2019年02月25日

【ユピテルとイオ】My Cinema File 2052

ユピテルとイオ.jpg

原題: IO
2017年 アメリカ
監督: ジョナサン・ヘルパート
出演: 
マーガレット・クアリー:サム・ウォルデン
アンソニー・マッキー:マイカ
ダニー・ヒューストン:ヘンリー・ウォルデン博士

<Netflix解説>
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滅びゆく地球に残り、生存へのわずかな希望を模索し続ける若き女性科学者。だが宇宙行きシャトルの発射場へと急ぐ男と出会ったことで、その決意が揺らぎ始める。「Death Note/デスノート」のマーガレット・クアリー主演。共演に「オルタード・カーボン」のアンソニー・マッキー。
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 地球が何らかの原因で人類が生存困難になるというSF物語は、『インターステラー』等よくあるパターンだと思うが、この映画もそんな未来の地球の物語。ここでは環境汚染が原因であり、もはや人類は生存不可能となった地球を捨て、木星の衛星イオ軌道上のコロニーに脱出している。しかし、そんな地球上にも残存者がわずかにおり、これはそんな残存者を描く映画である。

 科学者である父の研究を引き継いだ娘のサムは、父の死後も1人で暮らしながら実験を続けている。汚染地区に入る時は、防護服に身を包み、まだ生存している微生物等を採取したりしている。研究所は汚染地区から離れた山頂にあるが、ここからまだ地球に残る人々に向けて、父の言葉を無線で定期的に発信している。そしてその寂しさをイオにいる恋人のイーロンと通信することで紛らわせている。

 イーロンはサムに最後の地球脱出船に乗ってイオに来るよう求めてくる。しかし、脱出船の打ち上げ予定地に行くには十分な酸素がない。半ば諦めていたサムのところに、マイカという男が気球に乗って父であるヘンリー・ウォルデン博士に会いに来る。サムは一緒に気球に乗って最後の脱出船に向かおうとするが、イオにいる人類も安住の地を求め未知の新世界へ探査船を派遣することが決まり、イーロンはそれに選抜されたと伝えてくる。出発すれば10年は戻れない。さらに悪天候で研究施設が破壊され、サムは絶望的になる。
 
 気がつけば映画の登場人物はサムとマイカが中心で、回想シーンでサムの父ウォルデン博士が登場するのみ。場面も廃墟の街中と山頂の研究所が主なところで、SFと言っても宇宙空間はごくわずかしか描かれない。設定からしても当然の背景であるが、何となく「低予算」という感じが漂う。大気汚染は目に見えるものではなく、火をつけて炎の色で見分けている。違い紫色は大気が汚染されている証である。
 
 サムはついに地球を離れる決意を固め、マイカとともに発射場を目指すことになるが、すんなりとはいかない。タイトルは映画の中でも出てくる木星の衛星イオの意味かと思っていたが、実は廃墟となった街で、かつてサムが訪れたかった美術館に展示されている絵画のことらしい。コレッジョという画家の「イオ(ユピテルの愛の物語)」という絵画がそれだとのこと。絵を見つめるサムの心に由来したものは何だったのだろう。
 
 果たしてこの映画はハッピーエンドなのだろうか。希望を感じさせるようなラストであるが、よくよく考えてみるとどうなのだろうかと考えてしまう。それにしても、こういう未来は迎えてほしくないと改めて思わせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2019年02月23日

【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】My Cinema File 2051

ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男.jpg

原題: Darkest Hour
2017年 イギリス
監督: ジョー・ライト
出演: 
ゲイリー・オールドマン:ウィンストン・チャーチル
クリスティン・スコット・トーマス:クレメンティーン・チャーチル
リリー・ジェームズ:エリザベス・レイトン
スティーブン・ディレイン:ハリファックス子爵
ロナルド・ピックアップ:ネビル・チェンバレン
ベン・メンデルソーン:国王ジョージ6世

