2017年09月29日

【13時間 ベンガジの秘密の兵士】

13時間 ベンガジの秘密の兵士.jpg

原題: 13 Hours: The Secret Soldiers of Benghazi
2016年 アメリカ
監督: マイケル・ベイ
出演: 
ジョン・クラシンスキー:ジャック・シルバ
ジェームズ・バッジ・デール:タイロン・ウッズ
デビッド・デンマン:デイブ・ベントン
マックス・マーティーニ:マーク・ガイスト
パブロ・シュレイバー:クリス・パラント
ドミニク・フムザ:ジョン・タイジェン
トビー・スティブンス:グレン・ドハティ
ソナ・ジラーニ:アレクシア・バルリエ
ボブ:デイビット・コスタビル
アマル:ペイマン・モアディー
クリストファー・スティーブンス大使:マット・レツシャー

<映画.com>
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『トランスフォーマー』シリーズなどのヒットメーカー、マイケル・ベイ監督が、2012年にリビアで発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクションドラマ。事件を取材したジャーナリストのミッチェル・ザッコフによるノンフィクションをもとに、支援を絶たれた6人のCIA警備兵が繰り広げる13時間の激闘を臨場感たっぷりに描き出す。12年9月11日、リビアの港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館が、イスラム過激派の武装集団に占拠された。領事館のほど近くにあるCIAの拠点アネックスは救援要請を傍受するが、アネックスの存在自体が極秘であるため手を出すことができない。アネックスに派遣されていた軍事組織GRSの6人の警備兵たちも待機命令を受けるが、領事館を取り巻く状況が緊迫していくのを見過ごすことができず、任意で救援活動に乗り出す。出演は『プロミスト・ランド』のジョン・クラシンスキー、『ザ・ウォーク』のジェームズ・バッジ・デール。
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リビアでは、カダフィ政権が倒れて以来、あまりその動向について知ることはないのであるが、これは2012年に起こった実際の事件を映画化したもの。実際の事件ということで、個人的にも興味深いところである。

主人公は、元傭兵のジャック・ジルバ。かつての仲間のタイロン・ウッズに誘いを受け、リビアのベンガジにやって来るところから物語は始まる。家計が苦しいという事情もあって、妻と二人の幼い娘を残し、後ろ髪を引かれる思いで危険な地に稼ぐためにやって来たのである。さっそく途中で道路封鎖に遭い、武装勢力と銃を突きつけ合う緊迫した場面に出くわす。稼ぐためとはいえ、幼い子持ちにはなかなか辛い環境である。

着いたところは、CIAの極秘拠点。ジャックは、ロンを始めとする軍事組織GRSのメンバーとして雇われたのである。その時点でのリビアは、カダフィ政権が崩壊した後の混乱の中で、軍の武器が民間に流れ、様々な勢力が存在する中で混沌とした状況になっている。そんなリビアのベンガジでCIAは極秘裏に活動し、アメリカ領事館も近くに位置していた。そこに、在リビア大使が訪れることになる。

ただでさえ危険なベンガジで、さらに防備の手薄な領事館は危険だと警鐘を鳴らすGRSのメンバー。しかし、大使は警告を振り切り、わずかな護衛とともに領事館に滞在する。そして運命の9月11日がやってくる。それはアメリカにとっては悪夢だが、反米勢力にとっては象徴的な日。そしてその夜、危惧された通りアメリカ領事館は武装勢力に襲撃される。雇っていた現地人の護衛はあっという間に離散。領事館に立てこもる大使とそのSPから、救援の依頼が届くも責任者はGRSに対して待機を命じる。

ここに至るまでに、CIAとGRSとの間には不協和音がある。CIAの責任者は、“キン肉マン”のGRSを下に見ている意識がある。さらに加えてCIAの施設は秘密であり、GRSが救援に出動すれば、その存在がばれるだけでなく自分たちも襲撃されるリスクが生じてくる。考え方によっては、「見殺しやむなし」という判断もあり得るわけである。しかし、GRSのメンバーたちは、大使たちを見殺しにすることはできないと判断し、救出に向かう。だが時は既に遅く、大使たちは護衛とともに籠城していた建物ごと火を放たれてしまっていた。

銃撃と火炎瓶攻撃で穴だらけになった車で逃げのびてきた一行。カダフィが使用していた防弾特別車が役に立った次第であるが、武装勢力が襲撃してくるのは時間の問題で、施設は緊張に包まれる。地元の協力部隊はいるものの、真に頼れるのはGRSの6名。戦闘経験のない20数名のCIAスタッフとともに、固唾を飲んで「その瞬間」を待つ一行。こうして13時間の長い夜が過ぎていく・・・

『ローン・サバイバー』でも描かれていたが、米軍兵士は少数でも装備ではるかに上回り、「多勢に無勢」をものともしない。銃撃アクションはこの映画の一つの見どころであるが、数で勝る敵を圧倒する様は見ていてスカッとする。事実という強い裏付けもあってそんなバカなという気も起きない。ところが、武装勢力もそれに対抗し迫撃砲まで導入してくる。そうすると、最強米軍(正確には“軍”ではないのだが)も被害は免れない。ついにGRSに犠牲者が出てしまう・・・

敵地で大勢の敵に取り囲まれて襲撃されるというパターンは、『ブラックホーク・ダウン』とも相通じるものがある。全世界に展開している米軍の宿命なのかもしれない。映画は、ガンファイトのエンターテイメント的な要素もあるが、独裁政権の打倒が必ずしも好結果を意味するものでもない事実を描き出す。

ラストではGRSによって撃ち倒された武装勢力のメンバーの遺体の周りで、家族が泣き崩れるシーンが出てくる。当然のことながら、彼らにもまた家族がいて人生があったわけである。こういう一面的でない描き方には好感が持てる。楽しめるとともに、ちょっと考えさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年09月09日

【パシフィック・ウォー】

パシフィック・ウォー.jpg

原題: USS Indianapolis: Men of Courage
2015年 アメリカ
監督: マリオ・ヴァン・ピーブルズ
出演: 
ニコラス・ケイジ:チャールズ・B・マクベイ3世大佐
トム・サイズモア:マクウォーター
トーマス・ジェーン:エイドリアン・マークス大尉
マット・ランター:バマ
ジェームズ・レマー:エイドリアン・パーネル提督
ブライアン・プレスリー:ワックスマン
竹内豊:橋本以行
ジョニー・ワクター:コナー
アダム・スコット・ミラー:ダントニオ
コディ・ウォーカー:ウェスト
コラード・ハリス:スタンディッシュ大尉

<Movie Walker解説>
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ニコラス・ケイジが、太平洋戦争で米軍の巡洋艦を率いて戦った艦長に扮した戦争映画。太平洋戦争末期、米軍の巡洋艦インディアナポリスのマクベイ艦長は、極秘任務を指示される。それは、長い戦争に終止符を打つために開発された原子爆弾の輸送だった……。共演は「プライベート・ライアン」のトム・サイズモア、「ミスト」のトーマス・ジェーン。『ワイルド・スピード SKY MISSION』で故ポール・ウォーカーの代役を務めた弟コディ・ウォーカーが、本格的なスクリーンデビューを飾った。監督は『レッド・スカイ』のマリオ・ヴァン・ピーブルズ。
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実話をベースとした戦争映画である。
時に太平洋戦争末期の1945年。アメリカは日本との戦争を終結させるため原子爆弾の使用を決断、巡洋艦インディアナポリスに原子爆弾をテニアン島の基地へ運搬するという極秘任務を与える。通常、巡洋艦は対潜戦闘が不得意であり、駆逐艦の護衛を受けて行動するものであるが、極秘任務と船速の違いから、単独での行動を命じられる。チャールズ・B・マクベイ3世艦長の指揮のもと、艦は無事テニアン島に到着し任務を遂行する。

