2016年09月16日

太秦ライムライト

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2014年 日本
監督: 落合賢
出演: 
福本清三: 香美山清一
山本千尋: 伊賀さつき
萬田久子: 田村美鶴
松方弘樹: 尾上清十郎
本田博太郎: 長沼兼一
小林稔侍: 先代 尾上清十郎

<シネマトゥデイ>
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時代劇という日本が誇るジャンルを支える人々にスポットを当てたドラマ。斬られ役の名手として活躍してきた老いた俳優と、彼と出会った女優が育む絆を見つめていく。メガホンを取るのは、『タイガーマスク』などの落合賢。斬られ役の名人として知られる『ラスト サムライ』などの福本清三が、自身を投影したかのような老俳優を熱演。その脇を、本田博太郎、小林稔侍、松方弘樹ら実力派が固める。チャールズ・チャップリンの名作『ライムライト』を基にした物語にも注目。
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タイトルにもある通り、舞台は京都太秦。主人公の香美山清一は、いわゆる大部屋役者。今日も時代劇「江戸桜風雲録」の収録が行われており、香美山は主演の尾上清十郎扮する主役に斬られて撮影が終了する。しかし、その場で番組の打ち切りが発表され、尾上清十郎は香美山の労をねぎらい、「また斬らせてくれ」と言い残して去っていく。

斬られ役専門で長年やってきた香美山であるが、時代劇自体の数が減り出番は減る。それでも日々の稽古を怠らない香美山の前に、ある日新人女優のさつきが稽古をつけてくれと申し出てくる。相手が若い女性でもあり、斬られ役の将来性とを考えたのであろう、その申し出を断る香美山。しかし、諦めないさつきに、とうとう共に稽古を始める。女性ながらに殺陣ができるさつきは、新たに始まった新しいスタイルの時代劇でチャンスを掴み、スターへの階段を上ることになる。

一方香美山は、仲間を庇って若手監督と対立し、映画から干されてしまう。古くからの撮影所の課長の助力で、映画パークのチャンバラショーに出演し、糊口をしのぐ香美山。だが、長年の疲労が蓄積し、肘が思うように動かせなくなる。そんな状況下、ついに香美山は引退を決意する・・・

主人公を演じるのは、実際に長年斬られ役を務めてきたという福本清三。はっきり言って初めての俳優さんだが、『ラスト サムライ』に出演していたというし、50年以上のキャリアで「5万回斬られた男」と言われているようだし、実は気がつかなかっただけで、何度も観ているのかもしれない。そしてそんな福本の端役人生と同じようなドラマで、まさに適役と言える。

華やかなりし、主役の影にはそれを支える端役がいる。ドラマの主人公香美山も、スポットライトの当たらない世界にいるが、それでも日々の稽古は欠かさない。誰も見ていないし、本番でも注目を浴びるのは主役の動きであって、端役のそれではない。それでも欠かさず稽古を続ける。実際の福本清三もそうらしく、えび反りになって斬られる「斬られ方」を研究して編み出しているとのことである。そして、そういう目立たぬところにスポットライトを当てているのがこの映画の良いところである。

タイトルは、チャップリンの名画『ライムライト』から取られているようである。『ライムライト』も年をとった男が、若いダンサーを助け、自らはスポットライトの当たらないところに消えていく話であった。「年をとると生きるのが習慣になって死にたくなくなる」と言って、ダンサーを励ますのが印象的だったが、この映画の香美山もそれと同じような生き方をしている。

若い頃、共演した先代の尾上清十郎からその「斬られっぷり」を評価され、愛用の木刀をもらった香美山。それからその木刀を大事にし続け、日々の稽古で使い続ける。日の当たらないところで、黙々と稽古する姿は、「人知らずともうらまず」を地で行くと言える。そうした姿に、いつしか心が揺さぶられる。福本清三自身の生き様が現れされたようで、心に残る一作である・・・


