2018年06月12日

【とらわれて夏】My Cinema File 1933

とらわれて夏.jpg

原題: Labor Day
2013年 アメリカ
監督: ジェイソン・ライトマン
出演: 
ケイト・ウィンスレット:アデル・ウィーラー
ジョシュ・ブローリン:フランク・チェンバース
ガトリン・グリフィス:ヘンリー・ウィーラー(少年)
トビー・マグワイア:ヘンリー・ウィーラー(成人)
トム・リピンスキー:青年期のフランク・チェンバース
クラーク・グレッグ:ジェラルド
ブリード・フレミング:エレノア
マイカ・モンロー:マンディ
J・K・シモンズ:ジャーヴィス氏

<映画.com>
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『JUNO ジュノ』「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマン監督が、過去にとらわれた男女が障害を乗り越えて愛し合っていく夏の5日間の出来事を、13歳の少年の視点から描いたドラマ。9月はじめのレイバー・デイ(労働者の日)を週末にひかえたある日、アメリカ東部の小さな町で暮らすシングルマザーのアデルと13歳の息子ヘンリーは、偶然出会った脱獄犯のフランクに強要され、自宅に匿うことになる。危害は加えないと約束したフランクは、アデルの家事を手伝い、ヘンリーには野球を教えて過ごし、ヘンリーはそんなフランクを次第に父のように慕うようになるが……。アデル役に『愛を読むひと』のケイト・ウィンスレット、フランク役に『ノーカントリー』のジョシュ・ブローリン。原作は、J・D・サリンジャーとも同棲していたことのある女性作家ジョイス・メイナード。
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アデル・ウィーラーは、13歳になる息子のヘンリーと暮らすシングルマザー。アデルは離婚後、心を病み、ヘンリーはそんな母を支えている。ある日、アデルとヘンリーがスーパーで買い物をしていると、ヘンリーに男が声をかけてくる。男は脇腹から血を滲ませており、ヘンリーに車に乗せてほしいと頼む。それは頼みではあるが、Noとは言わせない脅しが滲み出ている。アデルは息子の安全を考えて、彼を車に乗せる。そして男の言うまま、自宅へとともに戻る。

その頃、テレビではフランク・チェンバーという受刑者が刑務所を脱獄したと報じている。フランクは、殺人罪で18年の刑期にあったが、盲腸の手術を終えたあと病院から脱走したという。ヘンリーに話し掛けてきた男こそ、脱走犯フランクであった。罪状とは裏腹に、フランクは穏やかで、2人には日没には出ていくと語る。アデルをキッチンの椅子に縛ったものの、フランクは手際よく夕食を作ると2人に食べさせる。
 
フランクは汽車で逃走を考えていたが、翌日は祝日のため汽車が来ず(なんという田舎なのだろう)、やむなくフランクは滞在を延ばす。その間、車の修理や床掃除などの家事をこなす。ヘンリーはそんなフランクから野球やタイヤ交換を教わる。午後、近所に住むジャーヴィスが訪ねてきて、大量の熟した桃を置いていく。するとフランクは2人に手伝わせてピーチ・パイを作る。その頃になると、アデルもヘンリーもフランクに対する警戒心は薄れている。さらに、夜には家を去ると告げるフランクをアデルは引き留める。

離婚して心に空いた穴をいつの間にかフランクが埋めていく。ヘンリーもフランクに気を許し、父親と会ったり、同級生のレイチェルと遭遇したり、近所に住む車椅子の少年バリーを預かることになったりするも、フランクのことは黙っている。そしてとうとう、アデルとフランクは、カナダへ移住する計画を立てるまでになる・・・

 物語は木曜日に始まり、その後の5日間が描かれていく。突然出会った2人が瞬間的に惹かれ合い、そしてかけがえのない存在となっていく。何となくその昔ベストセラーになり、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ主演で映画化もされた『マディソン郡の橋』に似ていなくもない。フランクが殺人を犯す過程には同情すべき余地があり、結婚生活がうまくいかなかったアデルにもまた何度も流産をしたという原因がある。そして健気にもそんな母を支えるヘンリーには、何より母親の幸せを考える気持ちが溢れている。
 
