2021年04月30日

【ミス・リベンジ】My Cinema File 2395

ミス・リベンジ.jpeg

原題: Miss Bala
2019年 アメリカ・メキシコ
監督: キャサリン・ハードウィック
出演: 
ジーナ・ロドリゲス:グロリア
イスマエル・クルス・コルドバ:リノ
アンソニー・マッキー:ジミー
ダミアン・アルカザール:サウセド
アイスリン・デルベス:イザベル
マット・ローリア:ブライアン
クリスティーナ・ロドロ:スズ
リカルド・アバルカ:ポロ
トーマス・デッカー:ジャスティン

<映画.com>
********************************************************************************************************
テレビドラマ「ジェーン・ザ・ヴァージン」のジーナ・ロドリゲスが主演を務め、メキシコ麻薬戦争の闇に挑む女性の壮絶な復讐劇を描いたサスペンスアクション。2011年のメキシコ映画「MISS BALA 銃弾」を、『トワイライト 初恋』のキャサリン・ハードウィック監督がリメイクした。グロリアは親友のスズに会うためメキシコを訪れるが、クラブ襲撃事件に巻き込まれスズが行方不明になってしまう。自身も麻薬組織に拉致されたグロリアは、彼らの仕事を手伝わされることに。監視を振りきって何とか逃げ出すグロリアだったが、今度は麻薬取締局に利用され……。共演に『アベンジャーズ』シリーズのアンソニー・マッキー。
********************************************************************************************************

主人公は、ハリウッドのメイクアップアーティストであるグロリア。自分なりのメイクを提案するも、上司に見向きもされない。そんなグロリアは、メキシコのティフアナに住む親友スズを訪ねる。スズは弟のチャヴァと住んでいて、近々開催される「ミス・バハ・カリフォルニア」という美人コンテストに出場する予定であるが、メイクをグロリアに頼んだのであった。

グロリアはかつて子供の頃の一時期をティフアナで過ごしたことがあり、スズはその時からの友人である。再会を喜んだ2人はナイトクラブに向う。ところが、グロリアはトイレでリノという男が率いる犯罪組織のメンバーと鉢合わせしてしまう。メンバーの目的は、ナイトクラブに来ていたサウセド警察署長の殺害。店内に響き渡る銃声。グロリアはかろうじて逃げ出すが、スズとはぐれてしまう。

スズの身を案じたグロリアは、現場付近の警察官に昨夜の事件の犯人を見たと告げ、スズの捜索を依頼する。ところがこの警官はリノと通じており、グロリアはリノに捕らえられてしまう。スズを見つけるという約束でグロリアはリノの仕事を手伝わされる羽目になる。言われるがまま運転させられた車は、ある建物の前に駐車し、直後に爆破される。それは麻薬取締局が隠れ家として使っていた家で、この爆発で3人の捜査官が犠牲になる。


そしてグロリアは、これによって麻薬取締局(DEA)の捜査官ライクに捕まり、今度はDEAのスパイとしてリノの携帯に追跡チップを仕込むという危険な任務を引き受けさせられる。協力すればスズを救出してやるとアメとムチの約束である。こうしてグロリアは、犯罪組織とDEAとの間で板挟みとなる。リノと手下がスズの家に乗り込んで来て居座ってしまいグロリアに逃げ場はない。バレれば自分自身の命もない。

メキシコ、アメリカ間の国境を越える密輸も命じられ、DEAのライクの指示でリノ達と落ち合う場所を教える。銃撃戦にさらされ、グロリアにしてみればとんだ災難である。映画はよくある女性アクションものではなく、グロリアはあくまでも一般人女性。犯罪グループとDEAの間でなす術もなく翻弄される。素人ながらも死に物狂いで行動するが、それが裏目に出たりする。

携帯電話を調べられてスパイ行為がバレそうになると、とっさに追跡チップを他の携帯に移すグロリア。機転を利かしてうまくやり遂げるが、移した携帯の持ち主は同じく拉致されたイザベラという女性。イザベラは裏切り者として射殺されてしまい、グロリアは大きなショックを受ける。

