2018年07月02日

【パトリオット・デイ】My Cinema File 1941

パトリオット・デイ.jpg

原題: Patriots Day
2016年 アメリカ
監督: ピーター・バーグ
出演: 
マーク・ウォールバーグ:トミー・サンダース
ケビン・ベーコン:リック・デローリエ
ジョン・グッドマン:エド・デイヴィス
J・K・シモンズ:ジェフ・ピュジリーズ
ミシェル・モナハン:キャロル・サンダース
アレックス・ウルフ:ジョハル・ツァルナエフ
セモ・メリキッゼ:タメルラン・ツァルナエフ
ジェイク・ピッキング:ショーン・コリアー
ジミー・O・ヤン:ダン・マン
レイチェル・ブロズナハン:ジェシカ・ケンスキー
クリストファー・オシェイ:パトリック・ダウンズ
メリッサ・ブノワ:キャサリン・ラッセル
ジェームズ・コルビー:ビリー・エヴァンス
マイケル・ビーチ:デヴァル・パトリック
ビンセント・カラトーラ:トーマス・メニーノ

<映画.com>
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2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側を、『ローン・サバイバー』「バーニング・オーシャン」でもコンビを組んだマーク・ウォールバーグ主演&ピーター・バーグ監督のタッグで映画化。捜査関係者や犯人、被害者の市民など事件に関わった多くの人々の動きをたどりながら、事件発生からわずか102時間で犯人逮捕に至った顛末を、映画オリジナルのキャラクターであるウォールバーグ扮する刑事の視点から描く。13年4月15日。ボストン警察の殺人課に所属する刑事トミーは、 「愛国者の日(パトリオット・デイ)」に毎年開催されるボストンマラソンの警備にあたっていた。50万人の観衆で会場が埋め尽くされる中、トミーの背後で突如として大規模な爆発が発生。トミーらボストン警察の面々は事態を把握できないまま、必死の救護活動を行なう。そんな中、現場に到着したFBI捜査官リックは、事件をテロと断定。捜査はFBIの管轄になるが、犯人に対し激しい怒りを抱えるトミーは、病院に収容された負傷者たちから丁寧に話を聞いてまわる。やがて、監視カメラに映っていた「黒い帽子の男」と「白い帽子の男」が容疑者として浮かび上がる。
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2013年4月15日。毎年4月の第3月曜日「パトリオット・デイ」(愛国者の日)に開催されるボストンマラソンの最中に、爆弾テロ事件が発生する。まだ記憶にも新しい事件である。主人公のトミー・サンダースはボストン市警察殺人課刑事であるが、何かのペナルティで会場警備にあたっている。和やかなお祭りムードが、爆発で一変。トミーはすぐに救護活動を行う。

やがて現場にやって来たのはFBIの特別捜査官のリック・デローリエ。残置物から事件をテロと断定し、FBIが捜査を指揮することを宣言する。そして巨大な倉庫に捜査本部を設置すると、遺留品をはじめ周辺の映像・画像データを集め、ボストン警察ととともにデータの分析に入る。そこで監視カメラの映像から「黒い帽子」と「白い帽子」の2人の男が容疑者として浮かび上がる。

この過程がなかなか凄い。今や街のあちこちに防犯カメラが設置されているが、何せ当日は膨大な人出。スタッフは町に詳しいトミーの指示の下、映像を分析していくが、爆発の瞬間、1人だけ別方向を見ていた白い帽子の人物を怪しいと判断する。気の遠くなるような作業だが、これで犯人を割り出したのだから本当にすごいと思う。そして周辺の防犯カメラの映像から白い帽子の男の動きを追い、もう1人の黒い帽子の男を割り出す。

2人の顔写真を公表すべきか否かの議論になるが、FBIのデロ−リエは公表に対し否定的。その間、報道機関は全くの別人を犯人とした情報を流し始めるなどの混乱が拡大する。いずこの国もマスコミは困ったものである。その「黒い帽子」と「白い帽子」の男たちはタメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフという兄弟。タメルランは妻子持ちであるが、ジョハルを連れてさらなるテロを行うためニューヨークへ向かおうとする。

