2025年10月17日

【恋は雨上がりのように】My Cinema File 3076

恋は雨上がりのように.jpg
 
2018年 日本
監督: 永井聡
原作: 眉月じゅん
出演: 
小松菜奈:橘あきら
大泉洋:近藤正己
清野菜名:喜屋武はるか
磯村勇斗:加瀬亮介
葉山奨之:吉澤タカシ
松本穂香:西田ユイ
山本舞香:倉田みずき
濱田マリ:久保
戸次重幸:九条ちひろ
吉田羊:橘ともよ

<映画.com>
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冴えないファミレス店長に片思いした女子高生の恋の行方を描き、テレビアニメ化もされた眉月じゅん原作の同名コミックを、『渇き。』の小松菜奈と『アイアムアヒーロー』の大泉洋共演で実写映画化。怪我で陸上の夢を絶たれた高校2年生の橘あきらは、偶然入ったファミレスの店長・近藤正己の優しさに触れたことをきっかけに、その店でアルバイトをはじめる。45歳の近藤はあきらより28歳も年上で子持ちのバツイチだったが、あきらは密かに近藤への恋心を募らせていく。ついに思いを抑えきれなくなったあきらは告白するが、近藤は彼女の真っ直ぐな気持ちを受け止めることができず……。「帝一の國」『世界から猫が消えたなら』の永井聡が監督を務める。
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主人公は17歳の高校生橘あきら。ファミリーレストラン・ガーデンでアルバイトをしている。美人なのだが目つきが悪く、周りには冷たい印象を与えている。あきらが働いているガーデンでは、近藤正己が店長をしているが、45歳のバツイチで子持ちであり、客にペコペコと謝る姿をバイト仲間は冷ややかに見ている。しかし、あきらだけは近藤を違う視線で見ている。あきらは、高校の陸上部のホープだったが、アキレス腱を断裂し、競技生活を諦めていた。しかし、その根底には諦めきれない思いを抱えている。

そんなある日、客が携帯を忘れていく。慌てて店員が呼び止めるも、相手は自転車であり追いかけるのを諦めてしまう。しかし、そこであきらは携帯を受け取ると猛然と駆け出し、自転車の客に追いつく。どうやらアキレス腱断裂からは回復しているようであるが、いきなり走ったせいかあきらは足に激痛が走り、倒れこんでしまう。あきらを病院に運び込んだ近藤は、そこであきらの怪我を知る。後日、近藤は見舞いを兼ねてあきらを訪ねてくる。2人でファミレスに入るが、そこであきらは思い切って近藤に好きですと告白する。

近藤とあきらには28歳の年の差がある。近藤はその告白が恋愛感情だとは思わず、ありがとうと返事をする。そこで近藤は簡単な手品を披露するが、実はあきらが近藤を好きになったのもその手品が関係している。アキレス腱を断絶し、治療中の病院の帰りにたまたまガーデンに立ち寄ったあきらは、そこで近藤に親切にされ、そのさりげない優しさに癒されて以来、近藤に惹かれるようになったのである。そういうことが現実にあるのかと思うも、これはそういうドラマなのである。そういうこともおそらくあるのだろうと思いたい。

突然28歳年下の女性に告白されたらどうするだろう。良識ある大人であれば鼻の下を伸ばしてすぐに飛びつくことはしないだろう。近藤も善人であり、大人の対応に終始する。一方のあきらは、今もなお陸上部には未練があるようで、部活を見学に行き親友のはるかや後輩たちと顔を合わす。しかし、自分が断念した世界で日々成長している仲間の姿を見て、あきらは複雑な気持ちになる。そしてその思いはそのままストレートに近藤に向かう。物語は28歳差という年齢差を抱えたあきらの思いが中心になる。

実際、自分だったらどうするだろうと映画を観ながら妄想してしまう。そんな事態になったとしたら、ウキウキというより戸惑ってしまうのかもしれない。同じ28歳差でも相手の年齢の影響も大きい。30代以上であればまだしも、高校生となれば何もできないだろう。そう思うと近藤の言動はよく理解できる。それでもあきらに押されてデートの約束をしなくてはならなくなるが、そこまでだろうと思う。戸惑いと喜びとがないまぜになって、最後まで大人の態度を取る近藤。

