2024年09月29日

【パーソナル・ショッパー】My Cinema File 2918

パーソナル・ショッパー.jpg

原題: Personal Shopper
2016年 フランス
監督: オリビエ・アサイヤス
出演: 
クリステン・スチュワート:モウリーン
ラース・アイディンガー:インゴ
シグリッド・ブアジズ:ララ
アンデルシュ・ダニエルセン・リー:アーウィン
タイ・オルウィン:ギャリー
アンムー・ガライア:警官
ノラ・フォン・バルトシュテッテン:キーラ

<シネマトゥデイ>
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『アクトレス〜女たちの舞台〜』のクリステン・スチュワートとオリヴィエ・アサイヤス監督が再び組み、第69回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したミステリー。多忙な人々に代わって服やアクセサリーを買い付けるパーソナル・ショッパー(買物代行人)のヒロインが、顧客の私生活に触れる中で欲望を膨らませていくさまを描く。シャネルのほか、劇中を彩る華やかなファッションにも注目。
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主人公のモウリーンは、とある屋敷へとやってくる。今は誰も住んでいないその屋敷に1人残る。その夜、物音に目覚めたモウリーンは屋敷内を探しまわる。オカルト映画を思わせるシーンであるが、何事もなく終わる。安堵というより落胆という雰囲気がよくわからない。そんなモウリーンの仕事は、パリでセレブのために高級ブランドの服やアクセサリーの買い物代行をするパーソナル・ショッパー。そういう仕事があるのだと改めてセレブをうらやましく思う。

モウリーン自身は、バイクを利用し、服装も地味であるが、それ以上に厭世的な雰囲気が漂う。外国で暮らしている恋人がいて、来るように誘われるが、色よい返事はしない。その理由はパリで亡くなった兄の霊に会うためであることが明らかにされる。実はモウリーンには双子の兄がいて、2人には霊媒の能力があったという。そして生前、兄とどちらかが死んだら互いにわかるように何かのサインを送り合おうと決めていたという。パリを離れるとその合図がわからないとモーリーンは信じている。

実は冒頭で訪ねた屋敷は兄が住んでいたところ。そこでは確かに蛇口から水が勝手に出たりラップ音がしたりと奇怪な現象が起きたのであるが、やがて現れたのは口からエクトプラズムを吐く女性の霊。そしてまた別の日、モウリーンがパーソナルショッパーの仕事をこなしていると、見知らぬメールが届く。そのメールには、「私はあなたを知っている。あなたも私を知っている」と書いてある。差出人はわからない。

差出人不明のメールはモウリーンの行先や行動を先々まで理解していて、不気味さが漂う。これこそが兄の霊が送るものではないかと思うモウリーンは兄なのかと問うも答えはない。その間にもパーソナルショッパーの仕事をこなし、雇い主の家へと荷物を届ける。買うものは高級品ばかり。セレブではないが、値札を気にすることなく買い物ができるというこの職業は、結構面白いのではないかと思う。

謎のメールはモウリーンの行動を見ているかのように届く。パーソナル・ショッパーとして雇い主の契約で買い揃えた服や靴を着たり履いたりすることは、禁止されているが、謎のメールはそれを促す。だれでもそうかもしれないが、心の奥底にはセレブリティへの憧れと欲望が潜んでいる。そしてある日、モウリーンが買い物を終えて、雇い主の部屋へ向かうが、どこか様子が変であり、見まわったところ雇い主が惨殺されているのを発見する。さらに、奥の部屋から奇妙な音が聞こえ、不気味な光も見える。モウリーンはその場を逃げ出して警察に向かう・・・

この映画を観ようと最終的に決めたのは、主演が美形のクリステン・スチュワートだから。それはそれで間違ってはいなかったが、いかんせん内要的にストーリーがイマイチだったのはいなめない。タイトルが『パーソナル・ショッパー』ならそれに沿った内容にすべきだと思うが、主人公が霊媒という事でストーリーがぶれてしまう。霊魂の扱いも中途半端。ホラーとしてもミステリーとしてもどっちつかずの内容なのである。その中途半端感が映画の評価を落としている。

