2019年03月31日

【いま、会いにいきます】My Cinema File 2065

いま、会いにいきます.png

2004年 日本
監督: 土井裕泰
原作: 市川拓司
出演: 
竹内結子:秋穂澪
中村獅童:秋穂巧
武井証:秋穂佑司
浅利陽介:高校時代の巧
平岡祐太:現代の佑司
大塚千弘:高校時代の澪
市川実日子:永瀬みどり
中村嘉葎雄:萩原
小日向文世:野口
YOU:浜中晶子

<シネマトゥデイ>
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死んだはずの妻と再会し、奇妙な共同生活を送るという同名小説の映画化。監督は「ビューティフルライフ」や「GOOD LUCK!!」など数々のヒットドラマをてがけた土井裕泰。主演にはドラマや映画で引っ張りだこの竹内結子が初の母親役に挑み、その夫を歌舞伎界の革命児こと中村獅童が扮する。シンプルでまっすぐな家族愛に目頭が熱くなること必見の感動作。
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 かつて原作小説を読んで非常に心打たれた作品。映画も既に観ているが、もう一度観てみたいと思い何年かぶりで鑑賞。二度目はかなり原作小説の影響も排除されて、最初に観た時とは微妙に印象が異なる。こういう映画の楽しみ方もいいと思う。

 秋穂巧は妻の澪を亡くし、息子の佑司と2人で暮らしている。冒頭、佑司の18回目の誕生日にケーキ屋の主人が誕生日用のケーキを届けに来る。このシーンはあとで理由がわかる。そして物語は12年前に戻る。
 父親の巧は司法書士事務所で働いているが、持病があって仕事や生活の諸々に支障が生じている。母親の澪を亡くし、巧は不慣れな子育てに悪戦苦闘。佑司も子供ながらそんな父親を気遣っている。

 そして梅雨の季節が訪れる。ある日、巧と佑司は佑司のお気に入りの場所である森の廃工場にやってくる。無邪気に探し物をする佑司とそれを見つめる巧。すると、そんな2人の前に突然、死んだはずの澪が姿を現す。生前、「雨の季節に戻ってくる」と謎の言葉を残し、絵本まで残していた澪が予言通りに現れ、巧と佑司は戸惑うものの再会を喜ぶ。しかし、当の澪には記憶がない。

 取りあえず澪を家に連れ帰った巧は、澪に自分たちのことを伝える。記憶を失っている澪だが、他に行く場所もなく、秋穂家での暮らしを始める。散らかった部屋の掃除をし、料理を作る。止まっていた時間が再び動き始める秋穂家。そんな生活を喜びつつ、巧は澪に自分達の出会いについて話し始める。それによって観ている者も2人の出会いからの経緯を知ることになる。
 
 ともに恋愛については奥手な2人。何もないまま高校を卒業し、巧は地元の大学、澪は東京の大学と離れ離れになってしまう。それでも澪を忘れられない巧は、卒業の時に貸したペンを口実に澪と会う。じれったくて、イライラしてしまうようなもどかしい2人。それでも勇気を振り絞った巧が澪をコーヒーに誘い、何とか気持ちを通じ合わせる。そして手紙を送り合うようになる。まだ、スマホもガラケーですらない時代である。

 そんな微笑ましい2人であるが、巧が発病し、それを気にした巧は澪に一方的に別れを告げる。物語はそんな2人の出会いからの日々と、突然雨の季節に現れてからの日々とを交差して進んでいく。死んだはずの妻が戻ってきたものの、それは「雨の季節」が終わるまでとされている。そして記憶を亡くした澪は、自分自身のかつての日記を見つける・・・

 別れを告げた巧がどうしてまた澪と付き合い、そして結婚に至ったのか。そこには物語の鍵が隠されている。何事にも不器用な巧とそれをどこまでも優しく包む澪。そして物語は意外な展開を見せていく。原作小説を読んだ時は、ラストに明かされるタイトルの由来に大いに心打たれたのであるが、それが映画でもよく再現されている。小説とは若干異なっているが、それは小説と映画という表現方法が異なる以上、ある程度仕方のない違い。
 
 初めてこの映画を観た時は、たぶん小説のイメージが強すぎて少々物足りない気がしたのを覚えている。しかし、時を経てもう一度観てみると、また違ったイメージがある。素直にストーリーに感動できるのである。改めて観てみると、良い映画だなぁと思う。そこには個人的に大ファンである竹内結子の影響もなくはない。何もなくとも、こういう夫婦になりたかったなぁと己の現状と比べてしまう。

