2019年05月31日

【タイムトラップ】My Cinema File 2088

タイムトラップ.jpg

原題: Time Trap
2017年 アメリカ
監督: マーク・デニス/ベン・フォスター
出演: 
ライリー・マクレンドン:テイラー
キャシディ・ギルフォード:カーラ
ブリアンヌ・ハウイー:ジャッキー
マックス・ライト:ファービー
アンドリュー・ウィルソン:ホッパー

<映画.com>
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時空を超える洞窟に迷い込んだ人々が、無事生還するべく時空の謎に挑む姿を描いたSFアドベンチャー。考古学者のホッパー教授は数十年前に姿を消した両親を探すため、「若返りの泉」があると言われる秘密の洞窟に足を踏み入れる。そのまま消息を絶ったホッパー教授の後を追い、彼のゼミ生であるジャッキーとテイラーも洞窟へ向かう。洞窟の想像を絶する深さに恐怖を募らせながらも奥深くへと進んでいった一行は、洞窟内の時間の流れが地上と異なることに気づく。洞窟内でたった数分の出来事が、地上では数年も経過しているのだ。洞窟内には原始人から未来人までが次々と出現し、一行は絶体絶命のピンチに陥ってしまう。ホッパー教授役に「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のアンドリュー・ウィルソン。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。
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 ちょっと変わったタイムトラベルモノである(タイムトラベルと言えるのかどうかはよくわからない)。考古学を専門とするホッパー教授は、数十年前に洞窟内で姿を消したヒッピーを探し、「若返りの泉」があると噂される洞窟へと入っていく。学生たちに気軽に声を掛けて行くが、教授自身も消息を絶ってしまう。戻らない教授を探すべく、ゼミ生のジャッキーとテイラーが友人らを誘い、総勢5名でその洞窟へと入っていく。あとに1人まだ子供のファービーを残していく。

 洞窟は思った以上に深い。さらに降下する時にロープを使うが、戻ろうとしたところでロープが切れてしまう。残してきたファービーとの連絡もつかなくなる。あたりには妙な光の点滅と空気が漂う。やがて外で待っていた筈のファービィと突然連絡が取れるが、異常を感じて探しに行くと、そこにあったのは、ファービーの遺体。初めは冒険気分だったメンバーもここに至り恐怖に囚われる。

 ファービーの遺体を調べてみると、ファービーが残していた録画ビデオを見つける。さっそく何があったのか再生すると、驚くことにファービーはみんなが洞窟へと入っていったあと、1人で数日を過し、待ちきれなくなって洞窟に入ったことがわかる。ジャッキーたちが洞窟に入ってからの経過時間は、ほんの数時間のはず。そしてそんな彼らを原始人のような人間たちが襲いくる。

 どうやら洞窟の中の謎の光の点滅は、1日の推移だとわかる。なにやら洞窟の外ではもの凄いスピードで時間が流れているのである。というよりも正確に言えば、洞窟の中の時間の進み方がもの凄く遅いということである。やがて洞窟の上から瞬時に組み立てられる梯子を使って人間が降りてくるが、それはおそらく未来の人間。そしてその人間に洞窟内にあった泉の存在を教えられ、そこに浸かると傷が治り、死んだはずのファービーでさえも生き返る。

 タイムトラベルというと、普通は過去や未来へ行って帰ってくるというものが大半だろう。だが、ここでは時間の流れが異なることによって、自然に生き残ることが出来ないはずの未来へと向かってしまう登場人物が描かれる。一方通行という意味では「トラベル」ではないかもしれない。宇宙を高速で移動すると時間の流れが異なることから結果的に未来の地球に帰還してしまった『猿の惑星』や、子供が先に年老いてしまった『インターステラー』を思い起こす。

 「未来社会はどうなっているのか」というのは、誰もが一度は想像することだろう。「帰って来られる」なら、行ってみたいと思うが、一方通行なら考えてしまう。事実、あとでジャッキーたちは、洞窟の外で行方不明になった彼らを案じる両親たちの姿をニュース映像で見るのであるが、外では瞬く間に時間が過ぎ、彼らの両親たちも彼らを案じながらその生涯を閉じたわけであり、自分の身に置き換えてみると、そんな出来事はいたたまれないことである。

