2017年08月04日

マネー・ショート 華麗なる大逆転

マネー・ショート 華麗なる大逆転.jpg

原題: The Big Short
2015年 アメリカ
監督: アダム・マッケイ
出演: 
クリスチャン・ベール:マイケル・バーリ
スティーブ・カレル:マーク・バウム
ライアン・ゴズリング:ジャレッド・ベネット
ブラッド・ピット:ベン・リカート
マリサ・トメイ:シンシア・バウム
カレン・ギラン:イーヴィ
メリッサ・レオ:ジョージア・ヘイル
ジョン・マガロ:チャーリー

<シネマトゥデイ>
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リーマンショック以前に経済破綻の可能性に気付いた金融マンたちの実話を、クリスチャン・ベイルやブラッド・ピットといった豪華キャストで描く社会派ドラマ。サブプライムローンのリスクを察知した個性的な金融トレーダーらが、ウォール街を出し抜こうと図るさまを映し出す。クリスチャンとブラッドに加え、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリングも出演。『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』などのアダム・マッケイがメガホンを取る。痛快なストーリーと、ハリウッドを代表する4人の男優の競演が見どころ。
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2008年に起こったリーマン・ショック。それは起こるべくして起こった人災であるということは、『金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか』にも描かれていたが、この映画ではそれを逆手に取って多大な利益を上げた男たちの物語。

登場人物の1人、ヘッジファンドマネージャーのマイケルは、アメリカの住宅市場が表面的な安定に対し、裏では不安定要因を抱えていることに気が付く。サブプライムローンとして、AAAの格付けを取得しながらも暴落のリスクを抱えていることを見越し、これを空売りすることを計画する。そしてクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を金融機関に対して提案していく。絶対安全資産が暴落するというあり得ないシナリオに、大手金融機関は笑いを堪えながら応じていく。

一方、トレーダーのジャレッドは、マイケルの対応をした銀行マンからこの話を聞き興味を持つ。そしてマイケルの狙いが実は極めて的を得たものであることに気が付く。そして彼もまたCDS市場に打って出ることにする。これに対し、ヘッジファンドマネージャーのマークもこの計画に加わる。マークは兄が借金苦から自殺したことで心を痛めており、その怒りを常に何かにぶつけているかのよう。そんなマークが、サブプライム・ローンに与えられる詐欺的な評価に気付いていく。

もう一組は、熱心な若い投資家2人。彼らもまたはマイケルの売り込んだ市場に参入することにし、引退した証券トレーダーのベンに助けを請う。そして彼らもまたCDSに投資していく。歴史を結果から見るのは簡単だが、当事者の立場から見ると難しい。サブプライム・ローンは証券化され、格付会社によって高い格付(AAA)を取得、多くの人はその格付を信じ込んでお金をつぎ込んでいく。

しかし、その実態は返済能力を顧みずにお金を貸しているもので、カレルはラスベガスのストリッパーがこのローンで5軒も家を購入していると聞き、その脆さに愕然とする。格付会社の担当者は、「格付を拒否すれば他の会社に持っていかれるから」という理由だけで、高い格付をつけている。物語は、そんな事実に気が付き行動していく男たちの動きを追う。

それぞれは、協力し合っているわけではなく、別々に動いている。物語としては面白いのであるが、専門用語はバンバン出てくるし、観ていて金融の知識がないとわかりにくいのではないかと感じることしばしばである。知識があっても、マークなどは常に苦悶の表情を崩さず、自らの予想が当たることが苦痛のようで、そんなところはこちらも混乱してわからなくなってしまった。

結果としては、サブプライム・ローンは崩壊し、金融業界は未曽有の大混乱となる。そして一時はなかなか危機が表面化せず、しかもその間CDSの手数料だけはかかってくることから、マイケルは投資家の苦情に苦境に立たされる。そして傷が深くならないうちに撤退すべきと警告を受ける。そんな緊迫したやり取りは、実に興味深い。最終的には489%もの利益をたたき出すのであるが、してやったりの爽快感はない。

