2017年12月27日

【地上より永遠に】

地上より永遠に.jpg

原題: From Here to Eternity
2016年 アメリカ
監督: フレッド・ジンネマン
出演: 
バート・ランカスター:ウォーデン曹長
モンゴメリー・クリフト:プルーイット
デボラ・カー:カレン
フランク・シナトラ:マジオ
ドナ・リード:ロリーン
フィリップ・オーバー:ホームズ中隊長
アーネスト・ボーグナイン:ファツォー
ジャック・ウォーデン:バックリー伍長

<映画.com>
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米国軍隊内部をリアルに描いたジェームズ・ジョーンズの小説(51年)を映画化した1953年作品で、「情炎の女サロメ」のバディ・アドラーが製作に当たり「真昼の決闘」のフレッド・ジンネマンが監督した。脚色はダニエル・タラダッシュ、撮影はバーネット・ガフィ、音楽は「情炎の女サロメ」のモリス・W・ストロフの担当。主演は「愛しのシバよ帰れ」のバートランカスター、「終着駅」のモンゴメリー・クリフト、「クオ・ヴァディス」のデボラ・カー、「ネバダ決死隊」のドナ・リード、「錨を上げて」のフランク・シナトラで、フィリップ・オーバー、アーネスト・ボーグナイン、ミッキー・ショウネシー、ハリー・ベラバー、ジョン・デニスらが助演する。
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昔の名画に興味を持ったのは、映画が好きになれば当然の成り行きだったと思う。かつて若い頃にこの映画を観た記憶があるが、もうすっかり忘れてしまっている。そこでもう一度、観てみることにした次第。

時に1941年夏のハワイ、オアフ島のスコフィールド米軍基地。この兵営G中隊にラッパ手のプルーイットが転属してくる。迎えたのは、ボクシングが好きで自分のチームの強化を図る中隊長ホームズ。中隊長は早速、かつてボクサーだったプルーイットに声をかけ、自分のチームに参加するように命じる。参加すれば、昇進もついてくる。

ところがプルーイットはこれを拒絶する。かつて試合中に親友を失明させ、それを苦にしてボクシングをやめたのである。しかし、中隊長ホームズはこれを良しとしない。間に立つのは、曹長ウォーデン。プルーイットを説得しようとするが、頑ななプルーイットに効果はない。これによって中隊長から目をつけられたプルーイットは、分隊長のガロヴィッチらにひどいシゴキを受け始める。

そんなプルーイットに声をかけたのは同僚兵士のアンジェロ・マジオ。だが彼も営倉係長ジェームズ"ファツォー"ジャドソンと酒場で揉めたことから目をつけられる。中隊長ホームズには美人の妻カレンがいるが、カレンはホームズを嫌い、隊の男たちと浮名を流している。そんなカレンにウォーデンは言い寄る。一方、プルーイットはたまたま連れて行かれた酒場で、そこで働くロリーンと知り合う・・・

1941年のハワイといえば、何と言っても12月8日(現地時間では7日)の真珠湾奇襲。しかし、基地内にはそんな時代背景による緊張感などなく、穏やかな空気が漂う。そんな中で、曹長ウォーデン、プルーイットを中心としたドラマが展開される。中隊長ホームズが権力を握る中隊にあっては、ボクシングチームのメンバーを中心に誰もがホームズの機嫌を伺う。そんな中にあって、プルーイットはそれに逆らい、ウォーデンはあろうことかその妻カレンを口説く。誰もいないビーチで二人っきりの海水浴はモノクロの画面がちょっと残念である。

観終わって、名画の感想はと聞かれるとちょっと答えに窮する。モノクロの昔の名画でも『素晴らしき哉、人生!』などは今観ても心打たれるものがある。「さすが名画」と唸らされるものがあるが、この映画からはそれが感じられない。かつて観たはずなのに内容を忘れてしまっていたのもそれが原因だと思う。映画は時代とともに生きるところがあるので、公開当時の印象はまた違ったのかもしれないと思ってもみる。

当たりハズレは最新の映画でもあること。名画と評判が高ければそれなりのレベルは保証されているとは思うが、それでも「普通」になることもあるだろう。それはそれで、また今度は違う名画にチャレンジしてみたいと思うのである。今回はそんな感想を持った一作である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月25日

【ロバート・デ・ニーロ エグザイル】

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原題: Being Flynn
2012年 アメリカ
監督: ポール・ワイツ
出演: 
ロバート・デ・ニーロ:ジョナサン・フリン
ポール・ダノ:ニック・フリン
ジュリアン・ムーア:ジョディ・フリン
オリビア・サールビー:デニス
リリ・テイラー:ジョイ

