2014年01月05日

【それでもボクはやってない 】My Cinema File 1136

それでもボクはやってない.jpg


2006年 日本
監督: 周防正行
出演: 
加瀬亮:金子徹平(濡れ衣を着せられた主人公)
役所広司:荒川正義(徹平の主任弁護人で元裁判官)
瀬戸朝香:須藤莉子(徹平の弁護人)
もたいまさこ:金子豊子(徹平の母)
山本耕史:斉藤達雄(徹平の親友)

<Yahoo!映画解説>
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『Shall We ダンス?』の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを取った本格的な社会派ドラマ。
電車で痴漢に間違えられた青年が、“裁判”で自分の無実を訴える姿を、日本の裁判制度の問題点を浮き彫りにしつつ描く。
ハリウッド映画『硫黄島からの手紙』に出演し、世界的に注目を集めた加瀬亮が、本作で初主演を果たす。
主人公を弁護する弁護士には、瀬戸朝香、役所広司らがふんする。
3年もの歳月をかけて“裁判”について取材した監督が、現代の日本における“裁判”の現実を突きつける。
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就職活動中の金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に向かう満員電車で痴漢に間違えられて、現行犯逮捕されてしまう。
徹平は警察署での取調べで容疑を否認し無実を主張するが、担当刑事に自白を迫られ、結局拘留されてしまうことになる。
さらに検察庁での担当副検事の取調べでも無実は認められず、ついに起訴されてしまう。

徹平の弁護に当たるのはベテラン弁護士・荒川(役所広司)と、新米弁護士・須藤(瀬戸朝香)。
徹平の母・豊子(もたいまさこ)や友人・達雄(山本耕史)たちも徹平の無罪を信じて動き始める。
やはり痴漢冤罪事件の経験者で今でも自分の無罪を訴え続けている佐田(光石研)も協力を惜しまないと言う。

一同はまず事件当時、徹平のことを「犯人ではない」と駅員に証言した女性を探そうとするが、見つからない。
そんな中、ついに徹平の裁判が始まる・・・

男としては、誠に恐ろしい痴漢の冤罪をテーマとした映画。
この映画、実に深い。
満員電車から降りた徹平は、突然女子中学生に「痴漢」と手を掴まれてしまう。
そして近くにいた男性と駅員とともに駅事務所に連れていかれ、そして警察に引き渡される。

担当刑事は始めから犯人扱い。
当番弁護士も、「罪を認めた方が罰金で誰にも知られる事なくすぐに釈放される」と諭す始末。
「やってもいない事をやったとは言えない」という至極当然の主張をした徹平はそのまま拘留される事になる。

拘留されたまま、護送車で検察庁へ移送され、検事の取調べを受ける。
何度も何度も同じ事を聞かれるが、「やっていない」という主張は聞いてもらえない。
たまたまやってきた母親と暇な友人が、弁護士を探してくれたからいいもの、普通だったら誰がやってくれるのだろう。
長期の拘留はサラリーマンにとっては死活問題だ。

そして物語はさらに恐るべき裁判の現実を描きだす。
映画の冒頭では、「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰してはならない」との言葉が表示される。
だが、実は無罪を出すという事は、裁判官にとっても「勇気のいる」決断らしい。
「疑わしきは罰せず」という言葉が空しく響き、「有罪率99.9%」という恐るべき数字が、多くを物語る。

一日でも早く出たい被告にとって、のんびり進む裁判日程もじわじわと首を絞める。
日程を決める裁判官と弁護士、検事とのリアリティ溢れるやり取りは、無実の罪の者にとっては耐えがたい。
ある程度裁判が進むと、保釈金を払えば釈放される。
だが、100万円単位の保釈金も負担だろう。
もしも、自分が痴漢に間違えられたら、と考えると、とても「裁判で身の潔白を明かす」などとは言えないだろう。

それはおかしい事であるが、しかし被害者の立場、検事の立場、裁判所の立場等諸般の事情を考えれば、“仕方ない”と言う現実。
この映画は、エンターテイメントというよりも、社会問題を提起したドキュメンタリーでもあるかのよう。
おそるべき現実には、日頃から身を守る意識を持っていないといけない事がわかる。
実に、勉強になる映画である。


評価:★★★☆☆




    
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2013年12月30日

【エメランスの扉】My Cinema File 1132

エメランスの扉.jpg

原題: The Door
2012年 ハンガリー・ドイツ
監督: イシュトバン・サボー
出演: 
ヘレン・ミレン:エメランス
マルティナ・ゲデック:マグダ
カーロイ・エペリエシュ:ティボル
アーギ・スィルテシュ:ポレット

<映画.com>
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ハンガリーの巨匠イシュトバン・サボーが、オスカー女優ヘレン・ミレン主演で描いた人間ドラマ。
1960年代のブダペスト。
女性作家マグダは、近所に住む老婦人エメランスを家政婦として雇い入れる。エメランスは気難しく20年間も自宅に誰も入れていないという変わり者だったが、その仕事ぶりには目を見張るものがあった。
そんなエメランスをすっかり気に入ったマグダは、時には衝突しながら彼女との友情を育んでいく。
ある日、エメランスはマグダに自身の秘められた過去を打ち明ける。
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舞台は1960年のブタペスト。
鉄のカーテンの向こう側にあった時代である。
女流作家のマグダがある家に越してくる。
自らも仕事を持つマグダは、家事を任せるべく、近所に住むエメランスに家政婦を依頼する。

ところがこのエメランス。
態度がデカイ。
「雇い主は自分が決める」と宣言。
さらに引き受けると伝えた後も、「給料は仕事量を見て伝える」とどちらが立場が上かわからない。
されど他に適任者もなく、マグダはエメランスを雇い入れる。

仕事はきっちりこなすが、態度は変わらず。
しかし、時折、不可解な面を覗かせる。
雷を異様に怖がり、自宅のドアは固く閉ざし、決して他人を招き入れない。
原題の「The Door」はこの固く閉ざされた扉を指している。
雇用側としては、とてもストレスの溜まる家政婦であるが、マグダは次第にエメランスに慣れていく。

エメランスを演じるのは、「クィーン」でオスカーに輝いたヘレン・ミレン。
大貫禄の英国女王と対照的に、ここでは気難しい老婆として登場。
とてもお金を払ってまで雇いたくはない。

しかし、子供の頃からの過去が少しずつ明らかになっていくと、そうした人格形成も仕方ないのかと思えてくる。
でも結局、何が言いたかったのだろう。
それがちょっとわからなかった映画である・・・


評価:★★☆☆☆




   
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2013年12月24日

【アカシアの通る道】My Cinema File 1129

アカシアの通る道.jpg

原題: Las acacias
2011年 アルゼンチン/スペイン
監督: パブロ・ジョルジェーリ
出演: 
ヘルマン・デ・シルバ:ルベン
ヘーベ・デュアルテ:ハシンタ

<WOWOW解説>
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人に頼まれてシングルマザーとその赤ん坊を乗せることになった孤独なトラック運転手。
彼が打ち解けていく姿を描いたロードムービー。
驚くほど少ない台詞・音楽、事件らしい事件が起きない地味な展開ながら、それだけに登場人物たちが移動する距離に比して心と心の距離を近づけていく感覚がリアルに伝わってくる、何とも優しい1本。
アルゼンチンのP・ジョルジェーリ監督は自身も前妻との離婚や失業などを経験したが、本作を作る過程を通じて、自身も立ち直ることができたとか。
第64回カンヌ国際映画祭で、新人監督の初めての長編(60分以上)を対象にしたカメラドール(過去には日本の河瀬直美監督が「萌の朱雀」で受賞)に輝いている。
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主人公はルベンと言う名の、運転歴30年のベテランドライバー。
前後から判断するに、国境を越えて主に資材を運んでいるようである。
そんな彼のトラックに、上司から人を乗せてくれと頼まれたようである。
洗面台で簡単に体を洗った彼の許にやってきたのは、赤ん坊を抱いた女性ハシンタ。

日本的感覚では、どこかへ出かける時に利用するのは交通機関。
されどそこはパラグアイ。
たぶん、お金もないのであろう、赤ん坊を抱いたハシンタは、知り合いの伝手を頼ってブエノスアイレスへ向かうトラックに乗せてもらうよう頼んだようである。

ルベンもハシンタも初めは互いに気まずい雰囲気。
おもむろに煙草を吸うルベン。
さり気なく窓を開けるハシンタに、赤ん坊の存在に気づき煙草を捨てる。
それを見て礼を言うハシンタ。
ぎこちないながらも、二人の交流が始る。