 現実的にはありえないストーリーではあるが、こんな出来事があっても良いなとも思う。観終わってかつて原作を読んだ時と同じように心振るわされるのは、外見とか打算とかではなく本質的なところでの愛情を描いているからだと思う。こんな風に夫婦になれたらと思わずにはいられない。原作小説もいいが、映画も映画なりの良さがある。あらためてそう思わされる映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2019年03月30日

【ドン・ジョン】My Cinema File 2064

ドン・ジョン.jpg

原題: Don Jon
2013年 アメリカ
監督: ジョセフ・ゴードン=レビット
出演: 
ジョセフ・ゴードン=レビット:ジョン・“ドン・ジョン”・マテーロ・Jr.
スカーレット・ヨハンソン:バーバラ・シュガーマン
ジュリアン・ムーア:エスター
トニー・ダンザ:ジョン・マテーロ・Sr.
ロブ・ブラウン:ボビー
グレン・ヘドリー:アンジェラ・マテーロ
ブリー・ラーソン:モニカ・マテーロ
ジェレミー・ルーク:ダニー

<映画.com>
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「(500)日のサマー」『ダークナイト ライジング』の人気俳優ジョセフ・ゴードン=レビットが初監督を務めたラブコメディ。家族関係も良好、教会にもきちんと通う真面目な青年ジョンは、女性に関して負け知らず。周囲からは伝説のプレイボーイ、ドン・ファンにちなんでドン・ジョンと呼ばれていた。それでも満足できないジョンは、毎日ネットでアダルトビデオを鑑賞して自慰行為にふけり、理想の性生活を追い求めている。そんなある日、全くタイプの異なる2人の女性と出会ったジョンは、セックス以上の人生と愛を知ることになる。共演にスカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア。
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 『ドン・ジョン』というタイトルは何となく自然に「ドン・ファン」を連想させる。それもそのはず、これは現代版ドン・ファンとも言うべき男の話だからである。主人公のジョンは、イケメンのプレイボーイ。夜な夜な友人たちとクラブに繰り出しては、美女たちを「お持ち帰り」している。男であれば何とも羨ましい限りであるが、なぜか相手に困らないはずのジョンはポルノ鑑賞が趣味。それどころか現実の女性よりもポルノのほうをむしろ好んでいるほどである。せっかく美女とベッドインしたにもかかわらず、なんとそのあとこっそりポルノを観て自慰行為で締めくくる。そんなに余っているのなら、普通に考えればもう一回すればいいのにと思うところである。それはともかく、大した絶倫男である。

 そんなある日、いつものようにクラブに行ったジョンは、極上の美女バーバラと出会う。いつものようにアタックするが、バーバラのガードは固く、ジョンを軽くいなすと帰ってしまう。やむなく、他の女性をナンパして一夜を共にするのだが、何とも羨ましい限りである。ただし、ジョンもジムに通って体を鍛えるという努力はしている。外面は非常によく、毎週両親と妹とともに教会に通い、懺悔もしている(それが先週20何回自慰をしたというものだったりするのだから何とも言えない)。

 こういう男だからだろう、簡単には落ちない女には固執する。クラブの店員からバーバラの名前を聞き出すと、フェイスブックから彼女を見つけ出す。早速連絡をして食事に誘い出す。バーバラもまんざらではなく、2人で映画を見に行く。ジョンはとにかくベッドインしようとするが、バーバラの牙城は固い。友人や家族を紹介し合ってからと部屋にも入れない。本来はこうあるべきなのだと思う。簡単にベッドインを許すのは、女性の方にも問題がある(遊ぶつもりなら問題ないだろうけど)。

 ジョンもそんなバーバラにほれ込んだのか、バーバラと友人、家族を交えた付き合いをしていく。さらにバーバラの要望で夜学に通うことになる。そんな涙ぐましい努力が実を結び、とうとうバーバラとベッドインする。しかし、行為の後、いつものようにポルノ鑑賞をしているところをバーバラに見つかってしまう。咄嗟に誤魔化すが、バーバラはポルノを毛嫌いしており、ジョンはポルノを観る機会が持てなくなってしまう。そんな時、夜学の講義中にスマホでポルノを観ていると、その現場を同じ講義を聴いている年上女性のエスターに見られてしまう・・・

 美人だと思って付き合い始めたが、あとからだんだんいろいろなことがわかってくるというのはよくある事。「慌てて結婚、ゆっくり後悔」なんて言葉も昔聞いたことがある。バーバラもだんだんと本性を現していく。ポルノを否定するのはまだしも、ジョンが掃除をすることについても「男がすることではない」と否定したり、ジョンのパソコンの履歴を勝手に見てポルノ動画を観ていることを暴いてしまう。

