2011年08月09日

【悪人】My Cinema File 741

悪人.jpg

2010年 日本
監督: 李相日
原作: 吉田修一
出演: 
妻夫木聡:清水祐一
深津絵里:馬込光代
樹木希林:清水房枝
満島ひかり:石橋佳乃
柄本明:石橋佳男
岡田将生:増尾圭吾

<STORY>********************************************************************************************************
長崎在住の清水祐一は、博多で働く石橋佳乃と待ち合わせをしていた。
しかし、待ち合わせ場所で佳乃は他の男の車に乗って行ってしまった。
佳乃を追いかけた祐一は、福岡県の三瀬峠で彼女を殺してしまう。
その後、長崎でいつも通りの日常を送っていた祐一は、以前出会い系サイトでメールをやりとりしていた馬込光代という女性と会うことに・・・
********************************************************************************************************

あまり先入観を持たずに映画を観る事にしているが、それは思いがけない感動というものを味わいたいという気持ちからである。
これはそんな期待に見事に応えてくれた映画である。

舞台は長崎、佐賀、福岡と九州北部。
主人公の清水祐一は祖父母に育てられ、親戚の建設業を手伝っている。
育ててくれた祖父母も寄る年なみで、祐一が祖父を病院へ送り迎えしていて、なにかと祐一頼みの毎日。
そんな祐一は、何もない田舎で働いて、祖父母の介護をし、何の楽しみもない日々に、時々出会い系サイトにアクセスするのが唯一の息抜きという毎日。

ある日、祐一は出会い系で知り合った佳乃と会う約束をするが、佳乃は便利な遊び相手の祐一を適当にあしらうと、目の前で別の男の車に乗り込んでいく。
嫉妬と怒りから二人の車をつけて行く祐一。
そして一人になった佳乃を殺してしまう・・・

一つの殺人を中心にして、あたかも池に落ちた石の如く波紋が広がってゆく。
突然娘を奪われた被害者佳乃の両親。
実の母親に代わって、祐一を育ててきた祖母。
事件の後、祐一と出会い系サイトで知り合った光代。
そして祐一自身。

「悪人」とタイトルにはあるが、悪とは何なのか。
殺人行為は間違いなく「悪」である。
しかし、何の楽しみもない田舎町で、年老いた祖父母の面倒をみて暮らす祐一が悪人かと言えばどうだろう。
殺害の状況からは祐一一人を悪人にしてしまうのは酷な気がする。

人は立場が変われば、考え方も感じ方も変わる。
事件を期にして登場人物たちの生活も一変していく。
被害者の両親の立場に立てば、犯人は憎しみの対象。
平凡な生活が一変しての後悔と苦悩の毎日。
祐一の祖母の立場にたてば、なぜという疑問と良き孫としての祐一の素顔を思っての苦悩。
せっかくの出会いが幸せな未来につながらない祐一と光代の苦悩。
それぞれの立場によって、その苦悩も異なり、観る者はそれぞれの立場からそれを傍観する。

人間には善と悪とがあり、それは対立的なもののようでいて、隣り合っているものであり、コインの裏表のようなものであるとつくづく感じてしまう。
誰の中にもそれは存在する。
日々目にする事件でも、こうした事情がたくさんあるのかもしれないとふと思う。

フィクションとはいえ、犯罪の影に隠された諸々の苦悩と悲しみを描き切ったなかなかの力作。
思わず唸り、考えさせられてしまった・・・


評価:★★★★☆




posted by HH at 22:18 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 犯罪ドラマ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

映画 悪人 をみた
Excerpt: 悪人 スタンダード・エディション [DVD]クリエーター情報なし東宝 この映画は吉田修一さんの同名同名小説を映像化した作品である。 内容は長崎在住むワーキングプア土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)は知り..
Weblog: 僕のつぶやき。 ネットの窓から。
Tracked: 2011-11-07 21:51