2019年12月31日

【隔離】My Cinema File 2161

隔離.jpg

原題: SOLITARY
2009年 アメリカ
監督: グレッグ・デロチー
出演: 
アンバー・イエガー:サラ
アンドリュー・ジョンソン:レズニック(医師)
キーロン・エリオット:マーク(夫)
クリスティン・サリヴァン:ジーナ(姉)
B・アンソニー・コーエン:刑事
ダルトン・リーブ:刑事

<Amazon Prime Video解説>
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家から出ることが出来ない女が一人、夫の謎の失踪を解く。
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主人公のサラは夫マークと2人で暮らしている。その日はサラの誕生日。夫と2人でささやかに食事でもしようという話をしていたが、夫はなぜか帰ってこない。意を決して外に出ようと試みたサラであるが、家を出た途端、呼吸困難になって家の中に慌てて戻る。実はサラはパニック障害を抱えていて、外出ができない。飼っていた小鳥が死んでしまい庭に埋葬しようとするも、それもできず、やむなく玄関前の空き地になんとか埋めるのが精一杯である(どうやって買い物をしているのだろうと心の中でつぶやく・・・)。

家を訪ねてくるのは、姉のジーナだけ。姉はサラのために高名な精神科医レズニックを紹介し、レズニックは治療のために家まで訪れることになる。しかし、サラの苛立ちは収まらず、その矛先は姉や医師のレズニックにも向かう。家の中にはなぜか鍵をなくしてしまって入れない部屋がある。さらに正体のわからない物音や庭先に夫に似た人物を見かけたりとサラの周りでは何かが起こっている兆しが訪れる。

夫はかねてから子供を欲しがっていたが、サラは今一つその考えに同意できないでいる。夫が失踪した今となって気になるのか、やがて開かずの部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。警察にも捜索願を出し、不審な状況を訴える。やってきた刑事は護身用の銃の携帯を勧める。夜中に物音がして恐る恐る調べに行くが、何もない。事前にあまり内容は見ないようにしているから、一体この映画がホラーなのかサスペンスなのかイマイチ判然としない。

やがて少しずつ隠れていた事実が浮かび上がってくる。開かずの部屋も鍵が見つかるが、部屋の中は赤ん坊どころかがらんとしたまま。そして実はサラの誕生日から半年が経過していることが判明する。さらに、実は半年前のサラの誕生日に2人は自動車事故に遭い、夫は亡くなっていたことをサラはようやく思い出す。冒頭から続いてきた不思議な現象は、サラの精神的なショックによるものかと思っていたが、実はまださらに隠れた真実がラストであきらかになる・・・

気軽に観始めた映画であるが、どういう展開になるのかわからないまま観る者を引っ張っていく。登場人物はみな怪しげであり、中心にいるサラ(と観ている者)だけが、事実を知らないかのよう。飼っていた小鳥を埋めたのにそれが掘り返されて机の上に置いてあったりして、なにか普通とは違う状況だというのはわかる。そしてそれが最後にすべてわかるという展開。

考えてみれば、切ない話なのであるが、そこに至る摩訶不思議で怪しい雰囲気満載の内容は短いながらも充分堪能させてくれる。この手の映画としては『ジェイコブス・ラダー』 を思い出す。ホラー映画のようでいて、実は・・・という映画。あまり時間のない時に、ちょっと観るには程よい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2019年12月30日

【アリータ:バトル・エンジェル】My Cinema File 2160

アリータ:バトル・エンジェル.jpg

原題: Alita: Battle Angel
2019年 アメリカ
監督: ロバート・ロドリゲス
脚本: ジェームズ・キャメロン/レータ・カログリディス
原作: 木城ゆきと/『銃夢』
製作: ジェームズ・キャメロン/ジョン・ランドー
出演: 
ローサ・サラザール: アリータ
クリストフ・ワルツ:イド
ジェニファー・コネリー:チレン
マハーシャラ・アリ:ベクター
キーアン・ジョンソン:ヒューゴ
エド・スクレイン:ザパン
ジャッキー・アール・ヘイリー:グリュシュカ
ホルヘ・レンデボルグ・Jr.:タンジ
エドワード・ノートン:ノヴァ

