2025年08月09日

【マクマホン・ファイル】My Cinema File 3047

マクマホン・ファイル.jpeg

原題: The Last Thing He Wanted
2020年 アメリカ
監督: ディー・リース
出演: 
アン・ハサウェイ:エレナ・マクマホン
ベン・アフレック:トリート・モリソン
ウィレム・デフォー:リチャード・マクマホン
ロージー・ペレス:アルマ
エディ・ガテギ:ジョーンズ
トビー・ジョーンズ:ポール
カルロス・リール:エッパーソン

<映画.com>
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アン・ハサウェイ、ベン・アフレック、ウィレム・デフォーら豪華キャスト共演で、ジョーン・ディディオンの同名小説を映画化した社会派サスペンス。1980年代、アメリカ。敏腕ジャーナリストのエレナは、父が倒れたとの知らせを受けて病院へ向かう。父に頼まれ、中米での武器取引の世界に足を踏み入れた彼女は、恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。監督・脚本は「マッドバウンド 哀しき友情」のディー・リース。Netflixで2020年2月21日から配信。
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1982年、ジャーナリストのエレナ・マクマホンはサンサルバドルのエル・モソテで行われた虐殺現場を取材する。目をそむけたくなる虐殺の現場で、発見したのはアメリカ製の銃弾。中南米の戦争にアメリカが関与しているのではないかという疑問が浮かぶ。しかし、正体不明の現地勢力の襲撃を受けると、命辛々空港まで逃げ延び、なんとかアメリカに帰国する。それから2年、エレナは1人娘を寮制の学校に入れ、仕事に没頭している。

ある日、会社の上司からエレナは選挙報道を担当するよう命じられる。そもそも兼ねてから中南米支局への赴任を希望していたにもかかわらずの決定で、抗議するも会社組織にいる以上、組織決定には逆らえない。しかし、それがエレナの行動をよく思わない会社の上層部からの命令で、かつこの命令が政府からの依頼だったことを知ったエレナは、自分の考えの正当性を実感する。

その後、エレナの元に父のリチャードからの電話が入る。父は、エレナが幼かった頃に家を出ており、それによって様々な苦労を経験してきたエレナは、父に対して嫌悪感を抱いている。それでも父に誘われて久しぶりの再会を果たす。そこで父に母が死んだことを伝えると父は狼狽える。エレナはそんな父から母との馴れ初めを聞くと、少しずつ態度を和ませる。

選挙報道の担当になったエレナは、取材のため多くの都市を訪れる。シンシナティで開催されたレーガン陣営のパーティに参加したエレナは、国務長官に中南米の一件をインタビューするものの、あしらわれてしまう。さらにその後、匿名の人物から首を突っ込むなと書かれた手紙を受け取る。しかし、同封されていた写真を軍内部の情報提供者に見せると、どうやらニカラグアに余剰軍事物資が横流しされている疑いが生じる。記者魂に火がついたエレナは、選挙報道そっちのけでこの件について調べ始める。

その矢先、エレナは、父リチャードが入院したとの知らせを受け取る。マイアミの病院を訪れたエレナは、父からとある人物に会い、支払いをするよう頼まれる。彼は貿易関係の仕事に関わっており、多額な借金をして法外な報酬を得られる仕事を請け負っていたようである。怪しげな内容だが、感じるものがあったエレナは、頼みを聞き入れ出国手続きをしない違法ルートでニカラグアに旅立つ。

現地に到着すると、一緒に運ばれた多くの積荷の中身がアメリカからの武器だと判明する。話はついているはずなのに取引相手は条件を変えてくる。交渉をする間に飛行機は飛び立ってしまう。エレナは1人、ニカラグアに取り残されてしまう。コスタリカの都市部、サンホセまで自力で移動したエレナは、新聞社の同僚アルマに電話し、積荷の中身が膨大な量の武器だったことを伝えると、中南米で暗躍している人物の情報を得る・・・

中南米への不正な武器取引を追う新聞記者の主人公。演じるのは美形女優のアン・ハサウェイ。ここでは髪を振り乱して事件を追う新聞記者として登場する。美しいドレスも笑顔も封印。女性ながら男でもビビりそうな中、取材を続けていく。そんな主人公の行動を面白く思わないのが、政府関係者のモリソン。どうやら彼も大きな声では言えないことをしているようである。

