
原題: Personal Shopper
2016年 フランス
監督: オリビエ・アサイヤス
出演:
クリステン・スチュワート:モウリーン
ラース・アイディンガー:インゴ
シグリッド・ブアジズ:ララ
アンデルシュ・ダニエルセン・リー:アーウィン
タイ・オルウィン:ギャリー
アンムー・ガライア:警官
ノラ・フォン・バルトシュテッテン:キーラ
<シネマトゥデイ>
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『アクトレス〜女たちの舞台〜』のクリステン・スチュワートとオリヴィエ・アサイヤス監督が再び組み、第69回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したミステリー。多忙な人々に代わって服やアクセサリーを買い付けるパーソナル・ショッパー(買物代行人)のヒロインが、顧客の私生活に触れる中で欲望を膨らませていくさまを描く。シャネルのほか、劇中を彩る華やかなファッションにも注目。
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主人公のモウリーンは、とある屋敷へとやってくる。今は誰も住んでいないその屋敷に1人残る。その夜、物音に目覚めたモウリーンは屋敷内を探しまわる。オカルト映画を思わせるシーンであるが、何事もなく終わる。安堵というより落胆という雰囲気がよくわからない。そんなモウリーンの仕事は、パリでセレブのために高級ブランドの服やアクセサリーの買い物代行をするパーソナル・ショッパー。そういう仕事があるのだと改めてセレブをうらやましく思う。
モウリーン自身は、バイクを利用し、服装も地味であるが、それ以上に厭世的な雰囲気が漂う。外国で暮らしている恋人がいて、来るように誘われるが、色よい返事はしない。その理由はパリで亡くなった兄の霊に会うためであることが明らかにされる。実はモウリーンには双子の兄がいて、2人には霊媒の能力があったという。そして生前、兄とどちらかが死んだら互いにわかるように何かのサインを送り合おうと決めていたという。パリを離れるとその合図がわからないとモーリーンは信じている。
実は冒頭で訪ねた屋敷は兄が住んでいたところ。そこでは確かに蛇口から水が勝手に出たりラップ音がしたりと奇怪な現象が起きたのであるが、やがて現れたのは口からエクトプラズムを吐く女性の霊。そしてまた別の日、モウリーンがパーソナルショッパーの仕事をこなしていると、見知らぬメールが届く。そのメールには、「私はあなたを知っている。あなたも私を知っている」と書いてある。差出人はわからない。
差出人不明のメールはモウリーンの行先や行動を先々まで理解していて、不気味さが漂う。これこそが兄の霊が送るものではないかと思うモウリーンは兄なのかと問うも答えはない。その間にもパーソナルショッパーの仕事をこなし、雇い主の家へと荷物を届ける。買うものは高級品ばかり。セレブではないが、値札を気にすることなく買い物ができるというこの職業は、結構面白いのではないかと思う。
謎のメールはモウリーンの行動を見ているかのように届く。パーソナル・ショッパーとして雇い主の契約で買い揃えた服や靴を着たり履いたりすることは、禁止されているが、謎のメールはそれを促す。だれでもそうかもしれないが、心の奥底にはセレブリティへの憧れと欲望が潜んでいる。そしてある日、モウリーンが買い物を終えて、雇い主の部屋へ向かうが、どこか様子が変であり、見まわったところ雇い主が惨殺されているのを発見する。さらに、奥の部屋から奇妙な音が聞こえ、不気味な光も見える。モウリーンはその場を逃げ出して警察に向かう・・・
この映画を観ようと最終的に決めたのは、主演が美形のクリステン・スチュワートだから。それはそれで間違ってはいなかったが、いかんせん内要的にストーリーがイマイチだったのはいなめない。タイトルが『パーソナル・ショッパー』ならそれに沿った内容にすべきだと思うが、主人公が霊媒という事でストーリーがぶれてしまう。霊魂の扱いも中途半端。ホラーとしてもミステリーとしてもどっちつかずの内容なのである。その中途半端感が映画の評価を落としている。
いったいこれは何の映画なのか。それが曖昧だったためイマイチの内容になってしまった映画である・・・
評価:★★☆☆☆