<シネマトゥデイ>
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木城ゆきとのコミック「銃夢」を、ジェームズ・キャメロンが脚本と製作を手掛けて実写化したSFアクション。未来を舞台に、圧倒的な戦闘能力を持つサイボーグ少女が失われた記憶を探る姿を活写する。メガホンを取るのは『シン・シティ』シリーズなどのロバート・ロドリゲス。『メイズ・ランナー』シリーズなどのローサ・サラザール、『ジャンゴ 繋がれざる者』などのクリストフ・ヴァルツらが出演する。ローサがモーションキャプチャーでサイボーグ役に挑む。
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予告を観た時から気になっていたこの映画。元ネタは日本のアニメだというし、おまけにジェームズ・キャメロンの名前まであれば、是非観ないといけない。そしてその期待に応えてくれた映画である。

時は2563年、地上にはスラムのような雑然とした街並みがある一方、その上空には巨大な都市ザレムが浮かんでいる。その上空の都市から何やらゴミが大量に地上に降り注いでいる。そんなゴミの山で、サイバードクターのイドは使えそうな部品を探している。そこで、イドはサイボーグの少女の上半身を発見する。調べてみるとそのサイボーグの脳は無傷であり、イドは残りの体をつなぎ合わせて一体のサイボーグを作り上げる。

イドは街でも腕のいいドクターであり、機能を回復したサイボーグはアリータと名づけられる。イドには強盗に娘を殺された過去があり、妻のチレンはそれが原因でイドと別れ、今は自分の生まれた故郷ザレムに帰るため、街からザレムに人を送る権限を持っているベクターという男の下で働いている。そのベクターは、モーターボールと呼ばれるレース形式の球技を仕切っていて、街の住人に娯楽を提供している。

体を得て歩き回れるようになったアリータは、街でヒューゴという少年と友達になる。時に街では若い女性が連続して殺害される事件が起こっているが、そんな時、アリータは夜な夜なイドが外出して傷を負っては帰ってくることに気づく。ある夜、意を決してイドの後をつけたアリータは、実はイドは「ハンターウォリアー」と呼ばれる賞金稼ぎをしていて、犯罪者であるサイボーグ達を捕らえていることがわかる。

お尋ね者のサイボーグを捕らえようとしたイドだが、相手は予想外の強敵。あわやというところで、アリータは一部の記憶を取り戻す。それは自身が戦士だった記憶。そしてアリータは見事な腕前を披露し、お尋ね者のサイボーグを破壊する。しかし、そのうちの一体であるグリュシュカには逃げられてしまう。そして逃げたグリュシュカは、雇い主のベクターにそれを報告。さらにはそれを知らされたザレムを支配する男ノバは、ベクター達にアリータを殺す様に命じる。

こうしてアリータはザレムを支配するノバとその手下であるベクターに狙われることになる。ヒューゴとの交流で徐々に記憶を取り戻していくアリータ。そして封印されていたアリータの過去が明らかになっていく。サイボーグ化した人間とモーターボールなどで繰り広げられるバトルアクション。見かけは目が異常に大きい少女が無敵とも言える強さを見せてくれる。そのギャップがまた見ていて心地良い。こういうヒーローモノは単純明快に楽しめる。

この未来世界では、進んだ科学技術によって人間の体はすべて作り上げることができる。アリータのように脳以外はすべて機械という人間も数多くいる。機械とはいっても、その機能によっては人力を超えたパフオーマンスが可能になる。そんな人間を超越したサイボーグのバトルがこの映画の1つの魅力かもしれない。原作の『銃夢』(「がんむ」と読むらしい)は読んだことがないが、この映画を観る限りは原作も面白そうである。

