2015年01月03日

愛してる、愛してない

愛してる、愛してない.jpg

原題: 사랑한다, 사랑하지 않는다/Come Rain, Come Shine
2011年 韓国
監督: イ・ユンギ
出演: 
イム・スジョン:女
ヒョンビン:男
キム・ジス:隣家の女
キム・ジュンギ:隣家の男

<Yahoo!映画解説>
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『百万長者の初恋』などで知られるヒョンビン除隊後初の主演作となる大人向けラブストーリー。
井上荒野の短編「帰れない猫」をベースに、夫が突然妻に別れ話を切り出されたことから始まる夫婦の感情の揺れを描き出す。
監督と脚本を務めるのは、『素晴らしい一日』や『アドリブ・ナイト』を手掛けてきたイ・ユンギ。
『サイボーグでも大丈夫』などの実力派イム・スジョンとの共演で織り成す、男女の心の機微を投影した物語に魅了される。
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韓国映画と言えば、激しいアクションに代表される、どちらかと言えば「動」というイメージがある(もっともそういう映画を選んで観ているせいもある)。
しかし、この映画は最初から最後まで見事なまでに「静」の映画である。

冒頭、若い夫婦が車で空港へと向かう。
何気ない会話であるが、どこかよそよそしさが漂う。
そして妻は夫に別れ話を切り出す。
他に好きな人ができたと。
それを静かに聞く夫。

単に恋人同士であればまだしも、夫婦となるとこれは重い。
(と感じるのは個人の感覚だろうかとも思う)
そして場面は夫婦の自宅へと移る。
妻が荷造りをする。
外は大雨。

別れ話が出て、妻が荷造りをしていても、夫は冷静そのもの。
取り乱したしないし、何故だと詰め寄る事もしない。
静かに見守りつつ、最後の晩餐に二人のお気に入りのレストランを予約したり、コーヒーを入れたりしている。
それはまるで妻がちょっと友だちと旅行に行くような雰囲気である。

途中で隣家の夫婦が飼い猫を探して訪ねて来るが、それ以外の登場人物は電話だけ。
妻の母親と妻の恋人だけである。
なんと低予算な映画なのかと思ってしまう。
時折場面の移動で、風景のシーンが間に入ってくるが、何となく小津安二郎の映画を観ているような感じがする。

全編を通して、静かな夫婦の会話だけの映画。
たぶん、合わない人にはまったく合わないだろう。
そういう自分も途中何度も観るのをやめようと思ったほどである。
しかしながら、この静かな展開にも何となく感じられるものがある。
荷造りをする妻はなぜか作業が進まない。
もっとテキパキとやって早く終わらせれば、それだけ早く出ていける。
気詰まりな雰囲気からも抜け出せると思うのだが、そんな感じがしない。
まるで迷っているかのようである。

原作は短編小説らしいが、文字であればそのあたりの気持ちの描写があったのかもしれない。
されど映画では、それは退屈に思われるリスクがある。
個人的には「1度観れば十分」という評価である。
人によっては好き嫌いが分かれる映画だと思う・・・


評価:★★☆☆☆




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2014年12月29日

海に帰る日

海に帰る日.jpg

原題: THE SEA
2013年 アメリカ
監督: スティーヴン・ブラウン
出演: 
キアラン・ハインズ:マックス・モーデン
シャーロット・ランプリング:ミス・ヴァヴァスー
マシュー・ディロン:少年時代のマックス
ミッシー・キーティング:クロエ・グレース
パドレイグ・パーキンソン:マイルズ・グレース

<WOWOW解説>
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最愛の妻を失った老主人公の脳裏に再びよみがえる少年時代の悲痛な思い出。
ブッカー賞に輝くJ・バンヴィルの同名小説を映画化した、本邦劇場未公開の注目の人間ドラマ。
2005年、あのカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を抑えてイギリスの権威ある文学賞ブッカー賞に輝いた現代アイルランド作家バンヴィルの同名小説を、「ミュンヘン」の演技派C・ハインズの主演で映画化。
最愛の妻と死別した老主人公が、そのつらい体験と折り重ねるようにして少年時代の悲痛で切ない記憶をよみがえらせるさまを、これが長編初監督作となるS・ブラウンが、パステル画のような美しい映像をちりばめながら繊細なタッチで映画化。
C・ランプリングをはじめ、助演陣も豪華多彩な顔ぶれが集結。
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老齢となった主人公が、ずっと記憶の底に残っている過去を訪ねていくお話。
主人公のマックスは、最愛の妻を癌で失う。
その妻には、幾度となく問われる。
それは妻自身の存在理由。
どうやらマックスは、過去にトラウマとなっている事があり、それが結婚生活にも影をさし、妻はそれを感じつつもどうしようもない思いを長年抱えていた、そんな経緯が伝わってくる。

