2017年06月11日

Dearダニー 君へのうた

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原題: Danny Collins
2015年 アメリカ
監督: ダン・フォーゲルマン
出演: 
アル・パチーノ:ダニー・コリンズ
アネット・ベニング:メアリー・シンクレア
ジェニファー・ガーナー:サマンサ・リー・ドネリー
ボビー・カナヴェイル:トム・ドネリー
クリストファー・プラマー:フランク・グラブマン
カタリーナ・キャス:ソフィー
ジゼル・アイゼンバーグ:ホープ・ドネリー

<シネマトゥデイ>
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ジョン・レノンが新人アーティストに宛てた励ましの手紙が、数十年を経て本人に届いたという実話から着想を得たドラマ。曲を作るのをやめた往年の人気アーティストが、ジョン・レノンが自分宛てに送っていた手紙を読んだのを機に人生を見つめ直す。監督は、『塔の上のラプンツェル』などの脚本を手掛けたダン・フォーゲルマン。主演を務めた名優アル・パチーノを筆頭に、アネット・ベニング、ジェニファー・ガーナーら実力派が結集。全編で流れるジョンの楽曲も作品に彩りを添えている。
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実話の映画化というのはよくあるが、これは実話からヒントを得て創られたというもの。若い頃の自分にジョン・レノンが手紙を書いてくれていて、それが長い年月を経て本人に届けられたというもの。映画のストーリーもさることながら、その事実の方も気になってしまう。

主人公は、絶頂期を過ぎた往年のロックスター、ダニー・コリンズ。コンサートには多くの観客を動員するも、ファンの年齢層も高く、歌う曲も往年のヒット曲という状態である。そんなある日、長年マネージャーを務めているフランクが、ダニーにプレゼントを持ってくる。それは何とジョン・レノンからの手紙。43年前、駆け出しの頃のダニーが雑誌のインタビューに応えているのを読んだジョン・レノンが、ダニーを励ますために書いたものであった。

その手紙には、富や名声に惑わされず、音楽への愛情を持ち続けることの大切さが綴られていた。当時の自分を思い出したダニーはツアーをキャンセルし、会ったことのない息子トムに会いに出かけていく。ヒルトン・ホテルに滞在し、そこの従業員達と交流を深めながら、新曲の作曲にチャレンジし、そして息子と和解しようと家を訪ねて行く・・・

こうしてロックスターのダニーが、周りの人たちとの交流をして行く様子が描かれて行く。なにせ、老いたりとはいえロックスター。その収入は、尋常ではない。金には不自由はしないものの、若い女と婚約し、常にクスリと酒とを手にする生活。父を拒否し、庶民の生活を送る息子の生活とは対照的である。なにせ100ドルのチップがなくて、車をあげてしまったりするのである。

そんなロックスターを演じるのは、アル・パチーノ。さすが名優だけあって、ステージで歌うロックスターの姿も違和感がない。いいおじいさんになってしまった感があるが、いつまでも映画の中で輝いていてほしいと思う役者さんである。劇中では、背景にジョン・レノンの曲が何曲も流れる。それもまた良しの映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年06月04日

ヴィンセントが教えてくれたこと

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原題: St. Vincent
2014年 アメリカ
監督: セオドア・メルフィ
出演: 
ビル・マーレイ: ヴィンセント・マッケンナ
メリッサ・マッカーシー: マギー・ブロンスタイン
ジェイデン・リーベラー: オリヴァー・ブロンスタイン
ナオミ・ワッツ: ダカ・パリモヴァ
クリス・オダウド: ブラザー・ジェラティ