自らを狙うベクターが送り込む殺人サイボーグと戦いながら、イドとヒューゴと関わり合って記憶を取り戻していくアリータ。しかし、ザレムを支配するノバとの対決には至らず、また上空に浮かぶザレムの内部もわからないまま映画は終わる。どうやら続編へと続きそうな展開である。モーターボールでチャンピオンになるとザレムへ行くことができる。そしてアリータはその座を目指す。この続きが観られるのであれば、実に楽しみである。

続編を心待ちにしたいジェームズ・キャメロン製作映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2019年12月29日

【ヴェノム】My Cinema File 2159

ヴェノム.jpg

原題: Venom
2018年 アメリカ
監督: ルーベン・フライシャー
出演: 
トム・ハーディ:エディ・ブロック/ヴェノム
ミシェル・ウィリアムズ:アン・ウエイン
リズ・アーメッド:カールトン・ドレイク/ライオット
スコット・ヘイズ:トリース
リード・スコット:ダン・ルイス
ジェニー・スレイト:ドーラ・スカース
ウッディ・ハレルソン:クレタス・キャサディ

<映画.com>
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スパイダーマンの宿敵として知られるマーベルコミックの人気キャラクター「ヴェノム」を、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ダンケルク』のトム・ハーディ主演で映画化。サム・ライミ監督作『スパイダーマン3』にも敵として登場したヴェノムを、「ゾンビランド」「L.A. ギャング ストーリー」のルーベン・フライシャー監督のメガホンで、新たなダークヒーローとして描く。「誰もが望む、歴史的偉業」を発見したというライフ財団が、ひそかに人体実験を行い、死者を出しているという噂をかぎつけたジャーナリストのエディ・ブロック。正義感に突き動かされ取材を進めるエディだったが、その過程で人体実験の被験者と接触し、そこで意思をもった地球外生命体「シンビオート」に寄生されてしまう。エディはシンビオートが語りかける声が聞こえるようになり、次第に体にも恐るべき変化が現れはじめる。
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マーベルのまた新たなヒーローモノである。と言っても、既に『スパイダーマン3』でスーパーマンの敵として登場した相手であり、それが今度は立場が代わり主人公として登場するもの。まぁ次から次へという気がしないでもないが、面白ければいいのかもしれない。

マレーシアのとある場所で宇宙探査機が墜落する。この探査機は、ライフ財団の所有であり、その目的は、いずれ環境破壊で滅びる地球に代わる居住可能な惑星を探すためのもの。実はこの探査船は奇妙なサンプルを採取。しかし、移送の途中で墜落してしまったものである。そのサンプルとは謎の地球外生命体。墜落した探査機から逃げ出したこの地球外生命体は人の身体に次々と乗り移ると、いずこかへと向かう・・・

一方、サンフランシスコに住むジャーナリストのエディ・ブロックは正義感溢れるが、しばしその思いが強すぎて暴走することがある。今回も弁護士である恋人アンのパソコンを盗み見て、「ライフ財団が人体実験で死者を出している」という情報を知り、ライフ財団のCEOドレイクを直撃取材し、情報を突きつける。この取材によりドレイクの怒りを買ったエディは、会社もクビになってしまう。さらにこの騒動に巻き込まれ同じく会社をクビになった恋人アンからは別れを告げられてしまう。

しかし、情報は真実であり、ライフ財団では秘密裏に回収した三体の地球外生命体 “シンビオート”の生態を知るため、ホームレスを連れ去ってはシンビオートと融合させるという人体実験を繰り返している。この非人道的な人体実験に疑問を持ったライフ財団の科学者ドーラはドレイクに隠れてエディにこの情報を流す。ドーラに手を貸すべく研究所に忍び込んだエディだが、そこで囚われていた知り合いのホームレスを助け出そうとした時、シンビオートの一体に寄生されてしまう。