<映画.com>
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名優ゲイリー・オールドマンがイギリスの政治家ウィンストン・チャーチルを演じ、第90回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した歴史ドラマ。チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間を、『つぐない』のジョー・ライト監督のメガホンで描いた。第2次世界大戦初期、ナチスドイツによってフランスが陥落寸前にまで追い込まれ、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍が北フランスの港町ダンケルクの浜辺で窮地に陥る中、就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手にヨーロッパ中の運命が委ねられることに。ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、究極の選択を迫られるチャーチルだったが……。チャーチルを支える妻クレメンティーンに「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマス、秘書エリザベス役に「ベイビー・ドライバー」のリリー・ジェームズ、英国王ジョージ6世役に「名もなき塀の中の王」のベン・メンデルソーン。脚本は「博士と彼女のセオリー」のアンソニー・マッカーテン。アカデミー賞では主演男優賞のほか、オールドマンの特殊メイクを担当した日本人メイクアップアーティストの辻一弘らがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。
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 時に1940年5月。第二次世界大戦が開戦して半年。ヒトラー率いるナチス・ドイツは破竹の勢いで進撃し、フランスは陥落寸前の状態。対岸のイギリスにもその脅威が迫っている。時の首相チェンバレンに対して内閣不信任決議が出され、チェンバレンは辞任の意向を固めているが、後任の人事が決まらない。筆頭候補は外相のハリファックスであるが、本人はこれを固辞。そこで、国民からの人気は高いが、たび重なる失策から政党内の “嫌われ者”であったウィンストン・チャーチルに白羽の矢が立つ。

 チャーチルは歴史に名を遺すイギリスの首相だが、その人となりはあまりよく知らない。登場したチャーチルは、朝から酒を飲み、それを気にもしない。気難しいところがあり、新たに秘書に採用されたエリザベスもいきなり罵声を浴びせられる。それでも必死にチャーチルの言葉をタイプしていく。そんなエリザベス視線でのチャーチル像もまた良しである。

 国難に陥ったイギリスの新首相に就任したチャーチルだが、国王は不安を隠さない。内閣内ではドイツとの和平交渉を勧めるチェンバレンとハリファックスが、チャーチルの足を引っ張る。そんな中、事態は深刻に推移。既に大陸に派遣された英陸軍30万人が、ドイツ軍に追い込まれダンケルクの海岸で孤立状態となっている。ここで30万人の軍を失えばもはや本土防衛も難しくなる。

 30万人もの兵士を救出するには軍艦も足りず、ドイツ軍の砲火を潜り抜けるのは不可能に等しい。ならばとチャーチルは彼ら兵士を救うべく民間船の徴収を指示し、ダンケルクへと向かわせる。大型船はもちろん、ボートや小型船など民間の船もすべて召集した「ダイナモ作戦」の様子は、『ダンケルク』でも描かれていたが、違う側面から見るのもまた一興である。

 チャーチル自身は、映画でも描かれているようにそれほど評価されていた政治家ではなかったようである。しかし、国家の危機という状況において見せたリーダーシップは並外れていると思う。歴史を後から振り返れば連合軍の勝利に終わった第二次世界大戦であるが、当時は「イギリス・フランス連合軍vsドイツ軍」という図式で、しかもナチス・ドイツは破竹の勢いで大陸を席巻している状況。イギリスにも上陸の危機が迫っている。そんな中で、ハリファックスなどの有力政治家が和平の道を主張する・・・

 和平となれば、それはヒトラーに屈することを意味するし、戦えばドイツ軍に上陸されて多大な被害を蒙り国家の存続すら危ういかもしれない。単に自分の信念だけで突っ走るだけでなく、冷静な判断も求められる。先日読んだ『下町ロケット ゴースト』でも不利な裁判で戦うか、買収を受けて飲み込まれるかの決断を迫られる経営者の姿が描かれていたが、この時のチャーチルも同じような(もっと大きな)困難にあったわけである。
 