評価:★★★☆☆





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2016年09月13日

あなたを抱きしめる日まで

あなたを抱きしめる日まで.jpg

原題: Philomena
2013年 イギリス・アメリカ・フランス
監督: スティーヴン・フリアーズ
出演: 
ジュディ・デンチ:フィロミナ・リー
スティーヴ・クーガン:マーティン・シックススミス
ソフィ・ケネディ・クラーク:若き日のフィロミナ
メア・ウィニンガム:メアリー
バーバラ・ジェフォード:シスター・ヒルデガード
ルース・マッケイブ:マザー・バーバラ

<シネマトゥデイ>
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10代で未婚の母となり幼い息子と強制的に引き離された女性の奇跡の実話を、『クィーン』などのスティーヴン・フリアーズ監督が名女優ジュディ・デンチを主演に迎えて映画化。ジャーナリストのマーティン・シックススミスによる「The Lost Child of Philomena Lee」を基に、50年前に生き別れた息子との再会を願う母親フィロミナの姿を描く。彼女の息子捜しを手伝うマーティン役には、本作のプロデューサーと共同脚本も務める『マリー・アントワネット』などのスティーヴ・クーガンがふんする。
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主人公のフィロミナは、老齢の女性。ある日、手にした一枚の古びた子供の写真を見ている時、娘に問われるがままに語る。自分には50年前に産んだ男の子がいると。娘は偶然知り合ったジャーナリストのマーティンに事の次第を話し、生き別れた息子を探してくれるように依頼する。はじめは断ったマーティンだが、依頼を受けることにする。

フィロミナは十代の頃、知り合った男と恋に落ち、妊娠してしまう。当時の社会ゆえ、未婚の母など世間体も悪買ったのであろう、フィロミナは修道院に預けられる。そこで男の子を出産し、アンソニーと名付ける。しばらく子供とともに暮らしていたが、ある日、アンソニーはいずこからか来た夫妻に養子として連れていかれてしまう。その後、フィロミナは修道院を出て結婚するが、修道院にアンソニーの行方を問い合わせても、回答は得られないでいた。

マーティンとともに再度修道院を訪れるフィロミナ。しかし、修道院側は「資料は火災で焼失した」と主張する。そしてなぜか消失を免れた養子の承諾書だけがフィロミナに提示される。手がかりがない中、当時の養子がアメリカに行ったことを密かに教えられ、二人はアメリカへと渡る。調査は困難を極めるが、ついにアンソニーの行方を突き止めることに成功する・・・

何気なく観ていた映画だが、エンディングで実話だったとわかりちょっと驚く。時代と言えば時代であったのであろう、許されざる妊娠をし、たぶん世間体もあってだと思うが、修道院に入れられたフィロミナ。さらに驚くのは、愛の宗教と言われ、汝の隣人を愛せと教え、罪を許す宗教であるはずのキリスト教なのに、未婚の母に対しては冷たい。さらに後日、息子に会いたいと尋ねるフィロミナに対しても頑なに情報提供を拒む。フィロミナの視点で映画を観ていると、腹立たしい限りなのであるが、何か事情があるのだろうかと思ってみたりする。

もしもここでキリスト教の博愛精神を発揮し、生き別れた子供を探す母親のためにせめてアンソニーの行方を教えていたら、と思わずにはいられない(もちろんそうしたらこの映画が生まれることはなかっただろう)。そして物語は意外な結末へと向かう。フィクションであれば、わざとらしいと思えるが、なにせそこは実話の持つ力。この結末は予想できるものではなく、深い味わいがある。

物語に感情移入し、フィロミナの立場になって想像してみると、ついつい胸が熱くなってしまう。女性の場合は特におなかを痛めて生んでいるだけに、尚更であろう。けっしてハッピーエンドとは言えないものの、これはこれで良かったと思えるし、だからこそ映画化もされたのであろう。心に響く映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2016年08月11日

