2014年06月16日

【ファミリー・ツリー】My Cinema File 1212

ファミリー・ツリー.jpg

原題: The Descendants
2011年 アメリカ
監督: アレクサンダー・ペイン
出演: 
ジョージ・クルーニー:マット・キング
シェイリーン・ウッドリー:アレクサンドラ・キング
アマラ・ミラー:スコッティ・キング
ニック・クロース:シド
ボー・ブリッジス:ヒュー・キング

<映画.com>
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「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン監督がジョージ・クルーニーを主演に迎え、ハワイで暮らすある家族に起こる出来事を描いたドラマ。
祖先の土地を受け継ぎ、ハワイで妻と2人の娘とともに暮らすマット・キングだが、ある日、妻のエリザベスがボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。
さらに、エリザベスには不倫の相手がおり、離婚まで考えていたことが発覚。
友人や長女もその事実を知っていたことにがく然としたマットは、自らの人生を見つめ直すことになる。
第84回アカデミー賞で脚色賞を受賞。
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ジョージ・クルーニー主演のファミリードラマ。
舞台は日本人なら誰でも憧れる常夏の島、ハワイ。
されど主人公の自虐的な独白がそれを打ち消す。

主人公はハワイで弁護士をしているマット・キング。
先祖から受け継いだ広大な土地を有しているが、弁護士の収入で慎ましく(?)暮らしている。
ある日、妻がボート事故で意識不明の重体となり、それがもう23日間続いている。
マットは、仕事一筋であった生活を反省し、土地を売って引退し妻とセミリタイア生活を送ろうと考えている。

土地の売却については、利害のある親族とも相談し、売却の目途が立っている。
しかしながら妻が入院したことで生活は一変。
次女が学校で問題を起こして呼び出され、マットは戸惑いながら対応する。
そしてとうとう医師から妻の回復はありえないと宣告され、本人の事前の意思により生命維持装置を外すように進言される。

寮生活を送っていた長女を迎え入れるマット。
しかしボーイフレンドを家に寝泊まりさせ、その感覚は父親の理解を超えている。
さらにマットは長女から妻の浮気の事実を知らされる。
浮気相手を突き止めたマットは、子供たちと共に相手の男に会いに行く・・・

男の思いと女の思いと子供たちの思い。
本来は一つの方向を向いているべきものが、いつの間にか妻との会話は途絶え、それどころか妻はパーティで知り合った別の男と新しい人生を夢見ていたと知る。
責めるべき相手は、口もきけないままベッドに横たわっている。

自分だったらどうするだろうと考えながら観ていたら、まさにその考えた通りの行動を主人公はしてくれた。
自分の思い通りの展開というのも、気分の良いものである。
浮気相手の男の気持ちもわかるし、自分の身には起こってほしくない出来事だが、全体としては感情移入できるドラマであった。

ジョージ・クルーニーと言えば、 『オーシャンズ』シリーズをはじめとしてサスペンスチックの映画が似合っているイメージがあるが、ちょっと自信のない父親として純粋ドラマにも違和感なく観る事が出来た。
背景のハワイの自然と、ラストの親子の姿が印象的だった映画である・・・


評価:★★☆☆☆


    
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2014年06月13日

【のんちゃんのり弁】My Cinema File 1210

のんちゃんのり弁.jpg

2009年 日本
監督: 緒方明
出演: 
小西真奈美:永井小巻
水野絵梨奈:永井小巻(中学時代)
佐々木りお:永井乃里子(のんちゃん)
岡田義徳:永井範朋
村上淳:川口建夫
山口紗弥加:玉川麗華
花原照子:建夫の祖母
上田耕一:健夫の父
斉藤暁:園長先生
絵沢萌子:「小雪」のママ
岸部一徳:戸谷長次
倍賞美津子:原フミヨ

<Yahoo!映画解説>
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「モーニング」誌上で連載された入江喜和の同作漫画を基に、『独立少年合唱団』『いつか読書する日』の緒方明が監督を務めるハートウォーミングな親子ドラマ。
だらしない夫を捨てた子持ちの主婦が、弁当店オープンに向けて奮闘する姿を描く。
『UDON』の小西真奈美と子役の佐々木りおがヒロインとそのまな娘・のんちゃんを演じて、息の合った母娘コンビを見せる。
岡田義徳や岸部一徳、倍賞美津子 など、下町の人情模様を彩る脇役陣にも注目。
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原作は漫画らしいが、ちょっと心温まるホームドラマである。
主人公は、一児の母小巻、31歳。
自称小説家の年下の夫は働かず、だらしのない生活振り。
夫の親の収入で食べてはいけるものの、やはりそれで良いというわけにはいかない。
一念発起し離婚届を置いて、娘ののんちゃんを連れて実家に戻る。

