2014年02月25日

引き出しの中のラブレター

引き出しの中のラブレター.jpg

2009年 日本
監督: 三城真一
出演: 
常盤貴子:久保田真生
林遣都:速見直樹
中島知子:松田由梨
岩尾望:稲村太郎
竹財輝之助:中倉晃平
萩原聖人:後藤大介
本上まなみ:粟島可奈子
吹越満:竹下淳
仲代達矢:速見恭三
八千草薫:松田晶子

<Yahoo!映画解説>
********************************************************************************************************
絶縁状態の父と死別したラジオパーソナリティーが、番組に届いた一通の手紙をきっかけに、誰もが心の奥底に隠している思いをラジオで代わりに届けようとする感動ドラマ。
『花より男子ファイナル』などを手掛けた三城真一がメガホンを取り、大切な人に思いを伝えることの大切さを描き出す。
主人公を常盤貴子が演じるほか、林遣都、仲代達矢ら豪華キャストが集結。
手紙やラジオでメッセージを届けることの温かみを再認識させられる。
********************************************************************************************************

主人公の久保田真生(まい/常盤貴子)はFMラジオJ−WAVEのパーソナリティ。
4年前に父(六平直政)と仕事のことで喧嘩になり、そのまま絶縁状態になっていた。
仲直りもしないまま、2ヶ月前に父は他界してしまう。
生前のわだかまりから、49日の法要にも仕事を理由に顔を出さないでいた。

ある日、番組宛に一通の手書きの手紙が届く。
差出人は北海道の高校生・直樹(林遣都)。
“笑わない祖父を笑わせたい“という手紙の内容に、思わず父の姿を重ね合わせる真生。
番組で“笑わない祖父を笑わせる方法”を募集する。

そんな彼女の元に、生前の父が自分に宛てた手紙が妹によって届けられる。
厳しかった外面とは裏腹に、秘めていた父の想いを知る事になる。
それをヒントに、彼女はリスナーそれぞれが心の奥底にしまいこんだ”想い”を、ラジオを通じて届けたいと番組を企画する。
タイトルは”引き出しの中のラブレター“。

大都会東京で四苦八苦しながら生きるタクシー運転手の稲村(岩尾望)。
シングルマザーを決意した妊婦の由梨(中島知子)。
そして北海道の直樹の祖父のために。
真生を軸に、様々な人たちの生活が描かれる。
みんな心に秘めた想いをもっている。

いつのまにかウルウルとしてしまう。
この頃、涙腺が緩くなった事もあるが、似たようなケースも含めていろいろと経験を積み重ねると、人間はみなそうなのかもしれないと思う。
ウルウルとさせられるものの、「感動作」かというと、どうもそうだと自信を持って言い切れない。
心を動かされるのは、ひょっとしたらストーリーだけではなく、自分の中にある共感も手伝っているかもしれない。

笑わない祖父として登場するのは、仲代達也。
貫禄ばっちりに田舎の頑固爺を演じる。
息子とのエピソードが何とも言えない。
互いに想い合っているのに、それが互いにずれてしまう。
よくある事だが、自分には深く心に突き刺さる。

映画だけあって、出来過ぎている感がしないでもないが、ちょっと心を洗われたい人にはオススメの映画である。


評価:★★★☆☆





    
posted by HH at 23:01 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2014年02月12日

ツレがうつになりまして

ツレがうつになりまして.jpg


2011年 日本
監督: 佐々部清
出演: 
宮アあおい:崎晴子 (ハルさん)
堺雅人:崎幹夫 (ツレ)
大杉漣:栗田保男
余貴美子:栗田里子
中野裕太:小畑(ツレの部下)
田山涼成:加茂院長
吹越満:杉浦(患者)

<Movie Walker 解説>
********************************************************************************************************
うつ病を患った夫との生活を淡々と描き、30万部を超えるベストセラーとなった細川貂々の同名エッセー漫画を映画化。
宮崎あおい、堺雅人がNHK大河ドラマ『篤姫』以来2度目の夫婦役に。
『日輪の遺産』の佐々部清監督が、原作のほんわかとした雰囲気を損なうことなく、病を通して成長していく夫婦の姿を感動的に描き出す。
********************************************************************************************************