絶体絶命の中、危機を脱し、スズを助け出すことができるのか、ドラマは最後までハラハラさせてくれる。犯罪グループも警察組織も紙一重であり、どちらも信頼はできない。そんな環境が一層ドラマを引き立てる。あまり期待はしていなかったが、最後まで楽しませてくれた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | スリリング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月29日

【コンフィデンスマンJP ロマンス編】My Cinema File 2394

コンフィデンスマンJP ロマンス編.jpeg
 
2019年 日本
監督: 田中亮
出演: 
長澤まさみ:ダー子
東出昌大:ボクちゃん
小手伸也:五十嵐
小日向文世:リチャード
織田梨沙:モナコ
前田敦子:鈴木さん
竹内結子:ラン・リウ
三浦春馬:ジェシー
江口洋介:赤星栄介

<映画.com>
********************************************************************************************************
長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版。天才的な知能を持つが詰めの甘いダー子と、彼女に振り回されてばかりのお人よしなボクちゃん、百戦錬磨のベテラン詐欺師のリチャードの3人の信用詐欺師は、香港マフィアの女帝ラン・リウが持つと言われる伝説のパープルダイヤを狙い、香港へ飛ぶ。3人がランに取り入るべく様々な策を講じる中、天才詐欺師ジェシーも彼女を狙っていることが判明。さらに以前ダー子たちに騙された日本のヤクザ・赤星の影もちらつきはじめ、事態は予測不可能な方向へ展開していく。テレビドラマ版でおなじみのキャストが再結集するほか、ラン役を竹内結子、ジェシー役を三浦春馬、赤星役を江口洋介がそれぞれ演じる。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどの脚本家・古沢良太がテレビドラマ版に引き続き脚本を担当。
********************************************************************************************************

日本映画お得意の「安易なドラマの劇場版」である。この手の劇場版にはあまり触手は動かないのであるが、最近続編が公開されて話題になっていたのと、何と言っても竹内結子の出演作であり、観ることにした次第。

主人公は、詐欺師のダー子。コンフィデンスマンとは、信用詐欺師ということらしい。仲間にはボクちゃん、リチャードといった人物がいる。ドラマを観ていないからなんとも言えないが、どうやら詐欺師と言っても無垢な一般人を騙すのではなく、悪徳な方法で大金を稼ぐ輩をターゲットにしている様である。表の顔は善良だが、裏の顔を持つ赤星はそんな男の1人で、かつてダー子らから20億円をだまし取られ田ということで、恨みを抱いて登場する。

虎視眈々とダー子らを狙う赤星のことなどつゆ知らず、ダー子は次のターゲットを探している。そんなダー子になんとペディグリーペット詐欺(珍種の犬を売りつけようとする詐欺)を仕掛ける女性が現れる。しかし、ダー子にそんな詐欺が通用するわけはなく、すぐにバレてしまうが、逆にダー子は詐欺を働こうとした女モナコを仲間に引き入れる。折からテレビでは表向きは香港の財閥の会長であるが、裏では香港マフィアのボスであるラン・リウについて報じるテレビニュースが流れている。その謎のプロフィールに惹かれ、ダー子は次のターゲットを香港ビジネス界の裏も表も牛耳る“氷姫”ことラン・リウに定める。

ダー子、ボクちゃん、リチャードに加えて何でも屋の五十嵐と新たに弟子入りしたモナコの5人はさっそく香港に向かう。ラン・リウは、パープルアイという宝石を持っており、その価値は時価数百億といわれている。謎に満ちた私生活であるが、かろうじて孔海東という男と10年前に結婚したがすぐに離婚したこと、12歳まで福岡で育ったことと、馬主であること、お気に入りのお抱えの占い師が亡くなってしまい、占い師を探していることなどがなんとか分かってくる。

そしてほとんど人前に出ない氷姫が、唯一、確実に人前に姿を現すというのが自身の馬のデビューであり、競馬場のVIP席にダー子はモナコと霊能力者姉妹としてラン・リウに近づく。ところが氷姫の脇の男ジェシーを見て動揺するダー子。ジェシーは、恋愛詐欺師であり、かつてダー子と共に暮らしていた過去があった男なのである。ダー子を見たジェシーは、自分ともう1度組まないかと声をかける。

詐欺師を主人公にした映画と言えば、往年の名作『スティング』を思い浮かべてしまう年代であるが、思ってもみなかった結末を見せられると、騙されたわけではないが「やられた感」は大いに味わうことができる。この映画の元となったドラマシリーズは見たことがないが、たぶんそんな面白さがあって人気を博し、それに気を良くしたプロデューサーが「安易な劇場版」へと乗り出したのであろう。

なんでダー子というのだろうというのが初心者の素朴な疑問。演じるのは長澤まさみ。気がつけばいろいろな役柄を変幻自在にこなしている感がある。真面目な堅物(『マスカレード・ホテル』)だったり、ダメダメな母親だったり(『マザー』)。ここでは弾けたところが多く、同じ女優さんだとは思えないところがある。演技力が高いということなんだろうが、出演作はすべて観てみたい女優さんである。

一方、個人的には氷姫ラン・リウ役で登場する竹内結子に心は飛ぶ。もう新しい作品は観られないと思うと残念でならない。ここでは香港の謎の人物という設定であったが、ラストのどんでん返しはなかなかのものであった。どちらかというとコメディー色が強く、『スティング』の様な衝撃度はなかったが、それでも見せてくれたというところはある。直近で続編も製作されているが、その理由もよくわかる。

やっぱり変幻自在役者の小日向文世も味を出しているし、総じて劇場版とは言え、成功の部類に入ると思う。続編もぜひ観てみたいと思わせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月28日

【ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語】My Cinema File 2393

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語.jpeg

原題: Little Women
2019年 アメリカ
監督: グレタ・ガーウィグ
出演: 
シアーシャ・ローナン:ジョー・マーチ
エマ・ワトソン:メグ・マーチ
フローレンス・ピュー:エイミー・マーチ
エリザ・スカンレン:ベス・マーチ
ローラ・ダーン:ミセス・マーチ
ティモシー・シャラメ:セオドア・ローレンス(ローリー)
メリル・ストリープ:マーチ伯母
トレイシー・レッツ:ダッシュウッド
ボブ・オデンカーク:ロバート・マーチ
ジェームズ・ノートン:ジョン・ブルック
ルイ・ガレル:フレデリック・ベア
クリス・クーパー:ミスター・ローレンス
ジェイン・ハウディシェル:ハンナ

<映画.com>
********************************************************************************************************
『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。ローリーを『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ、長女メグを『美女と野獣』のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、4姉妹の母をローラ・ダーン、伯母をメリル・ストリープが演じるなど豪華キャストが集結。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
********************************************************************************************************

「若草物語」は有名で、名前くらいは知っているが、実は読んだことも観たこともない。「女の子向け」というイメージがあったためでもあるが、これはそんな「若草物語」を若干アレンジしたものであるようである。

マーチ家の四姉妹の次女であるジョーは、ニューヨークに出て一人暮らしをしながら作家を目指している。その日も出版社に原稿を持ち込む。「友人から預かってきたもの」だと偽っているのは無名だからなのか女性作家だとわかるとダメだからなのかははっきりとしない。「もっと短く」という注文が付くが、採用が決まってジョーは喜びを一人噛みしめる。

