2022年04月30日

【DUNE デューン 砂の惑星】My Cinema File 2539

DUNE デューン 砂の惑星.jpeg

原題: Dune
2021年 アメリカ
監督: ドゥニ・ビルヌーブ
出演: 
ティモシー・シャラメ:ポール・アトレイデス
レベッカ・ファーガソン:レディ・ジェシカ
オスカー・アイザック:レト・アトレイデス公爵
ジョシュ・ブローリン:ガーニイ・ハレック
ステラン・スカルスガルド:ウラディミール・ハルコンネン男爵
デイブ・バウティスタ:ラッバーン・ハルコンネン
スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン:スフィル・ハワト
ゼンデイヤ:チャニ
チャン・チェン:ユエ医師
デビッド・ダストマルチャン:パイター・ド・ブリース
シャロン・ダンカン=ブルースター:リエト・カインズ博士
シャーロット・ランプリング:教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム
ジェイソン・モモア:ダンカン・アイダホ
ハビエル・バルデム:スティルガー

<映画.com>
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『ブレードランナー2049』 『メッセージ』のドゥニ・ビルヌーブ監督が、かつてデビッド・リンチ監督によって映画化もされたフランク・ハーバートのSF小説の古典を新たに映画化したSFスペクタクルアドベンチャー。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いていた西暦1万190年、1つの惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれる中、レト・アトレイデス公爵は通称デューンと呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めることになった。アラキスは抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の生産地であるため、アトレイデス家に莫大な利益をもたらすはずだった。しかし、デューンに乗り込んだレト公爵を待っていたのはメランジの採掘権を持つハルコンネン家と皇帝が結託した陰謀だった。やがてレト公爵は殺され、妻のジェシカと息子のポールも命を狙われることなる。主人公となるポール役を「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが務めるほか、『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『アクアマン』のジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンら豪華キャストが集結。2022年・第94回アカデミー賞では作品賞をはじめ計10部門にノミネートされ、撮影、編集、作曲など技術部門を中心に同年度最多となる6部門で受賞を果たした。
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『DUNE デューン 砂の惑星』といえば、かつて1984年版を観たが、これはそのリメイク。と言っても1984年版の内容は忘却の彼方ゆえに新たな気分で観られるというものである。

西暦10190年、人類は地球を遠く離れ、さまざまな惑星に移住している。皇帝が率いる厳格な身分制度のもとで、各惑星はそれぞれの大領家が統治する宇宙帝国を築いている。物語は、大領家のひとつアトレイデス家の当主レト・アトレイデス公爵が、皇帝の命により惑星アラキスの統治を任されるところから始まる。

主人公はアトレイデス家の跡取りポール。父の任命を受け、母ジェシカと共に惑星アラキスへと移住してくる。そのポールは、たびたび繰り返し見る夢に戸惑っている。それは惑星アラキスで出会うひとりの女性の夢。実はポールの母ジェシカは、超能力を持つ女性種族ベネ・ゲセリットの1人であり、ポールも未来が視える能力を受け継いでいる。夢はこれから起こるであろう未来が恐ろしいものになることを暗示している。

惑星アラキスは、別名「デューン」と呼ばれる砂の惑星。砂漠で覆われ、砂漠には巨大な砂虫「サンドワーム」が出没する。時に暴風「コリオリの砂嵐」が巻き起こるという過酷な地でありながら、抗老化作用をはじめ宇宙の重要な産物であるスパイス「メランジ」の唯一の生産地でもある。ゆえにこの惑星を支配する者は莫大な利益を手にすることができる。これまでデューンを支配していたハルコンネ家は、皇帝の命とはいえ、アトレイデス家の参入が面白くない。

惑星アラキスに到着したアトレイデス家は、さっそく砂漠の奥地に古くから住む先住民フレメン族のリーダー・スティルガーとの対面にこぎつける。協力体制の強化が目的であったが、誇り高きフレメン族は、メランジ採掘は承認するも、自分たちの移住地を探らないという条件を出す。けっして友好的とは言えない対応である。

砂漠でのメランジの採掘が始まるが、簡単ではない。機械の振動はサンドワームを引き寄せる。対処方法は飛び上がるしかない。現地を視察したレト一行の眼の前でサンドワームが現れる。すぐさま引き上げようとするが、牽引ロープの故障でできず、採掘機は逃げられずにサンドワームに飲み込まれてしまう。