さっそく仕事探しを始めるが、子持ちの小巻の希望に合うような仕事はなかなか見つからない。
同級生で娘が通う事になった幼稚園の先生をしているレイカや、かつて好きだった地元で写真館を継いでいる建夫らが心配してくれるが、一大決心をして臨んだ水商売も一晩で耐えきれずに辞めてしまう。

グータラ亭主は、離婚を拒否して小巻に付きまとう。
希望の光が見えない中、小巻が娘に毎日持たせるオリジナルののり弁は、周囲の人たちに好評を得ていく。
やがて知り合った料理屋の主人戸谷。
その味に惚れ込んだ小巻は、やがて自分がやりたいと思う仕事=「弁当屋」のアイディアを思い付く・・・

この映画はホームドラマである一方で、タイトルにある通りお弁当が隠れた主役である。
のり弁と言うと、ご飯の上にのりを敷き、おかずを何品か付けたお弁当屋でも最も安いメニューの一つというイメージがある。
しかし、小巻の作るのり弁は、そんなイメージのものではない。

冒頭でそのいくつかが紹介されるが、実に手が込んでいる。
おかずとご飯が5層を成し、表面ののりは一枚を敷くのではなく、千切る事によって蓋につく事を防ぎ、食べやすくなっている。
観ているだけで、食べたくなる事受け合いである。

物語は、紆余曲折を経て小巻が弁当屋を開業するまでを追っていく。
夫、同級生、料理屋の主人など関わる人たちとの交流を通じ、観る者も何かを感じ取れるドラマとなっている。

主演の小西真奈美は、個人的にはちょっとキツイイメージがして、ちょっと主人公の役柄とはマッチしない気がしたが、孤軍奮闘するシングルマザー(離婚前だったが・・・)としては、それでも良かったのかもしれない。
誠に日本らしさを感じたホームドラマである・・・


評価:★★☆☆☆


    
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2014年06月11日

【東京家族】My Cinema File 1208

東京家族.jpg

2012年 日本
監督: 山田洋次
出演: 
橋爪功:平山周吉
吉行和子:平山とみこ
西村雅彦:平山幸一
夏川結衣:平山文子
中嶋朋子:金井滋子
林家正蔵 :金井庫造
妻夫木聡:平山昌次
蒼井優:間宮紀子
小林稔侍 :沼田三平

<Yahoo!映画解説>
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『男はつらいよ』シリーズや『たそがれ清兵衛』『おとうと』などで知られる、山田洋次の監督81作目となるファミリー・ドラマ。
瀬戸内の小島から上京し、自分の子どもたちと久々の対面を果たした老夫婦の姿を通して、現代日本における家族の在り方や絆などを見つめていく。
『奇跡』の橋爪功、『人生、いろどり』の吉行和子、「古畑任三郎」シリーズの西村雅彦、『悪人』の妻夫木聡などの実力派が集結し、いつの間にか生じた隙間を埋めようとする家族を熱演する。
随所にちりばめられた、山田監督による巨匠・小津安二郎の『東京物語』へのオマージュも見逃せない。
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小津安二郎監督の作品に『東京物語』があるが、この映画はそれを現代に置き換えてリメイクした作品。
小津安二郎監督作品と言えば、さり気ない日常生活をベースにしみじみとした味わい深い作品が多いが、この映画はその味わいを実によく再現している。
小津安二郎版はまだ観ていないが、雰囲気はかなりイメージできる作品である。

物語は瀬戸内海の島から老夫婦が状況してくるところから始まる。
どうやら子供たちはみな故郷を離れ、東京で暮らしている様子である。
迎えるのは東京の郊外で開業医をしている長男の幸一。
長女の滋子もやってきて、兄嫁とともに夕食の支度に精を出す。
次男の昌次は上京する両親を迎えに行くも、東京駅と品川駅を間違えてしまい、すれ違いとなる。

このあたりで平山周吉、とみ子の老夫婦と東京に住む3人の子供たちの人物像が浮かび上がってくる。
長男は開業医、長女は美容院を経営、次男は舞台美術の製作に携わるものの、その実態はプー太郎に近い。
父周吉からすれば、文句を言いたくなる存在である。