以前観た映画『ロード・オブ・ウォー』(My Cinema File 194)でも武器の輸出大国は国連常任理事国5大国だということが示されているが、ここでは正規ルートではない裏ルートであると思うが、やはり陰で暗躍する者がいる。それが個人の私腹を肥やすものか、政治的な裏ルートなのかまでは描かれていなかったが、それを暴こうとするのが主人公である。政情も不安定で治安もよくない国で孤軍奮闘する主人公。乳がんの手術を受けた経験があり、娘を全寮制の学校に入れて働くシングルマザーでもある。映画だからこそ安心して観ていられる展開である。

しかしながら、ラストに至る展開には愕然とさせられる。想定通りの結末を迎えるのもいいが、予想を裏切る意外な結末というのも乙なものである。ラストのエレナの表情が観ている者のそれだったかもしれない。ベン・アフレック、ウィレム・デフォーという出演陣もさすがである。観終わって寄宿学校にいるエレナの1人娘のことが心に残ってしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2025年06月27日

【セキュリティ・チェック】My Cinema File 3027

セキュリティ・チェック.jpg

原題: Carry-On
2024年 アメリカ
監督: ジャウム・コレット=セラ
出演: 
タロン・エガートン:イーサン・コーペック
ソフィア・カーソン:ノラ・パリシ
ダニエル・デッドワイラー:エレーナ・コール
テオ・ロッシ:ウォッチャー
ローガン・マーシャル=グリーン
ディーン・ノリス:フィル・サーコウスキー
シンカ・ウォールス:ジェイソン・ノーブル
ジェイソン・ベイトマン:トラベラー

<映画.com>
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『キングスマン』シリーズのタロン・エガートンが主演を務め、クリスマスイブの空港を舞台に、謎の男に脅迫された運輸保安局員の闘いをスリリングに描いたサスペンススリラー。
かつて警察官を目指していたイーサンは、現在はロサンゼルス国際空港の運輸保安局員として冴えない日々を送っている。クリスマスイブ、搭乗客の手荷物検査を担当することになった彼は、謎の男から脅迫を受け、ある人物が持ち込む危険物を見逃すよう指示される。妊娠中の恋人ノラが命を狙われる中、狡猾な脅迫者をどうにか出しぬこうと孤軍奮闘するイーサンだったが……。
謎の脅迫者を「モンスター上司」のジェイソン・ベイトマン、イーサンの恋人ノラを「ディセンダント」シリーズのソフィア・カーソンが演じ、「ティル」のダニエル・デッドワイラー、ドラマ「サンズ・オブ・アナーキー」のテオ・ロッシが共演。『フライト・ゲーム』「エスター」などのジャウム・コレット=セラ監督がメガホンをとった。Netflixで2024年12月13日から配信。
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主人公のイーサン・コーペックは、空港の保安検査員。同じ空港職員のノラと一緒に住んでいる。冒頭、そんなノラから妊娠を告げられる。そしてノラはさらにイーサンに対し、警察官になるという夢を叶えろと激励するが、かつて採用試験に落ちた事もあり、イーサンは気乗りしない。ただ、やる気がないわけではなく、今の仕事で昇格を目指すことにする。そうしてさっそく上司のサーコウスキーにその意思を伝える。

突然の申し出に渋る上司だが、親友のジェイソンが助け船を出し、自分の仕事を代わってくれる。それは手荷物検査。ジェイソンに感謝したイーサンはさっそく空港検査場の席に座って仕事に取り掛かる。ところが、この事態に戸惑う者たちがいる。それは密かに監視カメラで状況を確認していた男。すぐにイーサンの名前を確認すると、身辺調査を指示する。イーサンの自宅を調べ、仲間を向かわせる。合鍵で室内に侵入し、ノラと同棲している事を突き止める。

連携を受けた男がイーサンにイヤホンを渡す。訝しがりながらそれを耳に当てるイーサン。すると、イヤホンから謎の声が話しかけてくる。「これからある荷物を通過させないとノラの命はない」と。誰のいたずらかと戸惑うイーサンだが、それにしてはノラの妊娠や家族の情報などあり得ないことを知っていることからいたずらではないとわかる。イーサンは動揺しながらもイヤホンから聞こえてくる音を頼りに周囲に注意を払う。そしてその男を発見する。

