2015年03月28日

ある愛へと続く旅

ある愛へと続く旅.jpg

原題: Twice Born/Venuto al mondo
2012年 イタリア・スペイン
監督: セルジオ・カステリット
出演: 
ペネロペ・クルス:ジェンマ - イタリア人女性。
エミール・ハーシュ:ディエゴ - アメリカ人写真家。ジェンマの夫。
アドナン・ハスコヴィッチ: ゴイコ - サラエヴォ在住のジェンマらの旧友。
サーデット・アクソイ:アスカ - ミュージシャンを目指している女性。イスラム教徒。
ピエトロ・カステリット:ピエトロ - ディエゴとジェンマの1人息子。16歳。
ジェーン・バーキン:精神分析医
セルジオ・カステリット:ジュリアーノ - ジェンマの現在の夫。軍人。

<Yahoo!映画解説>
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『赤いアモーレ』原作のマルガレート・マッツァンティーニの小説が基になったドラマ。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で夫を亡くしたローマ在住の女性が、同国への再訪を機に彼から向けられていた大きな愛を改めてかみ締める姿を見つめる。
主役となる夫婦に、ペネロペ・クルスとのエミール・ハーシュ。
監督を務めるのは、原作者の夫でもある『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリット。
壮大かつ感動的な物語に加え、ヒロインの女子大生時代から中年期までを見事に体現したペネロペの熱演も見ものだ。
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主人公のイタリア女性ジェンマを演じるのは、ペネロペ・クルス。
スペイン語訛の英語を話す美形女優。
それが冒頭で登場するが、随分老けたなとの思いを抱く。
最近知っている俳優の“老け”が目立つだけに、「この人もか」と思うも、すぐに回想シーンとなり、学生時代の主人公であるペネロペ・クルスは記憶にある通りの姿。
ここで、老け役なのだとわかるが、見事なものである。

旧友のゴイコから突然かかってきた電話に戸惑うジェンマ。
訳あり気であり、夫もその“事情”に通じている様子。
そしてジェンマは息子と二人でボスニアへと向かう。
かつて若かりし頃(こごて登場するペネロペ・クルスはいつもの美しい容姿である)、ボスニアを訪れたジェンマ。
そこで陽気なカメラマンのディエゴと出会う。

ディエゴに半ば強引に口説かれ、惹かれるようになる。
その後一度別の男と結婚するも破談となり、ディエゴと再会したあと、二人は結婚する。
幸せな日々を迎えるも、子宝には恵まれない。
そんな中で、サラエボで火の手が上がる。
カメラマンとしての本能でサラエボに向かうディエゴとそれを追うジェンマ。

同地で二人は子どもを得るために代理母を頼む事にする。
相手はムスリムのアスカという女性。
しかし、ディエゴはアスカを愛するようになる。
あれだけ熱心にジェンマを口説いたのにと呆れてしまう。
やがて戦火が激しくなる中、アスカは男の子を出産し、ジェンマは混乱の中帰国することになる。
しかし、ディエゴはパスポートを所持しておらず、一緒に帰国できなくなってしまう・・・

何とか帰国したジェンマは、一人の軍人と出会う。
冒頭に出てきた現在のジェンマの夫だとわかる。
息子との関係もわかってくる。
そしてゴイコがジェンマを招いた本当の理由が明らかになる。

「民族浄化」という言葉が、いまだ記憶に残っているボスニア紛争。
この映画との繋がりが最後にわかる。
そして裏切りに見えたディエゴの行動の理由も。
これはなかなか深い物語。
原作はベストセラーになったそうであるが、その理由も頷けるというもの。

そんな深いストーリーと、ペネロペ・クルスの熱演が光るだろう。
陽気なラテン美女というどちらかと言えばビジュアル系の女優さんだと思っていたが、この映画での役柄はそれ以上と言える。
これからは“シリアス系”にも出演してもらいたいと思ってしまう。
観応えある一作である。

評価:★★★☆☆



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posted by HH at 14:49 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2015年03月22日

この森で、天使はバスを降りた

この森で、天使はバスを降りた.jpg

原題: The Spitfire Grill
1996年 アメリカ
監督: リー・デヴィッド・ズロトフ
出演: 
アリソン・エリオット:パーシー・タルボット
エレン・バースティン:ハナ・ファーガソン
マーシャ・ゲイ・ハーデン:シェルビー・ゴダード
ウィル・パットン:ネイハム・ゴダード
キーラン・マローニー:ジョー・スパーリング
ゲイラード・サーテイン:ゲイリー・ウォルシュ保安官