四姉妹の長女メグは隣人のローリーの家庭教師をしていたジョン・ブルックと結婚し、2人の子どもに恵まれているが、生活は苦しい。三女のエイミーは、マーチ伯母のお供でヨーロッパに来て、本格的に絵の勉強をしている。ある日、馬車に乗っていたエイミーは、幼馴染のローリーの姿をみつけ、久々の再会を喜ぶ。エイミーはローリーをパーティーに誘うが、ローリーは遅刻してきた挙げ句、泥酔して醜態を晒す。実はローリーはジョーに結婚を申し込んだがふられてしまい、以来、荒れた生活をしているのである。

マーチ伯母は、エイミーに対し、裕福な人と結婚するようにと助言する。そしてマーチ伯母は、そんな条件を満たすフレッドという青年とエイミーが親しくすることを快く思っている。一方、ジョーは同じ下宿で暮らしているフレデリック・ベアという男から作品をみせてほしいと言われ、書いたものをみせるが、思いもよらなず辛口の批評をされて激高してしまう。

物語は姉妹の様子を追うが、時に子供の頃、そして時に大人になったあとと交互しながら物語は進む。父親は南北戦争時代に従軍牧師として戦地に赴き、長く母と四姉妹だけで暮らしていた。初めて社交パーティーに参加を許されたのは長女のメグと次女のジョーだけ。そしてそこで隣家の少年ローリーに会い、意気投合する。その後、ローリーは四姉妹で作る秘密倶楽部の新会員になる。

ジョーのお話好きは筋金入りで、すでに何枚も原稿をしたためている。ところがある晩、ローリーに誘われてメグとジョーがお芝居を観に行った夜、連れて行ってもらえないエイミーが、その腹いせにジョーの大事な原稿を焼いてしまう。翌日ローリーと一緒にスケートに出かけたジョーは、エミリーが仲直りしようと追いかけてきたことを知っていて無視していたら、氷が割れてエミリーが水の中に落ちてしまう。どこにでもありそうなそんなエピソードが続く。

長女のメグは、ジョンと結婚するが、生活は苦しい。友人に誘われるままドレスの生地を買うが、それは家計的にはとても高価なもの。それを負担することはできず、夫もメグを責めることなくすまないと詫び、メグも諦める。お金はないが、愛情あふれる夫婦である。しかし、そんな夫婦に対し、裕福なマーチ叔母はエイミーに「愛より金」と説く。それも否定しにくいが、やはり愛の方を大事にしたいとメグ夫妻を観ていて思う。

物語はそんな四姉妹のエピソードを織り込みながら、やがてジョーが自分たち四姉妹の物語を書き始めるのを追う。実はこれこそが「若草物語」そのものである。最初の原稿は、一旦ボツとなるが、それを読んだ編集者の娘たちが続きを読みたいとねだるエピソードは、なんだか「ハリーポッター」の出版にまつわるエピソードのようである。「若草物語」を観ながら、「若草物語」が書かれていく様子を観るといった感じである。

見どころは、やはり何と言っても主演のシアーシャ・ローナンとエマ・ワトソンという二大女優の共演であろう。まさに「観て良し、演じて良し」で、出ているだけでも観る価値がある二人の共演ということだけで観る価値は高い。そして内容的にもそれを裏切らない。映画を観ている限り、「若草物語」は実話であるが、どこからどこまではわからない。原題は“Little Women”であるが、これを「若草物語」と訳すセンスもなかなかだと思う。

姉妹のうちベスが猩紅熱にかかったりと病弱で、結局最後は病死してしまうなど悲しいエピソードもある。ジョーとローリーのすれ違いの物語は、自分自身似たような経験をしているので心に染み入るものがある。改めて原作を読んでみようとは思わないが、この映画でどんな物語なのかということはよくわかった。遅まきながらのデビューとしては、満足のいくものである。

女の子のお話というイメージに敬遠していたおじさんがいたら、普通の大人向け映画としてお勧めしたい映画である・・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月24日