<シネマトゥデイ>
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人生に空虚感を抱き始めた気難しい中年男が、面倒を見ることになった12歳の少年と奇妙な友情を育み、生きる活力を得ていく人間ドラマ。主演は『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイ、両親の離婚により大人びた少年役のジェイデン・リーベラーが、ビルと絶妙な掛け合いを見せている。監督・脚本を手掛けたセオドア・メルフィは、本作で第72回ゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされた。
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 老人あるいは中高年の男と少年の交流を描いた物語というのもよくあるパターンである気がする。最近では『グランド・ジョー』があったし、強烈に記憶に残っているところでは『セント・オブ・ウーマン』や『グラン・トリノ』があった。まぁ似たような話になるのはしかたないのであろう。ここでは、酒とギャンブル漬けの毎日を送るヴィンセント・マッケンナの隣家にシングルマザーのマギーとその息子オリヴァーが引っ越してくるところから始まる。

 きっかけは、引っ越し業者がヴィンセントの庭の木をトラックで折ってしまったこと。ヴィンセントはいきなりマギーと口論になる。ある日、オリヴァーは学校で鍵と携帯を隠され家に入れなくなる。やむなくヴィンセントの家に入れてもらって時間を過ごす2人。しかし、これを機にヴィンセントはオリヴァーを預かることになる。仕事が忙しいマギーと暇だが金に困っているヴィンセントの利害が一致したのである。

 このヴィンセント、なにせ素行がよろしくない。娼婦のダカとは定期的にベッドを共にしているし、罵詈雑言は当たり前。しかし、父親のいないオリヴァーにはいい刺激で、学校でのいじめに際し、ヴィンセントはオリヴァーに喧嘩の仕方を教える。そして、一方でヴィンセントには、高額な介護施設に妻サンディを預け、自ら妻の洗濯物を洗濯しているという一面もある。ヴィンセントとオリヴァーは、次第に仲良くなり、競馬で大穴を当てて大金を手にしたりする。

 一方、登場人物たちはみなそれぞれ危機を迎える。マギーは元夫のデヴィッドからオリヴァーの親権を争い裁判を起こされ、金に困ったヴィンセントは、介護施設の料金を滞納し妻サンディの退去を検討するよう言われる。そして、競馬で稼いだお金のうちオリヴァーの取り分に手を出す・・・

 世間的にはヴィンセントは、好ましくない人間。それは誰が見てもそうだろう。しかし、オリヴァーは学校で出された「身の回りの聖人を探す」という宿題に何とヴィンセントを選ぶ。そしてヴィンセントを知る人たちにインタヴューしながら、ヴィンセントのことを調べ始める。これが原題の由来。

 人は誰でも子供時代があり、歴史を経て大人になって年を取る。ヴィンセントもベトナム戦争に従軍し、功績を上げた過去がある。生まれてすぐ偏屈な男になったわけではないのである。妻が認知症にならなければ、あるいはもう少し違う老人だったかもしれない。人の本質は、必ずしも外見に現れるわけではない。そういう部分を見る目を持てることは大事な事なのかもしれない。

 損得を排除したヴィンセントとオリヴァーの交流。ラストの展開には思わず目頭が熱くなる。コメディのイメージが強いビル・マーレイだが、ここでは実にいい味を出している。しがない中年男と少年が交流するドラマは、心が温まるものが多い。人生いろいろと大変なことはあるが、頑張って生きていこうというメッセージでもあるかのような映画。
味わい深い映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2017年06月03日

やさしい本泥棒

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原題: The Book Thief
2013年 アメリカ
監督: ブライアン・パーシバル
出演: 
ジェフリー・ラッシュ:ハンス・フーバーマン
ソフィー・ネリッセ:リーゼル・メミンガー
エミリー・ワトソン:ローザ・フーバーマン
ベン・シュネッツァー:マックス・ファンデンベルク
ニコ・リアシュ:ルディ・シュタイナー
ロジャー・アラム: 死神

