2017年11月05日

【ミッドナイト・スペシャル】

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原題: Midnight Special
2016年 アメリカ
監督: ジェフ・ニコルズ
出演: 
マイケル・シャノン:ロイ・トムリン
ジョエル・エドガートン:ルーカス
キルステン・ダンスト:サラ
アダム・ドライバー:ポール
サム・シェパード:カルヴィン
ジェイデン・リーバハー: アルトン

<映画.com>
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「ラビング 愛という名前のふたり」「MUD マッド」のジェフ・ニコルズが監督・脚本を手がけ、不思議な力を持つ少年とその父親が繰り広げる逃避行を描いたSFスリラー。特殊能力に目覚め、カルト教団や政府から追われる身となった少年アルトン。父ロイは親友ルーカスやアルトンの母サラと協力して追手から逃れながら、アルトンをある目的地へ連れて行くため奔走する。ニコルズ監督作の常連俳優であるマイケル・シャノンが父親役を務め、共演にも「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートン、『スパイダーマン』シリーズのキルステン・ダンスト、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のアダム・ドライバーら豪華キャストが揃う。
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冒頭、少年の誘拐事件を報じるテレビ画面を見つめる男ロイ。テレビではその誘拐犯がロイであることを告げている。ベッドには誘拐されたとされる8歳の少年アルトンが絵本を読んでいる。アルトンを優しく寝かせるロイに誘拐犯の表情はない。誘拐犯と言っても、離婚によって引き離された我が子を父親が誘拐したとかそんな類なのかという雰囲気が漂う。そして2人にはロイの幼なじみのルーカスが同行している。

その頃、某所ではある宗教法人の集会が行われている。“牧場”と呼ばれるその教団では、教団代表のカルビンがアルトンの行方不明について信者に話をしている。そこに突如乱入してきたのはFBI捜査官たち。すぐにその場にいた信者達を秩序立てて集めて聞き込みを開始する。

実は、教祖のカルビンの説教内容には、これまでもしばしば政府の極秘情報が含まれており、FBIの捜査の目的も情報漏洩の調査のため。国家安全保障局(NSA)から来たポールがカルビンに尋問を開始するが、カルビンはそのすべてがアルトンから聞いた話だと言う。ときどき発作を起こすアルトンは、いろんな言語を話し、意味不明なことを語る。カルビンは、それを神の言葉だと信じている。どうやら「誘拐」にはそのあたりの事情が絡んでいるのだろうと思えてくる。

そのアルトンは、車の中ではラジオの電波を捉えてしゃべりだす。意味不明の言葉に戸惑うルーカスに、ロイはさも慣れたことという風にラジオのチューニングを合わせると、アルトンが話す内容の言葉がそのままラジオから流れてくるという具合。休憩のため立ち寄ったガソリンスタンドでは、アルトンが夜空を眺めていると、謎の飛行物体から大量の落下物が落ちてきてガソリンスタンドは火に包まれる。

興味深くストーリーを追って行ったのだが、なかなか真実が明らかにならない。何となく昔観た『未知との遭遇』を思い出していたが、その結末ははっきり言って良くわからなかった。『未知との遭遇』では最後にUFOが登場し、そこでそれまで盛り上げられてきたストーリーが一気に最高潮へと上り詰めたが、この映画ではそれほどの盛り上がりはなく、むしろ「?」マークが飛び交う。

これはひとえに「説明不足」にある。感じ方は人それぞれだから、断定は憚られるが、少なくとも自分としてはもう少し説明があれば納得感が高かったと思う。エピソードも少年の目が光ったり、電波を捉えたり、軍事衛星から攻撃を受けたりと興味深いのだが、でもそれは一体何なのか。結局、正体は何だったのか等々。

タイトルも何で「ミッドナイト スペシャル」なのか。そこにも何か意味があったのだろうと思うが、よくわからない。そういう「よくわからない」が溢れていると、なんだか映画の魅力も衰えてしまう。もう少しわかりやすい映画だったら良かったのにと思わざるを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年11月03日

【パッセンジャー】

パッセンジャー.jpg

原題: Passengers
2016年 アメリカ
監督: モルテン・ティルドゥム
出演: 
ジェニファー・ローレンス:オーロラ・レーン
クリス・プラット:ジム・プレストン
マイケル・シーン:アーサー
ローレンス・フィッシュバーン:ガス・マンキューゾ
アンディ・ガルシア:船長