 5日間が過ぎた後の結末は、それはそれで当然なのであるがちょっと物悲しく、しかしその先には心地良い結末が待っている。もっと違う環境で出会っていたなら、もっと違う人生をお互いに歩いていたであろう。そんな物語は、世の中に溢れていそうな気がする。誰の人生にもそんな経験の一つや二つあるのかもしれない。ケイト・ウィンスレットの表情がなんとも言えない味わいを醸し出す。
 観終わったあとに静かに余韻に浸りたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2018年05月17日

【熟れた快楽】My Cinema File 1922

熟れた快楽.jpg

原題: Original Bliss
2016年 ドイツ
監督: スベン・タディッケン
出演: 
マルティナ・ゲデック: ヘレーネ
ウルリッヒ・トゥクール: エドゥアルド
ヨハネス・クリシュ: レーマン

<KINENOTE解説>
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平凡な熟年主婦が内なる性に目覚めていくエロティックドラマ。平凡な生活を送る主婦・ヘレーネは不眠症に悩まされていた。ある日、脳科学者のエドアルドの講演を訪れたヘレーネは、不安定な自分の状態を理解してくれた彼に心惹かれていくが…。********************************************************************************************************

主人公は、ドイツに住むごく普通の主婦ヘレーネ。そのヘレーネは不眠症に悩んでいる。夜中に眠れなくて夫の弁当の支度をし、居間でテレビを見ているうちにいつの間にか寝込んでしまう。夫は黙って弁当を持って出勤していく・・・そんな日々を過ごすが、やはりヘレーネも何とかしようと思ったのか、たまたまラジオで耳にした著名な脳医学者エドゥアルトのことを知り、本屋でその著作を買い求める。

 さらに興味を持ったヘレーネは、本だけでは飽き足らず、エドゥアルトの講演を聞きに行き、直接会って話を聞く。かなり積極的である。そして積極的なのはエドゥアルトもしかり。ヘレーネと話したあと、夕食に誘う。こうしてヘレーネとエドゥアルトは何度か会って話をするようになる。

このエドゥアルトであるが、脳医学者であるのであるが、研究と称してアダルトビデオを見ている。それを正直にヘレーネに話したりするのだが、ヘレーネもその話に聞き入る。普通男女の間でそういう話をするのは、SEXを意識するものなのではないかと思うが、さすがにいい歳した2人はすぐにベッドに行ったりはしない。話だけをして一度は分かれる。

しかし、互いに関心を寄せ合う2人は再び連絡を取り合い、そして再会する。エドゥアルトの部屋を訪れたヘレーネ。その晩、ヘレーネはエドゥアルトの前で全裸になる。しかし、そのまま互いに貪り合うこともないのは、もういい歳したという年齢的なものがあるのかもしれない。そしてヘレーネはエドゥアルトの部屋で寝るが、その部屋には壁一面をアダルトビデオが埋め尽くしている・・・

これは一体どういう映画なのだろうかと訝しく思う。大人の恋愛というには、アダルトビデオを見まくるエドゥアルトにはどうしても感情移入はできない。そしてそんなエドゥアルトとの関係がヘレーネの夫の知るところとなり、なんとこの夫はヘレーネに酷い暴力をふるう。年が年だけに肉体美からは程遠く、また大人の恋愛にありがちな精神的な厚みもない。中高年の恋愛も良いと思うが、どうもこの2人のそれには美しさがない。

 アダルトビデオの鑑賞は仕事のためのような顔をしつつ、それでもそうではないと思う。そんなアダルトビデオの山を目にしてもひるまないヘレーネは、ひょっとしたら「同類」なのかと思ってしまう。恋愛映画というには、そこに入れたくはないし、かといってポルノでもない。恋愛の形は自由だが、映画にするならもう少し美しさを出して欲しかったと思う。

 期待していたということはないものの、観なくても良かったという意味では、他の映画を観れば良かったと素直に思う映画である・・・


評価:★☆☆☆☆







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2018年02月17日

【フィフティ・シェイズ・ダーカー】My Cinema File 1878

フィフティ・シェイズ・ダーカー.jpg

原題: Fifty Shades Darker
2017年 アメリカ
監督: ジェームズ・フォーリー
出演: 
ダコタ・ジョンソン:アナスタシア・スティール
ジェイミー・ドーナン:クリスチャン・グレイ
エリック・ジョンソン:ジャック・ハイド
リタ・オラ:ミア・グレイ
ルーク・グライムス:エリオット・グレイ
ビクター・ラサック:ホセ
エロイーズ・マムフォード:ケイト・キャヴァナー
ベラ・ヒースコート:レイラ・ウィリアムズ
マックス・マーティーニ:ジェイソン・テイラー
キム・ベイシンガー:エレナ・リンカーン
マーシャ・ゲイ・ハーデン:Dr.グレース・トレヴェリアン・グレイ