【ミッション:アンダーカバー】My Cinema File 2392

ミッション:アンダーカバー.jpeg

原題: 非凡任務 Extraordinary Mission
2017年 中国
監督: アラン・マック/アンソニー・プン
出演: 
ホアン・シュアン:リン・カイ/リウ・ハオジュン
ドアン・イーホン:ホーク
ズー・フォン:リー・ジェングオ
ラン・ユェティン:チンシュイ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』などのホアン・シュアンが主演を務めたクライムサスペンス。麻薬密売組織に潜り込んだ捜査官の死闘を、カーチェイスや銃撃戦などを織り交ぜて描く。『ホット・サマー・デイズ』などのドゥアン・イーホンらが共演。『インファナル・アフェア』シリーズなどのアラン・マックと、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』などの撮影を担当してきたアンソニー・プンが共同でメガホンを取った。
********************************************************************************************************

主人公は、麻薬捜査官のリウ・ハオジュン。タイトルにある通り、リン・カイという偽名を使い麻薬密造組織へと潜入して捜査している。組織の末端の運び屋からのし上がり、今や組織でも重要視され重宝されるようになっている。ある時、大掛かりな取り引きに同行する。札束を紙ごみに隠して運搬し取引現場に臨む。現場の情報を流し警察が現場に踏み込む混乱に紛れ、カイは取引相手のリーダーを偶然を装って助け、タイの黄金の三角地帯に拠点を構える巨大なヘロイン密造組織ダブルホークへと入り込むことに成功する。

しかし、組織の首領ホークはカイを信用せず、その場で殺そうとする。必死に奪われた薬と金を取り戻すこと約束し、カイはなんとか生きながらえる。ホークは非常に疑い深く、実は過去に潜入捜査官に妻子を殺された恨みを持っている。したがって、カイのことも容易に信用しない。拘束され拷問にかけられた挙句、ようやく潜入捜査官ではないかとの疑いは晴れるが、痛み止めとして麻薬を注射され、カイは麻薬中毒になってしまう。

なんとか偽の取引が成立し、信用されたものの、カイは麻薬中毒からの回復に酷く苦しむことになる。そんなカイを助けたのは、ホークの養女チンシュイである。そして信用を得たカイは、ダブルホークの売人として大きな仕事を任されるようになる。リウ・ハオジュンの直属の上司はリー・ジェングオ。ジェングオもかつては潜入捜査官であり、ヘロインの密造組織の首領ホークという男を逮捕したことがあった。だが、ホークを移送中、組織残党の襲撃により、相棒の捜査官とホークが車の爆発に巻き込まれてしまう。これにより、相棒とホークは10年前に死亡したものと思われていた。

ところが、カイとしてリウが潜入したダブルホークの首領の名前もホークだと言う。もしもあの時のホークと同一人物だとすれば相当な危険が予想される。しかし、リウはようやく信用を得たこともあり、潜入を続ける覚悟を伝える。そしてカイはホーク自身からジェングオによって追い詰められたホーク本人だと教えられる。さらにその時、同じ潜入捜査官だったジェングオの同僚を捕え、なんと10年もの間、地下牢にて幽閉しているのだと教えられる。

こうして再びホークを逮捕し、麻薬組織を壊滅させるというミッションに向かうカイの活躍を映画は描いていく。一昔前の犯罪組織もののようなストーリー展開(特にカイが麻薬中毒になって苦しむところなど懐かしいところである)がなんとも言えない。カイは特別に強いというわけではないが、銃撃戦にカーチェイスにと派手なアクションで活躍する。あまり深く考えずに観ていればそれなりに楽しめるのは確かである。

最近は中国映画もレベルが高くなってきている。この映画ではまだまだ感は否めないが、そこそこ楽しめるアクション映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 中国/香港/台湾映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月23日

【記憶屋 あなたを忘れない】My Cinema File 2391

記憶屋.jpeg

2020年 日本
監督: 平川雄一朗
出演: 
山田涼介:吉森遼一
芳根京子:河合真希
佐々木蔵之介:高原智秋
蓮佛美沙子:澤田杏子
泉里香:安藤七海
田中泯:菅原慎一
杉本哲太:福岡琢磨