繕い裁つ人

繕い裁つ人.jpg

2015年 日本
監督: 三島有紀子
出演: 
中谷美紀:南市江
三浦貴大:藤井
片桐はいり:牧葵
黒木華:葉子
杉咲花:ゆき
中尾ミエ:泉先生
伊武雅刀:橋本
余貴美子:南広江

<シネマトゥデイ>
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『嫌われ松子の一生』などの演技派女優中谷美紀を主演に迎え、池辺葵のコミックを映画化した心に染みる人間ドラマ。クラシカルなミシンで洋服を作る職人肌の主人公と、彼女を取り巻く人々が織り成す物語を紡ぐ。『永遠の0』などの三浦貴大や『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した黒木華ら実力派俳優たちが共演。『しあわせのパン』などの三島有紀子監督による、服を通して結び付く人々を描く心温まる物語に魅了される。
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原作はコミックらしいこの映画、神戸の街でひっそりと祖母から受け継いだ洋品店を経営する女性の物語。百貨店に勤める藤井は、ある洋服のブランド化を考えている。その服とは、南洋品店を経営する南市江が古いミシンをカタカタ言わせて縫い上げるもの。その独特のセンスに惹かれて、日参しているが、市江は首を縦に振らない。

市江は、祖母から受け継いだその店で、一品一品丁寧に仕上げている。祖母の仕立てた服を持って仕立て直しを依頼しにくる客も多く、一方で祖母から付き合いのあった牧の店にだけ商品を下ろしている。スタッフも設備も整えるという藤井の要請にも、「店に下ろしているのは生活のためだが、顔も見えないお客のために服は作れない」と市江も頑なである。

市江が作る服は、一品もの。飽きたら次のものを買うといった具合に、次々と買い替える「消耗品」ではなく、「生涯一着」とでもいうべきもの。その服を買った人たちは、年に一度開かれる、30歳未満お断りの夜会にその服を着て行き、至極のひと時を過ごすことを楽しみとしている。祖母の志乃がなくなった時は、その死を惜しんだ人たちが、それぞれ仕立ててもらった服を着て、志乃を見送っている。

そんな市江の元に日参する藤井は、市江の母のもてなしを受け、団子を頬張りながら市江を翻意させる機会をうかがっている。そして祖母が作った服だけではなく、自分のオリジナルを作りたいのではないかと、市江に囁く。初めは取り合わなかった市江も、お気に入りの喫茶店でお気に入りのチーズケーキを食べながら、いつしかそれを考えるようになっている・・・

ストーリーからしてそうなのであるが、なんとも静かな映画である。もっとも人と人の心暖まる交流は、静かな雰囲気こそふさわしいのである。市江が向かうのも、昔懐かしい足踏み式のミシン。縫い上げる時に、カタカタと音がする。そんなミシンで丁寧に縫い上げられた一品だったら、ファッションに関心の疎い自分でも一着欲しい気もする。そもそも年ごとに、いや季節ごとに流行が変わる「最新ファッション」になど到底ついていけない者としては、一着ものに興味は高い。(単なる横着かもしれないが・・・)

主人公の市江も、その古臭い名前と静かな佇まいから、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。しかし、朝寝坊してパジャマのまま二階から降りてきて藤井と鉢合わせし、狼狽して慌てて引っ込んだり、大好きなチーズケーキ(それも女性にはちと量が多い気がする代物だ)を1人うっとりと食べるところとか、表面に出さない個性が結構面白い。それを中谷美紀が、表情で表現する。

日本の映画界は、実は脇役が手厚いように思う。ここでも余貴美子や伊武雅刀などおなじみのベテランや中尾ミエなんかも久しぶりに登場していい味出している。ドラマ全体にしみじみとした味わいがにじみ出るわけである。日本映画の味わいとでもいうべきものが、この手の穏やかなストーリーでは、海外作品に引けを取らないと感じるところである。ただ、ひょっとしたら刺激を好む若者には退屈に映るのかもしれないと思うところもある。