 まさに内憂外患といった感じのチャーチル。人には見えないところで日々悩み、葛藤する。そんな彼の家に、思いがけない人物が訪ねてくる。そして孤立無援かと思われていたチャーチルに対して意外な支持を表明する。そしてそのアドバイスをもとに庶民の声を聞くチャーチルの姿には心打たれるものがある。危機にあってはどういうリーダーシップが求められるのか。この映画にはそんなヒントが溢れている。
 
 ドイツが降伏し、第二次大戦に勝利してすぐの総選挙でチャーチルは敗北し、首相の座を下されたというのがなんとも言えない。それにしてもゲイリー・オールドマンがまさかチャーチルを演じ、しかも違和感がなかったところも凄いところであった。
 諸々の点で、一見の価値ある映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2019年02月22日

【ジュラシック・ワールド/炎の王国】My Cinema File 2050

ジュラシック・ワールド/炎の王国.jpg

原題: Jurassic World: Fallen Kingdom
2018年 アメリカ
監督: J・A・バヨナ
出演: 
クリス・プラット:オーウェン・グレイディ
ブライス・ダラス・ハワード:クレア・ディアリング
レイフ・スポール:イーライ・ミルズ
ジャスティス・スミス:フランクリン・ウェブ
ダニエラ・ピネダ:ジア・ロドリゲス
ジェームズ・クロムウェル:ベンジャミン・ロックウッド
トビー・ジョーンズ:エヴァーソル
テッド・レビン:ケン・ウィートリー
ジェフ・ゴールドブラム:イアン・マルコム
B・D・ウォン:ヘンリー・ウー
ジェラルディン・チャップリン:アイリス
イザベラ・サーモン:メイジー・ロックウッド

<映画.com>
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シリーズ14年ぶりの新作として2015年に公開され、記録的な大ヒットとなった『ジュラシック・ワールド』の続編。前作でハイブリッド恐竜のインドミナス・レックスとT-REXが激闘を繰り広げ崩壊したテーマパーク「ジュラシック・ワールド」を有したイスラ・ヌブラル島に、火山の大噴火の兆候が表れ、恐竜たちの生死を自然に委ねるか、あるいは危険を冒してでも救い出すか、人間たちは判断を迫られていた。そんな中、恐竜行動学のエキスパートのオーウェンはテーマパークの運営責任者だったクレアとともに、恐竜たちを救うべく行動を開始するが、その矢先に島の火山で大噴火が発生する。恐竜と心を通わせるオーウェンを演じるクリス・プラット、クレア役のブラウス・ダラス・ハワードらメインキャストが続投。監督は前作のコリン・トレボロウに代わり、『永遠のこどもたち』、「インポッシブル」などで注目されたスペインの出身のJ・A・バヨナが新たに務める。
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琥珀に閉じ込められた蚊が吸った恐竜の血のDNAから、現代に恐竜を蘇らせるという奇想天外なアイディアで度肝を抜いてくれた『ジュラシック・パーク』シリーズが再開されてからの第2弾。前作より3年後の2018年。パークは崩壊するも、イスラ・ヌブラル島では恐竜達が自由に島中を徘徊して生きている。しかし、島北部で火山の噴火が起き、島の恐竜達は存亡の危機にさらされる。

一方、そんなイスラ・ヌブラル島では、傭兵の一団が、前作でラグーンの底に沈んだインドミナス・レックスの遺体の回収作業に従事している。傭兵たちは、任務中にティラノサウルスとモササウルスに襲われるも、何とか目的のインドミナスの骨を回収し、依頼主の元へと持ち帰える。ここでも何やら金の臭いにつられたグループが暗躍している気配である。

恐竜保護を目的とした団体「Dinosaur Protection Group(DPG)」を設立した「ジュラシック・ワールド」の元運用管理者クレア・ディアリングは、火山の噴火により再び絶滅の危機に瀕しているイスラ・ヌブラル島の恐竜を救出するため、故ジョン・ハモンドの元ビジネスパートナーであったベンジャミン・ロックウッドを訪ねる。また、ベンジャミンに仕えるロックウッド財団の経営者イーライ・ミルズの依頼で、ヴェロキラプトルのブルーを捜索するため、元恐竜監視員のオーウェン・グレイディを雇い、ともにイスラ・ヌブラル島へと向かう。

