2019年04月30日

【プライド 運命の瞬間】My Cinema File 2076

プライド 運命の瞬間.jpg
 
1998年 日本
監督: 伊藤俊也
出演: 
津川雅彦:東條英機
スコット・ウィルソン:ジェセフ・B・キーナン主席検事
いしだあゆみ:東條かつ子
奥田瑛二:清瀬一郎
ロニー・コックス:ウイリアム・F・ウェップ裁判長
スレッシュ・オビロイ:ラダビノット・パール判事
大鶴義丹:立花泰男
戸田菜穂:新谷明子
寺田農:重光葵

<映画.com>
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A級戦犯として逮捕され、東京裁判で死刑判決を受けた東條英機の名誉と真実をかけた”闘い”を、その人物像を中心に描いた人間ドラマ。監督は「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」で総監督を務めた伊藤俊也。脚本は、「東雲楼・女の乱」の松田寛夫と伊藤の共同。撮影を「ご存知!ふんどし頭巾」の加藤雄大が担当している。主演は「Looking For」の津川雅彦。
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 東条英機と言えば、我が国の歴史では「日本を戦争に駆り立てて、挙句の果てに敗戦で我が国に膨大な損害をもたらした極悪人」というレッテルが貼られ、東京裁判で処刑されたあと、靖国神社に合祀されたことにより「靖国問題」が発生し、今なお周辺国との軋轢の原因となっているとされる人物である。この映画はそんな人物を主に東京裁判を中心として描いた映画である。

 東条英機は、1941年に対米戦戦時の内閣総理大臣兼陸軍大将。そうした立場もあって、敗戦後の9月11日、GHQに逮捕される。逮捕時に短銃自殺を図るが、発見が早く命は取りとめる。そして連合国による極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)にかけられることになる。逮捕後、収容されたのは有名な巣鴨プリズン。東條はすでに極刑を覚悟し、裁判を闘うことを無意味と思ったが、弁護士・清瀬に説得され、裁判を通じた戦いを決意する。

 清瀬は、東京裁判の目的は、戦争の原因の全てを敗戦国に負わせ、ナチス・ドイツと同じように日本を裁こうとするのだと語る。説得を受けた東條は、日本が最悪の国家・民族にされないよう、日本の名誉と真実をかけた”闘い”に臨むことを決意する。東京裁判の開廷は1946年5月3日。裁判の判事団は、ウェップ卿を中心とした戦勝国11ヶ国で構成されている。そしてインド人のパール判事は遅れて出席し、自分が来る前に開廷したことを非難する。

 実際の裁判の様子は、映画『東京裁判』でも観たが、まずは起訴状の朗読、そして罪状認否となる。これに対し、A級戦犯として告発された東條を含む28人は、起訴状の全てに無罪を主張する。さらに弁護団は、原爆の罪や戦勝国による無差別空襲を棚に上げ、敗戦国のみを非合法とする原告側の論調を崩そうとする。ハーグ条約では軍事施設への空爆のみが合法とされていたという事実が説明され、この裁判のデタラメぶりが改めて強調される。

 今考えてみても、勝者が敗者を裁くというのは、始めからもう結論が見えている。しかし、東條はこれに対し堂々と論陣を張る。映画はキーナン主席検事を何となく悪人的に描き、証人となった元満州国皇帝であった溥儀などの証言はじどろもどろになり、事実と比較してはいないが、何となく東條擁護の色調が高い。さらに南京虐殺も中国人側の非を主張するなど、「観る人」が観たら目を三角に吊り上げるに違いないと感じるものになっている。あるいはそういう意図なのかもしれない。

 『東京裁判』は長くて何度も寝そうになったが、さすがにこちらはドラマであり、興味を引くように創られている。その分、エンターテイメントとしても観ていて面白い。東条英機を演じるのは津川雅彦。実際の人物像はわからないが、何となくいい雰囲気が出ている。実際の人物像もこんな人だったのだろうと思わされる。

 実際に東條自身がどんな心境だったのだろうと想像してみる。この映画で描かれているように、東條達が天皇に戦犯容疑が及ばないようにしようという考えがあったのは事実だと思う。そしてそれが弁護・反論の足かせになったのかもしれない。ただし、どんなに自虐史観に凝り固まった人が否定しようと、東京裁判自体が「結果の決まった茶番」であったのは間違いなく、この時すでにアメリカの横暴振りが現れていたと言える。