崎晴子(宮崎あおい)は、夫・幹男(堺雅人)、そしてイグアナのイグとともに暮らしている。
幹男はパソコンのサービスセンターに勤めるサラリーマン。
会社は業績が悪化してリストラを行う状況にあり、責任ある立場の幹男も日々ストレスを抱えている。

毎朝、自分でお弁当を作り、曜日ごとにおかずのチーズとネクタイを決めているところは、非常に几帳面な性格が伺える。
そんな幹男がある朝、真顔で「死にたい」と呟く。
病院での診断結果は、うつ病(心因性うつ病)。
幹男の変化に気付かなかった晴子は、「会社を辞めないなら離婚する」と告げる。

幹男は会社を辞め、療養生活に入る。
晴子は漫画家で、家で仕事をしているが、連載を打ち切られ一家の収入源はなくなってしまう。
うつ病について無知な二人は、仕事を辞めさえすれば病気は治ると思っていたが、幹男の症状は一進一退のまま時間が過ぎていく・・・

今や社会問題の一つともなっているうつ病。
身の回りの知り合いにも会社を休んでいる者がいて、個人的にも非常に身近な問題である。
ただし、実際の様子を見ているわけではないので、本人がどんな様子なのかというのは知りようもない。
そういう意味では、こういう映画というのは実に参考になる。

過去にも、たとえばブラック企業を扱った「ブラック企業に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」とか、痴漢の冤罪を採りあげた「それでもボクはやってない」など、興味深いテーマが映画化されているが、こういう問題を映画化してくれると、「楽しみながら学べる」事が可能となる。

大手企業であれば、「大手を振って」休職できるだろう。
(本人はともかく、周りは『仕方ない』と見てくれる)
されど外資系や中小企業では難しそうな気もする。
この映画では、スパッと辞めてしまっているが、それは奥さんの存在が大きい。
「辞めなければ離婚」とは、なかなか言えないような気がする。

主演は、「倍返し」男の堺雅人。
この映画では、気弱な、いかにもうつ病になりそうな夫を弱々しく好演。
「役者だなぁ〜」と感心してしまう。
「武士の家計簿」のように、もともとはこの人「線の細い真面目人間」の役柄がよく似合う気がする。

仕事を辞めたが為に、収入減となる崎家。
それがまたこの映画へと繋がるのだから人生はわからない。
「自分は大丈夫」と思っているが、先の事はわからない。
ただ、「理解する」という意味では、この映画は有意義かもしれない。
楽しみながら、学びたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆



   
posted by HH at 22:16 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2014年01月05日

それでもボクはやってない 

それでもボクはやってない.jpg


2006年 日本
監督: 周防正行
出演: 
加瀬亮:金子徹平(濡れ衣を着せられた主人公)
役所広司:荒川正義(徹平の主任弁護人で元裁判官)
瀬戸朝香:須藤莉子(徹平の弁護人)
もたいまさこ:金子豊子(徹平の母)
山本耕史:斉藤達雄(徹平の親友)

<Yahoo!映画解説>
********************************************************************************************************
『Shall We ダンス?』の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを取った本格的な社会派ドラマ。
電車で痴漢に間違えられた青年が、“裁判”で自分の無実を訴える姿を、日本の裁判制度の問題点を浮き彫りにしつつ描く。
ハリウッド映画『硫黄島からの手紙』に出演し、世界的に注目を集めた加瀬亮が、本作で初主演を果たす。
主人公を弁護する弁護士には、瀬戸朝香、役所広司らがふんする。
3年もの歳月をかけて“裁判”について取材した監督が、現代の日本における“裁判”の現実を突きつける。
********************************************************************************************************

就職活動中の金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に向かう満員電車で痴漢に間違えられて、現行犯逮捕されてしまう。
徹平は警察署での取調べで容疑を否認し無実を主張するが、担当刑事に自白を迫られ、結局拘留されてしまうことになる。
さらに検察庁での担当副検事の取調べでも無実は認められず、ついに起訴されてしまう。