 映画はそんなバーバラとエスターとを対比していく。ジョンならずとも自然と2人の女性を比較してしまう。女をセックスの対象としか見ていないような「ドン・ジョン」。されどエスターとの出会いによって、そしてエスターとの付き合いが深まるにつれてその考えが変わっていく。女は外見か中身か。いつの間にやらそんな昔からの選択が目の前に提示される。

 ずっとスマホをいじっていた妹が、最後にジョンがバーバラと分かれたことを非難する両親を差し置き、「バーバラは自分の好きなようにできる男が欲しかっただけだから別れて正解だ」と言い切るのはちょっと痛快である。「ドン・ジョン」が羨ましい反面、自分はやっぱり自分が本当に好きな相手だけ振り向かせることができるなら、それだけでいいやと改めて思う。

 なかなか示唆に富む映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2019年03月29日

【ネクストロボ】My Cinema File 2063

ネクストロボ.jpg

原題: 未来机器城 Next Gen
2018年 中国・カナダ
監督: ケビン・アダムス/ジョー・ケイサンダー
出演: 
シャーリン・イー:メイ
ジョン・クラシンスキー:7723
ジェイソン・サダイキス:ピン
デビッド・クロス:ライス博士
コンスタンス・ウー:モリー
マイケル・ペーニャ:モモ

<映画.com>
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孤独な少女と勇敢でピュアな戦闘用ロボットが繰り広げる大冒険を描いたNetflixオリジナルのアニメ映画。ロボットだらけの未来。メイは生活のすべてをロボットに任せきりの母や友人たちと上手くいかず、孤独な毎日を過ごしていた。そんなある日、戦闘用ロボット7723と出会ったメイは、一緒に過ごすうちに友情のような絆で結ばれていく。メイのことを大好きになった7723は、限度のある記憶容量に彼女との思い出を残すため、ある決断をする。やがて、7723を開発したロボット会社が人類滅亡をもくろんでいることが判明し……。日本語版では、お笑いタレントの劇団ひとりがメイの愛犬モモの声を担当。
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冒頭のシーンで中国映画だとわかる。中国映画も躍進過程にあるのだろう。
物語は未来社会。そこではロボットがあらゆる生活シーンに浸透している。主人公メイは、両親の離婚により母親と二人暮らしの生活を送っているが、生活のすべてをロボットに任せっきりの母親や周りとうまくなじめずにいる。愛犬のモモだけが友達だった彼女は、そんな母親に対する反発もあってロボットを嫌うようになっている。

ある日、メイはロボット好きの母親連れられ新型ロボットの発表イベントに来る。イベント会場を1人ぶらつくうちメイは、警備ロボットから逃げた拍子にある部屋へと入り込んでしまう。そこにあったのは7723というロボット。メイはふとしたはずみで7723を起動させてしまう。起動した7723は、帰宅するメイを追うが、たちまち不審ロボットと認定され追われるが、これを次々に撃退する。なんとこの7723はそのかわいらしい外見とは裏腹に戦闘用ロボットなのである。

物語は平たく言うと、よくある少年(ここでは少女)とロボットの友情物語。『ベイマックス』の少女版といったところかもしれない。面白いのは舞台となる未来社会。そこでは人はスマホ感覚で一人一台のロボットを所有している。学校の先生がロボットなのはさもありなんと思うが、変わったところでは家の郵便受けや玄関ドア、歯ブラシ、カップ麺もすべてロボットである。コストが合わないのではないかとついついツッコミをいれたくなる。

メイを訪ねあてた7723。ロボット嫌いのメイだが、いつしか7723に心を許していく。しかしこの7723には欠点があり、記憶容量が少ないということ。容量をオーバーすると余分な記憶を消去しないといけない。初めは当り障りのない記憶を消去していくが、メイとの楽しい思い出が増えていくにつれ次第に消去できる記憶がなくなってくる。そして記憶容量の限界にきた7723はついに根幹データである武器の使用領域を削除してしまう・・・

物語の背後では、実はある陰謀が動いている。7723はその動きに対して大事な役割を負っていたのだが、メイと出会って本来の役割から外れていく。そしてその陰謀が表に出ることとなり、メイと7723が窮地に陥っていく。よくあるロボットと主人公の友情ものに、陰謀が加わって冒険モノの要素を加味したストーリーとなっていくが、こうした友情モノは程よく心に響いてくる。

