2018年01月15日

【ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声】My Cinema File 1860

ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声.jpg

原題: Boychoir
2014年 アメリカ
監督: フランソワ・ジラール
出演: 
ダスティン・ホフマン:カーベル
ギャレット・ウエアリング:ステット
キャシー・ベイツ:校長
デブラ・ウィンガー:ミス・スティール
ジョシュ・ルーカス:ジェラルド
ケビン・マクヘイル:ウーリー
エディ・イザード:ドレイク

<シネマトゥデイ>
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名門少年合唱団に入団した問題児が、厳格なベテラン指導者の導きにより歌う喜びを見いだし、成長していく人間ドラマ。監督は、『レッド・バイオリン』などのフランソワ・ジラール。天性の美声を持つ少年役には、本作が初の長編映画出演となるギャレット・ウェアリング、その才能を開花させる合唱団団長を名優ダスティン・ホフマンが熱演。さらにオスカー女優キャシー・ベイツ、エミー賞受賞経験のあるエディ・イザードら実力派が脇を固める。
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 男は女と違い声変わりというものがある。思春期になると、それまでかわいらしかった高い声が野太い声に代わるのである。それは成長の証であり何ら不自由があるものではないが、歌ということに関しては大きな支障がでる。それが邦題となっているボーイ・ソプラノで、高い声が出なくなればもうソプラノはできなくなる。この映画は、そんな少年独特の合唱を題材とした映画である。

 主人公の少年ステットは、学校では問題行動を繰り返す問題児。その原因はシングルマザーの家庭にあるようで、母親は働いてはいるものの、ボーイフレンドは頻繁に代わり素行もよろしくない。同級生にからかわれるのも問題行動の原因となっている。そんなステットだが、歌は上手く、その才能を伸ばそうと教師のスティールはわざわざ国立少年合唱団を学校に招く。しかし、肝心のステットは、入団テストを受けずに帰ってしまう。

 しかし、帰宅した彼を待っていたのは、母親が交通事故で死んだという知らせ。孤児となったステットの身の振り方について、スティールは一計を案じ、寄宿舎のある国立少年合唱団付属学校に入れることを考える。実はステットには、父親としてジェラルドがいるのだが、もともとステットの母親とは遊びで付き合っており、別に妻子がいる。とてもではないが、隠し子のステットと暮らすことは出来ない。しかし、金は持っていたためこの案に同意する。

 こうしてスティールの思い描いた通りステットは、少年合唱団に入るのだが、指揮者を務め、合唱の総責任者アントン・カーヴェルは、礼儀を知らないステットを認めない。さらに父親が小切手でステットを入学させるが、だからといってカーヴェルが認めるわけではない。そんなステットを唯一認めるのは音楽教師のウーリー。また、ステットが折々にその才能を見せたことで、仲間たちとの対立も生じる。そうした中でステットの成長が描かれていく。

 見ていて思うのは恵まれない環境のステットを温かく見守るの教師の存在。最初は、その才能を見出し合唱団に送り込んだスティールであり、カーヴェルが無視する中、彼を励まし折に触れて庇う合唱団のウーリー。こうした存在がなければ、ステットは犯罪者になっていただろう。特に強調はされていなかったが、こうした役割こそが教師が果たすべきものだろう。

 カーヴェルの指導は厳しいが、ステットも次第に真面目に努力していく。その成果は、やがて校長も誉めるまでに至る。何事でもそうであるが、こうした成長は見ていて心地よい。成長と和解。そして音楽が人の心を溶かしていく。それは父親ジェラルドやカーヴェルも例外ではない。その様子は観ているこちらも胸が熱くなる。正直言ってあまり期待していない映画だった(ダスティン・ホフマンが出ているから観てみるかという程度だった)が、見事に裏切られた感じである。

 合唱団の歌声と心温まるストーリーとが小さな感動をもたらしてくれた映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2018年01月10日

