2020年01月28日

【否定と肯定】My Cinema File 2176

否定と肯定.jpg

原題: Denial
2016年 アメリカ
監督: ミック・ジャクソン
出演: 
レイチェル・ワイズ: デボラ・E・リップシュタット
トム・ウィルキンソン:リチャード・ランプトン
ティモシー・スポール:デイヴィッド・アーヴィング
アンドリュー・スコット:アンソニー・ジュリアス
ジャック・ロウデン:ジェームズ・リプソン
カレン・ピストリアス:ローラ・タイラー
アレックス・ジェニングス:サー・チャールズ・グレイ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
ナチスドイツによるホロコーストをめぐり、欧米で論争を巻き起こした裁判を基に描かれた法廷劇。ユダヤ人歴史学者をオスカー女優のレイチェル・ワイズ、ホロコースト否定論を唱える歴史学者を『ターナー、光に愛を求めて』などのティモシー・スポールが演じるほか、名優トム・ウィルキンソン、『007 スペクター』などのアンドリュー・スコットらが共演。『ボルケーノ』などのミック・ジャクソンがメガホンを取った。
********************************************************************************************************

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットの講演会が行われる。会場の隅でカメラを用意している人物と会場の様子を伺う人物がいる。その正体はすぐに判明する。公演が終わり、質問の時間となる。「ホロコーストの否定論者とは闘わないのですか?」という学生の質問に「否定論者とは話さない。相手するだけ無駄」とデボラは回答する。実は、かねがねホロコーストはなかったと主張する人物がいて、その人物を念頭に置いての回答であった。

そこで立ち上がった人物こそ、密かに会場を伺っていて、ホロコースト否定論を主張するデイヴィッド・アーヴィングであった。ホロコーストなど実際の事件だから否定する余地などなさそうであるが、これは実際の事件の映画化であり、実際にデイヴィッド・アーヴィングは大まじめにそう主張していたようである。「ヒトラーはホロコーストのこともユダヤ人虐殺も命令していない、命令書がない」というのがその主張の根拠。人は見たいものだけを見るという例であろうか。

数年後、デボラにイギリスのペンギンブックス社から連絡があり、アーヴィングが彼女を名誉毀損で提訴したという。同社で出版した本の記述が原因とのこと。裁判を受けて立つことになったデボラは弁護士としてアンソニー・ジュリアスを雇う。裁判がアメリカではなくイギリスで起こされたのは、制度上被告側が立証責任を負うようになっているため。つまり、それはホロコーストがあったということをデボラが法的に証明しなくてはならない事を意味する。

ここから世紀の裁判が始まる。まずデボラの弁護団は、アーヴィングの下を訪ね、日記の提出を要求する。これを彼は承諾するが、なんとなくなぜ敵に協力するのか観ていてよくわからない。さらに弁護団は、弁護方針としてデボラには証言させない方針を打ち出す。デボラとしては、当然ながら証言する気満々なのであるが、裁判で勝つには証言はむしろアーヴィングを煽るだけとジュリアスは答える。このあたり、弁護士として冷静な判断をくだしている。

さらに弁護側は、ホロコーストからの生存者を証人台に立たせることも拒否する。これも効果よりもアーヴィングからの反対尋問で侮辱されて苦痛を受けるだけとすげない。もっとも、アーヴィングは弁護士をたてず、全て自分で対応すると宣言しているだけにその可能性は高い。デボラはそれらの方針に不服であるが、なにせ裁判となれば弁護士の方が専門家であり、渋々同意する。また、実際に法廷に立つのは法定弁護人のリチャード・ランプトンであり、ランプトンは自らアウシュビッツへ足を伸ばす。

こうして、2000年1月。大勢の報道人が詰めかける中、王立裁判所で裁判が始まる。それにしても公の場でホロコーストを否定するアーヴィングは、ある意味大したものだと思う。世間からは当然反感を買うし、これだけの歴史的事実を真っ向から否定するわけである。そして、マスコミに積極的に答えるアーヴィングと沈黙を守るデボラとでは、アーヴィングの方に注目が集まる。裁判所の外にはアーヴィングを支持するネオナチグループの姿もいる。

