2017年04月23日

捕らわれた女

捕らわれた女.jpg

原題: Captive
2015年 アメリカ
監督: 
出演: 
ケイト・マーラ: ジェリー・ジェームソン
デヴィッド・オイェロウォ: ブライアン・ニコラス
ミミ・ロジャース:
マイケル・ケネス・ウィリアムズ:
レオノア・バレラ:

<TSUTAYA解説>
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実際に起きた奇跡的な事件に基づき、信仰の力を描く。迷える魂の触れ合いが胸を打つ感動のドラマ。脱走犯のブライアン・ニコラス(ゴールデングローブ賞候補者デヴィッド・オイェロウォ)は生まれたばかりの息子に会おうと必死のあまり、シングルマザーになって間もないアシュリー・スミス(エミー賞候補者ケイト・マーラ)を彼女の自宅に監禁する。命の危険を感じ、二度と娘と会えなくなることを恐れたアシュリーは、リック・ウォレンの著書「人生を導く5つの目的」に救いを求める。人生の岐路に立つアシュリーと監禁犯は、絶望の中に希望と光を見いだす。Dove Foundation(ダヴ基金)はこのすばらしい映画を“感動的”と評した。
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 主人公のアシュリーは、シングルマザー。詳しくは語られていないが、夫亡き後精神的に不安定になったようで、薬物に手を出し、その結果最愛の娘の親権を失ってしまっている。娘は叔母の下で育てられ、アシュリーはウエイトレスをしつつ、カウンセリングを受け、娘の親権を取り戻そうとしている。しかし、いまだに薬物を断ち切れない。カウンセラーからは、『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』という本を勧められるが、すぐにそれをゴミ箱に放り投げる始末。

 一方、レイプ容疑で裁判所に連行されてきたブライアン・ニコラスは、女性警官の隙をつきこれを殴り倒して銃を奪う。そして奪った銃で裁判官、速記官、警備の警官を次々と射殺し脱走する。行く先は恋人の家。そこには生まれたばかりの息子がいたが、いち早く警官が警戒網を敷いていて近づけない。さらに連邦捜査官1人を射殺し、緊急手配の網をかいくぐり、ついにアシュリーを見つけ家に押し入る。

 「捕らわれた女」とタイトルはここからきている。ブライアンは黒人で、いかつい体。アシュリーは恐怖に駆られるが、圧倒的体力差があり抵抗はできない。そんな2人が、緊張状態のまま一夜を過ごす。アシュリーから薬物をもらったブライアンはこれを吸い、ハイになる。拳銃がアシュリーの目の前に置かれているが、アシュリーは動けない。頭の中で銃を奪って撃つイメージはできても、万が一失敗したらと考えると動けないわけで、このあたりの心理状況もよくわかる。

 犯人と誘拐された人が心を通い合わせる「ストックホルム症候群」という心理状態があるが、ある意味アシュリーとブライアンにもそんな状況があったのかもしれない。手持無沙汰なアシュリーが、カウンセラーがゴミ箱から取り出してきて渡した『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』を手に取ると、興味を持ったブライアンはそれを声に出して読めという。こういうシチュエーションでなかったら、読まなかったかもしれず、何が幸いするかわからない。自分からは断ち切れなかった薬物も、ブライアンから一緒にやれと強要されるがこれを断固拒否する。アシュリーの変化も見逃せない。

 テレビで警察の動きを見ていたブライアンは、盗んだ車を発見されれば自分の居場所もバレると、車の移動を思い立つ。ブライアンとアシュリーはそれぞれ車を運転して盗難車を捨てに行く。この時もアシュリーには逃げるチャンスがあったが、叔母の家の住所を知られていて逆らえない。この辺の心理も観ていて興味深い。そして夜が明ける。

 最後はあっけなく逮捕されるブライアン。しかしそこに至る過程は、一見変である。しかし、ブライアンもバカではなく、様々な思いが胸中を駆け巡ったのであろう。そしてやはり生まれたばかりの自分の子供に対する「生きて会いたい」という思いもあったのだろう。そんな心中を観る者に推察させるストーリーである。ただ単にぼぉーっと観ていたら面白くはない映画かもしれない。

