
2022年 日本
監督: 新海誠
出演:
原菜乃華:岩戸鈴芽
松村北斗:宗像草太
深津絵里:岩戸環
染谷将太:岡部稔
伊藤沙莉:二ノ宮ルミ
花瀬琴音:海部千果
花澤香菜:岩戸椿芽
神木隆之介:芹澤朋也
松本白鸚:宗像羊朗
<映画.com>
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『君の名は。』 『天気の子』の新海誠監督が、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉める旅に出た少女の冒険と成長を描いた長編アニメーション。
九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年・宗像草太と出会う。彼の後を追って山中の廃墟にたどり着いたすずめは、そこだけ崩壊から取り残されたかのようにたたずむ古びた扉を見つけ、引き寄せられるようにその扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。扉の向こう側からは災いがやって来るため、すずめは扉を閉める「戸締りの旅」に出ることに。数々の驚きや困難に見舞われながらも前へと進み続けるすずめだったが……。
「罪の声」「胸が鳴るのは君のせい」などに出演してきた若手俳優の原菜乃華が、オーディションを経て主人公すずめ役の声優に抜てきされた。草太役はこれが声優初挑戦の「SixTONES」の松村北斗。そのほか、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、松本白鸚らが声優を務め、新海作品常連の神木隆之介、花澤香菜も出演。音楽も、新海監督と3度目のタッグとなる「RADWIMPS」が、作曲家の陣内一真とともに担当した。2023年・第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品され、同映画祭で最高賞の金熊賞を受賞した『千と千尋の神隠し』以来21年ぶりとなる、日本アニメーション作品のベルリン映画祭コンペ入りを果たした。
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新海誠監督による長編アニメ。物語の舞台は宮崎県のとある町。主人公は、叔母・岩戸 環と暮らす17歳の女子高校生・岩戸鈴芽。その日、鈴芽は夢を見る。それは一人の幼い少女が廃墟も立ち並ぶ草原の中をひたすら歩き、母を探すも見つからず疲れ果て蹲り、そこに一人の女性が歩いてくるというもの。その女性は果たして母なのか。夢から覚めた鈴芽は慌ただしく学校へと向かう。そしてその途中、見慣れぬ若い男とすれ違う。
男はこの付近に廃墟はあるかと不思議なことを問う。山中の今は廃れたリゾート地を教える鈴芽。一旦は学校へ向かうも、気になった鈴芽は引き返して後を追い、リゾート地にある廃屋で水溜りの中に佇んでいた一つの古い扉を見つける。鈴芽は何かに引っ張られるように扉に手を伸ばし、扉を開ける。その扉の向こうにあったのは、広い草原と星々が煌めく空。タイトルからは連想できない展開である。
鈴芽はその光景に驚愕しつつも、扉を抜けると元の世界である。扉から覗くことはできるが、そこにはいけないようである。その時、鈴芽は足元にあった猫の形をした石を見つける。好奇心からその石を持ち上げると、なんと石は白い猫に姿を変え何処かへと逃げて行ってしまう。わけがわからない鈴芽は、やむなく学校へ行く。学校で友人らと昼食を取ろうとした鈴芽は、山から煙が登っているのを目撃する。しかし、友人には誰1人としてその煙が見えない。煙は勢いを増していく。
その時緊急地震速報のアラームが教室中に響き渡る。揺れは直ぐ収まったものの、鈴芽は自分以外に誰にも見えない煙が気になり、煙が上がる方向へと自転車で向かう。そこはあのリゾート地。煙が噴き出ていたのはあの扉。そしてその扉を必死に締めようとしているのは、朝すれ違った男。煙の勢いに押され吹き飛ばさたりしながらも何とか扉を締めることに成功する。男は宗像草太と名乗る。
草太は鈴芽に自分は各地を旅して『扉』を探して締めていると語る。扉から出てくるのは、日本列島の下をうごめくミミズ。これが出てきて倒れると、それによって地上に災害がもたらされるのだと。そこに現れたのは、廃墟で逃げて行った白い猫。鈴芽が餌を与えると、なんと人間の言葉を話す。驚く鈴芽だが、猫は草太を邪魔だと言って鈴芽がまだ幼い頃に使っていた三本足の椅子に姿を変えてしまう。白い猫は何処かへて逃げて行き、椅子の姿になってしまった草太はそれを追い掛ける。そして鈴芽も後を追う・・・
こうして始まった物語。猫の後を追う鈴芽と草太はフェリーに乗って愛媛に向かう。なにせ相手は猫であり、捕まえるのも容易ではない。こうして椅子と少女の旅が始まる。タイトルの「スズメの戸締り」の意味がわかってくる。スズメとは主人公の名前で、戸締りとは日本各地に出現し日本列島の地下にうごめくミミズが出てくる扉を閉めること。道中、鈴芽は農家の少女千果に出会い、スナックのママと出会い、猫を追う旅を続けていく。
猫を追って椅子の草太を元の姿に戻すというのが縦糸のストーリー。さらに猫は元々ミミズを抑える要石であり、元に戻す必要もある。要石は東と西と二つあり、抜けてしまうとミミズが暴れて大災害が引き起こされてしまう。そしてその猫を追う鈴芽自身の話が横糸のストーリー。旅の途中で出会った人々との交流。そして親のいない鈴芽を育ててくれている叔母環との関係。
冒頭で鈴芽が見た夢の意味がラストでわかる。単にストーリーを追うだけではなく、人間ドラマがそこに描かれる。ファンタジーアニメではあるが、しっかりとした大人向けのドラマである。アニメではあるが、アニメもまた日本の誇る映画の一つであると思わせてくれる映画である・・・
評価:★★☆☆☆