ラストのテロップには、今も似たような商品が性懲りもなく形を変えて売られている事実を表示する。何とも暗鬱になる物語であるのは、映画の創り手のやるせなさが伝わって来るかのようである。


評価:★★☆☆☆




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2017年05月19日

ブラック・スキャンダル

ブラック・スキャンダル.jpg

原題: Black Mass
2015年 アメリカ
監督: スコット・クーパー
出演: 
ジョニー・デップ:ジェームズ・"ホワイティ"・バルジャー
ジョエル・エドガートン:ジョン・コノリー
ベネディクト・カンバーバッチ:ビリー・バルジャー
ロリー・コクレーン:スティーヴン・フレミ
ケヴィン・ベーコン:チャールズ・マグワイア
ジェシー・プレモンス:ケヴィン・ウィークス
ピーター・サースガード:ブライアン・ハロラン

<シネマトゥデイ>
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ジョニー・デップが主演を務めた実録クライムドラマ。実在するアイリッシュ・マフィアのボス、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーが裏社会でのし上がっていく姿を追う。メガホンを取るのは、『ファーナス/訣別の朝』などのスコット・クーパー。『エクソダス:神と王』などのジョエル・エドガートン、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのベネディクト・カンバーバッチらが共演する。さまざまな思惑が渦を巻く人間模様に加え、圧倒的存在感を放ちながらホワイティを演じるジョニーにも目を奪われる。
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 この映画は、実在の犯罪者を描いた実話だという。
冒頭、「俺は密告屋ではない」と念押ししてから男が話し始める。相手はFBIの捜査官。男の名はケヴィン。話の内容は、ケヴィンが使えていたマフィアのボスのことらしい。そして話の流れから、時は1970年代のサウスボストンへと飛ぶ。地元の人たちは「サウシー」と呼ぶ地域。ケヴィンは、あるバーで用心棒として働いている。

 アイリッシュ・マフィアのボスとして同地一帯を牛耳るのはジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。既にアルカトラズ刑務所にも服役歴のある人物。そんな人物に、ケヴィンは見込まれ、その下で働くようになる。そしてアンギウロファミリーの男を連れ出すと、ケヴインはバルジャーとともにこれを殴り殺す。

 やがてバルジャーにFBI捜査官のジョン・コナリーが接触を図ってくる。彼は、元々バルジャーとは幼馴染み。イタリア系マフィアであるアンギウロファミリーを駆逐しようという目的では、FBIとバルジャーは利害が一致しており、コナリーとバルジャーは手を握る。バルジャーの弟ビリーは、地元選出の上院議員であり、この後バルジャーは、FBIにアンギウロファミリーの情報を流してこれを逮捕させると、街に君臨していくこととなる・・・

 アンギロウファミリーを壊滅させた手柄により、コナリーはFBIの中でも出世していくが、バルジャーとの蜜月関係は続けていく。その間、バルジャーは我が道を行く有様。ありとあらゆる犯罪を牛耳り、邪魔者は次々と消して行く。一方で、母親には優しい息子として接する。しかし、恋人との間にできた息子は病気で失う悲運にも見舞われる。

 それにしてもFBI捜査官のコナリーは、バルジャーとの蜜月関係では危険な橋を渡って行く。バルジャーに不利な密告をしようとした男の情報をバルジャーに流す。当然ながらバルジャーは男を衆人環視の駐車場で射殺する。コナリーの妻は、高級品を身につけるようになった夫に何度も警告するが、コナリーは聞く耳を持たない。2人の関係は、当然ながらFBIの内規違反レベルを超えて行く。