 さらに洞窟の中には過去のそれぞれの時代に迷い込んだ人たちがいることが判明する。最も古いのが途中で登場した原始人であり、さらに時間の流れの異なる洞窟では何やら戦闘が行われていたりする。不思議な洞窟での時間もやがて外から新たな手が現れる。映画の結末は何とも言えない。果たして彼らにとってはハッピーエンドなのかどうか。
未来世界は想像だけに留めておきたいなと実感させられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2019年05月25日

【マン・ダウン 戦士の約束】My Cinema File 2087

マン・ダウン 戦士の約束.jpg

原題: Man Down
2015年 アメリカ
監督: ディート・モンティエル
出演: 
シャイア・ラブーフ:ガブリエル・ドラマー
ケイト・マーラ:ナタリー・ドラマー
ジェイ・コートニー:デビン・ロバーツ
ゲイリー・オールドマン:ペイトン
クリフトン・コリンズ・Jr.: チャールズ

<シネマトゥデイ>
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ベネチア国際映画祭やトロント国際映画祭で上映された戦争ドラマ。アフガニスタンから帰還したアメリカ軍兵士が、なぜか戦地のように荒廃してしまった故郷の街で妻子を捜す。メガホンを取るのは、『シークレット・ロード』などのディート・モンティエル。『欲望のバージニア』などのシャイア・ラブーフ、『ディバイナー 戦禍に光を求めて』などのジェイ・コートニーをはじめ、ケイト・マーラ、ゲイリー・オールドマンらが出演。
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 主人公は、アフガニスタンから帰還したアメリカ兵士のガブリエル。彼の隣には長年に渡り親交を深めていった親友のデビンもいる。デビンもまた彼と同じく、アメリカ兵としてアフガニスタンに派遣されていたのであった。真っ先に故郷に戻ったガブリエルだが、そこは荒廃した街並み。ガブリエルの家族もいない。ガブリエルはデビンと協力し周囲の捜索にあたる。何だかSFチックな展開に先が読めないまま映画の世界に入っていく。

 時は遡り、ガブリエルは故郷に帰る前にペイトン大尉と面談する。そこでガブリエルは、アフガニスタンの戦場に行く前の家庭や戦場で起きたこと、自身の身に起き体験したことを話し始める。息子のジョナサンが学校でいじめを受けており、その発端はナタリーが周囲の子供や保護者の前でジョナサンに「愛している」と言ったこと。年頃の男の子にとって外では母親の愛情は友達に子供とみなされるリスクがある。それを知ったガブリエルは、今後は「愛してる」の代わりに軍隊用語の「マンダウン」という言葉を使うことをジョナサンに提案する。

 アフガニスタンでの戦場は悲惨なもの。殺し殺されの中で次第にガブリエルの精神は疲弊していく。そんな中、ガブリエルらの隊はある時敵襲を受け、攻撃のあった建物を制圧すべく侵入していく。敵は掃討されたと思った矢先、隠れていた敵の銃撃を受けデビンは撃たれて死んでしまう。すぐさま応戦するガブリエル。しかし、射殺した敵は民間人の母子であった・・・
 
 アフガニスタンやイラクの戦場を舞台としたドラマとなると、最近ではPTSDを絡めるパターンが多い。この映画でもそうであり、主人公のガブリエルは目の前で親友デビンが射殺され、自身も咄嗟の事とは言え民間人の母子を射殺してしまう中で、精神をすり減らしていく。それに追い打ちをかけたのが、妻ナタリーとデビンの不倫。次第に精神を病んでいく中で、冒頭の荒廃した街の姿の理由がわかってくる。

 主人公を演じるのはシャイア・ラブーフ。最近はいろいろな役をやるようになってきている。どことなく気弱さを秘めた顔がこの映画のガブリエルのような役柄によく合っている。戦争のPTSDモノも随分と多いが、『ランボー』シリーズをきっかけにしてずいぶん増えたと思う。その分、単純に主人公が戦場での恐怖の記憶に震えるというパターンだけでなくなってきている。それが謎の荒廃した都市の場面であり、初めはわけがわからず戸惑うが、ラストでその理由がわかるというヒネリが入っている。