艦は次の目的地へと出発する。極秘行動は続いていて、駆逐艦の護衛はない。そしてそんなインディアナポリス号を日本海軍の伊号第五十八潜水艦が発見する。橋本艦長は、すぐに魚雷攻撃を決断、見事インディアナポリス号に魚雷を命中させる。浸水が始まり、大混乱の艦内。もはや復旧は困難であり、マクベイ艦長は総員退艦を指示。やがて艦は『タイタニック』のように真っ二つに折れ、海中へと沈んでいく。

マクベイ艦長をはじめとして、クルーの8割はこの時点でまだ生き残っている。しかし、試練はこれで終わらない。『タイタニック』では北極海の冷たい海が生存者の命を奪っていった。それに対し、インディアナポリス号が沈没したのは南海の海。海水温は高いが、その代わりに生存者たちに襲いかかってきたのはサメ。飢えと喉の渇き、そして獰猛なサメの襲撃により、クルー達は次々と命を落としていく・・・

一見、地球上では万能である人間も、海で放流している時は実に無力である。波間に漂うだけで、サメには対抗できない。襲われないようにしているしかない。さらに上空を飛ぶ友軍機からは小さ過ぎて発見してもらえない。先の見えない恐怖と戦う際に必要なのは、やはり強靭な精神力だろうかと、ふと思う。

それにしても大戦末期にはほぼ壊滅状態にあった帝国海軍であるが、伊号潜水艦がアメリカの巡洋艦を撃沈していたと言う事実には驚かされた。伊号潜水艦には人間魚雷回天を搭載している。最初は商船を回天で狙うが、これを外してしまう。回天は発射したら命中しても外れても搭乗員は生きて戻れない。『出口のない海』で描かれていたことが脳裏をよぎる。艦長は家族の写真を見せてもらっていた搭乗員の顔を見ると、通常魚雷での攻撃を指示する。

この後、様々な思惑があって、マクベイ艦長は裁判にかけられる。この映画の主眼はどこだったのか。撃沈されて漂流しているところか、戦後のいわれなき裁判のことか。それが何となくはっきりせず、面白みを損ねたところのような気がする。
映画の中の解説では、当初インディアナポリス号には1,100名以上の乗組員がいたようである。それが沈没時には900人を割り、最終的に救助されたのは370人ほどだったというから、かなりの惨劇である。それがちょっと伝わってこなかった。
原題とはかけ離れた邦題も例によって映画の内容からは外れてピンボケしているし・・・

ニコラス・ケイジの熱演ではあったが、ちょっと残念だった戦争映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年09月08日

【ディバイナー 戦禍に光を求めて

ディバイナー 戦禍に光を求めて.jpg

原題: The Water Diviner
2014年 オーストラリア・アメリカ・トルコ
監督: ラッセル・クロウ
出演: 
ラッセル・クロウ: ジョシュア・コナー
オルガ・キュリレンコ:アイシェ
ジェイ・コートニー:シリル・ヒューズ中佐
ユルマズ・エルドガン:ハーサン少佐
セム・イルマズ: ジェマル軍曹
ライアン・コア:アーサー・コナー
ジェームズ・フレイザー:エドワード・コナー
ベン・オトゥール:ヘンリー・コナー
イザベル・ルーカス:ナタリア

<Movie Walker解説>
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ラッセル・クロウが戦争で行方不明になった3人の息子を捜す父親を演じ、初めて監督も務めた人間ドラマ。イギリスら連合国軍の一員として参戦し、多くのオーストラリア人が遠い異国トルコの地で戦った、第1次世界大戦のガリポリの戦いを、オーストラリアとトルコの双方の視点から忠実に描いている。
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史実をベースにしたという映画。物語は1915年、第一次世界大戦中のトルコから始まる。ヨーロッパ戦線と同じような塹壕に待機するトルコ軍。ハーサン少佐の指示で一斉に突撃を開始する。そして対峙していたオーストラリア、ニュージーランドの連合軍は敗退していく。この「ガリポリの戦い」は、実は世界初の大規模上陸作戦だったという。また、オーストラリアとニュージーランドにとって、この「ガリポリの戦い」は本格的な戦争として初めての参戦だったという。今でも上陸した日である4月25日は「ANZAC Day」として国民の祝日になっているそうである。そんな歴史的な戦いが背景として描かれる。