<映画.com>
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疎遠だった父と息子が織りなす不器用な交流を、名優ロバート・デ・ニーロと『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノ共演で描いたヒューマンドラマ。ニック・フリンの自伝的小説「路上の文豪、酔いどれジョナサンの『幻の傑作』」を、「アバウト・ア・ボーイ」のポール・ワイツ監督が映画化した。幼い頃に父親が刑務所送りとなって以来、母親と2人きりで暮らしてきた青年ニック。ある日、彼のもとに突然、ずっと音信不通だった父親から連絡が入る。父親は現在ニューヨークでタクシー運転手として働いていたが、アパートを追い出されたために荷物運びを手伝ってほしいという。その後、ニックが働くホームレス支援施設に、仕事を失って行き場のない父親がやって来て……。
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主人公のニックは恋人と一緒に住んでいたが、彼女の留守中に別の女性を連れ込んだことが発覚し、部屋を追い出される。住む場所を失ったニックは、友人の家に身を寄せる。そしてそこで知り合ったデニーズに紹介され、ニックはホームレス支援施設で働き始める。一方、ニックの父・ジョナサンは、自ら作家と称し傑作を執筆中であるが、今はタクシー・ドライバーをして生計を立てている。しかし、階下の住人ともめ家を追い出されることになる。困ったジョナサンは18年間音信不通だった息子のニックを呼び、荷物を運び出す手助けを頼む。

ジョナサンは見栄っ張りな性格で、自分は作家であるとし、出版社からの手紙を大事に持っている。また住むところを追い出されても友人に泊めてもらうと言うが、いざ訪ねると断られてしまう。ニックも詩や手記を綴っているが、生活の糧はホームレス支援施設での給料である。そんなある日、ニックの働くホームレス支援施設に行き場を失って窮したジョナサンがやってくる。

ジョナサンは、飲酒運転の事故で車も免許も失っており、施設でもあちこちでトラブルを起こす。そしてとうとう施設からも追い出されてしまう。ニックはニックで、デニーズと関係を持つが、薬物に手を出しデニーズから愛想を尽かされる。ニューヨークの冬は寒さが厳しい。そんな寒風吹きす寒空にホームレス生活は凍死の危険すらある。路上強盗もいる中、ジョナサンはそんな生活すら小説のネタにしようとする・・・

ロバート・デ・ニーロもいろいろな作品に出演しているが、この映画はともに作家志望の親子の交流を綴った地味なドラマである。たぶん、ロバート・デ・ニーロの名前がなければ観なかったかもしれない。妻と離婚し、作家になる夢を捨てられず、周囲とトラブルを起こしては職を転々としている父親と、母の女手一つで育てられた息子。母は次々と付き合う相手を変え、そんな母もいつしか亡くなり独り身のニック。突然目の前に酷く落ちぶれた姿で現れた父親に対する感情は複雑だろう。

ドラマはそんな親子を追っていく。ジョナサンは失職してホームレスとなり、ニックはあてもなく過ごす日々の中で薬物に手を出す。映画としては地味であるが、人は誰でもうまくいかないことや人生で思い煩うことが多々あるもの。そんな思いが脳裏を過る。原作者はニック・フリンとなっており、自伝的小説というからこのドラマは実話を基にしているのだろう。アメリカは、ホームレス支援施設が結構充実しているものだと変なところに感心しながらドラマに見入っていた。

原作は「Being Flynn」。何となく奥深いタイトルだと思うが、邦題はいかがなものかと思わされる。「エグザイル」は英語で「放浪」とか「追放」とかの意味があるようだから、これを転じたのだろう。だが、調べなければわからない身には何のことだかという思いに駆られる邦題である。下手な邦題の映画は数え上げれば暇がないが、これもその一つと言える。

地味な映画ながら、なぜかロバート・デ・ニーロとジュリアン・ムーアという大物が共演している。邦題に囚われず、観ても損はない映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月09日

【Playback】

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2012年 日本
監督: 三宅唱
出演: 
村上淳:ハジ
渋川清彦:モンジ
三浦誠己:ボン
河井青葉
山本浩司:ユウジ
テイ龍進
渡辺真起子:真理子
菅田俊: 遠藤

<シネマトゥデイ>
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『スパイの舌』『やくたたず』で注目された三宅唱の劇場映画デビュー作となるドラマ。自分の行き場をなくしたアラフォーの映画俳優が、奇妙な体験を通して人生の再生を図る姿を、温かくも緊張感をはらんだモノクロ映像に映し出す。三宅監督の才能にほれ込んだ『希望の国』の村上淳が、彼にラブコールを送って本作の企画を実現させ、自身も主人公の映画俳優を力演。『セイジ -陸の魚-』の渋川清彦、『童貞放浪記』の山本浩司、『東京島』のテイ龍進ら、実力派、個性派をそろえたキャストにも注目。
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映画はモノクロで始まる。主人公のハジは、なにやら中国語でのセリフの収録を行っている。しかし、監督の気に入るところではなく、何度もやり直しが入る。ハジから漂うのは無気力感。それは部屋に戻った後も変わらず、寝ているところを運送業者がやってきて起こされる。そして妻の荷物が運び出されていく。仕事に漂う無気力感は生活においても変わらない。

どうやら映画俳優としても岐路に立たされている感があるハジ。彼を良く知る映画プロデューサーは、彼に再起のチャンスを与えようとするが、ハジは受け入れようとしない。そんなハジの前に旧友が突然現れる。そして旧友の結婚式に誘われる。マネージャーの制止を振り切って旧友の車に乗り込むハジ。そのまま久しぶりに故郷へと向かう。その車中、居眠りをしたハジは高校時代に戻っている・・・

高校時代の回想シーンが始まるが、なぜか違和感が漂う。その違和感の正体はすぐに判明する。何と登場人物たちが今の年齢のままなのである。中年のおっさんであるハジがそのまま制服を着ている。旧友も然り。回想シーンだとわかるのはいいが、おっさん高校生に何とも言えない違和感を拭いきれない。そしてそんな過去を受けての現在であるから、過去とのつながりがよく理解できる。ハジが俳優の道へと歩むきっかけとなったのもこの頃の映画プロデューサーとの出会い。

こうして映画は過去と現在とを交互に描いていく。それにしてもハジの無気力感が見事にこちらにまで伝わってきて、何だか映画を観続けるのも嫌になってくる。映画は全編モノクロだし、ものすごい芸術作品の香りが漂ってくるが、個人的にはどうもこの手の映画は苦手である。雰囲気はあるし、その雰囲気はいいのだが、随所に意味の分からないシーンが散りばめられていて、「通じゃないとわからない」と言わんばかりの威圧感が好きになれない。所詮、素人の映画好き向きではないのだろう。

何となくの雰囲気はあるし、その雰囲気も悪くはないと思うのだが、もう一度観たいとは思わない。三宅監督のあふれる才能が全く理解できなくて、寂しい思いのする映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年11月20日

【アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方】

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原題: Arthur Newman
2012年 アメリカ
監督: ダンテ・アリオラ
出演: 
コリン・ファース:ウォレス
エミリー・ブラント:マイク
アン・ヘッシュ:ミナ
ルーカス・ヘッジス:ケヴィン

<映画.com>
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『英国王のスピーチ』のコリン・ファースと『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラント主演、過去を捨てた男女の奇妙な2人旅を描いたロードムービー。失敗だらけの人生に嫌気が差した中年男性ウォレスは、偽造IDで別人に生まれ変わることを決意する。水死を装って今までの自分と決別したウォレスは、アーサー・ニューマンという名前で新たな人生を送りはじめる。そんな矢先、ひょんなことからマイクという変わり者の女性と知りあったウォレスは、成りゆきでマイクと一緒に旅することになる。共演に「6デイズ/7ナイツ」のアン・ヘッシュ。「セブン・イヤーズ・イン・チベット」の脚本家ベッキー・ジョンストンが脚本と製作を手がけた。
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人は誰でも生まれ変われたらと思うものであろう。この映画の主人公ウォレスもそんな1人。妻とは離婚し、離れて暮らす息子は自分に対し口もきこうとしない。自分の存在意義に疑問を持っていたところ、偶然知り合ったゴルフ場オーナーからレッスンプロに招かれ、これを機にまったく新しく人生をやり直そうと計画する。偽造IDで新しい名前を手に入れ、自分は自殺したように装い、新しい名前で新しい車を買い、全財産を持って新天地に向かう。

途中で知り合ったのは、どう見てもイカれた女マイク。ふとしたきっかけから知り合い、一緒に旅することになる。新婚の壮年カップルを見かけた2人は、カップルの後をつける。カップルが家に戻り、そして新婚旅行に出かけていくとその家に忍び込むマイク。初めは躊躇していたウォレスも、しまいに一緒に忍び込んでその家の一時主人の立場を楽しむようになる。

タイトルになっているアーサー・ニューマンとは、ウォレスが選んだ新しい名前。その名の通り「ニューマン」である。かつてはゴルフプロとしてツアーにも参加経験があるが、極度のあがり症で本番に弱く、実力を発揮できないままリタイア。子どもが口をきいてくれないのも、かつて多忙を理由に接触を避けていたから。そんな過去が次第に明らかになっていく。