こうしてイスラ・ヌブラル島に到着したオーウェンとクレアたち。島は小規模な噴火を繰り返し、溶岩の雨が降り注ぐ不安定な状況。2人は何とかヴェロキラプトルのブルーを探しあてるが、傭兵隊長のウィートリーに裏切られブルーを奪われた上に、オーウェンは麻酔弾で撃たれて放置される。何とかこの危機を脱し、船に忍び込んで島を離れるが、傭兵たちは既に必要な恐竜たちを確保し、残された恐竜たちは溶岩に飲み込まれていく・・・

金儲けのために恐竜を奪う傭兵グループ。純粋に恐竜の保護を目的とするクレアたちとは必然的に対立する。生き生きとして活動する恐竜たちの姿はやはりこの映画の見どころの一つであるが、個人的に感動的だった2人乗りのジャイロスフィアも再び登場。迫りくる溶岩と火砕流からの逃走劇も迫力がある。そして舞台をアメリカ本土に移して金に目がくらんだ人間とコントロールを外れた恐竜たちが描かれる。襲われる人間たちも金に目が眩んだ者たちだと思うと同情心も湧いてこない。

現代に復活した恐竜たちが人間を襲うという基本コンセプトは第1作から不変であるが、手を変え品を変え楽しませてくれる。自然をコントロールしようとしてできなくなるというのは、パニック映画ではよくあるパターンであるが、つくづく傲慢は仇となることを明示してくれる。こういう映画を観れば誰もが自分たちはクレアたち主人公の考え方に賛同すると思うのだろうが、実生活では傭兵グループの立場に立ったりするものだと思う。

それにしても絶滅した恐竜が現代に蘇るというのは夢のあるところ。しかし、火山の噴火で迫りくる溶岩に、島に残された恐竜たちの絶望的なたたずまいが何とも言えぬ哀愁を帯びていた。人間はどこまで神の領域に入っていいのだろうか。エンターテイメントとして楽しませてくれながら、そんなことを考えさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2019年02月16日

【ブライト】My Cinema File 2049

ブライト.jpg

原題: Bright
2017年 アメリカ
監督: デビッド・エアー
出演: 
ウィル・スミス: ダリル・ウォード
ジョエル・エドガートン: ニコラス・”ニック”・ジャコビー
ノオミ・ラパス: レイラ
ルーシー・フライ: ティッカ
エドガー・ラミレス: カンドメア
アイク・バリンホルツ: ポラード

<映画.com>
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『スーサイド・スクワッド』のデビッド・エアー監督が、同作でもタッグを組んだウィル・スミスを再び主演に迎え、人類とさまざまな種族が共存するロサンゼルスを舞台に異種族警官コンビの戦いを描いたNetflix製SFバディアクション。はるか昔から人間と他種族が共存してきた世界。ロサンゼルスで警察官として働く人間ウォードとオークの相棒ジャコビーは、夜の巡回中に謎の少女と出会い、魔法の杖「マジック・ワンド」の存在を知ったことをきっかけに、地球の運命をも揺るがす巨大な事件に巻き込まれてしまう。種族間の衝突を乗り越え、正体不明の敵と戦いながら事件の全貌に迫るウォードたちだったが……。共演に『華麗なるギャツビー』のジョエル・エドガートン、『プロメテウス』のノオミ・ラパス、『X-ミッション』のエドガー・ラミレス。
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物語の舞台は、人間と様々な種族が共存するロスアンゼルス。宇宙人なのかそれともX-MENのような突然変異なのかはわからないが、人間とは異質の人種(オーク人、エルフ人)が人間とともに暮らしている世界。主人公は、ロス市警の黒人警官ダリル。世界最初のオーク人警官のニックと組んでパトロールにあたっている。そんなある日、ダリルはオーク人の男に銃撃され重傷を負う。そばにいたニックは、犯人の男を追うも取り逃がす。以来、ニックとダリルの間には気まずい空気が流れている。

