2013年10月20日

戦火の馬

戦火の馬.jpg

原題: War Horse
2011年 アメリカ
監督: スティーヴン・スピルバーグ
出演: 
ジェレミー・アーヴァイン:アルバート・ナラコット
エミリー・ワトソン:ローズ・ナラコット
デイヴィッド・シューリス:ライオンズ
ピーター・ミュラン:テッド・ナラコット
ニエル・アレストラップ:エミリーの祖父
トム・ヒドルストン:ニコルズ大尉
セリーヌ・バッケンズ:エミリー

<Yahoo!映画解説>
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1982年にマイケル・モーパーゴが発表し、舞台版は第65回トニー賞で5部門に輝いたイギリスの小説を巨匠スティーヴン・スピルバーグが映画化。
第1次世界大戦下を舞台に、主人公の少年アルバートとその愛馬ジョーイの掛け替えのないきずなの物語が展開する。
主人公の少年を演じるのは、新星ジェレミー・アーヴァイン。
共演は『ウォーター・ホース』の実力派女優エミリー・ワトソン。
壮大かつ感動的な物語の行方に注目だ。
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イギリスの貧しい小作農の息子として生まれたアルバート・ナラコットは、近所の牧場で一頭の馬の出産に目を奪われていた。
産まれた馬は額に白いダイヤ形の模様があり、四肢に白い靴下をはいたような模様がある元気な茶色のサラブレッドだった。
馬の成長を見守りながら、アルバートは何とか手なずけようと努力するが、馬は気性が荒く中々彼に心を開いてくれなかった。

そんなある日、父のテッドは農耕馬を買い付けに街の競売へ出かけた。
多くの馬が出品される中、テッドはある馬に心を奪われた。
それは額にダイヤ形の白い模様があるあのサラブレッドだった。
彼は友人たちが諫めるのも無視して、農耕には全く適さないこのサラブレッドを自身の大地主ライオンズと競り合って、30ギニーという大金で落札してしまった。

農耕馬を買いに行ったはずのテッドがサラブレッドを連れて帰ってきたことに、妻のローズは烈火の如く怒った。
しかしアルバートは大喜びし、きっちりと調教することを条件にローズを何とか説得して飼育することを許してもらった。
彼は馬にジョーイと名付け、ネイティブ・アメリカンが馬を呼ぶ時に使うフクロウの鳴き声のような口笛をジョーイに覚えさせ、愛情を注いでいった。

ここからアルバートとジョーイの苦難が始る。
小作料の支払いに窮し、荒れてとても農作に適さない土地を耕す事になるが、農耕馬でも難しいとされる作業にアルバートとジョーイは携わる。
せっかく耕した畑は、悪天候で作物が全滅。
結局、ジョーイを手放す事になる。
そしてジョーイは、軍馬として引き取られていく・・・

当初はニコルズ大尉がアルバートの気持ちを汲んで、ジョーイを大事に扱っていたが、戦下の中で大尉は戦死。
ジョーイはドイツ軍に捕獲される。
そしてジョーイは、第一次世界大戦の推移とともに、数奇な運命を辿っていく。

ストーリーは、アルバートと馬の交流から始るが、主人公はどちらかと言えば馬となる。
ジョーイを取り巻く人たちは、彼ら自身様々な人生を過ごしていて、そしてその時、ジョーイと出会う。
ジョーイ自身も、途中で出会った僚馬と仲良くなる。
このあたりの馬同士の交流は、子供も喜びそうな展開。
もともと原作は児童小説らしいので、そうした展開も頷ける。

背景に描かれる第一次世界大戦の様子も、サイドストーリーとして興味深い。
軍による徴収はその一つ。
ある日突然やってきて、食糧や家畜を持って行ってしまう。
持って行かれる方はただ茫然と見送るだけ。
強盗より酷い。

そんな中で、馬を巡る人々の物語は、心に残ったりする。
児童小説ゆえだろうか、感動作とまではいかないが、十分“良いお話”だと言える。
スピルバーグのドリームワークスが映画化したのも、なるほどと頷ける映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2013年10月15日

少年と自転車

少年と自転車.jpg

原題: Le Gamin au vélo
2011年 ベルギー フランス イタリア
監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ/ リュック・ダルデンヌ
出演: 
トマ・ドレ:シリル
セシル・ド・フランス:サマンサ
ジェレミー・レニエ:シリルの父

