2018年01月24日

【ドリーム】My Cinema File 1863

ドリーム.jpg

原題: Hidden Figures
2016年 アメリカ
監督: セオドア・メルフィ
出演: 
タラジ・P・ヘンソン:キャサリン・G・ジョンソン
オクタビア・スペンサー:ドロシー・ボ―ン
ジャネール・モネイ:メアリー・ジャクソン
ケビン・コスナー:アル・ハリソン
キルステン・ダンスト:ビビアン・ミッチェル
ジム・パーソンズ:ポール・スタッフォード
マハーシャラ・アリ:ジム・ジョンソン
キンバリー・クイン:ルース
グレン・パウエル:ジョン・グレン
オルディス・ホッジ:レビ・ジャクソン

<シネマトゥデイ>
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人種差別が横行していた1960年代初頭のアメリカで、初の有人宇宙飛行計画を陰で支えたNASAの黒人女性スタッフの知られざる功績を描く伝記ドラマ。NASAの頭脳として尽力した女性たちを、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などのタラジ・P・ヘンソン、『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』などのオクタヴィア・スペンサー、『ムーンライト』などのジャネール・モネイが演じる。監督は『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのセオドア・メルフィ。ミュージシャンのファレル・ウィリアムスが製作と音楽を担当した。
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 伝記ドラマというものは、やっぱり事実に基づいているだけあって、実話としての重みがあり、また知られざる歴史を知ることにもなって、個人的には好きである。そしてこれは、「スプートニク・ショック」を受け、威信をかけて宇宙開発でソ連を逆転しようとしていたアメリカの知られざる歴史として興味深い実話である。

 時に1961年。一台の車が路上で故障して止まっている。乗っているのは3人の黒人女性。そこにやって来た一台のパトカー。3人の間にわずかに緊張が走る。パトカーに乗っていた警官は白人。3人の緊張は、アメリカの(特に南部においての)人種差別を表している。3人が働いているのはアメリカ航空宇宙経(NASA)のラングレー研究所である。

 キャサリンは幼い頃から数学の才能を表し、その才能を見込んだ教師から飛び級で進学し、就職している。そのキャサリンは、ある日計算助手として抜擢される。しかし、そこは白人の職場で、黒人が利用できるトイレは800m離れた別棟まで行かなければならないという状況。珈琲さえポットは白人のものと分けられている。さらに渡される資料は肝心な部分は黒塗りとなったものである。

 さらにドロシーは、事実上管理職として働いているが、黒人であるがゆえに正式な昇進は認められない。また、メアリーは実験用の宇宙カプセルの耐熱壁に欠陥があることに気がつくほど優秀であったが、エンジニアへ転身するためには学位が必要だったが、その学位を得るためには白人専用の高校に通わねばならなかった。

 こうした酷い差別の中で、3人はめげない。白人の中にも差別をしない人はいて、たとえば「マーキュリー・セブン」と呼ばれる宇宙飛行士ジョン・グレンは、歓迎式典ではわざわざ黒人女性グループのところまで行って声を掛けている。背景にはキング牧師などの映像も挿入されるが、アメリカの坂の上の雲の時代であり、暗い差別の暗黒史の時代でもある。

 そんな中で、差別に負けず奮闘する3人の姿は心地よい。キャサリンは黒塗りの資料にも関わらず、ロケットの軌道の正確な解答を導き出してみせる。それは上司であるハリソンも認めるところとなり、さらにキャサリン悲痛な訴えを聞き、白人専用のトイレを開放する。「小便の色は同じ」というセリフは粋である。メアリーは裁判に訴え、判事を巧みに説得して通学の権利を勝ち取る。そしてドロシーは、最新型コンピューターIBMの導入を見て、自らコンピューター工学を学び、仲間の黒人女性達に教えはじめる。