 人種的偏見もかなりあったようで、インド人のパール判事に対するキーナン判事の対応は事実か悪意か露骨に描かれている。自分も日本人として自虐史観に囚われることなく、かつ妙な愛国的態度に陥ることなく、冷静に真の歴史を知りたいと思う。東條以下7名のA級戦犯の絞首刑は当時の皇太子の誕生日である12月23日に執行される。この点、悪意的であることはこの上なく明らかである。

 実際の『東京裁判』とあわせて観ると面白いと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2019年04月29日

【レインディア・ゲーム[ディレクターズ・カット版]】My Cinema File 2075

レインディア・ゲーム.jpg

原題: Reindeer Games
2000年 アメリカ
監督: ジョン・フランケンハイマー
出演: 
ベン・アフレック: ルディ・ダンカン
ゲイリー・シニーズ: ガブリエル
シャーリーズ・セロン: アシュレー
デニス・ファリナ: バンクス
ダニー・トレホ: ジャンピー
ジェームズ・フレイン: ニック

<allcinema ONLINE>
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ベン・アフレック、シャリーズ・セロン共演のクライム・サスペンス。運命の女に出会ったばかりに危険なゲームに巻き込まれる男の顛末をスリリングに描く。二転三転するストーリー、予想のつかないどんでん返し等が見もの。他の共演にゲイリー・シニーズ。刑務所を出たルーディは、房内で友人だったニックの文通相手アシュリーに出会う。ニックが所内の暴動で死亡したため、彼になりすますルーディ。だがアシュリーとの幸せな日々もつかの間、ニックの兄ガブリエルが現れ、彼はニックがかつて働いていたカジノの強盗計画に誘い込まれる。
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 物語は刑務所内で始まる。ルーディとニックは同じ房内でもあり、ともに間近に迫った出所の日を指折り数えている。特にニックは刑務所からアシュリーという女性と文通しており、何よりも出所してアシュリーと会うのを楽しみにしている。ルーディにもアシュリーからの手紙を読み聞かせる毎日。そんなある日、ルーディに恨みを持つ囚人とトラブルになり、なんとルーディを庇ったニックが刺されて死んでしまう。

 そして出所の日を迎えたルーディ。刑務所の門の前ではニックの死を知らないであろうアシュリーがニックを待っている。一度はそのまま立ち去ろうとしたルーディであるが、ニックに見せられていたアシュリーの写真に惹かれ、気がつけばアシュリーに近寄りニックだと名乗る。何となく文通だけで、しかも相手は刑務所に入っている人間なのにという思いが脳裏を過るが、まぁそういう仕組みもあるのであろう。すぐに2人はかねてからの恋人のようにホテルで濃密な一時を過ごす。

 しかし、そうは世の中うまくいかない。突然2人を襲う男たち。ルーディには訳がわからない。やがてそれがアシュリーの兄ガブリエルだとわかるが、悪人であるガブリエルは、アシュリーから文通相手のニックの情報をいつの間にか手に入れており、ニックがかつて勤めていたカジノを襲撃する手助けをしろと強要してくる。慌てたのはルーディ。一度はニックとは別人だと主張するが、それでは殺されるだけと分かり、結局そのままニックになりすまして手助けをすることになる。

 一味が求めるのはカジノの警備情報。それを教えるという目的で協力させられるが、知らないとわかれば殺されるかもしれない。知りもしない情報を知っているかの如く振舞いつつ、一味の目を盗んであの手この手で逃亡を図るルーディ。このあたりのやり取りはなかなかスリリングである。自分だったらどうするだろうなどと想像しながら観るのも楽しい。やがてルーディは、アシュリーとガブリエルについて衝撃的な事実を知る・・・

 製作は2000年とだいぶ前の映画。とは言え、ベン・アフレックにシャーリーズ・セロン主演という大物が出演しているため、観てみた次第。内容的にはインパクトが弱そうな感じがしていたが、途中から二転三転する展開は意外性を秘めていてなかなか引き込まれてしまった。ラストの顛末も予想外のもので、このあたりのストーリー展開はなかなかのもの。すべて決着がついたあとの主人公のルーディの心境が何となくよく伝わってきた映画である。

 約20年前の作品であるが、古さを感じさせない映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2019年04月28日

【アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場】My Cinema File 2074

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場.jpg

原題: Eye in the Sky
2015年 イギリス
監督: ギャビン・フッド
出演: 
ヘレン・ミレン:キャサリン・パウエル大佐
アーロン・ポール:スティーヴ・ワッツ
アラン・リックマン:フランク・ベンソン中将
バーカッド・アブディ:ジャマ・ファラ
ジェレミー・ノーサム:ブライアン・ウッデール
イアン・グレン:ジェームズ・ウィレット英外相
モニカ・ドラン:アンジェラ・ノース
フィービー・フォックス:キャリー・ガーション

