2018年02月12日

【ザ・ウォール】My Cinema File 1874

ザ・ウォール.jpg

原題: The Wall
2017年 アメリカ
監督: ダグ・リーマン
出演: 
アーロン・テイラー=ジョンソン:アイザック
ジョン・シナ:マシューズ

<シネマトゥデイ>
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イラク戦争で大勢のアメリカ兵を葬った実在のスナイパー、ジューバの標的となった兵士の攻防を描くサバイバルスリラー。『フェア・ゲーム』や『ボーン』シリーズなどに携わってきたダグ・リーマンが監督を務める。姿なき敵と駆け引きを繰り広げる主人公を『キック・アス』シリーズや『ノクターナル・アニマルズ』などのアーロン・テイラー=ジョンソンが演じ、WWEの人気プロレスラー、ジョン・シナらが共演。
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 物語はイラクの砂漠で始まる。イラク駐留のアメリカ兵、スナイパーのショーン・マシューズとスポッターのアレン・アイザックは、砂漠に建設中のパイプライン工事現場への偵察任務についている。現場に取り残されているのは、工事技師や米軍兵士の死体。何者かの襲撃を受け、全滅となっていた。

 現場の状況から狙撃されたと判断した二人。どうやら相手はかなりの腕前と思われる。22時間にわたる監視ののち、まったく動きがないため、マシューズは現場へと近づいていく。遺体は全て頭部への一撃によるものであり、かなりの凄腕と判断する。するとその時、マシューズ自身も狙撃される。腹部に銃弾を浴び、その場に崩れ落ちてしまう。
 
 アイザックはすぐにマシューズを助けに向かう。しかし、アイザックもまた見えない狙撃者に右膝を撃ち抜かれてしまう。負傷したアイザックは、咄嗟に近くにあった壁の後ろに身を隠す。マシューズは生きているものの、倒れて身動きできない。アイザックは助けを呼ぼうとするものの、狙撃によって通信機のアンテナが破壊されてしまっている。壁に穴を開けて様子を伺うも、狙撃者の姿は見えない。なんとか膝の中に残る銃弾を取り出すも、気を失ってしまう・・・

 誰かが呼んでいる声に気がついたアイザックは目を覚ます。声はショートレンジの通信機からのもので、アイザックは自分たちの置かれた状況を説明する。相手は二人の居場所を特定するために、発砲して知らせるように要求してくる。その時点で不信を抱いたアイザックは相手の英語に訛りがあることに気がつき、相手が彼らを襲った狙撃手だとわかる。狙撃手は悪びれることなく、アイザックと会話をし始める・・・

 砂漠の中で、孤立無援の米兵2人。1人は狙撃されて倒れており、物語はほとんど登場人物がアイザックだけという形で進んでいく。謎の狙撃者は声のみで、しかもゴルゴ13並みの凄腕である。ロングレンジでマシューズを狙撃し、しかも腹部を狙って動けなくする。そこで隠れていたアイザックが救出に走るも、今度は足を撃って動けなくする。おまけに通信機のアンテナを破壊し、水筒にも穴を開ける。撃ち抜いた膝も動脈を狙い、応急手当のキットでは止血できないため時間が経てば失血死するように仕向ける・・・

 その上で、ショートレンジの通信機でアイザックに話し掛ける。その狙いは後でわかるのだが、計算しつくされた動きに思わず唸ってしまう。やっぱりゴルゴ13レベルである。そもそもであるが、マシューズが撃たれた段階ではアイザックは安全圏におり、自分だったらすぐに助けに飛び出すようなことはしないなと思ってしまった。まず救援を要請するだろう。相手の腕前はわかっていたわけだし、あえてマシューズが負傷したのは「誘い」だと容易に理解できる。

 映画はここから心理戦の様相を呈してくる。圧倒的に有利な立場にいる狙撃者。既に初手でミスしてしまっているが、自分だったらこの窮地をどう乗り切るか。身を守ってくれるのは、タイトルにあるレンガの粗末な壁だけ。自分だったらこうするかも、と思うとそれはすでに狙撃手に読まれている。まるで上段者との詰将棋のよう。絶望的な状況でついに味方が救援にやってくる。その結末がまた見事。

 砂漠の中で孤立した兵士の物語ということで、何となく『トラップ』を思い出してしまっていた。この映画も一種の「シチュエーション」モノだと言えるのだろう。それにしてもスナイパーというのは、やっぱり恐ろしい。何せやられる方は気がついたら(というか気がつく前に)死んでいるわけで、防ぎようがない。この映画のようなゴルゴ13レベルに狙われたらひたすら助けを呼んで隠れているしかないのかもしれない(その助けも助けにならないかもしれないが・・・)。

 観終わって、思わず唸ってしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年12月23日

【ダンケルク】My Cinema File 1841

ダンケルク.jpg

原題: Dunkirk
2017年 アメリカ
監督: クリストファー・ノーラン
出演: 
フィオン・ホワイトヘッド:トミー
トム・グリン=カーニー:ピーター
ジャック・ロウデン:コリンズ
ハリー・スタイルズ:アレックス
アナイリン・バーナード:ギブソン
ジェームズ・ダーシー:ウィナント陸軍大佐
バリー・コーガン:ジョージ
ケネス・ブラナー:ボルトン海軍中佐
キリアン・マーフィ:謎の英国兵
マーク・ライランス:ミスター・ドーソン
トム・ハーディ:ファリア
マイケル・ケイン:無線通信の声

<シネマトゥデイ>
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第2次世界大戦で敢行された兵士救出作戦を題材にした作品。ドイツ軍によってフランス北端の町に追い詰められた連合軍兵士たちの運命と、救出に挑んだ者たちの活躍を描く。監督は『インセプション』などのクリストファー・ノーラン。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディ、『プルートで朝食を』などのキリアン・マーフィ、『ヘンリー五世』などのケネス・ブラナーらが出演。圧倒的なスケールで活写される戦闘シーンや、極限状況下に置かれた者たちのドラマに引き込まれる。
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クリストファー・ノーラン監督の最新作だということで大いに期待していた映画。題材は、第二次世界大戦初期の「ダンケルクの戦い(=ダイナモ作戦)」とあってこれも期待していた内容。しかし、予想とはちょっと異なる内容であった。

時に1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍は、ドイツ軍の猛攻を受けてダンケルク海岸に追い詰められ包囲される。英国陸軍の兵士トミー二等兵は市街で、ドイツ軍に追われ味方の陣地に逃げ込む。気が付けば共にいた分隊は全滅。ライフルもヘルメットも失いダンケルクの砂浜にたどり着く。そこで彼は友軍の兵士を砂浜に埋葬していたギブソンという無口な兵士と偶然出会い、行動を共にする。

一方、ダイナモ作戦では民間船も徴用されることとなり、小型船を持つドーソンは、息子のピーターと、ピーターの知り合いであるジョージと共に、英国兵士たちを母国に運ぶため、ダンケルクに向けて出港する。そして、英国空軍のパイロットであるファリアとコリンズらの小隊は、スピットファイア戦闘機を駆り、ダンケルクでの撤退行動を阻害するドイツ空軍への阻止攻撃に赴く。

映画は、ダイナモ作戦自体を扱うのかと思っていたら、なんと個々の兵士の群像劇となっている。主な登場人物は、英国陸軍兵士のトミーに船舶徴用されたドーソン親子、そして英国空軍のファリア。ドイツ軍の猛攻の前に敗色濃厚な連合軍。こうなると、兵士は「我先に」という自我の行動をとる。トミーは分隊が全滅すると1人になったことをいいことに、とにかく逃げる方法を模索する。そして怪我した兵士が空襲の混乱下で放置されるのを見ると、ギブソンとともに病院船に運び込む振りをして乗船しようとする。

このあと、トミーとギブソンは、なんとなく協力し合いながらあの手この手で撤退する船に乗り込もうとする。人を押しのける姿勢に軍人らしさは微塵もない。これに対し、ドーソンとファリアは、味方のためにという姿勢が前面に出ている。途中、漂流していた英国兵士は、ダンケルクに向かうドーソンに英国へ向かえと脅すが、ドーソンは動じず任務を果たそうとする。また、ファリアは残存燃料が尽きかけても、敵の空軍機から味方の艦船を守ろうとする。

およそ人間というのは、極限においてその本性が出る。圧倒的に劣勢な中、それでも命を懸けて任務を果たそうとするのか、それとも自分が生き残ることを優先するのか。命がかかっていれば、自分優先となるのも仕方ないこと。とにかく自分が助かることを何よりも優先するトミーやドーソンに助けられた兵士の行動を責めることは難しい。だからこそ、そんな中で勇敢に行動するドーソンやファリアの行動が光る。そしてケネス・ブラナー演じる海軍中佐も然り。中佐は味方の撤退を見極めると、次はフランス軍救助のためにダンケルクに残る。

個人的には、こうした群像劇より全体的な作戦の様子を描いて欲しかったと思うが、かつて観た『遠すぎた橋』もこんな形だったから、これはこれで一つのスタイルとも言えるのだろう。戦争映画と言っても、撤退作戦であるダイナモ作戦に目をつけた意図はなんだったのだろうと考えて見る。「極限における人間の行動」だったのかもしれない。戦争に参加したいとは思わないが、どんな時にあってもトミーの様な行動ではなく、ドーソンやファリアやボルトン海軍中佐の様な行動が取れる男でありたいと思う。

ちょっと予想したものとは違ったが、クリストファー・ノーラン監督の次回作にまた期待したいと思うところである・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年09月29日

【13時間 ベンガジの秘密の兵士】

13時間 ベンガジの秘密の兵士.jpg

原題: 13 Hours: The Secret Soldiers of Benghazi
2016年 アメリカ
監督: マイケル・ベイ
出演: 
ジョン・クラシンスキー:ジャック・シルバ
ジェームズ・バッジ・デール:タイロン・ウッズ
デビッド・デンマン:デイブ・ベントン
マックス・マーティーニ:マーク・ガイスト
パブロ・シュレイバー:クリス・パラント
ドミニク・フムザ:ジョン・タイジェン
トビー・スティブンス:グレン・ドハティ
ソナ・ジラーニ:アレクシア・バルリエ
ボブ:デイビット・コスタビル
アマル:ペイマン・モアディー
クリストファー・スティーブンス大使:マット・レツシャー

<映画.com>
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『トランスフォーマー』シリーズなどのヒットメーカー、マイケル・ベイ監督が、2012年にリビアで発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクションドラマ。事件を取材したジャーナリストのミッチェル・ザッコフによるノンフィクションをもとに、支援を絶たれた6人のCIA警備兵が繰り広げる13時間の激闘を臨場感たっぷりに描き出す。12年9月11日、リビアの港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館が、イスラム過激派の武装集団に占拠された。領事館のほど近くにあるCIAの拠点アネックスは救援要請を傍受するが、アネックスの存在自体が極秘であるため手を出すことができない。アネックスに派遣されていた軍事組織GRSの6人の警備兵たちも待機命令を受けるが、領事館を取り巻く状況が緊迫していくのを見過ごすことができず、任意で救援活動に乗り出す。出演は『プロミスト・ランド』のジョン・クラシンスキー、『ザ・ウォーク』のジェームズ・バッジ・デール。
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リビアでは、カダフィ政権が倒れて以来、あまりその動向について知ることはないのであるが、これは2012年に起こった実際の事件を映画化したもの。実際の事件ということで、個人的にも興味深いところである。

主人公は、元傭兵のジャック・ジルバ。かつての仲間のタイロン・ウッズに誘いを受け、リビアのベンガジにやって来るところから物語は始まる。家計が苦しいという事情もあって、妻と二人の幼い娘を残し、後ろ髪を引かれる思いで危険な地に稼ぐためにやって来たのである。さっそく途中で道路封鎖に遭い、武装勢力と銃を突きつけ合う緊迫した場面に出くわす。稼ぐためとはいえ、幼い子持ちにはなかなか辛い環境である。

着いたところは、CIAの極秘拠点。ジャックは、ロンを始めとする軍事組織GRSのメンバーとして雇われたのである。その時点でのリビアは、カダフィ政権が崩壊した後の混乱の中で、軍の武器が民間に流れ、様々な勢力が存在する中で混沌とした状況になっている。そんなリビアのベンガジでCIAは極秘裏に活動し、アメリカ領事館も近くに位置していた。そこに、在リビア大使が訪れることになる。

ただでさえ危険なベンガジで、さらに防備の手薄な領事館は危険だと警鐘を鳴らすGRSのメンバー。しかし、大使は警告を振り切り、わずかな護衛とともに領事館に滞在する。そして運命の9月11日がやってくる。それはアメリカにとっては悪夢だが、反米勢力にとっては象徴的な日。そしてその夜、危惧された通りアメリカ領事館は武装勢力に襲撃される。雇っていた現地人の護衛はあっという間に離散。領事館に立てこもる大使とそのSPから、救援の依頼が届くも責任者はGRSに対して待機を命じる。

ここに至るまでに、CIAとGRSとの間には不協和音がある。CIAの責任者は、“キン肉マン”のGRSを下に見ている意識がある。さらに加えてCIAの施設は秘密であり、GRSが救援に出動すれば、その存在がばれるだけでなく自分たちも襲撃されるリスクが生じてくる。考え方によっては、「見殺しやむなし」という判断もあり得るわけである。しかし、GRSのメンバーたちは、大使たちを見殺しにすることはできないと判断し、救出に向かう。だが時は既に遅く、大使たちは護衛とともに籠城していた建物ごと火を放たれてしまっていた。

銃撃と火炎瓶攻撃で穴だらけになった車で逃げのびてきた一行。カダフィが使用していた防弾特別車が役に立った次第であるが、武装勢力が襲撃してくるのは時間の問題で、施設は緊張に包まれる。地元の協力部隊はいるものの、真に頼れるのはGRSの6名。戦闘経験のない20数名のCIAスタッフとともに、固唾を飲んで「その瞬間」を待つ一行。こうして13時間の長い夜が過ぎていく・・・

『ローン・サバイバー』でも描かれていたが、米軍兵士は少数でも装備ではるかに上回り、「多勢に無勢」をものともしない。銃撃アクションはこの映画の一つの見どころであるが、数で勝る敵を圧倒する様は見ていてスカッとする。事実という強い裏付けもあってそんなバカなという気も起きない。ところが、武装勢力もそれに対抗し迫撃砲まで導入してくる。そうすると、最強米軍(正確には“軍”ではないのだが)も被害は免れない。ついにGRSに犠牲者が出てしまう・・・

敵地で大勢の敵に取り囲まれて襲撃されるというパターンは、『ブラックホーク・ダウン』とも相通じるものがある。全世界に展開している米軍の宿命なのかもしれない。映画は、ガンファイトのエンターテイメント的な要素もあるが、独裁政権の打倒が必ずしも好結果を意味するものでもない事実を描き出す。

ラストではGRSによって撃ち倒された武装勢力のメンバーの遺体の周りで、家族が泣き崩れるシーンが出てくる。当然のことながら、彼らにもまた家族がいて人生があったわけである。こういう一面的でない描き方には好感が持てる。楽しめるとともに、ちょっと考えさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年09月09日

【パシフィック・ウォー】

パシフィック・ウォー.jpg

原題: USS Indianapolis: Men of Courage
2015年 アメリカ
監督: マリオ・ヴァン・ピーブルズ
出演: 
ニコラス・ケイジ:チャールズ・B・マクベイ3世大佐
トム・サイズモア:マクウォーター
トーマス・ジェーン:エイドリアン・マークス大尉
マット・ランター:バマ
ジェームズ・レマー:エイドリアン・パーネル提督
ブライアン・プレスリー:ワックスマン
竹内豊:橋本以行
ジョニー・ワクター:コナー
アダム・スコット・ミラー:ダントニオ
コディ・ウォーカー:ウェスト
コラード・ハリス:スタンディッシュ大尉