イーサンはそれをブラックライトでしか読めない文字で書き込み、警備のライオネルに渡す。すぐにライオネルは動き始めるが、男がライオネルにぶつかった直後、倒れてしまう。すぐに周囲の者が助け起こすも、既にライオネルは死んでいる。イーサンはますます青くなる。この騒動で持ち場を離れている間に、検査の持ち場は本来の担当のジェイソンが担当するように上司が指示する。イヤホンの声はイーサンに検査場に戻れと命じるが、上司の指示であるためイーサンにはどうしようもない。それでも声は無情である。

機転を利かしたイーサンは、ジェイソンのコーヒーを酒入りのものとすり替え、上司のサーコウスキーに報告。ジェイソンは仕事中に飲酒していた事にされて連れて行かれてクビになる。持ち場に戻ったイーサンは、さらに「赤い帽子を被った男のトランクを通過させろ」と声に指示される。トランクの中身は、謎の液体と爆破装置のようなもので、警告が出るがイーサンはやむなくそれを通過させる。一方、LA市警のエレーナは、空港近くでマフィアのオレクの死体を発見し、死体の腕時計に仕掛けられていた盗聴器からテロ事件が起こるのではないかと考える・・・

突然、テロリストからテロの先方を担がされる事になった空港職員の物語。付き合っていた女性から妊娠を告げられ、これから張り切って仕事に励もうと思った矢先の出来事。しかも本来は親友がそのターゲットであったものだが、まさにその日、上司にやる気を告げた事でその親友と入れ替わり事件に巻き込まれる。おそらく、1日ズレていたら巻き込まれることはなく、(おそらく事件も防がれることはなく)大惨事になっていただろう。(犯人も含めて)人間の運命はちょっとした事で大きく変わる。

事件に巻き込まれたイーサンだが、元々は刑事志望。とある事情で採用試験に落ちたイーサンはその夢を諦めているが、緊急事態にも慌てず冷静に行動する。表向きは犯人グループの指示に従いつつも、犯人たちの企みを阻止しようとあれこれ頭を働かせる。そして用意周到な犯人グループの行動。突然ターゲットがイーサンに代わっても慌てず対応策を取る。危険な荷物を持ち込む男も良く考えられている。ただ、イーサンの行動だけが想定外であっただけである。ラストに至る展開も二転三転。

途中に張られた伏線を巧みに回収しながらラストへと一気に進む。犯人グループに利用されていた者の予想外の行動も物語を巧みに左右してゆく。綿密に立てた計画もちょっとしたところから齟齬が生じる。結果的に大参事は回避されるが、それもただ運が良かったというだけである。しかしながら、それゆえに物語は面白くなっている。良く考えられたストーリー展開。そしてハッピーエンド。

適度にハラハラドキドキさせられ、犯人のち密な計画とそれに抗っていく主人公の行動が小気味よさを出している。観る価値の高い映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年11月20日

【アイス・ロード】My Cinema File 2935

アイス・ロード.jpg

原題: The Ice Road
2021年 アメリカ
監督: ジョナサン・ヘンズリー
出演: 
リーアム・ニーソン:マイク・マッシャン
ローレンス・フィッシュバーン:ジム・ゴールデンロット
ベンジャミン・ウォーカー:トム・バルネイ
アンバー・ミッドサンダー:タントゥー
マーカス・トーマス:ガーティ
ホルト・マッキャラニー:ランバート
マーティン・センスマイヤー:コーディ
マット・マッコイ:シックル
マット・サリンジャー:CEO