それでも赤ん坊が泣き、途中で予定外の休憩を取らざるを得なくなったルベンは、密かにバスの時間と料金を調べる。
バスに乗せてしまおうと考えたようである。
しかし、明日までバスはないと聞いて諦める。
そんな環境とルベンの心境が静かに描かれる。

長い道中、それでも少しずつうち解けていく二人。
二人のそれぞれのプライベートも明らかになってくる。
そしてやがてトラックはブエノスアイレスへと到着する・・・

大概、映画を観る時は「この先どんな展開になるのだろう」と期待して観る。
静かなスタートであったこの映画、なんとそのまま静かに終わってしまった。
特に何かのドラマがあったというわけではない。
されど何となく、何を言わんとしたのかが静かに伝わってくる。
そんな映画である。

何にもないけど、何だかとっても奥深い映画である・・・


評価:★★☆☆☆


  

posted by HH at 23:11 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年12月22日

【ヘルプ〜心がつなぐストーリー】My Cinema File 1128

ヘルプ.jpg

原題: The Help
2011年 アメリカ
監督: テイト・テイラー
出演: 
エマ・ストーン:ユージニア・"スキーター"・フェラン
ヴィオラ・デイヴィス:エイビリーン・クラーク
オクタヴィア・スペンサー:ミニー・ジャクソン
ブライス・ダラス・ハワード:ヒリー・ホルブルック
ジェシカ・チャステイン:シーリア・フット
アリソン・ジャネイ:シャーロット・フェラン
シシー・スペイセク:ウォルターズ夫人

<Yahoo!映画解説>
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1960年代、人種差別が横行していたアメリカの田舎町に変化をもたらした実在の女性たちについて記したベストセラー小説を映画化した人間ドラマ。
白人家庭でメイドとして働く黒人女性たちとジャーナリスト志望の若い白人女性との友情を通して、社会に対して立ち上がる勇気を描いていく。
主演は、『ゾンビランド』のエマ・ストーン。
『ダウト 〜あるカトリック学校で〜』のヴィオラ・デイヴィス、『ターミネーター4』のブライス・ダラス・ハワード、『ツリー・オブ・ライフ』のジェシカ・チャスティンなどが共演。
感動的なストーリーはもちろん、彼女たちの熱演にも心を揺さぶられる。
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1960年代前半。
大学を卒業したユージニア(愛称スキーター)はライターを志し、故郷のミシシッピ州ジャクソンに戻った。
故郷の友人たちは皆、結婚、出産をしており、家事や育児を黒人メイドたちに任せきった気楽な生活を送っている。

友人の一人ヒリーは、病気がうつると信じ込んでメイドのトイレを屋外に作るべきだと主張する。
スキーターは友人たちの黒人メイドに対する態度に嫌悪感を覚える。
また、自らも黒人メイド、コンスタンティンに育てられたスキーターは、大好きなコンスタンティンが退職し何も告げずにシカゴへ去っていることに疑念を抱くが、母は取り合わない。

スキーターは、ローカル新聞の家庭欄で家事の相談に代役で回答することになり、友人エリザベスのメイド、エイビリーンに手伝ってもらうことにする。
エイビリーンは優秀だった一人息子を不幸な事故で亡くして以来、子守り相手の子供以外には心を開かない。
一人のライターとして黒人メイドたちの真実を著す責任を感じたスキーターは、エイビリーンを熱心に説得、密かに取材を始めるが、その他のメイドたちは報復を恐れて固く口を閉ざしてしまう。

そんな折、ヒリーのメイド、ミニーは、ヒリーの家のトイレを使ったことで解雇される。
怒ったミニーがスキーターの取材に参加することになった。
また、ヒリーが雇った新しいメイド、ユール・メイが拾った指輪を質に入れて逮捕されたことに憤慨したメイドたちもまた、自らの経験を語り始めた・・・

まだ人種差別が公然とまかり通っていた1960年代のアメリカ南部。
アメリカの人種差別については、過去にもいろいろ見聞きしてきたが、それらはあんまり気分の良いものではない。
この映画の登場人物たちは主に女性。
したがって、暴力的な行為はないものの、精神的には同じである。