 「毒を以て毒を制する」という言葉がある。コナリーがバルジャーに接近して行ったのは、本当に毒を持って制しようとしたのか、そしてそのままミイラ取りになってしまったのか、それとも幼馴染みと互いの立場を利用して自由に私腹を肥やそうとしたのかはわからない。しかし、当然組織内での内規違反がいつまでも問題にならないはずはない。事実、相棒のモリスは一緒に囲んだ食卓でバルジャーに脅され、その危険性に気づいてマスコミに情報をリークする。

 あまりにも簡単に人を殺すバルジャー。仲間のスティーブの義理の娘さえその目の前で絞殺してしまう。忠実だった手下が裏切って行くのも、いずれは自分もという感覚だったのだろうか。北朝鮮の高官が脱北するのと同じ理屈かもしれない。そしてバルジャーは仲間の裏切りもあって逃亡生活へと移る。ラストではテロップで逮捕に至る経緯が説明されるも、逮捕時の年齢は82歳。なんとも言えない。

 ジョニー・デップもティム・バートンの映画ではなく、こうしたシリアスな映画だと持ち味を一層発揮するように思える。おでこが禿げ上がった冷酷な男の迫力は、さすがである。実話の持つ力も一層増幅されるというもの。なかなかの映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年05月11日

ザ・ブリザード

ザ・ブリザード.jpg

原題: The Finest Hours
2015年 アメリカ
監督: クレイグ・ギレスピー
出演: 
クリス・パイン:バーニー・ウェバー
ケイシー・アフレック:レイ・シーバート
ベン・フォスター:リチャード・リヴシー
エリック・バナ:ダニエル・クラフ
ホリデイ・グレインジャー:ミリアム・ペンティネン
ジョン・オーティス:ウォレス・クイリー
カイル・ガルナー:アンディ・フィッツジェラルド

<映画.com>
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アメリカ沿岸警備隊史上もっとも偉大なミッションとして語り継がれる「SSペンドルトン号の救出劇」を、「スター・トレック」シリーズのクリス・パイン主演で映画化したパニックアクション大作。真冬の北大西洋を史上最大級のブリザードが襲い、巨大タンカーが遭難した。真っ二つに裂けたタンカーに取り残された32人の生存者を救出するため、バーニー船長率いる4人の沿岸警備隊が出動する。定員はたったの12名という木製の小型救助艇で荒れ狂う海へと乗り出したバーニーらは、タンカーが沈むまで約3時間という厳しい状況の中、決死の救出に挑む。救助艇の船長バーニーをパインが熱演し、『ミュンヘン』のエリック・バナ、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のケイシー・アフレックらが共演。「ラースと、その彼女」「ミリオンダラー・アーム」のクレイグ・ギレスピーがメガホンをとった。
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 実話をベースにした映画。時に1952年2月18日未明、超大型ブリザードが到来する。大西洋沖を航行中の大型タンカー、SSペンドルトン号では一等機関士のシーバートが船長に船速を落とすように交渉している。補修した箇所が危険だというのがその理由。しかし、船長はこれを許さず、タンカーは速度を落とすことなく航行を継続。あたりは雪混じりの強風と大きくうねる波。船体が不気味に軋む・・・

 やがて大きく上下したかと思うと、ついに亀裂から浸水が始まる。艦橋との連絡が取れず、シーバートは伝令を向かわせるが、その伝令が見たのは真っ二つに裂けた船体。船首側が離れて漂流していく様は、なかなかの迫力。船内では救命ボートでの脱出を主張するグループが出るが、タンカーの構造に精通するシーバートは、沈没を食い止め救助を待つのがいいと主張する。

 その頃、沿岸警備隊チャタム支局では、SSペンドルトン号遭難の知らせが入り、司令官クラフは、生存者救出に向かうよう一等水兵のバーニー・ウェバーに命じる。主人公のバーニーは、前年救助に失敗して死者を出している。この命令を受けてリヴシー、フィッツ、マスキーとともに救出に向かう。しかし、湾から出るのに荒れ狂う砂州を通過するのは自殺行為だとベテランの隊員たちはバーニーを止める。