多くの場合、このシンビオートに寄生された人間は死んでしまうのだが、エディの身体はなぜかマッチし、人間の能力をはるかに超えた力を発揮する。肉体がなければ活動できないシンビオートは、エディと一体になって活動するヴェノムとなる。一方、マレーシアから寄生を繰り返しやってきたシンビオートのボス、ライオットはドレイクに寄生。このライオットは財団所有の宇宙船で仲間たちを地球に呼び寄せようと企む。ヴェノムは、ライオットとは仲間ではあるが、これと対峙することになる。

こうしてストーリーは進んでいくが、このシンビオートは人間を食べてしまう。なんとも不気味な風体に、人間を食べるという点でとてもスーパーヒーローとは言い難い。スパイダーマンと敵対するのも無理はない。まぁ、言ってみればダークヒーローと言えるのだろう。生きていくためには人間を食わないといけない。それも脳みそが好みらしい。吸血鬼でも『トワイライト』シリーズの「ベジタリアン(人間の血を吸わない)」がいるくらいだから、人間を食べなくてもいいシンビオートになるのかと思いきや、そうではない。当面は、強盗の頭を食ったりして過ごすのかもしれないが、どう進んでいくのかは見ものである。

今後、スパイダーマンと対峙していくのか、それとも一緒にアベンジャーズ入りしていくのか。シリーズとして続いていくようであるし、楽しみにしてみたいと思う一作である・・・



評価:★★★☆☆







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2019年12月28日

【X―MEN:ダーク・フェニックス】My Cinema File 2158

X―MEN:ダーク・フェニックス.jpg

原題: Dark Phoenix
2019年 アメリカ
監督: サイモン・キンバーグ
出演: 
ソフィー・ターナー:ダーク・フェニックス/ジーン・グレイ
ジェームズ・マカボイ:プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア
マイケル・ファスベンダー:マグニートー/エリック・レーンシャー
ジェニファー・ローレンス:ミスティーク/レイブン
ニコラス・ホルト:ビースト/ハンク・マッコイ
タイ・シェリダン:サイクロップス/スコット・サマーズ
アレクサンドラ・シップ:ストーム/オロロ・モンロー
エバン・ピーターズ:クイックシルバー/ピーター・マキシモフ

<映画.com>
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マーベルコミック原作の大ヒット作『X-MEN』シリーズの7作目で、原作コミックでも重要な作品として名高い「ダーク・フェニックス サーガ」を映画化。X-MENのリーダーであるプロフェッサーXの右腕として、メンバーからの信頼も厚い優等生のジーン・グレイだったが、ある宇宙ミッションでの事故をきっかけに、抑え込まれていたもうひとつの人格「ダーク・フェニックス」が解放されてしまう。ジーン自身にも制御不能なダーク・フェニックスは暴走をはじめ、地上の生命体が全滅しかねない、かつてない危機が訪れる。大ヒットテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目され、前作『X-MEN:アポカリプス』でジーン役に抜てきされたソフィー・ターナーが、今作でも再び同役を演じる。そのほか、プロフェッサーX役のジェームズ・マカボイ、マグニートー役のマイケル・ファスベンダー、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスら、おなじみの豪華キャストが出演。これまでの『X-MEN』シリーズや『デッドプール』『LOGAN ローガン』などで製作や脚本を務めてきたサイモン・キンバーグがメガホンをとり、長編映画監督デビューを果たした。
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『X-MEN』3部作のあと、『X-MEN:ファースト・ジエネレーション』から前日譚という形で始まったシリーズの4作目、通算で7作目の作品。『スター・ウォーズ』シリーズのようであるが、なんだか前日譚の方が重みを増してきている感じである。

本作品の主人公は、ジーン・グレイ。物語はそのジーン・グレイが子供の頃、両親と車に乗っているところから始まる。事はラジオのチャンネル争いという些細なところから始まる。後部座席に乗っているジーンは、自分のパワーを使ってラジオのチャンネルを変えてしまう。それを元に戻す母親。挙句にジーンが大声で叫ぶと、驚いた母親がハンドル操作を誤り、事故を起こしてしまう。これにより両親は帰らぬ人となるが、ジーンは無傷で生き残る。

