2014年07月31日

からたち日記

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1959年 日本
監督: 五所平之助
出演: 
高千穂ひづる:つる
水原真知子:かるた
泉京子:竹千代
紫千代:竹実
南風洋子:静花
田代百合子:天満里
村田知栄子:せつ
浦辺粂子:一力の女将
田村高広:本山
東野英治郎:ロンパリ

<映画.com>
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信州の貧農の家に生れた一人の女性の一生を描いたもの。
増田小夜の原作を「才女気質」の新藤兼人が脚色、「蟻の街のマリア」の五所平之助が監督した。
撮影は「人間の条件 第1・2部」の宮島義勇。
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たまに古い映画を観たくなる。
子供の頃に観て半分以上忘れてしまっている映画だったり、あるいは名前だけ聞いた事はあるものの、観た事のない映画だったり。
この映画は、そんな後者の例である。

昭和34年の白黒映画。
物語は信州から始まる。
ある地主の屋敷で働く少女つる。
子守が主な仕事であるが、食事は欠けた茶碗にごはんとみそ汁をかけたもの。
寝る所は納屋の隅。
冬でも素足で、足袋など履かせてもらえない。
凍える寒さの中、少しでも暖を取ろうと片足を上げ、もう片方の足につけて温めながら立っている。
その姿から、“つる”と呼ばれるようになったと言う。

そしてある日、叔父という人がつるを引き取りに来る。
初めて自分に母がいると教えられ、その家に連れて行かれる。
しかし、そこは見るからに貧しい農家。
感動の対面なのに言葉はなく、子沢山の家で乳飲み子を抱えた母は途方に暮れた表情。
何の説明もないが、「引き取れない」という事情は観る者に痛々しく伝わってくる。
この母を演じるのが、若き日の菅井きん。
表情による演技が何とも言えない。

つるは芸者に売られる。
始めは下働き。
次々に雑用を言いつけられるが、嫌な顔をせず働くため、芸者の姐さん達には可愛がられている。
1人の芸者は病に伏せっているが、女将は医者代をけちって医者に見せようとしない。
そして本人も死んで楽になりたいと思っている。
置き屋の悲しい実情である。

やがてつるも成長し、芸者となる。
最終的には水揚げされるのが芸者の運命。
やがてつるもロンパリという興行主に水揚げされ、3号の妾として囲われる事になる。
金は持っているが、品のないロンパリを演じるのは、我々の世代では「黄門様」でお馴染みの東野英治郎。
見事にハマっている。

妾生活に暇を持て余したつるは、ロンパリに頼み働きに出る。
しかし、周りの女工達は「元芸者の妾」を軽蔑する。
そんな女工たちに目にものを見せたくて、女工たちに人気のあった将校下村をつるは誘惑する。
元芸者の手練手管に、女性に免疫のない下村はあっけなく陥落。
しかし、つるも下村に恋してしまう。
時代は戦時。
下村にも出征の時がやってくる・・・

物語はつるの苦難を描いていく。
せっかくの恋も成就する事はなく、逆にロンパリの逆鱗に触れ追い出されてしまう。
戦時統制下に芸者の仕事も閑古鳥。
食うや食わずの生活が続く。
次から次へと続く不幸のパレード。
最後に出口の光らしきものが見えて物語は終わる。
それなりに幸せになったと思いたくなるようなラストである。

バックに流れる島倉千代子の同名歌は、大ヒットしたそうであるが、ようやく戦後から抜け出した「三丁目の夕陽」の時代の人々の心に響く映画と歌だったのかもしれない。
映画はフィクションであるが、似たような経験をした人は多かったのではないかと想像してみる。
現代人から見ると、耐え難い苦労を先人たちはしてきたのだろうと想像できる。

古い映画には、単純に観て面白いかどうかだけでなく、考えるヒントがあったりする。
そんな事を実感させられる映画である。


評価:★★☆☆☆

     
     
