
原題: Furious
2017年 ロシア
監督: イバン・シャーコベツキー
出演:
イリャ・マラコフ:エヴパーチー・コロヴラート
アレクセイ・セレブリャコフ:ユーリ
アレクサンドル・イリン:カルクン
ユリア・クリニーナ:ラダ
アレクサンドル・ツォイ:バトゥ
<映画.com>
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ロシア史に残る伝説の戦い「バトゥのリャザン襲撃の物語」をモチーフに、強大なモンゴル帝国軍にたった1人で立ち向かった戦士の死闘を壮大なスケールで映像化したソードアクション。13世紀半ば、暴君バトゥ率いるモンゴル軍は支配地域を次々と広げ、その勢力をヨーロッパへと拡大、複数の公国に別れていたロシアに侵攻する。ほとんどの大公がモンゴルの強大な力に屈していく中、リャザンの大公は降伏を拒否。彼の土地は、ロシア最強の戦士コロブラートに守られていた。激怒したバトゥは熟練兵たちの大軍隊を編成してリャザン公国に攻め込む。出演は「裁かれるは善人のみ」のアレクセイ・セレブリャコフほか。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。
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時に13世紀の中世ロシア。その都市リャザンに住む13歳のエヴパーチーは、2本の剣を振り回して遊んでいる(本人は訓練のつもりか)。そこへ通りかがった大公の一行。同行していた大公の娘ナスチャは、それを見て「糸車」みたいと微笑む。そしてエヴパーチーに「コロヴラート(糸車)」とあだ名をつける。その刹那、大公一行はモンゴル軍の待ち伏せにあい、大公は攫われてしまう。コロヴラートも攫われることはなかったが、襲われて気を失う。
それから時を経てコロヴラートは成長し、今はナスチャと結婚して子供もいる。しかし、モンゴル軍に襲われた後遺症なのか、毎朝起きる度に13歳の頃の記憶に戻ってしまう。襲われた時の悪夢に目覚めると、しばらくは過去を思い出せないため、ナスチャが懸命に介抱しなければならないほど。それ以外では、コロヴラートは軍の隊長を務め、リャザンで大公の信頼も厚い存在である。
そんなある日、モンゴル軍が大軍を率いてリャザンを包囲する。圧倒的な大軍勢に大公はモンゴル軍に使節を送り、交渉することによって時間を稼ぎ、周辺の都市に援軍を頼もうと試みる。使節に選ばれたのは大公の子息。コロヴラートも護衛として付き添う。使節を迎えたモンゴル軍の司令官ハン・バトゥは、特権を示す首飾りを与え服順を要求する。しかし、これを拒否したコロヴラートらは命からがら脱出する。
コロヴラートらは遠回りをしながらリャザンに帰るが、すでにモンゴル軍の攻撃によりリャザンは壊滅した後だった。都市のシンボルである鐘を直して鳴らすと、隠れて避難していた人々が集まってくる。しかし、鐘を聞いたモンゴル軍の兵士たちが戻ってくる。これを迎えたコロヴラートは、見事な二刀流でモンゴル軍の兵士を切り捨てる。そして怯える民衆達を励まし、モンゴル軍と戦うことを宣言する。
モンゴル軍によって大公は家族諸共殺され、コロヴラートも妻子を失う。失うものは何もない。わずかな手勢でモンゴル軍に立ち向かっていくストーリー。野生の熊を操る仲間に助けられるなど、マンガチックな展開もあるが、数的不利をゲリラ線でモンゴル軍を翻弄していくコロヴラートたち。結果は予想通りというわけではなかったが、荒唐無稽なストーリーでなかったところが面白さを増したところかもしれない。
13世紀と言えば、日本も元寇で苦しんでいる。バトゥはチンギス・ハンの孫らしいが、世界史は繋がっていると感じられる。コロヴラートは伝説らしいが、興味深いロシア史を描く映画である・・・
評価:★★☆☆☆