病院に運びこまれたジーンの元にやってきたのは若き日のチャールズ・エグゼビア。ジーンに面会すると、彼女が特別なパワーを持っていることを伝える。チャールズは孤児となったジーンを自分の特別学校へと連れて行き、同じように特別なパワーを持った他の子供達と一緒に学ばせながら育てるのである。そして月日は流れ、NASAのスペースシャトルでトラブルが発生する。大統領から直々に助けを求められたチャールズは、ジーンを含めたX-MENにスペースシャトル救出へ向かわせる。困難を極めた救出ミッションであり、シャトルに残された乗組員を助け出そうとしたジーンはそのまま太陽フレアーによる大量の放射線を浴びてしまう。

同じ頃、ある夕食パーティーに姿を表した異星人の一行は、パーティーに参加していた人間を殺し、その姿に変身する。その異星人たちはシャトル事故の原因となった太陽フレアーを追ってきたものであり、ある狙いをもって放射線を浴びたジーンを探しているのだった。そのジーンは、パワーレベルが測りきれないくらい強力になり、自分でもコントロール出来なくなってくる。やがて幼い頃、交通事故で死んだはずの父親が生きていることに気付いてしまう。

最初の『X-MEN』三部作では、強力なパワーを持っていてサイクロップスと付き合いながらもウルヴァリンの心を惑わす存在として登場していたジーン・グレイだが、そのパワーの源泉がこの物語で描かれる。幼い頃、そのパワーが原因で両親を失い(実は父親は生きていた)、少なからず心に傷を負って生きている。チャールズもまたその指導において若さを露呈する。

シリーズを通して敵対したり手を携えたりするチャールズとエリック(マグニートー)は、本作では謎の異星人を敵に回し、互いに協力することになる。しかし、パワーを暴走させたジーンはなんとレイブンを殺してしまう。しかし、ちょっと待てよと混乱する。レイブン(ミスティーク)は、『X-MEN』三部作にしっかりと出ていたはず。前日譚であるこのシリーズで死んでしまうのはちょっとおかしい。さらにジーン自身も消えてしまう。

 ミュータント軍が連帯して異星人と対峙する本シリーズ。ミュータントがその持てる力をフルに発揮して活躍する内容は見応え十分。内容的にはまったく問題ないのであるが、『X-MEN』三部作とはどうつながっていくのだろうかが気になるところ。でもこの前日譚シリーズはまだ続くようだし、期待して待ちたいと思う一作である・・・


評価:★★★☆☆










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2019年12月27日

【スターシップ9】My Cinema File 2157

スターシップ9.jpg

原題: Orbiter 9
2016年 スペイン・コロンビア
監督: アテム・クライチェ
出演: 
クララ・ラゴ:エレナ
アレックス・ゴンザレス:アレックス
ベレン・ルエダ:シルビア
アンドレス・パラ:ウーゴ

<シネマトゥデイ>
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公害汚染で死にゆく地球の代わりを探すヒロインと、彼女が出会った青年との運命を描くSFアクション。Netflixのドラマシリーズ「ナルコス」のチームが制作し、『ヒドゥン・フェイス』などの脚本を手掛けたアテム・クライチェが監督を務める。『ヒドゥン・フェイス』などのクララ・ラゴ、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』などのアレックス・ゴンサレスらが出演。
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近未来。恒星間飛行を続ける宇宙船内ではたった1人のクルーであるエレナがいる。宇宙船は、荒廃した地球を捨て、新天地となる星・セレステに向かっている。実は出発時は両親が搭乗していたが、給気装置のトラブルが発生し、十分な酸素が供給できない事態に陥り、両親はエレナを生かすために船を去っていた。以来、船内のAIを唯一の話し相手としてエレナは過ごしてきている。そしてそんなエレナのもとに、ようやく修理要員のエンジニアが乗った宇宙船がドッキングする。