<Yahoo!映画解説>
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ある町に降り立った少女が巻き起こす出来事を温かい視点で描くハートウォーミング・ストーリー。
森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという少女が降りてくる。
彼女は、ハナという無愛想な女が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。
町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、パーシーの魅力に周囲の人々は惹かれてゆく。
だが、彼女は誰にも言えない暗い過去があった。
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映画のリストの中で、ふと目に留まったタイトル。
よく見れば20年近く前の作品であるが、観たことはない。
サンダンス映画祭観客賞受賞ということにも興味があって、観てみることにした映画。

冒頭、州の観光局のコールセンターで働く一人の女性。
パーシーという名のその女性は丁寧に対応するが、手前で鉄格子のドアが閉められる。
そこでそのコールセンターは、実は刑務所の中だとわかる。
そういえば、以前読んだ『貧困大国アメリカ』という本で、刑務所の「安い労働力」を利用したコールセンタービジネスというのが紹介されていた事を思い出す。
そして間もなくパーシーは釈放される。

釈放されたパーシーはバスに乗り、ある森のはずれでバスを降りる。
そこから歩いてギリアドという町に行く。
保安官事務所を訪ね、看守から紹介された旨を伝え、ある店で住み込みでの働き口を紹介される。
その店の名は、「スピットファイア・グリル」(これが原題となっている)。

店主はちょっと気難しい老女のハナ。
パーシーは翌朝から働き始める。
しかし、店に来た常連客はパーシーに対し好奇の眼差し。
そこは田舎。
“よそ者”に対する意識は強い。
そんな常連客たちに向かい、パーシーは敢えて自分が「ムショ帰り」であることを宣言する。

気難しかった店主のハナは、実は事情があって店を売りに出している。
そして夜な夜な裏庭に缶詰を入れた袋を置く謎の習慣。
“よそ者”に対する排他意識の強い甥のネイハム。
そしてネイハムの妻で、いつも小さくなって生活しているシェルビー。
なかなか売れない店に、パーシーはあるアイディアを提案する。
お金が集まってきたところで、事件は起こる・・・

人を疑う人々と信用する人々。
どちらもそれぞれもっともらしいが、どちらでありたいかと考えたら、それはわざわざ言うまでもないこと。
ドラマは改めてそんなことを思わせる。
「ある一点」を除いて、ドラマは心温まるラストを迎える。

賞を取ったという理由はよくわかる映画であるが、何だかちょっとやり切れないものを感じることも確かである。
もうちょっと完全なハッピーエンドでも良かった気もする。
それにしても、ハナの店を売るアイディアは、なかなかのアイディアであると感心する。
ただ、詐欺にも応用できそうなのも事実であるが・・・

完全なハートウォーミング・ストーリーでないのが残念であるが、邦題のタイトルが実によく合う映画である・・・


評価:★★☆☆☆



posted by HH at 13:44 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2015年02月21日

いとしきエブリデイ

いとしきエブリデイ.jpg

原題: Everyday
2012年 イギリス
監督: マイケル・ウィンターボトム
出演: 
ジョン・シム:イアン
シャーリー・ヘンダーソン:カレン
ショーン・カーク:ショーン
ロバート・カーク:ロバート
ステファニー・カーク:ステファニー
カトリーナ・カーク:カトリーナ
ダレン・タイ:エディ

<映画.com>
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「ひかりのまち」「イン・ディス・ワールド」のマイケル・ウィンターボトム監督が、父親不在のある家族の5年間をつづり、家族の愛や時間の尊さを描き出していく。
ステファニー、ロバート、ショーン、カトリーナの兄妹は毎日学校に通い、母カレンは子どもたちを送り出した後、昼はスーパーで働き、夜はパブでも仕事をしている。
他の家庭と違うのは父親が刑務所にいて、家にいないこと。
会えるのはわずかな面会時間だけだったが、それでも季節はめぐり、父親がいない時間が過ぎる中で子どもたちは成長していく。
劇中の幼い兄妹には実の4兄妹を起用し、撮影スタート時にそれぞれ8歳、6歳、4歳、3歳だった兄妹が成長していく過程を、実際に5年間の歳月をかけて撮影した。
母カレンと父イアンを演じるのは、「ひかりのまち」のシャーリー・ヘンダーソンとジョン・シム。
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イギリス発の静かなドラマ。