映画は、そんな裁判の様子を描いていく。しかし、いかに派手なパフォーマンスを繰り広げようとも歴史的事実をひっくり返すのは難しい。派手に振舞うアーヴィングも次第にランプトンに追い込まれていく。へんな同情心に動揺することなく、確固たる弁護方針を貫く弁護団。あらためて裁判とはテクニックなのだという印象を受ける。それが証拠に、最後に判事が発した質問には、結果がひっくり返るのではと背筋の寒くなるシーンもあった。

結果は、「事実」が覆ることなく終わる。そういう意味では普通の結末なのであるが、全体としての印象は裁判そのものに対する後味の悪さだろうか。デボラは勝つためとは言え、裁判中その弁護方針に不満を隠せないし、それは観ている立場も同じ。ホロコーストという明白な事実も、裁判上はなかったことになった可能性もある。それが裁判だと言われればそれまでであるが、そんな裁判の姿が浮かび上がる映画と言える。世の中、いろいろな人がいるなと改めて思わされる映画である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【仁義なき戦い】My Cinema File 2175

仁義なき戦い.jpg
 
1973年 日本
監督: 深作欣二
出演: 
菅原文太:広能昌三
金子信雄: 山守義雄
木村俊恵:山守利香
松方弘樹:坂井鉄也
三上真一郎:新開宗市
川地民夫:神原精一
曽根晴美:矢野修司
田中邦衛:槙原政吉
高宮敬二:山方新一
宮城幸生:川西保
宇崎尚韶:杉谷伸彦
渡瀬恒彦:有田俊雄
名和宏:土居清
梅宮辰夫:若杉寛

<映画.com>
********************************************************************************************************
日本暴力団抗争史上で最も多くの血を流した“広島ヤクザ戦争”をドキュメンタリー的に描く。原作は抗争渦中の人物“美能組”元組長の獄中手記をもとに書き綴った飯干晃一の同名小説。脚本は「日本暴力団 殺しの盃」の笠原和夫、監督は「人斬り与太 狂犬三兄弟」の深作欣二、撮影は「着流し百人」の吉田貞次がそれぞれ担当。
********************************************************************************************************

かつて任侠映画が流行った頃、その代表作とも言えるのがこの『仁義なき戦い』シリーズ。その存在こそ知っていたが、当時まだ小学校低学年であり、当然映画館に観に行くということもなかった。そのまま今日まできたしまったが、やっぱり観ておくべしとAmazon primeで鑑賞に至るもの。

昭和21年、戦後間もない闇市で米軍人に女性が襲われる。こういうシーンは他でも観たことがあるが、実際にあったのだろうか。相手は米軍人であり、誰もが遠巻きに見る中、若き復員兵・広能昌三が友人である山方新一と共に救い出す。その後、酒場で酒を飲んでいる広能の許に、旅のヤクザに負傷させられた山方が山守組々員と共に転がりこむ。広能は山方の敵を討つため相手の元に乗り込み、これを射殺する。

12年の実刑を受けた広能は、獄中で土居組若頭・若杉寛と意気投合し、兄弟の盃を交わす。さらに出獄を狙った若杉の狂言自殺の手助けをする。うまく出獄した若杉は山守組々長・山守義雄に事情を話し、保釈金を払ってもらい広能を釈放させる。広能は若杉と山守に恩義を返すべく、呉の長老・大久保憲一を媒酌人として山守と親子の盃を交わし、山守組の一員となる。

山守組の一員として賭場を開帳していた広能はある夜、上田組々長・上田透に難癖をつけられ、乱闘となる。後日、上田が大久保の遠縁にあたることを山守から知らされた広能は、事態の責任を取るため小指を詰め、大久保の許へ謝罪に訪れる。これでことなきを得たが大久保から呉市の市会議員・中原重人を紹介された山守は、中原から敵対する市会議員・金丸昭一に対する妨害工作を依頼される。だが、金丸のバックには土居組がついており、衝突の懸念がある。しかし、銀行から無利子無期限で事業資金を融資するという中原の申し出に目の眩んだ山守は、依頼を了承する。

懸念は的中し、土居組との抗争に発展する。指を詰めたり、抗争を繰り返したりとヤクザの世界が繰り広げられる。主人公の広能は、義理堅く筋の通った男だが、親分の山守組々長はなんとも情けない親分。金にはケチで弱きには強く信念はない。いざとなれば平気で味方を裏切り、子分を犠牲にするのも厭わない。結局、わりを食うのは義理堅い広能であり、命を狙われる羽目になり、生き延びるため刑務所に舞い戻る。