 ここで登場する主人公のバーニーは、友人に背中を押されてようやく女性に声をかけられるような大人しいタイプの男。ベテランの隊員たちは、迷ったふりをして戻ってこいとバーニーに諭す。司令官のクラフは砂州の危険性を理解していない。バーニーは、苦悶の表情の内面の葛藤を語る。自分だったらどうするだう?司令官が明らかに現場を熟知していなくて、危険なミッションを命じられたら・・・現実にそうなったら、なかなか映画の主人公のような行動はとれないだろう。だが、実際のバーニーは、仲間とともに出航し、砂州に向かって救命艇を進める。

 荒れ狂う海に乗り出す救命艇は12人乗り。タンカーに残された船員たちはどう見てもそれ以上いる。救出できるのかと観ているこちらが心配になる。そして荒れ狂う砂州越えは、なかなかの迫力。翻弄される小型艇は波でコンパスを持っていかれる。いつひっくり返ってもおかしくない。ベテランのアドバイスはまさに的確である。そしてそんな砂州を前にしてもミッションを遂行しようとするバーニーと彼の判断を尊重してついて行く仲間たち。なかなか胸の熱くなるところである。

 一方で、半分になった船体をなんとか維持しようと奮闘するシーバート。こちらももう1人の主人公である。困難な状況下においても冷静な判断を下す。こういう時にいかに冷静に行動できるか。こういう時に、普段の心構えがモノを言うと思う。つくづく短絡的に行動するのではなく、「知恵と勇気」が必要だと思わされる。こうして行われた救出劇。なんとアメリカ沿岸警備隊史上最も困難なミッションだったと認定されたと言う。映画化したくなるのも頷けるし、その顛末は実に感動的である。

 救助した方とされた方と、共に困難な環境の中で諦めずに生への努力を続けたことが成功要因だったのであろう。胸のすくような感動的なドラマであるが、バーニーとシーバートという2人の主人公の行動が、ビジネスにおいても生きるヒントになると思う。実話の持つ力を迫力ある映像で肉付けした、映画の良さをまさに現したような映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年04月23日

捕らわれた女

捕らわれた女.jpg

原題: Captive
2015年 アメリカ
監督: 
出演: 
ケイト・マーラ: ジェリー・ジェームソン
デヴィッド・オイェロウォ: ブライアン・ニコラス
ミミ・ロジャース:
マイケル・ケネス・ウィリアムズ:
レオノア・バレラ:

<TSUTAYA解説>
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実際に起きた奇跡的な事件に基づき、信仰の力を描く。迷える魂の触れ合いが胸を打つ感動のドラマ。脱走犯のブライアン・ニコラス(ゴールデングローブ賞候補者デヴィッド・オイェロウォ)は生まれたばかりの息子に会おうと必死のあまり、シングルマザーになって間もないアシュリー・スミス(エミー賞候補者ケイト・マーラ)を彼女の自宅に監禁する。命の危険を感じ、二度と娘と会えなくなることを恐れたアシュリーは、リック・ウォレンの著書「人生を導く5つの目的」に救いを求める。人生の岐路に立つアシュリーと監禁犯は、絶望の中に希望と光を見いだす。Dove Foundation(ダヴ基金)はこのすばらしい映画を“感動的”と評した。
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 主人公のアシュリーは、シングルマザー。詳しくは語られていないが、夫亡き後精神的に不安定になったようで、薬物に手を出し、その結果最愛の娘の親権を失ってしまっている。娘は叔母の下で育てられ、アシュリーはウエイトレスをしつつ、カウンセリングを受け、娘の親権を取り戻そうとしている。しかし、いまだに薬物を断ち切れない。カウンセラーからは、『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』という本を勧められるが、すぐにそれをゴミ箱に放り投げる始末。