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2014年07月29日

県庁おもてなし課

県庁おもてなし課.jpg

2013年 日本
監督: 三宅喜重
原作: 有川浩
出演: 
錦戸亮:掛水史貴
堀北真希:明神多紀
船越英一郎:清遠和政
関めぐみ:清遠佐和
高良健吾:吉門喬介
甲本雅裕:下元邦宏
松尾諭:近森圭介
相島一之:山内正成

<映画.com>
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「図書館戦争」などで人気の有川浩の小説を、『阪急電車 片道15分の奇跡』の三宅喜重監督と脚本家・岡田惠和の再タッグで映画化。
高知県庁に実在する「おもてなし課」を舞台に、職員たちが高知の観光振興のためひた走る姿を描く。
主演は関ジャニ∞の錦戸亮、彼と一緒に数々の難題に立ち向かうヒロインにはNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希。
共演には高良健吾、関めぐみに加えて、ベテラン船越英一郎らがそろう。
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有川浩の同名小説の映画版である。
地域の活性化を目指す高知県は、観光客を誘致すべくその先陣をきる組織として「おもてなし課」を発足させる。

発足したおもてなし課ではあるが、誰もどこから手をつけたら良いかわからない。
課の若手である掛水が、他県での先行例として高知出身の有名人に「観光特使」になってもらうプランを紹介すると、さっそくやってみようという事になる。
掛水は、高知出身の作家吉門喬介に特使を依頼、快諾を得る。

それから1ヶ月。
吉門喬介から電話を受けた掛水は、特使制度が“お役所仕事”の中で進んでいない事、そして何の報告も連絡もない事を叱責される。
吉門はアドバイスとして、外部の若い女性を雇う事、そして「パンダ誘致論」について調べる事をあげる。
こうしておもてなし課に、明神多紀がアルバイトとして採用される。

「パンダ誘致論」とは、県庁で25年前に一人の職員が提案したもので、当時はまったく相手にされず、提案者の清遠政和は失意のうちに県庁を去っていた。
後に神戸にパンダが誘致され観光客が増加し、その意見の有効性が証明されていた。
掛水は、多紀とともに清遠を訪ねていく。
しかし、訪問するなり娘の佐和からバケツで水を掛けられてしまう・・・

有川浩の小説は独特の雰囲気があって、これまで何冊も読んでいる。
ドラマ化された『フリーター家を買う』や映画化された『阪急電車』とあわせ、このも読んでいる。
原作が面白かったからこそ観る気になった映画ではあるが、どうも映画の方は原作ほどではなかった。
ストーリーは当然同じではあるが、どうしてもきめ細かい描写という点では小説に劣るところがあり、ダイジェスト感は拭えなかった。

また、主人公と掛水と多紀の関係の演出にわざとらしさがあって、どうもひねくれ者としては白けてしまう。
原作でも感じたが、今は観光コンサルタントをしている清遠が提案した「高知県レジャーランド化構想」は素人的にも面白いと思え、現実として高知県も採用したらどうかと思える。
「おもてなし課」は高知県庁に実在するようであるし、どうなんだろうと思わざるを得ない。

この映画が、原作小説を上回る唯一の点を挙げるとしたら、それは堀北真希だろう。
個人的には普段あまりテレビを観ないせいもあって、『ALWAYS三丁目の夕陽』のイメージが強く残っているが、ここではもう少し大人になって美しい女性として登場。
観ているだけで満足感が味わえた。
こうした部分は、映画の良いところだろう。

これからも有川浩の小説は読んでいきたいと思うし、それが映画化された場合には、まず観てみたいと思うところである・・・


評価:★★☆☆☆



    
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2014年07月23日

世界にひとつのプレイブック

世界にひとつのプレイブック.jpg

原題: Silver Linings Playbook
2012年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: 
ブラッドレイ・クーパー:パットリック(パット)・ソリターノ・ジュニア - 元・地元の学校の歴史教師。
ジェニファー・ローレンス:ティファニー・マクスウェル - 未亡人。夫は警官だった。
ロバート・デ・ニーロ:パトリツィオ(パット)・ソリターノ・シニア - パットの父親。
ジャッキー・ウィーヴァー:ドロレス・ソリターノ - パットの母親。
クリス・タッカー:ダニー・マクダニエルズ - パットが入院中に親しくなったアフリカ系男性。
アヌパム・カー:クリフ・パテル医師 - パットの主治医。
ジョン・オーティス:ロニー - パットの友人。
シェー・ウィガム:ジェイク・ソリターノ - パットの優秀な兄。弁護士。
ジュリア・スタイルズ:ヴェロニカ - ティファニーの姉。ロニーの妻。