<シネマトゥデイ>
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若いCEOと女子大生の特殊な恋愛を大胆に描いた『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の続編。前作に引き続きダコタ・ジョンソンとジェイミー・ドーナンが出演し、再会した二人を新たに待ち受ける数々の衝撃の出来事を映す。『L.A.コンフィデンシャル』などのキム・ベイシンガーが主人公をSMの世界にいざなう女性を熱演。テイラー・スウィフトらの音楽に乗せて、官能と驚がくのストーリーが展開する。
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 大金持ちのCEOと新卒女性のSM契約をテーマにして、ちょっと衝撃的だった『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の続編ということで、迷うことなく観ることにした作品。物語は、当然前作の続きから始まる。

 クリスチャンと別れたアナは、出版社に就職する。そんなアナにクリスチャンから花束が届く。アナは一瞬捨てようとして思いとどまる。ある夜、友人のホセ・ロドリゲスが主催したアート・ギャラリーに参加したアナは、そこに自分の写真が何枚も飾られているのを見て驚く。そしてすぐにすべて売れたと知らされる。買ったのはクリスチャン。その場に現れたクリスチャンは、アナを食事に誘う。

 アナもどこかにクリスチャンに対する未練があり、その申し出を受ける。優雅なディナーの席で、クリスチャンはアナに復縁を持ちかける。自らの性癖を封印し、SMプレイはしないと説くクリスチャンに、アナは復縁に同意する。一方、職場ではアナは上司のジャック・ハイドに好意を寄せられる。バーでジャックと鉢合わせしたクリスチャンは、アナを半ば強引にその場から連れ出す・・・

 こうしてクリスチャンと復縁したアナだが、その行動は極めて慎重。仕事をきちんと続けるのは、クリスチャンと別れることになった場合のことも考えているのだろう。アナに仕事のことを根ほり穴掘り訪ねるクリスチャンに、(自分の会社を)「買収するつもりじゃないでしょうね」と冗談ぽく問うアナだが、まんざら冗談でもないクリスチャン。相変わらずのスケールである。「私の上司になるつもり?」と問うアナに、「上司の上司の上司だ」という答えがしゃれている。

 そうこうするうちに、アナにつきまとう女が現れる。その正体は、かつてクリスチャンと「契約」していたというレイラ。どうやら「クセになって」しまったのかもしれない。そんなことはおかまいなしに、クリスチャンはアナとの関係を詰めていく。養父母の家で開かれる仮面舞踏会にアナを連れて行こうと誘う。アナが、「髪もできていないし、服もないし」と躊躇すると、共同経営のサロンに連れて行き(共同経営者が曰く付きだったが・・・)、高価な服を選り取り見取りで選ばせる。こんな芸当をしてみたいと思わざるを得ない。

 いろいろと横槍は入るものの、クリスチャンとアナは元の深い関係へと戻り、濃厚なベッドシーンが展開される。アナも「赤い部屋」へ行きたがり、結局、それは甘美な囁きなのかとも思わされる。仕事においてもアナはセクハラ上司に代わって昇格し、クリスチャンとの関係も深まっていく。メデタシメデタシなのかと思ったら、どうやら物語には更なる続編があるらしい。

 ストーリーもしっかりしていて、ダコタ・ジョンソンもセクシーこの上なく、前作に引き続き堪能できる一作。ハッピーエンドと思いきや、続編もあるということで、まだまだ楽しませてくれるという。子供にはちょっと刺激の強い、甘美な大人の映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2018年01月22日