それから4年。主人公の農夫ジョシュア・コナーは、妻と2人でオーストラリアの荒野で暮らしている。ジョシュアは、ダウジングで地下の水脈を見つけるのを得意としている。原題はここから来ている。そのジョシュアは、ガリポリの戦いで三人の息子を失っている。その心労から妻のエリザは精神を病み、ついにはジョシュアが掘り当てた水場で入水自殺をしてしまう。たった一人取り残されたジョシュアは、妻との約束を思い出し、息子達を捜しにトルコへと向かう。

大戦は終わったものの、ギリシャ軍の侵攻などがありトルコ国内には混乱が残る。やっとの思いでイスタンブールに着いたジョシュアは、客引きの子供にある未亡人が経営する宿へ強引に案内される。 宿の女将アイシェは、ガリポリの戦いで夫を失っており、敵国人であったジョシュアを快く思わないが、しぶしぶ受け入れる。アイシェは、妻子ある男に第二夫人としてのプロポーズを受けている。

さっそく、ガリポリに渡ろうとするジョシュアだが、現地は戦没者の埋葬部隊が出動しており、管轄するイギリス軍からは許可が下りない。しかし、戦死した息子を探す姿に同情を受け、漁師によって現地へと密かに連れて行ってもらう。最初は追い返されようとしたジョシュアだが、イギリス軍のシリル中佐から現地に詳しいトルコ軍のハーサン少佐を紹介される。 ジョシュアは水脈を探し当てる要領で、なんと次男と三男の亡骸を探し当てる・・・

この映画は、ラッセル・クロウが主演しているが、何と監督も初めて手掛けているという。ガリポリの戦いというマイナーな事件を背景としていて、地味だなと思っていたのだが、どうやらラッセル・クロウがオーストラリア出身ということも製作の背景にはあるのだろう。戦死した息子の遺骨を探す旅なんて、考えただけでも絶望的な気分になる。

主人公のジョシュアは、おそらく人生で大きな争いごともなくそれまで平穏に暮らしてきたであろうことが何となく想像される人物。物静かで、真摯な姿は敵国人であったトルコ人の女将アイシェやハーサン少佐の心を惹きつけていく。アイシェも夫を失い、ハーサン少佐も大勢の部下を失い、そんな哀しみを心に持った人たちがドラマを織りなしていく。

事実をベースにしているとはいえ、そこはエンターテイメントである映画。ドラマチックな展開もありながら物語は進み、そして最後に小さな希望を残す。いつの世も戦争は悲劇ではあるが、登場人物たちに小さな明るさを残して映画は終わる。静かな、そしてしみじみとした味わいの映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年03月24日

ミケランジェロ・プロジェクト

ミケランジェロ・プロジェクト.jpg

原題: The Monuments Men
2014年 アメリカ
監督: ジョージ・クルーニー
出演: 
ジョージ・クルーニー: フランク・ストークス
マット・デイモン:ジェームズ・グレンジャー
ケイト・ブランシェット:クレール・シモーヌ
ビル・マーレイ:リチャード・キャンベル
ジョン・グッドマン:ウォルター・ガーフィールド
ジャン・デュジャルダン:ジャン=クロード・クレルモン