ストーリーは一見関係なさそうな人々の姿も映し出す。大学に巡回に回る警官ショーン・コリアー巡査、中国人留学生のダン・マン。仲睦まじいパトリックとジェシカのカップル。しかし、彼らも別々の形で事件に関わってくる。それぞれ別々の人生を歩んでいたのに、運命のいたずらによって犯人の兄弟と事件とに関わり合うことになる。

テロリストにはテロリストなりの正義があるのだろうが、だからと言ってそんな勝手な正義の犠牲にされる方はたまったものではない。そんな理屈も自分たちの正義に酔いしれるタメルランとジョハルには通用しない。FBIは2人の身元を割り出し、タメルランの妻を拘束するが、妻もまた「妻は夫に従うもの」と主張し、捜査には協力しない。ニューヨークでのテロを計画するタメルランとジョハルは、拳銃が欲しいという理由で、巡回中の警官ショーン・コリアー巡査を襲撃し、ダン・マンの乗っていたSUVを奪う。

こうしたテロリスト2人の行動には同情心など湧いてこない。それにしてもFBIもよく追い詰めたと思うし、逃走を図る2人との銃撃戦は凄まじい。ボストン広域に戒厳令に近い外出禁止令が出されるが、周辺地域の住民たちも気が気ではなかったであろう。エンドロールの前には、事件当時の負傷者や警察ら関係者のインタビューが、事件に関する実際の写真や映像を交えつつ流れるが、日本にいてあまり知らなかった顛末が実に興味深い。

エンターテイメントとしての映画には、多少の脚色もあるとは思うが、エンターテイメントとしてだけではなく、事件の記録としても楽しめる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2018年06月08日

【バリー・シール アメリカをはめた男】My Cinema File 1931

バリー・シール アメリカをはめた男.jpg

原題: American Made
2017年 アメリカ
監督: ダグ・リーマン
出演: 
トム・クルーズ:バリー・シール
ドーナル・グリーソン:シェイファー
サラ・ライト:ルーシー
E・ロジャー・ミッチェル: クレイグ・マッコール捜査官
ジェシー・プレモンス: ダウニング保安官
ローラ・カーク: ジュディ・ダウニング
アレハンドロ・エッダ:ホルヘ・オチョア
ベニート・マルティネス: ジェームズ・ランゲル
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ:JB
ジェイマ・メイズ: デイナ・シボタ
マウリシオ・メヒア:パブロ・エスコバル

<シネマトゥデイ>
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航空会社のパイロットからCIAのエージェントに転身し、麻薬の運び屋としても暗躍した実在の人物バリー・シールの半生を、トム・クルーズ主演で映画化。『エクス・マキナ』などのドーナル・グリーソン、『21オーバー 最初の二日酔い』などのサラ・ライトらが共演。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でトムとタッグを組んだダグ・リーマンがメガホンを取る。トムが全て自分でこなしたフライトシーンに注目。
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バリー・シールは、実在の人物。大手航空会社TWAでパイロットとして働くが、若くして機長に昇進する腕前。しかし、裏で検査が緩い立場を利用して密輸に手を染めており、もともとそういう山っ気のある人物だったようである。そんな山っ気と腕前を見込まれたのか、ある日シールはCIAのシェイファーから極秘の偵察任務のスカウトを受ける。TWAのパイロットという安定した立場を捨てることに妻は当然反対するが、シールは妻に内緒でオファーを受ける。

CIAが用意した小さな航空会社に転職したことにし、航空レーダーを避けるように超低空飛行で通り抜けて、中米や近隣諸国を秘密裏に偵察飛行する。その成果はCIAにも評価される。やがて、シールはパナマの独裁者マヌエル・ノリエガの知古を得ることになる。CIAの目を盗み、メデジン・カルテルの指示でコカインをルイジアナ州に密輸する仕事も請け負うようになる。その事実はCIAも知るところとなるが、シールの代わりになるような人材もおらず、敢えて黙殺する。