暴力の世界において筋を通して生きる広能の姿は、多分世の男たちの心を掴んだのだろう。それと同士にヤクザの暴力の世界に普段の日常とは異なる心地よい刺激を受けたのかもしれない。今観ると古めかしい匂いが全編に漂うが、これが昭和の香りでもあるだろう。主演の菅原文太を始め、松方弘樹、田中邦衛、渡瀬恒彦、梅宮辰夫といったよく知っている故人を含む老優陣が若々しく動き回る。おそらく今の時代にこれをリメイクしてもウケないだろうなと思う。

古き良き昭和の時代の映画としては、どこか懐かしい良さがある。良い悪いではなく、時代の映画として観ておきたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月27日

【パピヨン】My Cinema File 2174

パピヨン.jpg

原題: Papillon
2017年 アメリカ
監督: マイケル・ノアー
出演: 
チャーリー・ハナム: パピヨン
ラミ・マレック:ルイ・ドガ
イブ・ヒューソン:ネネット
ローラン・モラー:セリエ
トミー・フラナガン: 刺青の男
ヨリック・バン・ウェイジンゲン:刑務所長

<映画.com>
********************************************************************************************************
脱獄映画の金字塔とも言われる1973年製作の「パピヨン」を、『パシフィック・リム』のチャーリー・ハナムと『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー主演男優賞を受賞したラミ・マレックの共演でリメイク。胸元に蝶の刺青をしていることから「パピヨン」と呼ばれる金庫破りの男は、身に覚えのない殺人の罪で終身刑を言い渡され、南米ギアナの絶海の孤島にある刑務所に投獄される。過酷な強制労働と、横暴な看守たちからゴミのように扱われる日々が続き、脱獄を決意したパピヨンは、紙幣を偽造した罪で逮捕された男ドガに目をつけ、ドガを守ることと引き換えに逃亡費用を稼ごうとする。やがて2人は奇妙な絆で結ばれていくが……。オリジナル版同様、作家アンリ・シャリエールが無実の罪で投獄された実体験をもとに執筆した小説を原作に、オリジナルでスティーブ・マックイーンが演じた主人公パピヨン役をハナム、ダスティン・ホフマンが演じたドガ役をマレックが務めた。監督は「氷の季節」で東京国際映画祭の審査員特別賞を受賞した新鋭マイケル・ノアー。
********************************************************************************************************

『パピヨン』と言えば、スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンが共演(それだけで観る価値十分である)の往年の名画。細かいストーリーは忘れてしまったが、不屈の闘志で脱獄を図る内容で、ラストで断崖絶壁から海へ飛び込むシーンが印象的であった。そんな名画のリメイクとあれば、期待半分、不安半分の気持ちで臨む。

舞台は1931年のパリ。アンリ・シャリエールは金庫破りの名人で盗人。しかし、恨みを買って犯してもいない殺人の罪を着せられ逮捕されてしまう。終身刑を言い渡され、流刑となった先は南米のフランス領ギアナ。なにせ無実の罪であり、アンリは初めから脱獄を狙っている。護送船の中では、国債偽造で大金を手にし、周囲から隠した金を狙われているルイ・ドガの存在を聞かされる。アンリは、ルイに護衛をする代わりとして資金提供を打診する。始めは断ったルイだが、隣に寝ていた囚人が胃の中に隠していた金目当てに殺されるのを目の当たりにし、アンリと手を組むことにする。

20世紀初頭と言えば、先進国フランスでもそれほど人権は重要視されていない。ましてや囚人となればなおさらである。護送船の中では囚人が平気で殺されるし、看守もさして犯人捜しをするわけでもない。そして何より買収がモノをいう世界。アンリが、金を持っているルイと手を組むのも当然と言える。劣悪な環境下での肉体労働は、体力を奪われる。そして物知り顔の囚人仲間が脱獄の手助けを持ち掛けてくる。始めは上訴によって釈放されると考えていたルイも、アンリが居なければ生き延びられないと気付き、一緒に脱獄することにする。