<シネマトゥデイ>
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『オーシャンズ』シリーズなどのジョージ・クルーニーが、製作・監督・脚本・主演をこなした実録サスペンス。第2次世界大戦末期を背景に、ナチスドイツに奪われた美術品を取り戻す命令を下された者たちの姿を活写していく。『ボーン』シリーズなどマット・デイモン、『アビエイター』などのケイト・ブランシェット、『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイら、実力派スターが共演。彼らが繰り出す重厚で濃密な物語もさることながら、戦下での壮絶な戦闘を描写したアクションも見もの。
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 第二次世界大戦と言えば、スターリングラード戦とかノルマンディー上陸とかバルジの戦い、エルアラメインの戦いなど戦闘行為に注目がいく。しかしその陰でナチス・ドイツは支配下に置いた各地域から、絵画や彫刻などの美術品を密かに収集していた。さらに勝利を目指す連合軍による攻撃で、モンテ・カッシーノの修道院等歴史的建造物の破壊などが起こっており、それを危惧したハーバード大学付属美術館長のフランク・ストークスは、それらの保護をフランクリン・ルーズベルト大統領に直訴する。

 話を聞いたルーズベルト大統領は、ストークス自身に若い美術学者を率いて美術品を保護する役割を担うよう要請する。それを受けたストークスは、アメリカ各地を回ってジェームズ・グレンジャー、リチャード・キャンベル、ウォルター・ガーフィールド、ドナルド・ジェフリーズ、プレストン・サヴィッツ、ジャン=クロード・クレルモンの6人の美術専門家を招集し、美術品救出作戦を実行する部隊「モニュメンツ・メン」を結成する。

 一行の身分は軍人となるため、イギリスの英軍基地で新兵訓練を受ける。兵士には向かない年齢、体型の一行は慣れない訓練に戸惑いつつ、ノルマンディーからヨーロッパに上陸する。その頃ナチス・ドイツが占領するパリでは、美術館で働くクレール・シモーヌは上司のシュタールに嫌悪感を抱きつつも秘書を務めている。忠実な秘書のふりをしながら、美術品の行方に目を光らせていたシモーヌだったが、レジスタンス運動を行っていた弟が美術品を積んだナチスのトラックを盗もうとして射殺されてしまう。そしてシュタールは、シモーヌの目の前で美術品を列車に積み込み、いずこかへと消えてゆく・・・

 こうして美術品を巡り、モニュメンツ・メンたちの追跡劇が物語となる。史実に基づいているとはいえ、映画はフィクションなのでそこそこ盛り上がるシナリオにはなっているのだろうが、命のやり取りをしている最前線では「美術品より人の命」なわけであり、モニュメンツ・メンの面々も大歓迎というわけではない。たぶん、史実もそうだったのではないかと思わされる。

そもそもであるが、戦争中に美術品に目が行くのは、それだけ戦況にゆとりがあった証拠なのかもしれないと思ってみたりする。米軍は日本でも京都に対する爆撃は避けたというし、そんなゆとりがあったから戦争に勝ったのか、勝っていたからゆとりがあったのか、われらが祖先の日本軍はどうだったのか詳しくは知らないが、いずれにしても彼我の差を感じさせるエピソードである。

 主演は、監督も兼任するジョージ・クルーニー。特別ミッションのチームを率いるリーダーであるが、この人は『オーシャンズ』シリーズとか『スリーキングス』とか似たようなリーダー役が多い気がする。たぶん、その雰囲気がそうさせているのだろうが、ここでもリーダー役が良く似合う。

 そしてマット・デイモンもアクションを封じて参加。その他ビル・マーレイやジョン・グッドマンなどのお馴染みの役者さんや、ケイト・ブランシェットなど豪華出演陣も飽きさせない内容。戦争映画であるものの、戦闘行為に主眼が置かれていないからあまり戦争映画らしくはない。戦争映画と位置付けるかどうかは微妙なところである。

 まぁ、こういう映画もいいなと思わされる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2016年05月04日