白人家庭で働く黒人メイド。
特に差別的なヒリーは、メイドにミニーに同じトイレを使う事さえ許さない。
それどころか、別に専用トイレを作る。
その方が住宅の価値も高まると友人たちにも勧める。

背後には公民権運動やケネディ暗殺事件が流れる。
間違いなく、アメリカの歴史の汚点だろう。
そんな時代の中で、差別心なく黒人たちに接し、その胸中を一冊の本にまとめようとする主人公のスキーター。
その存在に救われる心地がする。

黒人大統領が誕生するなどと言う事が想像もできなかった時代。
そんな中で、黒人を公平に扱おうとする人たちを思わず応援したくなる。
ちょっと心が洗われるストーリーの映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 23:31 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年12月08日

【それでも愛してる】My Cinema File 1124

それでも愛してる.jpg
   
原題: The Beaver
2009年 アメリカ
監督: ジョディ・フォスター
出演: 
メル・ギブソン:ウォルター・ブラック
ジョディ・フォスター:メレディス・ブラック
アントン・イェルチン:ポーター・ブラック
ジェニファー・ローレンス:ノラ
ライリー・トーマス・スチュワート:ヘンリー・ブラック
チェリー・ジョーンズ:モルガン・ニューウェル副社長

<Yahoo!映画解説>
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ジョディ・フォスターが『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』以来となる監督を務め、うつ病で苦しむ会社経営者の夫とその家族のきずなを感動的に描いたヒューマン・ドラマ。
『マッドマックス』などでタフなイメージのあるメル・ギブソンがビーバーの縫いぐるみを介して会話するデリケートな夫を演じ、妻役のジョディと共演。
『ターミネーター4』のアントン・イェルチン、『ハンガー・ゲーム』のジェニファー・ローレンスといった、注目の俳優も出演する。
うつ病の苦しみや、家族だからこその擦れ違いをリアルにつづるジョディの演出手腕が見事・・・
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父親から継いだ玩具会社を経営し、プール付きの瀟洒な郊外住宅に結婚20年の妻と息子が2人。
何不自由ない生活を送っていたウォルター・ブラック(メル・ギブソン)だが、ある日突然うつ病になってしまう。
カウンセリングも薬も音楽療法も催眠療法も効果なく1日中寝ている毎日。

そんな彼の状態に家族も影響され、7歳のヘンリー(ライリー・トーマス・スチュアート)は小学校で孤立し、高校生のポーター(アントン・イェルチン)は「父親みたいにはなりたくない」とますます背を向け、エンジニアの仕事に没頭しながらも夫の快癒を願っていた妻メレディス(ジョディ・フォスター)にはもはや打つ手がない。

家を出たウォルターが箱いっぱいに買った酒瓶を入れるため、車のトランクのガラクタを捨てたとき、ビーバーのぬいぐるみに目が止まり、なにげなく箱に入れる。
ついに死を決意し、ホテルのベランダから飛び降りようしたウォルターだが、左手に持っていたビーバーが「おい」と呼びかけてくる・・・

飛び降り寸前のところで、ビーバーに救われた形のウォルター。
以来、左手にビーバーをつけ、ビーバーとの腹話術での二人三脚の生活が始る。
周りの者には、医師からの授かった治療方法だと説明するが、不思議な事に経営者として、そして父親としての姿を取り戻していく。
こうして、不思議な形での家族のドラマが展開されていく。

大きな問題を抱えているのはウォルターだが、長男のポーターもまたそんな父親の影響から心に問題を抱えている。
そしてそのポーターが密かに想いを寄せる同級生のノラも、優秀な成績とは裏腹に心に重みを抱えている。
誰もが多かれ少なかれ、苦悩を抱えているものなのかもしれない。

回復の兆しを見せたかと思われたウォルターだが、問題はまったく解決していなかった。
そして、もっと恐ろしい出来事が待ち受けている。
それはポーターにも同様。
見守るジョディ・フォスターも、また苦悩の表情。

物語は、静かに再生へと進む。
感動と言えば大げさであるが、そこには静かな安堵がある。
この映画は何と、ジョディ・フォスターの監督映画。
派手な作品ではないものの、静かに心に迫ってくる作品である。

こういう映画も良いよな、と思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





    
posted by HH at 23:09 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