<シネマトゥデイ>
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ドローンを使い、戦場から遠く離れた場所で進められる現代の戦争の闇を描く軍事サスペンス。罪なき少女を犠牲にしてまでテロリストを殺害すべきかという究極の決断を通し、真の正義やモラルを問い掛ける。キャストにはオスカー女優ヘレン・ミレン、『ニード・フォー・スピード』などのアーロン・ポール、『ハリー・ポッター』シリーズなどのアラン・リックマンらが集結。監督は『ツォツィ』などのギャヴィン・フッド、プロデューサーをオスカー俳優コリン・ファースが務める。
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 イギリス・ロンドンで、キャサリンは朝起きて横に夫が寝ているベッドから抜け出す。その様子はごく普通の主婦。しかしイギリス軍の基地に出勤すると、軍服に着替えて作戦室に入る。その姿はキャサリン・パウエル大佐。このギャップがなかなかである。女性の社会進出先進国の姿を感じる。

 一方、国防副参謀長のフランク・ベンソン中将は、娘へのプレゼントの人形を買い求めた後、内閣府ブリーフィングルーム(通称コブラ)へと入室する。部屋には政務次官・閣外大臣が控えており、アメリカ軍のドローンMQ-9 リーパー偵察攻撃機を使った英米・ケニアによる合同テロリスト捕獲作戦が始まる。

 作戦は、基地で指揮するパウエル大佐とコブラの面々、そして米軍のドローン運用基地、そして現地に控えるケニア軍とを結んで行われる。ターゲットは、ナイロビの隠れ家に潜んでいるアル・シャバブのテロリスト。今回は重要指名手配リスト上位の大物が相手である。上空2万2千フィートを飛ぶMQ-9 リーパーはもう有名だが、今回は何と鳥や昆虫型小型のドローンも登場する。こうなると007の世界である。

 作戦は、最新テクノロジーによる監視の下、現地の実行部隊ケニア軍による逮捕を目指すが、事態は思うようにはいかない。突然、テロリストたちが目標の家を出てしまう。そして移動する様子をモニターし、ある民家までフォローする。そこはテロリストたちの本拠地で、ケニア軍が近づくだけで交戦となってしまい、ターゲットの捕獲は極めて困難な状況となる。

 地上から昆虫型ドローンでアジトを探索すると、そこではまさに自爆用の爆薬を装備したベストを着用して犯行予告映像を撮影している真っ最中。今まさにテロを決行しようとしていることが発覚する。事態は急を要し、パウエル大佐はミサイル攻撃の許可を要請する。民間人を巻き込む可能性があり、コブラでは政務次官、大臣が慎重意見を表明する。そしてようやく攻撃許可が下りるが、何とアジトの隣に住む少女アリアがパンを売る準備を始める。

 その事態に慌てたのが、アメリカ合衆国ネバダ州の米軍基地でドローン・オペレーターをしていたスティーブ・ワッツ。当初は偵察任務と言われ、気軽に勤務していたのに突然のミサイル攻撃命令。しかも目標のそばの路上にはあどけない少女がいる。上司は命令を遵守せよと迫るが、初めての「殺人行為」に躊躇するワッツは、手順に従った確認を求める。一方でコブラでも攻撃命令を巡って再度紛糾する・・・

 この映画の面白いところは、戦争映画ながら実際の戦闘行為(ドローンによる攻撃)は問題にはなっておらず、「攻撃の是非」が中心になるところ。目の前のテロリストを放置すれば、自爆テロで推定80人の犠牲者が予想される。テロリストを攻撃すれば無垢の少女を犠牲にする可能性がある。まさに『これからの「正義」の話をしよう』のような議論なのである。

 刻々と迫る時間。一刻も早い決断を迫るパウエル大佐と中将。責任を回避したい大臣と攻撃そのものに反対する政務次官。命令を実行する立場のワッツは命令と良心との狭間で葛藤する。それぞれの立場での駆け引きが緊迫感を持って伝わってくる。パウエル大佐も闇雲に攻撃を主張するだけではなく、巻き添え被害による少女の死亡率を50%以下に下げた地点を選ぶなどの配慮をギリギリの状態で行う。いつの間にか物語に引き込まれていく・・・

 個人的に印象深かったのは、被害が80人と少女1人とでは比較にならないだろうと思っていたが、「少女を殺せば非難を浴びるのは我々だが、80人が死んでも非難されるのはテロリスト」という意見であった。お役人の発想は時として恐ろしいことがある。諸々含めて、現代の戦争をよく特徴付けている映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2019年04月27日

