
原題: Dune
2021年 アメリカ
監督: ドゥニ・ビルヌーブ
出演:
ティモシー・シャラメ:ポール・アトレイデス
レベッカ・ファーガソン:レディ・ジェシカ
オスカー・アイザック:レト・アトレイデス公爵
ジョシュ・ブローリン:ガーニイ・ハレック
ステラン・スカルスガルド:ウラディミール・ハルコンネン男爵
デイブ・バウティスタ:ラッバーン・ハルコンネン
スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン:スフィル・ハワト
ゼンデイヤ:チャニ
チャン・チェン:ユエ医師
デビッド・ダストマルチャン:パイター・ド・ブリース
シャロン・ダンカン=ブルースター:リエト・カインズ博士
シャーロット・ランプリング:教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム
ジェイソン・モモア:ダンカン・アイダホ
ハビエル・バルデム:スティルガー
<映画.com>
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『ブレードランナー2049』 『メッセージ』のドゥニ・ビルヌーブ監督が、かつてデビッド・リンチ監督によって映画化もされたフランク・ハーバートのSF小説の古典を新たに映画化したSFスペクタクルアドベンチャー。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いていた西暦1万190年、1つの惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれる中、レト・アトレイデス公爵は通称デューンと呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めることになった。アラキスは抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の生産地であるため、アトレイデス家に莫大な利益をもたらすはずだった。しかし、デューンに乗り込んだレト公爵を待っていたのはメランジの採掘権を持つハルコンネン家と皇帝が結託した陰謀だった。やがてレト公爵は殺され、妻のジェシカと息子のポールも命を狙われることなる。主人公となるポール役を「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが務めるほか、『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『アクアマン』のジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンら豪華キャストが集結。2022年・第94回アカデミー賞では作品賞をはじめ計10部門にノミネートされ、撮影、編集、作曲など技術部門を中心に同年度最多となる6部門で受賞を果たした。
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『DUNE デューン 砂の惑星』といえば、かつて1984年版を観たが、これはそのリメイク。と言っても1984年版の内容は忘却の彼方ゆえに新たな気分で観られるというものである。
西暦10190年、人類は地球を遠く離れ、さまざまな惑星に移住している。皇帝が率いる厳格な身分制度のもとで、各惑星はそれぞれの大領家が統治する宇宙帝国を築いている。物語は、大領家のひとつアトレイデス家の当主レト・アトレイデス公爵が、皇帝の命により惑星アラキスの統治を任されるところから始まる。
主人公はアトレイデス家の跡取りポール。父の任命を受け、母ジェシカと共に惑星アラキスへと移住してくる。そのポールは、たびたび繰り返し見る夢に戸惑っている。それは惑星アラキスで出会うひとりの女性の夢。実はポールの母ジェシカは、超能力を持つ女性種族ベネ・ゲセリットの1人であり、ポールも未来が視える能力を受け継いでいる。夢はこれから起こるであろう未来が恐ろしいものになることを暗示している。
惑星アラキスは、別名「デューン」と呼ばれる砂の惑星。砂漠で覆われ、砂漠には巨大な砂虫「サンドワーム」が出没する。時に暴風「コリオリの砂嵐」が巻き起こるという過酷な地でありながら、抗老化作用をはじめ宇宙の重要な産物であるスパイス「メランジ」の唯一の生産地でもある。ゆえにこの惑星を支配する者は莫大な利益を手にすることができる。これまでデューンを支配していたハルコンネ家は、皇帝の命とはいえ、アトレイデス家の参入が面白くない。
惑星アラキスに到着したアトレイデス家は、さっそく砂漠の奥地に古くから住む先住民フレメン族のリーダー・スティルガーとの対面にこぎつける。協力体制の強化が目的であったが、誇り高きフレメン族は、メランジ採掘は承認するも、自分たちの移住地を探らないという条件を出す。けっして友好的とは言えない対応である。
砂漠でのメランジの採掘が始まるが、簡単ではない。機械の振動はサンドワームを引き寄せる。対処方法は飛び上がるしかない。現地を視察したレト一行の眼の前でサンドワームが現れる。すぐさま引き上げようとするが、牽引ロープの故障でできず、採掘機は逃げられずにサンドワームに飲み込まれてしまう。
アトレイデス家が砂漠での生活に苦戦する中、ハルコンネ家が放った刺客がレト公爵の暗殺へと向う。お抱え医師のドクター・ユエを脅して、手引きをさせ奇襲攻撃をかける。襲撃には皇帝の近衛兵サルダウカーも加わっており、アトレイデス家はなす術もなく壊滅し、ポールと母ジェシカも捕えられてしまう・・・
遠い未来の遠い惑星での物語。若き主人公ポールの苦難の物語に、観ているうちに引き込まれていく。『スター・ウォーズ』ほどの興奮こそはないものの、静かに物語の世界に埋没していく。面白かったのはトンボのように飛ぶ飛行機。戦う戦士たちは、光線銃ではなく剣を振りかざす。現代との違いはシールドを装備しているところ。
「SFとは新しい壜に入れた古いぶどう酒」という言葉があるが、この新しい壜もまた良しである。長い物語であるが、物語は途中で終わる。1984年版がどうであったか記憶にないが、続編を期待してしまう。巨大なサンドワームの迫力。砂漠のフレメン族の本領発揮もまだ。そしてポールが夢に現れていた女性チャニと出会ったところで物語は終わり、否応なく続編へと期待は膨らむ。
ポールの成長したあとの活躍を観てみたいと思わざるを得ない迫力の一作である・・・
評価:★★★★☆