<シネマトゥデイ>
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マークース・ズーサック原作のベストセラー小説「本泥棒」を基に、テレビドラマ「ダウントン・アビー」などのブライアン・パーシヴァル監督がメガホンを取った感動作。ナチス政権下のドイツを舞台に、孤独な少女が書物を糧に厳しい時代を乗り越えようとする姿を描く。新星ソフィー・ネリッセがヒロインを演じ、彼女の里親を『英国王のスピーチ』などのジェフリー・ラッシュと『奇跡の海』などのエミリー・ワトソンが好演。絶望的な状況から生まれる思いがけない奇跡に息をのむ。
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 時は1938年。第二次世界大戦前夜のドイツ。幼い息子を抱いた母親と娘が列車に乗っている。どこへ行くのかはわからない。ほどなくして母親に抱かれた息子が息を引き取る。亡骸を埋葬すると、母親は娘のリーゼルを里子に出す。事情はよくわからない。だが、もともと里子にだされることは決まっていたようで、それが証拠に里親である養母のローザは、一人分の給付金が少なくなると担当者に文句を言う。リーゼルの気持ちを思うと心が痛む。

 そんな中、養父のハンスはリーゼルを温かく迎え入れ、少し心が和ませられる。女が現実的でドライなのは仕方がないことなのかもしれない。リーゼルは、読み書きができない。弟を葬った時に墓掘り人が落としていった本を大事に持っている。その本は墓掘りのガイドブック。それでもハンスは、それを手にリーゼルに読み書きを教える。こうして読み書きを覚えていくリーゼル。しかし、時代はナチスによる統治を強めていき、反ユダヤ主義による暴動で数多くの本が広場で焼かれ。リーゼルは、そこから焼け残った本をそっと持ち帰る・・・

 「第二次世界大戦」「本を読む」というキーワードから、何となく『愛を読むひと』を連想してしまった。『愛を読むひと』では、さらに主人公のハンナが文盲であった。この映画のリーゼルも最初は文盲。だから何、ということもないが、そういうところはストーリーが生まれやすいのかと思ってしまった。

 ハンスはさらにユダヤ人の青年マックスを匿う。この時代、この行為はバレれば自殺行為。そのマックスの存在は、しかしリーゼルにとっては限りない恵をもたらす。地下室での二人の交流には心温まるものがある。つくづく、「本を読む」という行為がいかに自らの可能性を拡大させるのかを実感させられる。望めばいくらでも本を読むことができる現代、本を読まないことはいかにもったいないのかと思わざるを得ない。

 やがて戦況は悪化していく。途中ハンスが徴兵されるが、年齢的にも不思議なこと。何か事情があったのだろうが、映画を観ているだけではわからない。たぶん、原作にはきちんと書かれているのであろう。小説を映画化すると、必ずこういう部分が出てくる。映画は時間制限もあるから難しいのだろうが、もう少し丁寧に描かれても良いと思う。

 タイトルがなぜ「本泥棒」なのか。映画を観ていればそれはよくわかる。そうした部分にももっとスポットライトが当たっても良かったと思う。つくづく、映画化は簡単ではないという気がする。
ハンスも最初は冷たかった妻のローザも、隣の男の子ルディもマックスもみんな善人。戦争なかりせば、もっと違った人生を歩んでいただろう。そんな人たちがこの時代にはたくさんいたはずである。淡々とリーゼルを周りの人々とともに描いていくストーリーであるが、観終わったあとには深い余韻が残る。

原作本も今度読んでみたいと思わされる一作である・・・


評価:★★☆☆☆



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2017年06月02日

闇金ウシジマくん

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2012年 日本
監督: 山口雅俊
出演: 
山田孝之: 丑嶋馨
大島優子 (AKB48): 鈴木未來
林遣都: 小川純
やべきょうすけ: 柄崎
崎本大海: 高田
片瀬那奈: 大久保千秋
市原隼人: アキト

<シネマトゥデイ>
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真鍋昌平による累計500万部のヒット漫画を原作にした深夜テレビドラマの劇場版。切れ者で冷酷非情、強心臓な闇金業者・丑嶋を中心に、欲望に踊らされる者たちの悲哀を、笑いとエロス、暴力といったスパイスを巧みに利かせて活写する。『鴨川ホルモー』の山田孝之が、ドラマ版に続いて主人公の丑嶋を怪演。人気アイドルグループ・AKB48の大島優子と『荒川アンダー ザ ブリッジ』シリーズの林遣都が、丑嶋とかかわりを持ったばかりに、奈落の底へ急降下する男女にふんして物語を盛り上げる。メガホンを取るのは、ドラマ版の演出などを手掛けていた山口雅俊。
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 このシリーズは、PART2PART3、そしてザ・ファイナルと観てきたシリーズであるが、肝心のPART1を観ずに来てしまっていた。よって改めて鑑賞となった次第である。

