2019年06月28日

【世界から猫が消えたなら】My Cinema File 2096

世界から猫が消えたなら.jpg

2016年 日本
監督: 永井聡
原作: 川村元気
出演: 
佐藤健: 僕/悪魔
宮崎あおい: 彼女
濱田岳: ツタヤ
奥野瑛太: トムさん
石井杏奈: ミカ
奥田瑛二: 父さん
原田美枝子: 母さん

<シネマトゥデイ>
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『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健と『ソラニン』などの宮崎あおいが初共演を果たし、川村元気の小説を原作に描く感動のドラマ。余命宣告された主人公が、悪魔と取引して世の中から一つ何かを消すことで一日の命を得るという不思議な物語を紡いでいく。『ジャッジ!』などの永井聡監督がメガホンを取り、『サケボム』などの濱田岳が共演。佐藤の一人二役による熱演はもとより、斬新な映像で描かれる胸を打つ物語に引き付けられる。
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 主人公は郵便局に勤める「僕」。真面目に働き、彼女がいるわけでもなく、ネコ一匹と暮らしている。ある日、いつものように自転車で配達に走っていると、突然意識を失って転んでしまう。医者の診断によると脳腫瘍でもはや手遅れであると告知される。こういう時、人はどんな反応を示すのだろう。取り乱すのかそれとも事実を淡々と受け入れるのか。自分は後者に違いないと思うが、「僕」も冷静に事実を受け止める。

 呆然としたまま家に戻ると、なんと家の中に見知らぬというより自分そっくりな男がいる。驚く「僕」に対し、男は正体を問われるまま「悪魔」としておこうとなる。その悪魔が言うことには、「世界からひとつなにか大切なものを消すと、1日寿命が伸びる」と告げ、「僕」の周囲にある「物」を消して1日寿命を延ばすことを提案してくる。ただし、何を消すかの選択肢は「悪魔」にある。そしてまず最初に「電話」を消そうと告げて悪魔は忽然と姿を消す。

 いつか尻尾が尖った悪魔が目の前に現れて「3つの願いを叶えてあげよう」と言われた時のことは考えているが、「何かを消す」というパターンは想像もしたことがない。自分だったら何にしようかと考えるも、選択権がないなら意味はない。電話を消す前に最後に1度だけ電話を使ってもいいということになり、「僕」は電話をかける。自分だったら誰にかけるだろうかとふと妄想する。「僕」がかけた相手はなんと元カノ。そして電話がこの世から消滅する。

 元カノも迷わず会ってくれることになり、2人は久々に再会する。2人はもともと大学の同級生。知り合ったのは何と間違い電話。その時「僕」が観ていた映画を音声だけで言い当てた彼女は、のちに映画館に勤めるほどの映画好き。どうして別れて分かれてしまったのかはわからないが、しばし彼女と懐かしいひと時を過ごして帰宅する。しかし、電話が消えると元カノとの出会いのきっかけも消滅し、元カノと「付き合った時間」も消えてしまう。元カノはもう「僕」に会っても素知らぬ顔・・・そして例の悪魔が、次は「映画」を世界から消してしまおうと提案してくる。これは個人的には痛手だと、もしも自分だったらと妄想しながら考えてしまう。

 それでも命には代えられず、「僕」は最後に観る映画を選ぶべく、数少ない友人のツタヤ(本名はタツヤ)の勤めるレンタルビデオ屋に向かう。ツタヤも超映画好きで、おせっかいにも「僕」にはかねてからおススメ映画を貸してくれているのである。しかし、最後に借りた『ライムライト』のDVDのケースにディスクは入れ忘れられていて、作品を観ることができなかった。そして映画は消滅し、ツタヤとの思い出も彼女が勤める映画館も消えてしまう。

 悪魔の提案はさらに「時計」、そして「猫」と続く。ここでこの映画の不思議なタイトルの理由がわかる。普段、当たり前のように使っているものがこの世から消えたなら、と妄想してみるのも面白いが、面白くないのは消されたモノはただ消えるのではなく、最初から存在しなかったことになるというルール。そうするとそれにまつわる思い出も消えてしまう。そして「僕」にとって、世界から猫を消すことは自分の家族とその記憶を消し去ってしまうことだと気がつく・・・