<Yahoo!映画解説>
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ベルギーを代表する映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟が、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した感動作。
父親に捨てられ、心を閉ざした少年が一人の女性と出会うことにより、傷ついた心を少しずつ開きつつ成長していく姿をとらえる。
主人公を新星のトマス・ドレが演じ、彼を温かく見守る女性を、『シスタースマイル ドミニクの歌』のセシル・ドゥ・フランスが好演する。
本作で、カンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を成し遂げたダルデンヌ兄弟の実力に舌を巻く。
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とある施設。
11歳の少年シリルは、もはや使われなくなっている自宅に電話をかけ続ける。
施設の職員の説得にも耳を貸さず、自宅に帰ろうと脱走を試みる。
職員によって脱走は阻止されるが、学校に行った際、隙を見て逃走し自宅に帰る。
しかし、そこにいるはずの父は既に引っ越した後。
連れ戻しに来た施設の職員ともみ合う際、美容師のサマンサと出会う。

シリルが自宅に残した自転車を探していると知ったサマンサは、翌週その自転車を探し出して施設に届けに来る。
シリルは、サマンサに週末の里親になって欲しいと頼む。
シリルの頼みを聞き入れたサマンサは、それを受け入れ、同時にシリルの父親の行方探しを手伝う。

サマンサのおかげで父ギイと再会できたシリル。
しかし、自分の生活で手一杯のギイは、二度と会いに来るなとシリルを追い返す。
激しいショックを受けたシリルだったが、それから後も週末はサマンサの家で過ごすようになる。
そんな時、一人の不良に声を掛けられる・・・

タイトルからすると、「北京の自転車」とか「自転車泥棒」のような、自転車を巡る盗難騒動などのようなものをイメージしてしまったが、ここはさにあらず。
確かに自転車が盗まれそうになったりするのだが、それはストーリーの本筋ではなく、単なるエピソード。

詳しい事情はわからないが、シリルには母親がいない。
そして唯一頼りにしている父親は、自分との関わり合いを避けている。
必死の思いで施設を抜け出し、父の元へ行こうとする。
自分と離れて暮らす原因がお金だと思うと、手にしたお金をそのまま父に届ける。
痛々しいまでの思いも、父親は無情な態度で追い返す。

一方、反抗的な他人の子供であるシリルを献身的に世話をするサマンサ。
シリルの尻ぬぐいは、金銭的な負担も含めて大きなものとなる。
シリルがどうしようもない犯罪者になるのか、あるいはまともな大人になるのか、その差は周囲の大人の愛情次第なのだと自然に思える内容。
シリルがどんな大人になるのか、それは心配しなくても良さそうなところが良い映画である・・・


評価:★★☆☆☆


    

   
posted by HH at 22:25 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年10月13日

ヘルタースケルター

ヘルタースケルター.jpg


2012年 日本
監督: 蜷川実花
出演: 
沢尻エリカ:りりこ
寺島しのぶ:羽田美知子
大森南朋:麻田誠
水原希子:吉川こずえ
桃井かおり:多田寛子
窪塚洋介:南部貴男
寺島進:塚原慶太
鈴木杏:保須田久美

<Yahoo!映画解説>
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雑誌「フィール・ヤング」で連載され、高い人気を誇る岡崎京子のコミックを実写化した、異色にして衝撃のドラマ。
全身整形によって誰もがうらやむ美しさとスタイルを手にしてトップモデルへと上り詰めた女性が、欲望と背徳に満ちあふれた芸能界でさまざまな事件を引き起こしていく。
『パッチギ!』『クローズド・ノート』の沢尻エリカが、自ら出演を熱望して虚構の美をまとったヒロインを熱演。
メガホンを取るのは、『さくらん』で独特のビジュアルセンスを見せつけた、写真家の蜷川実花。
『ハゲタカ』シリーズの大森南朋、『キャタピラー』の寺島しのぶ、『ノルウェイの森』の水原希子ら、実力派や注目株をそろえた共演陣も見どころだ。
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りりこは押しも押されぬ大スター。
その美貌は若者の心を掴み、りりこが表紙を飾ったファッション雑誌はそれだけで飛ぶように売れていく。
しかしその美貌は、実は違法行為で検察も内偵を進める美容整形外科の手による全身整形のたまもの。
副作用を抑えるための薬を手放せない状態。

その副作用とは、高額な薬で抑え続けなければ皮膚に痣となって現れるというもの。
既に何人もの若い女性が、副作用を抑え続ける生活に耐え切れず自らの命を断っている。
検事の麻田は、そんな違法クリニックの内偵を進めながら、その患者に名を連ねているりりこの動向に注目している。