そしてマックスは、妻が亡くなると、己自身の心に残っている過去と向き合うべく、一夏を過ごした地へと向かう。
そこは裕福な一家が避暑に訪れていた別荘。
そこにはクロエという少女とその弟で口のきけないマイルズがいる。
マックスは庶民の子供。
裕福な一家を羨ましいと思いつつ、その家族と一時を過ごす。

物語は、現在のマックスと少年時代のマックスが交互に描かれる。
かつて過ごした別荘に滞在するマックス。
その老女主人とはどうやら昔からの顔馴染み。
そして少年時代の思い出が次々と蘇る。

人間年を取ると、どうしても昔が懐かしくなる。
若い頃は毎日が新しい刺激の連続で、過去を振り返る暇もない。
しかし、年を取ればそうした刺激は少なくなり、逆に積み上げてきた過去が重みを増してくる。
そうした老年の気持ちは、自分も年齢を重ねてきたせいかよくわかる。
逆に若者がこの映画を観ても、面白くはない気がする。

思わせ振りな展開が続くが、結局は過去の事件に結びつく。
それがマックスの人生に影をさすほどのものだったかと言うと、どうだろう。
少なくとも本人にしかわからない事で、自分にはわからなかったのは事実である。
最後に女主人が誰だったのかわかるが、だからどうだと言う事もない。
静かな展開に眠くなる事もしばしばであった。

残念ながら共感する部分も少なく、面白いとはお世辞にも言えない映画であった・・・


評価:★★☆☆☆


   
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2014年12月28日

偽りなき者

偽りなき者.jpg

原題: Jagten
2012年 デンマーク
監督: トマス・ヴィンターベア
出演: 
マッツ・ミケルセン:ルーカス - 離婚歴のある幼稚園教師。42歳。
トマス・ボー・ラーセン:テオ - ルーカスの幼なじみの親友。
アニカ・ヴィタコプ:クララ -テオの娘。ルーカスの幼稚園に通っている。
ラセ・フォーゲルストラム:マルクス -ルーカスの別れた妻が引き取って育てている息子。
スーセ・ウォルド:グレテ - ルーカスが勤める幼稚園の園長。
アンヌ・ルイーセ・ハシング:アグネス - テオの妻。クララの母。
ラース・ランゼ:ブルーン - ルーカスの親友。マルクスの名付け親。
アレクサンドラ・ラパポート:ナディヤ - ルーカスの同僚で恋人。

<映画.com>
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「セレブレーション」「光のほうへ」で知られるデンマークの名匠トマス・ビンターベアが、『007 カジノ・ロワイヤル』「アフター・ウェディング」のマッツ・ミケルセを主演に迎えたヒューマンドラマ。
変質者の烙印を押された男が、自らの尊厳を守り抜くため苦闘する姿を描き、2012年・第65回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞ほか3冠に輝いた。
親友テオの娘クララの作り話がもとで変質者の烙印を押されたルーカスは、身の潔白を証明しようとするが誰も耳を傾けてくれず、仕事も親友もすべてを失ってしまう。
周囲から向けられる侮蔑や憎悪の眼差しが日に日に増していくなか、それでもルーカスは無実を訴え続けるが……。
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デンマークという国も、ヨーロッパでは映画産業が盛んなのか、時折デンマーク映画を観る機会に恵まれる。
この映画も、そんなデンマーク映画である。

主人公は、幼稚園の先生をしているルーカス。
休日には仲間たちとハンティングに行く。
そんな中でもテオは親友で、テオの娘クララは幼稚園の生徒でもある。
ルーカスは離婚し、息子のマルクスとは離れて暮らしている。
しかし、マルクスの希望と、ルーカス自身が幼稚園に就職できた事により、マルクスとともに暮らす事ができる見込みが出ている。