一方で、ウォレスが失踪し、しかも自殺の疑いがあると分かった時、それまで冷たかった恋人は改めてウォレスへの気持ちに気づき、口もきかなかった息子も父親に興味を示すようになる。人間は、失ってからそれがいかに大事なものであったかに気がつくものなのである。こうして新しい人生を手に入れようとした主人公と、彼に対する思いに気がつく恋人と息子とが並行して描かれていく。マイクにも同情すべき身上がある。

新しい名前で、過去を捨てて新しい人生を歩もうとしたウォレス。同じように心に傷を抱えてあてどもなく生きていたマイク。本当は父親との絆がもっと欲しかった息子。それぞれの物語の結末が心地よい。それにしても今の時代、ネットも発達していて、まったく新しい人生というのも簡単には手に入らないものだと思う。ウォレスのプロとしての経歴も、ちょっと検索すればアーサー・ニューマンなどというプロが存在しないことがわかってしまう。それは裏を返せば、息子からすると知らなかった父親のプロの時代を見ることができるということでもある。いいのか悪いのかは別として、今はそういう時代だと強く感じる。

静かなドラマではあるが、心に染みる心地よい再生のドラマである・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年11月12日

【はじまりのうた】

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原題: Begin Again
2013年 アメリカ
監督: ジョン・カーニー
出演: 
キーラ・ナイトレイ:グレタ
マーク・ラファロ:ダン
ヘイリー・スタインフェルド:バイオレット
アダム・レビーン:デイヴ
ジェームズ・コーデン:スティーヴ
ヤシーン・ベイ:サウル
シーロー・グリーン:トラブルガム
キャサリン・キーナー:ミリアム

<シネマトゥデイ>
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第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督が、同作に続いて音楽をテーマにして放つヒューマンドラマ。恋人に裏切られた失意を抱えながらバーで歌っていた女性が、音楽プロデューサーを名乗る男との出会いを通して思わぬ運命をたどる。主演は『つぐない』『プライドと偏見』などのキーラ・ナイトレイと『キッズ・オールライト』などのマーク・ラファロ。キーラが披露する歌声や舞台となるニューヨークの街並みや、人気バンド・Maroon 5のアダム・レヴィーンの出演も見どころ。
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主人公のグレタは、デイヴとともにニューヨークへとやって来る。映画の音楽に使われたデイヴの曲がヒットして音楽会社と契約することになり、イギリスから2人でニューヨークにやって来たのである。グレタもデイヴと一緒に曲を作ったりしていたが、脚光を浴びるのは当然ながらデイヴ。やがて売れ出したデイヴは、会社の女性に心を奪われてしまいグレタはデイヴと別れて友達スティーブの家に転がり込む。

一方、かつて一世を風靡したものの、最近はこれといったシンガーを発掘できていないプロデューサーのダンは、共同創業者のサウルに三下り半を突きつけられ会社を追われる。酔った勢いで偶然立ち寄ったバー。そこでライブをやっていたのはスティーブ。スティーブはグレタを連れて来ていて、無理やりグレタをステージに上げると持ち歌を歌わせる。
客は静かなその曲に見向きもしないが、それを耳にしたダンは頭の中でその曲のイメージが膨らんでいき、思わずグレタに声を掛ける。

ダンはグレタに契約を持ち掛け、これを口説き落とす。しかし、共同創業者のサウルはデモCDすらないグレタに興味を示さない。ダンもグレタもデモCDを作る資金はない。会社も資金を出してくれない。そこでダンは出世払いで協力してくれる演奏者を集めると、街中をスタジオに見立ててデモCD作りを始める。街中では様々な雑音が入り乱れ、それが逆にその曲の雰囲気として曲を構成していく。その過程で、メンバーには一体感が生まれてくる・・・

登場人物たちは、みんな苦境にある。グレタはともにイギリスから出てきたデイヴが、曲が売れるとともに他の女の下へと走り、ダンは共同創業者から会社を追われる。スティーブは長年路上ライブをやっているが、なかなか芽が出ない。そんな彼らが、「弱者連合」を組むが、もともと眠っていたグレタの才能をダンが見出し、お金がないのを逆手に取った路上でのデモCD製作が曲作りに生かされていく。あまり期待していなかった映画であるが、グイグイとドラマに引き込まれていく。心に響いてくるものがある。

よくよく考えてみると、なんだかビジネスにも相通ずるものがあるストーリーとなっている。音楽という夢を諦めない事、お金がなくても創意工夫で何とかできる方法を考える事、そして最後に創ったCDの販売方法(従来のやり方ではなく、本当に自分たちのやりたい方法をとること)等々、なかなかどうして示唆に富むところがある。

「とりあえず観るか(主演はキーラ・ナイトレイだし)」と軽い気持ちでそれほど期待せずに観た映画であるが、じんわりと心に残った映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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