
2009年 日本
監督: 水田伸生
出演:
阿部サダヲ:下井草祐太
瑛太:下井草祐介
竹内結子:山岸徹子
塚本高史:金城大介
皆川猿時:トシちゃん
片桐はいり:みどり
鈴木砂羽:下井草祐子
伊原剛志:父親・下井草健太
<映画.com>
********************************************************************************************************
幼い頃父親に捨てられた祐太は、東京下町・善人通りの惣菜屋「デリカの山ちゃん」の店主夫婦に養子として育てられ、今では2代目店主となって商店街を盛り上げていた。そして密かに思いを寄せていた初代店主夫婦のひとり娘・徹子と結婚にこぎつけた祐太は、生き別れた弟で人気お笑い芸人「金城ブラザーズ」の祐介の存在を知り、再会を果たすが……。『舞妓Haaaan!!!』の水田尾伸生監督・脚本の宮藤官九郎、主演の阿部サダヲが再結集。
********************************************************************************************************
物語の舞台は、とある商店街にある惣菜店「山ちゃん」。店主は2代目の山ちゃん。しかし、実は2代目は幼い頃、両親の離婚に伴って父親に引き取られていた。妊娠中の母親はその後、弟になる祐介を生む。祐太を連れた父が頼ったのが、下町で惣菜屋を営む山ちゃん。しかし、もともとダメな父親は、その日の晩に売上金を盗み失踪してしまう。後に残された祐太は、子供ながらの生きる知恵か、周囲に気配りの利く子供として育つ。山ちゃん宅には長女の徹子がおり、働き者の祐太はいずれ婿養子にという考えも山ちゃんの胸にはあったが、太った徹子に祐太の心は動かない。
人の頼みごとを断らず、常に笑顔で人のために働く祐太は、近所からも愛される存在。やがて山ちゃんは2代目として祐太に店を任せる。その後、山ちゃんは亡くなり、長女の徹子も家を出ていき、家には祐太と認知症になった山ちゃんの奥さんのみとなる。一方、弟の祐介は、母によって育てられるが、その母は祐介の幼い頃に事故で亡くなってしまう。祐介は、親戚の家をたらい回しにされ、転校を繰り返す。そんな中で、祐介は皆を笑わせる術を身につけていく。それは、転校先でいじめられないようにする祐介なりの生きる知恵であった。
そんな経緯もあり、祐介はお笑い芸人になる。そして同じ芸人の金城大介と出会い、兄弟という設定で「金城ブラザーズ」を結成。これが機となりコンビは売れるようになる。ある日、祐太の店に美女がやってくる。それがなんと徹子だと知り祐太は驚愕する。かつての徹子は太っていて、お世辞にも魅力的とは言い難かったが、その変身ぶりに誰もが驚く。認知症で祐太のことを先代山ちゃんだと思い込んでいる徹子の母は、逆に徹子だと分かり歓迎する。
突然帰宅した徹子だが、家を出たあとにもいろいろあり、子供を2人連れての帰宅であった。たちまち心を打たれた祐太は、子供のことなど気にすることもなく、結婚を申し込む。めでたく結婚することになり戸籍謄本を取り寄せた祐太は、初めて自分の弟が金城ブラザーズの祐介であることを知る。事実を知った祐太は、居ても立ってもいられず祐介に会いに行く。しかし、突然の「兄」の訪問に祐介は戸惑う。コンビを組んでいる相方とは、実の兄弟という設定でコンビを結成していたからである・・・
この映画の存在は竹内結子ファンとしてどんな映画なのかと気にはなっていたが、ようやく鑑賞に至る。内容は、人情ドタバタストーリーである。主人公はお人好しの「山ちゃん」こと祐太。人にものを頼まれれば嫌と言わない。それゆえにご近所からいろいろな事を頼まれる。犬の散歩から買い物や老人宅の掃除までそれは多岐にわたり、徹子にもあきれられるほど。それが生き別れた弟の存在を知り、互いに驚く。2人の兄弟の葛藤がメインのストーリー。メインのストーリーはシリアスだが、それをたっぷりとコメディで衣付けしている映画である。
主演の阿部サダヲは、映画によって変幻自在の感がある。『死刑にいたる病』(My Cinema File 2657 )ではサイコキラーだったし、『奇跡のリンゴ』(My Cinema File 1189)では熱狂する農家、しかしながら、この映画や『舞妓Haaaan!!!』のようなコメディも実にしっくりする。そして何と言っても竹内結子の存在がこの映画を観ようと思った最大の理由。個人的にファンであったからだが、もう新作が観られないのが残念である。さらに伊原剛志のダメ男ぶりも何とも言えない。
コメディテイストで笑わせておいて、メインのストーリーをしっかり伝えるという王道の展開。阿部サダヲの怪演と竹内結子の魅力も相まって、楽しく鑑賞できる映画である・・・
評価:★★☆☆☆