<映画.com>
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『96時間』シリーズのリーアム・ニーソンが主演を務め、地下に閉じ込められた26人の命を救うため巨大トラックで危険な氷の道を走り抜けるドライバーの戦いを描いたレスキューアクション。カナダのダイヤモンド鉱山で爆発事故が起こり、作業員26人が地下に閉じ込められた。事故現場に充満したガスを抜くための30トンもの救出装置をトラックで運ぶため、4人の凄腕ドライバーが集められる。鉱山への最短ルートは厚さ80センチの氷の道「アイス・ロード」で、スピードが速すぎれば衝撃で、遅すぎれば重量で、氷が割れて水に沈んでしまう。地下の酸素が尽きる30時間以内に装置を届けるべく、命がけでトラックを走らせる彼らだったが、事故には危険な陰謀が隠されていた。共演に『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン、『リンカーン 秘密の書』のベンジャミン・ウォーカー。「アルマゲドン」などの脚本家ジョナサン・ヘンズリーが監督・脚本を手がけた。
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北アメリカの極寒地では、冬季に凍った川や湖の道を30tのトラックが往来するのだとか。この物語ではウィニペグ湖の氷の上にできた道=アイス・ロードが舞台となる。氷の厚さは80p。一見分厚そうであるが、30tのトラックについては危ういのかもしれない。そして事件は起こる。カナダ・マニトバ州にあるダイヤモンド鉱山「カトカ」で、メタンガス爆発が起こる。作業員8人が死亡し、26人が安否不明となる。

作業員を救出するには、まず坑道に充満したメタンガスを抜かなければならない。しかし、現場にはそのために必要な坑口装置(ウェルヘッド)がない。これを聞いた天然資源省の次官オトゥールは、すぐに坑口装置の輸送を手配する。しかし長さ5m、重さ25tもある坑口装置は空輸することは不可能であり、方法は陸路しかない。しかし4月半ばの時期は氷が溶け始める事もあり、アイスロードも既に閉鎖済み。トラックドライバーたちもほとんど休暇中とあって人員確保も厳しい状況であった。

白羽の矢が当たったのは、現地に詳しいジム・ゴールデンロット。ジムは自らトラックドライバーと整備士を確保する代わりに、政府にはアイスロードを開くよう許可を求める。そして集まってきたのは腕利きのトラックドライバーたち。その中にマイク・マッキャンと弟で整備士のガーティがいる。このマイクが物語の主人公である。弟のガーティは、イラク戦争の帰還兵であるが、戦争の負傷の後遺症があって仕事が長続きしない。そんな中で、報酬の良いアイスロード運転手の募集に応募してきていた。

メンバーには1人、ジムの元部下タントゥーがチームに加わる。先住民としての誇りと怒りから、何かと周りとトラブルを起こしているが、ドライブテクニックは一流。しかもタントゥーの異父兄コーデ・マントゥースィは、安否不明の作業員のうちの一人であり、それも応募理由であった。運輸会社は万が一の事態を考慮して坑口装置を3基用意し、3台の大型トラックにそれぞれ載せてトラックを送り出す。溶け始めた氷の道を超重量のトラックが爆走するというのが、この物語のメインとなる。

もちろん、ただただ爆走して終わりであれば物語は面白くない。炭鉱事故には実は裏がある。そしてそれゆえに坑口装置が無事に届けられると具合の悪い者たちがいる。ただでさえ、春先で危険なアイスロードに加えて妨害工作まで行われるのである。成功報酬は20万ドル、脱落者が出た場合は、残ったメンバーで分配されるというおまけもつく。トラックの速度が速いと圧力波で氷が割れて水没、逆に遅いとタイヤにかかる重みで水没するという厳しい条件下でトラックは発進していく。

そう言えばその昔、『恐怖の報酬』というやはり危険なトラック輸送の映画があったなと思い出す。やはり同じように事故現場に危険なニトロを運ぶという物語で、川にかかった崩れかけた橋を渡るシーンのド迫力が記憶に残っている。やはり危険なものを危険な道を通って運ぶというストーリーがトラック輸送の物語の王道になるのであろうか。そしてさっそくアイスロードの氷が溶けて1台のトラックが水没する。そして準主役級のローレンス・フィッシュバーンが早々にいなくなるのに驚かされる。

危険なアイスロードにさまざまな妨害工作。リーアム・ニーソン主演であれば面白さが一段アップする。ただ、『恐怖の報酬』の橋渡りのシーンほどのインパクトは残念ながらなかったというのが正直なところである。大型トラックの迫力は十分。スリリングな展開を楽しめる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2023年09月23日