勇者たちの戦場

勇者たちの戦場.jpg

原題: Home of the Brave
2006年 アメリカ
監督: アーウィン・ウィンクラー
出演: 
サミュエル・L・ジャクソン:ウィル・マーシュ
ジェシカ・ビール:ヴァネッサ・プライス
ブライアン・プレスリー:トミー・イェーツ
カーティス・ジャクソン:ジャマール・アイケン
クリスティーナ・リッチ:サラ
チャド・マイケル・マーレイ:ジョーダン・オーウェンズ
ヴィクトリア・ローウェル:ペネロープ・マーシュ

<映画.com>
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「五線譜のラブレター/DE-LOVELY」のアーウィン・ウィンクラー監督が、イラク戦争から帰還したアメリカ人兵士たちの苦悩を描いた戦争ドラマ。イラクで人道的任務に就いていた兵士たちが、帰国直前に反米勢力による襲撃を受けた。熾烈な戦いの末に1人が死亡し1人が重傷、残る面々も心に大きな傷を負う。その傷は故郷へ帰っても癒えることはなく……。出演はサミュエル・L・ジャクソン、「ステルス」のジェシカ・ビールほか。
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何となく面白そうだと思い、出演陣もそれなりに名の知れた俳優陣だし、と観てみることにした映画。2006年ともう10年前の作品なのになぜ今まで知らなかったのだろうという疑問もふと脳裏をよぎる。

物語はイラク戦争下のイラクで始まる。軍医のウィル。輸送部隊のバネッサ。歩兵のトミー、ジャマールらは帰国命令が下る。そしてその前に人道支援物資を輸送する命令が下る。部隊がある街に入る。すると現地人のトラックが荷下しのために停車し、部隊は停止せざるをえなくなる。そして予想通りの襲撃。

反撃に出る兵士たち。しかし輸送部隊のバネッサは、路上に仕掛けられた爆発物が爆発し、隣の席に座っていた上官が爆死。自身も右腕の先を失う負傷をする。トミーは共に応戦していた親友のジョーダンが目の前で戦死する。ジャマールは建物内で誤って現地女性を射殺、軍医のウィルは懸命に負傷兵の応急処置を行う。

やがてそれぞれ帰国を果たす。しかし、右腕を失ったバネッサは義手と格闘する生活の中で、恋人との間に距離を置くようになる。トミーは職場への復帰を断られ、映画館で働きながら親友を失った悲しみから逃れなれない。ジャマールは恋人の冷たい態度や周りにイライラをぶつける。ウィルは不眠症に陥り、妻や子供との関係がギクシャクする。

いわゆる戦闘後のPTSDを扱った映画である。2006年といえばまだイラク戦争も完全には終結していない時期で、この時期に既にこう言う映画が作られていたということにちょっとした意外性を感じる。戦争によるPTSDについては、既にベトナム戦争で採り上げられており、スタローンの『ランボー』が個人的にはその最初だったと記憶している。そんなこともあって、PTSDについてはテーマとしては「手垢がついた」感がある。

軍医のウィルは、反抗的な息子との関係に悩む。反戦を主張する息子について、「自分が反戦的だったらあいつは志願するだろう」と語ったところは十分頷ける。親子関係がただでさえ難しい時期に、ウィルもPTSDに悩まされているとなると、それはそれで苦労だろう。しかしながらイラク戦争については、「石油が狙いなんだろう」と息子に語らせていて、早くもこの時期にそうした見方が出ていたのかと思わせられる。。映画自体も十分反戦メッセージを伝えているわけであるが、その標的は兵士ではない。

いろいろと考えさせてくれる要素は満載だが、エンターテイメントとして如何なものかと問われたら、「イマイチ」というほかない。これまでこの映画の存在すら知らなかったのも多分そこに原因がある。メッセージも重要であるが、伝わらないと意味がない。映画という形をとるのであれば、エンターテイメント性というのも重要であるように思う。

製作者の意図としては、大きな問題として捉えているのかもしれないが、それは「戦争を仕掛けた国」の問題であり、それはそれとして、映画としては「1度観れば十分」という評価をせざるをえないのもやむを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 21:34 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争/戦場ドラマ