アニメではあるが、子供から大人まで十分楽しめる。中国映画もここまできたかと個人的には感じるところがある。物語そのものも十分面白いが、個人的にはロボットが行き渡った未来社会の様子も興味深いところであった。カップ麺や歯ブラシはともかく、迷子の子供を見つけると声をかける警備ロボットとか教師とか、自動運転車は当たり前だし、おそらくこれは確実に来るべき未来であるように思えた。

そういう未来社会の描写とあわせて、メイと7723との友情物語にもちょっと心打たれ、大人でも十分楽しめる映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2019年03月23日

【ラビング 愛という名前のふたり】My Cinema File 2062

ラビング 愛という名前のふたり.jpg

原題: Loving
2016年 イギリス・アメリカ
監督: ジェフ・ニコルズ
出演: 
ジョエル・エドガートン: リチャード
ルース・ネッガ: ミルドレッド
マートン・ソーカス: ブルックス保安官
ニック・クロール: バーナード・コーエン
テリー・アブニー: ガーネット
アラーノ・ミラー: レイモンド
ジョン・バース: フィリップ・ハーシュコプ
マイケル・シャノン: グレイ・ビレット

<シネマトゥデイ>
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異人種間における結婚を禁止した法律が変わるきっかけとなった夫妻の実話を基にした純愛ストーリー。アメリカで当時違法の州もあった異人種間結婚によって逮捕された二人が、故郷で家族と暮らすため理不尽な法律に立ち向かう。夫妻に、『ブラック・スキャンダル』などのジョエル・エドガートンと『プルートで朝食を』などのルース・ネッガがふんする。二人の実話に心を打たれたというオスカー俳優コリン・ファースが製作に参加し、『MUD マッド』などのジェフ・ニコルズがメガホンを取る。
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 物語はまだ黒人差別が色濃く残っていた時代の実在の夫婦の話。時は1958年、バージニア州キャロライン郡。黒人のミルドレッドが白人の恋人リチャードに妊娠を告げる。リチャードは素直にこれを喜ぶ。リチャードは、レンガ職人であり、地元の馴染み深い土地を購入し、ここに家を建てると言ってミルドレッドにプロポーズする。とても微笑ましい光景である。

 2人はワシントンD.C.に赴き、ミルドレッドの父に立ち合い人になってもらい、結婚式をあげる。晴れて夫婦となった2人はミルドレッドの家で生活を始める。しかし、ある晩、真夜中に地元の警官が突然家に押し入ってきて2人を逮捕する。この時点で、実はバージニア州では白人と黒人との異人種間結婚は法律で禁じられているのだと判明する。それで2人はわざわざワシントンD.C.まで行ったのかと合点する。

 アメリカは各州の自治が強く、ワシントンD.C.で発行された結婚証明書は効力を持たない。今にして思えば人権も何もあったものではないが、アメリカの黒人差別も酷いものである。さらにリチャードはすぐに釈放されるが、ミルドレッドはさらに数日拘留される。映画では詳しく説明されていなかったが、黒人だからかもしれない。ミルドレッドもやっと開放されるが、夫婦で暮らすことはできず、リチャードは真夜中に人目を忍んでミルドレッドに会いに来なければならない始末。

 弁護士がなんとか司法取引をして2人は実刑を免れる。ただし、25年間、二人一緒にバージニア州に戻ってはいけないという条件付き。2人はやむなくワシントンD.C.で暮らすミルドレッドの親戚の家へ身を寄せることになる。そしてミルドレッドは臨月を迎えるが、ミルドレッドは助産婦をしているリチャードの母親の下での出産を望み、2人は密かにバージニア州に戻り、無事出産する。しかし、喜びもつかの間、どこから聞きつけてきたのか保安官が現れ、2人は再び逮捕されてしまう。
 
 酷いものだと思うが、それでもさらに100年ほど前の『それでも夜は明ける』の時代であれば、ミルドレッドは殺されていたかもしれず、執行猶予中の違反に対し、咄嗟に2人の弁護士が自分のミスとして情状酌量を願い出て認められるのであるからまだ進歩しているのかもしれない。かくして再び、ワシントンD.C.での生活が始まり、2人には家族が増えていく。

 しかし、本当は故郷で子育てをしたいミルドレッド。世の中は公民権運動が盛んになり、ある時ミルドレッドは親戚から「ケネディ司法長官に手紙を出してみれば」と勧められる。これを実行したことから事態は動いていく。ケネディ司法長官の働きにより、アメリカ自由人権協会(ACLU)が動き出す。バージニア州の法律を変えるいい機会と映ったのか、2人に対する支援の輪が広がっていく・・・