 どこまでもマイホームと息子のジョナサンを思うガブリエル。ラストでガブリエルがジョナサンに渡した「マンダウン」と書かれた紙。ちょっと切ないラストの映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2019年05月24日

【Dear Friends ディア フレンズ】My Cinema File 2086

Dear Friends ディア フレンズ.jpg

2007年 日本
監督: 両沢和幸
出演: 
北川景子:高橋リナ
本仮屋ユイ:遠藤マキ
黄川田将也:洋介
通山愛里:ヒロコ
佐々木麻緒:カナエ
松嶋初音:エミ

<シネマトゥデイ>
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病魔に侵され自ら命を絶とうとする女子高生と彼女と痛みを共有しようとする同級生の友情を描く青春ドラマ。「Deep Love」で社会現象を巻き起こしたベストセラー作家Yoshiの同名人気原作を、『ナースのお仕事 ザ・ムービー』の両沢和幸監督が映像化。ヒロインに『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』の北川景子、彼女の同級生に『スウィングガールズ』の本仮屋ユイカ。実際の体験談に基づくリアリティあるテーマが衝撃的。
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主人公の女子高生リナは、人気読者モデルにもなるほどの美人。しかしやることは刹那的であり、友達の彼氏を寝取ってしまい、それがバレてもケロリとして「友達は利用するもの」とうそぶく始末。当然、親友と呼べる友人など一人もいない。母親の言う事などどこ吹く風で、夜の街を毎晩のように出歩く。そうなったのも家庭に興味がない父親と、過保護気味な母親との存在によるのかもしれない。

ある日いつものようにクラブで踊っていたリナは、突然フロアで倒れてしまう。病院に運び込まれ、入院して検査を受けることになる。そんなリナに小学校からの同級生のマキが突然面会にやって来る。しかしリナは、マキのことがどこの誰だかもわからない。地味なマキは派手なリナとは対照的で、そんな地味なマキの存在はリナの眼中には入らなかったのであろう。

入院したリナは、同じく入院中の少女カナエと知り合う。無邪気なカナエを無碍にもできず、友達になってほしいと言われるままリナは仕方なくそれを了承する。カナエは長く闘病生活を送っており、リナが友達となってくれたことを素直に喜ぶ。やがて退院したリナであるが、すぐにクラブへ向かう有様。しかし、いつになく神妙な面持ちをした両親から検査の結果、癌であることを伝えられる。そしてリナは翌日から入院生活を送ることになる。

治療が始まると、体はだるくなり髪が抜けおちる。自漫の美貌もここに至ると魅力を失う。病院を抜け出してクラブに向かうが、つけていたカツラがとれ、髪の抜けた姿をさらすと、周りからの視線に耐え切れなくなったリナはその場から逃げ出す。生きる気力を失ったリナであるが、そんなリナをマキだけがリナのそっけない態度にもめげずに見舞いに来る。一方、カナエはだんだんと病状が悪化し、本人も弱気になっていく。そんなカナエをいつしかリナは励ますようになる。

いかにも脳みそも尻も軽そうな主人公のリナであるが、癌発病とともにそれまでの勝手気まま自由奔放な態度は取れなくなっていく。友達など利用するものと公言していたリナゆえに、見舞いに来る友達などいない。マキを除いては。冷たくされてもめげないマキと、さらにもっと病状の重いカナエの存在がやがてリナの気持ちを変えていく。そして自分も手術で片胸を摘出するに至り、美人でチヤホヤされていたのも過去の話となる。

 傲慢な人間が、ある出来事をきっかけにして改心していくというストーリーは、『クリスマスキャロル』をはじめとしてよくあるパターン。王道とも言えるし、ストーリーも展開も陳腐と言えば陳腐。しかしながら、若き北川景子がやっぱり格別な光を放っていて、それが見所と言えば見所である。リナが自殺しようとした時に2度までもタイミングよくマキが現れるのはご愛敬として、細かいツッコミはせずに鑑賞したい映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2019年05月18日

【スプリット】My Cinema File 2085

スプリット.jpg


原題: Split
2017年 アメリカ
監督: M・ナイト・シャマラン
出演: 
ジェームズ・マカボイ:デニス&パトリシア&ヘドウィグ&ビースト&ケビン・ウェンデル・クラム&バリー&オーウェル&ジェイド
アニヤ・テイラー=ジョイ:ケイシー
ベティ・バックリー:フレッチャー
ヘイリー・ルー・リチャードソン:クレア
ジェシカ・スーラ:マルシア

