
原題: Time Trap
2017年 アメリカ
監督: マーク・デニス/ベン・フォスター
出演:
ライリー・マクレンドン:テイラー
キャシディ・ギルフォード:カーラ
ブリアンヌ・ハウイー:ジャッキー
マックス・ライト:ファービー
アンドリュー・ウィルソン:ホッパー
<映画.com>
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時空を超える洞窟に迷い込んだ人々が、無事生還するべく時空の謎に挑む姿を描いたSFアドベンチャー。考古学者のホッパー教授は数十年前に姿を消した両親を探すため、「若返りの泉」があると言われる秘密の洞窟に足を踏み入れる。そのまま消息を絶ったホッパー教授の後を追い、彼のゼミ生であるジャッキーとテイラーも洞窟へ向かう。洞窟の想像を絶する深さに恐怖を募らせながらも奥深くへと進んでいった一行は、洞窟内の時間の流れが地上と異なることに気づく。洞窟内でたった数分の出来事が、地上では数年も経過しているのだ。洞窟内には原始人から未来人までが次々と出現し、一行は絶体絶命のピンチに陥ってしまう。ホッパー教授役に「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のアンドリュー・ウィルソン。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。
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ちょっと変わったタイムトラベルモノである(タイムトラベルと言えるのかどうかはよくわからない)。考古学を専門とするホッパー教授は、数十年前に洞窟内で姿を消したヒッピーを探し、「若返りの泉」があると噂される洞窟へと入っていく。学生たちに気軽に声を掛けて行くが、教授自身も消息を絶ってしまう。戻らない教授を探すべく、ゼミ生のジャッキーとテイラーが友人らを誘い、総勢5名でその洞窟へと入っていく。あとに1人まだ子供のファービーを残していく。
洞窟は思った以上に深い。さらに降下する時にロープを使うが、戻ろうとしたところでロープが切れてしまう。残してきたファービーとの連絡もつかなくなる。あたりには妙な光の点滅と空気が漂う。やがて外で待っていた筈のファービィと突然連絡が取れるが、異常を感じて探しに行くと、そこにあったのは、ファービーの遺体。初めは冒険気分だったメンバーもここに至り恐怖に囚われる。
ファービーの遺体を調べてみると、ファービーが残していた録画ビデオを見つける。さっそく何があったのか再生すると、驚くことにファービーはみんなが洞窟へと入っていったあと、1人で数日を過し、待ちきれなくなって洞窟に入ったことがわかる。ジャッキーたちが洞窟に入ってからの経過時間は、ほんの数時間のはず。そしてそんな彼らを原始人のような人間たちが襲いくる。
どうやら洞窟の中の謎の光の点滅は、1日の推移だとわかる。なにやら洞窟の外ではもの凄いスピードで時間が流れているのである。というよりも正確に言えば、洞窟の中の時間の進み方がもの凄く遅いということである。やがて洞窟の上から瞬時に組み立てられる梯子を使って人間が降りてくるが、それはおそらく未来の人間。そしてその人間に洞窟内にあった泉の存在を教えられ、そこに浸かると傷が治り、死んだはずのファービーでさえも生き返る。
タイムトラベルというと、普通は過去や未来へ行って帰ってくるというものが大半だろう。だが、ここでは時間の流れが異なることによって、自然に生き残ることが出来ないはずの未来へと向かってしまう登場人物が描かれる。一方通行という意味では「トラベル」ではないかもしれない。宇宙を高速で移動すると時間の流れが異なることから結果的に未来の地球に帰還してしまった『猿の惑星』や、子供が先に年老いてしまった『インターステラー』を思い起こす。
「未来社会はどうなっているのか」というのは、誰もが一度は想像することだろう。「帰って来られる」なら、行ってみたいと思うが、一方通行なら考えてしまう。事実、あとでジャッキーたちは、洞窟の外で行方不明になった彼らを案じる両親たちの姿をニュース映像で見るのであるが、外では瞬く間に時間が過ぎ、彼らの両親たちも彼らを案じながらその生涯を閉じたわけであり、自分の身に置き換えてみると、そんな出来事はいたたまれないことである。
さらに洞窟の中には過去のそれぞれの時代に迷い込んだ人たちがいることが判明する。最も古いのが途中で登場した原始人であり、さらに時間の流れの異なる洞窟では何やら戦闘が行われていたりする。不思議な洞窟での時間もやがて外から新たな手が現れる。映画の結末は何とも言えない。果たして彼らにとってはハッピーエンドなのかどうか。
未来世界は想像だけに留めておきたいなと実感させられる映画である・・・
評価:★★☆☆☆