 闇金であるカウカウファイナンスを営む主人公丑嶋。取り立てに遭うのはギャンブルにハマった母親。高校を卒業したばかりの娘とまだ小さい息子がいるが、生活にはしまりがなくだらしない。どうやらスナックで働いているようだが、借金を返せるわけでもなく、それどころか娘の未來に立て替えさせる有様。未來も進学するわけでもなく、就職するわけでもない。そして友人に誘われて出会いカフェで働くようになる。

 そんな彼女は、イケメンダンサーを集めたイベントを企画してのし上がろうとする純と親しくなろうとしている。純は、次のイベントを企画するが、イケメンダンサーのゴレンジャイには足元を見られてなめられ、関係者からも女や金を無心される有様。次第に自転車操業となっていく中、ダンサーの1人が女関係で凶暴な男肉蝮に拉致されてしまう・・・

 スタート作品ということで、期待して観たところではあるが、だいぶ盛り込んではみたものの、省略されてしまっている部分が何となく気になってしまった。例えば、カウカウファイナンスに元社員の女性がたびたび登場してそれなりにみんなと行動を共にするのだが、そこに何やらありそうな事情が見えてこない。まぁ、気にしなければいいのであるが・・・

 それにしても、闇金に手を出す人たちは、やはり追い込まれていたり、それなりのレベルだったりである。未來のだらしない母親も、小さな子供を連れて平気でパチンコに行くし、お腹が空いたと言えばお菓子を渡す始末。挙句に金に困って娘に売春を強要するばかりか3Pを持ち掛ける。こんな母親いるのかと思わなくもないが、世間のニュースなどを見ていると、こんな母親がいてもおかしくはないのが悲しい。こんな母親から育った子供の行く末にも恐ろしいものがある。

 一方でイベント企画の純は、上を目指す心意気や良しであるが、金と女の臭いを嗅ぎつけて群がる者たちに追い込まれていく。考え方、マネジメント力があれば少しは違うと思うが、悲しいことにそれほどの経験は積んでいない。1人振り回される姿が悲しげである。こうした闇金から金を借りる人たちが、どちらかと言うと主人公と言えるのは、シリーズ原点でも同様。あえて言えば、「ウシジマくんの出番が多い」ということだろうか。今回は、凶暴な肉蝮を退治する活躍を見せる。

 原作のドロドロした雰囲気にはやや及ばない気がするが、いい感じの内容であると思う。シリーズ全般を通して観て損はない。観る順番は違っていても違和感はなく、どこから切って観てもいいと言える。改めて終わりなのが残念な気がするシリーズである・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年05月25日

海街diary

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2015年 日本
監督: 是枝裕和
出演: 
綾瀬はるか:香田幸(三姉妹の長女)
長澤まさみ:香田佳乃(三姉妹の次女)
夏帆:香田千佳(三姉妹の三女)
広瀬すず:浅野すず(三姉妹の異母妹)
大竹しのぶ:佐々木都(三姉妹の母)
堤真一:椎名和也(医師、幸の恋人)
風吹ジュン:二ノ宮さち子(海猫食堂の店主)
リリー・フランキー:福田仙一(山猫亭の店主)
樹木希林:菊池史代(大船のおばちゃん)
加瀬亮:坂下美海(佳乃の上司)
鈴木亮平:井上泰之(湘南オクトパスの監督)