 何より興味深かったのは、エンドロールで流れる実在のアシュリーだろう。テレビ番組に出演し、当時の状況のインタビューを受け、サプライズで『人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章』の著者と対面する。映画だけで終わっていたら、たぶんつまらなかったかもしれない。むしろ最後のこの様子こそが映画のキモかもしれないと思う。
 そういう意味で、実話だったからこそ助かったと言える映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年04月22日

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密.jpg

原題: The Imitation Game
2014年 イギリス・アメリカ
監督: モルテン・ティルドゥム
出演: 
ベネディクト・カンバーバッチ:アラン・チューリング
キーラ・ナイトレイ:ジョーン・クラーク
マシュー・グッド:ヒュー・アレグザンダー
ロリー・キニア:ロバート・ノック刑事
アレン・リーチ:ジョン・ケアンクロス
マシュー・ビアード:ピーター・ヒルトン
チャールズ・ダンス:アラステア・デニストン中佐
マーク・ストロング:スチュアート・ミンギス少将

<シネマトゥデイ>
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第2次世界大戦時、ドイツの世界最強の暗号エニグマを解き明かした天才数学者アラン・チューリングの波乱の人生を描いた伝記ドラマ。劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、その後コンピューターの概念を創造し「人工知能の父」と呼ばれた英雄にもかかわらず、戦後悲劇の運命をたどったチューリングを、ベネディクト・カンバーバッチが熱演する。監督は『ヘッドハンター』などのモルテン・ティルドゥム。キーラ・ナイトレイをはじめ、『イノセント・ガーデン』などのマシュー・グード、『裏切りのサーカス』などのマーク・ストロングら実力派が共演。
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第二次世界大戦時、ドイツ軍は「エニグマ」という高度な暗号装置を使用していたこと、そして連合軍がその解読に成功していたことはよく知られているが、その解読の物語については知ることもなかった。これはその解読の中心人物となった数学者アラン・チューリングの物語である。

映画は1951年から始まる。アラン・チューリングの家に空き巣が入り、ノック刑事ら2人の警官が捜査に当たる。取り調べを受けるチューリングは、ノック刑事に侮蔑的な態度をとるが、ノック刑事は逆にそれはわざと警察を遠ざける為ではないかと推測する。映画は、1951年のこの捜査と並行して、チューリングが大戦中ブレッチリー・パークで働いていた頃と1927年の寄宿学校での不遇の日々とを交互に移動しながら進んでいく。

寄宿学校のチューリングは、頭は良いものの変わり者であることが災いしていじめを受けている。そんなチューリングの唯一の友人はクリストファーで、彼が読んでいた本をもらい暗号の世界にのめりこんでいく。そして1939年、チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、海軍中佐アラステア・デニストンの面接を受け、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑むチームに採用される。

チューリングはとにかく変わり者。メンバーとの協調性を欠き、ひとりで暗号解読装置の設計に没頭する。それまでは言語学的立場からのアプローチを取っていたが、チューリングは数学的なアプローチを試みる。デニストンはチューリングの能力は買いながら、人格的には毛嫌いし、その対立からチューリングは何とチャーチル首相に直談判し、解析装置への多額の拠出と自らをチームリーダーとする命令を獲得する。

そして早速能力の劣るメンバーを解任し、新たなメンバーは新聞に難解なクロスワードパズルを載せて解けた者から後任を探すという方法で募集する。そこで採用されたのは、ケンブリッジ大学の卒業生ジョーン・クラーク。採用会場に現れた彼女を「秘書の募集会場ではない」と関係者が拒絶する。テストに合格しても男性と同じ職場で働くことを両親に反対される。今は昔の感があるが、そう言う時代感も興味深い。

様々なエピソードを経て解読は進んでいく。まともにやったら何万年もかかる計算ゆえに、チューリングはそれを機械でやろうとする。詳しい説明は省かれているが、「コンピューターの父」と言われるだけに、当時は画期的なアプローチだったのであろう。ジョーンとのやり取りもロマンスめいていたが、何とチューリングは同性愛者であり、しかもそれは当時違法であったと言うのも時代である。

変わり者のチューリングは、仲間と打ち解けられない。何とかと天才は紙一重というが、変わり者の天才というのはよくある。紅一点のジョーンがそんなチューリングと仲間の間の潤滑油となる。チューリングがジョーンの「指導」で仲間のためにリンゴを配り、仲間が呆気にとられるシーンがある。実はこのリンゴには意外な意味が込められていたのだとあとで知る。なかなか面白い遊びだ。そして仲間たちとチューリングの絆が深まっていく過程はちょっと感動的ですらある。