物語は周吉夫婦の東京滞在の様子を追っていく。
滞在も初めのうちは問題ないが、長引けば子供たちの生活にも影響が出てくる。
みな悪気はないのだが、急患が出れば予定は変更になるし、時には家にいられると都合の悪い時もある。
良かれと思ってお金を出し合ってホテルの宿泊をプレゼントするが、田舎出の老親には都会のホテルも必ずしも居心地良いものではない。

いつでも泊まりに来いと言ってくれていた同郷の友人を思い出して訪ねていくも、息子の嫁に気兼ねして泊まっていけと言えない友人。
「お前は羨ましい」と言われるも、周吉にしてみれば、長男が地元ではなく東京で開業した事が寂しかった様子。
幸福そうに見えても、その家々で事情はあるものだと思わせられる。

三兄弟の中で一番出来の悪いと思われていた昌次には、心優しい恋人紀子がいる。
母はそんな昌次の姿に安堵する。
後半に入っての周吉夫婦と昌次と紀子との交流には、心も温かくなる。
大きな盛り上がりもなく進む物語だが、実に日本的で、これぞ日本映画の真骨頂という気がする。

家族それぞれの立場に身を置いて考えてみると、実にいろいろなものが見えてくる。
ハリウッドの大作も良いが、こういう映画が作られる日本の映画界も捨てたものではない。
ゆっくりと、そしてじっくりと味わいたい一作である・・・


評価:★★★☆☆


    
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2014年06月06日

【ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日】My Cinema File 1204

ライフ・オブ・パイ.jpg

原題: Life of Pi
2012年 アメリカ
監督: アン・リー
出演: 
スラージ・シャルマ:パイ・パテル
イルファーン・カーン:パイ・パテル(成人)
アーユッシュ・タンドン:パイ・パテル(11〜12歳)
ゴータム・ベルール:パイ・パテル(5歳)
アディル・フセイン:サントッシュ・パテル(パイの父)
タッブー:ジータ・パテル(パイの母)
ジェラール・ドパルデュー:貨物船コック

<Movie Walker解説>
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家族が経営する動物園の動物たちを乗せた貨物船が嵐に見舞われ、一命を取り留めるも、救命ボートでトラと共存するはめになった16歳の少年の過酷な運命を描くサバイバル・アドベンチャー。
優れた長編小説に与えられる文学賞である、ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルの同名作を、名匠アン・リーが初の3D作品として映画化した話題作。
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主人公はインド人のピシン。
親が動物園を経営し、そのお陰で動物たちには慣れ親しんでいる。
その中でもお気に入りは、「リチャード・パーカー」と名付けられたベンガルトラだった。
ピシンと言う名は、インテリの父親がフランス語からとったのだが、インドでは「便所」を連想させるため、友人たちからはからかいの的となってしまう。

しかしピシンは賢く、一計を案じ、自らパイというニックネームを考える。
パイと言えば円周率のπ。
延々と続く円周率を驚異的に暗記してみせる事で、ニックネームを定着させる。
なかなかの知恵者である。
タイトルの由来は、そんな主人公のニックネームから。

そして物語はパイ自身が、ライターに身の上を語るという形で進んでいく。ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教を信じ、人並みに恋も経験する。
そして16歳のある日、一家はカナダへと移住する事になる。
恋心を抱いていた少女と別れ、家族は動物たちと共に日本の貨物船でカナダへと向かう。
船の中ではジェラール・ドパルデューがコック役でちょっとだけ出演している。
何だか面白い。

しかし、途中嵐に遭い船は沈没。
混乱の中でボートに乗せられたパイ。
気がつくと大海原でパイは一人波間に漂う。
そしてボートにはシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そして何とリチャード・パーカーが乗っている。

そこから漂流の日々。
狭いボートの上は弱肉強食の世界。
やがてハイエナとリチャード・パーカーとパイだけが生き残る。
力関係でいけば、人間は虎に勝てない。
しかし人間には虎に勝る知恵がある。
狭い世界で人間と虎の奇妙な共生が続いていく。

一見、荒唐無稽な展開が続く。
何となく既視感があるなと感じていたが、やがてその正体に思い至る。
その正体は、映画『フォレスト・ガンプ』だ。
フォレスト・ガンプも荒唐無稽な人生を体験していった。
まさにパイの人生は、フォレスト・ガンプのようである。