<シネマトゥデイ>
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『シックス・センス』などの鬼才M・ナイト・シャマランが監督、製作、脚本をこなして放つスリラー。女子高校生たちを連れ去った男が、23もの人格を持つ解離性同一性障害者だったという衝撃的な物語を紡ぐ。複雑なキャラクターを見事に演じ分けたのは、『X-MEN』シリーズなどのジェームズ・マカヴォイ。高校生対23の人格による激しい攻防戦に息詰まる。
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 冒頭、女子高生クレア・ブノワの誕生パーティーが開かれている。友人たちでにぎわう中、1人ポツンと浮いているのはケイシー・クック。ケイシーはクラスでも浮いた存在であり、パーティーに呼んだのもクレアに言わせるとお情け。バスで帰ると言うケイシーをクレアの父は送ることになる。まぁ、父親としては当然の行動だろう。しかしこれが結果的に仇になる。クレアの父は何者かに襲われて倒れる。車に乗り込んできた男は乗っていたクレアとケイシー、そして、マルシアをそのまま拉致する。

 気がつけばケイシーたちは、窓のない部屋に監禁されている。そこへやって来た1人の男。マルシアを強引に連れ出すも、ケイシーの機転でおしっこをもらし、そのまま戻される。男の目的も正体もわからない。次に部屋の外で話し声がし、ドアの隙間から覗くとハイヒールとロングスカートが見える。一縷の希望を持ったケイシーたちだが、ドアを開けて入ってきたのは、女装した男。ただの女装趣味というより、完全になり切っており、どうやら多重人格者という風に思える。それは次に落ち着きのないヘドウィグと名乗る男の登場で確定する。ヘドウィグはケイシーの問いに9歳だと答える。

 男の名はケビン。主治医である精神科のカレン・フレッチャー医師と定期的に面談している。その日は、バリー(という人格)と会っている。バリーはオカマ風の洋服デザイナー。バリーはデザイナーとして会社に10年も勤務しており、カレンの患者の中では頑張っていると思われている。その裏でケイシーたちを監禁しているなどとカレンは夢にも思わない。そして部屋にはデニスが現れ、洗面所を掃除し綺麗に部屋を使えと命ずる。ケイシーを連れてきたのは、聖なる食料にするためだと不気味な言葉を残してデニスは去る。

 学校では孤立していたケイシーだが、こうした環境で誰よりも冷静に行動する。言葉巧みにヘドウィグを呼び、協力させようとする。さらに部屋を探索し、天井に通風口があるのを見つけクレアが通気口を通って脱出を試みる。しかしあえなくデニスに見つかってしまう。こうして、脱出を試みるケイシーたちの奮闘が描かれ、一方でフレッチャー医師の良き患者として行動するデニスの姿が交互に描かれる。多重人格については、小説や映画などで描かれることも多いが、ここで登場するデニス(とその他の人格)はちょっと特色がある。

 本当か嘘かはわからないが、多重人格者は、IQや体力もそれぞれ異なると言う。ケビンも子供や女性の人格が交じっている。それを演じるジェームズ・マカボイも自然に演じ分けているのはさすがなのかもしれない。そして最後に登場する人格。これが脅威の力を持っている。その姿はもしも本当に存在したなら多重人格を怪しむ人はいなくなるのではないかと思わされる。そんな多重人格と監禁からの脱出とが映画のメインストーリーとなる。

 タイトルのSplitとは、精神の「分裂」の意味であろうか。ジェームズ・マカボイの不気味な演技が光る一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2019年05月17日

【海底47m】My Cinema File 2084

海底47m.jpg


原題: 47 Meters Down
2016年 イギリス
監督: ヨハネス・ロバーツ
出演: 
マンディ・ムーア:リサ
クレア・ホルト:ケイト
サンティアゴ・セグーラ:ベンジャミン
ヤニ・ゲルマン:ルイス
マシュー・モディーン:テイラー船長