ファッションをテーマにしながらも、ファッションの映画とは言えない。強いて言えば「こだわり」の映画だろうか。藤井が市江を表して「頑固ジジイ」と言っているが、まさにその通りである。そんなこだわりの職人の映画というところが、ファッションに抵抗感ある自分にも受け入れられたところかもしれない。静かに味わいたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2016年07月27日

8月の家族たち

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原題: August: Osage County
2013年 アメリカ
監督: ジョン・ウェルズ
製作: ジョージ・クルーニー
出演: 
メリル・ストリープ:バイオレット
ジュリア・ロバーツ: バーバラ・ウェストン -バイオレットの長女
ユアン・マクレガー:ビル・フォーダム -バーバラの別居中の夫
クリス・クーパー:チャールズ・エイケン -バイオレットの妹マティの夫
アビゲイル・ブレスリン:ジーン・フォーダム -バーバラとビルの娘
ベネディクト・カンバーバッチ :“リトル”・チャールズ・エイケン -チャールズの息子
ジュリエット・ルイス:カレン・ウェストン -バイオレットの三女
マーゴ・マーティンデイル:マティ・フェイ・エイケン -バイオレットの妹
ダーモット・マローニー:スティーブ・ハイデブレクト -カレンの婚約者
ジュリアンヌ・ニコルソン:アイビー・ウェストン -バイオレットの次女
サム・シェパード:ベバリー・ウェストン -バイオレットの夫
ミスティ・アッパム:ジョナ・モンヴァータ

<シネマトゥデイ>
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メリル・ストリープが病を患うも個性的な母親を演じ、一筋縄ではいかない家族の姿がつづられたヒューマンドラマ。 ピュリツァー賞とトニー賞を受賞した傑作舞台を基に、一家の主の失踪を機に数年ぶりに再会した家族が本音を明かし、秘密がつまびらかになる様子を通し、さまざまな問題を抱える家族のあり方を描く。長女役のジュリア・ロバーツをはじめ、ユアン・マクレガーやクリス・クーパーほか豪華キャストが集結。『カンパニー・メン』などのジョン・ウェルズが監督を務める。秘密を隠し持つ家族を熱演する名優たちの演技合戦に息をのむ。
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ある8月の真夏日、オクラホマの片田舎。一家の主が突然失踪する。それをきっかけに、長女バーバラ、次女アイヴィー、三女カレンの三姉妹が、数年ぶりに実家へ集まってくる。母であるバイオレットは、癌を患っているが誰よりも気が強く、いつでも真実を言うのが正しいと信じている毒舌家。それが病のため様々な薬を併用し、周りに毒を振りまいていく。

長女のバーバラは、夫の浮気と娘の反抗期に悩んでいる。次女の不器用なアイヴィーは、結婚せず地元に残って両親の面倒を見る毎日。婚約者を伴ってきた三女のカレンは、不安を抱えている。かつては一つ屋根の下でくらしていた家族も、それぞれ独立すればそれぞれの家庭と事情が生じるというもの。それを「女帝」バイオレットが暴き出していく。

とにかく、バイオレットの態度は鼻持ちならない。薬でラリっている状態に近いのか、遠慮会釈なく家族に噛みついていく。さらに長女のバーバラは、夫と娘に関する悩みについてずけずけと母親に言われると、カチンときて母親からクスリを没収すべく、取っ組み合いになる。観ていて嫌悪感しか抱けない。そこは御大メリル・ストリープの演技力のなす技なのかもしれない。

また、三女カレンはいかにもおつむもお尻も軽いといった感じで、婚約者スティーブもロクなものではない。バーバラの娘ジーンに大麻を吸わせ、あわよくば口説き落とそうとする有様。娘ジーンは母親に叱られると、父親の浮気を引き合いに出すものだから母親の怒りを買う。思わずビンタして、あちらでもこちらでも火花が飛び散る。

とにかくうだるような暑さは、画面を通しても伝わってくるし(まぁこの時期だからこそかもしれないが)、バイオレットの傍若無人ぶりとそれがもたらす混乱とに、どうも気分が悪くなってくる。原作は何と舞台なのだという。そういえばシチュエーションは、家の中が大半である。舞台で観ればどうなのかはわからないが、映画化されるくらいだから、とても評価は高いのだろう。

観終ってみれば、なるほどそれも頷けるという内容。メリル・ストリープにジュリア・ロバーツにユアン・マクレガーと大物が出演しているだけのことはある。原題はこの家のある郡の名前から取られているようであるが、最後まで頑張って観ればあらゆる意味のよくわかる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2016年07月24日

きいろいゾウ

きいろいゾウ.jpg

2013年 日本
監督: 廣木隆一
出演: 
宮崎あおい: 妻利愛子(ツマ)
向井理: 武辜歩(ムコ)
本田望結: 幼少時代のツマ
緒川たまき:緑
リリー・フランキー:夏目

<Movie Walker解説>
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西加奈子の同名小説を、本作が初共演となる宮崎あおい&向井理を迎えて映画化した夫婦の愛の物語。背中に大きな鳥のタトゥーのある売れない作家と、犬や花の声が聞こえる不思議な力を持つ女性が結婚。九州の片田舎にやってきた2人にやがて起きる出来事が描かれる。監督は『軽蔑』の廣木隆一。
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とある農村で暮らす若夫婦。都会の喧騒の中で暮らす身としては、こんなのどかな田舎で、可愛い奥さんと暮らすことに、ちょっと憧れを感じてしまう。お互いに「ツマ」「ムコ」と呼び合う若夫婦。そういえば夫のことを「ツレ」と呼ぶ映画があったなぁとなんとなく思い出す。風呂を沸かしたら、いつの間にか入り込んでいた蟹が茹で上がっていたと素っ裸で報告に来るツマ。徹底してのどかでいい。

ムコは売れない小説家で、生活のために介護施設に勤めている。そんな二人の家には、近所に住む荒地さんがやってきて、ツマが差し出すビールを飲みながら痴呆症の妻の様子を語る。濃厚な人間関係の田舎らしい風景だ。さらに近所には不登校になってしまった少年大地がいて、ツマにほのかな憧れ心を抱きつつ、都会で負った心の傷を癒している。そんなある日、ムコの下に差出人のない手紙が届く。不思議なことにムコはその手紙を読もうとしない。

ムコがツマを海に連れ出すが、仲よかった二人は、手紙のこともあって喧嘩となる。なんとなく手紙からは女の匂いが漂ってくる。誰もいない浜辺でムコは、かつて大好きだった親戚の「ない姉ちゃん」が自殺してしまった話をする。ムコは毎晩小説を書いているが、それと合わせて日記も記している。ツマはその日記を読んでしまう・・・

ほのぼのとした夫婦のほのぼのした展開に、夜中に観ていたら何度も居眠りしそうになる。こうした映画には、それなりに味わいというものがあって、それをどう味わうかは人それぞれ。個人的には、普段数多くの映画を観ているせいもあって、こういう映画もいいとは思うが、「映画館に行って観たい」というレベルではない。あまりにも静かすぎる。

ムコさんの背中には立派な鳥の刺青があるのだが、それは手紙とも関連していて、少しだけドラマチックな展開になったりする。タイトルは、ツマが子供の頃、入院していた病院のベッドで読んでいた絵本のこと。所々で幼少期のツマときいろいゾウが語り合う。ツマは木や虫の声が聞けるらしく、月に向かってお願いしたりとやっぱり静かな展開が続く。

青い空と木や草が当たり前のように周りにあって、虫の声が語りかけてくるように身近にある。ゆったりとした暮らしは、都会から比べれば退屈なのだろうが、安らぎに溢れている気がする。やはり人間は多少不便でも、ある程度自然に囲まれて生きるのがいいのではないかと思わざるをえない。映画のストーリーよりも、そんなところに目が行き、心が動いたのであった。

ムコとツマのほのぼのとした様子と、のんびりした田舎の景色に心が和まされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 17:18 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