 困難を押し退けて何かを掴んでいく姿は、どんなものにせよ心地よいものがある。建前とは異なり、ひどい人種差別が残る中、アメリカはソ連との宇宙開発競争の只中にいる。そんな中で、腐ることなく自らの力を発揮すべく奮闘する3人の黒人女性。差別的気持ちを持っている白人は面白くないが、その実力はやがて大きな成果となって表れていく。その成功に思わず快哉を叫びたくなる。

 実話というのが、さらにドラマの面白さに拍車をかける。ラストで実際の彼女たちの写真が紹介されるが、みんな普通の顔をしているのが印象的であった。最近出演作品が増えてきている気がするケヴィン・コスナーも理解のあるリーダーとして味わいある姿を見せてくれる。やっぱり差別は見ていて気持ちのいいものではないし、そんな中で肌の色ではなく実力をしっかり見るリーダーはカッコいい。

 元気な頃のアメリカの栄光ある歴史の1ページが快い映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月07日

【パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間】My Cinema File 1831

パークランド −ケネディ暗殺、真実の4日間.jpg

原題: Parkland
2016年 アメリカ
監督: ピーター・ランデズマン
製作: トム・ハンクス
出演: 
ザック・エフロン:チャールズ・“ジム”・カリコ医師
ビリー・ボブ・ソーントン:フォレスト・ソレルズ
ジャッキー・ウィーバー:マーガレット・オズワルド
ポール・ジアマッティ:エイブラハム・ザプルーダー
ジェームズ・バッジ・デール:ロバート・オズワルド
ジェレミー・ストロング:リー・ハーヴェイ・オズワルド
ジャッキー・アール・ヘイリー:ヒューバー神父
マーシャ・ゲイ・ハーデン:ドリス・ネルソン

<シネマトゥデイ>
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世界中に衝撃を与えたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件直後の人間模様を描く群像劇。大統領が搬送された病院の医師やシークレットサービス、銃撃の瞬間を偶然撮影した一般市民など、さまざまな形で事件に遭遇した人々の視点で真実に迫る。名優トム・ハンクスと『羊たちの沈黙』『マンマ・ミーア!』などに携ってきたゲイリー・ゴーツマンが製作を務める。キャストにはザック・エフロン、ビリー・ボブ・ソーントン、ジャッキー・ウィーヴァー、ポール・ジアマッティら実力派が集結。
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歴史上の事件を扱う映画は様々であり、その視点も同様。事件を正面から捉えたものもあれば、違う視点から捉えたものもある。それぞれにドラマがあるわけであり、それぞれに映画も創られる。この映画は1963年11月22日のケネディ大統領暗殺事件を周囲にいた人々の視点から追ったもの。ケヴィン・コスナー主演の『JFK』は、ジム・ギャリソン検事を主人公として、いまだに謎に包まれた事件を追ったもので、大変面白かったが、ここに登場するのはまた違う人々。

登場人物の1人は、エイブラハム・ザプルーダー。ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮影した「ザプルーダー・フィルム」で有名になった人物である。ザブルーダーは、大統領がダラスにやってくるという熱気の中で、パレードの見物に出かけようとしている。事務所の職員たちにも気さくに声を掛け、カメラを手にして現場へと向かう。そして絶好のポジションを占め、撮影を開始する。やがて複数の銃声が響き渡る。

一方、パークランド病院の医師ジムは看護師たちといつもと変わらぬ日常を送っている。大統領がやってくるとあっても見物に行くわけにはいかない。やがて間もなく「大統領が運ばれてくる」との一報が届く。ジムは、「風邪か?」と軽く考える。やがてオープンカーが病院に横付けされ、怒鳴り声の喧騒の中、血まみれの大統領が治療室のジムの前に運び込まれる。呆然と立ち尽くすジムにベテラン看護士が渇を入れる・・・

ダラスのFBI支局では、大統領の来訪の中にあっても出番はなく、のんびりしたムードが漂う。しかし、大統領狙撃の一報が入り、やがて犯人としてリー・ハーヴェイ・オズワルドが容疑者として逮捕されると、騒然となる。実はFBI支局のホスティ捜査官は、数日前にオズワルドを取り調べていたのである。その時にはお騒がせな迷惑人物として重要視していなかったが、大統領暗殺犯となると責任問題となる。上司のシャリクソンはホスティを叱責し、資料を焼却するように指示をする・・・