そうして数奇な漂流生活を辿るパイ。
サブタイトルによれば、その間277日。
現実的にはどうかなどと考えてはいけない。
ここはそういうものとして理解し、先に進む。
実際、どうやってボートの上での虎と人間の共存生活の様子を撮影したのだろうと思っていたら、どうやらCGらしい。
今さらながら、現代の映像技術には驚かされる。

インド人を主人公にした欧米映画というと、『スラムドッグ$ミリオネア』や、『その名にちなんで』などを近年観たが、いずれも主人公の数奇な運命と言う共通点がある事に気づく。
インドってそういうイメージがあるのかもしれない。

本家には及ばなかったが、それなりに楽しめたインド人版『フォレスト・ガンプ』であった・・・


評価:★★☆☆☆


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2014年06月04日

【その夜の侍】My Cinema File 1202

その夜の侍.jpg

2012年 日本
監督: 赤堀雅秋
出演: 
堺雅人: 中村健一
山田孝之: 木島宏
新井浩文: 青木順一
綾野剛: 小林英明
坂井真紀: 中村久子
田口トモロヲ: 星信夫

<Yahoo!映画解説>
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劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀雅秋が作・演出・主演を手掛けた戯曲を、彼自らの演出で映画化したヒューマンドラマ。
ひき逃げ事件の犠牲になった妻の復讐に燃える男と、その事件の犯人で刑務所から出てきた男の対峙を、重厚なタッチで紡ぎ出す。
堺雅人が復讐の機会をうかがいつつも、良心の呵責にさいなまれる男を熱演。
また、山田孝之が、粗暴と孤独を併せ持つひき逃げ犯を演じ切る。
人間の残酷さと狂気、そこから生まれるかなしさを深くえぐった深遠なテーマも見逃せない。
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何とも変わったタイトルであるが、時代劇ではない。
れっきとした現代の話である。
主人公は町工場を経営する中村健一。
社長ではあるものの、いつも作業着姿で従業員たちと汗まみれで現場作業に明け暮れる。
恐らく二代目社長だ。

そんな健一は大のプリン好き。
仕事の合間に、二階の自宅に上がりプリンを食べる。
8/10のその日も妻に隠れて自宅でプリンを食べていると、妻の久子から電話がかかってくる。
無視しているとやがて留守番電話に切り替わり、久子の声が聞こえてくる。
「またプリン食べているんでしょう」

健一は糖尿気味であるため、久子は健一がプリンを食べるのをしばしば戒めていた様子。
女房からすれば、旦那の行動など手に取るようにわかるという事かもしれない。
そして、その留守電に残された久子のメッセージが、健一が最後に聞く久子の声となってしまう。
久子は買い物の帰り道に、木島の運転するトラックに撥ねられて死んでしまうのである。
木島は轢いた久子を放置して逃げるが、同乗していた小林の自首によって逮捕され、懲役刑となる。

それから5年。
妻を失った健一は、相変わらず工場で働き、自宅に戻ってプリンを食べている。
繰り返し聞くのは、妻が最後に残した留守番電話のメッセージ。
妻の服もそのままで、5年間時計の針は止まったままである。
そんな健一の身を案じ、義弟の青木は何度も見合いの話を持ち込むが、健一は関心を示さない。

一方、服役して出所した木島は、タクシー会社に勤めながら、小林とともに自堕落な生活を送っている。
時折見せる狂気は、久子を轢き殺した時となんら変わりない。
そんな木島の元に、8/10に殺すという匿名の手紙が毎日届く・・・

映画を観終わって、何とも言えない感想を持つ。
人それぞれいろいろな解釈があって良いと思うが、正直言ってよくわからなかった。
木島を演じた山田孝之は、これまでのイメージと違って異常人格者として登場したが、これがかなりのもの。
これまでと違った“アブナイ”人物を好演。

“アブナイ”と言えば、主人公の健一も似たようなもの。
経営者としての仕事はしっかりしているようだが、亡き妻を想う言動は非常に“アブナイ”ものがある。
そんな“アブナイ”二人が、最後に対峙する。
その結末は、ちょっと肩透かし的であった。

ストーリー的には今一であったが、出演者の好演でだいぶ救われた感がある。
面白いかどうかは、観る人によって異なるだろうが、まあこういう映画もあって良いし、観て損したとまでは思わない。
「なるほどねぇ」というつぶやきが、思わずもれた映画である・・・


評価:★★☆☆☆


     
   
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