アトレイデス家が砂漠での生活に苦戦する中、ハルコンネ家が放った刺客がレト公爵の暗殺へと向う。お抱え医師のドクター・ユエを脅して、手引きをさせ奇襲攻撃をかける。襲撃には皇帝の近衛兵サルダウカーも加わっており、アトレイデス家はなす術もなく壊滅し、ポールと母ジェシカも捕えられてしまう・・・

遠い未来の遠い惑星での物語。若き主人公ポールの苦難の物語に、観ているうちに引き込まれていく。『スター・ウォーズ』ほどの興奮こそはないものの、静かに物語の世界に埋没していく。面白かったのはトンボのように飛ぶ飛行機。戦う戦士たちは、光線銃ではなく剣を振りかざす。現代との違いはシールドを装備しているところ。

「SFとは新しい壜に入れた古いぶどう酒」という言葉があるが、この新しい壜もまた良しである。長い物語であるが、物語は途中で終わる。1984年版がどうであったか記憶にないが、続編を期待してしまう。巨大なサンドワームの迫力。砂漠のフレメン族の本領発揮もまだ。そしてポールが夢に現れていた女性チャニと出会ったところで物語は終わり、否応なく続編へと期待は膨らむ。

ポールの成長したあとの活躍を観てみたいと思わざるを得ない迫力の一作である・・・


評価:★★★★☆








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2022年04月29日

【バッドボーイズ フォー・ライフ】My Cinema File 2538

バッドボーイズ フォー・ライフ.jpeg

原題: Bad Boys for Life
2022年 アメリカ
監督: アディル・エル・アルビ/ビラル・ファラー
出演: 
ウィル・スミス:マイク・ローリー
マーティン・ローレンス:マーカス・バーネット
バネッサ・ハジェンズ:ケリー
アレクサンダー・ルドウィグ:ドーン
チャールズ・メルトン:レイフ
パオラ・ヌニェス:リタ
ジョー・パントリアーノ:ハワード警部

<映画.com>
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ウィル・スミス&マーティン・ローレンス主演による大ヒットアクション映画「バッドボーイズ」の17年ぶり新作となるシリーズ第3弾。マイアミ市警の敏腕刑事コンビ、マイク・ローリーとマーカス・バーネット。ブランド物のスーツをスタイリッシュに着こなし、得意のドライビングテクニックでポルシェを飛ばすマイクに対し、マーカスは家族こそが守るべき大切なものと考え、そろそろ引退を考えている。若いエリートたちと組むことになった2人は、自分たちが年寄り扱いされることに我慢できない。そんな中、マイクが何者かに命を狙われ、バッドボーイズ最大にして最後の危機が訪れる。「ギャングスタ」で注目を集め、18年米バラエティ誌による「見るべき10人の監督たち」に選出された新鋭アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーがメガホンをとる。
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ウィル・スミス主演の「バッドボーイズ」については過去2作観ていて、久しぶりの続編だと思っていたら、なんと17年ぶりとか。そんなに経っていたとは思えず、なんとなく違和感がある。それにしても、ウィル・スミスは年を取らない。

冒頭、いきなりマイクとマーカスの二人は、高級車で街を疾走する。パトカーの追走を振り切って到着した先は病院。そこには出産を終えたマーカスの娘メーガンがいて、マーカスは生まれたばかりの孫と対面し、感激ひとしお。こんなことでスピード違反しまくりなのは、この映画ではほんのご愛嬌なのだろう。

その頃、メキシコのサンタマリア刑務所では、女囚イサベル・アレタスが刑務官を襲い、怪我人になりすまして脱獄する。迎えにきた息子のアルマンドと合流したイサベルは、獄中で死んだ夫ベニートが残した何百万ドルもの遺産を隠した場所を示したメモリーカードを息子に渡し、自分達を逮捕した関係者への復讐を指示する。

マイアミ港に向かったアルマンドは、海中に沈められていた大金をサルベージする。しかし、そこで協力したタグリン一家の裏切りに遭うが、アルマンドは難なくその場でタグリンを殺害し、手下達をリクルートする。そして関係者への復讐の手始めとして狙われたのはマイク。マイクはマーカスの眼の前で、背後からオートバイに乗って迫ってきたアルマンドによって銃弾を浴びせられてしまう。