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
「第22回日本ホラー小説大賞」読者賞を受賞した織守きょうやの小説を実写映画化。恋人が自分に関わる記憶だけを失った青年が、人々の記憶や思いに触れていく。『鋼の錬金術師』などの山田涼介が主演し、彼の幼なじみを『累−かさね−』などの芳根京子が演じるほか、蓮佛美沙子、佐々木蔵之介らが共演。『ROOKIES』シリーズなどの平川雄一朗がメガホンを取り、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』などの鹿目けい子と共同で脚本を手掛けた。
********************************************************************************************************

満月の夜。
大学生の吉森遼一はネット上の都市伝説好きが集まるサイトで、“記憶屋”なる存在の情報を探している。“記憶屋”とは人の記憶を消すことのできる者だとされる。遼一が“記憶屋”を探しているのは、恋人の澤田杏子が、ある日突然遼一に関する記憶を失ってしまったことによる。遼一は杏子にプロポーズをし、OKをもらって幸せの絶頂にある中で突然、杏子が記憶喪失にかかったかのごとく、遼一のことを忘れてしまったのである。

実は遼一は過去にも同じような経験をしている。それは遼一が幼い頃、幼馴染みの少女・河合真希が連続幼女誘拐事件に巻き込まれた時のこと。遼一の目の前で男に連れ去られた真希だが、無事に解放されたものの、真希は事件のことを全く覚えていなかったのである。これが“記憶屋”の仕業だと思われていたのである。

そんなある日、遼一は、大学の特別講座に招かれた弁護士の高原智秋と出会う。彼もまたある理由で“記憶屋”を探しており、遼一の話を聞くと、協力を申し出る。そして2人で杏子がアルバイトしている喫茶店に行く。もうなんども通っている遼一は、店長とも顔見知りになっているが、相変わらず杏子は記憶が戻らない。遼一は、高原と助手の安藤七海の協力で本格的に“記憶屋”探しに乗りだす。

高原には、離婚した元妻・里香との間に一人娘・愛莉がいる。実は高原は余命宣告を受けており、自分を慕う愛莉から自分の記憶を消すことで、父親を失う悲しみを回避させたいと考えていたのである。また、遼一がこだわるのは、幼い頃の誘拐事件で真希が誘拐されたのは自分のせいだという思いがあったからである。

“記憶屋”というからなんとなく「記憶している」というイメージがあったが、このドラマで描かれるのは「記憶を消す」こと。人には大切な思い出があり、一方で忘れてしまいたい思い出がある。“記憶屋”は忘れてしまいたい思い出を忘れさせてくれるというもの。この手のファンタジーは、どちらかと言えば人の心の琴線を刺激するものであるが、「記憶を消す」というイメージはあまり心の琴線は刺激しない。そのため薄い映画になってしまっているというのが正直な感想。

七海は“記憶屋”に記憶を消されたという女子高生・佐々操に関する情報を入手してくる。実は操は世間を震撼させた連続女性強姦事件の被害者であり、そのショックから立ち直れないでいたのである。確かに、そういう経験をすれば、ましてや女子高生ともあれば、もう生きていけないくらい辛い思いをするだろう。そういう記憶を消すことは、再生という意味ではいいかもしれない。ただ、そこに感動はない。

そんな謎の“記憶屋”であるが、観ているうちになんとなく正体がわかってくる。そういう意味でもやはり「薄い」映画なのである。やがて杏子が自らの記憶を消した理由も明らかになるが、そこに隠された事実がちょっと意外だったのが、なんとなくストーリーにひねりが効いていると思う唯一の点。総じて、ストーリー展開が極めて残念である。

人の記憶は、時とともに嫌な記憶は苦味が薄れ、良い記憶だけが濾されたように残っていくもの。そういう記憶の特性を掴んでストーリーを展開させていたら、もっと心に残る映画になっていたかもしれない。観たことを記憶から消したいとまでは思わないが、無理無理なストーリーが残念だった映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする