
原題: The Six Triple Eight
2024年 アメリカ
監督: タイラー・ペリー
出演:
ケリー・ワシントン:チャリティ・アダムス
エボニー・オブシディアン:レナ・デリコット・ベル・キング
ミローナ・ジェマイ・ジャクソン:キャンベル
グレッグ・サルキン:エイブラム
ドナ・ビスコー:エマ
バージャ=リン・オダムズ:スージー
シャニース・シャンテイ:ジョニー・メイ・バートン
サラ・ジェフリー:ドロレス
ペピ・ソヌーガ:エレイン
カイリー・ジェファーソン:バーニス
ジェイ・リーヴス:ヒュー・ベル二等兵
ディーン・ノリス:ハルト中将
サム・ウォーターストン:フランクリン・ルーズベルト
オプラ・ウィンフリー:メアリー・マクロード・ベスーン
スーザン・サランドン:エレノア・ルーズベルト
<シネマトゥデイ>
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第2次世界大戦下にアメリカ陸軍で活動した有色人種女性部隊の実話を基に、『マデア』シリーズなどのタイラー・ペリーが映画化した戦争ドラマ。有色人種女性によって結成された郵便管理大隊が各地で任務を遂行する。指揮官を『ジャンゴ 繋がれざる者』などのケリー・ワシントンが演じるほか、エボニー・オブシディアン、ミローナ・ジェマイ・ジャクソン、サム・ウォーターストン、オプラ・ウィンフリーなどが出演する。
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物語の舞台は、第二次世界大戦中のアメリカ。主人公の黒人女性レナは、白人の恋人エイブラムと楽しい大学生活を送っている。ところがエイブラムは世の中の流れに乗って勇んで入隊する。しかし、出すと言っていた手紙はまったく届かず、不安な日々を送っていたところ戦死したという知らせが届き絶望する。やがてレナは自ら軍へ入隊することを決意する。そしてここから物語は本格化する。
配属されたのは、黒人女性だけの部隊。そこで隊長を務めていたのはチャリティ・アダムズ大尉。女性であり、しかも黒人であり、男の軍隊ではかなり差別される立場にある。白人の男からは女である事、黒人である事の2つの理由から見下されたりする。軍隊では男であろうと女であろうと階級の重みは同じ。しかし、黒人女性という事で下の階級の白人男性から敬礼もされない。それでもチャリティは軍人としての威厳を保つ。
入隊したレナは普通の軍事教練を受ける。それまで運動などした事がなかったようなレナは、たちまち落ちこぼれとなる。チャリティ大尉から厳しい指導を受け、自分は嫌われていると思い込む。一方、何か役に立てる事はないかと模索するチャリティ大尉。その頃、とある女性が出征したまま手紙もこない息子の身を案じるが、思いあまってルーズベルト大統領夫人に直訴する。それを受けたファースト・レディは大統領を動かし、軍隊の郵便事情改善に乗り出す。
当時、ヨーロッパと太平洋とで戦っていた米軍。実は戦いの方に勢力を集中し、郵便は二の次の状態。改善せよと言われても戦力は割けない。そこで白羽の矢が立ったのが女性部隊。最近では女性も最前線に出ているようだし、この時代もソ連ではそうだったようだが、アメリカは女性を最前線には派遣しない。その点では後方支援として最適だったのかもしれない。そしてその任務が、チャリティ大尉率いる部隊に命じられる。
現地に派遣されたチャリティの部隊だが、いくつもの倉庫に保管された膨大な郵便物の山を前にさすがのチャリティも絶句する。黒人女性に命じられる任務はどうでもいいような雑用的なものになる。郵便が軽視されてきたのもそういう考え方であろう。しかし手紙の一つ一つが兵士やその家族へもたらす大きな存在意義をチャリティ大尉はレナに気づかされる。チャリティ大尉は何もないところから855名の部下を指揮し、郵便の配送体制をとっていく。
面白いのは郵送の設備の前に生活環境から整えていくところ。美容室なんかも整備される。後日、やって来た米軍の大将がこの美容室に顔をしかめるシーンが象徴的である。みんなが軽視する郵便の配送。やってみればそれは一筋縄ではいかない。配達先がわからないものなど、時に開封して内容を確認するという作業までこなし、滞っていた郵便配達が一斉に動き出す。受け取った兵士や家族の笑顔が何とも言えない。
そして物語のハイライトでは心無い上官にチャリティ大尉ははっきりと信念のこもった誇りある言葉を返す。その行動に何よりも心を動かされる。ラストでは今も100歳で存命な主人公が顔を見せる。その姿は今も誇らしげである。それにしても、当時の日本軍と比較するとあまりにもの違いである。改めて相手を考えない無謀な戦争だったと思わざるを得ない一作である・・・
評価:★★★☆☆