<映画.com>
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それぞれに最愛の人を失い心に傷を負った男女が再生していく姿を、笑いや涙を交えて描いたヒューマンコメディ。
監督は『ザ・ファイター』のデビッド・O・ラッセル。
主演は『ハングオーバー!』のブラッドリー・クーパーと『ハンガー・ゲーム』のジェニファー・ローレンス。
妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパットは、仕事も家も失い、両親とともに実家暮らし。
いつか妻とよりを戻そうと奮闘していたある日、事故で夫を亡くして心に傷を抱えた女性ティファニーに出会う。
愛らしい容姿とは裏腹に、過激な発言と突飛な行動を繰り返すティファニーに振り回されるパットだったが……。
パットの両親役でロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーバーが共演。
第85回アカデミー賞では作品、監督、脚色、主演・助演男女と主要部門すべてでノミネート。
ローレンスが主演女優賞を受賞した。
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プレイブックとは指南書という意味だとのこと。
原題は「逆境に立ち向かうための指南書」という意味らしいが、その名の通り、逆境に陥ってしまった主人公の再生の物語である。

物語は精神病院から始る。
主人公のパットは、母親の裁判所への働きかけで退院許可をもらい、8カ月ぶりに帰宅する。
最愛の妻が同僚の教師と浮気し、どうやらパットは相手を袋叩きにしてしまったらしいが、その結果、精神病院に入院させられていたようである。

妻のニッキは彼の下を去り、さらに裁判所からパットに対して接近禁止令が出ている。
詳しくは触れられていないが、浮気したニッキにも言い分はたくさんあるようである。
退院したとはいえ、パットの言動もかなりアブナイ。
「常に向上」という意味の“Excel Sior”という言葉を大切にし、薬に頼らず適度な運動で病気を治そうと前向きなのであるが、薬を飲まないためどうしても異常な行動が出てしまうのである。

夜中にヘミングウェイを読んで、そのストーリーに大きな声で文句を言う。
さらに結婚式のビデオがないと、夜中に近所中に聞こえる程わめき散らす。
ゴミ袋をポンチョのように被って、近所をランニングする。
口を開けばニッキの事ばかり・・・

そんなパットが友人から夕食に招かれる。
その場には友人の妻の妹ティファニーも招かれている。
実はこのティファニーも夫を亡くして自暴自棄になっており、何と職場の同僚二人と寝てしまっている。
そして、初対面のパットにもSEXしようと持ち掛けてくる。

せっかくの据え膳なのに、妻帯を理由に断るパット。
接近禁止令を出されているのに、ニッキに対する愛を示すパット。
壊れかけた二人の出会いである。

パットの父親として登場するのは、ロバート・デ・ニーロ。
自宅でアメフトのノミ屋をやり、ひいきのチームが勝つようにと、何かとゲン担ぎをしている。
パットとは男同士でもあり、何とか助けたいと思っているが、どうしたら良いのかわからない。
そんな父の戸惑いが伝わってくる。

実際、子供ならともかく、一人前となった息子が精神を病んだのなら、親としてもどう接したら良いか悩むだろう。
そして、拒否されてもめげずにパットにアプローチするティファニー。
遂には、ニッキに手紙の橋渡しも約束する。
さらには、自分が申し込んだダンスのパートナーになる様、パットに持ち掛け、二人はコンテストに出場する事になる。

共に最愛の相手を失ったパットとティファニー。
二人が接近しながらやがて再生へと向かうストーリー。
ティファニーを演じるのは、『ハンガー・ゲーム』『ウィンターズ・ボーン』が印象的なジェニファー・ローレンス。
前2作は少女の役柄であったが、ここでは大人の女性として登場。
これからはもう大人の女優さんとして活躍するのだろう。

パットとティファニーにどんな辛い事があったのか、映画では詳しく触れられていない。
ただ、それは特に問題ではない。
二人が知り合い、そして紆余曲折を経て再生に向かう。
回りの人たちの温かさと相俟って、そのストーリーが心地良い映画である・・・



評価:★★☆☆☆


    
   
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2014年07月21日

クロエの祈り

クロエの祈り.jpg

原題: Inch'Allah
2012年 カナダ・フランス
監督: アナイス・バルボー=ラヴァレット
出演: 
エヴリンヌ・ブロシュ:クロエ - カナダ人女性産婦人科医。
サブリナ・ウアザニ:ランド - クロエの患者のパレスチナ人妊婦。
シヴァン・レヴィ:アバ - クロエの隣人のイスラエル人女性。徴兵で検問所に勤務。
ユーセフ・スウェイド:ファイサル - ランドの兄。
アフマド・マサド:イマド -ランドの夫。ファイサルの友人。
カルロ・ブラント:ミカエル - クロエの同僚医師。
ヨアヴ・ドナット:検問の兵士

イスラエル軍がガザ地区への侵攻作戦を展開している現在、パレスチナ問題を描いたこの映画は何だかタイムリーな気がする。

主人公のクロエは、ボランティアでガザ地区に派遣された女医。
毎日イスラエル側から検問所を通り、壁の向こう側のパレスチナ人居住区の病院に通っている。
現代らしく、国に残してきた母親とはネットで会話しているが、母親としてはやはり心配でならない様子。

クロエは同じマンションに住むイスラエル人のアバと一緒に通勤している。
アバは徴兵され、検問所に配属されているためである。
検問所を通ってパレスチナに入れば、クロエはイマドとランドのパレスチナ人兄妹と親しくしている。
ランドは夫が逮捕拘留中であり、しかも妊娠しているという状況である。
イマドが経営する印刷所では、殉教した者を称えるポスターを印刷している。

検問所を経由して毎日二つの世界を行き来するクロエ。
自ら危険地帯でボランティアとして尽くすのは、立派な行為ではあるのだが、それは別の見方では“特権階級”にも見えてしまう。

クロエはイマドとランドの母親を、検問所を通ってイスラエル領内の母親の生家へと連れて行く。
アバに頼んで特別に許可をもらったのであるが、イマドには不機嫌。
そもそも許可をもらわないと行けない事が問題なのであり、クロエの親切も恩着せがましく思えてしまうのである。

イスラエル憎しの感情は子供達にも浸透しており、ある子供はイスラエル人のジープに飛びつき、その時アクシデントで死んでしまう。
クロエが、産気づいたランドを病院に運ぼうとするが、イスラエル軍の無情な検問に阻まれてしまう。
“特権”を利用してクロエが通してくれる様頼み込むが、イスラエル兵は冷たく拒絶する。
「これは戦争だ」というイスラエル兵の言葉が残る・・・

ニュースを見ていても、世論はイスラエル批判に傾きがちだが、イスラエルにもそうせざるをえない事情がある。
最後のランドの行動がそれを想像させる。
どちらにも正義があり、どちらにも正義はない。

どうすれば良いのか、解決策はまだ見いだせていない。
同僚医師はクロエに深く関わるなと警告する。
それもある意味正しいスタンスなのかもしれない。
ラストのクロエの表情がすべてを物語っている気がする。

楽しいエンターテイメントばかりでなく、こういう映画を観て考えてみるのも良いと実感させてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆


    
   
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2014年07月15日

【魔女と呼ばれた少女】My Cinema File 1238

魔女と呼ばれた少女.jpg


原題: Rebelle
2012年 カナダ
監督: キム・グエン
出演: 
ラシェル・ムワンザ:コモナ
アラン・バスティアン:隊長
セルジュ・カニアンダ:マジシャン
ラルフ・プロスペール:肉屋
ミジンガ・ムウィンガ:グレート・タイガー

<映画.com>
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カナダの新鋭キム・グエン監督が、アフリカ諸国にいまだ存在する少年兵の問題を背景に、生と死、現実と幻想を交錯させて描くドラマ。
紛争の絶えないコンゴ民主共和国。
平和な村から拉致され、反政府軍の兵士として戦わされることになった少女コモナは、死んだはずの人たちに導かれるようにして、全滅必至のゲリラ戦を生き延びた。
亡霊を見ることができる力が勝利を招くと、コモナは魔女として崇められるようになるが、いずれ殺されることを悟ったコモナは、最愛の少年と逃避行に出る。
2012年・第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を受賞。
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解説を読むと舞台はコンゴだと言うが、映画を観る限りではそんな事はまったくわからない。
アフリカである事だけは確かな、とある所。

主人公のコモナは水辺の村で両親と暮らしていたが、12歳のある日、突然ゲリラの襲撃に遭う。
ライフルを突きつけられ、それで両親を射殺しろと迫られる。
射殺しなければゲリラの司令官が両親を鉈で殺す事になり、そうなると両親はもっと苦しむと脅す。
何と残酷なシーンなのだろうか。

それに対し、両親は言われた通り自分達を射殺して生き延びろと娘に伝える。
芥川龍之介の『杜子春』では、両親が打たれるのを前にして、杜子春は禁を破り母親に呼び掛けた。
それで結果として仙人に殺されなくて済んだが、そんな事が脳裏をよぎる。
ここではその逆。
そしてコモナは引き金を引く。

ゲリラ達はコモナら子供たちを拉致し、兵士に仕立て上げる。
かつて、『ジョニー・マッド・ドッグ』という映画でも採り上げられていた少年兵問題である。
食糧も乏しく、何かあれば叩かれる環境下、マジシャンという名の少年がコモナに密かに食べ物を分けてくれる。

AK47を持たされるも少年兵の役回りは過酷。
待ち伏せを警戒する場面では、敢えて先頭に立たされる。
完全な捨て駒であるが、亡霊が見えたコモナは亡霊の導きに従い政府軍の攻撃を間一髪で逃れる。
以来、亡霊の力で危機を回避するコモナは、“魔女”として重宝される。

このあたりは魔女狩りのヨーロッパとアフリカの違いで面白い。
しかし、その身分もいつどうなるかわからないと経験上知っているマジシャンは、コモナを連れて逃げる。
かつて両親からプロポーズされて断り難かったら、「白い雄鶏をくれ」と言えと言われていたコモナは、マジシャンのプロポーズにそう答える。
白い雄鶏はめったにいないらしい。

しかし、断り文句と知らないマジシャンは白い雄鶏を真剣に探す。
この映画で数少ない平和でほのぼのとしたシーンである。
そして奇跡的に白い雄鶏を見つけたマジシャンはコモナを妻とし、肉屋を営む叔父を訪ねて行く。
時にコモナ13歳。

マジシャンにも両親はなく、肉屋の叔父も悲しい過去を持っている。
ようやく平和が訪れたと思いきや、ゲリラに捕まり、マジシャンは鉈で殺される。
映画自体はフィクションなのであろうが、少年兵の問題は現実の事実だし、似たような話はたぶんゴロゴロしているのだろう。
途中で助けてくれた政府軍兵士や最後のおばさんなど、やっぱり救いの手を差し伸べてくれる人はいてほっとさせられるが、日本で言えば中学生の少女の過酷な運命に考えさせられてしまう。

映画には政府軍の主張もゲリラの主張も描かれておらず、何が対立の原因なのかもわからない。
しかし、それはそのままコモナの視点でもあるのかもしれない。
我々の社会とはまったく異なる社会だが、どうしてこんな差ができるのだろうと、ふと考えてしまう。

14歳で母となったコモナ。
まだ長い人生がどうなっていくのかわらないが、こうした出来事が早く過去のものと振り返る事ができればと思ってしまう。
現実世界を知り、考えるヒントにする意味では、いい映画である・・・


評価:★★☆☆☆



   
   
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