<Movie Walker解説>
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ニコラス・ケイジが、太平洋戦争で米軍の巡洋艦を率いて戦った艦長に扮した戦争映画。太平洋戦争末期、米軍の巡洋艦インディアナポリスのマクベイ艦長は、極秘任務を指示される。それは、長い戦争に終止符を打つために開発された原子爆弾の輸送だった……。共演は「プライベート・ライアン」のトム・サイズモア、「ミスト」のトーマス・ジェーン。『ワイルド・スピード SKY MISSION』で故ポール・ウォーカーの代役を務めた弟コディ・ウォーカーが、本格的なスクリーンデビューを飾った。監督は『レッド・スカイ』のマリオ・ヴァン・ピーブルズ。
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実話をベースとした戦争映画である。
時に太平洋戦争末期の1945年。アメリカは日本との戦争を終結させるため原子爆弾の使用を決断、巡洋艦インディアナポリスに原子爆弾をテニアン島の基地へ運搬するという極秘任務を与える。通常、巡洋艦は対潜戦闘が不得意であり、駆逐艦の護衛を受けて行動するものであるが、極秘任務と船速の違いから、単独での行動を命じられる。チャールズ・B・マクベイ3世艦長の指揮のもと、艦は無事テニアン島に到着し任務を遂行する。

艦は次の目的地へと出発する。極秘行動は続いていて、駆逐艦の護衛はない。そしてそんなインディアナポリス号を日本海軍の伊号第五十八潜水艦が発見する。橋本艦長は、すぐに魚雷攻撃を決断、見事インディアナポリス号に魚雷を命中させる。浸水が始まり、大混乱の艦内。もはや復旧は困難であり、マクベイ艦長は総員退艦を指示。やがて艦は『タイタニック』のように真っ二つに折れ、海中へと沈んでいく。

マクベイ艦長をはじめとして、クルーの8割はこの時点でまだ生き残っている。しかし、試練はこれで終わらない。『タイタニック』では北極海の冷たい海が生存者の命を奪っていった。それに対し、インディアナポリス号が沈没したのは南海の海。海水温は高いが、その代わりに生存者たちに襲いかかってきたのはサメ。飢えと喉の渇き、そして獰猛なサメの襲撃により、クルー達は次々と命を落としていく・・・

一見、地球上では万能である人間も、海で放流している時は実に無力である。波間に漂うだけで、サメには対抗できない。襲われないようにしているしかない。さらに上空を飛ぶ友軍機からは小さ過ぎて発見してもらえない。先の見えない恐怖と戦う際に必要なのは、やはり強靭な精神力だろうかと、ふと思う。

それにしても大戦末期にはほぼ壊滅状態にあった帝国海軍であるが、伊号潜水艦がアメリカの巡洋艦を撃沈していたと言う事実には驚かされた。伊号潜水艦には人間魚雷回天を搭載している。最初は商船を回天で狙うが、これを外してしまう。回天は発射したら命中しても外れても搭乗員は生きて戻れない。『出口のない海』で描かれていたことが脳裏をよぎる。艦長は家族の写真を見せてもらっていた搭乗員の顔を見ると、通常魚雷での攻撃を指示する。

この後、様々な思惑があって、マクベイ艦長は裁判にかけられる。この映画の主眼はどこだったのか。撃沈されて漂流しているところか、戦後のいわれなき裁判のことか。それが何となくはっきりせず、面白みを損ねたところのような気がする。
映画の中の解説では、当初インディアナポリス号には1,100名以上の乗組員がいたようである。それが沈没時には900人を割り、最終的に救助されたのは370人ほどだったというから、かなりの惨劇である。それがちょっと伝わってこなかった。
原題とはかけ離れた邦題も例によって映画の内容からは外れてピンボケしているし・・・

ニコラス・ケイジの熱演ではあったが、ちょっと残念だった戦争映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年09月08日

