2014年10月23日

二十四の瞳

二十四の瞳.jpg

1954年 日本
監督: 木下惠介
出演: 
高峰秀子:大石先生
月丘夢路:マスノ
井川邦子:松江
小林トシ子:早苗
田村高廣:磯吉
笠智衆:男先生
夏川静江:大石先生の母
浦辺粂子:男先生の妻
清川虹子:よろずや
浪花千栄子:飯屋のかみさん
明石潮:校長先生

<映画.com>
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「女の園」に次ぐ木下恵介監督作品。
壷井栄の原作を同監督自身が脚色している。
撮影も「女の園」の楠田浩之、音楽は「三つの愛」の木下忠司。出演者は「女の園」の高峰秀子、田村高廣、天本英世、「昨日と明日の間」の月丘夢路「陽は沈まず」の小林トシ子、笠智衆など。
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あまりにも有名な映画であるが、今日まで観ることなくきてしまった。
温故知新ではないが、ちょうど木下惠介監督の生誕100年の特集をしていたこともあり、観る機会に恵まれたというわけである。

主人公は若い女性教師の大石。
小豆島の岬の分校に赴任してくる。
ここでは小学校1〜4年生が学び、5年生からは遠く離れた本校に通うことになっている。
岬から本校までは5キロの道のり。
小学校5年ともなれば歩いて通えるだろうという判断なのかもしれないが、片道1時間以上はかかるだろうから、かなり大変である。

時に昭和3年。
大石先生は岬の分校まで4里=16キロの道のりを自転車で通う。
自転車に乗って通勤する姿は、現代の感覚では何ともないのであるが、村の人々は「洋服を着て自転車に乗るモダンガール」と奇異の目で見る。
この映画の製作は1954年(昭和29年)であり、ストーリーとは別に“時代”を感じさせてくれる。
その自転車を月賦で買ったのも珍しかったらしい。

赴任して受け持ったのは男5人、女7人の12人の生徒。
タイトルのゆえんである。
大石先生は、背が低いことから生徒たちから「小石」とあだ名をつけられる。
そして先生と生徒たちはすぐに親しくなる。

ある日、生徒がいたずらで掘った落とし穴にはまり、大石先生は足を怪我してしまう。
かなり重傷で、自転車にも乗れなくなり、当然学校も休むことになる。
寂しくなった生徒たちは、みんなで示し合わせて先生を訪ねることにする。
子供らしく、何とも微笑ましい。

しかし、いざ歩き始めるが、なにせ16キロの距離。
子供たちの足では限界があり、途中から泣き出す子が出る始末。
そこへ偶然通りかかったバスに医者帰りの大石先生が乗っており、生徒たちと再会。
子供たちは一斉に先生に駆け寄り誰もが泣き出す。
何とも言えないシーンである。

結局、大石先生は自宅から近い本校勤務となり、分校の子供たちとは5年生になった時に再会する。
少し大きくなった子供たち。
不思議な事に、子役がみなよく似ている。
本当に成長したかの如くである。

1年生だった時にはみな同じだった生徒達も、やがて少しずつ家庭の事情などで変わってくる。
松江は母がお産で死に、生まれた子も死んでしまうと大阪へと預けられていく。
家が破産し、修学旅行に行けない子がいる。
軍国主義の風が吹き、男の子たちは兵隊になると語る。
そんな風潮を嫌い大石先生は職を辞する。

自分の夫も戦死し、娘も木から落ちて死んでしまうという不運が重なる。
教え子たちも戦地に散る。
同じ学び舎でスタートした先生と12人の生徒たちの運命に胸が熱くなる。
なぜ“名画”と言われて、名前が残っているのかがよくわかる。

最後に分校に復職した先生の歓迎会を、元の教え子たちが開く。
集まったのは男2人と女5人の7人・・・

映画が好きなら、是非観ておきたい日本映画である・・・


評価:★★★☆☆



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2014年10月07日

17歳のエンディングノート

17歳のエンディングノート.jpg

原題: Now Is Good
2012年 イギリス
監督: オル・パーカー
出演: 
ダコタ・ファニング:テッサ
ジェレミー・アーバイン:アダム
パディ・コンシダイン:パパ
オリビア・ウィリアムズ:ママ
カヤ・スコデラーリオ:ゾーイ