ある朝の4時。
母親が4人の子供たちを起こす。
寝ぼけ眼の子供たちは、朝ごはんを食べ、歯を磨き、しっかりテレビまで観て支度を整える。
2人は隣家に預けられ、母親と男の子二人は電車に乗ってロンドンへと向かう。
そして着いたのは刑務所。
そこで父親と面会する。

何の罪かはわからないが、父親は刑務所に入っていて、会うためにはこうして遠出する必要がある。
そのためだろう、面会には子供たち全員を連れていけない。
イギリスの刑務所は随分と緩やかなのか、刑務所から家族には電話が出来て、子供たちとも会話ができるようである。

母親は、昼はスーパー、夜はパブと仕事を掛け持ちして働く。
これはこれで大変だと思う。
父親の罪はそんなに重くはないようで、途中で仮出所が認められる。
家族で迎えに行き、公園で遊ぶ。
子供たちだけで遊ばせておき、夫婦は部屋を借りて二人だけの時間を過ごす。
そして、ついに父親が釈放される日がくる・・・

何か波乱があるわけではない。
静かな日常を、すぐ隣で寄り添って見ていく感じの映画。
何か事件でも起こるのかと思ったら、最後までそのままであった。
タイトルにある“Everyday”は、いつも波乱があるわけではない、ごく平凡な日々の日常生活を意味しているのだろう。

気がつけば子役の子供たちはそれぞれ大きくなっている。
何と実際に5年という歳月をかけて、子供の成長という要素を含んで撮ったようである。
静かな、実に静かな映画であるが、何となくイギリス映画という雰囲気を醸し出しているようである。
こういう映画も良いな、と思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 17:19 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2015年02月08日

オチキ

オチキ.jpg

2012年 日本
監督: 吉田浩太
出演: 
木乃江祐希:サクラ
関寛之:成瀬
鈴木一成:木村
清野菜名:はな子
太田正一:宇崎

<映画.com>
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絶好調のモテキもあれば、どん底のオチキもある。所属タレントを妊娠させたスカウトマン、誰がおなかの子の父親か分からないシンガー、オチキに捕まった男女の姿を綴る。
「お姉ちゃん、弟といく」「ユリ子のアロマ」など独特の世界を築いて注目される吉田浩太監督によるエロティックドラマ。
何をやっても裏目に出る人生の堕ち期=オチキに陥った男女のたどる運命を描く。
妊娠の相手が誰か分からないシンガーの女性、所属タレントに手を出して妊娠させたスカウトマン、並行して描かれる2つの物語が、やがて一つに収束する仕掛けが秀逸だ。
劇団ナイロン100℃の木乃江祐希がヒロインを熱演する。
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タイトルの『オチキ』とは、『堕ち期』を意味するらしい。
人生においてどうにもならずに堕ちていく男女を描いたドラマ。

初めに登場するのは、ストリート・ミュージシャンのサクラ。
新宿駅南口の階段下スペースでペアを組んで歌っている。
その歌ははっきり言ってへたくそなのであるが、オタク系のファンもついていて、それなりに人気がある。
ペアを組んでいるのは、どう見ても冴えないのぶ子。
容姿はともかく、作曲の才能があるらしい。

サクラはのぶ子を利用している。
顔は自分の方がかわいいため、ファンはのぶ子に見向きもしない。
インタヴューでは、自分も曲創りに参加しているかのように振る舞うが、体よく利用しているのが見え見え。
そしてサクラは利用価値ありと見た男と寝ている。

そんなサクラは、妊娠した事がわかり慌てる。
中絶費用を出させようとした木村は、避妊をしていた事から費用を出し渋る。
やむなく、宇崎に事実を告げて費用を出してもらうが、ここでも利用価値の高い宇崎には避妊せずにさせているにもかかわらず、木村には断固避妊させていた事がわかる。
そんなサクラは、知らず知らずのうちに周りから見離されていく・・・

もう一人の主人公は、芸能プロダクションの成瀬。
後輩に威張り、大きな発言をしているが、デビュー前の新人はな子を妊娠させた事から歯車が狂う。
相手の親からは訴訟を起こされ、会社からは解雇される。
いつしか自分がバカにしていたホームレスと同じ境遇に近づいていく。