<シネマトゥデイ>
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海中のおりの中からサメの鑑賞を楽しむ姉妹が、予期せぬ事故に遭うパニックスリラー。無線は通じず、ボンベに残された酸素もわずかという絶望的な状況で、海底に落下したおりから脱出を図る姉妹の姿を描く。メガホンを取るのは、『ストレージ24』などのヨハネス・ロバーツ。テレビシリーズ「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」などのクレア・ホルト、歌手としても活動しているマンディ・ムーアが妹と姉を演じる。
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ケイトとリサは仲の好い姉妹。2人で休暇を利用してメキシコを訪れている。リサは失恋したばかり。「君は退屈な人間だ」と彼氏に言われ、少なからずショックを受けている。得てして真面目な人間は裏を返せば「退屈」と取られることはよくある事。リサもそんな真面目人間の典型かもしれない。かく言う自分もそんな「面白みのない人間」と言われたことがあり、リサの気持ちもよくわかる。

一方、ケイトは明るくて陽気。姉妹とは言え、そういう違いはよくある。そんなケイトは、地元の人からケージ・ダイビングについて聞き込んでくる。面白そうだと直感したケイトは、リサを誘う。しかしリサは気乗りしない。こういうところにも2人の性格の違いが現れている。そんなリサだが、ケイトから「また退屈な女だと思われるわよ」と言われ、渋々承知する。リサ自身、変わりたいとどこかで思ったのであろう。

そして翌日、2人はダイビングへと出掛けて行く。一旦は決心したものの、リサは不安からかやめようと言い出すが、ケイトはこれをいなして地元の青年たちと船に乗りこむ。そしてダイビングスポットに到着するが、撒き餌に寄ってきたのは巨大なサメ。まずは地元の青年たちが潜るが、目の前を泳ぐサメに大興奮のまま上がってくる。そして次にリサとケイトが潜る。

ケージダイブとは、文字通りケージ(檻)に入って海の中に潜ること。目の前を巨大なサメが遊泳する姿は恐怖でもあるが、大迫力でもある。何事もなければ2人は勇気の対価として得難い経験ができたであろう。ところがそれでは映画にならない。なんとケージを釣っていたケーブルが巻上機ごと突然壊れて水中に落下してしまう。当然、2人はそのまま海底47メートルへと沈んでいく。さらにそこまで深くなると無線も届かず、2人は船との交信ができない状態におかれてしまう。

こうして海底47メートルの世界に閉じ込められてしまったリサとケイトの必死の奮闘が描かれていく。こうした時、どのような対応が取れるだろうか。簡単に考えれば浮上することだが、あたりには巨大なサメがウヨウヨしている。しかも潜水病のリスクがあるから一気に浮上することはできない。とりあえず行動的なケイトが海面下40メートルまで浮上して船と交信し、指示を仰ぐ。船の指示は当然、「ケージの中で救助を待て」であるが、気になるのは残存酸素量。いつまでもじっとしてはいられない。

襲い来るサメの恐怖と言えば、『ジョーズ』、海底に閉じ込められるという点では『ポセイドン』がそれぞれ脳裏に浮かぶ。この映画はその2つの映画の要素をミックスしたような感じである。孤立無援の海底で素人の女性2人が、パニックを押さえつつ生き残り方法を模索する。ウヨウヨするサメ、底をつく酸素。潜水病の恐怖。それらがブレンドされてストーリーは進む。

こういう映画を観ると、いつも自分だったらどうするだろうかと考える。そもそもよくわからない外国で、安全に配慮されているとはいい難い環境(船、設備、スタッフ)で、安易にこの手のアクティビティーにチャレンジしようというのが良くない(そんな事を言っていては映画にはならないが)。知り合ったばかりの地元の若者を信用して初対面の人の船に若い女性が乗り込むという時点で別のリスクもありうる。そもそもそこからして危ういのである。

それはともかく、海底47メートルで互いに励まし合いながら脱出を試みるこの映画、意外と物語の世界に引き込まれていく。酸素も尽きたらボンベを落としてもらって息継ぎをすればいいのにと素人考えで思うが、それはそれで窒素酔いのリスクがあると説明される。そしてそれがそのままストーリーに生かされる。迫力のあるサメの襲撃もあり、ハラハラドキドキの展開は予想以上の面白さだったことは確かである。

見知らぬ土地で、無謀な冒険はやっぱり控えないといけない。そんなことを楽しみながら思わされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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