ある日、看守を殺害して脱走を図って失敗して捕まった囚人がギロチンで処刑される。まだそういう時代。殺人さえ犯さなければ処刑はされないが、最初は2年、2回目は5年間の独房入りが待っている。ある日、鞭で叩かれるルイを守ろうとしてアンリが看守を殴り、成り行きで逃走する。あえなく捕まったアンリは2年間の独房収監となる。食事はわずかに固形物が浮かんでいる程度のスープ。話し相手もなく、孤独な日々。人によっては気が狂ってしまってもおかしくない。

そんなアンリにルイは看守を買収したのか毎日ココナッツを届ける。囚人たちもたくましい。しかし、それが見つかってしまう。所長から差し入れた相手を白状しろと迫られるが、アンリは沈黙を守る。食事を減らされ、明かりを閉ざされるという仕打ちに耐え2年間を過ごす。ルイとアンリの絆はますます深まっていく。ルイもアンリもすぐに出られると考えていたのだろうが、月日は無情に過ぎていく。映画は、あくまでも脱獄へ向けた執念を燃やす2人を描いていく。

最初から最後まで一貫しているのは、脱獄に向けた執念。と言っても諦めれば一生をそこで過ごすことになるわけであるから、選択肢はないのかもしれない。それでも困難な脱獄、わずかな可能性を求めてあらゆる手段を考える。裏切りがあり、匿ってくれる者もいない。いつしかまた月日は流れ、心身共に疲弊したアンリの髪に白髪が目立つようになる。そしてついにアンリとルイはうねる荒海に四方を囲まれた断崖絶壁の孤島デビルズ島に送られる・・・

ストーリーに迫力をもたらせているのは、何より実話だということだろう。同じスティーブ・マックイーン主演の脱獄映画として、『大脱走』があった。『大脱走』がどちらかと言えば痛快な物語なのに対し、こちらは重苦しい空気が漂う。アンリ(原作者)の飽くなき執念とルイの最後の選択にも共感できる。子ども心に感動したスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンのコンビに対し、チャーリー・ハナムとラミ・マレックのコンビも引けを取らない。

そしてラストシーン。かつての名作に劣らない、しみじみと心にリメイク作品である・・・


評価:★★★☆☆






posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月26日

【アベンジャーズ/エンドゲーム】My Cinema File 2173

アベンジャーズ/エンドゲーム.jpg

原題: Avengers: Endgame
2019年 アメリカ
監督: アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
出演: 
ロバート・ダウニー・Jr.:トニー・スターク/アイアンマン
クリス・エバンス:スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ
マーク・ラファロ:ブルース・バナー/ハルク
クリス・ヘムズワース:ソー
スカーレット・ヨハンソン:ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
ジェレミー・レナー:クリント・バートン/ホークアイ
ドン・チードル:ジェームズ・ローズ/ウォーマシン
ポール・ラッド:スコット・ラング/アントマン
ブリー・ラーソン:キャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベル
カレン・ギラン:ネビュラ
ダナイ・グリラ:オコエ
ベネディクト・ウォン:ウォン
ブラッドリー・クーパー:ロケット(声)
グウィネス・パルトロウ:ペッパー・ポッツ
ジョシュ・ブローリン:サノス
ベネディクト・カンバーバッチ:スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジ
チャドウィック・ボーズマン:ティ・チャラ/ブラックパンサー
トム・ホランド:ピーター・パーカー/スパイダーマン
ゾーイ・サルダナ:ガモーラ
エバンジェリン・リリー:ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ
テッサ・トンプソン:ヴァルキリー
エリザベス・オルセン:ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ
アンソニー・マッキー:サム・ウィルソン/ファルコン
セバスチャン・スタン:バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー
トム・ヒドルストン:ロキ
デイブ・バウティスタ:ドラックス
ナタリー・ポートマン:ジェーン・フォスター
マイケル・ダグラス:ハンク・ピム
ミシェル・ファイファー:ジャネット・ヴァン・ダイン
ウィリアム・ハート:サディアス・ロス長官
真田広之:アキヒコ
ビン・ディーゼル:グルート(声)
ロバート・レッドフォード:アレクサンダー・ピアース
クリス・プラット:ピーター・クイル/スター・ロード
サミュエル・L・ジャクソン:ニック・フューリー

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『アベンジャーズ』シリーズの完結編で、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でヒーローたちの前に立ちはだかったサノスとの戦いを描くアクション大作。人類の半数が失われた地球で、アベンジャーズのメンバーが再び壮絶なバトルを見せる。メガホンを取るのは、前作や『キャプテン・アメリカ』シリーズなどのアンソニー&ジョー・ルッソ。アイアンマンことトニー・スターク役のロバート・ダウニー・Jrらおなじみの面々が出演する。
********************************************************************************************************