人間は表向きはともかく、オークを快く思っていない。また、エルフは金持ちの上流階級であり、オークは貧しいスラム街に住んでいる。3つの種族の間にはそれぞれ微妙な空気が流れている。ダリルの家にはフェアリー(と言ってもいわゆる“妖精”のイメージとは程遠い醜い生き物)が来てイタズラをする。ダリルは箒でフェアリーを叩き落とす。どうもイマイチこの世界の前提条件がわからず物語の世界に戸惑いを覚える。

ダリルは復帰後、パートナー変更を訴えるも聞き入れられず、再びニックとパトロールに出掛ける。途中、豊かなエルフの住む高級エリアとオークの住むスラムを通り抜ける。それによって両者の違いが映画を観る者にも伝わってくる。更衣室ではダリルの人間の同僚たちがニックをバカにする。一方でニックはオーク仲間からも白眼視されている。辛い立場ではあるが、ニックは警官になるのが夢だったと語り、職務に当たる。

ある日、ダリルとニックは街中で暴れていたサーリングという男を逮捕する。サーリングは突然、オーク語を話し、光の盾という組織について語る。サーリングはFBIもマークしていて、FBIはエルフの姉妹、レイラとティッカを追っている。2人は不思議な力をもつ「ブライト」と呼ばれる選ばれたエルフであり、インファーニと呼ばれる組織のメンバーである。そしてインファー二は魔法の杖を使い、暗黒の世界を復活させようとしているのである。

そんな中、パトロール中のダリルとニックは、突然銃撃される。狙撃者を殺害し家の中に入ると2人は、そこで多くの焼かれた死体とともに、壁に貼り付けられた女性をみつける。そして、一人のエルフの女ティッカを見つける。ティッカは魔法の杖を持ち出しており、自分を守ってくれるようにダリルとニックに頼む。ダリルは当然のように応援を呼ぶが、駆け付けた上司と同僚は杖の存在を知ると、これを奪おうとする・・・

こうして魔法の杖を巡って様々な思惑から各グループが入り乱れて争う。車椅子のギャングのボスは再び歩く事を望んで杖を狙う。ティッカに杖を持ち逃げされたレイラもそれを奪い返そうとする。それを追うFBI。ダリルとニックはテイッカを連れ、懸命の逃走劇を展開する。物語の展開はなかなか面白いと思うのだが、なぜオークやエルフが存在するようになつたのか、少しでも説明してくれれば親切だったと思う。

それにしても人間はやはり差別するものなのだろうか。自分たちとは異質なものを見つけて排除しようとする本能が、どこか奥底にあるのかもしれない。周りからの蔑視に耐えながら、ひたすら職務にあたるニックに何となく感情移入する部分が出てくる。それにしても異人種が出てきたり、魔法がでてきたり、醜い妖精がでてきたりと、この世界がよくわからない。魔法なら魔法の世界と定義してくれた方が個人的には「入っていきやすい」。

ウィル・スミス主演ということで、ハズレがないのは予想通り。そういう意味では安心して観られる俳優さんである。最後は危機を乗り越えたダリルとニックには固い絆が出来上がる。2人の誇らしげな表情が何とも言えない映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2019年02月15日

【グランド・イリュージョン 見破られたトリック】My Cinema File 2048

グランド・イリュージョン 見破られたトリック.jpg

原題: Now You See Me 2
2016年 アメリカ
監督: ジョン・M・チュウ
出演: 
ジェシー・アイゼンバーグ:J・ダニエル・アトラス
マーク・ラファロ:ディラン・ローズ
ウッディ・ハレルソン:メリット・マッキニー
デイブ・フランコ:ジャック・ワイルダー
ダニエル・ラドクリフ:ウォルター・メイブリー
リジー・キャプラン:ルーラ
ジェイ・チョウ:リー
サナ・レイサン
マイケル・ケイン:アーサー・トレスラー
モーガン・フリーマン:サディアス・ブラッドリー