【ニューヨーク冬物語】My Cinema File 1864

ニューヨーク冬物語.jpg

原題: Winter's Tale
2014年 アメリカ
監督: アキヴァ・ゴールズマン
出演: 
コリン・ファレル:ピーター・レイク
ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ:ベバリー・ペン
ラッセル・クロウ:パーリー・ソームズ
ジェニファー・コネリー:バージニア・ゲームリー
ウィリアム・ハート:アイザック・ペン
リプリー・ソボ:アビー
マッケイラ・トウィッグス:ウィラ
ウィル・スミス:ルシファー

<映画.com>
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アカデミー脚色賞を受賞した「ビューティフル・マインド」ほか、『ダ・ヴィンチ・コード』『シンデレラマン』などロン・ハワード作品の脚本家としても知られるアキバ・ゴールズマンが初監督を務め、マーク・ヘルプリンの全米ベストセラー小説を映画化したファンタジードラマ。2014年、冬のニューヨーク。約100年にわたり若き日の姿のまま生かされた男ピーターは、すべての記憶を失くし、生きる価値さえ見出せないでいた。そんな中、余命わずかの美しい令嬢ベバリーとの運命的な恋と、はかなく散った命についての記憶がよみがえる。コリン・ファレルが主演し、ヒロイン役を新星ジェシカ・ブラウン・フィンドレイが務めた。そのほかの共演にジェニファー・コネリー、ウィリアム・ハート、ラッセル・クロウら。
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 1916年のニューヨーク。主人公のピーターは、ギャングのボス、パーリーとその配下の男たちに追われている。追い詰められて危ういところで、なぜかそこに居合わせた白馬のおかげでその場から逃げのびる。そして危険な街を出ることにし、逃走資金を手に入れようとさる豪邸に忍び込む。屋敷に一人留守居をしていたのは、当家の令嬢で不治の病を患うベバリー。赤毛で美しいベバリーに惹かれたピーターは、何も盗まずにベバリーとしばし話をして屋敷を後にする。

 ピーターを追うパーリーは、実は悪魔ルシファーの配下にある男。その力で、赤毛の女性がピーターと関係することを知り、部下に探させたベバリーの下に現れる。ピーターは間一髪のところで白馬に乗ってベバリーを救い、彼女の家族のいる別荘へと向かう。ピーターはそこでベバリーの家族らに受け入れられ、しばしそこに滞在する。ピーターを追うバーリーだが、彼には守らなければならないテリトリーがあり、2人のいる屋敷はその外。手が出せないパーリーは、地上に降りた元天使を遣ってベバリーに毒を盛らせ彼女を殺害する。

 絶望したピーターは、ベバリーの葬儀のあとニューヨークに戻り、パーリーと対峙するも橋から落とされてしまう。ピーターは一命を取りとめたものの記憶をなくし、その後ニューヨークを彷徨い、変わらぬ姿のまま時は2014年のニューヨークへと流れていく。記憶が失われたままのピーターは、ある日公園で少女アビーとその母バージニアに出会う。バージニアの協力を得て図書館で資料を調べ、ピーターはようやくベバリーのことを思い出す・・・

 何とも言えない不思議な物語。荒唐無稽なストーリーを否定はしないが、やっぱりある程度の説明はしてほしいと思う。パーリーは悪魔の手先であるから不死だとしても、ピーターは何者なのだろう。冒頭で移民の夫婦が登場し、夫は結核が発見されて入国を拒否される。再び船に乗せられた夫婦はせめて子供だけでもと思ったのか、赤ん坊のピーターを模型の船に乗せて海へと流す。そして拾われたピーターが成長して物語に登場するのだが、なぜ100年も変わらぬ姿でいられるのか、映画だけではわからない。

 そしてなぜ悪魔の手先パーリーがピーターを執拗に追うのだろうか。面白いのはパーリーも悪の序列に属していて、テリトリーも決められている。このルールを何とかしたい場合に上司(?)のルシファーに相談する。このルシファーを演じるのがウィル・スミス。この映画、実はストーリーはあまり面白くないのだが、出演陣はなぜか超豪華。それがこの映画のストーリーとともに不思議なところである。

 結局、この映画は「?」マークが飛び交ったまま進み、そして終わったためストレスが残る映画であった。途中で出てくる白馬の正体は何なのかもわからなかったし、赤毛の女性の意味も分からなかった。合理性などなくてもいいから、それらしい説明をしてくれればその世界に入っていけるものをと残念に思う。原作は全米べストセラーだというから、たぶん原作はしっかり説明されていて、映画化にあたり脚本でヘマしてしまったのかもしれない。

 いずれにしても、出演陣が豪華すぎただけに実に残念な映画である・・・
 

評価:★★☆☆☆





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2018年01月12日

【君の膵臓をたべたい】My Cinema File 1858

君の膵臓をたべたい.jpg

2017年 日本
監督: 月川翔
原作: 住野よる『君の膵臓をたべたい』
出演: 
浜辺美波:山内桜良
北村匠海:「僕」(学生時代)
大友花恋:恭子(学生時代)
矢本悠馬:ガム君
桜田通:委員長
森下大地:栗山
上地雄輔:宮田一晴
北川景子:恭子(現在)
小栗旬:「僕」(現在)

<シネマトゥデイ>
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住野よるの小説を映画化。膵臓の病を患う高校生と同級生の"僕"の交流を、現在と過去の時間軸を交差させて描く。『エイプリルフールズ』などの浜辺美波と『あやしい彼女』などの北村匠海が主演を務め、現在の僕を小栗旬、ヒロインの親友を北川景子が演じる。監督は『黒崎くんの言いなりになんてならない』などの月川翔、脚本は『アオハライド』などの吉田智子が担当。
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 小説の映画化作品は珍しいことではない。むしろ、映画業界もテレビ業界も鵜の目鷹の目で原作を漁っているところがあり、ベストセラーにでもなれば当然映画化という話になるだろう。この映画の原作もそうで、原作を読んでいい感想を持っていたからこそ、映画も観てみたいと思った次第である。

 物語の舞台はある共学の高校。主人公はそこで国語教師をしている「僕」。そんな「僕」は、教職に生きがいを見いだせないのか、机の引き出しに密かに「辞職届」を忍ばせている。そんな悶々とした日々を過ごしていたある日、老朽化の為に取り壊される事になった図書館の本の整理を頼まれる。実はかつて「僕」はその高校の生徒であり、本の整理をやった実績があったのである。「僕」は断り切れず、生徒の栗山と共にこれをやることになる。

 図書館に入った「僕」に高校時代の記憶が蘇ってくる。盲腸で病院に来ていた「僕」は、待合室で一冊のノートを拾う。それはクラスメイトの山内桜良の「共病文庫」とタイトルをつけられた日記。明るく天真爛漫の桜良はクラスの人気者だったが、しかし彼女は膵臓の病気を抱え余命宣告をされている身であった。それを期に、桜良は「僕」に死ぬまでにやりたいことをやることに付き合わすことにする。

 桜良は「僕」と同じ図書委員に立候補し、2人で図書委員の仕事をする。友達のいない「僕」に唯一声を掛けてくれるのが、いつもガムを持っているガム君・宮田一晴。そして桜良には親友の恭子がいる。しかし恭子は桜良が「僕」と親しくするのを快く思わない。そんなことにお構いなしの桜良は、ホルモンやラーメンを食べ、スイーツパラダイスなどに「僕」を連れまわし、挙句に2人だけの旅行に連れ出す・・・

 映画を観ながら本で読んだストーリーが蘇る。所々原作と違うところがあったのかもしれないが、読んでから程よく時間が経っているのであまり違いはわからない。それにしても桜良を演じる浜辺美波は、よく雰囲気が出ていると思える。こんな女の子に振り回されるのであれば、振り回されたい気がする。惜しいのは「僕」の態度。典型的な草食系男子の「僕」は、据え膳を眺めているだけ。まぁ擦れた大人の感想である。

 昔から美人薄命と言われているが、この手の「病気の女の子」の話にはどうも拒絶感が、先行する。それでもなんとか受け入れられたのは、原作が良かったからであるが、映画は「お涙頂戴」を狙ったのか、原作よりもちょっと態とらしさが匂い立つ感が強い。映画化にあたり欲が出たのかもしれない。あるいはそれこそ自分が擦れた大人である所以なのかもしれない。若い人はどんな感想を持つのだろうかと、ちょっと思ってみる。

 映画と原作とどっちがいいだろうかと考えてみる。映画の方は、北川景子が出演しているという強力な魅力があるが、それを除けば原作の方に軍配を上げたいと思う。それはともかく、高校生の2人の姿が眩しい映画である・・・


評価:★★★☆☆





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