そのりりこ。
マネージャーの羽田を手足の如く、そして奴隷の如くこき使う。
その羽田は、明らかにりりこより年上なのであるが、りりこに魅せられどんな屈辱的な要求にも従ってしまっている。
華やかな表の顔とは裏腹に、常に不満に満ち溢れているかのようなりりこは、楽屋裏では傍若無人の振る舞い。

りりこを演じるのは、沢尻エリカ。
スクリーンの外ではなかなか世間をお騒がせしているようであるが、そのあたりはあまり気にも留めていないからよくわからない。
それよりもこれまでの出演作品、例えば「手紙」「クローズド・ノート」のような可憐な女性とはまるで対照的な役柄に驚かされる。
撮影現場では笑顔を振りまき、裏では年上のマネージャーを奴隷の如く扱う様は、まったくもって傍若無人で、ひょっとしたらこれが世間を騒がせている沢尻エリカの素の姿なのではないかと思えてしまうくらいである。

それよりも、なんとも大胆なシーンが続出する。
控室にやってきた恋人(窪塚洋介)とのラブシーン。
寺島しのぶとのレズシーン。
大胆な舌使いのキスなどなかなかの迫力。
一転して狂気の世界に引きずりこまれていくような姿など、迫真の演技と言うのだろうか。

ストーリーそのものよりも、りりこ様の姿そのものが、この映画のすべてであると言える。
女にとって、美は大きな要素。
全身整形までして、手に入れた美がよかったのか悪かったのか。
元のままが、りりこにとって幸せだったのかどうか。
考えてみても答えは難しそうである。

合間合間に挟まれる女子高生たちの会話。
移り気な世間の象徴の様。
元のりりこと似てブスな妹。
ラストに登場した妹の変貌ぶりが何かを暗示している様。
意外と奥が深いかもしれないと思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





   
posted by HH at 22:31 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年09月21日

ニーチェの馬

ニーチェの馬.jpg

原題: A torinói ló
2011年 ハンガリー
監督: タル・ベーラ
出演: 
ボーク・エリカ:娘
デルジ・ヤーノシュ:馬の飼い主・父

<Yahoo!映画解説>
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『倫敦(ロンドン)から来た男』などのハンガリーの異才タル・ベーラが監督を務め、たった二人の父娘の孤独な日々を描いた深遠なドラマ。
世界から取り残されたような場所で、重労働に追われつつ単調な暮らしを繰り返す彼らの姿をモノクロームの映像で描き切る。
主人公の二人を演じるのは、『倫敦(ロンドン)から来た男』にも出演したボーク・エリカとデルジ・ヤーノシュ。
ドイツを代表する哲学者ニーチェがトリノで発狂した逸話を基に描かれる独特の世界観に引き込まれる。
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哲学者ニーチェは、ある日鞭打たれる馬を見て、その馬にすがって泣き崩れ、そして狂喜の世界へと進んだのだと言う。
そうした解説から映画は始る。

登場人物は、初老の男(デルジ・ヤーノシュ)とその娘(ボーク・エリカ)。
二人は荒野の中の一軒家で暮らしている。
男が馬と荷馬車を引いて、どこかから帰ってくる。
外はもの凄い強風が吹き荒れている。
娘は、甲斐甲斐しく父の手助けをする。
男は右手が不自由なため、娘が着替えまで手伝う。

淡々と手伝いをする娘。
母親はどうしたのかはわからないが、たぶん死んだのであろう。
冒頭からカメラは二人の様子を追うも、会話もなく進む。
20分ほど経ってようやく交わされた会話が、「食事」の一言。
と言っても、その食事はゆでたジャガイモだけ。
二人の暮らしは恐ろしく貧しい。
外の強風が室内にも響きわたる。

こうして一日目が終わり、二日目が始る。
娘は、外の井戸に水を汲みに行ったりという行動はあるものの、例によって会話もなくしずかな日常が描かれる。
近所の男だろうか、焼酎をもらいにやってくる。
ニーチェ張りに哲学的な言葉を撒き散らし、何か展開があるのかと思えばそれまで。
また淡々とした日常。

1時間ほど過ぎたところで睡魔に襲われる。
あまりにもつまらない。
会話と言っても一言、二言のみ。
そしてじゃがいもを食べる。
それが延々と続く。

何か展開があるのかと最後まで頑張って観たが、何もなかった。
深遠なる日常を描き、哲学的なオーラを発している作品だと思うし、たぶん、絶賛の声も聞こえてくるのだろう。
だが敢えて言おう、「つまらない」と。
少なくとも私の価値観には合わない。