 前作で人類の半分が消失したことにより、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の後、自宅軟禁状態にあったホークアイは妻子を失い、失意のうちに闇の暗殺者に身を落としている。その頃、惑星タイタンから脱出したアイアンマンとネビュラは宇宙船内で燃料も食料も尽き、酸素も残りわずかの状態で最後の時を迎えようとしている。死を覚悟し妻のペッパーに遺言のメッセージを残して眠りにつくトニー・スターク。そこへキャプテン・マーベルが現れ、スタークとネビュラを宇宙船ごと地球へ帰還させる。

 生き残ったアベンジャーズのメンバーは、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、雷神ソー、超人ハルク、ウォーマシン、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのロケット、ネビュラ、そしてキャプテン・マーベル。彼らはサノスの行方を突き止めると、これを急襲する。インフィニティ・ストーンを使った影響で力が衰えたサノスは、抵抗する力もなくソーによっての首を刎ね落とされる。しかし、既にインフィニティ・ストーンはサノスによって破壊されており、消失した人類を戻す術はなくなっていた。

 それから5年の月日が経つ。『アントマン&ワスプ』で量子世界へ旅立ったまま戻れなくなっていたアントマンがふとした偶然で現実世界への帰還を果たす。そして変わり果てた世界の様子に驚きアベンジャーズの元を訪れる。そこで実は量子世界では時間の流れが異なり、現実世界では5年だが、量子世界では5時間ほどしか経っていないこと告げる。そしてそこからタイムスリップができることがわかる。アベンジャーズのメンバーはこの可能性に賭けることにする。

 前作では圧倒的な力の差で屈したサノスにどう対抗するのかと思っていたら、あっさりと首を落としてしまう。さらにインフィニティ・ストーンもなくなり、どうなるのかと思っていたら、タイムトラベルとはという感じ。紆余曲折を経てなんとか1往復のみのタイムマシンの開発を成功させる。そしてもう一度、過去に戻ってインフィニティ・ストーン集めに走るアベンジャーズの面々。面白いのは、5年間というもの、酒浸りの生活を送っていたソーが、すっかりメタボ体型になっているところ。本物の腹なのか、だとしたらたいしたものだと感心する。

 過去に戻ったアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、アントマンは一気に3個のインフィニティ・ストーンが得られる2012年のニューヨークへと向かう。そこでキャプテン・アメリカは、この時代のキャプテン・アメリカと鉢合わせしてしまい、ストーンを巡って戦いとなる。そして引き上げようとした際に、かつての恋人だったペギー・カーターの姿を見かける。これがラストへの布石となる。また、アイアンマンのトニー・スタークも父ハワード・スタークと対面する。

 一方、2013年のアスガルド(『マイティ・ソー ダーク・ワールド』)へと飛んだソーは、かつての恋人ジェーンの下へと向かう。その際に『マイティ・ソー バトルロイヤル』で失った愛用のハンマー“ムジョルニア”も持ち帰る。なんだか総集編という感じの展開である。
 
 そしてクライマックス。圧倒的な力を誇るサノスと再び勢ぞろいしたアベンジャーズ軍団との決戦へと続く。この迫力ある映像はさすがである。大団円のエンディングではあるが、どうも物語全体に“THE END”の雰囲気が漂う。スパイダーマンはこのあとも続くようだが、アベンジャーズとしてはもうこれで終わりということなのかもしれない。それにしてもこれだけのヒーロー集結というのも、スケール的に他の追随を許さないのではないかと思う。大迫力の戦闘シーンは息をするのも忘れてしまいそうなほど。ラストは意外性もあって、これで終わりというのも寂しい気がする。

 今後はまた元に戻ってソロ活動に入るのだろうか。どんな形であれ、マーベルのヒーローモノはこれからも観続けていきたいと思う一作である・・・


評価:★★★☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | スーパーヒーロー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月25日

【ミッシング・デイ】My Cinema File 2172

ミッシング・デイ.jpg

原題: Reclaim
2014年 中国・マレーシア・アメリカ
監督: アラン・ホワイト
出演: 
ジョン・キューザック: ベンジャミン
ライアン・フィリップス:ティーブン
ラシェル・ルフェーブル:シャノン
ジャッキー・ウィーバー: レイガート
ルイス・ガスマン: 警察本部長

