
原題: Kingdom of the Planet of the Apes
2024年 アメリカ
監督: ウェス・ボール
出演:
オーウェン・ティーグ:ノア
フレイヤ・アーラン:ノヴァ
ケビン・デュランド:プロキシマス・シーザー
ピーター・メイコン:ラカ
ウィリアム・H・メイシー:トレヴェイサン
<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
猿と人間の争いを描く人気シリーズの一作で、猿が支配者として君臨するようになった近未来を舞台とするSFアクション。家族を失った猿と秘密を知る人間の女性、そして人間を排除しようとする冷酷なリーダーを中心に、猿と人間の共存か猿の独裁かをめぐる争いが繰り広げられる。監督は『メイズ・ランナー』シリーズなどのウェス・ボール。『To Leslie トゥ・レスリー』などのオーウェン・ティーグやドラマシリーズ「ウィッチャー」などのフレイヤ・アーランらが出演する。
********************************************************************************************************
『猿の惑星:創世記』(My Cinema File 779)、『猿の惑星:新世紀』(My Cinema File 1387)、『猿の惑星:聖戦記』(My Cinema File 1859)と続いてきた『猿の惑星」シリーズの第4弾である。
前3作は、人類の惑星が猿の惑星へと移行する過渡期を描いていた。中心となるのは猿のリーダーであるシーザーであったが、冒頭ではそのシーザーの葬儀が行われる。1つの時代が終わり、そしてそれから数世代が経過したのが本作の舞台。登場するのは、ワシと暮らすイーグル族の若者ノア。何かの儀式があり、仲間のアナヤとスーナとともに鷲の卵を取りに行く。人間には登るのも困難な断崖絶壁も猿であれば登っていける。巣を見つけてもすべての卵を取ることはせず、必ず1つ残す。そうして翌日の儀式に供える。
ところが、帰り道で人間を見かける。人間をエコーと呼び、村でも警戒しているが、帰ってそれを報告する。報告を受けた長老は調査のために猿を送り出す。その夜、物音に目覚めたノアは村の中で人間を見かける。追いかけていくうちに、村の外で調査に出かけた猿が殺されているのを発見する。殺したのは別の猿のグループ。近くに村があるとわかった猿の一群はそのまま村に向かう。突然、襲われた村はなす術もなく、一群によって連れ去られてしまう。生き残ったノアは、単身、仲間を取り戻すために旅に出る。
旅の途中でノアは、オランウータンのラカと知り合う。ラカは本を持っており、書かれた言葉の意味はわからないが知識を継承しようとしている。ラカもまたノアの村を襲った一群に襲われており、グループのリーダーはプロキシマスということがわかる。ラカは、シーザーの真の教えを守ろうとしており、「猿は団結すれば強い」「猿は猿を殺さない」というシーザーの言葉をノアに教える。2匹はプロキシマスの支配する村を目がけて旅をするが、そこで例の人間の女と一緒になる。
初めは餌が欲しいのだろうとラカは人間の女に餌を投げる。女は恐る恐る近づいてそれを食べる。その様子は人間と野生の動物のようであり、立場が逆転している。そうして人間の女を加えて2匹と1人の旅になる。ラカは女を“ノヴァ”と名付ける。しかし、道中、またしてもプロキシマスの一群に襲われる。他の人間のグループに合流したノヴァだったが、一群の目的は人間狩り。そしてなぜかノヴァが特別に追われる。追い詰められたノヴァは、ノアの名を呼ぶ。言葉を話せる人間にノアもラカも驚く・・・
前3作とはまったく異なる展開。そこは人間と猿が争う世界ではなく、猿が支配する世界。人間は言葉を話せず、野生に戻っている。チャールトン・ヘストンが帰還した地球の状況に近いのではないかと思う。ノヴァは自らの本当の名はメイだと語る。『猿の惑星:聖戦記』(My Cinema File 1859)では猿の知能を向上させたウイルスが変異し、人間から言葉を喋る能力を奪った語られていたが、どうやらウイルスの影響を免れた人類がいる。そして三度プロキシマスに襲われたノヴァは、メイとともに捕らえられ、ラカは川に流されてしまう。プロキシマスの村に連行されたノアとメイは、そこでプロキシマスの狙いについて知ることになる。
本作では人間がほとんど出てこない。例外はメイで、野生の人間と違って言葉が話せて知能がある。それは猿よりも高い知能で、知識という人類の文明の遺産を受け継いでいる。メインはノアとプロキシマスの対決。ここでは人間は脇役である。プロキシマスは自らシーザーと名乗り、伝説のシーザーの跡を継ぐものとしている。そして自ら支配する村を王国(キングダム)と称している。これがタイトルの由来。プロキシマスは、とあるものを手に入れ、自らの支配を盤石にしようとする意図がある。
メイにも本当の狙いがあり、それを手に入れたメイはラストである場所へ向かう。それからどうなるのか。また続くという事なのだろう。それは「猿の惑星」には危険な匂いを漂わせる。しかし、『猿の惑星』の以前のシリーズのラストにも通じるものがある。それにしても、ノア達が後半、人類が残した倉庫で発見したのは「ママ」と喋る人形。確かチャールトン・ヘストンが発見したのも「ママ」としゃべる人形で、以前のシリーズを意識しているのだろう。まだまだ続くのだと思うが、このシリーズは徹底して最後まで観たいと思う。
このあと、どうなっていくのだろうか。自分たちの村を再建するノアといずこかへと旅立つメイ。楽しみを次に残してくれるシリーズ第4弾である・・・
評価:★★☆☆☆