正直言ってあまり期待はしていなかった映画なのであるが、意外に迫力があって驚かされた。現場で事件の瞬間を撮影したザブルーダーの下にシークレット・サービスの支局長であるフォレスト・ソレルズがやって来る。そしてすぐに映像の確認を申し出る。今ならすぐにその場で見られるが、当時は現像が必要。一緒にコダックの営業所へ行くが、ザブルーダーも憔悴しきっている。こんなやり取りがあったなんて知る由もない。

救命治療の緊迫感も手に汗を握る。緊急事態で治療にあたる医師のジムはワイシャツ姿だが、すでにワイシャツは血まみれ。ジャクリーン夫人が看護師に手渡したのは、大統領の頭部の一部。ザブルーダー・フィルムでは銃撃直後、夫人が後部トランクによじ登って何かを取っているシーンが映っていたが、その「正体」である。何気ないシーンであるが、じつに重みがある。そして「もうダメ」と判断したシークレット・サービスは、護衛している副大統領をホワイトハウスへ移動させる準備をするとともに、大統領就任の手続きを始める。実にドラスティックである。

まるでドキュメンタリーを見ているような迫力が、画面から伝わってくる。ザプルーダーフィルムの有名な暗殺の瞬間はなぜか出てこなかったが、ザブルーダーはその後二度と撮影をしなかったというほどショックだったようである。人の数だけドラマはあるのだが、1つの事件の背後には様々な人々の思いが交差しているというのが良くわかる。
期待度が低かった分、お得感のある映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年10月29日

【ホーキング】

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原題: Hawking
2004年 アメリカ
監督: フィリップ・マーティン
出演: 
ベネディクト・カンバーバッチ:スティーブン・ホーキング
リサ・ディロン:ジェーン・ワイルド
マイケル・ブランドン:アーノ・ペンジアス
ピーター・ファース:フレッド・ホイル教授
トム・ホジキンス:ロバート・ウッドロウ・ウィルソン
アダム・ゴドリー:フランク・ホーキング
フィービー・ニコルズ:イゾベル・ホーキング
トム・ウォード:ロジャー・ペンローズ

<映画.com>
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人気ドラマ「SHERLOCK」のベネディクト・カンバーバッチが、天才物理学者ホーキング博士の若き日々を演じたイギリス製テレビ映画。1963年。ケンブリッジ大学院で理論物理学を学ぶ21歳の青年スティーブン・ホーキングは、自分の好奇心を満たしてくれる宇宙の研究や、恋心を寄せる女性ジェーンの存在に充実した日々を送っていた。ところがある日、スティーブンの身に突如として悲劇がふりかかる。脳の命令が筋肉に伝わらない難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、余命2年を宣告されてしまったのだ。両親の支えで大学院に戻ったスティーブンは、日を追うごとに身体の自由を失っていく恐怖に耐えながら、研究に没頭していく。
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かの有名なホーキング博士の物語。ドラマは1978年のストックホルムから始まる。ノーベル物理学賞受賞式の前日にインタビューを受けるロバート・ウィルソンとアーノ・ペンジアス。ホーキングについて聞かれた彼らは、「知らない」と答える。この何気ないインタビューは、ホーキングのドラマと並行して進んでいくが、初めはその意味がよくわからない。

そして時は遡り、1963年。テレビを観ているのはスティーヴン・ホーキング。テレビの中では天文学者のフレッド・ホイル教授が理論を語っている。それは宇宙は普遍で変わらないという定常宇宙理論。その日はスティーヴンの21回目の誕生日。そこに1人の女性ジェーンが訪ねてくる。パーティ半ばで庭に出て星空を見上げるスティーヴンとジェーン。星を眺めながらスティーヴンが語るのは物理学や自分の持論。不器用な性格がよくわかる。ところが、寝転がっていたスティーヴンは立てなくなってしまう・・・