徹平の弁護に当たるのはベテラン弁護士・荒川(役所広司)と、新米弁護士・須藤(瀬戸朝香)。
徹平の母・豊子(もたいまさこ)や友人・達雄(山本耕史)たちも徹平の無罪を信じて動き始める。
やはり痴漢冤罪事件の経験者で今でも自分の無罪を訴え続けている佐田(光石研)も協力を惜しまないと言う。

一同はまず事件当時、徹平のことを「犯人ではない」と駅員に証言した女性を探そうとするが、見つからない。
そんな中、ついに徹平の裁判が始まる・・・

男としては、誠に恐ろしい痴漢の冤罪をテーマとした映画。
この映画、実に深い。
満員電車から降りた徹平は、突然女子中学生に「痴漢」と手を掴まれてしまう。
そして近くにいた男性と駅員とともに駅事務所に連れていかれ、そして警察に引き渡される。

担当刑事は始めから犯人扱い。
当番弁護士も、「罪を認めた方が罰金で誰にも知られる事なくすぐに釈放される」と諭す始末。
「やってもいない事をやったとは言えない」という至極当然の主張をした徹平はそのまま拘留される事になる。

拘留されたまま、護送車で検察庁へ移送され、検事の取調べを受ける。
何度も何度も同じ事を聞かれるが、「やっていない」という主張は聞いてもらえない。
たまたまやってきた母親と暇な友人が、弁護士を探してくれたからいいもの、普通だったら誰がやってくれるのだろう。
長期の拘留はサラリーマンにとっては死活問題だ。

そして物語はさらに恐るべき裁判の現実を描きだす。
映画の冒頭では、「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰してはならない」との言葉が表示される。
だが、実は無罪を出すという事は、裁判官にとっても「勇気のいる」決断らしい。
「疑わしきは罰せず」という言葉が空しく響き、「有罪率99.9%」という恐るべき数字が、多くを物語る。

一日でも早く出たい被告にとって、のんびり進む裁判日程もじわじわと首を絞める。
日程を決める裁判官と弁護士、検事とのリアリティ溢れるやり取りは、無実の罪の者にとっては耐えがたい。
ある程度裁判が進むと、保釈金を払えば釈放される。
だが、100万円単位の保釈金も負担だろう。
もしも、自分が痴漢に間違えられたら、と考えると、とても「裁判で身の潔白を明かす」などとは言えないだろう。

それはおかしい事であるが、しかし被害者の立場、検事の立場、裁判所の立場等諸般の事情を考えれば、“仕方ない”と言う現実。
この映画は、エンターテイメントというよりも、社会問題を提起したドキュメンタリーでもあるかのよう。
おそるべき現実には、日頃から身を守る意識を持っていないといけない事がわかる。
実に、勉強になる映画である。


評価:★★★☆☆




    
posted by HH at 18:07 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年12月30日

エメランスの扉

エメランスの扉.jpg

原題: The Door
2012年 ハンガリー・ドイツ
監督: イシュトバン・サボー
出演: 
ヘレン・ミレン:エメランス
マルティナ・ゲデック:マグダ
カーロイ・エペリエシュ:ティボル
アーギ・スィルテシュ:ポレット

<映画.com>
********************************************************************************************************
ハンガリーの巨匠イシュトバン・サボーが、オスカー女優ヘレン・ミレン主演で描いた人間ドラマ。
1960年代のブダペスト。
女性作家マグダは、近所に住む老婦人エメランスを家政婦として雇い入れる。エメランスは気難しく20年間も自宅に誰も入れていないという変わり者だったが、その仕事ぶりには目を見張るものがあった。
そんなエメランスをすっかり気に入ったマグダは、時には衝突しながら彼女との友情を育んでいく。
ある日、エメランスはマグダに自身の秘められた過去を打ち明ける。
********************************************************************************************************

舞台は1960年のブタペスト。
鉄のカーテンの向こう側にあった時代である。
女流作家のマグダがある家に越してくる。
自らも仕事を持つマグダは、家事を任せるべく、近所に住むエメランスに家政婦を依頼する。

