというよりも、完全なる人間ドラマと言っていい内容である。

 そんな人間ドラマが心に響く映画である・・・


評価:★★★☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする