
原題: Blacklight
2022年 オーストラリア
監督: マーク・ウィリアムズ
出演:
リーアム・ニーソン:トラビス・ブロック
エイダン・クイン:ガブリエル・ロビンソン
テイラー・ジョン・スミス:ダスティ・クレン
エミー・レイバー=ランプマン:ミラ
クレア・ヴァン・ダー・ブーム:アマンダ・ブロック
<シネマトゥデイ>
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『マークスマン』などのリーアム・ニーソン主演のクライムアクション。身の危険が迫ったFBIの潜入捜査官を救出する任務を命じられた男が、国家を揺るがす極秘計画をめぐってFBIと戦う。監督は『ファイナル・プラン』でもリーアムと組んだ、マーク・ウィリアムズ。ドラマシリーズ「エレメンタリー」などのエイダン・クイン、ドラマシリーズ「アンブレラ・アカデミー」などのエミー・レイヴァー=ランプマンのほか、テイラー・ジョン・スミスらが出演する。
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主人公のトラヴィス・ブロックは、通称「フィクサー」と呼ばれるFBIの潜入捜査官に危機が迫った際、救出するという“影の任務”を担っている。その日も村人に包囲されて助けを求めてきた潜入捜査官を救いに向かう。殺気だった村人たちを抑えるのはたった2人の保安官のみ。たくみに村人たちの目をそらし、そのすきに捜査官を救い出して脱出する。冒頭はだいたい顔見世的な活躍を紹介するものであるが、いまやアクションスターと言っても過言ではないリーアム・ニーソンゆえに期待感が漂う。
一方、ホワイトハウス前で大勢の大衆を集めて演説するのは新人議員ソフィア・フロレス。真の革命を起こそうとの演説に大衆は大歓声で応える。帰宅したソフィア議員は車を降りるが、直後、背後から来た車にはねられる。運転手と共謀した明らかなひき逃げ事故であり、背後に陰謀の影が漂う。早々に単なる事故として扱われた事に疑問を呈し、事故に関する記事を書いたのはワシントンニュースサイクル(NC)の記者ミラ・ジョーンズ。裏に何かがあるのではと嗅ぎつけるが、上司は慎重派でありミラには自制を促す。
ある日トラヴィスは、新たな指令を受けFBIの潜入捜査官ダスティ・クレインを救出する。と言っても救出先は留置場。精神的に不安定になっていた事もあり、トラヴィスは警官から職務質問を受けた際、逃げようとして4人の警官相手に乱闘して捕まったのである。逮捕記録も抹消するように指示してダスティを連れ出す。ところがトラヴィスは途中で孫娘のナタリーを迎えに行く約束をしていたことを思い出す。長年、仕事優先で家庭を顧みなかった結果、家庭崩壊したトラヴィスは、今は孫との関係構築を目指しており、今回は家庭を優先する。
トラヴィスはダスティを手錠で車の中に拘束し、孫娘のナタリーが通う学校へ。しかし、迎えに行くのが遅れたため教師がナタリーの母である娘のアマンダに電話してしまい、アマンダが来るまでナタリーと待つことになる。その間、ダスティもおとなしく待っているわけもなく、下校途中の男の子のバッジを借りて手錠を外し逃げ出してしまう。気が付いたトラヴィスが慌てて追いかけるが、ダスティはゴミ収集車を盗んで逃走する。街中での派手なカーチェイス。結局、トラヴィスはダスティに逃げられてしまう。
ダスティはワシントンNCのミラに接触しようとするが、トラヴィスが追いついてきたため、話すこともできず再び逃走する。ダスティを取り逃してしまったトラヴィスは、 FBI長官ガブリエル・ロビンソンに叱責される。ロビンソンはトラヴィスとはベトナム戦争での戦友である。それに対し、トラヴィスは引退を申し出る。いつどこに派遣されるか分からない仕事であり、そろそろ家族優先の生活を送りたいとトラヴィスは思う。それに対し、ロビンソンはダスティを連れ戻せたらもっと孫と一緒に入れるようにしてやると答える。
物語は、新人議員を暗殺し、何かを握っているらしいダスティの様子から背後に何らかの陰謀が動く中、ダスティを追うトラヴィスを縦糸とし、長年の仕事優先の生活から引退して家族と過ごしたいと願うトラヴィスの物語を横糸として進む。過度に身辺を点検し、夜中に起きて家の戸締りを確認したり、娘の友達の親の素性を調べたりという「職業病」のトラヴィスをアマンダは心配する。そこに絡んでくる記者のミラ。陰謀の背後には巨悪が潜んでいる。それはにわかには信じ難い事。
今やすっかりアクションスターとなっているリーアム・ニーソンであるが、年齢のせいもあるのか(ドラマの設定でもベトナム戦争従軍経験者である)アクションは控え目。それでも「現役」のFBI捜査官と対等に渡り合うのは、長年培った経験のなせる技。タイトルの『ブラックライト』であるが、目に見えない蛍光塗料に反応して可視化するもの。表には表れない陰謀に光を当てるという暗示なのだろうか、なかなか味のあるタイトルである。
巨悪を向こうに回し、敢然と立ち向かうトラヴィス。老兵は死なず。ミラと協力し、迫りくる暗殺者と対峙する。主演はリーアム・ニーソンであり、「観て外れはない俳優」である通りこの映画も物語の世界を堪能できる。『96時間』(My Cinema File 719)では17歳の娘を助けるために奮闘したリーアム・ニーソンも早や孫娘と遊ぶようになった。時代の変化を感じさせてくれる一作である・・・
評価:★★☆☆☆