いったいこれは何の映画なのか。それが曖昧だったためイマイチの内容になってしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年09月28日

【トーマス・クラウン・アフェアー】My Cinema File 2917

トーマス・クラウン・アフェアー.jpg

原題: The Thomas Crown Affair
1999年 アメリカ
監督: ジョン・マクティアナン
出演: 
ピアース・ブロスナン:トーマス・クラウン
レネ・ルッソ:キャサリン・バニング
デニス・リアリー:マイケル・マッキャン
フランキー・フェイソン:パレッティ
フリッツ・ウィーヴァー:ジョン・レイノルズ
マーク・マーゴリス:ハインリヒ・ヌーツォン
フェイ・ダナウェイ:精神分析医

<映画.com>
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絵画強盗を道楽にする大富豪と保険会社の敏腕女性調査員の危険な駆け引きを描くサスペンス。スティーヴ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ主演で映画化された「華麗なる賭け」のリメイク。監督は『ダイ・ハード1』「3」のジョン・マクティアナン。脚本はオリジナルのアラン・R・トラストマンの原案を元に、「ミセス・ダウト」のレスリー・ディクソンと「スフィア」のカート・ウィマーが担当。製作はボー・セントクレアと主演の「ダンテズ・ピーク」のピアース・ブロスナン。撮影は「ディープ・インパクト」(第2班)のトム・プリーストリー。音楽は『ロッキー』シリーズのビル・コンティ。衣裳は元『ヴァニティ・フェア』誌のデザイナーのケイト・ハリントン。共演は「リーサル・ウェポン4」のレネ・ルッソ、オリジナルでヒロインをつとめたフェイ・ダナウェイ(「ジャンヌ・ダルク」)、「サンドラ・ブロックの恋する泥棒」のデニス・レアリー、スーパーモデルのエスター・カニャーダス、「ビッグ・リボウスキ」のベン・ギャザラほか。
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映画は今から25年前の製作。当時観た記憶があるが、内容は忘却の彼方。新しい気持ちで再鑑賞に至る。

主人公のトーマス・クラウンは、ニューヨークで投資会社を経営する大富豪。精神分析医とのカウンセリングが随所に挿入される。女医役で登場するのはフェイ・ダナウェイ。往年の美人女優であるが、この映画の元ネタである「華麗なる賭け」ではヒロインを演じていたという事からの起用なのだろう。「女性はトーマスを信用していいものか」と問うフェイ・ダナウェイ女医に、トーマスは「利害が対立するのでない限り信用していい」と答える。トーマスはジェームズ・ボンドを意識したかのような二枚目である。

ある朝、トーマスはメトロポリタン美術館に立ち寄り、クロワッサンをかじりながらゴッホを眺める。警備員とも軽口を交わし、顔なじみである様子。隣にはモネの名画があり、そちらの方が価値が高いのにトーマスは感心を示さない。そしてトーマスはそのまま出社する。ちょうどその頃、美術館に4人組の泥棒が入り込む。美術品を装った中に潜り込み、隙を見て館内に侵入する。厳重な警戒網を次々と攻略していく4人組。しかし、最後の最後で警備員の扮装を見破られ、館内には警報が響き渡る。

その時、仕事を終えて会社を出たトーマスが何気なく美術館に入ってくる。警報が鳴り響き、絵画フロアが閉鎖される瞬間、鞄を置いて鉄格子が降りるのを防ぎ、手早くモネの絵を盗み出す。大富豪でありながら、金では満たされないスリルを求めているのだろうか。盗み出したモネを悠然と持ち帰り、地下室に飾る。盗難事件発生を受けてニューヨーク市警のマイケル・マッキャン刑事が捜査に乗り出してくる。そこに保険会社から依頼を受けたキャサリン・バニング調査員が現れる。

海外では保険の調査員も権利を認められているのか、キャサリンは美術品泥棒の一人を尋問し、彼らの役割は単なる陽動であると判断する。そして、館内のビデオを見て鉄格子を止めた鞄に注目する。モネの絵画の前のベンチにも同じ鞄が置かれており、置いた人物がトーマスであることを突き止める。下手な刑事よりも優秀である。その一方、トーマスは盗まれたモネの場所を埋めるためとして、美術館に自身の所有する絵画を貸し出す事を申し出る。誰もトーマスを疑わないであろう。ところが、その貸与のセレモニーでキャサリンはトーマスに接近する。

トーマスは、近づいてきたキャサリンをディナーに誘う。お互いに表面は優雅に装いながら、腹の中を探り合う。トーマスにとってはこれもゲームのように見える。そして警察にはできない利点として、キャサリンは何と大胆にもトーマスの自宅に忍び込む。そこで隠されていたモネを見つけ意気揚々と警察署に持ち帰る。ところが厳正なる鑑定の結果、それが偽物であることがわかる。キツネとタヌキの化かし合いという言葉は陳腐だが、ホームズとルパンの知的対決の如しである。

これに激高したキャサリンは、さらに大胆にトーマスに仕掛けて行く。ダンスパーティーに乱入し、トーマスに近づくと、一緒に踊っていた女性からトーマスを取り上げる。トーマスもこれに応じ、2人はそのまま一夜を共にする。これはミイラ取りがミイラになったのか、それともベッドをともにしても、それも相手を捕らえる戦略なのか。そのまま何度も逢瀬を重ねるようになる2人。しかし、トーマスはダンスを踊っていた若い女性と夜な夜な会っており、その写真をマッキャン刑事に見せつけられたキャサリンは動揺する。

キャサリンは果たしてトーマスを捕らえるのか、それとも大富豪で二枚目で、困難な盗みさえスマートにこなす怪盗でもあるトーマスに心を盗まれてしまったのか。なかなか先を読ませない展開が面白い。主役のトーマスを演じるのはピアース・ブロスナン。さすがに元ジェームズ・ボンドだけあって、スマートな大富豪役がピッタリと絵になる。現代版アルセーヌ・ルパンとでも言えそうなトーマス・クラウンというキャラクターの完璧な行動が心地良い。

最後までスマートなトーマス・クラウン。観るのも楽しい映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年09月27日

【エブリシング】My Cinema File 2916

エブリシング.jpg

原題: Everything, Everything
2017年 アメリカ
監督: ステラ・メギー
出演: 
アマンドラ・ステンバーグ:マデリン
ニック・ロビンソン:オリー
アナ・デ・ラ・レゲラ:カーラ
アニカ・ノニ・ローズ:ポーリーン

<シネマトゥデイ>
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少女の初恋を描いたニコラ・ユンの小説を映画化。18歳の誕生日に隣家の少年と出会った重病のヒロインが、ひたむきに相手と向き合う様子を活写する。みずみずしいカップルを演じるのは『ハンガー・ゲーム』などのアマンドラ・ステンバーグと『フィフス・ウェイブ』などのニック・ロビンソン。脚本を『アデライン、100年目の恋』などのJ・ミルズ・グッドローが務める。
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主人公のマデリンは、重症複合型免疫不全症を患っていて、これは免疫力が弱いという病気であるために完全殺菌の家から一歩も出ることなく暮らしている。幸いにして母ポーリンは医者であるが、中に入るにはクリーンルームを通らねばならず、訪ねてくるのは看護師のカーラとその娘だけである。それでも現代はネットを通して多少触れ合うことができるが、マデリンは限られた世界で暮らしている。

18歳の誕生日を迎えたマデリンに運命の出会いが訪れる。隣の家にとある家族が越してくる。その家の息子オリーと窓越しに視線を交わし、そこから少しずつ交流が始まる。窓越しにアドレスを交換し、メールのやり取りが始まる。次第に互いに惹かれ合っていくが、マデリンの病気があり、直接会うことはできない。そしてある日、マデリンはとうとう母に内緒で、オリーと会わせてほしいとカーラに頼む。

看護師の立場としては母ポーリンに報告しなければならないし、すれば反対されるのは目に見えている。最初は反対したカーラだったが、近寄らないことを条件にオリーを家の中に招き入れる。部屋の隅と隅に離れて話をする事と、条件をつけたが、いざ実際に会うとどちらからともなく近寄っていく2人。メールでは散々やり取りをしたのに、互いに緊張して上手く話せない。そんな姿は実に初々しいものである。

会えばまた会いたくなるのが人情というもの。マデリンは今度はポーリンとカーラがいない日にオリーを家に誘う。再び会った2人は、緊張しながらも少しずつ近づいていく。オリーは触れても大丈夫なのかと心配するが、マデリンはもう自制したくない。そしてとうとう2人はキスを交わす。そんなある日、事件が起こる。なにやら騒がしく、マデリンが窓の外を見るとオリーが父親と殴り合っている。慌てたマデリンは思わず外に飛び出していく。

驚いたのは、ポーリンとオリー。すぐ家に戻されるが、これで秘密にしていたオリーとの関係がポーリンにバレてしまう。カーラがオリーを部屋に入れてマデリンに会わせたと知ったポーリンは、カーラを解雇し、新しい看護師を雇う。さらにはマデリンにオリーと会うことを禁止する。しかし、それで気持ちを抑えることができるわけでもなく、マデリンはとある決意を固める・・・

『エブリシング』というタイトルからは想像できなかったが、これは生まれつき難病を患う少女の切ない恋物語。家の中から外に出られないという状況では普通の恋愛など思いもよらない。そんな悲恋物語かと思っていたら、物語は予想外の展開を見せる。 『RUN/ラン』(My Cinema File 2853)と同じような母娘関係であったが、そこにあるのは、夫と息子を事故で亡くしたことがトラウマとなり、娘を失うことを恐れた母ポーリンの悲しみだったりする。

結果的に見れば、マデリンの命を賭した行動が自らの道を切り開いたのであるが、もしもオリーが隣に越してこなければどうなっていたのだろうか。ただの恋愛映画ではなく、ひねりの利いたストーリーがちょっと心地良い映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年09月24日

【ファーゴ】My Cinema File 2915

ファーゴ.jpg

原題: Fargo
1996年 アメリカ
監督: ジョエル・コーエン
出演: 
フランシス・マクドーマンド:マージ・ガンダーソン
スティーヴ・ブシェミ:カール
ウィリアム・H・メイシー:ジェリー・ランディガード
ピーター・ストーメア:ゲア・グリムスラッド
ジョン・キャロル・リンチ:ノーム・ガンダーソン

<映画.com>
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コーエン兄弟によるブラックユーモアをちりばめた異色のクライムサスペンス。厚い雪に覆われるミネソタ州ファーゴ。多額の借金を抱える自動車ディーラーのジェリーは、妻ジーンを偽装誘拐して彼女の裕福な父親から身代金をだまし取ろうと企てる。ところが誘拐を請け負った2人の男が警官と目撃者を射殺してしまい、事件は思わぬ方向へ発展していく。アカデミー脚本賞、主演女優賞をはじめ、多数の映画賞を獲得した。
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物語の舞台は1987年のミネソタ州ミネアポリス。自動車販売店の営業担当ジェリー・ランディガードは、酒場で怪しげな2人の男と落ち合う。男たちはカールとゲア。ジェリーとは初対面で、どうやら自社の整備工場のメカニックであるシェプから紹介されたようである。話の内容は穏やかではない。ジェリーは妻ジーンの誘拐を2人に依頼する。そして義父のウェイドから8万ドルの身代金をせしめるという話をする。報酬は折半である。ジェリーは、さらに要求通りに販売店から持ち出した車を仕事用兼報酬の一部として引き渡す。

義父のウェイドは自動車販売店のオーナー。つまりジェリーにとっては義父でもあり上司でもある。一方で、ジェリーはウエイドにある投資案件を持ちかけていたが、この話にウエイドが興味を示し、乗り気になる。金に困っていたジェリーはいろいろと手を打っていたようであるが投資話がまとまるなら誘拐は必要ない。しかし、中止の連絡をしようとしたが連絡がつかない。さらに投資の話もジェリーを信用しないウエイドが自らやると言い出す。それだとジェリーの取り分は減り、思惑通りにはならない。