<Yahoo!映画解説>
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不治の病で余命9か月の少女が、残りの人生でしてみたい事柄を実行していく中で予定外の恋に落ち、生きる意味を見いだしていく人間ドラマ。
監督は、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の脚本家オル・パーカー。
限られた人生を謳歌しようとするヒロインを、天才子役としてキャリアを重ねてきたダコタ・ファニングが熱演。
共演には『戦火の馬』のジェレミー・アーヴァイン、『思秋期』で監督デビューを果たしたパディ・コンシダインら実力派が顔をそろえる。
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『エンディング・ノート』とあるように、これは死を間近にした17歳の少女が、「死ぬまでにやりたいこと」をやると言う物語。
そう言えば以前、『死ぬまでにしたい10のこと』という映画を観たが、コンセプトは同じようである。

主人公は17歳の少女テッサ。
白血病にかかっていて、治癒の見込みはなく、あとは延命治療のみという状態。
本人もしっかりそれを認識し、死ぬまでにやりたいことのリストを作り、友人のゾーイとともに実行を試みている。

冒頭は「初体験」。
ゾーイとともに、男の子二人と“その機会”を設けるが、寸前でやめてしまう。
やっぱり初めての時は「誰でもいい」というわけにもいかないのだろう。
リストの中には「法律を破る」というのもあって、二人は万引きをする。
あえなく捕まってしまうのだが、ゾーイが盗んだのは妊娠判定キット。
そこでゾーイの妊娠が発覚する。

両親は離婚し、テッサは父親と暮らしている。
弟は、「お姉ちゃんが死んだらまた旅行に行ける?」なんて聞いてしまう。
9歳なんだが、まだそのあたりの機微には疎い。
そしてたまたま訪れた隣家で、テッサは越してきたばかりのイケメンのアダムと出会う。
やっぱり年頃となれば何よりも異性なのだろう。

そんなアダムとの付き合いを父親は反対する。
大概、父親は反対するものだが、それは“我が身を振り返って”という部分が大きい気がする。
しかし、余命短い我が娘に対しては、「アダムには耐えられない」と説明している。
事実、大量出血するテッサの姿に、アダムはうろたえ何もできない。
そして次第に、“その時”は近づいてくる・・・

主演はダコタ・ファニング。
かつて小さくかわいらしかった少女もだいぶ大きくなった。
ただ、子供の頃の方が正直言ってかわいらしかったと思う。
この後、どう大人の女になっていくのか。
どんな役者になっていくのか、興味のあるところである。

共演は、『戦火の馬』のジェレミー・アーヴァイン。
純朴なイメージの青年役がここでも良く似合う。
死を前にした少女の物語と言っても大げさな“お涙頂戴モノ”になっていないところが、この映画の好感が持てるところ。
機微に疎い弟も、さすがに最後は分かっていたし、スマートなラストであった。

普段何気なくやっている事、年と共に自然とやれた事でも若くして人生を終えるとなるとできない事もある。
つくづくと我が身の幸せを感じざるを得ない。
そんな“当たり前”に感謝したくなる一作である・・・


評価:★★☆☆☆




   
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2014年10月06日

サンパウロ、世界で最も有名な娼婦

サンパウロ、世界で最も有名な娼婦.jpg

原題: Bruna Surfistinha
2011年 ブラジル
監督: マルクス・バルディーニ
出演: 
デボラ・セッコ:ラクエル/ブルーナ
カシオ・ガブス・メンデス:ウジソン - ブルーナの最初の客
ファビウラ・ナシメント:ジャニーヌ - 子持ちのベテラン娼婦
クリスティーナ・ラゴ:ガブリエル - ブルーナの娼婦仲間
グタ・ルイス:キャロル - 金持ちの愛人
ドリカ・モラエス:ラリッサ - 売春宿の女主人