【はやぶさ/HAYABUSA】My Cinema File 2073

はやぶさ/HAYABUSA.jpg

2011年 日本
監督: 堤幸彦
出演: 
竹内結子:水沢恵
西田敏行:的場泰弘
高嶋政宏:坂上健一
佐野史郎:川渕幸一
山本耕史:田嶋学
鶴見辰吾:喜多修
筧利夫:矢吹豊
市川実和子:小田島加那子
甲本雅裕:平山孝行
マギー:福本哲也

<シネマトゥデイ>
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2003年に飛び立ち、小惑星のイトカワからサンプルの採取に成功した小惑星探査機「はやぶさ」の挑戦を描いた壮大なドラマ。7年に及ぶプロジェクトの中で、装置の故障や燃料漏れなどの危機を乗り越え、宇宙科学研究所(JAXA)のスタッフが偉業を成し遂げる姿を描く。若い研究生を演じるのは、『いま、会いにゆきます』の竹内結子。彼女をスカウトする上司を、『釣りバカ日誌』シリーズの西田敏行が演じる。監督は、『20世紀少年』シリーズの堤幸彦。幾多の困難を乗り越え、世界初の偉業を成し遂げた「はやぶさ」とJAXAの物語に、胸が熱くなる。
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 世界で初めて、日本の探査機が小惑星に着陸し、小惑星のサンプルを持ち帰ることに成功したというニュースに沸き立ったのはまだ記憶に新しい。その探査機「はやぶさ」の物語である。

 時に2002年の夏、水沢恵は的場泰弘の講演会を熱心に聞いている。閉会後、水沢は的場に声をかける。女性ながらオタクの雰囲気を醸し出しており、宇宙開発に胸を膨らませている様子が全身から伺える。そんな水沢の姿を頼もしく思ったのか、後日、的場は水沢を宇宙科学研究所へと誘う。喜び勇んで参加することにした水沢は、萩原理の下で対外協力室のスタッフとして働くことになる。

 さらにその姿勢を買われた水沢は、対外協力室のかたわら、坂上健一が率いる小惑星探査機「MUSES-C」に搭載するためのカメラチームでも働くことになる。研究所では、所を挙げて小惑星探査の計画を進めており、それは小惑星のサンプルを回収した上で地球に帰還することを目標とした、世界的にも例の無いプロジェクトであった。

 水沢は、広報として子供たちに説明をする席に着くが、その説明は専門用語を駆使しすぎてしまい、当然子供には理解できない。分かりやすい説明の必要を感じた水沢は、日本の探査機開発の歴史を調べ、坂上やプロジェクトマネージャー・川渕幸一の関わってきた姿を知る。そして子供たちのために、「はやぶさ」をキャラクター化して説明する絵本を作り始める。探査機はイオンエンジンの推進と地球スイングバイによって小惑星イトカワまで航行する予定であるが、こうした説明は映画を観る者の理解を助けてくれる。

 やがて既に発射していた火星探査機「のぞみ」が軌道投入計画を断念せざるを得なくなる事態となる。「のぞみ」には一般から募集した名前を火星に送るという夢を乗せていたが、そんなプロジェクトも頓挫してしまう。水沢も自ら宇宙への夢を持つきっかけとなった亡き兄の名前で応募していたが、大勢の夢とともにそれも潰えてしまう。

 この映画は、「はやぶさ」の成功をドラマチックに描くというよりも、一般には見えないところでどんな苦労があったのかを明らかにしてくれる。低予算に苦しみ、文科省とは平身低頭、打ち上げ予定地の漁業関係者と酒を酌み交わし、協力を得る(打ち上げ時には漁を中止してもらわないといけない)。探査機の開発自体も細かな材料の軽量化などに関係者一同が衝突しながらも一つの目的に向かう。そんな様子を物語形式で辿っていくのは、映画ならではであろう。

 それにしても、探査計画というのは、考えてみれば複雑で信じ難い。惑星の軌道を計算し、ロケットを打ち上げたあと、探査機を到達させるだけでもすごいことだと思う。時間ももちろんかかる。そうして辿り着いたイトカワへのタッチダウンは、わかっていても手に汗握る思いがする。何せ距離があるため、目の前に映し出されるイトカワの映像は30分前のものだというのも凄いことである。そしてニュースでも話題になったが、帰還の途についたはやぶさからの通信が途絶し、数週間もの間行方不明となってしまう。