そしてとうとう解読に成功するが、その瞬間の歓喜は観る者にも伝わってくる。そしてその後の駆け引きもまた興味深い。直接の戦闘シーンが出てくるわけではないが、これも立派な戦争映画である。フィクションは入っているのだろうが、実在の人物の物語というところも興味深い。つくづく、「時代に殺されてしまった」のが残念なところである。自ら手掛けたマシーンに「クリストファー」と名付けたのもちょっと切ない感がある。気がつけば、この「切ない」というのが、この映画のもう1つのキーワードである気がする・・・

それはそうとして、連合軍の暗号はドイツ軍に解読されなかったのであろうか。
映画を観ていてちょっと気になったところなのである・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年03月15日

デビルズ・ノット

デビルズノット.jpg

原題: Devil's Knot
2013年 アメリカ
監督: アトム・エゴヤン
出演: 
コリン・ファース:ロン・ラックス
リース・ウィザースプーン:パム・ホッブス
デイン・デハーン:クリス・モーガン
ミレイユ・イーノス:ヴィッキー・ハッチソン
ブルース・グリーンウッド:バーネット判事
ジェームズ・ハムリック:ダミアン・エコールズ
セス・メリウェザー:ジェイソン・ボールドウィン
クリストファー・ヒギンズ:ジェシー・ミスケリー・Jr
イライアス・コティーズ:ジェリー・ドライヴァー

<シネマトゥデイ>
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むごたらしい児童殺人と冤罪としか思えぬ容疑者逮捕で話題となった、ウエスト・メンフィス3事件を映画化したサスペンス。犯人と断定された若者たち、その逮捕に疑問を抱く探偵など、さまざまな者たちの姿を通して事件の全貌に迫っていく。メガホンを取るのは、『スウィート ヒアアフター』のアトム・エゴヤン。『英国王のスピーチ』などのコリン・ファース、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』などのリース・ウィザースプーンやデイン・デハーンらが顔をそろえる。彼らの妙演はもちろん、複雑怪奇でおぞましい事件の内容にも息をのんでしまう。
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アメリカで実際に起きた冤罪と言われる事件の映画化作品。時に1993年、アーカンソー州ウェスト・メンフィス。8歳の少年スティーヴィは、祖父からもらったお気に入りの自転車に乗って友人のマイケルとクリスと遊びにいく。母親のパムからは「4時半までに帰る」という条件で許可をもらう。パムはそのまま夫のテリーに送られて仕事に行く。

ところが仕事を終えたパムを待っていたのは、スティーヴィら3人が約束の時間になっても帰って来ないという事実。テリーとパムは警察に連絡する。クリスの両親も警察に連絡するものの、レストランの女子トイレに血まみれの黒人の男性がいるとの通報が入り、警官は話途中で帰ってしまう。地域の人達も協力して子供達の捜索が開始される。

やがて森の奥を捜索していた警官が、川で浮かんでいる靴を発見する。辺りを捜索したところ惨たらしく殺された3人の遺体が発見される。警察は聞き込みを開始し、やがて3人の子供達の友人で、事件の日も一緒にいたアーロンを尋問する。そしてそこから近所でも問題児で有名なダミアン、ジェイソン、ジェシーの10代の若者を容疑者として検挙する。

ダミアンは、黒魔術やヘヴィメタルが好きで個性的な服を着ており、鑑別所に行った過去や動物を殺し、悪魔崇拝者との噂から犯人と確証されて行く。ニュースで事件の事を知った調査員のロンは、事件の経緯に疑問を抱き、3人の弁護団に協力することにする。裁判が始まると、ジェシーの自白が曖昧なこと、モーガンの尋問の映像が紛失していること、黒人の男性の血液サンプルを紛失しているなどを弁護団は指摘していくが、判事をはじめとして、全体の雰囲気は有罪のまま推移して行く・・・

事件としては、確かに残酷である。殺されたのはいずれも8歳の少年3人であり、それだけで人々の怒りを買う。犯人を死刑にという感情は当然であるが、問題は容疑者の10代の少年が本当に犯人かということ。警察は女の子の証言、ジェシーの証言、アーロンの証言を武器に立件を進めていくが、弁護団の不利は否めず、時間も資金も限られた中で弁護団には為す術がない。