【海よりもまだ深く】My Cinema File 1857

海よりもまだ深く.jpg

2016年 日本
監督: 是枝裕和
出演: 
阿部寛:良多
真木よう子:白石響子
小林聡美:中島千奈津
リリー・フランキー:山辺康一郎
池松壮亮:町田健斗
吉澤太陽:白石真悟
橋爪功:仁井田満
樹木希林:篠田淑子

<シネマトゥデイ>
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『海街diary』などの是枝裕和監督が、『奇跡』以来の阿部寛と樹木希林とのタッグで、なかなか大人になれない男の姿を描く感動のホームドラマ。小説家になる夢を諦め切れないまま探偵事務所で働く男が、たまたま実家に集まった母、元妻、息子と台風の一夜を過ごすさまを映す。阿部と樹木のほか真木よう子や小林聡美、リリー・フランキーらが共演。思っていた未来とは少し違う現実を生きる家族の姿が印象的につづられる。
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 スケールにおいて他を圧倒するハリウッドの超大作には比べるべくもないし、人間の深部をえぐるような韓国映画にはタジタジとなりがちな我が国の映画であるが、それでも「日本映画ならでは」の作品に出合うとちょっと嬉しくなる。この映画はまさにそんな典型とも言える邦画である。

 主人公の良多は一応小説家。とは言え、文学賞を受賞したのはもう15年も前であり、以後筆も進まずにいる。生活のために現在は興信所で探偵として働いている。しかし、ギャンブル好きで金にだらしなく、そんな夫に妻響子は愛想を尽かし、息子の真悟を連れて家を出ている。真面目に働けばまだしも、ギャンブルをやるから金がない。金がないと養育費を払えず、そうすると息子にも合わせてもらえなくなる。困った良多が頼るのは、清瀬市の団地に住む母。

 良多の母は、半年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。良多の姉千奈津も顔を見せているが、話題に上るのは、やはりお金にルーズだった亡父と良多のこと。そして母を訪ねてきた良多は、調子のよい事を言いながら密かに家の中で金目のものを物色する。しかしそんな良多の行動を、母親は熟知している。それでも思うところがあったのか、良多にはなけなしの金を母に小遣いとして渡す優しさがある。

 そんな金欠の良多ゆえ、仕事でもこずかい稼ぎに余念がない。夫から妻の不倫について調査を受けたケースでは、不倫の証拠を妻に突きつけそれを買わせる。高校生すらゆすりの対象にしてこずかいを巻き上げる。それもこれも息子の養育費と、野球を始めた息子にグローブを買ってやりたいとの親心。そして別れた妻響子にはいまだ未練があり、時々尾行しては、新しい恋人と一緒にいる事を遠巻きに眺めている・・・

 なにかこれといったストーリーがあるわけではなく、物語は淡々と進んでいく。良多は確かに褒められた人間ではないし、身内にこういう人間がいたら大変だろうし、迷惑も蒙るだろう。夫もダメ人間だった母は、今でも団地住まい。家を買って引っ越したという知人の話も羨ましく聞いているだけ。頼りの息子も夫に似てしまっている。人生をほぼ諦めつつ、それでもやっぱり息子はかわいい。そんな母を樹木希林が実に味わい深く演じる。

 息子にグローブを買ってやりたかったが、グローブは既に響子の新しい恋人が買ってしまっているのを良多は忸怩たる思いで見つめる。ならばと、スパイクを買ってやろうとするが、金はない。未練の残る妻は年収1,000万円の男と親しくし、良多にはそれをこそこそと見ているしかない。響子に会うと「やったのか?」と虚しく問うだけ。そんな良多を中心にドラマは回る。

 主演の阿部寛もシリアスな役柄からコメディまで幅広く、この映画のダメ男も実に様になっている。ダメ男でも人並みに息子に愛情を持ち、母親に愛情を持ち、別れた妻に未練を持つ。そしてそれらはいずれも不器用な形をしている。「何が」というわけではないが、各人の思いが入り乱れ、それは良いものも悪いものも温かいものも冷たいものも含まれている。それらがブレンドされて絶妙な味わいを醸し出す。これぞ邦画ならではの味わいだと言える。