<WOWOW解説>
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赤裸々なブログで世界的に知られることとなったコールガールの実話をもとに描く官能ドラマ。
内気な家出少女が、コールガールとしてセレブの仲間入りを果たすのだが……。
ブラジルの大都市サンパウロを舞台に描く、成功と没落の実録エロティックドラマ。
家庭にも学校にも問題を抱えた高校生の少女が、自立しようと都会へ家出し、やがてコールガールに。
初々しい魅力に男たちが群がり、いつしか彼女は売れっ子となってきらびやかな生活を送り始めるが……。
実話がもととあって、男たちに一時の夢を与える一方、過酷なコールガールの日常が赤裸々に描かれ興味深い。
主演D・セッコの熱演も見ものだ。
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ブラジルの実在の娼婦の自伝を基にした映画。

主人公のラクエルは高校生。
ちょっと暗いところがあるが、ある日クラスメイトの男から「一緒にうちで勉強しよう」と誘われる。
傍で見ていると、その意味するところは明らかだが、ラクエルは言葉通りに受け取る。
しかし、この男部屋に入れたラクエルにいきなりフェラチオをさせようとする。
なかなかとんでもない男である。

そしてさらにそれを写真に撮ってネットでアップする。
おかげで全校生徒の知るところとなり、ラクエルは家にも学校にも居場所がなくなり、家出をする。
「自立したい」という心掛けは立派だが、住み込みの職場として選んだのが、なんと娼館。
こうしてラクエルは娼婦として働く事になる。

初めての客に名前を問われ、ブルーナと答える。
以後、それがラクエルの源氏名となる。
若く、そして客を喜ばせる事に喜びを感じるブルーナは、たちまち1の売れっ子になる。
しかし、好事魔多し。
ある時禁止されていたコカインを吸っていた同僚を庇ったブルーナは、同僚と共に娼館を首になる。

一人となったブルーナは、仲の良かったガブリエルとともに、ネットで客を募集することを思い付く。
「サーファーガール」と称するブログは、たちまち評判となり、ブルーナは人気娼婦となっていく・・・

娼婦と言えば、日本では日陰の存在。
現代は、昔のような貞操観念はなくなっているとは言え、週に20〜30人もの男とSEXする女は、男としては受け入れ難いところがある。
ところが、ブラジルではそうでもないのか、映画のノリは明るい。
しかもブルーナは、その日の客の評価をブログで公表する。
男からしてみると、この“成績発表”は気になるところ。
「低い評価をされたら」と考えると、自分だったら二の足を踏むところだ。

人気者となったブルーナは、それにともなって大金を手にする。
するとお決まりの転落コース。
悪友がつき、信頼できる友は去っていく。
そして何もかもが奈落の底へ向かう。

実話だという強みが、ストーリーの説得力となる。
そんなブルーナを初めての客であるウジソンはずっと見つめ続け、やがて一緒に暮らそうと誘ってくる。
内容が内容だけに、映画はSEXシーン満載。
主演のデボラ・セッコも体当たりの熱演で、好感である。
SEXシーンが目当てではないが、あまり観る機会のないブラジル映画としては、面白かったと思う。

20年後のブルーナを知りたいと最後にふと思わせられた映画である・・・


評価:★★☆☆☆



   
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2014年10月05日

ソフィーの選択

ソフィーの選択.jpg

原題: Sophie's Choice
1982年 アメリカ
監督: アラン・J・パクラ
出演: 
メリル・ストリープ:ソフィー
ケヴィン・クライン:ネイサン
ピーター・マクニコル:スティンゴ
リタ・カリン:エッタ
スティーヴン・D・ニューマン:ラリー