<シネマトゥデイ>
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イリュージョンを駆使して悪がせしめた大金を奪う犯罪集団フォー・ホースメンの活躍を描いた『グランド・イリュージョン』の続編。ハイテク企業の不正を暴こうと計画を進める彼らと、立ちふさがる天才エンジニアの攻防を活写する。監督は『G.I.ジョー バック2リベンジ』などのジョン・M・チュウ。ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソンなどの主要メンバーが再結集し、ダニエル・ラドクリフが宿敵となるエンジニア役で参戦。より驚きを増したイリュージョンとスリルを極めた物語に圧倒される。
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 従来のマジックものとは一線を画し、なかなか楽しませてもらった前作だが、やっぱり評価が高かったのか続編となって登場したのが本作。

 まんまとサディアスを刑務所送りとし、自らはベガスでのショーを最後に姿を消していたフォー・ホースメンのメンバー達。ディランは、まだFBIとして表向きホースメンを探し続けるふりをしている。そんなある日、アトラスのアパートに見知らぬ女が現れる。女はディランによって新しいフォー・ホースメンのメンバーにふさわしいと紹介される。そして、フォー・ホースメンとして新しいショーをやろうと、彼らにターゲットとその人物による不正を暴く計画を説明する。

 ターゲットであるハイテク企業オクタ社の発表会場に侵入したメンバー達は、オクタの社長オーウェンのサインを手に入れ、彼に催眠術をかけ、防犯カメラ室のスタッフを追い払って準備をする。オーウェンに催眠術をかけたマッキニーは自分の言葉を彼に代弁させ、彼の代わりにアトラス、ルーラ、マッキニーがステージに上がった。うまく進んでいたショーだったが、何者かにハイジャックされてしまいジャックが生きていること、ディランが5人目のホースメンでリーダーだということをバラされてしまう。

 映画はそのものがマジックとも言え、映画で鮮やかなマジックと言われてもよほどのことがない限りインパクトがない。その点、前作では万能のはずの映画の世界ですら、「?」と思わせてくれるトリックがあって驚かされたが、続編となるとなかなか厳しくなる。オクタ社のショーを乗っ取ったが、何者かによって妨害され、FBIに包囲されるフォー・ホースメン。避難用のダクトに飛び込むが、そこから出てみるとそこはマカオの中華料理店。あり得ない(映画では不思議ではない)ことだが、タネも何となくわかってしまい、個人的には無理があるなぁと感じる。

 前作でフォー・ホースメンを追い詰めたサディアスも刑務所から連絡してきてディランに取引を持ち掛ける。4人の居場所と引き換えにディランはサディアスの要求を受けて刑務所から連れ出す。一方、マカオに捕らえられた4人は、4人を捕らえたウォルターに世界中の全てのコンピューターをハッキングできるというチップを盗み出すことを要求される。警備厳重な施設からチップを盗み出す手口はなかなか鮮やかである。

 フォー・ホースメンと黒幕とのラストの対決。それはトリックとしては面白いが、個人的にはこじつけ感があって、「イリュージョン」という気がしない。タネはあるのはわかっていてもそれが何なのかがわからないというのがマジックの醍醐味。映画ははっきり言って「何でも出来てしまう世界」であり、どんな大掛かりなものであろうと、映画の中では何の感動もない。そこがこの手の映画の難しいところ。前作ではうまく抜け出せたが、今回は抜け出せなかったというところ。残念ながら今一歩であった。

 前作から続いていたサディアスとディランの因縁も、その実の姿がわかってみると、何となく興ざめなところが否めない。それにしても主演のジェシー・アイゼンバーグだが、なんとなく嵐の二宮和也に似ているなぁと何度も思ってしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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