 ようやく通信が回復したものの、「はやぶさ」は燃料漏れなどによる故障のため満身創痍の状態。アイディアを振り絞り、最後は神社で祈願もする。そうして大気圏再突入の夜、オーストラリアのウーメラの砂漠で水沢はその瞬間を待つのだが、観ている方も自然と感情移入してゆく。日本の宇宙開発は、核ミサイルの開発などとは比較にならないくらい高度な技術と夢が詰まっていることをこの映画は伝えてくれる。竹内結子目当てで観た映画だったが、いつの間にか「はやぶさ」の物語自体に惹かれていく。

 日本人として誇らしい気持ちにさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2019年04月26日

【コロニア】My Cinema File2072

コロニア.jpg

原題: Colonia
2015年 ドイツ・ルクセンブルク・フランス
監督: フロリアン・ガレンベルガー
出演: 
エマ・ワトソン:レナ
ダニエル・ブリュール:ダニエル
ミカエル・ニクビスト:パウル・シェーファー
リチェンダ・ケアリー:ギゼラ
ビッキー・クリープス:ウルセル
ジャンヌ・ウェルナー:ドロ

<シネマトゥデイ>
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『ハリー・ポッター』シリーズなどで知られるエマ・ワトソンが主演を務め、恋人を救い出すために危険な賭けに出るヒロインの活躍を描くサバイバルドラマ。南米チリを舞台に、慈善団体とは名ばかりの難攻不落の施設から脱出を試みる男女の姿に迫る。相手役は『ラッシュ/プライドと友情』などのダニエル・ブリュール。史実を基に語られる、歴史の暗部に焦点を絞った衝撃の物語に戦慄する。
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 時は1973年、ルフトハンザ航空の客室乗務員のレナはフライトでチリにやって来る。仲間たちと共に町中を移動していると、あたりはデモの人だかり。その中に恋人でありジャーナリストのダニエルが参加しているのを見かける。急遽仲間たちと分かれると、レナはダニエルに駆け寄る。そして帰りのフライトまでの束の間、2人で過ごすことにする。ダニエルは、反政府デモのポスターを描き、運動を支援している。

 そんなある朝、レナとダニエルが仲睦まじく朝食を用意していると、一本の電話が不測の事態を告げる。軍が反体制活動に対する取り締まりを開始したとのこと。2人は急いで部屋を逃げ出すが、途中で一斉検挙を行っていた軍に捕らえられてしまう。2人は他の人々と同様にスタジアムに連行され、そこで密告によりダニエルだけが逮捕されてしまう。レナは必死に情報を集め、どうやらダニエルが連れて行かれたのは、「コロニア・ディグニダ」と呼ばれる施設だとわかる。そこには入ることはできても出ることはできない施設だとレナは教えられる。

 ダニエルが収容された「コロニア・ディグニダ」は、表向きは農業コミュニティだが、実態は「教皇」と呼ばれる元ナチ党員パウル・シェーファーが暴力で支配しているコミュニティ。さらに、軍事独裁政権とは密接に結びついており、日常的に拷問も行われており、ダニエルも拷問を受けることになる。ダニエルを案じるレナは、ダニエルの救助を求めるが、仲間たちは諦める他はないとする。そのため、何とレナは単身「コロニア・ディグニダ」に潜入することを決意する。

 「コロニア・ディグニダ」を訪ねるとレナは簡単に迎え入れられる。しかし、そこは異常な世界。施設内はカルト宗教集団の雰囲気を漂わせており、シェーファーは絶対の独裁者。レナは女性棟に案内されると、女性を管理するギゼラの厳しい指導を受けることになる。そうした環境下にいると、誰もが通常の感覚を失うものなのであろうか。同僚の女性がレナに婚約したとこっそり教えてくれるが、相手は男性棟の入居者で、出会いは数年前にたった一度だけ「一緒に行進した」というだけなのである。

 すべてに監視の目が行き渡る中で、さらに厳しい農作業や生活ルールに追い詰められる中で、レナはある日大統領を迎えるために全員が勢ぞろいする入居者の中についにダニエルを見つける。後半はここからの脱出劇が展開される。ある種の収容所とも言える「コロニア・ディグニダ」であるが、これは実在の施設だとのこと。独裁者シェーファーも実在の人物。物語自体はフィクションのようであるが、背景は実話ベースということで実話の持つ力強さがある。
 
 施設の独裁者シェーファーは後に少年に対する児童虐待(レイプ)の容疑で逮捕されたようであるが、異常な性癖の持ち主でもあったようである。主演はエマ・ワトソン。これまでとはまったくイメージの違う役で、大作でもないこういう映画に出演しているのもちょっと不思議な感じがする。「エマ・ワトソン主演」ということで、一段株が上がった映画であることは間違いない。

 カルトの雰囲気がシリアスであり、ちょっとハラハラドキドキが楽しめる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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