途中、その気持ちがガーデンの同僚・加瀬にバレてしまい、内緒にしてもらう代わりにデートしなければならなくなる。仕方なくデートに行くが、あきらは普段着であり、終始不機嫌な顔。されど近藤とのデートでは綺麗に着飾り、加瀬と同じ映画を観ながら楽し気に過ごす。その乙女心がいじらしい。そして近藤はあきらに近藤が行きたいところに連れて行ってほしいとお願いされると、図書館に連れて行かれる。そこであきらは近藤が本好きで、学生の頃から小説を書いていることを知る・・・

女子高生の恋愛ドラマにはあまり反応しなくなっているが、この映画には「夢」があり観ていて心地良い。小説家と陸上競技のそれぞれの夢を諦めきれない2人が接近する。されどやはり中年男にとって女子高生は(良識ある者にとっては)ハードルが高い。一方でアキレス腱断裂という怪我は決して再起不能というわけではない。しかし、互いに接近したことにより諦めかけていたものに向かうことになる。そんな2人の姿は観ていて心地良い。

現実的にどうかというよりも、一時妄想に浸ってみることができるというのがいいだろう。まさに雨上がりのように清々しい恋愛ドラマである・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年09月05日

【寝ても覚めても】My Cinema File 3057

寝ても覚めても.jpg
 
2018年 日本・フランス
監督: 濱口竜介
出演: 
東出昌大:丸子亮平/鳥居麦
唐田えりか:泉谷朝子
瀬戸康史:串橋耕介
山下リオ:鈴木マヤ
伊藤沙莉:島春代
渡辺大知:岡崎伸行
仲本工事:平川
田中美佐子:岡崎栄子

<映画.com>
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4人の女性の日常と友情を5時間を越える長尺で丁寧に描き、ロカルノ、ナントなど、数々の国際映画祭で主要賞を受賞した「ハッピーアワー」で注目された濱口竜介監督の商業映画デビュー作。第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された。芥川賞作家・柴崎友香の同名恋愛小説を東出昌大、唐田えりかの主演により映画化。大阪に暮らす21歳の朝子は、麦(ばく)と出会い、運命的な恋に落ちるが、ある日、麦は朝子の前から忽然と姿を消す。2年後、大阪から東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな顔の亮平と出会う。麦のことを忘れることができない朝子は亮平を避けようとするが、そんな朝子に亮平は好意を抱く。そして、朝子も戸惑いながらも亮平に惹かれていく。東出が麦と亮平の2役、唐田が朝子を演じる。
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主人公は泉谷朝子。どこか不思議な雰囲気のある女性で、とある写真展にやってくる。展示作品を眺めていると、1人の男が鼻歌を歌いながら通り過ぎていく。朝子は特に男を意識することなく、偶然同じ方向に歩いていく。美術館を出たところで左右に分かれていく瞬間、子供たちが遊んでいた爆竹が炸裂して無邪気にはしゃぐ彼らに挟まれる形で二人は顔をあわせる。すると男は朝子に近づき、言葉も交わさず2人はキスを交わす。それを機に2人は付き合うようになる。

そんな2人の馴れ初めを朝子は飲み会の席で友人の島春代たちに語る。しかし、春代は「あの男はあかん。しばらくしたら泣くことになる」と忠告するが、そんな忠告は「恋は盲目」の最中にある当事者には伝わらない。男の名は麦(ばく)。麦は朝子をバイクに乗せて走るが、事故で2人とも道路に投げ出されてしまう。しかし、2人は笑いながら道路に寝転んだままキスをする。事故の相手が戸惑ったように2人を見下ろしているのが何とも言えない。

麦は朝子の大学の知人である岡崎伸行の家に下宿している。朝子と麦、春代はしばし岡崎の家に集まって食事をしたり花火をして楽しい時を過ごす。ある夜、麦は「パンを買いに行ってくる」と言って出ていく。ところが、朝子がいつの間にか眠ってしまい、夜が明けて目を覚ますと麦がまだ帰ってきていない。あわてる朝子に岡崎はよくある事とこともなげに言う。やがて麦は帰ってくるが、それからしばらくして「靴を買いに行く」と言って出て行った麦は、とうとう帰ってこない。

それから2年の月日が過ぎる。サラリーマンの亮平にとっては東京勤務になった初日、会議を終えた部屋に隣の喫茶店から配達したコーヒーポットを店員が取りに来る。それが朝子。朝子も東京に出てきていたが、朝子は亮平の顔を見て目を見張る。亮平は麦に瓜二つであった。自分を見て凍りついている朝子の様子を不思議に思う亮平。その日から亮平も朝子のことが気になり、毎朝、喫茶店の前を通っては中を覗くようになる。それからしばらくして、亮平は偶然、朝子とその友人、鈴木マヤにギャラリーの前で出逢う。入場時間を過ぎていたが、亮平は咄嗟に間に入り、入場を許可させる。

これを機に3人は親しくなる。亮平は、会社の同僚の串橋耕介を誘い、マヤと朝子が住む部屋を訪ねる。マヤは舞台女優をしており、それを批判した串橋と険悪な雰囲気になるが亮平と朝子のとりなしで和解する。朝子に対する気持ちが募る亮平。やがて亮平は朝子に告白し、2人は付き合うようになる。そのまま順調に付き合いが深まるかと思われるが、ある日、突然、朝子は「私のことは忘れて」と亮平に告げて姿を消してしまう・・・

朝子の前から突然姿を消した麦。もともと気まぐれで自由人なのだろう。そんな麦が忘れられない朝子。そして2年後に出会ったのは麦と瓜二つの亮平。亮平は麦とは違って常識人の真面目なサラリーマン。同じ顔でも性格は正反対。ジュディ・オングは「好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る」と歌ったが、亮平と暮らすようになっても朝子の心のどこかにまだ麦がいる。そして久し振りに再会した春代から朝子は麦が芸能界に入り、活躍している事を教えられる。いなくなれば諦めもつくのだろうが、その存在を知ってしまった朝子がどう思うのか。

男の恋は「名前をつけて保存」、女の恋は「上書き保存」と言われる。それで言えば、朝子の麦に対する思いは気にする事もない。しかし、朝子は「好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る」。大阪転勤を機に亮平からプロポーズされ、新居も決まるがそんな2人の前に気まぐれ自由人麦が、「迎えにきたよ」と現れる。どう見ても亮平の方が安定した人生という意味では確かに思えるが、得てして自由奔放な男に女は惹かれるものなのだろうか。

亮平も朝子に「過去の男」がいる事に気づいている。そしていつか過去の男に戻ることを恐れている。自分が亮平の立場だったらどうするだろうかと想像してしまう。きっと相手の女性の魅力度にもよるが、たぶん違う行動を取るだろう。そういう想像もまた映画を観る上での面白いところなのかもしれない。いずれにせよ、個人的には主役の2人に共感できる部分はなく、淡々と眺めた感のある映画である。いろいろとある恋愛風景の1つとしては面白いかもしれない。そんな感想を抱いた一作である・・・


評価:★★☆☆☆







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2025年04月14日

【愛がなんだ】My Cinema File 2993

愛がなんだ.jpg
 
2019年 日本
監督: 今泉力哉
原作
角田光代
出演: 
岸井ゆきの:テルコ
成田凌:マモル
深川麻衣:葉子
若葉竜也:ナカハラ
江口のりこ:すみれ

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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直木賞作家・角田光代による同名恋愛小説を「パンとバスと2度目のハツコイ」の今泉力哉監督が映画化。28歳のOLテルコは仕事も友情もそっちのけで、片思いするマモルのことを最優先にしている。しかしマモルはテルコを都合のいい女としか見ておらず……。恋愛映画の旗手・今泉力哉監督が、おかしくて苦い一方通行の恋と向き合う。振り向いてもらえない相手を追いかけるテルコを「おじいちゃん、死んじゃったって。」の岸井ゆきのが、彼女が片思いするマモルを「チワワちゃん」の成田凌が演じる。
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主人公はごく普通のOL山田テルコ。半年前にあまり親しくない知人の結婚式で知り合った田中マモルに思いを寄せている。その日、マモルから連絡がある。風邪をひいて寝込んでおり、朝から何も食べていないので、まだ会社にいるなら帰りがけに何か差し入れて欲しいと言う。もうすでに家にいたテルコだが、今から帰るところと偽り二つ返事であれこれと買い込んでマモルの家に向かう。

甲斐甲斐しくおかゆを作り、挙句に風呂掃除までするテルコだが、マモルは満足すると深夜にもかかわらず、テルコを帰らせる。テルコも後先考えないタイプなのか、タクシーで帰るにも財布に数百円しか残っておらず、慌てて友人の葉子に連絡して家に転がり込み、タクシー代の支払いをしてもらう。突然押しかけられた葉子も年下のナカハラが部屋にいたが、これを理由に帰るように言う。

テルコは思い込んだら一途なのか、マモル一筋に突っ走る。仕事中もマモルの事を考えて上の空。金曜日は呼び出される可能性が高いからと必要もない残業をして時間をつぶす。しかし、とうのマモルにはそれほどテルコに対する思いがあるようには思えない。ある夜、いつものように呼び出されたテルコはマモルと朝まで飲み明かし、挙句に誘われるまま肉体関係を持つが、それでもマモルはテルコを恋人とは見なしていない。

そんなテルコに葉子は再三警告をする。マモルの態度が気に食わない葉子はテルコにマモルと付き合うのはやめろと言うが、テルコは聞く耳持たず。そんな葉子もナカハラをいいように呼び出しては使っている。マモルに夢中になったテルコは、とうとう会社をクビになる。それでもテルコにとっては大きな事ではない。なのにマモルからの連絡が途絶え戸惑うテルコ。やむなく再就職先をさがすも、マモルから連絡があると、再就職もそっちのけでマモルの下へと駆けつける・・・

相手に夢中になると、すべてを相手に向けてしまうタイプの者がいるが、テルコもナカハラもそんな典型的なタイプ。そうしてそれをうまく利用する者もまたいる。マモルも葉子もそんな典型で、マモルはテルコを便利な女としか思っていない。暇な時に呼び出して好きにやれる女がいれば、男は本命とは別にキープしておきたいと思うものだろう。そんな都合のいい女になっているテルコはそんな立場に気付いているのだろうか。それでも「付き合ってくれ」と言われていないことは自覚している。

挙句にマモルは年上のすみれという女性に好意を寄せ、あろうことかテルコにもすみれを紹介する。すみれはタバコも吸うし、がさつでマモルの事もなんとも思っていない。それでもテルコはスミレに対する反感を抑え、マモルが喜ぶのでスミレと一緒に会ったりする。ここまでくると異常なのであるがテルコの異常さはさらにスケールアップしていく。男の立場に立てばマモルの考えはよくわかるが、たとえばテルコの家族の立場に立てば許せないとなるだろう。

そんな思いが交錯する中、マモルに対する思いを募らせるテルコは突拍子もない行動に出る。そこまでするかと思うも、それだから映画になるのかもしれない。男としてはマモルの気持ちはよくわかるが、テルコに感情移入は難しい。そのあたりが複雑な気持ちにさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月24日

【きみの瞳(め)が問いかけている】My Cinema File 2986

きみの瞳(め)が問いかけている.jpg
 
2020年 日本
監督: 三木孝浩
出演: 
吉高由里子:柏木明香里
横浜流星:アントニオ篠崎塁
やべきょうすけ:原田陣
田山涼成:大内会長
野間口徹:尾崎隆文
岡田義徳:坂本晋
奥野瑛太:久慈充

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督が手がけるラブストーリー。不慮の事故で視力を失った明香里を吉高由里子が、罪を犯しキックボクサーの夢を失った塁を横浜流星が演じ、互いに惹かれ合うも残酷な運命に翻弄されていく男女の姿を描く。チャールズ・チャップリンの名作『街の灯』をモチーフにした韓国映画『ただ君だけ』のリメイクで、世界で活躍する韓国出身の人気グループBTSが主題歌を担当している。
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無口で暗い表情の若者が酒屋の配達のバイトを黙々とこなす。重い酒樽を持って階段を上り下りし、体力勝負の仕事である。それが終わればネットカフェで眠る。若者は元キックボクサーの塁。あるビルの管理の仕事の募集を見かけ、夜はそこでも働くようになる。前任者のおじいさんは、突然姿を消したとの事で、寝起きしていた管理室には生活の跡がそのまま残っている。新しい仕事場での勤務初日。管理室に見知らぬ女性がずかずか入ってきて、親しげに塁に話しかけながら、差し入れを渡す。どうやら目が不自由なようで、塁を前任者と勘違いしている。

その女性の名は明香里。前任者のおじいさんとは親しくしていて、一緒にテレビドラマを見ていたそうである。人違いと気づいた明香里は、管理室から慌てて出ていこうとするが、雨が降り始めたこともあり、塁は、管理室でドラマを見ていくよう声を掛けて引き止める。楽しそうにドラマを見終えると、管理室の入り口にある金木犀の鉢植えの水やりを忘れないように告げて明香里は帰って行く。

明香里はコールセンターで働いている。なるほど、目が見えない者でも働くことができる職場の1つである。上司は明香里に優しいが、さりげなく肩に手を置く。それは今の基準ではセクハラ認定されてもおかしくない。その頃、塁はかつて所属していたキックボクシングジムを訪れ、会長とコーチに謝罪する。どうやら突然姿を消したようである。コーチの話から塁は有望だった事がわかる。そしてコーチは復帰を促すが、塁は断る。

1週間後、明香里が再び管理人室にやって来る。お気に入りのテレビドラマがあるようである。金木犀の香りに満足する明香里。管理人室に入るとさり気なく窓を開けてもいいかと尋ねる。履き古したスニーカーが異臭を放っている事に気づく塁。テレビドラマのヒロインに夢中になる明香里。不愛想な塁も少しずつ表情に笑顔と言葉が増えていく。そして次の週、塁はスニーカーを新調し、身だしなみを気にしながら明香里が来るのを待つ。

なぜか名前を尋ねられた塁は答えられない。転んで足をくじいた明香里を塁は自宅まで送る。最後はおぶって長い階段を登り、自宅に辿りつく。ついでに排水口のつまりも直してくれた塁へのお礼に、明香里はコンサートのチケットを渡す。一緒に行く相手がいないと断ろうとする塁だが、明香里の提案で一緒にコンサートに行く約束をする。そして2人でコンサートに行く。こうして2人は少しずつ距離を縮めていく。

コンサートの後、明香里の希望で焼肉屋へ行く2人。目が見えないというのは、健常者にはわからない不便がある。食事中、明香里は肉を落として来ていたニットを汚してしまう。しかし、本人には汚れをうまくふき取れない。それを塁も指摘できない。距離が縮んだり少し離れたり。恋愛というものはそんなものかもしれない。それでも明香里は目が見えなくなった経緯が事故にあり、その事故で両親がなくなっている事を語る。塁も不器用ながら自分のことを打ち明ける。名前はアントニオ・篠崎塁。

2人の恋愛に絡んでくるのが明香里の職場の上司。コンサートのチケットも上司のプレゼントであり、その日もネックレスの入ったプレゼントを渡され、食事に誘われる。一方、塁も実は刑務所に入っており、その原因は施設で一緒に育った半グレ集団のリーダー恭介。恭介は塁に地下格闘技の試合に出場するように迫ってくる。2人の恋愛の前に漂う暗雲。そして2人は過去にそれと知らずに意外な接点があったことがわかる。

恋愛ドラマに障害はつきもの。そして半グレ集団との付き合いは大きな障害。目が見えない女性との恋愛ドラマは過去にもあったが、ヒロインの明香里を演じるのは吉高由里子。お相手は横浜流星で、ともに美男美女であることは否定しないが、何となく吉高由里子が演じるのは違和感がある。2人の年齢差もあるが、吉高由里子が若々しい恋愛ドラマの主人公というのがどうもピンとこない。原作があってその設定がそうなっているのだろうかと思ったりする。

個人的にはこの手の恋愛ドラマは少々合わなくなってきていると感じる。ラストの展開で浜辺で2人が再会するシーンも心は物語の中に入っていけない。それはストーリーの限界か自分の年齢によるものかはよくわからない。そろそろこの手の恋愛ドラマからは卒業なのかもしれない。それでもラストの展開がもう少し自然であったら、という思いはある。韓国ドラマのように無理にドラマチックにし過ぎてコケた印象がある。ラストがもう少し自然であれば、感情移入できたかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月23日

【余命10年】My Cinema File 2973

余命10年.jpg

2022年 日本
監督: 藤井道人
原作小坂流加
出演: 
小松菜奈:高林茉莉
坂口健太郎:真部和人
山田裕貴:富田タケル
奈緒:藤崎沙苗
井口理:三浦アキラ
黒木華:桔梗
田中哲司:平田先生
原日出子:百合子
リリー・フランキー:梶原
松重豊:明久

<映画.com>
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小坂流加の小説を原作にしたラブロマンス。難病で余命10年の女性と、彼女の同窓生である男性が恋に落ちる。メガホンを取るのは『宇宙でいちばんあかるい屋根』などの藤井道人。主演は『恋する寄生虫』などの小松菜奈、『仮面病棟』などの坂口健太郎。『おとなの事情 スマホをのぞいたら』などの岡田惠和、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」などの渡邉真子が脚本を務め、『天気の子』などのRADWIMPSが音楽を手掛けている。
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物語は2011年から始まる。入院していた主人公の茉莉は、同室の患者からビデオをもらう。その患者は幼い子を残して亡くなる。茉莉はまだ二十歳だが、10年以上生きる人はほとんどいないといわれる難病の肺動脈性肺高血圧症を患っている。2年間という長い入院生活を終えて退院の日を迎えた茉莉は、もらったビデオを回しながら家族と共に帰宅する。学生時代の友人たちとも再会し、楽しく過ごした帰り道、沙苗から出版社で一緒に働かないかと誘われるが、茉莉は笑顔で断る。

2014年。病気は小康状態。茉莉は、久しぶりに同窓会に出席する。茉莉は病気のことは隠し、東京でOLをしているとみんなに嘘をつく。地元に残っているのが大半な中、茉莉と同じように東京に出ている和人と再会する。一次会が終わると、飲み過ぎて気分が悪くなった和人を介抱しながら、茉莉は学生時代の思い出話をする。何かを思いつめたような表情の和人は、その後、自室のベランダから飛び降りる。幸いにも命をとりとめた和人。親とは絶縁しているようで、行きがかり上、茉莉は同じく同窓生のタケルと一緒に見舞う。

和人なりに生きる事に意味を感じられずの行動だが、余命宣告を受けている茉莉には受け入れられるものではない。そんな気持ちを隠して席を立つ茉莉。後日、病院で茉莉が母親といるのをみかけた和人は、茉莉の母親が病気だと勘違いし、茉莉が自殺しようとした自分に腹を立てたのは母を思ってのことだと和人は誤解する。茉莉とタケルが「焼き鳥屋げん」で開いてくれた退院祝いの席で、和人は茉莉に謝る。帰り道の桜並木でカメラ撮影をしながら茉莉は、和人と話をする。今後の展開を予感させる雰囲気である。

やがて茉莉は在宅で沙苗の出版社のウェブライターの仕事を始め、和人も「焼き鳥屋げん」で働き始める。それぞれ前を向いて歩いていく。2016年、茉莉の姉の桔梗が結婚する。茉莉は陰で親戚が自分の病気の事を話しているのを聞いてしまう。和人との関係は良好だが、余命を考えて恋を避ける茉莉は、和人から告白される。しかし、ひどい息切れを起こしてその場に倒れて救急搬送され、茉莉の病は和人の知るところとなる・・・

タイトルからして死別系悲恋モノという感じがしていたが、どうやら実話をベースとした小説が原作のようである。ふだん、当たり前のように生きている我々は、命が無限だとは思わないが、その期限を意識することはない。しかし、病気などで余命を知らされると、途端に生きる日々が大事になる。茉莉は「あと10年しか生きられないとしたらあなたは何をしますか?」とした小説の執筆に取り掛かる。それを読んだ友人の沙苗は、涙を流しながら世に出そうと話す。

余命宣告を受けてしまうと、相手の事を考えると恋愛には消極的になる。それは相手の時間を奪う事にもなり、どうしても遠慮が出てしまう。茉莉もそうして身を引くが、帰宅して母親にすがり、もっと生きたいと言って泣くシーンは心に迫るものがある。もしも、自分の娘だったらと親としては切なく思う。単なる「お涙頂戴悲恋ストーリー」を予想していたらちょっと違った。主演の2人の共演も好印象の映画である・・・


評価:★★★☆☆








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