<Movie Walker解説>
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作家志望の青年が、ニューヨークで知り合った自由奔放な男と暗い影のある女。
3人の織りなす人間ドラマを描く。
キース・バリッシュ・プロが英のITCのために製作した。
製作はキース・バリッシュとアラン・J・パクラ。
エグゼクティヴ・プロデューサーはマーティン・スターガー。
ウィリアム・スタイロンの同名ベストセラー(新潮社)をアラン・J・パクラ監督が自ら脚色。
撮影はネストール・アルメンドロス、音楽はマーヴィン・ハムリッシュが担当している。
出演はこの映画の演技でアカデミー主演女優賞を得たメリル・ストリープの他、ケヴィン・クライン、ピーター・マクニコル、ギュンター・マリア・ハルマーなど。
ナレーターをジョセフ・ソマーがつとめている。
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ビューリッツァー賞を受賞した原作小説を映画化し、主演のメリル・ストリープがオスカーを獲得したドラマ。

時は、第2次世界大戦終結間もない1947年。
物語の語り部となる小説家志望の青年スティンゴが、将来を夢見てブルックリンにやってくる。
さっそく下宿を借りるが、その2階にはネイサンとソフィーというカップルが暮らしている。
入居早々、ネイサンとソフィーは大げんかをし、ネイサンはソフィーを罵倒して出ていく。
いきなりの出来事に面食らうスティンゴ。
やがて戻ってきたネイサンは別人のように穏やかで、以後3人は仲良く過ごすようになる。

ネイサンはハーバード出身の生物学者で、ファイザー研究所に勤めていると語り、ソフィーは腕の刻印からナチスの収容所にいたことがわかる。
スティンゴはネイサンの留守中、ソフィーと語り合う。
ソフィーはポーランド出身で、収容所から解放された後、アメリカに来て半年。
母国語に加え、ドイツ語・フランス語・ロシア語・スラブ系の言語に通じているが、英語にはまだ訛がある。

ネイサンとソフィーは、ソフィーが図書館にエイミー・ディキンソンの詩を探しに行った図書館で出会う。
意識を失って倒れたソフィーをネイサンが介抱したのである。
時としてネイサンは逆上し、暴言を吐くが、3人は仲良く過ごす。
そんなある日ネイサンの兄がスティンゴの元を訪ねてくる。
そしてネイサンは、実は神経を病んでおり、経歴もすべて嘘だと告げる。
ネイサンの様子を見ていて何かあれば知らせて欲しいと言い置いて帰ってゆく。
そして、事件が起こる・・・

メリル・ストリープがオスカーを取った映画であれば、とっくに観ていそうなものであるが、なぜか今日まで観ないできてしまった映画である。
メリル・ストリープと言えば、決して美人だとは思わないが、やっぱり演技力で不動の地位を築いているのだろう。
ここでもヨーロッパ訛の英語を話し、感情の起伏の激しいネイサンに振り回される薄幸な女を見事に演じている。
『プラダを着た悪魔』の鬼編集長の片鱗はどこにも見当たらない。

タイトルは、『ソフィーの選択』となっているが、ストーリーはスティンゴが彼の眼を通した形で進んでいき、ソフィーはその中の登場人物という形になっている。
なのになぜこのタイトルかと言えば、それは最後に判明する。
その『選択』は実に重い。
原作がピュリッツァー賞を受賞したというのも頷けるストーリーである。

全体で通常よりもちょっと長い154分。
もう少し物語に厚みがあっても良かった気がするが、時間的にもこれが精一杯だったのかもしれない。
原作本も機会があれば読んでみたいと思う。

メリル・ストリープのオスカー受賞も納得。
これまで観なかったのが、残念な一作である・・・


評価:★★★☆☆


    
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2014年10月01日

そして父になる

そして父になる.jpg

2013年 日本
監督: 是枝裕和
出演: 
• 福山雅治:野々宮良多
• 尾野真千子:野々宮みどり(良多の妻)
• 真木よう子:斎木ゆかり
• リリー・フランキー:斎木雄大(ゆかりの夫)
• 二宮慶多:野々宮慶多(良多の息子)
• 黄升R:斎木琉晴(雄大の息子)
• 中村ゆり:宮崎祥子
• 高橋和也:野々宮大輔(良多の兄)
• 田中哲司:鈴木悟(弁護士、良多の友人)

<Yahoo!映画解説>
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『誰も知らない』などの是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ。
順調で幸せな人生を送ってきたものの、運命的な出来事をきっかけに苦悩し成長する主人公を、大河ドラマ「龍馬伝」や『ガリレオ』シリーズの福山雅治が演じる。
共演は、尾野真千子や真木よう子をはじめ、リリー・フランキー、樹木希林、夏八木勲ら個性派が集結。
予期しない巡り合わせに家族が何を思い、選択するのか注目。
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福山雅治主演のドラマ。
主人公は建設会社に勤める野々宮良多。
いかにも優秀そうで、会社では自ら中心となって次々とプロジェクトを成功させている。
冒頭は、私立小学校の面接試験。
いわゆる“お受験”である。
一人息子の良多は、「優しい性格だが、おっとりしている」と良多は語る。

この主人公、いかにも優秀そうなエリート社員である様子は、『ガリレオ』シリーズの湯川博士のようで、ちょっと好きになれないタイプである。
妻はそんな夫に黙って従うタイプである。

そんな野々宮夫婦に、息子慶多を出産した病院から連絡が入る。
「大事な話がある」と。
行ってみればなんと「赤ちゃんの取り違え」。
同じ病院で出産した斎木夫妻の子供と取り違えたのだという。
最近はDNA鑑定があるため、それは間違えのない事実と裏付けられている。
病院の勧めで子供を交換する事を検討する野々宮家と斎木家・・・

自分だったらどうするだろうと考えさせられる。
たぶん、というか絶対に交換には応じないだろう。
斎木家と野々宮家とはまるで対象的。
斎木家は、いわゆる“町の電気屋さん”で、経済的に豊かでない様子はその言動の端々から伺える。

しかし、経済的な豊かさでは劣る斎木家も、親としてのスタンスは良多とは大違い。
良多は子育ては妻任せ、風呂にも一人で入らせ、甘やかさない。
一方、斎木は子供たちと一緒に遊び、一緒に風呂に入る。
ストーリーを通じて親子間で大事なのは「血」か「時間(=縁)」かが問われる。
いわゆる「生みの親」か「育ての親」かである。

普通は、ことわざにもある通り「育ての親」だろう。
ある日突然、「お前の親はあっち」と両親に言われたら、子供もショックだろう。
『八日目の蝉』みたいなケースだと難しいものがある。
血か縁か、そして「親としてのあり方」がストーリーを通して描かれていく。

主人公の良多は、始めは実に嫌な男として登場する。
妻が大人しい事をいい事に、家庭では思いのまま振舞い、“たかが電気屋”の斎木を小バカにする。
しかし、次第に斎木の影響を受け、二人の子供(生みの子琉晴と育ての子慶多)と向き合ううちに次第に“父になって”ゆく・・・
始めが嫌な男だったゆえに、その変化の過程には目頭が熱くなるものがある。
実に、子供を持つ父親には一見の価値がある。

主演の福山雅治は、まさに『ガリレオ』シリーズの湯川博士のイメージそのままだが、この映画ではピタリと役にはまっている。
そしていいのが奥さんの尾野真千子。
夫に従う妻の姿に理想的な妻の姿を見て、個人的に羨ましくなる。

それど夫婦喧嘩のシーンでドキリとさせられる。
夫が過去に言った一言をなじるシーン。
「あの時言った事、覚えてる!」
夫というモノは、大概覚えていない。
大した意味もなく言った一言なのであるが、「私は一生忘れない」となじられる。
同じ経験をしている身としては、身につまされるモノがある。

斎木役のリリー・フランキー、良多の義母樹木キリンと脇役陣も実に味わい深いものがある。
父親として世の父親たちはどうあるべきなのか、その答えは人によって違うだろうが、一度はじっくり考えてみても良いであろう。
そしてその時、参考として観るべきなのがこの映画だろう。
そんな事を考えさせられた映画である・・・


評価:★★★☆☆



   
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