さらにシールは、ニカラグアの親米反政府組織コントラに武器を密輸する任務も請け負うことになる。そしてコントラが本気で革命を起こす気がないと確信したシールは、その武器をカルテルに横流しする。拡大する「任務」は、シール1人では手に負えずパイロットを雇い、その数だけセスナ機を抱える立派な「会社」に成長する。税金は当然かからず、儲けは増え続ける一方であり、シールは札束の保管に苦労するようになる。

生活は豪華になっていき、やがて妻もシールがTWAを辞めたことを知るが、溢れる札束に抗議の言葉も消失する。もしも、シールが堅実な人物であったなら、ほどほどの利益で安全策を取っていたかもしれない(もっとも堅実な人物だったらそもそもこんなことはしなかっただろうが・・・)。とどまるところを知らない暴走は、やがて行きつくところに行き着く。まもなく、シールは地元警察とDEAとFBIとATFに取り囲まれる。いずれの組織にとってもシールは、「重要犯罪人」だったのである。

やっていることが次々にうまくいき、吐いて捨ててもなお余るくらいの札束を手にし、ある意味シールには才能があったのであろう。惜しむらくはそれを正しい方向に使わなかったことである。せめてCIAの仕事だけで満足していたのなら、世間でも経験できない経験をし、国家にも貢献できたであろう。そして待っていたのは、犯罪者にふさわしい末路。

主演はトム・クルーズ。この人が演じると、実際のバリー・シールがどうであったかはわからないが、明るくノリのいい好人物になってしまう。スリリングな行動はお手のもの。明るいノリでピンチを次々に克服していく。イーサン・ハントのような派手なアクションはさすがにないが、明るくテンポの良い展開は心地よい。まさに「トム・クルーズの世界」が体現される。

「自分だったらどうするだろう」
そんなことを夢想しながら、トム・クルーズの世界を堪能したい映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2018年05月11日

【ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命】My Cinema File 1918

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命.jpg

原題: Jackie
2016年 アメリカ・チリ・フランス
監督: パブロ・ラライン
出演: 
ナタリー・ポートマン:ジャクリーン(ジャッキー)・ケネディ
ピーター・サースガード:ロバート(ボビー)・F・ケネディ
グレタ・ガーウィグ:ナンシー・タッカーマン
ビリー・クラダップ:ジャーナリスト
ジョン・ハート:神父
リチャード・E・グラント:ウィリアム(ビル)・ウォルトン
キャスパー・フィリップソン:ジョン(ジャック)・F・ケネディ
ジョン・キャロル・リンチ:リンドン・ジョンソン

<シネマトゥデイ>
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第73回ベネチア国際映画祭最優秀脚本賞に輝いた、ジョン・F・ケネディ元大統領の妻ジャクリーン・ケネディの実録劇。ファーストレディであった彼女が過ごした、ケネディ大統領の暗殺から葬儀までの4日間を活写する。監督は『NO ノー』などのパブロ・ラライン。『ブラック・スワン』などのナタリー・ポートマンがジャクリーンを力演し、その脇をピーター・サースガードやグレタ・ガーウィグらが固める。アメリカ大統領史の事件を妻の視点で描く物語に、ナタリーがまとう1960年代のファッションが彩りを添えている。
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大統領暗殺という事件は、考えてみればやっぱり大変な事態である。1963年11月、ケネディ大統領が暗殺された衝撃は、当時生まれていなかった身としては想像するしかないが、それはそれは大きなものであったであろう。当然、映画の題材にもなるわけで、これまでもいろいろと映画化されている。何といっても事件の秘められた謎を追った『JFK』は、これもまた別の意味で衝撃的であったし、事件の周辺の人々を描いた『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』も記憶に新しい。この映画は、大統領夫人であったジャクリーン・ケネディを描いた作品である。

冒頭、ライフ誌のジャーナリストがジャクリーン・ケネディの屋敷にやって来る。その目的はもちろん取材。大統領暗殺事件からまだ数日しか経っていない。そんな状況でインタビューを受けるジャッキーことジャクリーンは強い女性だったのであろうか。さらに記事の内容についても、自分が内容に関与することを条件にしたりする。ジャッキーが、落ち着いた様子で出来事を語り始める形で映画は進んでいく。

