
原題: Cats
2019年 イギリス・アメリカ
監督: トム・フーパー
出演:
フランチェスカ・ヘイワード:ヴィクトリア
ジェニファー・ハドソン:グリザベラ
ジュディ・デンチ:オールドデュトロノミー
ジェームズ・コーデン:バストファージョーンズ
スティーブン・マックレー:スキンブルシャンクス
ジェイソン・デルーロ:ラム・ラム・タガー
レベル・ウィルソン:ジェニエニドッツ
イアン・マッケラン:ガス
イドリス・エルバ:マキャヴィティ
テイラー・スウィフト:ボンバルリーナ
<映画.com>
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1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。『レ・ミゼラブル』 『英国王のスピーチ』のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランら豪華キャストが共演した。人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。
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「キャッツ」と言えば、国内でも劇団四季が上演した世界的に有名なミュージカル。かねてから映画とミュージカルの相性は良くないと思っていて、ミュージカルの映画版には疑問に思うところも少なくないが、この映画の印象はまずまずと言える。
物語の舞台はある街。満月の夜、一台の車がゴミ捨て場で止まると、降りてきた人間が一つの袋を捨てて行く。人間が立ち去ると、そのあたりに住む猫たちが興味深げに寄ってくる。そして袋の中から白く美しい猫が姿を現す。捨て猫の名前はヴィクトリア。ヴィクトリアを取り囲んだ猫たちは、自らをジェリクルキャッツと称している。要は野良猫であるが、人間に飼い慣らされていないという誇りをもっているようである。
その夜はジェリクルキャッツにとって特別な日。舞踏会が開かれ、歌と踊りを競い合う猫たちの中から、たった1匹の猫が選ばれる事になっている。選ばれた猫は、天上の世界で新しい生活を始める権利を得られる。選ぶのは長老猫オールドデュトロノミー。どの猫も権利を得ようと歌と踊りに磨きをかける。もともと飼い猫だったヴィクトリアは、戸惑いながらもそんな様子を眺めている。
そして登場するジェリクルキャッツたち。怪しい猫マキャヴィティ、おばさん猫のジェニエニドッツ、イケメン猫のラム・タグ・タガー、リッチ猫のバストファージョーンズ。ミュージカルだけあって、それぞれの猫たちの様子が歌と踊りで紹介されていく。猫たちを演じるのはみんな人間であるが、ふと気がつくとサイズは通常の猫のサイズ。そのあたりの視覚効果は映画ならではである。
ミュージカルらしく猫たちの歌と踊りが続いていく。そして舞踏会の刻限が近づき、長老猫のオールドデュトロノミーがやって来る。この長老猫には誰もが敬意を表するが、この様子を遠くから伺うのはグリザベラ。もとは美しい猫だったが、娼婦に身を落とし、仲間の猫たちからは蔑まれている。そしてこのグリザベラが名曲「メモリー」を歌う。これは何と言ってもこのミュージカルの最大の見せ場であるが、ここはまずジャブといったところ。
この「メモリー」はのちにもう一度歌われる。長老猫が決断する前、グリザベラの歌声が本物だと思ったヴィクトリアが長老猫の前にグリザベラを連れてくる。他の猫たちは嫌悪感を示したりするが、さすが長老猫は歌うよう促す。そしてみんなの視線を浴びながらグリザベラは「メモリー」を熱唱する。ここはなかなか心震わされるシーンである。
ストーリーはあってなきが如し。ミュージカルとはそういうものである。町の裏寂れた一角で、こんな猫の世界があるとしたらちょっと楽しいかもしれない。歌と踊りに加え、独自の猫の扮装もなかなかと言える。気がつけばジュディ・デンチやイアン・マッケラン、イドリス・エルバといったメジャーな俳優さんが出演している。それぞれ「見分ける」のも一興である。
劇団四季のミュージカルは鑑賞したが、舞台と映画のどちらがいいかは微妙なところ。それぞれの良さはあるかもしれない。心震える「メモリー」を聞きながらの年越し。2020年最後の映画としては満足いく映画である・・・
評価:★★☆☆☆