 こうしてついにバージニア州法の是非は連邦最高裁へと持ち込まれ、歴史の流れでついに異人種間結婚を禁止した州法は違憲とされる。今では当たり前と言えば当たり前ではあるが、こうした長い歴史があったことがよくわかる。映画は本当に歴史を学ぶ良い教科書になると思う。結婚から約10年して、ようやくリチャードはミルドレッドに約束した土地にレンガを積み始める。その姿はしみじみと心に染み入るものがある。

 最後に実際の2人の写真が流れるが、幸せ感が伝わってくるエンディングに晴れやかな気になる一作である・・・


評価:★★☆☆☆






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2019年03月22日

【リスボンに誘われて】My Cinema File 2061

リスボンに誘われて.jpg

原題: NIGHT TRAIN TO LISBON
2013年 ドイツ・スイス・ポルトガル
監督: ビレ・アウグスト
出演: 
ジェレミー・アイアンズ:ライムント・グレゴリウス
メラニー・ロラン:エステファニア
ジャック・ヒューストン:アマデウ・デ・プラド
マルティナ・ゲデック:マリアナ
トム・コートネイ:ジョアン
アウグスト・ディール:ジョルジェ
ブルーノ・ガンツ:年老いたジョルジェ
レナ・オリン:年老いたエステファニア
クリストファー・リー:バルトロメウ神父
シャーロット・ランプリング:年老いたアドリアーナ

<シネマトゥデイ>
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パスカル・メルシエのベストセラー小説「リスボンへの夜行列車」を、名匠ビレ・アウグスト監督が映画化。偶然手に入れた本のとりこになった高校教師が著者に会うためリスボンへ旅立ち、著者の家族や友人を訪ね回り彼の人生に触れるにつれ、自らの人生を見つめ直していく。主演はオスカー俳優ジェレミー・アイアンズ。共演には『アメリカン・ハッスル』などのジャック・ヒューストン、『黄色い星の子供たち』などのメラニー・ロランらヨーロッパのスター俳優がそろう。
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 ある雨の日、スイスの高校教師であるライムント・グレゴリウスは、通勤途中の橋から飛び降りようとしている若い女性を助ける。そのまま勤務先の高校に連れて行くが、女はコートを残したまま姿を消してしまう。コートのポケットの中には一冊の本が残されていて、ライムントはそれをもとに女を探そうとする。本にはリスボン行きの列車のチケットが挟まれていて、手掛かりを求めて駅に駆けつけたライムントは、咄嗟にその列車に飛び乗ってしまう。

 ライムントは、離婚して現在は孤独で退屈な日々を送っており、そうした状況が突然の行動の裏にあったのかもしれない。列車の中で1人その本を読むライムント。次第に本の内容に心を奪われ、リスボンに着いたついでに著者であるアマデウを訪ねることにする。そうしてアマデウの家を訪ねていくも、実はアマデウはとうの昔に若くして亡くなっていたことがわかる。

 ライムントは、アマデウの生家に住んでいた妹のマリアナに、伯父ジョアンの存在を聞くと彼を訪ねていく。モノはついで、まるでわらしべ長者のようだが、これをきっかけにライムントはアマデウを知る人々を訪ね歩いていく。そして明らかになるのは、ポルトガルで1974年まで続いた独裁政権「エスタド・ノヴォ」時代に、反体制活動に関わったアマデウの愛と青春の日々。

 こうして物語は、青年アマデウの若き日々へと戻っていく。学友である労働者階級出身のジョルジェと親友となり、アマデウは医師に、ジョルジェは薬剤師となる。その後、まずジョルジェが反体制活動に加わる。ジョルジェには、記憶力の優れた恋人エステファニアがいたが、ジョルジェに誘われて活動に加わったアマデウと一目で恋に落ちてしまう。一方、アマデウは市民に暴行された秘密警察のルイ・ルイス・メンデスを医師として助けるが、これを機に逆にメンデスからは目こぼしを受けるようになる。

 親友のジョルジェを気にしつつ、エステフアニアに惹かれていくアマデウ。反体制活動も大事だが、やはり若者の心は抑えがたい恋へと向かう。そんなアマデウとエステファニアの関係に薄々気付き嫉妬心を抑えきれないジョルジェは、ある夜とうとう2人がキスするところを目撃してしまう・・・見知らぬポルトガルの歴史も興味深いが、ふとしたことからそこに生きていた若者たちの姿を知ってしまったライムントの気持ちも共感できるものもある。

 最後に橋で自殺しようとしていた女の正体と本を持っていた理由も明らかになる。なかなかよくできたストーリーだなと改めて思う。ハリウッドの映画だけが映画ではない。時にはこういう渋い味わいのあるヨーロッパ映画も良いものだと思わされる一作である・・・


評価:★★☆☆☆





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