2020年04月29日

【奇跡の2000マイル】My Cinema File 2211

奇跡の2000マイル.jpg

原題: Tracks
2013年 オーストラリア
監督: ジョン・カラン
原作: ロビン・デビッドソン
出演: 
ミア・ワシコウスカ: ロビン・デビッドソン
アダム・ドライバー: リック・スモーラン
ローリー・ミンツマ: ミスター・エディ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
1977年にオーストラリア西部の3,000キロに及ぶ砂漠を単独横断した女性が著した回顧録を基に、『ジェーン・エア』などのミア・ワシコウスカ主演で映画化。24歳の女性が4頭のラクダと愛犬と一緒に敢行した砂漠の旅を通して、出会いや経験を重ねていく姿をつづる。監督は『ストーン』などのジョン・カラン、『フランシス・ハ』などのアダム・ドライバーが共演する。オーストラリアの壮大で美しい自然と、過酷な旅に身を投じるヒロインを体現するミアの熱演が見どころ。
********************************************************************************************************

実在の女性冒険家ロビン・デヴィッドソンの実話を基にした映画。女性単独でオーストラリアの砂漠を徒歩で横断したというのはなかなかである。舞台は1975年、アリススプリングスにロビンが愛犬のディギディとともにやってくるところから始まる。何のツテもなかったのだろう、ロビンは街を転々としながらラクダを買うためのお金とツテを探す。ラクダ牧場に行き、調教技術を学びつつ、ラクダをもらう約束で格安で働くが、挙句に約束を反故にされてしまったりする。

それでもめげずに朽ち果てた一軒家に住み込み、チャンスを待つ。そして友人のツテで「ナショナルジオグラフィック」からの資金援助を得ることに成功する。ただし、それには交換条件があり、横断中の様子をカメラマンのリックが撮影する機会を設けること。可能な限り、独力で達成を目指していたロビンにとっては好ましくないが、資金確保のために渋々条件を飲む。そして何とかラクダ4頭を確保し、1977年4月、愛犬ディギティを連れ、ついにオーストラリア砂漠横断の旅を開始する。

カメラマンのリックによる撮影は初日に続き、横断29日目にエアーズロック付近で行われる。リックは男のくせにおしゃべりで、ロビンは鬱陶しく思う。それでも夜はキャンプの日々。砂嵐に往生したり厳しい自然に弱気になる中で、人恋しさもあってか、ロビンはいつしかリックと一夜を共にする。しかし、リックはやはりジャーナリストであり、アボリジニの秘儀を無断で撮影してアボリジニの怒りを買い、その行為はロビンの旅にも悪影響を与える。

ロビンの旅は、オーストラリアの砂漠についていろいろと教えてくれる。もともとラクダは持ち込まれたものらしいが、気候風土にあっていたのかかなり繁殖して野生のラクダがいるそうである。温厚そうだが、野生のラクダは(去勢していないが故に)繁殖期には危険だとか。遭遇したらすぐ射殺しろとロビンは教えられる。また、アボリジニには聖地があって、通行する際に案内人なしでは女が通ることは禁止されている。

こうして映画はロビンの旅を追っていく。アボリジニのハンターに助けられ、リックは途中に水のタンクを置いておいてくれる。理由はわからないが、砂漠の真ん中で老夫婦がひっそりと暮らす家があり、そこで束の間の休息を得る。朝目覚めればラクダがいなくなって慌てて探す。一旦、方角を見失うとわからなくなる。その時助けてくれた愛犬ディギディは毒を誤飲してしまい、泣く泣く射殺せざるを得なくなる。

ロビンの旅は、砂漠を横断して西海岸にたどり着くこと。横断にかかった時間は何と195日。最果てのインド洋はどこまでも青く、海に飛び込むロビン。その喜びと安堵に溢れる表情は何とも言えない。演じるのは、ミア・ワシコウスカ。選んで観ている訳ではないが、それでもコンスタントに出演作品を目にするということは、割とそれなりの作品に出ているという証だと思う。砂漠での撮影は大変だったのではないかと何となく推察される。

砂漠といえばアラブが思い浮かぶが、アラブの砂漠とはまたちょっと異なる、されどラクダが似合う。オーストラリアの自然も見ることができて、改めてその大きさを感じさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | アドベンチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月28日

【最低。】My Cinema File 2210

最低。.jpg
 
2017年 日本
監督: 瀬々敬久
出演: 
森口彩乃: 美穂
佐々木心音: 彩乃
山田愛奈: あやこ
忍成修吾: 健太
森岡龍: 日比野
江口のりこ: 美紗
渡辺真起子: 泉美
根岸季衣: 知恵
高岡早紀: 孝子

<映画.com>
********************************************************************************************************
人気AV女優の紗倉まなによる同名小説を、『ヘヴンズ ストーリー』 『64 ロクヨン』などを手がけた瀬々敬久監督のメガホンにより映画化。平凡な日常に耐えきれず、新しい扉を開く34歳の主婦・橋本美穂。ギクシャクした関係性の家族たちから逃げるように上京し、AV女優として多忙な毎日を送る25歳の彩乃。奔放な母親に振り回されながらも、絵を描いている時だけは自由になれる17歳の女子高生・本間あやこ。境遇も年齢も性格もバラバラながら、それぞれAVと関わりを持つという共通点のある3人の女たち。ある出来事をきっかけに彼女たちの運命が大きく動き始める。主人公の3人を森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈が演じ、高岡早紀、渡辺真起子、根岸季衣、忍成修吾らが脇を固める。
********************************************************************************************************

登場人物は3人の女性。主婦の橋口美穂は34歳。年齢的にも子供を産むのはそろそろ限界であり、子供を欲しいと訴えるが夫の健太はいつものように気乗りのしない返事をするだけ。それに加えて最近は寝室を別する有様。興味がないのかと思いきや、こっそりAVを観ていたりする。妻の心境としてはやるせないだろう。

もう1人は高校生のあやこ。絵をかくのが得意で、いつも自分の部屋で絵を描いている。あやこの母孝子は出戻りのシングルマザーだが、実家に帰ってきたのをいいことに自分の母親の収入で飲み歩く日々。あやこはそんな母親とは別に祖母が営業する飲食店を手伝っている。そんなあやこは、友達は少なく、学校でも浮いた存在。ただ、1人の男子があやこに密かに思いを寄せている。

最後の1人は、AV女優をしている25歳の彩乃。専門学校への進学を理由に上京したが、どういう経緯かこの業界に入っている。ある日、撮影を終えた彩乃に母親から電話がかかってくる。「変な仕事していないか」と問う内容。親にバレるというのもなかなか辛いが、彩乃はそのまま電話を切る。その夜、バーに寄った彩乃は、サラリーマンらしき男と知り合う。

こうして何の関係もない3人の女性を映画は追っていく。共通点は「AV」。彩乃はAV女優をしており、あやこは母親がかつてAV女優をしていた過去があり、美穂は何と夫がありながらAVへの出演を決めるという具合。それぞれ苦悩を抱えている。3人姉妹の真ん中である彩乃は自分だけかわいくないと劣等感を抱いている。それが1人上京してきた理由であろうし、チヤホヤされてお金になるAV女優をやっている理由なのだろう。

あやこは、密かに絵を描いているが、コンクールに出品した絵が賞を受賞する腕前。学校の掲示板にそのニュースが貼り出されるが、友人たちに注目されてもそれが苦手なあやこは、素っ気ない態度を取る。美穂は父親が入院しており、既に昏睡状態。姉とともに付き添うが、何でもそつなくこなす美穂に対し、姉の美紗はコンプレックスを抱いている。そんな美穂はAVの事務所に応募し、話を進める。

彩乃の下には郷里から母と妹が訪ねてくる。電話を無視し続けていたためであるが、今さらAV出演を咎められても彩乃には返す言葉もなく、うざったいだけ。その心中も、また母親の心境もよくわかる。そんな彩乃を母は思わず平手打ちしてしまうが、そんなことで子供の心は開かれない。あやこの携帯にメールが入り、見ればあやこの母親がかつてAV女優をしていたことが書かれている。高校生ともなれば、ショックも大きいだろう。

そんな3人を映画は淡々と描いていく。人生必ずしも順風満帆ではなく、誰にでも苦悩はある。みんなうまくいかないことを抱えて生きている。悶えながら生きている。そんなことを訴えかけてくる。最近は、AV女優も美形が多い。ひと昔前のように、「後ろめたい職業」でもないのかもしれない。男の立場からは好ましいが、その裏側にはこんなドラマがあったりするかもしれないと思ってみる。

AV出演を夫に告白する美穂。当然ながらショックを受ける夫。その後、この夫婦はどうなったのだろうか。郷里に帰る母親を見送る彩乃。母親の表情を見ていると、それまでのわだかまりが消えていきそうな気がする。あやこも高校を卒業してどんな大人になっていくのだろう。3人の物語は、あくまで一時点のもの。その先の物語をちょっと覗いてみたいという余韻を残してくれた映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月26日

【ホース・ソルジャー】My Cinema File 2209

ホース・ソルジャー.jpg

原題: 12 Strong
2018年 アメリカ
監督: ニコライ・フルシー
出演: 
クリス・ヘムズワース: ミッチ・ネルソン大尉
マイケル・シャノン: ハル・スペンサー准尉
マイケル・ペーニャ: サム・ディラー
ナビド・ネガーバン: ドスタム将軍
トレバンテ・ローズ: ベン・マイロ
ジェフ・スタルツ: ショーン・コファーズ
サッド・ラッキンビル: バーン・マイケルズ
ロブ・リグル: バワーズ中佐
ウィリアム・フィクトナー: マルホランド大佐

<映画.com>
********************************************************************************************************
『マイティ・ソー』 『アベンジャーズ』のクリス・ヘムズワース主演で、9・11直後に行われたテロとの戦いに身を投じたアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の隊員たちの活躍を描いた実録戦争ドラマ。米同時多発テロ翌日の2001年9月12日、対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉は、わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧する任務に就く。反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍の協力が得られるものの、12人の部隊に対して敵勢力は5万人。加えて戦場のほとんどが険しい山岳地帯のため、馬こそが最大の武器だとドスタム将軍は言う。隊員のほとんどが乗馬経験のない中、ネルソン大尉らは馬に乗って厳しい戦いを強いられる。プロデューサーに『パイレーツ・オブ・カリビアン』 『ブラックホーク・ダウン』のジェリー・ブラッカイマー。監督はデンマークの映像作家で、報道写真家でもあるニコライ・フルシー。共演にマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャのほか、ヘムズワースと実際に夫婦でもあるエルザ・パタキーが、ヘムズワース扮するミッチ・ネルソンの妻役で出演し、夫婦共演を果たしている。
********************************************************************************************************

時に2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが勃発する。米陸軍に所属するミッチ・ネルソンは、新居への引っ越しの最中にこのニュースを見る。妻と幼い娘のために願い出た内勤転属が認められたものだったが、ネルソンはすぐに現場復帰するために軍部へと向かう。妻も黙って見送るだけ。チームの仲間たちはネルソンの復帰を歓迎し、チームはすぐに現場へ派遣されることになる。

10月16日、ミッチ・ネルソン大尉が率いる陸軍特殊部隊がウズベキスタンに到着する。軍は反タリバンである北部同盟がテロ集団の拠点であるアフガニスタン北部の都市マザリシャリフを制圧するのを空爆支援することを計画しており、北部同盟のドスタム将軍のもとに部隊の派遣をすることになる。ネルソンはこれに志願し、12人の部下(原題のゆえん)たちとともにテロ首謀者のビンラディンとタリバンへの米軍最初の反撃に当たることになる。11月半ばには雪のため山道が封鎖されるため、許された期間は3週間。こうしてネルソンのチームは出発する。

チームはヘリで現地へと飛ぶ。案内役のCIA工作員から簡単に現地のレクチャーを受けるが、工作員はすぐに次の任務へと向かってしまう。翌日現れたドスタム将軍は、ひと癖もふた癖もある人物。さっそく行動を共にすることになるが、移動手段は馬。牧場育ちのネルソン以外、チームのメンバーの乗馬体験はゼロ。しかし、選択肢はなくネルソンはチームを分けて騎馬隊を組み、将軍に従い険しい山に挑む。これが下手な邦題のゆえんであるが、下手な邦題のおかげでこの映画の魅力が半減している。

チームの役割は空爆支援。現地は山岳地帯でもあり、空からの偵察には限界がある。そこで地上部隊が爆撃地点を特定して空軍に座標を送るというスタイル。タリバンと交戦するドスタム将軍の部隊と行動を共にし、時にタリバン勢と交戦しながら空軍に情報を送る。タリバンには戦車もロケット砲もあり、基本的に馬と自動小銃のドスタム将軍よりも装備が優っていたりする。その猛攻撃下、ネルソン部隊は馬を走らせ応戦する。空爆支援があったとしてもなかなか大変である。

この物語は実話を基にしているそうであるが、映画であるから当然エンタメ要素としてのフィクションは入っているだろう。実際、どの程度乗馬して戦闘に参加したのかはわからないが、アフガニスタンの奥深く潜入して現地の反タリバングループと連携して作戦に当たったのは事実であろう。それはそれで大変な任務であろうから、やたらにできるものではないと思う。そして実際の作戦は多分この映画に描かれているようなヒーロー的要素満載のドンパチとは無縁だったのではないかなどと思ってみる。

だから意味のない映画という気はない。実話をベースにしたエンタメと考えれば十分堪能できる。主演は、マイティー・ソーのクリス・ヘムズワースだし、スカッとしたい気分なら十分楽しめる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 軍事アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月25日

【ひみつのアッコちゃん】My Cinema File 2208

ひみつのアッコちゃん.jpg

2012年 日本
監督: 川村泰祐
出演: 
綾瀬はるか: 加賀美あつ子(アッコ)
岡田将生: 早瀬尚人
谷原章介: 熱海専務
吹石一恵: 青山マリくん
塚地武雅: 守衛さん
大杉漣: 中村前社長
吉川愛: 少女のあつ子(アッコ)
もたいまさこ: 大庭鶴子(ツルさん)
鹿賀丈史: 鬼頭(キトウって人)
香川照之: 鏡の精

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
「テクマクマヤコン〜」「ラミパスラミパス〜」の呪文でおなじみ、赤塚不二夫の国民的人気コミック「ひみつのアッコちゃん」を実写映画化。魔法のコンパクトで小学生から22歳の大学生に変身してしまったアッコちゃんが、ひとめぼれした青年が勤める化粧品会社を立て直すため奮闘する。アッコちゃんに綾瀬はるか、彼女の初恋の相手には『プリンセス トヨトミ』で共演している岡田将生。フィギュアスケーター、客室乗務員、バイクレーサーなど次々に変身する綾瀬の七変化に心躍る。
********************************************************************************************************

最近では昔のアニメが実写映画化されるのが珍しくなくなっている。ちょっと思い返してみても、『ゲゲゲの鬼太郎』『ヤッターマン』『ルパン三世』『スピードレーサー(マッハGO!GO!GO!)』という感じである。なんで今更と思うが、かつて観ていた世代をそれだけ意識しているのかとも思う。そして今度は「ひみつのアッコちゃん」である。

主人公のアッコは、小学5年生。ある時、同級生の男子たちがやって来てボールを投げる。ボールはアッコに当たり、その時に大事にしていたコンパクトの鏡が割れてしまう。悲しんだアッコは、コンパクトを庭に埋めてお墓にする。小学生ではよくありがちな事である。するとその夜、アッコが夜中に目覚めると鏡の精が現れ、鏡を大切にしてくれたお礼にと魔法のコンパクトをくれる。

変身したいときは『テクマクマヤコン、テクマクマヤコン』、元に戻りたいときは『ラミパスラミパスルルルルル』という呪文はそのまま。懐かしい感じがする。アッコはさっそく大人に変身してみる。美しく成長したアッコが綾瀬はるかというわけである。そんな魔法の鏡をどう利用するか。最初は、いじわるな男の子たちにいじわるされた時に婦人警官に変身して叱りつけるという他愛ないもの。その時、アッコは偶然尚人という青年に会い、一緒に観覧車に乗って話をする。

やがて冬休みが始まるが、塾に行きたくないアッコは、親戚に成りすまして塾に行けなくなったと説明する。大人の姿で街に繰り出したアッコは、化粧品売り場で尚人と再会する。尚人は赤塚化粧品の企画開発部のエリートで、化粧品の感想をアッコに聞く。体は大人でも中身は小学生のアッコは素直な感想を話すが、これが逆に尚人の気に入り、アッコは冬休みの間、尚人の下で働くことになる。

そのころ赤塚化粧品は、経営不振から熱海専務主導によるゴールド工業からの資本出資の準備が進んでいる。ゴールド工業の鬼頭の言いなりの熱海は、尚人の新商品の開発をことごとく却下している。言ってみればお家騒動である。このお家騒動にアッコが絡んでいくというのがこの映画のストーリー。小学生のアッコがどう大人の世界で振舞っていくのか。実際はどうだとか、細かいことを突いてはいけない。そこは大人の目で観る必要がある。


アッコは総理夫人に変身して赤塚化粧品を宣伝したり、尚人が慕う前社長に変身して尚人の相談に乗り、熱海に変身してゴールド工業との秘密の話を探る。筆頭株主の大庭鶴子を説得しに行き、会社の命運は株主総会へと持ち越される。この後の展開は、真面目に観ているといかがなものかと思わざるを得ない。しかし、そこはお子様アニメであると考えて寛大に観ていくしかない。それにしてもゴールド工業の鬼頭演じる鹿賀丈史は、『七つの会議』でも腹黒な会社役員として登場したが、この手の役柄はよく似合う。

子供の頃、「ひみつのアッコちゃん」を見たことはあったが、ほとんど忘れてしまっている。女の子が主人公のアニメだし、それほど熱心に見ていたわけではないと思う。それにしても、原作が赤塚不二夫だというのはちょっとしたトリビアだし(それで赤塚化粧品なのかもしれない)、中身は小学生の大人を演じる綾瀬はるかは見ていて楽しそうだし、あまり細かいことを突っ込まなければそれなりに面白い。一件落着となり、アッコは小学生に戻る。そして10年後、アッコは赤塚化粧品の面接を受けに行き、面接官をしていた尚人と再会する。そんなお話もまた良しである。

子供の頃には、変身願望というものが誰にでもあるものだろう。そんな願望をうまく捉えたがゆえに、原作アニメはヒットしたのだろうと思う。実写映画化は、アニメよりもぐっと現実味を帯びて見させてくれるところがある。ただ、「ひみつのアッコちゃん」は特別変身シーンが売り物というわけでもないので、ごく普通のドラマである。予定調和のストーリーはそれほど面白いというわけではないが、綾瀬はるかの熱演だけでも観る価値はあるかもしれない。

原作アニメを見たことのない今の子供たちがどんな感想を持つのか。ちょっと聞いてみたい気がする映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月24日

【ジョーカー】My Cinema File 2207

ジョーカー.jpg

原題: Joker
2019年 アメリカ
監督: トッド・フィリップス
出演: 
ホアキン・フェニックス: アーサー・フレック/ジョーカー
ロバート・デ・ニーロ: マレー・フランクリン
ザジー・ビーツ: ソフィー・デュモンド
フランセス・コンロイ: ペニー・フレック
ビル・キャンプ: ギャリティ刑事
シェー・ウィガム: バーク刑事
ブレット・カレン: トーマス・ウェイン

<映画.com>
********************************************************************************************************
「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化。道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか。原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く。第79回ベネチア国際映画祭で、DCコミックスの映画作品としては史上初めて最高賞の金獅子賞を受賞して大きな注目を集め、第92回アカデミー賞でも作品賞ほか11部門でノミネートされ、主演男優賞と作曲賞を受賞した。「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。これまでジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレット・レトが演じてきたジョーカーを、「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスが新たに演じ、名優ロバート・デ・ニーロが共演。『ハングオーバー!』シリーズなどコメディ作品で手腕を発揮してきたトッド・フィリップスがメガホンをとった。
********************************************************************************************************

人気シリーズとなると、最近ではスピンアウトも当たり前になってきている。人気作品一本では描ききれない事情。主人公以外の登場人物の知られざるエピソード。人気作品であればあるほど、その裾野は拡大して行く。そして「バットマン」もゴードン刑事を主人公にしたドラマ「ゴッサム」ができ、そしてついに悪の宿敵ジョーカーに光が当たる。この作品は、ジョーカーの誕生物語である。

ところはゴッサム・シティ。市の衛生局がストライキをおこなってゴミ収集を停止しており、街中にはゴミがうず高く積み上げられ、腐敗臭が漂い、スーパーラットが市民を悩ませている。そんなゴッサム・シティに住むアーサー・フレックは貧しい道化師。ピエロ派遣サービスに所属し、わずかな仕事で細々と母親を養って暮らしている。そんなアーサーは、脳と神経の損傷から緊張すると笑いの発作に襲われる病気を患っている。母親も病弱であり、30年前に仕えていた大富豪トーマス・ウェインへ助けを求める手紙を書いては返事を待つ毎日を過ごしている。

しかし、福祉予算の削減で、アーサーはソーシャルワーカーのカウンセリングと向精神薬の支給が打ち切られてしまう。さらには、ピエロ姿で閉店セールの宣伝をする仕事中、ストリートギャングの若者に袋叩きにされ、預かり物の宣伝看板も破壊されてしまう。看板の弁償を求められたアーサーは途方にくれる。そんなアーサーに同僚は身を守るようにと拳銃を渡す。悪いことは重なるもので、小児病棟を訪れピエロ姿での仕事中、拳銃を所持しているのが発覚し解雇されてしまう。こうしてアーサーは少しずつ追い詰められていく。

絶望した帰り道、ピエロ姿のまま地下鉄に乗ったアーサーは、3人のエリート・ビジネスマンが女性に絡んでいる場に居合す。アーサーは非力でとても女性を助けられない。しかも緊張からか笑いの発作が抑えられず、逆にビジネスマンたちに絡まれてしまう。さらに袋叩きに遭うに至り、堪えられなくなったアーサーは拳銃を取り出し、彼らを射殺してしまう。アパートに帰り着くと、エレベーターでシングルマザーのソフィーと出会う。ソフィーと親しくなったアーサーは、自分の出演するコメディショーにソフィーを招待するが、例によって笑いの発作が起こり、ショーは失敗に終わる。

徐々に徐々にのちのジョーカーが型作られていく。もともと精神を病んでいる、仕事でピエロの格好をしている。結婚もしておらず、半分イかれた母親と2人暮らしという恵まれているとは言えない生活環境。それでも人々を笑わせなければならない。バットマンとの絡みももっと後のこと。わずかに母親がかつてトーマス・ウエインの屋敷で働いていたという繋がりがあるのみ。しかし、この母親がとんでもない秘密をアーサーに打ち明ける。

アーサーの狂気は、いつもアーサーが見ている人気トークショー番組の司会者マレー・フランクリンとの絡みで弾みがつく。このマレーを演じるのが、なんとロバート・デ・ニーロ。いつも番組に出演することを夢想していたアーサーだが、それがなんとスベったはずのコメディショーがマレーの目に止まったことから実現する。人間悪い事ばかりではないのであるが、それを活かせるか否かはまた別の問題。ジョーカーもこの映画を観る限り、のちのバットマンの宿敵になるのを回避する機会はあったことになる。

興味深く観始めた映画であるが、「バットマン」、特に『ダークナイト』のジョーカーをイメージしているとどうも違和感が強くなる。もちろん、バットマンと絡む以前の話であるから同じである必要はないのだが、『ダークナイト』に登場する知的で狂気の男とはかなりの距離がある。それに年齢も。アーサーはウェイン邸へ行きブルース・ウェインと出会うが、ここではブルースはまだ子供。くたびれた中年のアーサーとはかなりの年齢差がある。

そしてそれまでアーサーが信じてきたものが、母親との絆も含めて崩れていく。ソフィーとの交際も妄想。そうして崩壊のドラマは「ジョーカー」誕生へと向かう。ドラマ自体は興味深い展開が続くが、どうしても「『ダークナイト』のジョーカー」とは違和感がぬぐい切れない。創り手ならではの思いはあるのだと思うが、観る側のそれと異なったとしても致し方ない。

ジョーカーとしてのデビューは強烈。ゴッサム・シティで起こる暴動。その混乱の中でトーマスと妻マーサのウエイン夫妻は射殺される。一人呆然と立ち尽くす幼いブルース・ウェイン。単独のドラマであれば良かったと思うが、『ダークナイト』とは相容れない。評判が高かった割に、否、評判が高かったからこそ個人的にはイマイチ感が残った映画である・・・


評価:★★★☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | スーパーヒーロー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする