2023年04月15日

【はちどり】My Cinema File 2676

はちどり.jpeg

原題: House of Hummingbird
2018年 韓国・アメリカ
監督: キム・ボラ
出演: 
パク・ジフ:ウニ
キム・セビョク:ヨンジ
チョン・インギ:ウニの父
イ・スンヨン:ウニの母
キル・ヘヨン:ヨンジの母
パク・スヨン:キム・スヒ(ウニの姉)
ソン・サンヨン:キム・デフン(ウニの兄)
パク・ソユン:チョン・ジスク(ウニの親友)
チョン・ユンソ:キム・ジワン(ウニのボーイフレンド)
ソル・ヘイン:ペ・ユリ(ウニの後輩)

<映画.com>
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1990年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた人間ドラマ。本作が初長編となるキム・ボラ監督が、自身の少女時代の体験をもとに描き、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。94年、空前の経済成長を迎えた韓国。14歳の少女ウニは、両親や姉兄とソウルの集合団地で暮らしている。学校になじめない彼女は、別の学校に通う親友と悪さをしたり、男子生徒や後輩の女子とデートをしたりして過ごしていた。小さな餅屋を切り盛りする両親は、子どもたちの心の動きと向き合う余裕がなく、兄はそんな両親の目を盗んでウニに暴力を振るう。ウニは自分に無関心な大人たちに囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、ウニが通う漢文塾に、不思議な雰囲気の女性教師ヨンジがやって来る。自分の話に耳を傾けてくれる彼女に、ウニは心を開いていくが……。
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舞台は1994年の韓国。主人公は中学2年生のウニ。ソウルにある集合住宅の団地に両親と兄と姉とともに暮らしている。父親は厳しく、父の言うことは絶対という環境であるが、そんな父に姉は反抗気味で、塾をさぼってはボーイフレンドと遊んだりしている。父の期待を一身に集めているのは兄であり、成績も優秀であるが、日頃のストレスか親の目を盗んではウニを殴っている。ウニはそんな環境の下、いわば放ったらかしの状態で、ウニは常に我慢を強いられている。

学校では友人の少ないウニだが、なぜか付き合っている彼氏がいていつも一緒にいる。また、ウニは漢文塾に通っているが、そこにはウニにとって唯一の友と言えるジスクがいる。2人でカラオケに行ったり、時にはタバコを吸ってみたりという若者にありがちな好奇心と背伸びがある。今もそうなのかは知らないが、学校ではカラオケに行くのは不良と見なされている。先生も不良調査として不良だと思う生徒の名前を書かせたりするが、今の日本でやったら大問題になるようなことが平気で行われている。

そんな中、漢文塾に新しい先生のヨンジがやってくる。ヨンジはソウル大学に通う大学生で、ウニにとってはあこがれたくなる大人の雰囲気を持つ女性であり、塾に通うのが楽しくなる。ところがある日、ウニは彼氏が別の女の子と仲良くしているのを目撃し、ショックを受ける。さらにジスクに誘われて万引をしてあえなく捕まってしまうが、ジスクがあっさりとウニを売ってしまう。思わぬ友人の裏切りに二重のショックを受けるウニ・・・

物語はそんなウニの日常を静かに描いていく。落ち込んだ気持ちを救ってくれたのはヨンジ先生。話を聞いてくれるだけではなく、真摯に助言もくれるヨンジ先生は、ウニにとって唯一頼れる人となる。別の時にはウニは後輩からを慕われるが、女子の世界にはよくあることである。父親も厳格でウニに対する関心は薄いのかと思いきや、ウニの耳にしこりができ、手術を受ける事になるが、傷が残るかもしれないと知ると涙を流す。そんな姿に少し救われる気がする。

ウニは起用に生きられるタイプではない。大人の世界と子供の世界の微妙な狭間でウニはもがく。頼りになるのは心から慕うヨンジ先生のみであるが、その先生もある日突然漢文塾を辞めてしまう。そんな中、テレビではソンス大橋が崩落し多数の犠牲者が出たと報じられる。日本でも手抜き工事の結果と報じられていたから記憶に残っているが、この事故が意外な形でウニの心に傷を残す。

最後までハッピーエンドとはならないウニの人生。ヨンジ先生が残した手紙には、『世の中は理不尽な事が多いが、それでも美しいものだ』と書かれている。ウニがその後、どんな人生を送ったのかは想像するしかない。ウニのその後の人生が少しでも良いものであってほしいと思わずにはいられない。韓国映画には珍しい、静かな余韻を残して終わる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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