 人は生きていく限りにおいて日々大切な思い出を積み重ねていく。時にそれは辛いものであったとしても、積み上げられるうちにいつしか大切なものだけが残っていく。さすが「悪魔」だけあって、たった1日の寿命と引き換えに取り上げるものの代償は大きい。トイチの高利貸しよりあくどいかもしれない。癌で亡くなった母、それを機に不仲になった父。元カノとの思い出。「僕」の記憶が追体験される中でその大切さが伝わってくる。そして最後に「僕」の下した決断。

 日本映画らしい、心に温かい風が吹いてくる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2019年06月22日

【アメリカン・ソルジャー】My Cinema File 2095

アメリカン・ソルジャー.jpg

原題: Thank You for Your Service
2017年 アメリカ
監督: ジェイソン・ホール
出演: 
マイルズ・テラー: アダム・シューマン
ヘイリー・ベネット: サスキア・シューマン
ボーラ・コール: トーソロ・アイアティ
ジョー・コール: ビリー・ウォーラー
エイミー・シューマー: アマンダ・ドスター
ブレッド・バイアー: ジェームズ・ドスター

<映画.com>
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『アメリカン・スナイパー』の脚本家ジェイソン・ホールが監督・脚本を手がけ、イラク帰還兵のその後を取材したデビッド・フィンケルのノンフィクション「帰還兵はなぜ自殺するのか」を題材に描いた戦争ドラマ。戦時下のイラク。アメリカ陸軍兵アダムは、銃撃戦の中で頭部に被弾した仲間を命懸けで救出する。やがて従軍を終えたアダムは妻や子どもの待つ故郷カンザスへ戻るが、睡眠障害やフラッシュバックに悩まされるように。そんなアダムのもとに、イラクで共に戦った仲間が自殺したとの報せが届く。『セッション』のマイルズ・テラーが主演を務め、「ハードコア」のヘイリー・ベネット、「グリーンルーム」のジョー・コールが共演。ブルース・スプリングスティーンが新曲を提供している。
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 主人公は、15ヶ月間のイラクでの従軍生活を終えたアダム・シューマン。戦友のトーソロとビリーとともに故郷のカンザス州に帰還する。それぞれに待ちに待った帰還。なかでもビリーは婚約者に会うのを心待ちにしている。帰宅したアダムは妻(サスキア)と2人の子供たちに温かく迎えられる。

 しかし、それに対し自宅に帰ったビリーの方は、家の中がものけのからになっているのに愕然とする。婚約者は荷物を持っていずこかへと去っていたのである。一方、帰宅したアダムは睡眠障害やフラッシュバックに苦しめられるようになる。戦場でのPTSDの可能性を疑ったサスキアの薦めで、アダムはトーソロとともに退役軍人省に相談に行く。相談窓口は同じような問題を抱える退役軍人たちでごった返している。

 家具もない家で一晩を過ごしたビリーは、婚約者の勤務先である銀行へと出掛けて行く。そんな状況であり婚約者の心変わりは明らか。困惑する婚約者の目前でなんとビリーは自らのこめかみを撃ち抜き自殺する。婚約者には婚約者の事情もあったのだろう。映画では描かれていなかったが、もしかしたら新たな出会いがあったのかもしれない。死と背中合わせのイラクでの従軍生活で、ビリーにとって婚約者の存在は心の支えそのものだったのであろう。目の前で自殺された婚約者にとっても悲劇である。

 最近のイラク、アフガニスタン系の映画はPTSDモノが多いが、この映画もその一つ。アダムのPTSDの原因は、街中で敵の襲撃を受けた際、仲間のマイケルが銃撃を受けて負傷。それをおぶって移動する際、よろけて階段から落としてしまったというもの。状況からしてやむを得ないし、マイケルも半身不随にはなってたが、生きて帰還できたわけであるから気に病む必要はないと思うのである(事実、マイケルは救出に尽力してくれたアダムに感謝している)。それでもなお、アダムは自分を責め続けている。