【クワイエット・プレイス破られた沈黙】My Cinema File 2750

クワイエットプレイス破られた沈黙.jpeg

原題: A Quiet Place Part II
2021年 アメリカ
監督: ジョン・クラシンスキー
出演: 
エミリー・ブラント:イヴリン・アボット
ミリセント・シモンズ:リーガン・アボット
ノア・ジュープ:マーカス・アボット
キリアン・マーフィー:エメット
ジャイモン・フンスー:島の長
ディーン・ウッドワード:ボー・アボット
スクート・マクネイリー:桟橋の男
アリス・ソフィー・マリコワ:少女
オキエリエテ・オナオドワン:警察官
ウェイン・デュヴァル:ロジャー
ジョン・クラシンスキー:リー・アボット

<映画.com>
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エミリー・ブラント主演で、音に反応して人類を襲う“何か”によって文明社会が荒廃した世界を舞台に、過酷なサバイバルを繰り広げる一家の姿を描き、全米でスマッシュヒットを記録したサスペンスホラー『クワイエット・プレイス』の続編。生まれたばかりの赤ん坊と耳の不自由な娘のリーガン、息子のマーカスを連れ、燃えてしまった家に代わる新たな避難場所を探して旅に出たエヴリン。一同は、新たな謎と脅威にあふれた外の世界で、いつ泣き出すかわからない赤ん坊を抱えてさまようが……。主人公エヴリンをブラントが演じ、リーガン役のミリセント・シモンズ、マーカス役のノア・ジュプも続投。新キャストとしてキリアン・マーフィ、ジャイモン・フンスーが加わった。監督・脚本も前作同様、ブラントの夫で前作で夫婦共演もしたジョン・クラシンスキーが再び手がけた。
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音に反応して襲ってくる怪物との絶望的な戦いを描いた『クワイエット・プレイス』の続編。今回はそもそもの発端から描かれる。異変の第1日目。父親のリーは、いつものように馴染みの店で買い物をし、長男マーカスの野球の試合の応援に向かう。聴覚に障害のあるリーガンと次男ボーと妻イブリンと家族総出の応援である。マーカスが自信なさげに打席に立ったその時、上空に隕石のようなものが落ちてくる。それは異様な風景。人々は申し合わせたように試合を中止して家路に着く。

リーガンは父親の車に乗り込み、マーカスとボーはイブリンの車に乗り込む。リーが居合わせた警察官に何が起こったのか尋ねようとすると、正体不明の怪物が現れ人々を襲う。隕石の落下に伴って宇宙から飛来したということなのだろうが、早過ぎはしないかと心の中で突っ込みを入れる。まぁ、あまりこだわるところでもない。車のエンジンがかからなかったリーは、リーガンを連れて近くのレストランに逃げ込む。そこには同じように逃げ込んだ人々が息をひそめて隠れる。しかし、誰かの携帯電話が鳴ってしまい、怪物は次々と人々を襲う。かろうじて逃げ出したリーとリーガン。イブリンはマーカスとボーを乗せ、混乱する街から逃げ出す・・・

こうして悪夢が始まるのであるが、前作で描かれなかった前日譚が紹介されるのは物語を深く理解するのに役立つ。そして前作の苦闘を経た474日目。前作で既にリーとボーを失ったイブリンは、マーカスとリーガンと生まれたばかりの赤ん坊を連れて逃げ続けている。赤ん坊は酸素マスクをつけた状態でトランクの中に入れている。鳴き声対策であるが酸素ボンベの入手がネックになりそうである。裸足で歩き続けた3人は、とある廃工場へとやって来る。そこへ怪物が近づいてくるが、マーカスがトラバサミの罠にかかってしまう。叫び声を上げかけたマーカスの口をイブリンが塞いだが、一匹の怪物に見つかってしまう。

その事態にリーガンは冷静に補聴器から出るハウリングをラジオから流し、怪物の動きが止まって頭が開いたところをイブリンがショットガンでとどめを刺す。それを見ていたのは、冒頭で一緒に野球観戦をしていたエメット。エメットは家族を失いながらも1人廃工場の地下で生き残っていたのである。そこには密閉されるボイラーがあり、防音にもなるが、タオルで閂を押さえないと閉じ込められてしまうリスクがある。地獄で仏ではないが、女1人で子供3人を守らなければならないイブリンにとっては心強い味方であるが、エメットは気力を失っている。