そんな中、2人組は白昼堂々とジェリーの家に押し入ってジーンを誘拐する。ジーンを車の後部座席に押し込みアジトへ向かうが、途中の路上でパトロール中の警官に停車を命じられる。乗っていた車は販売店からそのまま持ってきたため、ナンバープレートをつけていなかったのである。カールは金を渡して済まそうとするが、警官は応じない。犯行がバレそうになり、なんとゲアが警官を射殺する。さらに偶然にもその場を通りかかった車に乗っていた若者2人にも目撃され、ゲアはこれを追いかけて2人を殺してしまう。

事件発生を受け、ブレーナード警察署の署長マージ・ガンダーソンが臨月の身を押して殺人事件の捜査に乗り出す。殺害された警察官がメモしていた車の記録から車が目撃されたモーテルを探し出し、そこで2人組と行きずりの関係を持った女達から人物風体を聴取する。また、そのモーテルから発信された電話がシェプ宛てであること、シェプの勤務先が犯罪に使用された車の所有ディーラーであることから、マージはジェリーの元を訪ねてくる。警察が動き出したことにジェリーは動揺し、質問に対する受け答えもどこかあやふやになる。

物事は必ずしも思った通りにはいかない。この映画では金に困った男が妻を誘拐させて裕福な義父から身代金をせしめようとした事を発端とし、思いもかけない殺人事件に発展して収拾がつかなくなっていく様子を描いていく。それはまるで雪面を転がる塊が大きな雪だるまになっていくかのよう。安易に知らない人物に狂言誘拐を依頼したばかりに、いつの間にか殺人事件にまで進展してしまう。それも最初は見知らぬところから始まり、ついにはジェリーの身内にも及ぶ。

一連の事件では、誰も得をしない。犯罪とはそういうものと言えばその通り。それにしても登場人物のほとんどが不幸なラストを迎える。唯一の例外は警察署長のマージ。家に帰れば平凡な夫とささやかな家庭を築いている。殺伐とした外の事件とほんのりとしたマージの家庭とは実に対照的である。それにしても雪原に埋めたあのお金はどうなったのだろう。何となく時代を感じさせるところがあると思っていたら、1996年の映画であった。思いもかけない展開という意味では、『テルマ&ルイーズ』(My Cinema File 2914)と同じような映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年09月22日

【テルマ&ルイーズ】My Cinema File 2914

テルマ&ルイーズ.jpg

原題: Thelma & Louise
1991年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演: 
スーザン・サランドン:ルイーズ
ジーナ・デイヴィス:テルマ
ハーヴェイ・カイテル:ハル
マイケル・マドセン:ジミー
クリストファー・マクドナルド:ダリル
スティーヴン・トボロウスキー:マックス
ブラッド・ピット:J.D.
ティモシー・カーハート:ハーラン

<映画.com>
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『ブレードランナー』「ブラック・レイン」のリドリー・スコット監督が女性2人の友情と逃避行を描き、「1990年代の女性版アメリカン・ニューシネマ」と評されたロードムービー。
ある週末、主婦テルマとウェイトレスのルイーズはドライブ旅行に出かけるが、途中で立ち寄った店の駐車場でテルマが男にレイプされそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を撃ち殺してしまう。ルイーズには、かつてレイプ被害を受けたトラウマがあった。警察に指名手配された2人は、さまざまなトラブルに見舞われながらメキシコへ向かって車を走らせるうちに、自分らしく生きることに目覚めていく。
ジーナ・デイビスがテルマ、スーザン・サランドンがルイーズを演じ、ハーベイ・カイテル、マイケル・マドセンが共演。キャリア初期のブラッド・ピットも短い出演時間ながら印象を残した。カーリー・クーリが脚本を手がけ、1992年・第64回アカデミー賞で脚本賞を受賞。2024年2月、スコット監督自身の監修により製作された4Kレストア版でリバイバル公開。
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主人公はタイトルにもある通り、テルマとルイーズの2人の女性。ルイーズは、ウェイトレスとして働いており、専業主婦のテルマにその日から予定している旅行について電話をする。ところがテルマは、高圧的な夫に何も言えない。当然ながらルイーズとの旅行についても話せていない。テルマはとうとう夫のダリルに旅行のことを言えないまま迎えに来たルイーズの車に乗り込む。山のような荷物を積み込んだテルマは、ダリルから護身用に預かっている拳銃まで持ち出す。