【ディバイナー 戦禍に光を求めて

ディバイナー 戦禍に光を求めて.jpg

原題: The Water Diviner
2014年 オーストラリア・アメリカ・トルコ
監督: ラッセル・クロウ
出演: 
ラッセル・クロウ: ジョシュア・コナー
オルガ・キュリレンコ:アイシェ
ジェイ・コートニー:シリル・ヒューズ中佐
ユルマズ・エルドガン:ハーサン少佐
セム・イルマズ: ジェマル軍曹
ライアン・コア:アーサー・コナー
ジェームズ・フレイザー:エドワード・コナー
ベン・オトゥール:ヘンリー・コナー
イザベル・ルーカス:ナタリア

<Movie Walker解説>
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ラッセル・クロウが戦争で行方不明になった3人の息子を捜す父親を演じ、初めて監督も務めた人間ドラマ。イギリスら連合国軍の一員として参戦し、多くのオーストラリア人が遠い異国トルコの地で戦った、第1次世界大戦のガリポリの戦いを、オーストラリアとトルコの双方の視点から忠実に描いている。
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史実をベースにしたという映画。物語は1915年、第一次世界大戦中のトルコから始まる。ヨーロッパ戦線と同じような塹壕に待機するトルコ軍。ハーサン少佐の指示で一斉に突撃を開始する。そして対峙していたオーストラリア、ニュージーランドの連合軍は敗退していく。この「ガリポリの戦い」は、実は世界初の大規模上陸作戦だったという。また、オーストラリアとニュージーランドにとって、この「ガリポリの戦い」は本格的な戦争として初めての参戦だったという。今でも上陸した日である4月25日は「ANZAC Day」として国民の祝日になっているそうである。そんな歴史的な戦いが背景として描かれる。

それから4年。主人公の農夫ジョシュア・コナーは、妻と2人でオーストラリアの荒野で暮らしている。ジョシュアは、ダウジングで地下の水脈を見つけるのを得意としている。原題はここから来ている。そのジョシュアは、ガリポリの戦いで三人の息子を失っている。その心労から妻のエリザは精神を病み、ついにはジョシュアが掘り当てた水場で入水自殺をしてしまう。たった一人取り残されたジョシュアは、妻との約束を思い出し、息子達を捜しにトルコへと向かう。

大戦は終わったものの、ギリシャ軍の侵攻などがありトルコ国内には混乱が残る。やっとの思いでイスタンブールに着いたジョシュアは、客引きの子供にある未亡人が経営する宿へ強引に案内される。 宿の女将アイシェは、ガリポリの戦いで夫を失っており、敵国人であったジョシュアを快く思わないが、しぶしぶ受け入れる。アイシェは、妻子ある男に第二夫人としてのプロポーズを受けている。

さっそく、ガリポリに渡ろうとするジョシュアだが、現地は戦没者の埋葬部隊が出動しており、管轄するイギリス軍からは許可が下りない。しかし、戦死した息子を探す姿に同情を受け、漁師によって現地へと密かに連れて行ってもらう。最初は追い返されようとしたジョシュアだが、イギリス軍のシリル中佐から現地に詳しいトルコ軍のハーサン少佐を紹介される。 ジョシュアは水脈を探し当てる要領で、なんと次男と三男の亡骸を探し当てる・・・

この映画は、ラッセル・クロウが主演しているが、何と監督も初めて手掛けているという。ガリポリの戦いというマイナーな事件を背景としていて、地味だなと思っていたのだが、どうやらラッセル・クロウがオーストラリア出身ということも製作の背景にはあるのだろう。戦死した息子の遺骨を探す旅なんて、考えただけでも絶望的な気分になる。

主人公のジョシュアは、おそらく人生で大きな争いごともなくそれまで平穏に暮らしてきたであろうことが何となく想像される人物。物静かで、真摯な姿は敵国人であったトルコ人の女将アイシェやハーサン少佐の心を惹きつけていく。アイシェも夫を失い、ハーサン少佐も大勢の部下を失い、そんな哀しみを心に持った人たちがドラマを織りなしていく。

事実をベースにしているとはいえ、そこはエンターテイメントである映画。ドラマチックな展開もありながら物語は進み、そして最後に小さな希望を残す。いつの世も戦争は悲劇ではあるが、登場人物たちに小さな明るさを残して映画は終わる。静かな、そしてしみじみとした味わいの映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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