<映画.com>
********************************************************************************************************
ジョン・キューザックとライアン・フィリップが共演し、養子縁組の仕組みにつけこむ人身売買集団と養女を奪われた夫婦が戦いを繰り広げるサスペンスアクション。養子縁組で迎えたばかりの娘ニーナが忽然と姿を消してしまったスティーブンとシャノンの夫妻。慌てていたところにさりげなく近づいてきた男ベンジャミンの助言を受け、ニーナを探し始める。やがて夫婦は、自分たちが養子縁組を悪用した詐欺に引っ掛かったことを知るが、娘を取り戻すため、謎の集団を相手に自分たちだけを頼りに戦い抜く。
********************************************************************************************************

ハイチにマグニチュード7の大地震が起こる。救援活動は困難を極め、多くの犠牲者が出る。その中には、親を失う子供たちもいる。そしてそんな孤児を国際養子縁組で迎えようとする人たちがいる。スティーヴンとシャノンの夫妻は、過去の自動車事故で子どもができなくなり、サイトを通じてニーナという少女と国際養子縁組をすることになる。プエルトリコで書類のサインをし、ニーナのパスポートができるまでの間、新しい親子3人は担当が用意してくれた海辺のコテージにやってくる。隣家には研修にきているというベン(ベンジャミン)がおり、挨拶を交わす。

その夜、ベンの家が騒々しく、スティーヴンはいい気がしない。翌日、ベンは謝罪に訪れ、ベロニカとサロを紹介される。ベンは何となく胡散臭さが漂う。スティーヴンがホテルを移ったのは賢明な選択だと思う。しかし、次の夜、眠れないスティーブンが散歩に行くと、店でベンたちと会う。帰ろうするが、無理やり引き留められ、やめていた酒を強要される。さらには難癖をつけられスティーヴンはサロに暴行される。警察では本部長に親切にされる。

事件は翌朝に起こる。スティーヴンとシャノンが目を覚ますとニーナがいない。二人は必死になってホテル中を探すが、どこにも見当たらない。警察が捜査にあたるが、養子縁組のサイトはなくなっており、電話してもつながらない。訪ねて行くと、既にもぬけの殻。警官が領事館に問い合わせても、ニーナと紹介業者は申請すらされていない。既に業者に大金を払っていたスティーブンに対し、警察は、これは“Reclaim”(原題)という詐欺であると伝える。現在多発しており、追跡は難しいと説明される。

諦めきれないスティーヴンとシャノンは独自に町の人に聞き込みを始める。スティーヴンは正規のお金に加え、理由をつけて追加のお金を請求され支払っている。そんな2人にベンが再び接触してくる。親切に話を聞くベンは、力になれると2人を信じさせて某所に連れていくと、銃を突きつけそのまま2人を監禁する。ベンは2人の過去の事故の示談金のことを知っており、ついにその本性を現す・・・

見知らぬ外国で犯罪に巻き込まれるというのは恐ろしいと思う。さらに妻と一緒となると、逃げるに逃げられない。主人公のスティーブンは、詐欺と強盗と二つの犯罪に巻き込まれる。スティーヴンにも脇の甘いところがあるのは確か。こうした映画を観ると、ついつい自分はどのように行動するべきだろうと考えてしまう。まぁ、日本人の感覚ではあまり国際養子縁組なんて考えないかもしれないが、強盗は気をつけていればいいというものでもない。

B級映画にはお馴染みのジョン・キューザックが怪しげなベンを演じ、脇役でよく目にするライアン・フィリップスが純情なスティーヴンを演じる。ともに顔なじみのある俳優さんだけに、親近感を感じる。ストーリーはそれなりにハラハラドキドキ。奥さんのシャノンが思いもかけず活動的で、それが2人の窮地を救う助けとなる。自分がスティーヴンだったらどうするだろうと想像しながら観るのは面白い。

それにしてもこんな詐欺が横行していたら、災害で孤児になった子供たちは救われないなとつくづく思う。詐欺師なんてそんなことは欠片も考えないのだろうが、どんなに窮地に陥っても自分は手を染めたくないものだと思ってしまう。ラストはハッピーエンドだが、それがいっそう心地良く思える映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする