
原題: Proof of Life
2000年 アメリカ
監督: テイラー・ハックフォード
出演:
メグ・ライアン:アリス・ボーマン
ラッセル・クロウ:テリー・ソーン
デイヴィッド・モース:ピーター・ボーマン
パメラ・リード:ジャニス・グッドマン
デイヴィット・カルーソ :ディノ
<シネマトゥデイ>
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ハリウッドの2大スター共演によるロマンティック・サスペンス・アクション。テリーは、国際的な人質事件を専門に扱うプロの交渉人。会社の要請で南米の国テカラのアメリカ人技師ピーター誘拐事件を扱うことになる。が、300万ドルの身代金交渉をすすめる前に、経営危機に陥ったピーターの会社が保険をキャンセルしていたことが発覚。悔しさを噛み締めながら、テリーはテカラを去る。しかし、悲しみと怒りに震えるピーターの妻アリスを前に、テリーは再びテカラに舞い戻り、夫を生きて連れ戻すと誓い、プルーフ・オブ・ライフ=生存証明を開始するのだったが……。
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人質を取ってそれを盾に大金をせしめる、という手は貧しいゲリラにとっては手っ取り早い資金獲得手段なのだろう。
ここでは南米にダム建設のため訪れていたアメリカ人を誘拐する、というストーリーであるが、最近でもソマリア海賊がタンカーを乗っ取って人質を取る例が話題となっているし、同様の事例は枚挙に暇がない。
タイトルの「プルーフ・オブ・ライフ」とは文字通り「生存証明」。
人質が生きて解放される事が、身代金を払う方の絶対条件。
生きているのか死んでいるのかわからなければ、黙って言われるまま金を払う事はリスクも大きい。通常は人質が生きている事を相手に証明させるのである。
身代金を要求してきた犯人グループと交渉するのはプロの交渉人。
忍耐強く交渉を続け、人質を無事解放させるだけではなく、身代金を適切な額まで下げる役割を果たすのである。
これはそんな交渉人と誘拐された者の家族とのドラマである。
ピーターは石油会社の技師。現地への貢献策としてダムの建設に奔走していたが、ELTというゲリラに誘拐されてしまう。ピーターの会社はプロの交渉人としてテリーを派遣するが、もともと経営が傾いていたピーターの会社は誘拐保険を打ち切っており、仕事の途中でテリーは下りる事になる。もともと馴染めないでいた異国で、頼りの夫は誘拐され、ピーターの会社も経営が傾き買収される事となり、アリスは不安に慄く。新たに地元の交渉人を紹介されるが、テリーに助けを求める。
初めは形式通りに断ったテリーであるが、心に秘すところがありアリスの元に戻る。
そしてゲリラグループとの交渉が始る。
それは無線を通しての息詰まるやり取り。
交渉のセオリーを知らない地元の交渉人よりもはるかに手馴れたものである。
なぜ、テリーは無償で交渉人を引き受ける事にしたのか。
同じゲリラに誘拐されたイタリア人救出グループと共同路線を取れる、という理由もあったのだろうが、アリスに惹かれたのであろうとはなんとなく伝わってくる。
この「なんとなく」というのが良いのである。
露骨に恋に落ちたりすると、それこそわざとらしくなってしまう。
ラッセル・クロウ(テリー)もそれを表情で物語る。
メグ・ライアン(アリス)もそれを表情で語る。
どこまでも男くさいラッセル・クロウといくつになっても愛らしいメグ・ライアンならではの微妙なコンビネーション。
ハリウッド映画らしからぬ繊細なストーリーである。
ラッセル・クロウもまた渋い。
「ワールド・オブ・ライズ」では、ミッションのためならどんな事でも平気でやる男を演じていたが、ここでは金よりも何よりも優先して自分の心のままに動く男を演じている。
ワイルドなたくましい男と太って醜い中年男。
役作りの違いではあろうが、対照的である。
ファンであるならメグ・ライアンを観るだけでも価値のある一作。
観て損はない一作である・・・
評価:★★★☆☆