<シネマトゥデイ>
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航行中の宇宙船を舞台に、目的地到着前に目覚めてしまった男女の壮絶な運命を描くSFロマンス。宇宙空間で生き残るすべを模索する男女を、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などのクリス・プラットと『世界にひとつのプレイブック』などのオスカー女優ジェニファー・ローレンスが演じる。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのモルテン・ティルドゥムが監督を務め、『プロメテウス』などのジョン・スペイツが脚本を担当。
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物語は遠い未来。宇宙船アヴァロン号が宇宙空間を航行している。乗っているのは宇宙移民を目的とした5,000人の乗客とクルー。全行程120年の旅で、人間はすべて人工冬眠ポッドで眠っている。その間、宇宙船は自動航行である。船首のシールドで浮遊物等から船体を守っているが、冒頭で巨大な隕石と遭遇する。そして船内では、あるポッドの冬眠システムが解除され、主人公のジムが目覚める。自動音声は目的地到着まであと4ヶ月を告げる。

システムによる案内で、目覚めて落ち着いたジムであるが、ふと違和感を感じる。それは船内に他の人の気配を感じないこと。不審に思ったジムが調べてみると、実は工程はまだ出発から30年の地点で、到着までは90年あるとわかる。慌てて冬眠ポッドに戻るも再び冬眠には戻れないとわかる。『エイリアン』でリプリーがネコのジョンジーと冬眠ポッドに1人で入ったのと比べると、まだ技術はそこまで進んでいないのだろう。

焦ったジムは、クルーを起こそうとするが、クルーの冬眠スペースは頑丈に防御されていて入れない。話し相手はバーテンロボットのアーサーだけ。広い船内にたった一人。あと90年しないと誰も目覚めないという絶望的状況。何とか地球に連絡を取ろうとするが、返事が返ってくるのは55年後。どうすることもできない。虚しく時間が過ぎる中、せめてスィートルームを占拠して贅沢に過ごそうとする。しかし、持っているIDがランクの低いものであり、IDで支給される食事はわびしいものなのは更なる悲劇かもしれない。

アヴァロン号が目的の惑星に到着するまであと約90年。そのままでは孤独に寿命を迎えることになる。船内にはエンタテイメントシステムがあって、それなりに時間を潰すことはできる。ある時、ジムはエアロックから宇宙服を着て船外へとでる。宇宙遊泳で見る生の宇宙空間は、状況が状況でなければ感動的だろう。孤独感に耐えられなくなったジムが、思わず宇宙服を着ないまま外扉を開くスイッチを押そうしたのもよくわかる。そして1年が経過する・・・

ある日、ジムは冬眠ポッドで眠る作家のオーロラを見て一目惚れしてしまう。彼女の事を調べていくうちにある誘惑が生まれてくる。それはオーロラを目覚めさせること。しかし、それは禁断の行為。それをすれば彼女もまた目的地に着く前に老いて死ぬことになる。迷いに迷い、葛藤した挙句、とうとうジムは冬眠ポッドを操作して彼女を目覚めさせてしまう・・・

同じ状況に置かれたら自分だったらどうするだろうと考えてみる。ジムの行為は確かに許されないかもしれない。のちに事実がバレて、ジムはオーロラに「殺人だ」と非難される。それもその通りであるが、もしも訴えられたら判決はどうなるのだろうと想像してみるが、現行の法律はこういう事態に当然ながら対応していない。一方、そんなシリアスなストーリーは別にすると、360度の星の海は絶景だろうし、途中アクシデントで船内が無重力状態になり、プールで泳いでいたオーロラが溺れそうになるなど、宇宙空間の不思議は魅力的だ。

オーロラは、ジムに目的地に着いたら1年で地球に戻るのだとその計画を語る。そして250年後の地球を見てみるのだと。こういう「タイムトラベル」も可能なわけである。いつか人類は本当にこんな体験をするのだろうか。そう考えると夢がある。そんなロマンチックな夢想に浸る暇もなく、ストーリーでは当然ながら波乱の出来事が生じる。結果論から言えば、もしもジムが目覚めていなければ、船は大変な大惨事になっていただろう。ジムの人生にもそういう意味で大きな意味があったわけである。

ストーリーとしては、その面白さは設定の妙によるのだと思う。映像の見事さも相まって、いろいろと楽しい想像をしながら映画の世界に浸れる。こういうのはいいなぁと個人的には思う。主演のジェニファー・ローレンスもすっかり美しい女優さんになって、これからますます出演作が楽しみである。映画の楽しみを深く味わえる一作である・・・