しかし、そんなある日、クララが幼稚園の園長グレテにルーカスのペニスを見たと話す。
しかもその前に兄からペニスが立つという話を吹き込まれており、ルーカスのペニスも立っていたと話した事から、グレテはあらぬ疑いをルーカスに持ってしまう。
ルーカスは弁解の機会も与えられぬまま、自宅待機となり、かつ園児の父兄にもルーカスの“行為”が知らされる事となる。

こうなると、ルーカスは“変質者”のレッテルを張られ、仕事は失い、息子との同居話も棚上げされ、さらに街のスーパーでも出入り禁止を通告されてしまう。
店員に殴られる事態になっても、味方はいない。
息子のマルクスとマルクスの名付け親ブルーンだけが、ルーカスの無実を信じている。

ドラマの話ではあるが、これは実に恐ろしい話である。
発端となったのはクララの証言であるが、相手は園児であり、意味もよくわからないままに聞きかじった話をしてしまう。
あとで否定するも、それは周りの大人たちから「恐怖から否定している」と勝手に解釈され、話が独り歩きする。
本人の弁解はもちろん何の効果もないし、反論しようにも相手は子供であり、大人相手のように証言の矛盾を突くなどという事もできない。
痴漢の冤罪の如く、逃れようもない。

犯罪としても軽蔑すべきもので、本当であったら当然許し難い事。
されど冤罪となると、まったく気の毒な状況となる。
ルーカスも孤立無援となるが、そんな中で信じてくれる者の存在はありがたい。
息子の名付け親の親友が唯一味方となってくれる。
この親友ブルーンとの関係をもう少し詳しく描いて欲しかったと思う。
なぜ、彼だけがルーカスを信じたのだろうとちょっと疑問であった。

主演はマッツ・ミケルセン。
『ヴァルハラ・ライジング』や『バトル・オブ・ライジング コールハースの戦い』とは系統の違う役柄だが、違和感はない。
ヨーロッパの映画界では大物の部類に入るのかもしれない役者さんであるが、気がつけば結構いろいろな作品に出演していて、知らないうちに観ている事に気がついた。
これからちょっと覚えておこうと思う。

最後はどうなるものかと思っていたら、何とか落ち着くところに落ち着いた。
それにしても、「真の友情とは困難の中にあって初めてわかるもの」という事を改めて感じさせられた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
   
    
    
posted by HH at 20:52 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2014年11月26日

共食い

共食い.jpg

2013年 日本
監督: 青山真治
出演: 
菅田将暉:遠馬
木下美咲:千種
篠原友希子:琴子
光石研:円
田中裕子:仁子
宍倉暁子:アパートの女
岸部一徳:刑事
淵上泰史:若い刑事

<映画.com>
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第146回芥川賞受賞を受賞した田中慎弥の小説を、「EUREKA」「東京公園」の青山真治監督が映画化。
山口県下関市を舞台に、高校生の遠馬、暴力的な性癖を持つ父、その愛人らが繰り広げるひと夏の出来事を、原作とは異なる映画オリジナルのエンディングとともに描き出す。
昭和63年、山口県下関市の「川辺」と呼ばれる場所で父親とその愛人と3人で暮らす高校生の遠馬は、性行為の際に相手の女性を殴るという粗暴な性癖をもつ父親を忌み嫌っていた。
しかし、17歳の誕生日を迎えた日、幼なじみの千草と初めて交わった遠馬は、自分にも粗野な父親と同じ血が流れていることを自覚させられる。
主人公の遠馬を演じるのは、「仮面ライダーW」「王様とボク」などで注目を集める若手俳優・菅田将暉。
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原作小説は既に読んでいたが、映画は映画として鑑賞した一作。

物語の舞台は、昭和最後の年である昭和63年の山口県下関市。
主人公は、高校生の遠馬。
父とその愛人琴子と共に暮らしている。
母は同じ町で魚屋を営んでおり、遠馬は時々母を訪ねている。

なぜ母と暮らさないのかはわからないが、性欲が強く、破天荒な父親の存在は思春期の少年にとって影響が大きい。
Sexの時に女を殴るくせのる父親。
愛人の琴子もよくあざを作っている。
そしてその血が、自分にも流れていることを遠馬もよく知っている。

そして遠馬には、千種という恋人がいて、よく呼び出しては神社の神輿蔵をホテル代わりに利用している。
なかなか“大人向け”の内容なので小中学生の子供と観るのは、ちと憚られるところがある。
性欲が強い父親、そして若い愛人との生活は、高校生にとっては刺激が強い。
自ら千種に語るように、「(田舎ゆえに)他に楽しみもない」環境もある。
そしてある日、その父親が、強過ぎる性欲をコントロールできず、“事件”を起こす・・・

「共喰い」とは、仲間を食べること。
普通、生物は“種の保存”本能があるから、仲間を食べることはないように思われるが、逆に強烈な“種の保存”本能ゆえに仲間を喰ってでも生きることがあるのかもしれない。
この物語に出てくる登場人物も、ある意味そんな“強烈さ”を秘めている。
遠馬の父親も、遠馬の母親も、そして遠馬自身にも、そんな感じがしてしまう。

遠馬の母親を演じるのは、田中裕子。
もともと昔から演技派だとは思っていたが、ここでは身なりに拘ることもなくなった母親として登場。
なかなかの雰囲気を醸し出していた。

その他の出演陣は、普段あまり目にすることのない俳優さんであったが、個人的には千種を演じた木下美咲に興味を惹かれた。
大胆な役柄だったが、それがまた良かったと思う。

小説も小説なりに強烈な印象を受けたが、映画は原作を損なうことなく、映画なりの良さを見せてくれたと思う。
小説と異なるラストもあってか、映画は映画で面白かったと思える一作である・・・


評価:★★☆☆☆


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2014年11月20日

千年の愉楽

千年の愉楽.jpg

2012年 日本
監督: 若松孝二
出演: 
寺島しのぶ:オリュウノオバ
佐野史郎:礼如
高良健吾:中本半蔵
高岡蒼佑:田口三好
染谷将太:中本達男
山本太郎:安田
井浦新:中本彦之助

<Movie Walker解説>
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映像化が困難だと言われていた中上健次の代表作でもある短編集を映像化した、若松孝二監督の遺作。
紀州の地を舞台に、産婆として人々の命の始まりを見届けてきたオリュウノオバと、彼女に取り上げられてきた人々の物語がつづられる。
高良健吾、染谷将太ら、日本映画界を代表する若手俳優たちが多数顔を揃えた。
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主演が寺島しのぶと聞くと、どうしてもエロチックなイメージがあるが、この映画もR15指定映画となっていると、「やはり」と思ってしまう。

そんな寺島しのぶのイメージは、『キャタピラー』『愛の流刑地』などで固まったが、その他の作品も軒並み肌をさらしている。
しかし、それでもどうしてもゾクゾクするようなエロチシズムを感じないのは、寺島しのぶが間違っても美人ではないからだろう。

この映画で寺島しのぶが演じるのは、産婆。
「オババ」と呼ばれる産婆が、今際のきわで自ら取り上げた男達を思い出す。
それは中本という家の男達。
精力盛んな一族で、あちこちの女に手を出しては悲劇的な最後を遂げている。

冒頭、産気づいた妊婦の元に呼ばれるオババ。
しかしその時、父親にあたる男は、女に刺され大量に出血する中で、まさに息を引き取ろうとしていた。
そして生まれた男の子半蔵は、今でいうイケメンに育ち、結婚してもなお近所の後家の家に入り浸る。
オババに批判されても、「女が言い寄ってくる」と悪びれない。
さらにオババにすら、「試してみるか」と言い放つ始末。
そして半蔵は父親と同じ運命を辿る。

そんな中本の血を受け継ぐ三好は、ヒロポンを打ち、盗みに手を出す。
オババの忠告も右の耳から左。
そして三好も人妻に手を出す。
こんな男達の物語が綴られる。
R15も納得である。

そんな中本の血であるが、男だけが悪いというものではない。
その血を受け入れる女がいるからである。
それが人間の本能なのであろうか。
本能であることは間違いないが、その抗えない力にオババ自身も陥っていく・・・

一体、この物語は何を語っているのだろうとふと思う。
よく国語の試験で、「作者の言いたい事は何か」と問われた事がある。
この物語で作者が訴えたかったことは、一体何なのであろうか。
人間が抗う事のできない血なのだろうか。

日頃理性的に生きている身としては、自分では叶うことのない世界を除き見る気分であるが、その中で生きたいとまでは思わない。
それにしても寺島しのぶは、この手の映画ですっかり“暗いエロチシズム”のイメージを固定化させた気がする。
残念ながら次回作を期待したいとまでは思えないのだが、それが“怖いもの見たさ”的なものもあるのも確かである。
それもまた良いかもしれないと思う次第である・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 22:06 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