
原題: Doctor Sleep
2019年 アメリカ
監督: マイク・フラナガン
出演:
ユアン・マクレガー:ダニー・トランス
レベッカ・ファーガソン:ローズ・ザ・ハット
カイリー・カラン:アブラ・ストーン
カール・ランブリー:ディック・ハロラン
ザーン・マクラーノン:クロウ・ダディ
クリフ・カーティス:ビリー・フリーマン
<映画.com>
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スタンリー・キューブリック監督がスティーブン・キングの小説を原作に描いた傑作ホラー『シャイニング』の40年後を描いた続編。雪山のホテルでの惨劇を生き残り大人へと成長したダニーを主人公に、新たな恐怖を描く。40年前、狂った父親に殺されかけるという壮絶な体験を生き延びたダニーは、トラウマを抱え、大人になったいまも人を避けるように孤独に生きていた。そんな彼の周囲で児童ばかりを狙った不可解な連続殺人事件が発生し、あわせて不思議な力をもった謎の少女アブラが現れる。その力で事件を目撃してしまったというアブラとともに、ダニーは事件を追うが、その中で40年前の惨劇が起きたホテルへとたどり着く。大人になったダニーを演じるのはユアン・マクレガー。監督・脚本は「オキュラス 怨霊鏡」「ソムニア 悪夢の少年」やキング原作のNetflix映画「ジェラルドのゲーム」といった作品を手がけてきたマイク・フラナガン。
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『シャイニング』の40年後を描いた続編ということで、興味を持って観た作品。事前に前作を観た上での鑑賞である。時に1980年のフロリダ州。湖畔のキャンプ場に遊びに来ている一家。その家の少女が1人でいるところにローズという女性が現れる。警戒感を持たない少女であるが、謎の集団が現れて少女を捕らえる。
同じころ。前作で母親と共に生き残ったダニー少年は、かつての悪夢のような体験の記憶に悩まされる日々を送っている。そんなダニーを導くのは、同じ能力“シャイニング”を持つディック・ハロラン。ディックはすでに前作の事件で殺されてしまったが、ダニーの前に姿を現している。ディックはダニーを怯えさせる悪霊対策として、頭の中に“箱”を置き、そこに悪霊を閉じ込めるのだと教える。ダニーはバスルームに出る老婆の幽霊で試して成功する。
そして40年。ダニーは成人し、ダンと名乗っている。アルコールに溺れ自堕落な生活を送っているが、そんなダニーの前にディックが現れ、正しい行いをするように諭す。一方、ロングアイランドの映画館では、他人を言葉で操る能力を持つ少女アンディが助平心を出していた親父を言葉で眠らせ財布をすり取る。それを見ていた謎の女ローズとその仲間クロウが近寄り、アンディを拉致する。そして自分たちの仲間になれば若さを保てると勧誘し、アンディは謎の儀式を受ける。
ダン(ダニー)は、バスで住み慣れた街を離れ、見知らぬ街に降り立つ。バス停近くの公園で偶然出会った男ビリーは親切な男で、住む家を紹介し、当座の家賃を立て替えてくれた上に仕事まで斡旋してくれる。その後ダンはグループカウンセリングで知り合った医師ダルトンに誘われてホスピスでも働くことになる。そこで“シャイニング”の能力を活かし、死を間近にした患者を心穏やかに息を引き取らせる。それが評判を呼び、いつの間にか“ドクター・スリープ”と呼ばれるようになる。
ある晩、自宅に戻ったダンは、黒板になっている壁に“HELLO”と書かれているのを見つけ、“Hi”と返事を書き込む。書き込んだのもダンの返事に答えたのも同じ“シャイニング”の力をもつ少女アブラ。そして不気味に活動するローズとその仲間たち。ローズたちは、少年少女たちをさらってきては、生気を吸い取っている。それでなんと不老不死を実現している。そして食事のために、ある野球少年を拉致し、ナイフで傷つけて口から出てくる生気を皆で吸い込む。そしてその様子を遠く離れた場所に住むアブラが感知し、少年とともに悲鳴を上げる。それはダンにも伝わり、ダンの部屋の黒板には“MURDER”の文字が浮かぶ・・・
続編と言っても、単に主人公が前作の生き残りの少年というだけで、ストーリーもまったくの別物。人間の生気を吸って不老不死を身を維持する謎の集団と、“シャイニング”の強力な能力のある少女アブラを巡っての戦いが描かれていき、続編であることは所々に出てくる前作のシーンで無理やりこじつけられている感がある。前作でラストに残された古い写真にジャックが写っていた理由が明らかになるわけではなく、実に続編とは名ばかりの作品である。
まぁ、それでもそこそこ楽しめるところはあるので良しとしたいところ。主演はユアン・マクレガーであり、それだけでも観る価値はある。おそらく、名作“シャイニング”の続編をつくろうと考えた人たちがいて、アイディアは良かったが、前作でほぼ完結しているストーリーに無理やり新たなストーリーをこじつけたからこうなったのであろうと背景を想像してしまう。前作から時間が経ち過ぎているし、私のように前作を鑑賞して「予習」しておかないと続編としての連続性すらわからないかもしれない。
物語は、ローズらの謎の不老不死集団とアブラを守るダンとの戦いとして進んでいく。懐かしのオーバールックホテルが無理矢理のこじつけで登場するが、そこまでして続編ぶらなくてもいいようにしか思えない。とりあえずストーリーは楽しめるが、バーカウンターで父親そっくりのバーテンダーを登場させたりという涙ぐましい努力は買ってもいいかもしれない。あまり続編ということを意識せずに楽しみたい映画である・・・
評価:★★☆☆☆