
原題: The Ice Road
2021年 アメリカ
監督: ジョナサン・ヘンズリー
出演:
リーアム・ニーソン:マイク・マッシャン
ローレンス・フィッシュバーン:ジム・ゴールデンロット
ベンジャミン・ウォーカー:トム・バルネイ
アンバー・ミッドサンダー:タントゥー
マーカス・トーマス:ガーティ
ホルト・マッキャラニー:ランバート
マーティン・センスマイヤー:コーディ
マット・マッコイ:シックル
マット・サリンジャー:CEO
<映画.com>
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『96時間』シリーズのリーアム・ニーソンが主演を務め、地下に閉じ込められた26人の命を救うため巨大トラックで危険な氷の道を走り抜けるドライバーの戦いを描いたレスキューアクション。カナダのダイヤモンド鉱山で爆発事故が起こり、作業員26人が地下に閉じ込められた。事故現場に充満したガスを抜くための30トンもの救出装置をトラックで運ぶため、4人の凄腕ドライバーが集められる。鉱山への最短ルートは厚さ80センチの氷の道「アイス・ロード」で、スピードが速すぎれば衝撃で、遅すぎれば重量で、氷が割れて水に沈んでしまう。地下の酸素が尽きる30時間以内に装置を届けるべく、命がけでトラックを走らせる彼らだったが、事故には危険な陰謀が隠されていた。共演に『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン、『リンカーン 秘密の書』のベンジャミン・ウォーカー。「アルマゲドン」などの脚本家ジョナサン・ヘンズリーが監督・脚本を手がけた。
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北アメリカの極寒地では、冬季に凍った川や湖の道を30tのトラックが往来するのだとか。この物語ではウィニペグ湖の氷の上にできた道=アイス・ロードが舞台となる。氷の厚さは80p。一見分厚そうであるが、30tのトラックについては危ういのかもしれない。そして事件は起こる。カナダ・マニトバ州にあるダイヤモンド鉱山「カトカ」で、メタンガス爆発が起こる。作業員8人が死亡し、26人が安否不明となる。
作業員を救出するには、まず坑道に充満したメタンガスを抜かなければならない。しかし、現場にはそのために必要な坑口装置(ウェルヘッド)がない。これを聞いた天然資源省の次官オトゥールは、すぐに坑口装置の輸送を手配する。しかし長さ5m、重さ25tもある坑口装置は空輸することは不可能であり、方法は陸路しかない。しかし4月半ばの時期は氷が溶け始める事もあり、アイスロードも既に閉鎖済み。トラックドライバーたちもほとんど休暇中とあって人員確保も厳しい状況であった。
白羽の矢が当たったのは、現地に詳しいジム・ゴールデンロット。ジムは自らトラックドライバーと整備士を確保する代わりに、政府にはアイスロードを開くよう許可を求める。そして集まってきたのは腕利きのトラックドライバーたち。その中にマイク・マッキャンと弟で整備士のガーティがいる。このマイクが物語の主人公である。弟のガーティは、イラク戦争の帰還兵であるが、戦争の負傷の後遺症があって仕事が長続きしない。そんな中で、報酬の良いアイスロード運転手の募集に応募してきていた。
メンバーには1人、ジムの元部下タントゥーがチームに加わる。先住民としての誇りと怒りから、何かと周りとトラブルを起こしているが、ドライブテクニックは一流。しかもタントゥーの異父兄コーデ・マントゥースィは、安否不明の作業員のうちの一人であり、それも応募理由であった。運輸会社は万が一の事態を考慮して坑口装置を3基用意し、3台の大型トラックにそれぞれ載せてトラックを送り出す。溶け始めた氷の道を超重量のトラックが爆走するというのが、この物語のメインとなる。
もちろん、ただただ爆走して終わりであれば物語は面白くない。炭鉱事故には実は裏がある。そしてそれゆえに坑口装置が無事に届けられると具合の悪い者たちがいる。ただでさえ、春先で危険なアイスロードに加えて妨害工作まで行われるのである。成功報酬は20万ドル、脱落者が出た場合は、残ったメンバーで分配されるというおまけもつく。トラックの速度が速いと圧力波で氷が割れて水没、逆に遅いとタイヤにかかる重みで水没するという厳しい条件下でトラックは発進していく。
そう言えばその昔、『恐怖の報酬』というやはり危険なトラック輸送の映画があったなと思い出す。やはり同じように事故現場に危険なニトロを運ぶという物語で、川にかかった崩れかけた橋を渡るシーンのド迫力が記憶に残っている。やはり危険なものを危険な道を通って運ぶというストーリーがトラック輸送の物語の王道になるのであろうか。そしてさっそくアイスロードの氷が溶けて1台のトラックが水没する。そして準主役級のローレンス・フィッシュバーンが早々にいなくなるのに驚かされる。
危険なアイスロードにさまざまな妨害工作。リーアム・ニーソン主演であれば面白さが一段アップする。ただ、『恐怖の報酬』の橋渡りのシーンほどのインパクトは残念ながらなかったというのが正直なところである。大型トラックの迫力は十分。スリリングな展開を楽しめる一作である・・・
評価:★★☆☆☆