
2019年 日本
監督: 荒井晴彦
原作: 白石一文
出演:
柄本佑永:原賢治
瀧内公美:佐藤直子
<シネマトゥデイ>
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直木賞作家の白石一文の小説を原作にした衝撃作。再会した男女が、次第に愛の嵐にのみ込まれていく。『大鹿村騒動記』などの脚本家で、『この国の空』では監督を務めた荒井晴彦がメガホンを取る。『素敵なダイナマイトスキャンダル』などの柄本佑と『彼女の人生は間違いじゃない』などの瀧内公美が主人公の男女を演じる。
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ある日、川で釣りをしている主人公の賢治のもとに電話がかかってくる。川で釣りをしている雰囲気からもわかるが、賢治は離婚して独り身であり、おまけに失職して現在は無職である。電話は従妹の直子の結婚を知らせるもの。式に出席するようにとのことで、賢治は故郷の秋田に帰省する。事情はよくわからないが、実家に賢治を迎えてくれる者はいない。そこへ従妹の直子が賢治の帰省を聞きつけて訪ねてくる。
久しぶりの再会に、直子は遠慮なく賢治を買い物に連れ出す。新居に設置するテレビを買いに行こうというもの。直子の結婚相手は自衛隊員だと言う。既に2人で暮らす新居も購入しており、直子は賢治を招待する。と言ってもテレビを運ばせたということである。築20年で500万という戸建ての住宅は、東京の感覚からすると破格の安値である。そして直子はとあるアルバムを賢治に見せる。
それは、2人の男女があられもない姿で所かまわず抱き合う姿。そして写っているのは賢治と直子。どうやら2人は従妹同士でありながら、かつて東京で一緒に暮らし、そういう関係にあったようである。普通、そういうものは男が取っているものであり、女が取っておいているというのも珍しい。しかも、結婚を前にしてそういう写真を見せるのは誘っていると取られてもおかしくない。そしてその通り直子は賢治を誘う。「今夜だけあの頃に戻ってみない?」と。
そしてそのまま2人は「あの頃」の関係に戻る。新居のまだ夫となる男が使っていない新しいベッドでという背徳感が何とも言えない。めくるめくひと時であるが、この2人のセックスシーンは表の映画にしては際どい。そして翌日、直子の家に賢治が訪ねてくる。そして遠慮なく直子を押し倒す。「今だけ」という約束もどこへやら。食事しながら「今だけ」と言ったのにと抗議する直子。しかし、賢治の要望にそれなら夫が戻ってくるまでと変わる。
直子が持っていたアルバムには、ベッドだけでなく、トイレや路地裏などいろいろなところでやりまくっている。若さゆえと言えるが、それを思い出したかのように賢治と直子は絡み合う。2人で全裸でベッドに腰掛けながらセックスについて語り合う。画面は全裸の2人を映し、ぼかしが入るものの普通の映画では珍しいようにも感じる。『愛のコリーダ』(My Cinema File 2889)の時代であれば2人のセックスシーンだけで有名になっていたかもしれない。
こうして賢治と直子は、2人だけの濃密な時間を過ごす。祭り見学に向かう高速バスの座席に隣り合って座り、賢治は直子の下半身をまさぐる。他の乗客もいる中、声を出すわけにはいかない。昔のように建物の間の細い路地裏でつながる。あやしげな声を聞きつけた小学生が覗きに来たりするが、それでも所かまわずという心境はわからなくもない。それは若さゆえなのかもしれないが、本能的な感じもする。
直子は結婚を控えている。それでもそんなことを気にするまでもない。結婚相手には気の毒であるが、それ以上のものがあるのだろう。2人の姿に「将来」という言葉はない。ただ、ただ刹那的に快楽を求める。そういう時期があってもいいだろう。ただやっているだけの映画であるが、それ以上にそういう時を過ごせる2人の姿に何とも言えないうらやましさを覚える映画である・・・
評価:★★☆☆☆