スティーヴンは病院で検査を受けるが、なかなか原因がわからない。ジェーンはスティーブンの両親と連絡を取りながら、彼の身を案じている。一方でアーノとロバートのインタビューが続く。2人は銀河のかなたからくるノイズを観測していたことを語る。録音テープから流れる音は、素人からすれば単なる雑音にしか聞こえない。インタビューは、アーノのナチスによる迫害を受けた出自へと脱線しながら続き、そしてノイズの正体である熱が何なのかを調べたことを語る・・・

スティーブンの病気はやがてALSだと判明する。徐々に動かなくなる体。ケンブリッジに戻り、自身の研究テーマを探し求める日々。この頃はまだホイル教授の定常宇宙論が主流で、教授はビッグバン理論を否定している。しかし、ペンローズ教授らとの議論を経て、スティーブンはこの考えに疑問を持ち、そして時間の逆行というヒントからビッグバン理論に辿りつく。これらよってスティーブンは、奨学金を得て研究を続けることになる・・・

もともとホーキング博士に興味を持っていたことから、ちょっと古いテレビドラマを観たのだが、これが意外と満足度の高いものだった。背景に流れる音楽も良いし、体が動かなくなっていくスティーブンだが、それにもかかわらず彼と結婚しようとするジェーンとの物語もドラマの横串としていい。そして絶妙なのが、15年を経て並行して描かれる2つのドラマがかみ合う瞬間。2人のノーベル賞学者(しかもホーキングを知らないと語っている)のインタビューがなぜ描かれていたのか。これはちょっとした感動であった。

正直言って、ホーキング博士のことを少し知りたいと思って観た映画だったが、ストーリー展開というか構成というかその巧みさと音楽とが相まって、予想以上に面白かったドラマである。こういうサプライズは心地よい。それにしても、ホーキング博士という人物は、つくづく天才なんだと思わされる。天文物理学も難しいが、面白そうだと改めて思う。少し本でも読んでみようかという気持ちにさせられたドラマである・・・


評価:★★☆☆☆






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2017年10月28日

【海賊とよばれた男】

海賊とよばれた男.jpg
 
2016年 日本
監督: 山崎貴
出演: 
岡田准一:国岡鐡造
吉岡秀隆:東雲忠司
染谷将太:長谷部喜雄
鈴木亮平:武知甲太郎
野間口徹:柏井耕一
ピエール瀧:藤本壮平
綾瀬はるか:ユキ
堤真一:盛田辰郎
近藤正臣:木田章太郎
國村隼:鳥川卓巳
小林薫:甲賀治作

<シネマトゥデイ>
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第10回本屋大賞を受賞した百田尚樹のベストセラー小説を、『永遠の0』の監督&主演コンビ、山崎貴と岡田准一のタッグで実写映画化。明治から昭和にかけて数々の困難を乗り越え石油事業に尽力した男の生きざまを、戦後の復興、そして世界の市場を牛耳る石油会社との闘いを軸に描く。日本人の誇りを胸に、周囲の仲間との絆を重んじた主人公・国岡鐡造の青年期から老年期までを、主演の岡田が一人でこなす。共演は吉岡秀隆、鈴木亮平、綾瀬はるか、堤真一ら豪華俳優陣がそろう。
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百田尚樹のベストセラーの映画化作品は何作か出ているが、これは原作も面白かったので期待半分、されど長編をうまく映画の時間内に収められるのかという不安半分で観ることにした映画。結果的にはほぼ文句なく原作の味が出ていて良かったと思う。

時に1945年、B29の空襲によって東京は焦土と化していく。夜間戦闘機が迎撃にあたるも、搭乗員の人数に対し、燃料がなく2機しか上がれない。そして2機とも圧倒的な防御力をそなえたB29の前にあえなく撃墜されていく。終戦後、奇跡的に焼け残った「国岡館」。集まった社員は、事業も崩壊した国岡館を解雇される不安に怯える中、店主の国岡鐵三は力強く再興を宣言する。

されど、国内に国岡館が扱える石油はなく、しかも海外に散らばっている社員が続々と帰国する中、前途は果てしなく暗い。反対する役員を宥め鐵三はまずは、石統(石油統制配給会社)に出かけていく。そこで石油を回してもらうように頼むも、総裁の鳥川はそれまでの恨みから、むべもなくこれを拒絶する。疲れ切って帰宅する鐵三を無邪気に迎える子供たち。そして鐵三は、若き日のことを回想する・・・

1922年、27歳の若き日の鐵三は、石炭全盛時代に一早く石油に目をつけ機械油の代理店「国岡商店」を営んでいる。しかし、営業先では袖の下ばかり要求され、それを良しとしない鐵三は相手にされずに商売は苦戦し、資金も底をつき始める。小説では丁寧に描かれていた出資者の木田章太郎との関係も描かれてはいるが、実にあっさりしていて何となく小説を読んでいない人に伝わるだろうかと思ってみたりする。こんな形で、終戦直後と若き日とが交互に描かれていく。

鐵三はとにかく行動力の人物。目の前には次から次へと障害物が横たわる。それを創意工夫で乗り越えていく様はとにかく痛快である。サラリーマンの視点から見れば、かなりヒントになりそうなエピソード満載である。終戦直後もまったく仕事のない中、とにかく「社員の首は切らない」という信念だけで困難を乗り越えていく。普通ならリストラ、廃業も無理からぬところである。そうして次のチャンスを掴み取って行く・・・

映画ならではの場面は、石油輸入再開の条件としてGHQに提示された海軍の備蓄石油の汲み上げだろう。タンクの底にたまった石油は、泥と雨が混じり、ポンプでもくみ上げられない代物。それを何と人力で汲み上げる。小説ではイメージできなかったタンク内の様子が映画では見事に雰囲気が伝わってくる。クライマックスの日昇丸のエピソードも、同じ決断ができる人が果たしてどれだけいるだろうかというもの。映画の制限かカットされたエピソードもあったが、小説を読んで胸が熱くなった思いを再び感じられるものである。

映画を観ていて、改めて小説も思い起こされる。長編だが、映画だけ観るのはやはり片手落ちだろう。映画を観て少しでも心を動かされたところがあれば、小説に挑戦すべきかと思う。つい最近、モデルとなった出光石油は、創業家と現経営陣とが昭和シェルとの提携を巡って対立していたが、映画を観れば創業家の思いもよくわかるというもの。経営のセオリー等「筋論」もわかるが、映画を観れば別の感情も湧いてくる。

映画を観て思うのは、日本にもこういう時代があり、こういう人物がいたのだということ。賢い人物はたくさんいると思うが、熱い人物はどれほどいるだろうかとふと思う。こういう人物がこれからもまだ出てくるのであれば、日本もまだまだだと思う。時を置いてまた小説も読み直してみたいと思わされる一作である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年10月21日

【スノーデン】

スノーデン.jpg

原題: Snowden
2016年 アメリカ
監督: オリバー・ストーン
出演: 
ジョセフ・ゴードン=レビット:エドワード・スノーデン
シャイリーン・ウッドリー:リンゼイ・ミルズ
メリッサ・レオ:ローラ・ポイトラス
ザッカリー・クイント:グレン・グリーンウォルド
トム・ウィルキンソン:イーウェン・マカスキル
スコット・イーストウッド:トレバー・ジェイムズ
リス・エバンス:コービン・オブライアン
ニコラス・ケイジ:ハンク・フォレスター

<シネマトゥデイ>
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名匠オリヴァー・ストーン監督が、アメリカ政府による国際的な個人情報監視の事実を暴き世界を震撼させた「スノーデン事件」の全貌に迫る人間ドラマ。CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員だったエドワード・スノーデン氏がキャリアや恋人との幸せな人生を捨て、重大な告発を決意するまでの過程を描く。スノーデン氏をジョセフ・ゴードン=レヴィット、その恋人をシャイリーン・ウッドリーが演じるほか、オスカー女優メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソンらが脇を固める。
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「スノーデン事件」と言えば、まだ記憶にも新しい。「元CIA職員が機密情報を漏洩してロシアに亡命した」という程度の認識であったが、詳細に興味もあって映画を観ることにした次第。

物語は2013年、香港のとあるホテルにてドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラスとイギリスのガーディアン紙の記者グレン・グリーンウォルドとがある人物と待ち合わせすべく、周囲に目を配っているところから始まる。そしてその前に現れたのがエドワード・スノーデン。ルービックキューブを持っているが、これがちょっとした象徴的なアイテムとしてこの映画では描かれる。

スノーデンは2人をあらかじめ手配していた部屋に招き入れると、2人の携帯を預りレンジに入れる。録画はカメラでできると説明するも、今から思えばアメリカの情報機関による盗聴を防ぎたかったのかもしれない。そして、スノーデンが2人を呼び寄せた目的は、これまでスノーデンが体験し得た、アメリカ政府、NSA、CIAの情報機密の暴露。それはアメリカの情報収集が全世界をターゲットにしたものであることに疑問符を抱いてのことからであった。

そして物語は遡り、スノーデンが軍隊に志願したところに戻る。特殊部隊を志願するも、もともと「肉体系」ではなかったようで、過酷な訓練に足が悲鳴を上げ怪我を負ってしまい、除隊を余儀なくされる。「別の形で国家に尽くせ」という慰めが、アメリカらしさを感じさせる。そしてスノーデンはCIAの採用試験に臨み、合格する。

そこで持ち前の天才的な頭脳とプログラミング能力の才能を発揮し、指導教官コービンに一目置かれる存在となり、さらにハンク・フォレスター教官とも親しくなる。トップクラスの成績を誇るスノーデンは、ジュネーブにあるアメリカの国際代表部に派遣される。そして現地でスノーデンが目の当たりにしたのは、一般市民のメール、チャット、SNSからあらゆる情報を収集するNSAの極秘検索システムの存在。

表向きテロ活動を防ぐためと称するも、情報収集は明らかに必要な範囲をはるかに越え、スノーデンは疑問に思うようになる。CIAを辞職し、今度はNSAの契約社員として日本へ異動するが、ここでも表向きはサイバーテロの防衛技術の指導だが、裏では日本政府や企業の盗聴やハッキングを行う。そして万が一日本が同盟国でなくなった時に備えて、インフラに破壊システムを組み込む。あくまで映画であるから真偽はわからないが(たぶん本当のような気がする)、我々日本人にとっては衝撃的な内容である。

スノーデンはなぜ国家機密を暴露したのか。映画では、「こんなことまでしていいのか」という疑問を国民に公開し、みんながどう思うか判断を委ねるためと語られる。アメリカは9.11で大きな衝撃を受け、軍事力での侵攻なら防げるが、テロ防止の難しさをつくづく実感したのだと思う。勢い、それを予防するためには、あらゆる事前の情報収集が必要だという理屈は良くわかるが、「それにしても」という気持ちは確かにある。

NSAの技術者が得意気に対象者のPCにアクセスし、着替えの様子を画面に表示する様子を見ていたスノーデン。その記憶は自分のベッドで恋人と睦まじく寝ている時に脳裏をよぎる。「これも見られているのではないか」と疑心暗鬼になる様子は、大暴露に至った心情をよく伝えてくれる。果たして正義のためにはどこまで許されるのかを考えるにはいいかもしれない。

監督はオリバー・ストーン。もともとアメリカ政府に手厳しい映画(『プラトーン』『ブッシュ』)や本(『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』)を世に問う傾向があり、この映画を撮ったのも十分理解できる。内容的にも、またエンターテイメントとしても十分満足できるものである。

あくまで映画であり、一部は史実と違う所や描かれていないところがある様であるが、事件そのものを理解するには十分ではないかと思う。
こういうのも映画の良さとして理解したい一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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