マイクを襲ったアルマンドは、続いて母の言い付け通りにヴァーガス検事、麻薬取締局のジャック・ウェバー、ソレンソン判事を殺害していく。それから6ヶ月後、3回の心停止の後に快復したマイクはメーガンの結婚式に参列し、現場復帰を宣言するが、マイクの回復のために神に非暴力の誓いを立てていたマーカスは協力を断わる。一方のアルマンドは、自分がマイクを襲撃した映像をダークネットにアップし、世間を騒がせるとともにマイクを挑発する。

こうして犯人一味を追うマイクの活躍を中心にストーリーは進んでいく。相棒のマーカスは、本作でもコミカルな盛り立て役。刑事コンビが活躍する『マイアミ・バイス』のような対等パートナーというよりも、『コップアウト〜刑事したやつら〜』(My Cinema File 809)のような関係である。主役はあくまでもウィル・スミスである。

本作では、さらにマイクとアルマンド親子との意外な関係も明らかになる。ラストは何にか今後に含みのあるような雰囲気を醸し出していたが、これで終わりの方が個人的には好ましいように思う。「バッドボーイズ」とはあるが、ウィル・スミスの刑事ドラマというのが、適した映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2022年04月28日

【AK‐47 最強の銃 誕生の秘密】My Cinema File 2537

AK-47 最強の銃 誕生の秘密.jpeg

原題: Kalashnikov
2020年 ロシア
監督: コンスタンティン・ブスロフ
出演: 
ユーリー・ボリソフ:カラシニコフ
オルガ・ラーマンエ:カテリーナ
アルトゥール・スモリアニノフ:リューティ

<映画.com>
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史上最も大量に製造・拡散されたアサルトライフル「AK-47」の開発者ミハイル・カラシニコフを描いた伝記ドラマ。独ソ戦争下のソ連。戦車担当の兵士ミハイル・カラシニコフは被弾して重傷を負い、前線から引き戻される。入院中、彼は後に世界中で使用されることになる武器の最初のスケッチを描く。カラシニコフ役に「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」のユーリー・ボリソフ。「のむコレ2020」(20年10月9日〜/東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋)上映作品。
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1941年。ソ連軍の戦車担当の兵士ミハイル・カラシニコフ軍曹は、ドイツ軍との戦いの最前線にいる。そしてドイツ軍の攻撃を受けてダメージを受ける。戦車に一緒に乗っていた仲間が戦死する中、カラシニコフは肩の軽傷だけで奇跡的に助かる。

負傷兵として後方へ移送される途中で、トラックが立ち往生し、カラシニコフは引率の少尉と共に近くの村に行く。ところが、そこでドイツ兵と遭遇、からくも敵兵を射殺するが、少尉は撃たれて負傷する。しかし、その時少尉の小銃が弾づまりしなければ少尉は撃たれずに済んだため、カラシニコフは自動小銃の開発に興味を抱く。自分であればもっと性能の良いものを造れると。

1942年、カラシニコフは医者の勧めで休暇をもらい、傷が回復するまで家族が待つ家で療養することになる。しかし、その道中、カラシニコフは自動小銃の開発に対する思いを捨てられず、途中のマタン駅で下車してしまう。そこはかつてカラシニコフが働いていた鉄道機関区。隠れて散弾銃やクロスボウを作っていたことで、咎められ解雇された職場であった。

アルタイの農村で育ったカラシニコフは、子供の頃から銃が好きで、家族に隠れて一人でおもちゃの銃を作っていたのである。勇んで旧職場に赴いたものの、マタイ機関区長クロトフにけんもほろろに追い返される。諦めきれないカラシニコフは、偶然アルマ・アタから来ていた共和国軍事委員のバサロフ中佐に直訴し、推薦状を貰うことに成功する。こうして、カラシニコフは自動小銃の開発を開始する・・・

カラシニコフといえば、AK-47。今や「テロリストの主要装備」というイメージがあるが、この映画はその開発ストーリー。文字通り誰に頼まれたわけでもなく、孤軍奮闘で自動小銃の開発に取り組むカラシニコフの姿は、観る者に何かを訴えかける。映画でもその姿に感化された職人たちが、手伝うことを禁止されていたにもかかわらず、勤務時間外なら関係ないと手伝いを申し出る。