 またもう1人の戦友トーソロもまたPTSDに苦しんでおり、自身は再びイラクへ派遣されることを切望していたが、トーソロの様子からしてとてもその願いが叶うとは思えない。そして失意のトーソロは、同じ退役軍人仲間に声を掛けられるが、その男は麻薬密売人のグループに属しており、トーソロに怪しげな仕事を依頼するようになる・・・

 PTSDモノも何となく食傷気味であるが、驚いたのは退役軍人省の様子。フィクションなのか実話なのかはわからないが、PTSDで治療を望む退役軍人たちが溢れかえっている。事実であれば、世界中で戦争をしているアメリカの暗部そのもの。これだけの数がいると社会問題にならないものかと心配になる(もうなっているのかもしれない)。悲惨な状況なのはよくわかるが、映画としては似たような傾向の映画が続くと食傷気味になるのは否めない。

 エンディングでは実際の登場人物たちが紹介される。ここで実話だというのがわかるわけで、それなりにストーリーの重みを感じさせてくれる。ただ、こんなに多くの兵士がPTSDで苦しんでいるのかと驚くばかりである。映画としてはそこそこだが、事実としての迫力がある映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2019年06月21日

【MARIA/マリア】My Cinema File 2094

マリア.jpg

原題: Maria
2019年 フィリピン
監督: ぺドリング・ロペス
出演: 
クリスティーン・レイエス:マリア/リリー
ジャーメイン・デ・レオン:ケイレブ
KC・モンテロ:ヴィクター
ロニー・ラザロ:グレッグ

<NETFLIX>
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女は殺し屋の過去を捨て、普通の生活を手に入れたはずだった。だが、力と血に飢えたギャングが愛する家族に魔の手を伸ばす時、彼女は殺しの本能を呼び起こす。
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 ちょっと珍しいフィリピン映画。もちろん、本国ではたくさん創られているのだろうが、日本国内で観る機会はあまりない。玉石混交のハリウッド映画に比べ、数が少ないということは、それだけ「厳選」されているのではないかと期待して観ることにした映画である。

 主人公は、かつてはリリーという名の殺し屋だった女。殺し屋稼業から足を洗い、マリアという名前に変えて、現在では夫と娘と幸せな暮らしをしている。ごく普通の暮らしぶりであったが、ある日、かつての相棒で恋人でもあったケイレブに偶然見つかってしまう。自分のもとから突然去ったマリアを快く思わないケイレブ。かわいさあまって憎さ百倍といったところなのかもしれない。ケイレブは、部下たちとともにマリアの自宅を襲撃する。そしてあろうことか、マリアは目の前で夫と娘とを殺されてしまう。

 ここからマリアの復讐劇が始まる。元殺し屋がかつての腕を蘇らせ、復讐していくというストーリーは既視感溢れるもの。見所はと言えば、やはり女の格闘アクションシーンであろうか。師グレッグの下を訪ね、協力を要請するマリア。一方、ケイレブは組織のボスの命令もあり、犬猿の仲であるヴィクターと手を組んでマリアを殺そうとする。ヴィクターはことあるごとにケイレブと対立する。

 ストーリーはどこかで観たことのあるような復讐劇。女のアクションも最近ではありきたりで食傷気味。ハリウッド発の流行を遅ればせながら取り入れたという感のある映画なのは仕方ないのかもしれない。クライマックスは当然ながらマリアとケイレブの対決。マリアには味方がグレッグしかいないが、ケイレブには部下がいる。多勢に無勢だが、マリアは卓越した格闘能力で、ケイレブの部下をひとりずつ倒して行く。

 そして、最後にマリアとケイレブの一騎打ちとなる。不思議なことに、エンディングは途中で途切れたような終わり方。見方によっては、続編への橋渡しとも言えるが、唐突感は否めない。見所のはずのマリアの格闘シーンもそれほどのものではなく、続編が創られても観る気にはなれないというのが正直なところ。フィリピン映画だからとは言わないが、わざわざ観るほどの内容ではなかったというのが正直なところ。全体的に中途半端感は否めない。