 一方、レイプ容疑で裁判所に連行されてきたブライアン・ニコラスは、女性警官の隙をつきこれを殴り倒して銃を奪う。そして奪った銃で裁判官、速記官、警備の警官を次々と射殺し脱走する。行く先は恋人の家。そこには生まれたばかりの息子がいたが、いち早く警官が警戒網を敷いていて近づけない。さらに連邦捜査官1人を射殺し、緊急手配の網をかいくぐり、ついにアシュリーを見つけ家に押し入る。

 「捕らわれた女」とタイトルはここからきている。ブライアンは黒人で、いかつい体。アシュリーは恐怖に駆られるが、圧倒的体力差があり抵抗はできない。そんな2人が、緊張状態のまま一夜を過ごす。アシュリーから薬物をもらったブライアンはこれを吸い、ハイになる。拳銃がアシュリーの目の前に置かれているが、アシュリーは動けない。頭の中で銃を奪って撃つイメージはできても、万が一失敗したらと考えると動けないわけで、このあたりの心理状況もよくわかる。

 犯人と誘拐された人が心を通い合わせる「ストックホルム症候群」という心理状態があるが、ある意味アシュリーとブライアンにもそんな状況があったのかもしれない。手持無沙汰なアシュリーが、カウンセラーがゴミ箱から取り出してきて渡した『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』を手に取ると、興味を持ったブライアンはそれを声に出して読めという。こういうシチュエーションでなかったら、読まなかったかもしれず、何が幸いするかわからない。自分からは断ち切れなかった薬物も、ブライアンから一緒にやれと強要されるがこれを断固拒否する。アシュリーの変化も見逃せない。

 テレビで警察の動きを見ていたブライアンは、盗んだ車を発見されれば自分の居場所もバレると、車の移動を思い立つ。ブライアンとアシュリーはそれぞれ車を運転して盗難車を捨てに行く。この時もアシュリーには逃げるチャンスがあったが、叔母の家の住所を知られていて逆らえない。この辺の心理も観ていて興味深い。そして夜が明ける。

 最後はあっけなく逮捕されるブライアン。しかしそこに至る過程は、一見変である。しかし、ブライアンもバカではなく、様々な思いが胸中を駆け巡ったのであろう。そしてやはり生まれたばかりの自分の子供に対する「生きて会いたい」という思いもあったのだろう。そんな心中を観る者に推察させるストーリーである。ただ単にぼぉーっと観ていたら面白くはない映画かもしれない。

 何より興味深かったのは、エンドロールで流れる実在のアシュリーだろう。テレビ番組に出演し、当時の状況のインタビューを受け、サプライズで『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』の著者と対面する。映画だけで終わっていたら、たぶんつまらなかったかもしれない。むしろ最後のこの様子こそが映画のキモかもしれないと思う。
 そういう意味で、実話だったからこそ助かったと言える映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年04月22日

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密.jpg

原題: The Imitation Game
2014年 イギリス・アメリカ
監督: モルテン・ティルドゥム
出演: 
ベネディクト・カンバーバッチ:アラン・チューリング
キーラ・ナイトレイ:ジョーン・クラーク
マシュー・グッド:ヒュー・アレグザンダー
ロリー・キニア:ロバート・ノック刑事
アレン・リーチ:ジョン・ケアンクロス
マシュー・ビアード:ピーター・ヒルトン
チャールズ・ダンス:アラステア・デニストン中佐
マーク・ストロング:スチュアート・ミンギス少将