ピカソの絵を素晴らしいという人もいるし、この映画を素晴らしいという人もいるだろう。
事実、この映画はキネマ旬報2012年洋画ベストの第1位に選出された作品であるらしい。
たぶん「通」を気どった者たちが、あれこれと「素人にはわからないだろう」的なうんちくを垂れているに違いない。
だが素直に観ればつまらない。
ソクラテスの「無知の知」ではないが、私はこの映画はつまらないと素直に言おう。
「通」にバカにされても仕方ないが、年間150本以上映画を観ているのに、それでも尚この映画の良さはわからない。

まぁ、映画に何を求めるかによるだろう。
「ツァラトゥストラはかく語りき」は読んでみたいと思って読んだが、こういう映画は観たくない。
絶賛する人を悪いとは思わないし、個人の趣向はそれぞれだ。
貧しい家の淡々とした日常生活から、何かを感じるのは事実だと思うが、映画にそれを求めたくはない。
この映画も例えて言えば、野生動物のドキュメンタリー的な面白さはあると思う。
だが、映画として観るのはどうかと思う。

単純に面白い映画が観たいという人は、観ない方がいいだろう。
これからは、キネマ旬報の第何位と言われても、すぐに飛びつかないようにしようと思う・・・


評価:★☆☆☆☆


   


    
  
posted by HH at 20:49 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年09月17日

360

360.jpg


原題: 360
2011年 イギリス・オーストリア・フランス・ブラジル
監督: フェルナンド・メイレレス
出演: 
ルチア・シポシーヴァ:ブランカ
ガブリエラ・マルチンコワ:アンナ
ジュード・ロウ:マイケル・デイリー
レイチェル・ワイズ:ローズ
アンソニー・ホプキンス:ジョン
ベン・フォスター:タイラー・マクレガー

<Yahoo!映画解説>
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世界の七都市を舞台に、メビウスの輪のように絡み合う複数の男女を描く群像劇。
アルトゥール・シュニッツラーの戯曲『輪舞』の、マックス・オフュルス監督版(1950)とロジェ・ヴァディム監督版(1964)に続く三回目の映画化。
監督はフェルナンド・メイレレス、脚本はピーター・モーガンが担当。
魅力的な題材とそうそうたるスタッフ・キャストが揃ったものの、日本では劇場未公開作品となってしまった。
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ウィーン。
二人の姉妹が登場。
姉はカメラマンの前でポーズを取る。
一攫千金の話も出るが、どうやらコールガールとしてホームページに登録しようとしているとわかる。
浮かない表情の妹。

姉はブランカと名乗り、最初の客はロンドンのビジネスマン。
商談でやってきたマイケル・デイリーは、ブランカとの待ち合わせ場所で取引相手と遭遇する。
そのマイケルの妻ローズは、若いカメラマンのルイと浮気をしている。
それを知ったルイの恋人ローラは、傷心のまま故郷ブラジルへ帰る事にする。
機中でローラの隣に座ったジョンは、失踪した娘を探している。
そして彼らの乗った機は、デンバーで大雪のため足止めを食う。
その空港には性犯罪で服役し、仮出所したタイラーがいた・・・

様々な登場人物たちが、微妙に絡み合う人間模様。
この手の人間ドラマとしては、1968年6月5日にアンバサダーホテルに集まった人々を描いた「ボビー」があった。
こちらは複雑に絡み合う人々の連鎖を辿ったもの。
いろいろと切り口があって面白い。

姉がブランカと名乗って「仕事」をしている間、妹アンナは一人外で待つ。
たまたま知り合ったロシア人ドライバーのセルゲイ。
ボスはブランカを買っているが、二人はそれを知らない。
セルゲイの妻は、姉に会うためにやってきたフェニックスでアルコール依存症のセラピーに参加し、そこにはロンドンから娘を探しに来たジョンが参加している・・・

人の数だけドラマがあり、世の中は複雑に絡み合って人は人と繋がり合う。
続けていけば無数の連続ドラマが成り立ちそうである。
そうしたドラマは、ちょっとした運命のいたずらで大きく変わったりする。
身の回りには、実にたくさんのドラマが溢れており、その中では自分も一つのドラマの主人公なのである。
そんな事を思わず考えてみたりした。

アンソニー・ホプキンスにレイチェル・ワイズ、そしてジュード・ロウが出演となかなかの豪華キャスト。
この手の映画は、手を変え品を変え、これからも出てくるだろうなと感じさせる映画である・・・


評価:★★☆☆☆


    

   
 
posted by HH at 22:42 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