
原題: Almost Famous
2000年 アメリカ
監督: キャメロン・クロウ
出演:
パトリック・フュジット:ウィリアム・ミラー
ビリー・クラダップ:ラッセル・ハモンド(ロックスター)
フランシス・マクドーマンド:エレイン・ミラー(ウィリアムの母)
ケイト・ハドスン:ペニー・レイン
ジェイソン・リー:ジェフ・ベイブ
フィリップ・シーモア・ホフマン:レスター・バングス
<シネマトゥデイ>
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「セイ・エニシング」「ザ・エージェント」のキャメロン・クロウ監督が自身の体験を基に、ブレイク寸前のロックバンドのツアーの同行取材を任された15歳の少年の姿を描いた青春音楽ムービー。少年が恋するグルーピーの少女を演じるのはゴールディー・ホーンの娘ケイト・ハドソン。15歳の少年ウィリアムは伝説的なロック・ライターに自分の記事が気に入られ、ローリングストーン誌の仕事をもらう。さっそく取材で楽屋を訪れた彼は、グルーピーの中にいたペニー・レインに一目惚れする。
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<STORY>
1973年、大学教授の母と暮らす知的で陽気な15歳の少年ウィリアムは、姉アニタが教えたロック音楽の魅力に取り憑かれ、学校新聞などにロック記事を書いていた。やがて、伝説のロック・ライターでクリーム誌の編集長、レスター・バングスに認められ、さらにローリングストーン誌からも声がかかり、ウィリアムが愛する新進バンド、スティルウォーターのツアーに同行取材をすることになる。そして、このバンドを追う少女たちの中にいた、一際美しいペニー・レインに恋をするのだが、彼女はスティルウォーターのギタリスト、ラッセルと付き合っていた・・・
舞台は1970年代。
アメリカはベトナムの後遺症を引きずり、古いものと新しいものが融合していた時代。
母子家庭で厳格な母の下、姉がますば母親と衝突して家を出て行く。
母親が堕落した音楽と評したそれは「サイモン&ガーファンクル」。
今では違和感を感じるその指摘も当時の保守的な親からすれば当然だったのかもしれない。
そんな母親と残されたウィリアム。
彼も飛び級で大学へ進学し、15歳ながらも卒業を迎える。
そんな彼が惹かれていたのは姉に教わったロックの魅力。
クリーム誌の編集長に認められ、新進バンドステイルウォーターの取材に乗り出す。
そんな彼の突撃取材ぶりとバンドとの交流の中で成長していく様を描いたのが本作品。
ウィリアムの視点からは甘く切ないひと夏の経験ともいうべきドラマである。
15歳という年齢はちょうど子供から大人へと成長する微妙な過程である。
ロックバンドの取材に行くにも母親に車で会場まで送ってもらうウィリアム。
ツアーに同行するにも母親と一日2回電話をする事という約束をして行くあり様。
一方、バンドのメンバーは酒に女にとリアルな大人の世界。
ウィリアムにとってそのギャップは大きい。
一方邦題にもあるペニー・レインはバンドの追っかけの一人。
本名を隠し、あえて「ペニー・レイン」と名乗っている。
「ペニー・レイン」とはビートルズの曲で有名であるが、ここでは今一由来がわからない。
もう少しわかる工夫をしてくれればありがたかったと個人的には思う。
そんなペニー・レインはバンドの中心的メンバーラッセルと付き合うようになる。
淡い恋心を秘めたまま、それを見守るしかないウィリアム。
ペニー・レインはそんな彼に弟のように親しく接するが、それが嬉しくもあり、また一人前として見られない切なさでもある・・・
刺激的な「大人の世界」とのギャップとペニー・レインに対する淡い恋心。
一人の少年がひと夏の経験を通じて母親離れをして大人の男になっていく。
そんな様子は同じ男としてある種の共感を持って観ることが出来る。
胸を締め付けられるようなそんな経験は、いずれやがてどこかで確実な糧となって実を結ぶ。そんな経験自体が貴重なのである。
アカデミー脚本賞に輝いたというのも頷ける、ちょっと良い感じの映画である。
評価:★★★☆☆