2010年03月14日

【インビクタス/負けざるものたち】My Cinema File 526

インビクタス1.jpg

原題: Invictus
2009年 アメリカ
監督・製作 : クリント・イーストウッド
原作 : ジョン・カーリン 
出演: 
モーガン・フリーマン:ネルソン・マンデラ
マット・デイモン:フランソワ・ピナール
トニー・キゴロギ:ジェイソン・シャバララ
パトリック・モフォケン:リンガ・ムーンサミ
マット・スターン:ヘンドリック・ボーイェンズ

<STORY>********************************************************************************************************
1994年、南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラだが、新生国家の船出には多くの問題があった。ある日、ラグビー南ア代表の試合を観戦したマンデラの頭の中で何かが閃いた。南アではラグビーは白人が愛好するスポーツで、黒人にとってはアパルトヘイトの象徴。しかし、1年後に南アで開催されるラグビーのワールドカップで南アのチームが勝てば、それが人種間の和解につながるかもしれない…と。
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悪名高い南アフリカ共和国のアパルトヘイトに反対して長い牢獄生活を余儀なくされたネルソン・マンデラ。出獄して南アフリカ初の黒人大統領となった彼と、南アフリカのラグビー代表チーム「スプリングボクス」の実話を描いた映画である。

アパルトヘイトを廃止し、マンデラ大統領の下で再出発したとはいえ、南アフリカは国内では人種の対立が依然として残ったままであった。人種融和策を進めるために、「レッドダスト」でも描かれていたが、黒人の白人に対する「許し」が重要であった。復讐をしていては国はますます混乱する。融和こそが再生の道。それを推し進めたのがマンデラ大統領。映画の中では何度も胸が熱くなるシーンがやってくる。

マンデラが大統領として初めて官邸に入ると、それを迎える誇らしげな黒人スタッフと、俯いて荷物をまとめる白人とが対をなしている。すぐに全職員を集めたマンデラは、「この政権下で働きたくないと思う者を止めはしない。ただ辞めるのが肌の色を理由としていたり、どうせ首になるだろうと思っての事だったら、残って働いて欲しい」と呼び掛ける。なかなかぐっとくるシーンである。

冒頭ではきれいな芝生の上で練習するラグビーチームと、道路を挟んだ反対側では土の上でサッカーに興じる黒人たちとが対照的である。ラグビーは白人のスポーツだとして黒人たちは嫌い、代表チームスプリングボクスの試合では常に相手チームを応援する始末。

折からアパルトヘイトの廃止によって国際試合への復帰が認められ、南アフリカはラグビー第3回ワールドカップの開催国となる。国民の融和を進める象徴としてマンデラ大統領はスプリングボクスを全国民を上げて応援しようと動き始める。あの大会の裏にこんなドラマがあったのか、と感慨深い。

マンデラ大統領役のモーガン・フリーマンだが、最後のエンドクレジットに登場するマンデラ大統領本人と本当にそっくりなのである。27年間も投獄されていたというが、映画ではむしろ自らのセリフの通り、未来へと目を向ける姿勢が感動的である。

一方スプリングボクスのキャプテン・ピナールを演じるのはマット・デイモン。ラグビーの選手としては小柄なのであるが、そこはジェイソン・ボーンで鍛えた肉体美で十分カバー。マンデラ大統領の好意に戸惑いつつも、次第に「白人の代表」から「国民の代表」へと変わっていくキャプテンを好演。最後のインタビューに応えたセリフも胸に来るモノがあった。

全国民が一体となったスタジアムに流れる南アフリカ国歌も感動的だし、すぐれたリーダーがいるとこうも国は変わるのかとちょっと彼我を比べて羨ましくなる。ラグビーの試合シーンはちょっと迫力が足りなかったが、それはご愛嬌。クリント・イーストウッドもすっかり名監督の仲間入りをしてしまった。感動満点の映画である・・・


評価:★★★★★
     






   インビクタス2.jpg


この映画の難点をひとつ上げるとすると、弱小チームとされていたスプリングボクスが、何をするわけでもないのに突然勝ち進むところだろう。何だか非常に違和感がある。しかし、これは映画をドラマチックにしようとした演出なのだろう。

南アフリカの代表チーム・スプリングボクスは、現在IRBによるランキングではニュージーランド・オールブラックスに次いで世界第2位の強豪チーム。当時はといえば、アパルトヘイトで国際大会からは干されていたが、それでも強国の一つであった事は間違いない。日本の代表チームと国際試合(テストマッチ)の経験がなく、「まだ見ぬ強豪」というイメージがあったと記憶している。

弱小チームとは言い過ぎで、せいぜい「優勝候補ではなかった」という程度なのである。それでも当時の第3回大会はオールブラックスが優勝候補筆頭で、映画の中でも出てきたが、ウィング・ロムーは無敵振りを発揮していたし、日本の代表チームは17-145という記録的大敗北を喫している。その優勝候補を大接戦の末破ったのには驚かされたのは事実である。まあ開催国という有利さと、国民全体の後押しがあったからだろうし、映画のような話があったのであれば、当然だったのかもしれない。

今やスプリングボクスは2007年の前回大会でも優勝し、IRBランキング3位のオーストラリア・ワラビーズを加えた南半球3カ国(トライネイションズ)が世界のラグビー界を支配しており、その存在感は抜きん出ていると言える。いずれ日本の代表チームとの対戦も観てみたいし、この映画を観てしまうと次回からはスプリングボクスも応援したくなってしまう。

2011年のニュージーランド大会がとても楽しみである・・・

   
posted by HH at 22:56 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 心に残るオススメ映画
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お薦め映画『インビクタス/負けざる者たち』
Excerpt: ★★★★★娯楽作品と言う程にはくだけていないものの、社会派ドラマの割にはユーモアもあり、手に汗握るスポ根ものとしても見ごたえあり。 鑑賞後がさわやかなお薦め作品である。
Weblog: 心をこめて作曲します♪
Tracked: 2010-03-17 23:45