映画で観る限り、警察の犯人を3人の若者と決めつけた捜査と裁判には問題がある。しかし、実際には我が国でも死刑に反対する故に無茶苦茶な弁護をする弁護士もいるわけで、裁判官のコントロール能力も問われるところだと思う。この事件はそれでもすぐにおかしいという風潮が出て来たようで、3人の少年たちはいずれも(その扱いは複雑で無罪にはなっていないが)釈放となっているようである。

原題の意味は、「悪魔の結び目」。被害者の少年達が靴紐で縛られていたことから取られたタイトルのようである。真犯人は未だ不明という事件は、確かに興味深い。何処の国でも冤罪は防ぎようがないのかもしれないが、こういう映画を観て少しでも「疑わしきは罰せず」、「事実の徹底究明」を意識して行く人が増えたらと思うばかりである。我が身にこういうことが起こっては欲しくない。つくづくそう思わされる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年02月21日

ジョイ

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原題: JOY
2015年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: 
ジェニファー・ローレンス:ジョイ・マンガーノ
ロバート・デ・ニーロ:ルディ・マンガーノ
ブラッドリー・クーパー:ニール・ウォーカー
エドガー・ラミレス:トニー・ミラン
ダイアン・ラッド:ミミ
ヴァージニア・マドセン:テリー・マンガーノ
イザベラ・ロッセリーニ:トルーディ
ダーシャ・ポランコ:ジャッキー

<Wikipedia>
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『ジョイ』(Joy)は、2015年にアメリカ合衆国で製作された伝記映画。アメリカ合衆国の女性発明家ジョイ・マンガーノの半生を描いている。監督・脚本はデヴィッド・O・ラッセル。主演はジェニファー・ローレンス。
日本では劇場公開されずビデオスルーとなった。
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 実在の女性発明家を描いた伝記映画。
物語は1989年から始まる。シングルマザーのジョイ・マンガーノは、二人の子供と母と祖母、そしてなぜか離婚した夫を含む家族の面倒を一手に見ている。昼は航空会社の受付カウンターで働き、帰れば家事の一切をこなす。母は1日テレビを見ているだけで、そんな生活にジョイは疲弊している。

 そんなところへ、実の父親ルディが一緒に暮らしていた女性から愛想をつかされて戻ってくる。自動車会社を経営しているルディは、ローンの支払いを手伝ってはくれるものの、異母姉との折り合いは良くない。間も無くルディは未亡人のトルーディと親しくなる。夫の残した遺産で暮らすトルーディに誘われて乗ったヨットで、ジョイは割れたグラスの掃除に使ったモップを絞ろうとして手を怪我してしまう。

 その時、もともと物を作ることが好きだったジョイは、触らずに絞ることが出来るモップのアイデアを思いつく。ジョイは早速トルーディに投資を頼み、父親の工場でモップを生産する。そうして製品化するも、販売ははかばかしくない。落胆するジョイを見るに見かねた元夫が、元同僚のツテを頼みショッピングチャンネル「QVC」のニール・ウォーカーを紹介してくれる。

 彼女の発明品に閃く物があったニールは、番組で紹介することにし、50,000本の商品を用意することを要求する。しかし、それはトルーディにもリスクのある投資であり、ジョイはトルーディに要求されるまま自宅を二番抵当に入れてこれに臨む。万全の体制で放送当日を迎えるが、商品の扱いがよくわからなかった販売担当者がプレゼンに失敗し、モップはまったく売れないまま放送が終了する・・・

 やっぱり自分自身ビジネスマンであり、こうした「ビジネスもの」にはそれだけで興味を惹かれる。もちろん、エンターテイメントの映画であり、実話といっても多少の脚色はあるだろう。それでもそれを差し引いたところで、この手の物語は興味深い。主人公のジョイは、画期的なモップを発明するが、これがなかなか売れない。「良いもの」であることと、「売れるもの」は必ずしもイコールではないという見本のようである。

 なんとか売ろうとして、スーパーの駐車場で実演販売したり(警備員に追い出されてしまうのだが・・・)と悪戦苦闘する。やはり販売ルートの確保は何と言っても難しい。ところが、テレビショッピングという救いの道が開かれる。1度目は見事に失敗し、自己破産の瀬戸際まで追い込まれる。ここで、ジョイは歯を食いしばってニールに食い下がり、2度目のチャンスを獲得する。火事場の糞力ではないが、後のない立場での必死の奮闘はビジネスの真髄かもしれない。