 これが「厳選」された結果なら、今後フィリピン映画は観ようという気になれなくなるような映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2019年06月15日

【ジャドヴィル包囲戦】My Cinema File 2093

ジャドヴィル包囲戦.jpg

原題: The Siege of Jadotville
2016年 アイルランド・南アフリカ
監督: リッチー・スマイス
出演: 
ジェイミー・ドーナン: クインラン中隊長
マーク・ストロング: オブライエン博士
ギョーム・カネ
エマニュエル・セニエ
ジェイソン・オマラ
ミカエル・パーシュブラント

<STORY>
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1960年、冷戦の影響下で緊張が高まるアフリカ。コンゴ動乱が拡大する中、南部のカタンガが独立を宣言する。政情を安定化させるため、国際連合は平和維持軍の派兵を決定。150名のアイルランド兵士が現地に送り込まれる。しかし、駐留間もなく動乱は加速し、アイルランド兵たちは孤立無援の中、不十分な装備のままフランス人傭兵に率いられたカタンガ憲兵隊に包囲されてしまう・・・
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 時代は1960年代。ベルギー領であったコンゴが独立し、コンゴ共和国となるが、地下資源が豊富なことが災いし、利権争いのために独立後も内戦が続いていた。それに対し、国連は平和維持軍としてアイルランド人部隊150名をコンゴの南部カタンダ州ジャドビルに派兵する。カタンダ州はチョンベ大統領のもと独立を目指す勢力が勢いを増していたのである。

 選抜されたアイルランド部隊は、戦闘経験も無く新兵が多かったが、クインラン中隊長を中心に統率の取れた部隊であった。駐屯地は遮蔽物のない場所であり、食料も満足になくクインラン中隊長の顔も曇る。クインラン中隊長は、町へ状況視察に行くも、現地では国連軍の評判は悪く、歓迎ムードとはほど遠い。訪れた酒場では、フランス人傭兵部隊がたむろしており、傭兵部隊の隊長は実戦経験のないアイルランド軍を見下している。

 そんな中、カタンダ州の他の地区で発生した国連軍の発砲事件で民間人に死者が出てしまい、状況は一変する。アイルランド軍も塹壕を掘り、周囲への警戒を厳重に始めるが、周囲に不穏な空気が漂い始める。そしてついにフランス人傭兵部隊に率いられたカタンダ軍がジャドヴィルのアイルランド軍への攻撃を始める。

 アイルランド部隊はこれに応戦するが、明らかに多勢に無勢。それでもさすがに先進国の近代装備のゆえか第一波は何とか撃退する。しかし、続いて第二派の攻撃が始まり、隊員たちはよく応戦するも次第に弾薬も体力も消耗していく。クインラン中隊長は援軍を要請するも、政治的な思惑もあって十分な援軍は派遣してもらえない。そればかりか、中途半端な規模の援軍は、途中でカタンガ州軍に接近を阻まれる始末。補給もままならない中、ついに弾薬も切れてしまう・・・

 映画は実話をベースとしたもの。数に勝る敵の攻撃を(しかも空軍機による攻撃も受けながら)アイルランド軍は1名の死者も出さずに防戦したという。最後は弾薬切れからクインラン中隊長は降伏を選ぶが、これはもう致し方ない。されど政治的な思惑もあって、「敵に降伏した」という部分だけが強調され、帰国しても評価されなかったという。つくづく、現場だけが苦労するという現実がここにもあったようである。

 時代背景もあるのだろうが、装備的にも西部劇的な雰囲気の強い攻防戦。コンゴというアフリカの地で、しかもアイルランド軍の物語ゆえに我が国ではほとんど知る人もない史実だろう。戦闘シーンもストーリーもなかなかエンターテイメントとしては良かったと思うが、イマイチ国連大使とアイルランド軍部隊を巡る政治的な思惑の部分がわかりにくかったところがある。そのあたりが、個人的にはちょっと残念であった。

