
原題: RRR
2022年 インド
監督: S・S・ラージャマウリ
出演:
N・T・ラーマ・ラオ・Jr:コムラム・ビーム
ラーム・チャラン:ラーマ・ラージュ
アジャイ・デーヴガン:ヴェンカタ
アーリヤー・バット:シータ
レイ・スティーヴンソン:スコット総督
アリソン・ドゥーディ:キャサリン
ジェニファー:ジェニー
オリヴィア・モリス
<映画.com>
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日本でも大きな話題を集め、ロングランヒットとなった「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリ監督が、英国植民地時代の激動のインドを舞台に、2人の男の友情と使命がぶつかり合う様を豪快に描くアクションエンタテインメント。
1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビームと、大義のため英国政府の警察となったラーマ。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになる。
「バードシャー テルグの皇帝」のN・T・ラーマ・ラオ・Jr.がビーム、ラージャマウリ監督の「マガディーラ 勇者転生」にも主演したラーム・チャランがラーマを演じた。タイトルの「RRR」(読み:アール・アール・アール)は、「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」の頭文字に由来する。日本で公開されたインド映画で史上初めて興行収入10億円を超えるヒットを記録。劇中の楽曲「ナートゥ・ナートゥ(Naatu Naatu)」も話題となり、第95回アカデミー賞でインド映画史上初となる歌曲賞受賞を果たした。
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インド映画と言えば、「歌と踊り」。やかましいくらいであったが、最近はだんだんと「普通」の映画になってきている。この映画もそんな「普通」の映画である。
舞台は、1920年のインド。当時は大英帝国の植民地。インド総督スコット・バクストンの一行は、アーディラーバードの森にあるゴーンド族の村を訪れ、そこで歓迎を受ける。歓迎の歌を歌った一族の娘マッリの才能を気に入ったキャサリン総督夫人は、強引にマッリをデリーに連れ帰る。泣いてすがる母親を警護の者が殴り倒す横暴。後日、特使アヴァダニが総督府を訪れ、マッリをゴーンド族に引き渡すように勧める。対応した総督の側近が一蹴すると、アヴァダニは「引き渡さなければ、彼らの守護者がイギリス人に災いをもたらす」と忠告する。
同じころ、妹マッリが連れ去られたことを知った部族の守護者ビームは、マッリを取り戻すため仲間とともにデリーに向かい、ムスリムの「アクタル」に扮して行方を捜す。その頃、デリー近郊の警察署では、逮捕した独立運動家の釈放を求めるデモ隊が押しかけている。警察官のラーマは単身デモ隊の中に飛び込み首謀者を逮捕する功績を上げたが、イギリス人署長は彼の功績を認めるどころか、昇進者のリストにも載せようとしない。そんな中、総督府では警告されたビームに対する対策が協議され、ラーマが担当捜査官に名乗りを挙げる。
ラーマの自己紹介的なエピソードは、デモの首謀者を逮捕するシーン。ラーマは単身群衆の中に飛び込み、これに反発する群衆を次々に薙ぎ倒し、超人的な働きを見せる。「これぞインド映画」というべき圧巻。たった1人で群衆の中に飛び込み、殴られ蹴られたりしながらも首謀者を捕まえる。インド映画でなかったらブーイングが出ているかもしれない。インド人に対する差別がある中、どんなに手柄を上げても昇進などできない。しかし、今回はキャサリン総督夫人からビームを逮捕すれば特別捜査官に昇進させるとの言質を取る。俄然、やる気を見せるラーマ。
ラーマは、独立運動家を装いビームの仲間ラッチュに近付くが、途中で正体が露見して逃げられてしまう。ラッチュを見失ったラーマは列車事故の現場に遭遇する。地元の少年が事故に巻き込まれるが、偶然居合わせたビームとともに少年を助ける。この方法がまたインド映画。生身の人間でありながら、スーパーヒーロー真っ青の活躍である。そして互いに正体を知らぬまま、その実力を認め合い、2人は交流を重ねていく。一方、イギリス人によるインド人差別は甚だしいが、スコット提督の姪ジェニーだけは、分け隔てなく地元民に接する。そんなジェニーにビームは一目惚れする・・・
物語は、総督によって強引に連れ去られたマッリを助け出すためにデーリーにやってきたビームを追う一方、ある目的を心に秘めてイギリス人の下で警察官として働くラーマの行動を追っていく。時代は20世紀初頭、まだまだ白人が世界で勢力を振るっている。インドも大英帝国の植民地としてイギリスの支配を受けている。それがどんな状況なのか。映画が背景として描く部分だけでも圧制の様子がよくわかる。それにしてもヒーローの大げさな活躍ぶりが目につく。毒蛇に噛まれたラーマだが、怪しげな薬草で処置を受けた30分後には、超人的な活躍でビームを逮捕する。さすがインド映画である。
物語は3時間におよび、二部構成になっている。ビームとラーマは親しくなるが、やがてそれぞれの立場が明らかになる。超人的な2人の激突の軍配はラーマに上がり、ラーマはビームを逮捕し、念願の特別捜査官に昇進する。ここでラーマの過去が明らかになるが、ラーマもまたイギリス軍の弾圧によって家族を失っている。成長したラーマは、独立闘争に必要な武器を手に入れるため、村を出て警察官になっていたのである。ビームもラーマによる鞭打ちで酷いダメージを負うが、いつの間にか回復している。いやはやなんともである。
やはりインド映画であるから歌と踊りは出てくる。ビームとラーマは歌と踊りでもイギリス人には負けていない。インド人的にはイギリス人を翻弄する2人の活躍に溜飲が下がるのだろうか。ふだん、日米韓の映画に慣れてしまっていると、主人公が無敵のスーパーマン的な活躍に終始する内容には違和感を禁じ得ないが、好みが分かれるところかもしれない。徹頭徹尾、コッテリとしたインド感に溢れる映画である・・・
評価:★★☆☆☆

