2017年06月04日

ヴィンセントが教えてくれたこと

ヴィンセントが教えてくれたこと.jpg

原題: St. Vincent
2014年 アメリカ
監督: セオドア・メルフィ
出演: 
ビル・マーレイ: ヴィンセント・マッケンナ
メリッサ・マッカーシー: マギー・ブロンスタイン
ジェイデン・リーベラー: オリヴァー・ブロンスタイン
ナオミ・ワッツ: ダカ・パリモヴァ
クリス・オダウド: ブラザー・ジェラティ

<シネマトゥデイ>
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人生に空虚感を抱き始めた気難しい中年男が、面倒を見ることになった12歳の少年と奇妙な友情を育み、生きる活力を得ていく人間ドラマ。主演は『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイ、両親の離婚により大人びた少年役のジェイデン・リーベラーが、ビルと絶妙な掛け合いを見せている。監督・脚本を手掛けたセオドア・メルフィは、本作で第72回ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた。
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 老人あるいは中高年の男と少年の交流を描いた物語というのもよくあるパターンである気がする。最近では『グランド・ジョー』があったし、強烈に記憶に残っているところでは『セント・オブ・ウーマン』や『グラン・トリノ』があった。まぁ似たような話になるのはしかたないのであろう。ここでは、酒とギャンブル漬けの毎日を送るヴィンセント・マッケンナの隣家にシングルマザーのマギーとその息子オリヴァーが引っ越してくるところから始まる。

 きっかけは、引っ越し業者がヴィンセントの庭の木をトラックで折ってしまったこと。ヴィンセントはいきなりマギーと口論になる。ある日、オリヴァーは学校で鍵と携帯を隠され家に入れなくなる。やむなくヴィンセントの家に入れてもらって時間を過ごす2人。しかし、これを機にヴィンセントはオリヴァーを預かることになる。仕事が忙しいマギーと暇だが金に困っているヴィンセントの利害が一致したのである。

 このヴィンセント、なにせ素行がよろしくない。娼婦のダカとは定期的にベッドを共にしているし、罵詈雑言は当たり前。しかし、父親のいないオリヴァーにはいい刺激で、学校でのいじめに際し、ヴィンセントはオリヴァーに喧嘩の仕方を教える。そして、一方でヴィンセントには、高額な介護施設に妻サンディを預け、自ら妻の洗濯物を洗濯しているという一面もある。ヴィンセントとオリヴァーは、次第に仲良くなり、競馬で大穴を当てて大金を手にしたりする。

 一方、登場人物たちはみなそれぞれ危機を迎える。マギーは元夫のデヴィッドからオリヴァーの親権を争い裁判を起こされ、金に困ったヴィンセントは、介護施設の料金を滞納し妻サンディの退去を検討するよう言われる。そして、競馬で稼いだお金のうちオリヴァーの取り分に手を出す・・・

 世間的にはヴィンセントは、好ましくない人間。それは誰が見てもそうだろう。しかし、オリヴァーは学校で出された「身の回りの聖人を探す」という宿題に何とヴィンセントを選ぶ。そしてヴィンセントを知る人たちにインタヴューしながら、ヴィンセントのことを調べ始める。これが原題の由来。

 人は誰でも子供時代があり、歴史を経て大人になって年を取る。ヴィンセントもベトナム戦争に従軍し、功績を上げた過去がある。生まれてすぐ偏屈な男になったわけではないのである。妻が認知症にならなければ、あるいはもう少し違う老人だったかもしれない。人の本質は、必ずしも外見に現れるわけではない。そういう部分を見る目を持てることは大事な事なのかもしれない。

 損得を排除したヴィンセントとオリヴァーの交流。ラストの展開には思わず目頭が熱くなる。コメディのイメージが強いビル・マーレイだが、ここでは実にいい味を出している。しがない中年男と少年が交流するドラマは、心が温まるものが多い。人生いろいろと大変なことはあるが、頑張って生きていこうというメッセージでもあるかのような映画。
味わい深い映画である・・・


評価:★★★☆☆






posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ
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