<シネマトゥデイ>
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第2次世界大戦時、ドイツの世界最強の暗号エニグマを解き明かした天才数学者アラン・チューリングの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、その後コンピューターの概念を創造し「人工知能の父」と呼ばれた英雄にもかかわらず、戦後悲劇の運命をたどったチューリングを、ベネディクト・カンバーバッチが熱演する。監督は『ヘッドハンター』などのモルテン・ティルドゥム。キーラ・ナイトレイをはじめ、『イノセント・ガーデン』などのマシュー・グード、『裏切りのサーカス』などのマーク・ストロングら実力派が共演。
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第二次世界大戦時、ドイツ軍は「エニグマ」という高度な暗号装置を使用していたこと、そして連合軍がその解読に成功していたことはよく知られているが、その解読の物語については知ることもなかった。これはその解読の中心人物となった数学者アラン・チューリングの物語である。

映画は1951年から始まる。アラン・チューリングの家に空き巣が入り、ノック刑事ら2人の警官が捜査に当たる。取り調べを受けるチューリングは、ノック刑事に侮蔑的な態度をとるが、ノック刑事は逆にそれはわざと警察を遠ざける為ではないかと推測する。映画は、1951年のこの捜査と並行して、チューリングが大戦中ブレッチリー・パークで働いていた頃と1927年の寄宿学校での不遇の日々とを交互に移動しながら進んでいく。

寄宿学校のチューリングは、頭は良いものの変わり者であることが災いしていじめを受けている。そんなチューリングの唯一の友人はクリストファーで、彼が読んでいた本をもらい暗号の世界にのめりこんでいく。そして1939年、チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、海軍中佐アラステア・デニストンの面接を受け、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑むチームに採用される。

チューリングはとにかく変わり者。メンバーとの協調性を欠き、ひとりで暗号解読装置の設計に没頭する。それまでは言語学的立場からのアプローチを取っていたが、チューリングは数学的なアプローチを試みる。デニストンはチューリングの能力は買いながら、人格的には毛嫌いし、その対立からチューリングは何とチャーチル首相に直談判し、解析装置への多額の拠出と自らをチームリーダーとする命令を獲得する。

そして早速能力の劣るメンバーを解任し、新たなメンバーは新聞に難解なクロスワードパズルを載せて解けた者から後任を探すという方法で募集する。そこで採用されたのは、ケンブリッジ大学の卒業生ジョーン・クラーク。採用会場に現れた彼女を「秘書の募集会場ではない」と関係者が拒絶する。テストに合格しても男性と同じ職場で働くことを両親に反対される。今は昔の感があるが、そう言う時代感も興味深い。

様々なエピソードを経て解読は進んでいく。まともにやったら何万年もかかる計算ゆえに、チューリングはそれを機械でやろうとする。詳しい説明は省かれているが、「コンピューターの父」と言われるだけに、当時は画期的なアプローチだったのであろう。ジョーンとのやり取りもロマンスめいていたが、何とチューリングは同性愛者であり、しかもそれは当時違法であったと言うのも時代である。

変わり者のチューリングは、仲間と打ち解けられない。何とかと天才は紙一重というが、変わり者の天才というのはよくある。紅一点のジョーンがそんなチューリングと仲間の間の潤滑油となる。チューリングがジョーンの「指導」で仲間のためにリンゴを配り、仲間が呆気にとられるシーンがある。実はこのリンゴには意外な意味が込められていたのだとあとで知る。なかなか面白い遊びだ。そして仲間たちとチューリングの絆が深まっていく過程はちょっと感動的ですらある。

そしてとうとう解読に成功するが、その瞬間の歓喜は観る者にも伝わってくる。そしてその後の駆け引きもまた興味深い。直接の戦闘シーンが出てくるわけではないが、これも立派な戦争映画である。フィクションは入っているのだろうが、実在の人物の物語というところも興味深い。つくづく、「時代に殺されてしまった」のが残念なところである。自ら手掛けたマシーンに「クリストファー」と名付けたのもちょっと切ない感がある。気がつけば、この「切ない」というのが、この映画のもう1つのキーワードである気がする・・・

それはそうとして、連合軍の暗号はドイツ軍に解読されなかったのであろうか。
映画を観ていてちょっと気になったところなのである・・・


評価:★★☆☆☆




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