そうしてカラシニコフはついに新しい自動小銃の開発に成功する。それでもトントン拍子というわけにはいかない。誤解から勾留されてしまうが、没収した自動小銃を見た兵器士官が、その革新的なデザインに気づき、カラシニコフは釈放されるとともに、「全ソ銃器設計競技会」に出るように勧められる。

現在も人をイメージで判断する人がいる。無名の者の言うことなど歯牙にもかけない人々だが、一方できちんと評価できる者もいる。「誰が発言したか」ではなく、「何を発言したか」で判断できる人である。別け隔てなく冷静に判断できるようでありたいと、こういう映画を観ると改めて思う。

次第に精度を上げていくカラシニコフの自動小銃であるが、まだまだ道のりは、険しい。1943年、44年と時は進む。その間、製図を手伝ってくれていたカテリーナとやがて結婚する。いつ完成するんだろうと思いながら観ているうちに気付く。AK-「47」だったと。完成したAK-47は構造がシンプルで、ゆえに故障も少なく、過酷な環境でも機能する。それゆえに全世界で圧倒的に広まっていく(テロリストたちにも・・・)。

映画はそんなAK-47の開発ストーリーだけでなく、カラシニコフ自身についても深く描いていく。「追放された富農」というハンディも長年は別れたきりだった兄との偶然の再会にもその苦労が忍ばれる。今は何かと悪評の高いロシアであるが、こういう映画は歴史物語としても面白い。ロシアが自慢したくなるのもよくわかる。

知られざるAK-47の開発ストーリー。エンターテイメントとしても楽しめるロシア映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2022年04月23日

【007 ノー・タイム・トゥ・ダイ】My Cinema File 2536

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ.jpeg

原題: No Time to Die
2021年 アメリカ
監督: キャリー・ジョージ・フクナガ
出演: 
ダニエル・クレイグ:ジェームズ・ボンド
ラミ・マレック:サフィン
レア・セドゥ:マドレーヌ
ラシャーナ・リンチ:ノーミ
ベン・ウィショー:Q
アナ・デ・アルマス:パロマ
ナオミ・ハリス:イヴ・マネーペニー
レイフ・ファインズ:M
ロリー・キニア:タナー
ジェフリー・ライト:フェリックス・ライター
ビリー・マグヌッセン:ローガン・アッシュ
ダリ・ベンサーラ:プリモ
クリストフ・ヴァルツ:エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド

<映画.com>
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ジェームズ・ボンドの活躍を描く「007」シリーズ25作目。現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンドのもとに、CIA出身の旧友フィリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、平穏な日常は終わりを告げる。誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドは、その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことになるが……。ダニエル・クレイグが5度目のボンドを演じ、前作『007 スペクター』から引き続きレア・セドゥー、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、ロリー・キニア、レイフ・ファインズらが共演。新たに「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」のアナ・デ・アルマス、『キャプテン・マーベル』のラシャーナ・リンチらが出演し、『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役でアカデミー主演男優賞を受賞したラミ・マレックが悪役として登場する。監督は、「ビースト・オブ・ノー・ネーション」の日系アメリカ人キャリー・ジョージ・フクナガ。
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ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドもはや15年。とうとうこれが最後ということである。前作『007 スペクター』で秘密結社「スペクター」を壊滅させ、「スペクター」の首領であり、義理の兄でもあるブロフェルドを捕らえたジェームズ・ボンドはMI6を引退している。年齢的にもいつまでもできる仕事ではないだろう。そして引退したボンドは、「スペクター」の幹部で殺し屋だった父親を持つマドレーヌ・スワンと共に静かな毎日を過ごしている。

マドレーヌとイタリアを訪れたボンドは、マドレーヌとの未来を考え、かつて『007カジノロワイヤル』(My Cinema File 6)で出会い、愛しあった女性ヴェスパーの墓参りに行く。男としてのケジメだろう。しかし、ヴェスパーの墓には「スペクター」の指輪が置かれており、突然墓が爆発する。かろうじて難を逃れたボンドを謎の集団が襲う。間一髪でマドレーヌのいるホテルに逃げ帰ったボンドは、自身の動きが筒抜けだったことからマドレーヌの裏切りを疑う。