ファーストレディとなってまだ間もない頃。ジャッキーはまずホワイトハウスの大修復に着手する。ホワイトハウスの主になった者の常なのかもしれないが、自分好みの威厳ある空間へと生まれ変わらせるようである。ジャッキーはさらにこの様子を自らがホストとなってテレビ公開する。傍らでこれをサポートするのは、秘書で親友のナンシー。ファースト・レディもただ微笑んでいればいいだけではないようである。

そしてやはり何といっても、11月22日。ダラス空港に到着し、機内でスペイン語のスピーチの練習をしながら化粧を直すジャッキー。ちょっと緊張した面持ちで大統領と共にタラップを降りる。ザブルーダーフィルムで狙撃の瞬間は何度も観ているが、その時ジャッキーは、車の後部に飛び散った肉片を集め、撃たれた頭を必死に手で押さえる。夫の口元がとても綺麗だったと語るジャッキーのセリフが何とも言えない。

その日、ジャッキーはピンクのシャネルのスーツといういでたち。シークレットサービスがオープンカーに馬乗りになった状態で、車は病院へとスピードを上げる。病院へ搬送されたあとの経緯は、『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』のシーンが脳裏に蘇る。その後、ジャッキーはエアフォースワンでジョンソン副大統領の宣誓に立ち会う。ピンクのシャネルは血だらけであり、ジャッキー自身もまた泣きながら顔についた血を拭く。何とも言えない迫力である。

そして着替えるように進言したスタッフに対し、それを敢然と拒否する。「彼らがしたことを見せてやる」と語るジャッキーの姿に強さを感じるが、「彼ら」が誰を意味しているのか映画ではわからなかった。事件の背景について、なんらか意図したかったのであれば、もう少しそれを描いて欲しかったと思う。そしてワシントンに着くと、司法長官のロバート・ケネディに葬儀については同じように暗殺されたリンカーン大統領の葬式に倣うと告げる。

 映画は葬儀を終えて、冒頭のインタヴューまでを描いたものであるが、個人的にはその後も興味のあるところである。なぜ、事件からそれほど期間も経たない(5年後)うちに、大富豪と再婚したのか(映画では経済的な意味合いも漂わせていた)。もう少し前後の幅が欲しかったと個人的には思う。それにしてもすぐにホワイトハウスからの退去を求められ、ジャッキーがホワイトハウスを去ろうとする後ろでジョンソン大統領夫人がホワイトハウスの内装変更を指示しているシーンはなんとも言えない。

ジャッキーを演じたのは、ナタリー・ポートマン。これは個人的には良かったところ(これだけでも観る価値はあった)。大作とはいかないが、じっくりと観れたのは良かったところである。
それにしても2039年にはすべて事件の全貌が明らかになるのであろうか。そちらの方も気になるケネディ大統領暗殺事件である・・・


評価:★★☆☆☆






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2018年05月04日

【ハンズ・オブ・ストーン】My Cinema File 1915

ハンズ・オブ・ストーン.jpg

原題: Hands of Stone
2016年 アメリカ/パナマ
監督: ジョナサン・ヤクボウィッツ
出演: 
エドガー・ラミレス:ロベルト・デュラン
ロバート・デ・ニーロ:レイ・アーセル
アッシャー・レイモンド四世:シュガー・レイ・レナード
ルーベン・ブラデス: カルロス・エレータ
ペドロ・ペレス: プロモ・クイノネス
アナ・デ・アルマス:フェリシダード・イグレシアス
ジャーニー・スモレット=ベル:ジュアニータ・レオナルド
オスカル・ハエナダ:カフラン
エレン・バーキン:ステファニー・アーセル
ジョン・タトゥーロ:フランキー・カルボ

<シネマトゥデイ>
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4階級制覇を成し遂げたパナマの伝説的ボクサー、ロベルト・デュランの伝記ドラマ。彼のボクサー人生をはじめ、シュガー・レイ・レナードとの再戦で試合を放棄した「ノー・マス事件」の真相を描く。強烈なパンチから“石の拳”と称されたデュランを『カルロス』などのエドガー・ラミレス、トレーナーを名優ロバート・デ・ニーロ、レナードをグラミー賞アーティストでもあるアッシャーが演じる。
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ボクシングと言えば、ヘビー級の迫力ある戦いにどうしても目が行きがちである。映画のロッキーもヘビー級である。しかし、かつてミドル級が輝いた時代を記憶している。シュガー・レイ・レナード、トーマス・バーンズ、マービン・ハグラーそしてロベルト・デュランら強豪がひしめいていた時代である。この映画はその時代を担っていた1人ロベルト・デュランの自伝映画である。

物語はパナマのスラム街で始まる。幼い日にアメリカ人の父親に捨てられ、女手一つで育てられたロベルトは、盗みやストリート・ファイトに明け暮れて育つ。パナマ運河を支配するアメリカに対する反発が起こる世の中、ロベルトも父に捨てられたことから反米心を抱いている。そんなある日、ロベルトのストリートファイトをボクシングジムのトレーナーであるプロモ・クイノネスが偶然見かけ、その才能に惚れてロベルトにボクシングを教え始める。

もともとの才能とハングリー精神からロベルトは、デビューしてからKOの山を築く。マネージャーのカルロス・エレータは、ロベルトを世界王者するべく、世界王者を 18 人も排出した名トレーナーのレイ・アーセルに引き合わせる。レイはかつてボクシングがらみでマフィアと揉め、ボクシング関係でお金を稼ぐことをやめる約束をしており、無償でトレーナーを引き受ける。

ロベルトは、アメリカ人であるレイを毛嫌いしていたが、その指導を通じて次第に心を許すようになる。レイの指導によりその実力は開花し、無敗のままWBA世界ライト級王者ブキャナンに挑戦し、KOで新チャンピオンに輝く。私生活でも結婚し、子供を次々ともうけ、順風満帆の人生。そして時を同じくして圧倒的人気と実力を兼ね備えていたアメリカ人ボクサー、シュガー・レイ・レナードと対戦することになる。

公衆の面前でレナードの奥さんを侮辱するというやり方は褒められたものではないが、これも映画によると作戦で、頭にきたレナードはロベルトと打ち合いの試合となる。その結果、最後は判定でロベルトがそのタイトルを奪う。しかし勝って兜の尾を閉め忘れたロベルトは、パーティー三昧の日々と暴飲暴食から太ってしまう。虎視眈々とリマッチを狙うレナードは、高額のファイトマネーを餌にマネージャーのカルロスを篭絡し、まんまとロベルトをリングに上げる。短い準備期間に15 kgの減量から、圧倒的に不利な試合にロベルトは臨む・・・

ロベルト・デュランの名前は良く知っていたが、その人物像はまったく知らず、映画で描かれるロベルト・デュランの半生は興味深い。レナードとのリマッチは、ロベルトが途中で試合を放棄してしまう「ノー・マス(もうたくさんだ)」事件として有名らしいが、その経緯もよくわかる。どんなボクサーにも頂点から降りる時が来るが、ロベルト・デュランのその時はこの試合だったようである。

ロバート・デ・ニーロがデュランのトレーナーを演じ、渋く光る。キャリアの終盤には日本に来て異種格闘技戦をやっていたが、できれば現役時代の試合をリアルに観たかったと改めて思う。こうして1人のヒーローの人生を振り返るというのも、映画ならではなのだろう。個人的にはいずれマニー・パッキャオの映画を観てみたいものである。

 ボクシングファンなら是非とも観ておきたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2018年04月27日

【ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密】My Cinema File 1909

ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密.jpg

原題: Professor Marston and the Wonder Women
2017年 アメリカ
監督: アンジェラ・ロビンソン
出演: 
ルーク・エバンス:ウィリアム・モールトン・マーストン
レベッカ・ホール:エリザベス・ホロウェイ・マーストン
ベラ・ヒースコート:オリーヴ・バーン
モニカ・ジョルダーノ:メアリー
JJ・フィールド:チャールズ・ギエット
オリヴァー・プラット:マックス・ゲインズ
コニー・ブリットン:ジョゼット・フランク

