
原題: Tracks
2013年 オーストラリア
監督: ジョン・カラン
原作: ロビン・デビッドソン
出演:
ミア・ワシコウスカ: ロビン・デビッドソン
アダム・ドライバー: リック・スモーラン
ローリー・ミンツマ: ミスター・エディ
<シネマトゥデイ>
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1977年にオーストラリア西部の3,000キロに及ぶ砂漠を単独横断した女性が著した回顧録を基に、『ジェーン・エア』などのミア・ワシコウスカ主演で映画化。24歳の女性が4頭のラクダと愛犬と一緒に敢行した砂漠の旅を通して、出会いや経験を重ねていく姿をつづる。監督は『ストーン』などのジョン・カラン、『フランシス・ハ』などのアダム・ドライバーが共演する。オーストラリアの壮大で美しい自然と、過酷な旅に身を投じるヒロインを体現するミアの熱演が見どころ。
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実在の女性冒険家ロビン・デヴィッドソンの実話を基にした映画。女性単独でオーストラリアの砂漠を徒歩で横断したというのはなかなかである。舞台は1975年、アリススプリングスにロビンが愛犬のディギディとともにやってくるところから始まる。何のツテもなかったのだろう、ロビンは街を転々としながらラクダを買うためのお金とツテを探す。ラクダ牧場に行き、調教技術を学びつつ、ラクダをもらう約束で格安で働くが、挙句に約束を反故にされてしまったりする。
それでもめげずに朽ち果てた一軒家に住み込み、チャンスを待つ。そして友人のツテで「ナショナルジオグラフィック」からの資金援助を得ることに成功する。ただし、それには交換条件があり、横断中の様子をカメラマンのリックが撮影する機会を設けること。可能な限り、独力で達成を目指していたロビンにとっては好ましくないが、資金確保のために渋々条件を飲む。そして何とかラクダ4頭を確保し、1977年4月、愛犬ディギティを連れ、ついにオーストラリア砂漠横断の旅を開始する。
カメラマンのリックによる撮影は初日に続き、横断29日目にエアーズロック付近で行われる。リックは男のくせにおしゃべりで、ロビンは鬱陶しく思う。それでも夜はキャンプの日々。砂嵐に往生したり厳しい自然に弱気になる中で、人恋しさもあってか、ロビンはいつしかリックと一夜を共にする。しかし、リックはやはりジャーナリストであり、アボリジニの秘儀を無断で撮影してアボリジニの怒りを買い、その行為はロビンの旅にも悪影響を与える。
ロビンの旅は、オーストラリアの砂漠についていろいろと教えてくれる。もともとラクダは持ち込まれたものらしいが、気候風土にあっていたのかかなり繁殖して野生のラクダがいるそうである。温厚そうだが、野生のラクダは(去勢していないが故に)繁殖期には危険だとか。遭遇したらすぐ射殺しろとロビンは教えられる。また、アボリジニには聖地があって、通行する際に案内人なしでは女が通ることは禁止されている。
こうして映画はロビンの旅を追っていく。アボリジニのハンターに助けられ、リックは途中に水のタンクを置いておいてくれる。理由はわからないが、砂漠の真ん中で老夫婦がひっそりと暮らす家があり、そこで束の間の休息を得る。朝目覚めればラクダがいなくなって慌てて探す。一旦、方角を見失うとわからなくなる。その時助けてくれた愛犬ディギディは毒を誤飲してしまい、泣く泣く射殺せざるを得なくなる。
ロビンの旅は、砂漠を横断して西海岸にたどり着くこと。横断にかかった時間は何と195日。最果てのインド洋はどこまでも青く、海に飛び込むロビン。その喜びと安堵に溢れる表情は何とも言えない。演じるのは、ミア・ワシコウスカ。選んで観ている訳ではないが、それでもコンスタントに出演作品を目にするということは、割とそれなりの作品に出ているという証だと思う。砂漠での撮影は大変だったのではないかと何となく推察される。
砂漠といえばアラブが思い浮かぶが、アラブの砂漠とはまたちょっと異なる、されどラクダが似合う。オーストラリアの自然も見ることができて、改めてその大きさを感じさせてくれる映画である・・・
評価:★★☆☆☆