評価:★★☆☆☆






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2017年09月10日

【ゴースト・イン・ザ・シェル】

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原題: Ghost in the Shell
2017年 アメリカ
監督: ルパート・サンダース
出演: 
スカーレット・ヨハンソン:ミラ・キリアン少佐
ピルウ・アスベック:バトー
ビートたけし:荒巻
ジュリエット・ビノシュ:オウレイ博士
マイケル・カルメン・ピット:クゼ
チン・ハン:トグサ
ダヌシア・サマル:ラドリヤ
ラザルス・ラトゥーエル:イシカワ
泉原豊:サイトー
タワンダ・マニモ:ボーマ
ピーター・フェルディナンド:カッター
アナマリア・マリンカ:ダーリン
桃井かおり:草薙素子の母

<シネマトゥデイ>
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『スノーホワイト』などのルパート・サンダーズが監督を務め、士郎正宗のSF漫画「攻殻機動隊」を、スカーレット・ヨハンソンやビートたけしらを迎えて実写映画化。近未来を舞台に、脳以外は全身義体の少佐が指揮する捜査組織公安9課の活躍を描く。『イングリッシュ・ペイシェント』などのジュリエット・ビノシュや『シルク』などのマイケル・ピットらが共演。敵と対峙する公安9課を、どのように描くのかに注目。
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『攻殻機動隊』のハリウッド実写版とあって、興味津々で観た映画。主演がスカーレット・ヨハンソンというところも魅力的である。

冒頭、1人の女性が死の間際にあり、かろうじて脳を取り出し義体に組み込まれる。そして彼女は復活し、公安9課に配属される。脳以外は全て義体化されたミラ・キリアン少佐は、ある会合を監視している。そして何者かが会合参加者を襲撃する。芸者型のロボットが登場し、ミラがたちまちのうちに襲撃者を一掃する。ツカミとしては期待値を上回る。

公安9課が追うのはハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバー技術の破壊をもくろんだテロ事件。科学者たちが次々と襲われていく。少佐は同僚のバトーらと共に捜査にあたるが、やがて一連の事件を起こしているのは「クゼ」という男だとわかる。破壊した芸者ロボットに「ダイブ」し、危うく命を落としそうになりながらも、少佐はあるナイトクラブを突き止める。

そこはヤクザが仕切る場所。少佐はたちまちヤクザに目をつけられ、バトーとともに大乱闘。ここでの少佐の電脳アクションがまたいい。そしてクゼが潜んでいる部屋を突き止めるが、逆にトラップにかかり、2人は吹き飛ばされる。バトーをかばった少佐は爆風を受けて「壊れる」がすぐに「修理」される。生身のバトーは両目を失い、トレードマークのゴーグルの義眼になる。

『攻殻機動隊』の実写版と言っても、ストーリーや設定は微妙に違う。何より少佐の名前はミラ・キリアンで草薙素子ではない(その違いの理由は後々明かされる)。ストーリーも微妙に異なる。まあ、あまり同じと考えずに、これはこれで観るのがいいのだろう。

それでも相棒のバトーはちゃんと出ているし、上司の荒巻を演じるのはビートたけしだ。見所は多々ある。荒巻と少佐の会話は、日本語と英語。荒巻が巻き舌の日本語で話し、少佐がそれに英語で答える。来るべき近未来はこんな様相なのかもしれないと、ふと思う。ゴミ収集車に襲撃されるエピソードもしっかり描かれている。

ゴミ収集車のエピソードでは、襲撃者は見事に脳をハッキングされ、記憶を移植されている。結婚したことなどない男なのに、家族の話をしている。記憶とは何なのか。脳だけが生身の体ですべて義体となったら、人と呼べるのか。まったく違う記憶を植えられたらどうなるのか。来るべきAI社会に向けて、人間とは何を持って人間と定義すべきなのか。エンターテイメントながら哲学的な問いかけがなされるのは、オリジナルと変わっていない。

アニメ版とはまた違う趣。今やどんなものでも映像表現できるので、下手なアニメよりも迫力が違う。これはこれで、十分に堪能できる。
満足できる一作である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年09月02日

【エイリアン2 完全版】

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原題: Aliens
1986年 アメリカ
監督: ジェームズ・キャメロン
出演: 
シガニー・ウィーバー: エレン・リプリー
マイケル・ビーン: ドウェイン・ヒックス
キャリー・ヘン: ニュート
ランス・ヘンリクセン: ランス・ビショップ
ポール・ライザー: カーター・バーク
ジェニット・ゴールドスタイン:ジェニット・バスクエス
ウィリアム・ホープ:スコット・ゴーマン中尉

