
2019年 日本
監督: 佐藤信介
出演:
山崎賢人:信
吉沢亮:えい政/漂
長澤まさみ:楊端和
橋本環奈:河了貂
本郷奏多:成きょう
満島真之介:壁
高嶋政宏:昌文君
宇梶剛士:魏興
石橋蓮司:竭氏
要潤:騰
大沢たかお:王騎
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中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久のベストセラー漫画を山崎賢人主演で実写映画化。紀元前245年、春秋戦国時代の中華西方の秦の国。戦災孤児の少年・信と漂は奴隷の身分から天下の大将軍になることを目標に掲げ、日々の剣術の鍛錬に励んでいた。ある時、漂は王都の大臣・昌文君に召し上げられて王宮へ入ることなり、信と漂はそれぞれ別の道を歩むこととなる。違う場所にいても、誓い合った夢をともにかなえようと信じていた2人だったが、王宮では王の弟・成きょうがクーデター起こし、その混乱の中で漂は命を落とす。やがて信は、漂が王座を追われた若き王・えい政の身代わりになったことを知り、生き延びたえい政に対して怒りを覚えるが、漂の遺志を受けてえい政と行動をともにすることになり……。原作者が脚本にも参加し、大規模な中国ロケと広大なオープンセットでの撮影などで原作世界を再現。山崎が主人公の信を演じ、吉沢亮がえい政と漂を1人2役で演じた。そのほかの共演に長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、高嶋政宏、要潤、大沢たかお。監督は『アイアムアヒーロー』 『いぬやしき』 『図書館戦争』などの佐藤信介。
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時は春秋戦国時代。
ところは中華西方の国、秦。
互いに奴隷の身分である信と漂は、労働の日々の中、幼い日に見た大将軍に憧れ、いつか武功を上げて大将軍になるという夢をもっている。そして2人で密かに剣の練習を重ねている。
そんなある日、2人を見かけた大臣の昌文君が漂を身請けしにやってくる。信を気遣った漂は自分だけ王宮に行くことを躊躇するが、信に「俺は行くぞ」と宣言する。そしていつか一緒に夢を実現させる約束をして旅立っていく。1人残された信は、それでも明日を信じて1人で鍛錬を続ける。
漂がいなくなってしばらくたったある晩、信は不審な物音で覚ます。すると外には瀕死の重傷を負った漂が倒れている。漂は残る力を振り絞り、信に「ここへ行け」と地図を託し、息絶える。漂は追われていたようで、間もなく大勢の追手が迫りくる。信は、漂が携えていた剣を手に取ると、長年暮らした主の家を離れる。その後、漂を追ってやってきた王の役人たちによって村人は皆殺しにされ、家々は焼き払われる。
信が地図に書かれていた村に着くと、そこには漂に瓜二つの青年がいる。それは秦の王、嬴政。実は嬴政は弟の成蟜の反乱により命を狙われ、逃げ延びていたのである。漂は王に似ていたことから王の影武者として仕えていたが、反乱の中、嬴政を逃がすための囮となり、殺されたのである。その事実を知ると、信は嬴政に敵意をむき出しにするが、そこに成蟜の刺客朱凶が現れる。信は、実際に漂の仇である朱凶を倒し、その場に現れたフクロウの被り物をした河了貂(てん)の手引きで嬴政とともに反乱軍から逃れる。
初めは漂を都合の良い身代わりにした嬴政に対し、反感を抱いていた信であるが、信が自らの意思で嬴政を救おうとしたことを知り、また刺客の毒矢を受けて倒れた自分を嬴政自らおぶって昌文君との合流地点まで運んだことを通し、信は嬴政の人柄を知っていく。その一方、王宮では成蟜が、嬴政の首を討ち取ったという報告をイライラしながら待っている。そこへ王騎将軍が、「昌文君を討ち取った」と首を持ってやってくる。顔は判別不能だったが、成蟜の側近竭氏は王騎をねぎらい、請われるままに昌文君の領土を王騎に与える・・・
王家の権力闘争とそれに巻き込まれる主人公信。物語は、王家の権力闘争を中心に描かれていく。劣勢ながら巻き返しを図らんとする嬴政。嬴政には昌文君という忠臣が付き従う。ともに夢を語り合った漂が、絶体絶命下の状況でまるで本物の王のように皆を鼓舞して勇気を与え、嬴政を救うために自ら囮になって敵を引きつけ走り去ったと聞き、信は漂への思いを募らせる。それはそのまま嬴政を助けて王位に復帰させることを意味する。数の上で劣勢な嬴政は、王家とかつて友好関係にあった山の民に協力をあおぐことにする・・・
こうして王位復帰を目指す嬴政とそれに協力する信の姿を物語は描いていく。原作はマンガで、長いストーリーであるが、映画はそれをダイジェストで伝える。原作マンガは1巻しか読んでいないが、映画はうまくコンパクトにまとめている。特に原作を読んでいなくても違和感はない。友と抱いた夢を追いかける主人公の成長を追う物語でもあり、それはそれで面白いが、直感即行動型とも言える主人公に感情移入できるかと言えば、ちょっと難しい。まぁ、観る人の価値観次第のところがある。
日本人が中国の王朝について書くということは、浅田次郎なんかの例もあるが、やはり題材豊富というのがあるのかもしれない。日本では成り立ちにくいストーリーだったりするとなおさら感はある。日本人だ中国人だとあまり意識せず、ストーリーだけを追っていったら面白いと思う。勧善懲悪のストーリーは安心して見ていられる。日本人が織りなす中華王朝の物語。リラックスして楽しみたい映画である・・・
評価:★★☆☆☆