謎の集団の追撃をかわしたボンドは、マドレーヌを強引に列車に乗せ、別れを告げる。それから5年。とあるウィルス兵器の研究所が襲われる。強引に手引きをさせられたロシア人科学者のヴァルド・オブルチェフだけが唯一生き残って連れ去られる。一方、マドレーヌと別れたボンドは、ジャマイカで優雅に暮らしていたが、そこへCIAの友人でもあるフェリックス・ライターが、アメリカ総務省のアッシュと共に現れる。そこでフェリックスは、誘拐されたオブルチェフの捜索をボンドに依頼する。場所はキューバ。そこにはイタリアでボンドを襲ったスペクターの残党が集まるとも知らされるが、ボンドは引退した身であることを理由に断る。

フェリックスたちと別れたボンドの前に現れたのは、ノーミと名乗る黒人女性。実は、ノーミはMI6の諜報員で、現在の「007」である。「永久欠番だとでも思った?」という挑発的なセリフ。それに対し、ボンドは「たかが数字だ」と答える。このやり取りは後に出てくるが、ウィットに富んでいる。ノーミは、一連の事件が「ヘラクレス計画」と関係があることを伝え、ボンドに協力を求めるが、ボンドは再び断る。しかし、そうは言っても「ヘラクレス計画」は、Mが携わっていた計画でもあり、気になったボンドはフェリックスの誘いを受けキューバに向かう。

キューバに向かったボンドを迎えたのは、CIAの新人局員パロマ。これがなかなかの美人。2人でスペクターの残党が集まるパーティーに潜入するが、ボンドの潜入はバレており、集会会場に毒ガスが噴射される。ところが、ボンドには何の影響もなく、逆に周囲のスペクターの残党が次々と倒れていく。戸惑うボンドだが、会場にいたオブルチェフを見つけると、ボンドはパロマと共にオブルチェフを捕まえる。

引退したとは言え、その腕前は健全。新登場のパロマは、美女ながらも見事な格闘アクションを見せてくれる。なかなかの見せ場に満足のいくストーリー展開である。オブルチェフを捕らえたボンドは、フェリックスとアッシュと合流するが、アッシュの裏切でフェリックスは命を落とし、オブルチェフは連れ去られてしまう。オブルチェフから得たデータをQが解析したところ、「ヘラクレス計画」は、ナノボットを使い特定のDNAにウィルスを流し込むことで、感染者が触れただけでウィルス感染が広がるというもの。これがちょっとわかりにくい代物。

そんな化学兵器を手中にしたのが今回の黒幕とでもいうべき敵。その目的はスペクターの壊滅。それなら放置しておけばいいが、危険な化学兵器の存在がそれを許さない。やがてボンドはマドレーヌと再会する。新たな007が絡み、物語はスケールアップして展開していく。ボンドと別れたマドレーヌは、密かに娘マティルドを産んでいる。ノーミから「007」のナンバーを戻されたボンドは最後の任務へと向かう。かつて肉体派アクションに転向しかけたボンドだが、ここではまた本来のスタイルに戻っている。

そしてダニエル・クレイグのボンドは最後の時を迎える。一時はどうなるかと思ったが、最後はボンドらしくホッとした。ラストはボンドが美女と去っていくのがお馴染みであるが、本作ではストーリーの流れからそれを封印。いよいよこれでジェームズ・ボンドシリーズも終わりかと思いきや、エンディングではお馴染みの“James Bond will return”が表示される。今度はどんなボンドがどういう筋書きで登場するのだろう。

新たなボンドに期待したいと思うのである・・・


評価:★★★☆☆








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2022年04月22日

【インフィニット 無限の記憶】My Cinema File 2535

インフィニット無限の記憶.jpeg

原題: Infinite
2021年 アメリカ
監督: アントワン・フークア
出演: 
マーク・ウォールバーグ:エヴァン・マコーリー / ハインリッヒ・トレッドウェイ
ディラン・オブライエン:1985年のハインリッヒ・トレッドウェイ
ソフィー・クックソン:ノーラ・ブライトマン
ヨハネス・ハウクル・ヨハネソン:コヴィック
ジェイソン・マンツォーカス:アルチザン
ルパート・フレンド:1985年のバサースト
キウェテル・イジョフォー:バサースト