<シネマトゥデイ>
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『タイタニック』『アバター』のジェームズ・キャメロン監督がメガホンを取った、『エイリアン』シリーズ第2弾の完全版。凶悪な生命体から逃れた女性宇宙航海士リプリーが、彼らの巣窟である小惑星に戻ってすさまじいバトルを繰り広げていく。前作に引き続きシガーニー・ウィーヴァーがリプリーを演じ、前作には見受けられなかった彼女の母性やタフさを巧みに体現している。アクション色を増した展開に加え、貨物運搬用パワー・ローダーなどのガジェットにも改めて注目。
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初めて『劇場公開版』を観た時に第一作以上の面白さを感じたのがこの作品。それまで、大抵「ヒット作の続編はコケる」というジンクスが当てはまる映画が多かっただけに、前作以上に面白いというのは『ゴッドファーザーPARTU』以来かもしれないと思ったものである。その『完全版』を遅まきながら観た次第である。

遅くなったのにはわけがあって、実は結構映画の内容を覚えているからである。大抵の映画は細かいストーリーなど忘れてしまうのだが、やはり印象的な映画は割と細部まで覚えている。それでもいずれ観たいと思っていただけに、今回の鑑賞となる。『劇場公開版』の134分に対し、この『完全版』は154分。加わった17分のシーンはウィキペディアによると以下の4点だという。

1. リプリーがバークから娘アマンダの消息を聞かされる場面。
2. ニュートの一家が異星の宇宙船を調査して父親がエイリアンに寄生される場面。
3. セントリーガンに関する描写。
4. リプリーがニュート救出に向かう前にヒックスとファーストネームを教え合う場面。
正直言って、観ていてわかったのは「2」だけであった。他は、「言われてみればそうだな」というところである。

前作のラストでノストロモ号を爆破したリプリーは、ネコのジョンジーとともに脱出艇で冷凍睡眠に入る。その脱出艇は、地球周回軌道を通り過ぎ、危うく宇宙の漂流者になるところで発見・救助される。病院で目覚めたリプリーは、ウェイランド・ユタニ社の社員バークから、57年間も宇宙を漂っていた事を知らされる。そして当時11歳になろうとしていた娘アマンダがつい最近、自分より先に年老いて他界した事を告げられる。

これは、『インター・ステラー』でも描かれていたことで、宇宙を旅していると時間の流れが違っていて、親子の年齢が逆転することもありうるという理論である。そんな時代になったらどうなるのだろうかは、もう想像するしかない。子供を残さず娘は老いて亡くなり、そんな状況がもう一度LV-426を向かうという決意をリプリーにさせたのかもしれない。

会社の査問会ではノストロモ号を爆破した責任を問われ、エイリアンとの遭遇については信じてもらえないリプリー。しかし、会社の方はそれをしっかり受け止め現地に指示を出している。現地ではリプリーの証言に基づいて調査を行い、そして例の宇宙船の残骸を発見する。妻子とともに調査に赴いた担当者は、顔面にエイリアンが張り付いてしまう。このあたりの経緯はこの『完全版』で明らかにされる。これがのちのバークの行動の背景ともなり、物語に厚みをもたらす。

追加されたシーンは、いずれもこの「物語に厚みをもたらす」という意味で十分生きていると思う。154分の長さもまったく苦にならない。原題も前作の“Alien”から、“Aliens”へとなっており、“This time, It’s War”というキャッチフレーズにもある通り沢山のエイリアンと対峙することになる。そのバトルも見所であるが、随所で見られるドラマもまた見所。

今回追加されたリプリーとヒックスがファーストネームを教え合うシーンも良かったし、オリジナルにあったバスケスとゴーマン中尉の自爆シーンも胸を打つ。前作の成功があって、それ以上に仕上げるところはさすが「ジェームズ・キャメロン監督」なのかもしれない。できれば最初から『完全版』を公開してくれていたらと改めて思う。

心に残る映画は何度観てもやっぱり面白い。つくづく、そう思わせてくれる映画である・・・


評価:★★★★☆



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2017年08月15日

カイト/KITE

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原題: Kite
2014年 アメリカ
監督: ラルフ・ジマン
出演: 
インディア・アイズリー:サワ
サミュエル・L・ジャクソン:カール・アカイ
カラン・マッコーリフ:オブリ
カール・ボークス:ソーンヒル
テレンス・ブリジット:スタギー
デオン・ロッツプ:リンズルー
ライオネル・ニュートン:オーティス・ブリードラブ