ところがこのエメランス。
態度がデカイ。
「雇い主は自分が決める」と宣言。
さらに引き受けると伝えた後も、「給料は仕事量を見て伝える」とどちらが立場が上かわからない。
されど他に適任者もなく、マグダはエメランスを雇い入れる。

仕事はきっちりこなすが、態度は変わらず。
しかし、時折、不可解な面を覗かせる。
雷を異様に怖がり、自宅のドアは固く閉ざし、決して他人を招き入れない。
原題の「The Door」はこの固く閉ざされた扉を指している。
雇用側としては、とてもストレスの溜まる家政婦であるが、マグダは次第にエメランスに慣れていく。

エメランスを演じるのは、「クィーン」でオスカーに輝いたヘレン・ミレン。
大貫禄の英国女王と対照的に、ここでは気難しい老婆として登場。
とてもお金を払ってまで雇いたくはない。

しかし、子供の頃からの過去が少しずつ明らかになっていくと、そうした人格形成も仕方ないのかと思えてくる。
でも結局、何が言いたかったのだろう。
それがちょっとわからなかった映画である・・・


評価:★★☆☆☆




   
posted by HH at 23:44 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年12月24日

アカシアの通る道

アカシアの通る道.jpg

原題: Las acacias
2011年 アルゼンチン/スペイン
監督: パブロ・ジョルジェーリ
出演: 
ヘルマン・デ・シルバ:ルベン
ヘーベ・デュアルテ:ハシンタ

<WOWOW解説>
********************************************************************************************************
人に頼まれてシングルマザーとその赤ん坊を乗せることになった孤独なトラック運転手。
彼が打ち解けていく姿を描いたロードムービー。
驚くほど少ない台詞・音楽、事件らしい事件が起きない地味な展開ながら、それだけに登場人物たちが移動する距離に比して心と心の距離を近づけていく感覚がリアルに伝わってくる、何とも優しい1本。
アルゼンチンのP・ジョルジェーリ監督は自身も前妻との離婚や失業などを経験したが、本作を作る過程を通じて、自身も立ち直ることができたとか。
第64回カンヌ国際映画祭で、新人監督の初めての長編(60分以上)を対象にしたカメラドール(過去には日本の河瀬直美監督が「萌の朱雀」で受賞)に輝いている。
********************************************************************************************************

主人公はルベンと言う名の、運転歴30年のベテランドライバー。
前後から判断するに、国境を越えて主に資材を運んでいるようである。
そんな彼のトラックに、上司から人を乗せてくれと頼まれたようである。
洗面台で簡単に体を洗った彼の許にやってきたのは、赤ん坊を抱いた女性ハシンタ。

日本的感覚では、どこかへ出かける時に利用するのは交通機関。
されどそこはパラグアイ。
たぶん、お金もないのであろう、赤ん坊を抱いたハシンタは、知り合いの伝手を頼ってブエノスアイレスへ向かうトラックに乗せてもらうよう頼んだようである。

ルベンもハシンタも初めは互いに気まずい雰囲気。
おもむろに煙草を吸うルベン。
さり気なく窓を開けるハシンタに、赤ん坊の存在に気づき煙草を捨てる。
それを見て礼を言うハシンタ。
ぎこちないながらも、二人の交流が始る。

それでも赤ん坊が泣き、途中で予定外の休憩を取らざるを得なくなったルベンは、密かにバスの時間と料金を調べる。
バスに乗せてしまおうと考えたようである。
しかし、明日までバスはないと聞いて諦める。
そんな環境とルベンの心境が静かに描かれる。

長い道中、それでも少しずつうち解けていく二人。
二人のそれぞれのプライベートも明らかになってくる。
そしてやがてトラックはブエノスアイレスへと到着する・・・

大概、映画を観る時は「この先どんな展開になるのだろう」と期待して観る。
静かなスタートであったこの映画、なんとそのまま静かに終わってしまった。
特に何かのドラマがあったというわけではない。
されど何となく、何を言わんとしたのかが静かに伝わってくる。
そんな映画である。

何にもないけど、何だかとっても奥深い映画である・・・


評価:★★☆☆☆


  

posted by HH at 23:11 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