 そんな邦画ならではの味わいが心地良い映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年12月27日

【地上より永遠に】My Cinema File 1845

地上より永遠に.jpg

原題: From Here to Eternity
2016年 アメリカ
監督: フレッド・ジンネマン
出演: 
バート・ランカスター:ウォーデン曹長
モンゴメリー・クリフト:プルーイット
デボラ・カー:カレン
フランク・シナトラ:マジオ
ドナ・リード:ロリーン
フィリップ・オーバー:ホームズ中隊長
アーネスト・ボーグナイン:ファツォー
ジャック・ウォーデン:バックリー伍長

<映画.com>
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米国軍隊内部をリアルに描いたジェームズ・ジョーンズの小説(51年)を映画化した1953年作品で、「情炎の女サロメ」のバディ・アドラーが製作に当たり「真昼の決闘」のフレッド・ジンネマンが監督した。脚色はダニエル・タラダッシュ、撮影はバーネット・ガフィ、音楽は「情炎の女サロメ」のモリス・W・ストロフの担当。主演は「愛しのシバよ帰れ」のバートランカスター、「終着駅」のモンゴメリー・クリフト、「クオ・ヴァディス」のデボラ・カー、「ネバダ決死隊」のドナ・リード、「錨を上げて」のフランク・シナトラで、フィリップ・オーバー、アーネスト・ボーグナイン、ミッキー・ショウネシー、ハリー・ベラバー、ジョン・デニスらが助演する。
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昔の名画に興味を持ったのは、映画が好きになれば当然の成り行きだったと思う。かつて若い頃にこの映画を観た記憶があるが、もうすっかり忘れてしまっている。そこでもう一度、観てみることにした次第。

時に1941年夏のハワイ、オアフ島のスコフィールド米軍基地。この兵営G中隊にラッパ手のプルーイットが転属してくる。迎えたのは、ボクシングが好きで自分のチームの強化を図る中隊長ホームズ。中隊長は早速、かつてボクサーだったプルーイットに声をかけ、自分のチームに参加するように命じる。参加すれば、昇進もついてくる。

ところがプルーイットはこれを拒絶する。かつて試合中に親友を失明させ、それを苦にしてボクシングをやめたのである。しかし、中隊長ホームズはこれを良しとしない。間に立つのは、曹長ウォーデン。プルーイットを説得しようとするが、頑ななプルーイットに効果はない。これによって中隊長から目をつけられたプルーイットは、分隊長のガロヴィッチらにひどいシゴキを受け始める。

そんなプルーイットに声をかけたのは同僚兵士のアンジェロ・マジオ。だが彼も営倉係長ジェームズ"ファツォー"ジャドソンと酒場で揉めたことから目をつけられる。中隊長ホームズには美人の妻カレンがいるが、カレンはホームズを嫌い、隊の男たちと浮名を流している。そんなカレンにウォーデンは言い寄る。一方、プルーイットはたまたま連れて行かれた酒場で、そこで働くロリーンと知り合う・・・

1941年のハワイといえば、何と言っても12月8日(現地時間では7日)の真珠湾奇襲。しかし、基地内にはそんな時代背景による緊張感などなく、穏やかな空気が漂う。そんな中で、曹長ウォーデン、プルーイットを中心としたドラマが展開される。中隊長ホームズが権力を握る中隊にあっては、ボクシングチームのメンバーを中心に誰もがホームズの機嫌を伺う。そんな中にあって、プルーイットはそれに逆らい、ウォーデンはあろうことかその妻カレンを口説く。誰もいないビーチで二人っきりの海水浴はモノクロの画面がちょっと残念である。

観終わって、名画の感想はと聞かれるとちょっと答えに窮する。モノクロの昔の名画でも『素晴らしき哉、人生!』などは今観ても心打たれるものがある。「さすが名画」と唸らされるものがあるが、この映画からはそれが感じられない。かつて観たはずなのに内容を忘れてしまっていたのもそれが原因だと思う。映画は時代とともに生きるところがあるので、公開当時の印象はまた違ったのかもしれないと思ってもみる。

当たりハズレは最新の映画でもあること。名画と評判が高ければそれなりのレベルは保証されているとは思うが、それでも「普通」になることもあるだろう。それはそれで、また今度は違う名画にチャレンジしてみたいと思うのである。今回はそんな感想を持った一作である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月25日

【ロバート・デ・ニーロ エグザイル】My Cinema File 1844

エグザイル.jpg

原題: Being Flynn
2012年 アメリカ
監督: ポール・ワイツ
出演: 
ロバート・デ・ニーロ:ジョナサン・フリン
ポール・ダノ:ニック・フリン
ジュリアン・ムーア:ジョディ・フリン
オリビア・サールビー:デニス
リリ・テイラー:ジョイ

<映画.com>
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疎遠だった父と息子が織りなす不器用な交流を、名優ロバート・デ・ニーロと『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノ共演で描いたヒューマンドラマ。ニック・フリンの自伝的小説「路上の文豪、酔いどれジョナサンの『幻の傑作』」を、「アバウト・ア・ボーイ」のポール・ワイツ監督が映画化した。幼い頃に父親が刑務所送りとなって以来、母親と2人きりで暮らしてきた青年ニック。ある日、彼のもとに突然、ずっと音信不通だった父親から連絡が入る。父親は現在ニューヨークでタクシー運転手として働いていたが、アパートを追い出されたために荷物運びを手伝ってほしいという。その後、ニックが働くホームレス支援施設に、仕事を失って行き場のない父親がやって来て……。
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主人公のニックは恋人と一緒に住んでいたが、彼女の留守中に別の女性を連れ込んだことが発覚し、部屋を追い出される。住む場所を失ったニックは、友人の家に身を寄せる。そしてそこで知り合ったデニーズに紹介され、ニックはホームレス支援施設で働き始める。一方、ニックの父・ジョナサンは、自ら作家と称し傑作を執筆中であるが、今はタクシー・ドライバーをして生計を立てている。しかし、階下の住人ともめ家を追い出されることになる。困ったジョナサンは18年間音信不通だった息子のニックを呼び、荷物を運び出す手助けを頼む。

ジョナサンは見栄っ張りな性格で、自分は作家であるとし、出版社からの手紙を大事に持っている。また住むところを追い出されても友人に泊めてもらうと言うが、いざ訪ねると断られてしまう。ニックも詩や手記を綴っているが、生活の糧はホームレス支援施設での給料である。そんなある日、ニックの働くホームレス支援施設に行き場を失って窮したジョナサンがやってくる。

ジョナサンは、飲酒運転の事故で車も免許も失っており、施設でもあちこちでトラブルを起こす。そしてとうとう施設からも追い出されてしまう。ニックはニックで、デニーズと関係を持つが、薬物に手を出しデニーズから愛想を尽かされる。ニューヨークの冬は寒さが厳しい。そんな寒風吹きす寒空にホームレス生活は凍死の危険すらある。路上強盗もいる中、ジョナサンはそんな生活すら小説のネタにしようとする・・・

ロバート・デ・ニーロもいろいろな作品に出演しているが、この映画はともに作家志望の親子の交流を綴った地味なドラマである。たぶん、ロバート・デ・ニーロの名前がなければ観なかったかもしれない。妻と離婚し、作家になる夢を捨てられず、周囲とトラブルを起こしては職を転々としている父親と、母の女手一つで育てられた息子。母は次々と付き合う相手を変え、そんな母もいつしか亡くなり独り身のニック。突然目の前に酷く落ちぶれた姿で現れた父親に対する感情は複雑だろう。

ドラマはそんな親子を追っていく。ジョナサンは失職してホームレスとなり、ニックはあてもなく過ごす日々の中で薬物に手を出す。映画としては地味であるが、人は誰でもうまくいかないことや人生で思い煩うことが多々あるもの。そんな思いが脳裏を過る。原作者はニック・フリンとなっており、自伝的小説というからこのドラマは実話を基にしているのだろう。アメリカは、ホームレス支援施設が結構充実しているものだと変なところに感心しながらドラマに見入っていた。

原作は「Being Flynn」。何となく奥深いタイトルだと思うが、邦題はいかがなものかと思わされる。「エグザイル」は英語で「放浪」とか「追放」とかの意味があるようだから、これを転じたのだろう。だが、調べなければわからない身には何のことだかという思いに駆られる邦題である。下手な邦題の映画は数え上げれば暇がないが、これもその一つと言える。

地味な映画ながら、なぜかロバート・デ・ニーロとジュリアン・ムーアという大物が共演している。邦題に囚われず、観ても損はない映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月09日

【Playback】My Cinema File 1835

Playback.jpg

2012年 日本
監督: 三宅唱
出演: 
村上淳:ハジ
渋川清彦:モンジ
三浦誠己:ボン
河井青葉
山本浩司:ユウジ
テイ龍進
渡辺真起子:真理子
菅田俊: 遠藤

<シネマトゥデイ>
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『スパイの舌』『やくたたず』で注目された三宅唱の劇場映画デビュー作となるドラマ。自分の行き場をなくしたアラフォーの映画俳優が、奇妙な体験を通して人生の再生を図る姿を、温かくも緊張感をはらんだモノクロ映像に映し出す。三宅監督の才能にほれ込んだ『希望の国』の村上淳が、彼にラブコールを送って本作の企画を実現させ、自身も主人公の映画俳優を力演。『セイジ -陸の魚-』の渋川清彦、『童貞放浪記』の山本浩司、『東京島』のテイ龍進ら、実力派、個性派をそろえたキャストにも注目。
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映画はモノクロで始まる。主人公のハジは、なにやら中国語でのセリフの収録を行っている。しかし、監督の気に入るところではなく、何度もやり直しが入る。ハジから漂うのは無気力感。それは部屋に戻った後も変わらず、寝ているところを運送業者がやってきて起こされる。そして妻の荷物が運び出されていく。仕事に漂う無気力感は生活においても変わらない。

どうやら映画俳優としても岐路に立たされている感があるハジ。彼を良く知る映画プロデューサーは、彼に再起のチャンスを与えようとするが、ハジは受け入れようとしない。そんなハジの前に旧友が突然現れる。そして旧友の結婚式に誘われる。マネージャーの制止を振り切って旧友の車に乗り込むハジ。そのまま久しぶりに故郷へと向かう。その車中、居眠りをしたハジは高校時代に戻っている・・・

高校時代の回想シーンが始まるが、なぜか違和感が漂う。その違和感の正体はすぐに判明する。何と登場人物たちが今の年齢のままなのである。中年のおっさんであるハジがそのまま制服を着ている。旧友も然り。回想シーンだとわかるのはいいが、おっさん高校生に何とも言えない違和感を拭いきれない。そしてそんな過去を受けての現在であるから、過去とのつながりがよく理解できる。ハジが俳優の道へと歩むきっかけとなったのもこの頃の映画プロデューサーとの出会い。

こうして映画は過去と現在とを交互に描いていく。それにしてもハジの無気力感が見事にこちらにまで伝わってきて、何だか映画を観続けるのも嫌になってくる。映画は全編モノクロだし、ものすごい芸術作品の香りが漂ってくるが、個人的にはどうもこの手の映画は苦手である。雰囲気はあるし、その雰囲気はいいのだが、随所に意味の分からないシーンが散りばめられていて、「通じゃないとわからない」と言わんばかりの威圧感が好きになれない。所詮、素人の映画好き向きではないのだろう。

何となくの雰囲気はあるし、その雰囲気も悪くはないと思うのだが、もう一度観たいとは思わない。三宅監督のあふれる才能が全く理解できなくて、寂しい思いのする映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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