 東西冷戦下、豊富なアフリカの地下資源を巡って、独立と利権と入り乱れての紛争。その歴史のほんの一シーンだけを切り取った映画であるが、実話だけにストーリーとは別に重みを感じるところである。それにしても、国連軍として派遣されたアイルランド軍にとっては気の毒でしかない物語である・・・


評価:★★☆☆☆







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2019年06月14日

【アメリカン・アサシン】My Cinema File 2092

アメリカン・アサシン.jpg

原題: American Assassin
2017年 アメリカ
監督: マイケル・クエスタ
出演: 
ディラン・オブライエン:ミッチ・ラップ
マイケル・キートン:スタン・ハーリー
テイラー・キッチュ:ゴースト
サナ・レイサン:アイリーン・ケネディ
デビッド・スーシェ:スタンスフィールド

<シネマトゥデイ>
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『メイズ・ランナー』シリーズなどのディラン・オブライエンが、ヴィンス・フリンのベストセラー小説シリーズの主人公を演じるスパイアクション。無差別テロで恋人を亡くした青年が、報復のためにCIAのエージェントとなって核兵器テロに立ち向かう姿を、多彩なアクションを交えて活写する。共演は、マイケル・キートン、テイラー・キッチュら。メガホンを取ったのは、ドラマシリーズ「HOMELAND」などのマイケル・クエスタ。
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冒頭、ビーチで恋人のカトリーナにプロポーズをするミッチ。和やかな雰囲気であったが、突然数人の男たちが無差別に銃を乱射し始める。ミッチも足を撃たれながらカトリーナを探すが、混乱の中、カトリーナは無残にもミッチの目の前で撃たれて息絶える。ミッチは、一命を取り留めたものの、復讐に燃えトレーニングや情報収集に明け暮れる。そしてついに実行犯のテログループとコンタクトを取ることに成功する。グループの首謀者モンスールに会うことに成功するが、まさにその時、CIAチームによりテログループは全員射殺されてしまう。

目の前で恋人の敵を殺されたころされたミッチ。そんなミッチを見込んだCIAのケネディーは、自分たちの組織にスカウトする。仲間入りを決めたミッチは、元ネイビーシールズのハーリーの元で訓練を受ける。こうして、復讐の人生から新たにCIAのエージェントとしての人生が始まる。この物語は、こうしてエージェントとなったミッチの活劇モノ。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントらといった先達とどう伍していくのか、が見ものと言える。

ある日ハーリーはロシアで起きたテロの犯人が、かつて自分が最高のスパイに鍛え上げたロニーだという事に気づく。昔の任務中に死んだと思われていたロニーはゴーストと名乗りテロ行為を繰り返している。ケネディーはゴーストとそのパートナーを止めるべくハーリーとミッチをトルコへと送る。トルコでオペレーターのアニカと合流したハーリー達。さっそくゴーストのパートナーであるシャリフを捕まえようとするが、そこへゴーストが現れる。ミッチはハーリーの命令を無視しシャリフを殺してしまう。

どうやらこの主人公はチームプレーというよりもワンマンショーをやりたがるタイプのよう。ゴーストは核兵器によるテロを計画していて、既にウランを入手し核兵器として完成させるべく物理学者をスカウトする。ハーリーの命令下、ゴーストを追うミッチとアニカ。なんだか、よく使い古されたような物語の筋書きである。そしてよくありがちなパターンのミッチの活躍が描かれる。

肝心の主人公のミッチであるが、「素人上がり」のせいかどうもインパクトが弱い。特技と言えば、命令を無視した単独行動くらいか。何か特別なスパイ装備を利用したり、格闘アクションが優れていたりするわけではない。度肝を抜くようなアクションシーンがあるわけでもなく、先達から比べれば小物感が否めない。このあたりが限界だろうか。ただ、ラストの核爆発はなかなか迫力があったのが映画としては良かったところである。

新たなヒーローとしてシリーズ化するにはちょっと弱いと思わざるを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | スパイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする