
原題: 追捕 Manhunt
2018年 中国
監督: ジョン・ウー
出演:
チャン・ハンユー:ドゥ・チウ
福山雅治:矢村聡
チー・ウェイ:遠波真由美
ハ・ジウォン:レイン
國村隼:酒井義廣
竹中直人:伊藤
倉田保昭:坂口秀夫
斎藤工:犯人A
アンジェルス・ウー:ドーン
桜庭ななみ:百田里香
池内博之:酒井宏
TAO:田中希子
<映画.com>
********************************************************************************************************
『レッドクリフ』「男たちの挽歌」シリーズの名匠ジョン・ウーが、『戦場のレクイエム』のチャン・ハンユーと『三度目の殺人』の福山雅治をダブル主演に迎えたサスペンスアクション。日本でオールロケを敢行し、1976年に高倉健主演で映画化された西村寿行の小説「君よ憤怒の河を渉れ」を再映画化した。製薬会社の顧問弁護士をつとめる男ドゥ・チウは、パーティの翌朝、社長秘書・希子の死体の横で目を覚ます。現場の状況証拠はドゥ・チウが犯人だと示しており、罠にはめられたと気付いた彼は逃亡を図る。独自の捜査でドゥ・チウを追う敏腕刑事・矢村は、ドゥ・チウに近づけば近づくほど事件に違和感を抱くように。やがてドゥ・チウを捕らえた矢村はドゥ・チウの無実を確信し、警察に引き渡さずともに事件の真相を追うことを決意する。共演にも「第7鉱区」のハ・ジウォン、『哭声 コクソン』の國村隼、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の桜庭ななみら日中韓の人気俳優がそろう。
********************************************************************************************************
ある小料理屋に1人の男がやって来る。しかし、残念ながらその夜は貸し切り。そこにやってきたヤクザの団体。迎えたのは美人ママとポッチャリタイプの仲居。興が乗ってきたところで、突然美人ママと仲居が隠し持っていた銃を乱射する。ヤクザの集団はなす術もなく射殺される。日本で場違いな乱射劇。どうやら美人ママと仲居に扮していたのは殺し屋のよう。
難を逃れた男は、実は巨大製薬会社・天神製薬の中国人国際弁護士ドゥ・チウ。そのドゥ・チウは、天神製薬社長の酒井義廣の息子で次期社長の宏が新薬開発の責任者に就任した記念のパーティーに出席する。同社の美人社長秘書・希子とはどうやら恋人関係のよう。そしてドゥ・チウは、どこか謎めいた美女、遠波真由美と知り合い自宅まで車で送ってもらう。自宅には一足先に希子が待っている。なかなか隅に置けない男である。しかし、帰宅した途端、何者かに殴られて気を失う。
翌朝、目覚めたドゥ・チウは、希子が何者かに殺害されていることに気付く。そしてタイミングよく大阪府警が駆け付ける。無実を主張しても聞き入れてもらえルわけもなく、現場からはドゥ・チウの指紋が付いたナイフが見つかり、雇ったはずのない家政婦が悲鳴を上げる。ドゥ・チウは殺人の容疑者として逮捕されるが、何者かにハメられたのは確か。ドゥ・チウはその場から逃走する。弁護士なのにか、弁護士だからかはわからない。
大阪府警刑事部捜査一課長の矢村聡刑事は、部下の百田里香と共に逃げたドゥ・チウを追う。矢村は建設現場で巧みに労働者に成りすましていたドゥ・チウを発見するが、彼は無実を訴えると隙を突いて再び逃亡する。ここから始まる追跡劇。さらに冒頭で登場した謎の美人殺し屋もドゥ・チウ殺害の指示を受けて動く。堂島川を舞台に銃撃戦があり、ドゥ・チウと矢村の水上バイクでのチェイスがある。このあたりはさすがジョン・ウーである。
逃走するドゥ・チウは真由美と再会し、行動を共にする。そして真由美の経営する牧場に身を隠す。真由美にはかつて天神製薬の研究員だった婚約者の北川正樹がいたが、3年前に謎の死を遂げていた。北川は、天神製薬の企業秘密を盗んだとされ、裁判を起こされている最中であったが、その裁判の弁護士を務めたのがドゥ・チウであった。ここに至り、天神製薬の裏側が見えてくる。そして美人殺し屋を雇った勢力も・・・
逃走するドゥ・チウとそれを追う刑事の矢村と美人殺し屋。追跡と銃撃。矢村はドゥ・チウに手錠をかけるも、殺し屋は容赦しない。敵の敵は友で、ドゥ・チウと矢村は手を組むことになる。アクションを絡めたスリリングな展開はさすがジョン・ウーである。ただ、面白いかどうかと問われると、答えに窮する。この違和感の正体は何だろうかと考えてみる。
おそらくその違和感の正体は舞台設定ではないかと思う。主人公を演じるチェン・ハンユーも日本代表の福山雅治も役者としては問題ない。しかし、設定は普通の刑事と弁護士である。それがドンパチを普通に繰り返し、殺し屋軍団と銃撃戦を繰り返す。銃撃戦は街の中でも牧場でも普通に行われる。さらに牧場に雇われている従業員もライフルを手にして応戦する。この日本で。これが仮面ライダーの番組であれば別に構わないのであるが、大人の映画ではちょっと厳しい。そしてそれはラストの研究所でのバトルで一気に表面化する。
ラストのバトルはもう観ていられない。福山雅治の熱演もドゥ・チウの熱演も違和感の大きさに耐えられない中、薄れていく。ここに至りストーリーも陳腐になる。何とかアクションだけは観られるレベルにはあったが、全体の印象は限りなくトーンダウン。頼まれても二度は観たくない内容である。
誰のせいだろう。責任を追及したくなる映画である・・・
評価:★☆☆☆☆