<映画.com>
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DCコミックスの最強ヒロイン『ワンダーウーマン』の生みの親で、嘘発見器を発明した心理学者でもあるウィリアム・モールトン・マーストンの人生を、『美女と野獣』のルーク・エバンス主演で映画化した伝記ドラマ。1920年代。心理学の教授ウィリアムは授業を受けていた学生オリーブに惹かれ、彼女を助手にする。一緒に研究する妻エリザベスはオリーブに嫌悪感を示すが、共に過ごすうちにエリザベスもまたオリーブに惹かれていく。嘘発見器の発明を目指し研究に没頭する3人だったが、やがてそのスキャンダラスな関係が校内で噂となり、大学を追い出されてしまう。3人で共同生活を送る中で、ウィリアムは2人の進歩的な女性に感化され、新たなヒロイン『ワンダーウーマン』を考案する。エリザベス役を『アイアンマン3』のレベッカ・ホール、オリーブ役を「ネオン・デーモン」のベラ・ヒースコートがそれぞれ演じた。
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ここのところ『ワンダーウーマン』が続けて映画になっているので、てっきり続編かと思ってしまったが、これは『ワンダーウーマン』の原作者の物語。いわば自伝である。これはちょっと意外だったが、なぜ原作者にスポットライトが当たったかと言うと、それはドラマになるに十分だからに他ならない。

時に1928年、ウィリアム・マーストンはハーバード大学で心理学の教鞭を取っている。妻のエリザベスも同様に研究をしているが、まだ世の中は男性社会であり、エリザベスは自分の論文が認められないことに鬱憤をためている。そんな中、マーストン夫妻は、講義を受けていた女子学生オリーヴ・バーンを助手に採用する。エリザベスは、オリーヴにいきなり「夫と寝るな」と告げ、これにオリーヴは少なからずショックを受ける。

夫妻は心理学の研究の一環として嘘発見器の開発やDISC理論の研究をしており、オリーヴも研究の発展に大いに貢献し、やがて嘘発見器は完成する。そして一緒に仕事をしているうちに、3人はどんどん親密な関係になっていく。ウィリアムとオリーヴは男女の関係になり、さらにエリザベスとオリーヴもレズビアンの関係となる。やがてその関係は大学内でも噂になり、それが問題となってマーストン夫妻は教授職を失ってしまう。まぁそれはそうだろうと思う。

さらにオリーヴの妊娠が判明し、彼女はマーストン夫妻と同居することになる。失職したウィリアムは作家となるが、一家の生計を支えたのは秘書として働くエリザベスであった。ある日、ウィリアムは偶然立ち寄った画廊に展示されていた作品に衝撃を受ける。そのフェティッシュ・アートがウィリアムのDISC理論を実証するようなものだったからである。それをポルノと批判するエリザベスであったが、のめり込むウィリアムはオリーヴにその衣装を着させるが、それこそ後にワンダーウーマンのコスチュームそのものであった。そしてウィリアムは、アマゾーンをモデルにしたヒロインを主人公にした漫画を執筆し始める・・・

その漫画『ワンダーウーマン』は大ベストセラーとなるが、その内容はSMもどきのきわどいもので、作品に対する批判が起こり、ウィリアムも事情聴取を受ける羽目になる。
映画はこの事情聴取と3人の関係の始まりからを並行して描いていく。それにしても男1人と女2人の3人関係はなんとも言えない。男からしたらハーレムだろうが、世間的には大変だっただろう。いつの時代でも時代の先端を行く者は強い批判に晒されるものである。

それにしても、『ワンダーウーマン』にはこんな物語があったとは、全く知りもしなかった。ウィリアム自身は1947年に癌で他界してしまうが、エリザベスとオリーヴはその後、2人仲良く暮らしたという。実写化された『ワンダーウーマン』を観たら一体どんな感想を持っただろうか。

それにしても本業だったはずの心理学では職を失い、嘘発見器も特許を取らずに金銭的な成功とは無縁で、真面目な本は売れず、最終的にはコミックで有名になる。人生ってわからないものだと、改めて思う。
まさに「小説よりも奇なり」の自伝映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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