<シネマトゥデイ>
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ベストセラーを誇る吉田秋生のコミックを実写化したドラマ。鎌倉に暮らす3姉妹と父親がほかの女性ともうけた異母妹が共同生活を送る中、さまざまな出来事を経て家族の絆を深めていく姿を追う。メガホンを取るのは、『そして父になる』などの是枝裕和。テレビドラマ「八重の桜」などの綾瀬はるか、『潔く柔く きよくやわく』などの長澤まさみのほか、夏帆や広瀬すずらが共演。実力派女優たちが繰り出す妙演はもちろん、舞台となる鎌倉の美しい四季の風景も見どころ。
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 冒頭、ボーイフレンドとともに春眠をむさぼっていた香田佳乃は、姉からの電話で起こされる。急いで帰ってこいとのことで帰宅すると、父親が亡くなったとの知らせが届いたとのこと。実は香田家の父は14年前に女をつくって家を出ていた。そのあと母親も家を出て行き、残された幸、佳乃、千佳の3姉妹は祖母と暮らしていた。その祖母も亡くなり、今は3姉妹が身を寄せ合って鎌倉の古屋で暮らしているのである。

 出ていって以来、3姉妹は父親と会っていない。それでも連絡を受けて、夜勤で動けない幸は、佳乃と千佳を父の暮らしていた山形へ送る。父は家を出てから1女をもうけるも死別し、今はさらに別の女性と暮らしていたことを香田家の三姉妹は知る。葬儀に出席すべく山形を訪れた二人を駅で出迎えたのは、中学生になる腹違いの妹すずであった。翌日、葬儀に来ない予定だった幸がなぜか現れる。

 看護師をしている幸は、すずの置かれた肩身の狭い境遇とすずが父を看取った事を感じ取る。東京へ帰る直前、幸がすずに父との思い出の場所に案内して欲しいと頼むと、すずは小高い山の上に姉妹たちを案内する。そこからの眺めは、鎌倉の風景によく似ている。ホームで3姉妹を見送るすずに、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと持ちかける。すずは、一瞬戸惑う様子を見せたものの、「行きます」と即答する。こうして鎌倉の家にすずがやってくる・・・

 原作は大ヒット漫画なのだという。原作を読んだことはないが、冒頭からしみじみと心に響き渡る物語が展開される。姉妹はいかにもしっかりもので一家を支えてきたとの感がある長女の幸に、男と酒が生きがいの次女佳乃、そしてちょっとおっとりしている三女の千佳の組み合わせ。父と母の修羅場をはっきり覚えている幸に対し、次女はそれをぼんやりと覚えている程度。そして千佳は父をほとんど覚えていない。

 そんな記憶レベルの違いから、3姉妹の父親に対する感情にも微妙に温度差がある。特に最後を看取ったすずに対し、姉である自分はほとんど父の記憶がないと語る千佳の表情が何とも言えない。父親は優しかったという記憶があると語る千佳。優しかったけど、それで同情してしまい家族を捨ててしまったダメな人だと語る幸。こういう微妙な空気が何とも言えない。

 こうしてすずを迎えた香田家は四姉妹となる。サッカー好きで明るい性格のすずは、鎌倉の生活にもすぐに溶け込み、友人もできる。4姉妹を取り巻く人間模様。母親は北海道に住み、何かと口を出してくる叔母がいる。近所の『海猫食堂』のおかみさんさち子や、食堂の常連である仙一がいて、幸には密かに付き合っている妻帯者の小児科医椎名がいる。それぞれに付き合う男がいて、それぞれに悩みを抱えている。仕事でもいろんなことがあり、順風満帆な人生を送っている者はいない。

 そうしたドラマが展開されていくが、観ているうちに心に静かに響いてくるものがある。長女役は綾瀬はるか。いつの間にか落ち着いた役柄が板につくようになっている。そしてドラマに変化を与える四女のすずを演じるのは、まだ『ちはやふる』の強烈な記憶が新しい広瀬すず。こちらの作品の方が早く、あどけなさの雰囲気がとてもいい。

 いつの間にか心がじんわりと温かくなっている。人生いろいろ。だけど一緒にいる家族かいればそれが何より。そんな気持ちにさせられる。元となった原作も是非読んでみたいと思う。日本映画の真骨頂と言える映画である・・・


評価:★★★☆☆





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