乗り込んできたエンジニアの名はアレックス。エレナにとっては、両親以外に生まれて初めて接する人間となる。若くて美しい女性が1人しかいない船内に同じく若い男が1人乗り込んでくる。当然、微妙な空気が流れるが、何せ人と接してなかったエレナにとっては、アレックスは警戒するよりも興味の対象になる。しかも目的地であるセレステに着くまで、あと20年もこの船で1人の生活を続けないといけないのである。自分だったらと考えると気が変になりそうである。

男なら妙な気を起こしそうなものであるが、アレックスは素っ気ない。給気システムの修理に勤しみ、エレナが食事に誘ってもつれなく断る始末。それでもエレナは人と接するわずかな時間を惜しみ、あえて強くアレックスを食事に誘う。どう見ても美人のエレナの誘いを断るなんてなぜだろうと単純に疑問に思う。しかし、その理由も後にわかる。エレナにしてみれば、この機会を逃せばまた20年の孤独な生活が待っているのである。エレナはアレックスのベッドへと忍びこんでいく・・・

あと20年も宇宙船で孤独に暮らすのなら、いっそのことアレックスと一緒に行けばいいのにと思うも、エレナは修理を終えたアレックスが帰って行くのを黙って見送る。アレックスは無表情にエアロックを開けて自分の宇宙船に帰って行く。ところが歩いているのはどこかの地下通路のようなところ。随分安っぽいセットだと呆れていたら、実はそれは本当の地下通路。そのまま「地上」に出たアレックスは車に乗って移動する。「オイオイ」と思うが、実はなんとエレナが宇宙船だと信じていたのは地下に作られたシミュレーター施設の中だったのである。

このことは、エレナは知らない。あくまでも宇宙船で旅をしていると信じているが、実はこれは「オービター計画」と呼ばれる人類惑星移住計画の一環。やむを得ないとは言え、酷いものである。アレックスは、オービター計画に参加する科学者。シミュレーターは何機もあり、エレナがいるのは“シャトル9”(原題のゆえん)。エレナと一夜を過ごしてからエレナのことが頭から離れないアレックスは(何と言ってもエレナは美人だしそれもよくわかる)、何と再びシャトル9に潜入してエレナを地上へ連れ出す。

エレナは当然ながら大きなショックを受ける。初めての地上に戸惑いながらも、アレックスに匿われて、アパートで過ごす。バレたら大変であり、アレックスは上司のウーゴの目を欺くべく偽装工作を施す。しかし、アレックスが仕事に出掛けたあと、エレナは1人アパートに残る。何をするでもなく暇を持て余せば部屋の中を物色する。するとアレックスの部屋にあったオービター計画に関するファイルを見つける(こんな重要な計画のファイルを家に持ち帰っていいのかどうかはツッコまない)。エレナはそこに耐えがたい真実を見つけてしまう・・・

いくら人類全体の利益のためと言っても、1人の人間を一生閉じ込めておいていいのかというのは極めて倫理的な問題。隠されていたエレナの正体にはそんな懸念を緩和させるものがあるとは言え、それでもやっぱり問題だろうと思わざるを得ない。そしてそんな不自然な関係が隠し通せるはずもなく、エレナが逃走した事実が明らかになる。当然、アレックスとの上司ウーゴは、兵士達にエレナの行方を捜索させる。問答無用の無慈悲な追手がエレナを追う・・・

なんとなく『ブレードランナー』のような展開。『ブレードランナー』と違うのは、アレックスとエレナはとても逃げきれるものではないということ。そしてアレックスとエレナはある決断をする・・・短い映画なのであるが、何かを考えさせてくれるストーリーとあまりにも美形なエレナに何となく心惹かれる。スペイン・コロンビアの合作という点でもちょっと珍しい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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