<映画.com>
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1998年にアダルトアニメとして発表され、海外でもカルト的人気を誇る梅津泰臣監督のエロティックバイオレンスアクション「A KITE」を、サミュエル・L・ジャクソンらの出演で実写映画化。少女たちが売買されるモラルの崩壊した近未来を舞台に、両親を殺され、暗殺者として育った少女サワの戦いや葛藤を描く。少女たちが人身売買組織に性の奴隷として売り買いされる近未来。幼い頃に組織によって両親を殺されたサワは、父の相棒だった刑事アカイに暗殺者として育てられる。組織への復讐のため、娼婦になりすまして男たちを暗殺していくサワは、精神のバランスを保つ薬「アンプ」の副作用で記憶が薄れていくなか、組織のボスに接近していくが、やがて残酷な真実が明らかになる。サワ役は名女優オリビア・ハッセーの娘インディア・アイズリー。「セルラー」「スネーク・フライト」などで知られるデビッド・R・エリスの監督で撮影に入ったが、エリス監督がその途中で死去。ミュージックビデオなどを手がけてきたラルフ・ジマンがメガホンを引き継いだ。
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経済が崩壊し、無法地帯と化した近未来。そこでは少女が「商品」として売買され、そのため各グループは少女の拉致を繰り返している。そんな中、1人の男が赤い髪の女を連れてエレベーターに乗り込む。住人と思しき老婆がエレベーターに乗り合わせ、男に対する蔑視を向ける。忌々し気に老婆を足蹴にする男。そんな男の一瞬のスキを突き、赤髪の女は男を蹴倒すと、銃を抜き男の頭を撃ち抜く。数秒後、男の頭部は破裂し、脳が飛び散る・・・

なかなかいい掴みの映画である。少女が見事な腕前でアクションをこなすというのは、『ニキータ』以降確立されたジャンルだと思うが、この映画でも主人公は少女サワ。不思議な名前だと思っていたら、どうやらオリジナルは日本のアニメだという。それもアダルトアニメだというが、アダルトアニメには接触する機会もなく、当然まったく知らない。よくそんなところまでリサーチしているものだと感心してしまう。

エレベーターの中で頭を吹き飛ばされて死んだ男について、警察は捜査にくる。担当するのは刑事のカール。目撃者の証言から犯人は少女であることされるが、カールはそれを否定して現場を去る。そして、そのまま何とカールはサワを訪ねて行く。そこでカールはかつてサワの父親の相棒であり、父を殺したエミールに復讐しようとしているという事情がわかってくる。サワはアンプというクスリをやっているが、それは一方でサワの記憶を奪うものでもある。

次にサワは、娼婦に変装しエミールの元に乗り込む。うまく紛れ込んだサワは、エミールの父親をベッドへ誘い、油断したところでのどを掻き切る。そこを脱出したサワは、道中、自分のことを呼ぶ青年オブリに声をかけられる。オブリはサワの知り合いだと言うが、アンプの効果で記憶が曖昧になっているサワは思い出せない。それどころか、目の前で殺された両親の顔すら忘れかけている。オブリはそんなサワにアンプを止めろと忠告する・・・

こうしてサワの復讐劇が進んでいく。陰でそれをサポートする刑事カールを演じるのは、あらゆる作品に出演している感があるサミュエル・L・ジャクソン。味方なのにどこか裏がありそうな癖のある刑事は実にピッタリである。少女アクションモノと言っても、その格闘アクションは、それほどの切れ味ではない。切れ味的には『ハンナ』の方がはるかに上だろうと思う。ただし、世紀末的な雰囲気の中で危うげなアクションは、独特の味わいがある。

結局のところ、物語を支えているのは世界観かもしれない。荒廃したとはいえ、『マッドマックス2』の世界よりはまだまし。混沌の中にも一応警察秩序はある。そんな中で、一人の少女がクスリで記憶を失いつつも復讐に燃えて行動する。ラストに至る展開は何となく予想できたが、ストーリーの面白さもあってまずまずである。

残念なのは、もともとアダルトアニメという部分を封印し、無難に実写化したところだろうか。この手のものであるなら、原作に忠実にやってもらっても良かったと思う。密かに、それを期待したい一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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