〈STORY〉
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前世からの記憶と能力を持つ人間たち・インフィニットには、より良い世界を作ろうと戦う勢力と生命の滅亡を企む勢力が存在していた。インフィニットでありながら不完全な記憶を持つ1人の男性は、世界の平和を守るべく戦う中で前世の記憶を取り戻そうと奔走する。
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死にたくないというのは、人間の本能のようなもので、それでも死からは逃れられない。であれば「死んでも死なない方法」を考えつくのが人間であり、その一つの方法が仏教などに見られる「輪廻転生」である。肉体は死んでも魂は滅びない。新たな肉体に宿った魂はまた新たな人生を歩む。そんな輪廻転生の考え方を取り入れたのがこの映画。登場するのは、前世の記憶を完全に持つ者。彼らはインフィニットと呼ばれ、一般人に紛れてひっそりと日常生活を送っている。

インフィニットは、500人にも満たない能力者で、2つの勢力に分かれている。自分達が与えられた能力で人類をより良い未来へ導こうという“ビリーバー”という勢力と、自分達が与えられた能力を呪いと考え、世界の終わりを望む勢力“ニヒリスト”という勢力である。冒頭で、ビリーバーに属するトレッドウェイがある物を守るためにメキシコの街中を逃走している。それは人類滅亡の鍵となる何かであり、、ニヒリストもそれを狙っている。トレッドウェイは自分に何かあったら、「俺の中を探せ」と仲間のアベルとノーラにメッセージを残し、3人ともニヒリストの刺客によって殺害されてしまう・・・

時を経て現代。ニューヨークで暮らすエヴァン・マコーリーは、就職活動に臨むも不採用となってしまう。原因は過去の暴行事件、統合失調症による2週間の入院の事実。エヴァンは日頃からリアルな夢に悩まされていて、抗精神病薬“クロザピン”を手放せない。仕事がなければ家賃が払えないばかりか、薬を服用できなければまともな生活すら送れないとあって焦りが生じている。

そんなエヴァンにはなぜか身に覚えのないスキルがあり、自然と刀工技術を使い日本刀を造り上げる。そしてそれを持って麻薬の売人のところに行くと、クロザピンと交換しようとする。しかし、売人の手下が薬の数を誤魔化そうとしてトラブルとなり、エヴァンは無意識のうちに鮮やかな格闘技術を駆使して刀と薬を持って逃げる。ところが、エヴァンは突然、幻覚を見てそのまま気を失ってしまう。気がつけばそこは警察署内。

エヴァンを取り調べに来たのは謎めいた男。男は骨董品をいくつか出して並べ、見覚えがあるかどうかを問いただす。エヴァンが「知らない」と答えると、ロシアン・ルーレットで拳銃の引き金を引く。焦るエヴァンだが逃れる術はない。しかし、ある皮製の道具を手にした時、彼の脳裏にその道具を使う記憶が浮かんでくる。その直後、取調室に自動車が突っ込んでくる。車を運転していた女がエヴァンに乗るよう叫び、エヴァンは飛び乗る。女はノーラ・ブライトマンと名乗り、尋問していた男をバサーストだと教える。

そして、エヴァンはノーラから自分が、前世の記憶を全て持って生まれ変わっているインフィニットと呼ばれる存在だと説明される。さらにノーラは“ビリーバー”であり、バサーストが“ニヒリスト”であることも。否応なく、2つの勢力の争いに巻き込まれたエヴァン。しかし、その正体は冒頭で死亡したハインリッヒ・トレットウェイの生まれ変わりであり、なぜか過去の記憶を取り戻していないことも明らかになる。

ニヒリストの目的はインフィニットにそなわる輪廻転生を終わらせるために生きとし生ける生命体を絶滅させる装置の“エッグ”を起動さること。そのエッグはエヴァンの前世であるハインリッヒ・トレッドウェイが奪い取ってどこかに隠したままにしている。エッグがバサーストの手に渡る前に、エヴァンはトレッドウェイの記憶と能力を取り戻し、バサーストの企みを阻止しなければならない。こうして物語は進んでいく。

いろいろとツッコミどころのあるストーリー展開なのであるが、細かいところにはこだわらずに楽しみたい。他と違う要素というと、「前世の記憶がある」ということだけ。しかも死んでしまうとまた一から人間を始めないといけないという欠点がある。そこがエンターテイメント性を盛り上げるという点ではどうにも難しいところだったように思う。ノーラとアベルはずっとカップルであったようだが、再生の時を間違えると年の差カップルになってしまうなどとくだらないことを考えてしまった。

ただ、個人的には前世の記憶をずっと維持していけたらどんなだろうと想像するのは楽しい。そんな想像を楽しませてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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