イブリン達が一息ついた時、ラジオを調整していたマーカスが、どこかの放送局から「ビヨンド・ザ・シー」が流れていることに気づく。それは他にも生存者がいるという証。その曲名と地図とから、リーガンはその曲が近くの海をはさんだ孤島から流れていることを突き止める。リーガンはラジオで補聴器のハウリングを流すアイディアを思いつくが、マーカスからは大反対を受ける。しかし、思い立ったリーガンはイブリンには内緒で単身その島に向かう。それを知ったイブリンはエメットに連れ戻すように頼むが、エメットは躊躇する・・・

目が見えず、音に反応して襲ってくる怪物を相手に逃げるイブリンたち。大人やある程度分別のわかる子供であれば黙っていられるが、赤ん坊はそうはいかない。音を立てないことが最大の防御になる。さらに今回は、緊急避難室としてボイラーの窯の中というのが出てくるが、タオルで閂を押さえないと閉じ込められてしまうという危機管理が出てくる。次から次へと困難が登場人物たちを襲う。そして怪物には泳げないという弱点があることが判明するが、これも偶然から怪物が海を渡って孤島に逃げ住んでいた人々を襲うことになる。なかなかうまく見せ場を作ってくれる。

絶望の中にも希望がある物語。リーガンの勇気ある行動は自分自身のためだけではなく、人類全体のことを考えたもの。ハラハラドキドキの要素もあり、リーガンの勇気と意思はエメットを変え、そして人類に希望をもたらす。内容的にさらなる続編はなさそうである。イブリンを演じたエミリー・ブラントは、『ボーダーライン』(My Cinema File 1957)の主人公にも相通じるものがある。前作のヒットに味をしめて2匹目のどじょうを狙って失敗する作品が多い中、これは前作と合わせて、満足いく楽しめる映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2023年08月06日

【FALL/フォール】My Cinema File 2728

FALL/フォール.jpeg

原題: Fall
2022年 アメリカ
監督: スコット・マン
出演: 
グレイス・キャロライン・カリー:ベッキー
ヴァージニア・ガードナー:ハンター
メイソン・グッディング:ダン
ジェフリー・ディーン・モーガン:ジェームズ

<映画.com>
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地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人の若者の運命を描いたサバイバルスリラー。
山でのフリークライミング中に夫を落下事故で亡くしたベッキーは、1年が経った現在も悲しみから立ち直れずにいた。親友ハンターはそんな彼女を元気づけようと新たなクライミング計画を立て、現在は使用されていない超高層テレビ塔に登ることに。2人は老朽化して不安定になった梯子を登り、地上600メートルの頂上へ到達することに成功。しかし梯子が突然崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう。
『シャザム!』のグレイス・フルトン(グレイス・キャロライン・カリー)とドラマ「マーベル ランナウェイズ」のバージニア・ガードナーが主演を務め、2022年版「スクリーム」のメイソン・グッディング、ドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズのジェフリー・ディーン・モーガンが共演。「ファイナル・スコア」のスコット・マンが監督を務めた。
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冒頭、険しい崖でのフリークライミングにダンとベッキーの夫妻、そしてハンターが挑んでいる。最近は映像技術の進展著しく、実際には登っていないと思うが、それでも足がすくみそうなクライミングシーンである。ところが、ふとしたはずみでダンが転落してしまう。到底助かる高さではない。夫を失ったベッキーは、その事故から1年近くと経とうとしている現在も、悲しみから抜け出せずにいる。ダンの遺灰を葬ることもできないまま、生前の彼がスマホの留守番電話に登録していた応答メッセージを聴いては涙に暮れている。

そんなベッキーのことを、父親はなんとか立ち直らせようと心配し励ましているが効果はない。そんなある日、ベッキーの元に親友のハンターが久しぶりに訪ねてくる。ハンターは女性ながらも世界各地の危険な場所を冒険し、「デンジャーD」という名前でYouTuberとしても活動している。悲しみに打ちひしがれ続けているベッキーを立ち直らせるべく“ある計画”を持ちかける。それは、現在は使用されていない地上600mもの高さを誇る超高層鉄塔「B67テレビ塔」の頂上部まで登り、記念の動画撮影を行うというもの。