オチキ(堕ち期)というタイトルから、何か不可抗力のようなものによって堕ちていくのを想像してしまうし、ストーリーの合間の解説もそんな雰囲気だ。
だが、サクラにしろ成瀬にしろ、堕ちるのは不可抗力ではなく、言ってみれば“自業自得”。
対応の仕方によっては、危機は十分回避できていたのである。
そもそも大人なんだから避妊ぐらいきちんとすべきなのだ。

そんな自業自得の物語を見ていても、何ら得るものはない。
そして最後に二人が行きつくラストは、どうも苦笑せざるを得ない展開。
真面目に作っているのか、ギャグなのか、計り知れない。
何だか狙いのよくわからない映画としか、言いようがない。
まあ、こんな映画もあるのだろうと納得した映画である・・・


評価:★★☆☆☆



posted by HH at 09:33 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2015年01月24日

喝采

喝采.jpg

原題: The Country Girl
1954年 アメリカ
監督: ジョージ・シートン
出演: 
ビング・クロスビー:フランク・エルジン - かつてのミュージカルスター。
グレイス・ケリー:ジョージー・エルジン - フランクの妻。
ウィリアム・ホールデン:バーニー・ドッド - 舞台演出家。
アンソニー・ロス:フィリップ・クック - プロデューサー

<映画.com>
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「失われた少年」と同じくウィリアム・パールバーグが製作し、ジョージ・シートンが監督した1954年作品。
ブロードウェイで上演されたクリフォード・オデッツ『ユーモレスク』の戯曲から監督者シートン自身が脚色した。
撮影はジョン・F・ウォレン、音楽は「愛の泉」のヴィクター・ヤング。
主演は「ブルー・スカイ(1946)」のビング・クロスビー。
この作品でアカデミー主演女優賞を得た「トコリの橋」のグレイス・ケリー、「トコリの橋」のウィリアム・ホールデン、「拳銃無情」のアンソニー・ロス、ジャクリン・フォンテイン、エディ・ライダーらが助演する。
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名前は知っているものの、観た事はないという名画は洋画にしろ邦画にしろかなり多いと思う。
折をみて観てみたいと思うのは常だが、今回この映画を観る機会に恵まれた。

主人公として登場するのは、演出家のバーニー・ドッド。
新しく公開する舞台の主役に、かつてのスターフランク・エルジンを押す。
しかし、プロデューサーのクックは、フランクが酒浸りである事を理由に拒否し、対立する。
ドッドは、「テストだけでも」と強力にフランクの起用を主張。
かつての舞台のシーンを再演したフランクは見事に演じ、ドッドは強引に起用を押し切る。

しかし、肝心のフランクが今一つ煮え切らない。
フランクは、自らの不注意で子供を事故死させて以来、酒に逃れる日々で、突然の大役に尻込みしたのである。
フランクを訪ねて自宅を訪れたドッドは、美しい妻ジョージーに出会う。
そしてジョージーとともに、フランクを説得する。

舞台練習がスタートするも、フランクのパフォーマンスは期待レベルに達しない。
ドッドはその原因が“強い女房”にあるとみて、ジョージーの影響を下げようとするもうまくいかない。
フランクはジョージーの前では弱音を吐くが、ドッドの前では平気を装う。
その二面性に気付いているのは妻のジョージーだけ。
やがてプレッシャーからドッドはアルコールに手を出すようになる・・・

昔の映画だからなのだろうか。
ストーリーが断然シンプルな気がする。
そして随所に感じる時代の相違。
いつでもどこでも平気でたばこを吸う。
そして吸殻をポイポイとどこへでも捨てる。
古き良き時代なのか否かはわからない。

初めは舞台の成功に一途に燃えていたドッドだが、実は密かにジョージーに惹かれていく。
ジョージーは人妻であるが、「貞節」という言葉にまだ重きが置かれていた時代。
男女の関係も現代とは違う。
劇中のラブシーンも然り。

現代と比べれば控えめな恋愛感情。
しかし、それでも味わいは深い。
ラストの余韻もどこかほっとさせるものがあった。
そんな余韻が心地良い映画である・・・


評価:★★★☆☆



   
posted by HH at 22:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