普段抑圧されている反動か、テルマのテンションは高い。そして2人は、途中休憩でとある町のナイトクラブに寄る。調子に乗ったテルマは、酒を飲み、言い寄って来たハーランという男と踊る。たしなめるルイーズの声にも耳を貸さない。踊り疲れたテルマは、ハーランに連れられて外へと出る。ハーランは口説きにかかるが、テルマが断ると態度を一変させ、レイプしようとする。必死に抵抗するテルマだが、男の力にはかなわない。そこにテルマを探しにきたルイーズがやってくるが、ハーランは気にせずルイーズを侮辱する。腹を立てたルイーズは、なんとテルマが持ってきた拳銃でハーランを撃ち殺してしまう。

そのまま2人は、車で逃走する。突然の出来事にパニックに陥った2人は罵り合いながらも、現場から遠ざかる。一方、ナイトクラブではハーランの死体が発見され、警察が捜査に乗り出す。捜査にあたるのはハル刑事。目撃者からハーランがろくでなしであるとの証言を得たハル刑事は、2人組の女性を有力な容疑者として捜査を開始する。旅行どころではなくなったルイーズとテルマ。警察に捕まるのを恐れ、メキシコに逃れることを決意する。先立つ金を工面すべく、ルイーズは恋人のジミーに連絡する。ジミーは戸惑いながらもルイーズの頼みを聞き入れる。

テルマは夫のダリルに電話を入れる。ダリルは浮気で帰りが遅くなったにも関わらず、電話に出るなり「すぐ戻ってこい」とテルマを怒鳴りつける。この態度に怒ったテルマは電話を叩き切る。そしてルイーズと一緒にメキシコに行くことを決意する。2人はジミーからの送金を受け取るためオクラホマに向かう。そして途中で、ヒッチハイクをする若者のJ.Dに出会う。まだ懲りないのかテルマはJ.Dと意気投合し、気が進まないルイーズの反対を押し切ってJ.Dを車に乗せる。

オクラホマのホテルに着くと、送金するはずが、ジミー自ら金を届けに来ている。ルイーズを心配したジミーは、プロポーズの指輪を持って迎えに来たのである。そのままルイーズとジミーは、最後の夜を過ごす。一方、テルマの部屋には別れたはずのJ.D.が訪ねて来る。調子に乗ったテルマは、ルイーズが不在なのをいい事に、J.Dを部屋に招き入れる。これが2人の運命を狂わせる2つ目の出来事になる。せっかくジミーが届けてくれた逃走資金(ルイーズの全財産)をJ.Dが持ち逃げするのである。

ウエイトレスと専業主婦という2人の平凡な女性テルマとルイーズが、日頃の憂さを忘れて2人だけの旅に出るが、ふとしたきっかけで殺人事件を起こした事でその運命を大きく狂わせていくストーリー。その狂い方も半端ではない。そのきっかけを作ったのはテルマなのであるが、男に弱いところが如実に現れている。そしてお金を取られて絶望するルイーズを慰めるテルマは、自らの失態を取り返すべく、J.D.の真似をしてなんとスーパーに強盗に入る。まるで斜面を転がる雪だるまのように2人の罪は大きくなっていく。

しかし、警察の包囲網は確実に狭まっていく。思いもかけなかった2人の旅行の「行き先」。何とも言えないラストは、予想もしなかったもの。予想を裏切る映画はそれだけで面白い。それにしてもテルマが撃った事もない銃を考えもせず持ち出さなかったら、冷静になってルイーズが最初の殺人の時に自首していたら(状況からいったら正当防衛が認められていたかもしれない)、2人の運命も変わっていたのだろう。名画『明日に向かって撃て』(My Cinema File 1019)を彷彿とさせるラストシーンの映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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