悲しみに暮れていたベッキーは、一度は断るものの、生前のダンが口にしていた「生きることを恐れるな」という言葉を思い出し、ハンターとともに鉄塔を登ることを決意する。いざ、鉄塔クライミングの決行当日。ベッキーはハンターとともに車で鉄塔へと向かう。鉄塔に続く出入口は封鎖されていたものの、そんなことで諦めるはずもなく、2人は車を止めて鉄塔まで徒歩で行く。そのあまりの高さを目の当たりにしたベッキーは、登るのを躊躇う。

しかし、ハンターに「ずっとそばにいる」という言葉に励まされ、ベッキーはハンターと命綱をつけて鉄塔の階段を登り始める。鉄塔は、もう使われておらず、従って手入れもされていない。錆びたハシゴは登るたびに軋み、鉄塔各所のボルトも酷く傷んでいる。地上600mと言えば、エッフェル塔や東京タワーの高さを遥かに超えスカイツリーに匹敵する。しかもエレベーターで登るのとはわけが違い、吹きさらしの中を登るのは尋常ではない。そして2人はついに鉄塔頂上部の足場へと到着する。

しかもそれで終わりではなく、ハンターはそこで自撮り棒やドローンで撮影を開始する。それも足場からぶら下がるという命知らずな記念撮影を行う。しかし、そこでベッキーは吹っ切れたのか、鉄塔の頂上部から長い間葬ることができずにいたダンの遺灰を撒く。それはベッキーが鉄塔の登頂を決意したもう一つの目的。そして目的を達成した2人は、鉄塔から降りることにする。

ところが、ベッキーが降り始めた途端、ボルトが外れてハシゴが崩落する。ベッキーは危ういところで落ちるのを免れるが、ハシゴは完全に崩落してしまい2人は下に降りる手段を失ってしまう。すぐに助けを呼ぶことを考えるが、携帯の電波は圏外であり、電話もメールもSNSで助けを呼びかけることもできない。入る時に立入禁止指定されていたように、周囲には民家も店も歩く人さえいない。まさに絶体絶命の大ピンチに陥ってしまう・・・

先日観た『127時間』(My Cinema File 2726)とは、また違ったシチュエーションであるが、まだ2人というのが救いかもしれない。いずれにせよ、こういう映画では、やはり「自分だったらどうするだろう」と考えてしまう。岩に腕を挟まれるのも驚異だが、この映画の最大の恐怖はなんと言っても「地上600m」という高さだろう。最近の映像技術は実際に「地上600m」で撮影しているかのようである。鉄塔を登るシーンも頂上の足場のシーンもどれも迫力に満ちていて、観ているこちらも足がすくむような気がしてしまう。さらにいつの間にか手のひらにも汗をかいている。

この高さの迫力は並ではない。何せ吹きさらしの「地上600m」である。「自分だったらどうするだろうか」と考えながら観ようとしたが、いやいやそもそも自分なら何があっても絶対に登らないと断固として考えてしまう。いくらハンターのような美女に誘われてもそれだけは断固として拒否するだろう。とは言え、取り残されてしまった2人はなんとか方法を考えるしかない。自力で降りるという選択肢は、持ち物からして不可能であり、なんとか助けを呼ぶしかない。

2人の奮闘は観る者も恐怖との戦い。何せ観ているこちらまで怖くなってしまうほどの映像の迫力。希望と絶望とが入り混じる。2人の間では、やはりハンターが勇敢である。その行動力は並の男では敵わないだろう。そんな大ピンチの中、実はハンターがベッキーに隠していたある秘密が露見する。そんなドラマを含みながらストーリーは進む。その意外な展開。ピンチに陥った時は何よりも冷静さと、そして知恵が必要だと思わされる。ところどころに伏線が仕込まれているのもドラマに一興を添える。

それにしても、やはりこんな冒険は自分だったらするまいと強く思う。高所恐怖症の人は、観ない方がいい映画である・・・


評価:★★★☆☆








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