
2014年 日本
監督: 八木竜一/山崎貴
原作:藤子・F・不二雄
出演:
水田わさび:ドラえもん
大原めぐみ:のび太
かかずゆみ:しずか
木村昴:ジャイアン
関智一:スネ夫
萩野志保子:出来杉
三石琴乃:のび太のママ
松本保典:のび太のパパ
田原アルノ:しずかのパパ
妻夫木聡:青年のび太
<映画.com>
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藤子・F・不二雄生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」シリーズ初の3DCGアニメーション。原作から厳選されたエピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを描いた。「フレンズ もののけ島のナキ」を手がけた八木竜一と『永遠の0』 『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴が共同監督。何をやらせても冴えない少年のび太のもとに、22世紀の未来から、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる。のび太の孫の孫にあたるセワシが、ご先祖様であるのび太の悲惨な未来を変えるために送り込まれたドラえもんだったが、当のドラえもんはあまり乗り気ではない。セワシはそんなドラえもんにやる気を出させるため、のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができないプログラムを仕込む。かくして仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がクラスメイトのしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、のび太としずかちゃんが結婚できる明るい未来を実現するため、数々の未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。トヨタ自動車のCMで大人になったのび太を演じている俳優の妻夫木聡が、青年のび太の声優として参加している。
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「ドラえもん」は息の長いアニメである。初めて漫画を読んだのは小学生の頃だったように記憶している。テレビのアニメも観ていた記憶がある。そんな長寿アニメの映画化作品。何となく子供向けでもう卒業した気分でいたが、どうにも評判が高いので観てみる気になった映画。監督に山崎貴の名前があればそれだけで一見の価値があるだろうと判断。
ある日、勉強もスポーツも何をやらせても冴えない少年のび太の元に、22世紀の未来からのび太の孫の孫にあたるセワシと、ネコ型ロボットのドラえもんが現れる。ご先祖様であるのび太のあまりにも不甲斐ない未来に、その子孫たちにも大きな悪影響があり、その未来を変えようとドラえもんを連れてきたことを伝える。セワシはドラえもんに成果を上げさせるため、「のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができない」というプログラムをセットして帰って行く。こうして、ドラえもんは、のび太の面倒をみることになる。
毎朝、のび太は寝坊をして先生に怒られて立たされる。スネ夫に嫌味を言われてからかわれるのもいつもの事。しかし、その朝はドラえもんが「どこでもドア」を出してのび太の遅刻を防ぐ。そう言えばこのどこでもドアは心底欲しいなと思ったものである。夜の町をタケコプターで飛ぶ。しずかちゃんやジャイアン、スネ夫などのお馴染みのメンバーとドラえもんのひみつ道具で遊ぶ。しかし、そこには子供の教育にいい事もこっそり含まれている。
のび太はしずかちゃんに憧れているが、成績優秀でスポーツ万能な出来杉を見てしまうと自分との差を見せつけられて落ち込む。そこでドラえもんは、ポケットから「刷り込みたまご」を取り出す。それは動物の「刷り込み」を利用し、たまごから出て最初に目にした相手が好きでたまらなくなる道具。その目論見は失敗するが、人に好かれたいと思ったら道具に頼ってやるものではないという当たり前の事に気付かされる。
「道具に頼り過ぎている」と指摘されたのび太は反省して次のテストに向けての勉強をする。それは結局、その日のテスト内容は「漢字」なのに「算数」の勉強をして失敗するのであるが、自分で何とかしようという意欲は立派である。どんな子でものび太ほど悪くはないだろう。そんなのび太でさえ頑張る姿を見せれば、子供も頑張ろうと思うかもしれない。単なるアニメに終わらず、教育的内容がともなっているのがいい。
物語はいくつかのエピソードを交えて進んでいく。のび太とドラえもんは次に未来に行き、相変わらずふがいない自分の姿を目にする。秘密道具で大人の姿になったのび太は、雪山で遭難しかかっているしずかを助けに行くが、ここでもやっぱりふがいなさが出てしまう。機転を利かせてピンチを脱したのび太。いろいろとあって未来は変わるが、その結果、ドラえもんが帰ることになる。そのエピソードは良く知られているが、やっぱりちょっと感動的である。
単なるアニメではあるが、単なるアニメに終わらない。1つ1つのエピソードに大人でも当てはまる教訓が込められている。単なる子供向けアニメには終わらせられないものがある。なるほど、評判に嘘はない。他の『ドラえもん』の映画版はわからないが、この映画は大人でも観る価値はある。長い年月を「現役」で通用しているだけのことはある。大人も心温まる映画である・・・
評価:★★★☆☆