 そして爆発的なヒットへと繋がるが、物語はここで終わらず、さらに2度3度と自己破産の瀬戸際ピンチが訪れる。映画として見ても、ビジネスのヒントとして見ても、なかなか面白い。主演は、ジェニファー・ローレンス。『ハンガーゲーム』でアクション女優へ行くかと思ったが、もともとの演技派ゆえかそちらに戻ってきているようである。しかしながら、『ウィンターズ・ボーン』もそうであったが、「家族のために苦難を引き受ける」という役どころでは共通したものがあると言える。どちらにしても苦難を乗り越えて行くイメージがよくあっていると思う。

 ロバート・デ・ニーロとブラッドリー・クーパーも共演していながら、この映画は日本未公開のようである。つまらない映画が多数劇場公開されている一方、これだけのキャストと内容の映画が未公開というのも、日本の映画配給会社の「見る目」のなさを表している気がしてならない。ジェニファー・ローレンスファンのみならず、ビジネスマンも必見の一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年01月28日

ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡.jpg

原題: Sully
2015年 アメリカ
監督: クリント・イーストウッド
出演: 
トム・ハンクス:チェスリー・"サリー"・サレンバーガー
アーロン・エッカート:ジェフ・スカイルズ
ローラ・リニー:ローリー・サレンバーガー
マイク・オマリー:チャールズ・ポーター
ジェイミー・シェリダン:ベン・エドワーズ
アンナ・ガン:エリザベス・デイヴィス
ホルト・マッキャラニー:マイク・クリアリー

<シネマトゥデイ>
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俳優としても監督としても著名なクリント・イーストウッド監督と、名優トム・ハンクスがタッグを組んだ人間ドラマ。2009年1月15日、突然の全エンジン停止という危機に見舞われながらも、ハドソン川に不時着して乗客全員が生還した航空機事故のてん末に迫る。『サンキュー・スモーキング』などのアーロン・エッカートらが共演。機長の手記を基に描かれる、奇跡の脱出劇の背後に隠された真実に言葉を失う。
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 2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失う。機長のチェスリー・サレンバーガーは必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。その結果、1人の犠牲者も出さず、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。この映画はその事件とその裏側を描いた映画である。

 物語は事故から数日経った所から始まる。サレンバーガー(通称サリー=映画の原題)は、世間から国民的英雄として絶賛されていたが、市街地への墜落という悪夢を見る。そして、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われるが、その過程でサレンバーガーの判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは本当は動いていたのではないかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について追及を受ける。

 NTSBによれば、コンピューターのシミュレーションの結果、左エンジンが動いていた(動かせた)可能性があることと、事故直後にラガーディア空港か進行方向にあったテターボロ空港への緊急着陸が可能であったと告げられる。1人の死者も出さなかったということは確かに素晴らしいが、そもそも空港に緊急着陸ができたのなら話は違ってくるという理屈であろう。フィクションではあるが、映画『フライト』も主人公のパイロットは乗客を救ったものの、薬物中毒を問われたのも、結果オーライではないという考え方であろう。

 世間では一躍、ヒーローであり時の人であるサリー。しかし、もしもNTSBの主張が認められればパイロット免許もはく奪となるかもしれず、その心のうちは穏やかではいられない。主演はトム・ハンクスであるが、その穏やかならざる心境が表情の演技に出ている。このあたりはさすがである。それにしてもNTSBのシミュレーションによる検証は徹底している。一大事故になりかねなかったわけで、当然といえば当然であるが、これも次の事故を防ぐためには当然なのであろう。

 そしてラストの公聴会。大勢の出席者を集めた場でNTSBのシミュレーションが開示される。その結果は、感動的である。事故のニュースの記憶はまだ新しく、川に着陸と言えば簡単にできそうであるがそういうわけではない。しかも季節は真冬で水も氷るように冷たい中、一人の犠牲者も出さなかった。まさに奇跡であり、その舞台裏を知ることができたという意味で、大変興味深い映画である。

 もはやすっかり「名監督」になったクリント・イーストウッド。観る価値十分の映画である・・・


評価:★★★☆☆





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