2012年10月11日

津軽百年食堂

津軽百年食堂.jpg

2011年 日本
監督: 大森一樹
出演: 
藤森慎吾(大森陽一)
中田敦彦(大森賢治)
福田沙紀(筒井七海)
ちすん(藤川美月)
伊武雅刀(大森哲夫)
早織(トヨ)
永岡佑(門田政宗)

<STORY>********************************************************************************************************
弘前の蕎麦屋の長男・陽一は、大学進学で上京したが、就職に失敗し、アルバイトで毎日をやり過ごしていた。
ある日、バイト先で同郷のカメラマン、七海と知り合う。
壊した機材の弁償代わりにルームシェアを提案する。
七海も陽一と同じように、今の生活に疑問を感じていたのだった。
そんな時、陽一の父親が交通事故に遭ったと知らせを受ける。
入院中、店を手伝うことになった陽一に、忘れかけていた蕎麦作りへの思いが甦る…。
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タイトルにある通り、弘前にある蕎麦屋を舞台とした物語。
創業期の明治40年代を振り返りながら描かれる現代の物語。
受け継がれるものが心のどこかを刺激する。

弘前にある大森食堂は、その名の通りの大衆食堂。
大黒柱である親父さんを中心に家族で営む食堂。
もちろん、利用者はみんな近所の人たち。

4代目にあたる長男陽一は、大学進学のため上京するも、就職氷河期で就職できずアルバイトで食いつなぐ日々。
やむなく実家を継ごうとしたが、そんな浅はかさを父親に見透かされ、追い出されてしまう。
そんな大森食堂は、代々受け継がれた店として「100年食堂」に選ばれようとしているが、後継者のいない店としては、親父さんも素直に受け入れられない。

東京で暮らす陽一は、同郷の七海と知り合う。
七海も師事しているカメラマンと不倫の日々。
何となく将来が見えない二人。
父の事故をきっかけに故郷に一時帰京した陽一。
後から帰郷した七海とともに、自らの生きる道を探す。

描かれるのは、何気ない仲間たち、そして家族のふれあい。
創業期の大森食堂も、初代が貧しい中で屋台から始めた蕎麦屋。
伝統の味を受け継ぐ3代目の父も、かつてはミュージシャンを夢見ていた。
市井の人々の思いが連なり合う。

ドラマチックな展開があるというわけではないが、それぞれに一生懸命生きる人たちの息吹が十分に伝わってくる。
日本映画の味わい深さがにじみ出てくるような映画。
やっぱり日本の映画はいいなと思うのである・・・


評価:★★☆☆☆
     
     
     

     
posted by HH at 22:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年10月10日

洋菓子店コアンドル

洋菓子店コアンドル.jpg


2010年 日本
監督: 深川栄洋
出演: 
蒼井優(臼場なつめ)
江口洋介(十村遼太郎)
江口のりこ(佐藤マリコ)
粟田麗(花村マキ)
ネイサン・バーグ(ジュリアン・ウィルソン)
加賀まりこ(芳川さん)

<STORY>********************************************************************************************************
東京で人気の洋菓子店“パティスリー・コアンドル”に、恋人を追いかけて上京して来た少女、なつめが訪ねてくる。
恋人は既に店を辞め、居場所が分からない。
行く宛のないなつめは、泊り込みで働かせてくれと頼み込む。
シェフ依子は、渋々雇うが、仕事は遅く、スタッフとも喧嘩ばかり。
ある日、なつめは、自分のケーキをスイーツ評論家、十村に食べさせる。
しかし、「0点だ」とあっさり。
その日からなつめはケーキ作りに没頭する。
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普段あまりテレビを観る事がなく、したがって女優さんの演技を観る機会もないのであるが、蒼井優は違う。
考えてみればこの女優さんはよく映画に出ているからである。
ドラマにも出演していると思うのだが、それにもまして映画の比重も大きいのだろうと思う。

そんな蒼井優は、どうもいじめられやすい薄幸のイメージがある。
今にも泣き出しそうな表情がそう思わせられるのかもしれない。
そういう意味で、この映画の主人公なつめ役はよく合っていると思う。

鹿児島から上京してきたなつめが、洋菓子店コアンドルを訪ねてくる。
状況して働いているはずの恋人を連れ戻すためである。
ところが恋人は下積み修行に耐えきれずに2日で逃げだした後。
知り合いもいない東京で途方に暮れるなつめ。

洋菓子店のコアンドルは、おいしいケーキをリーズナブルに提供している人気店。
恋人を探すためにもその場で働かせてくれと頼むなつめ。
腕試しにケーキを作るが、故郷で父のケーキ屋で作っていた腕前はまったく通用しない。
その場で試食をした評論家の十村にもあっさりダメ出しされる。

一念発起して修行を始めたなつめ。
住み込みで働き、店を手伝いながら腕を磨き、休みの日には恋人を訪ねながらケーキの食べ歩きをして味の研究をする。
そしてやがてなつめとコアンドルに大きな試練がやってくる。

若者が何かに向けて懸命に頑張る姿というのは良いものである。
故郷で恋人と実家のケーキ屋を継げばよいとしか考えていなかったなつめが、いろいろな経緯もあっておいしいケーキ作りに目覚めていく。
そして過去に傷を負った評論家の十村の心を溶かし、やがて自身の道を切り開いていく。
そんなストーリーはそれだけで★一つアップという感じだ。

だがしかし何となくインパクトが薄いような感じがする。
十村の心もあっさり溶けてしまったし、同僚のマリコも然り。
時間の制約の都合もあるかもしれないが、先を急ぎ過ぎた感があったように感じた。
そんな部分はあったものの、全体としては優しいイメージの映画。
日本の映画もいいねと思わせられる一作である。


評価:★★☆☆☆
    






蒼井優出演作品
「フラガール」
「変身」
「クワイエットルームにようこそ」
「明日への遺言」
「百万円と苦虫女」
「おとうと」
「FLOWERSフラワーズ」
「雷桜」
     
    
   
posted by HH at 22:47 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年08月18日

ブルー・バレンタイン

ブルーバレンタイン.jpg

原題: Blue Valentine
2010年 アメリカ
監督: デレク・シアンフランス
出演: ライアン・ゴズリング(Dean)/ミシェル・ウィリアムズ(Cindy)/フェイス・ワディッカ(Frankie)/マイク・ヴォーゲル(Bobby)

<STORY>********************************************************************************************************
ディーンとシンディ夫婦は、ひとり娘のフランキーと3人暮らし。
病院で忙しく働くシンディは、猛勉強の末、看護師の資格を取った努力家。
一方のディーンは、朝からビールを飲みながらペンキ塗りの仕事をしている。
2人はお互いに対して不満を持っているが、その話になると必ず喧嘩になってしまう。
そんなある日、可愛がっていた愛犬が事故死する。
その事を娘に気付かれないようにと、シンディの父親の家に1日預ける事にする。
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原題をそのまま邦題にしたこの映画。
原題には何か意味がありそうなのだが、残念ながらよくわからない。
物語は一組の夫婦の姿を描いていく。
それも出会って結婚に至るまでの幸せな過程と、すれ違い、疲れ果て、どうしようもなくなって別れていく過程。
時間を隔て、同時進行形で描いていく事で、ある意味“切なさ”を感じさせる映画となっている。

冒頭、飼い犬がいなくなる。
娘のフランキーはパパを起こしに行く。
優しく話を聞き、ママを起こす。
イラつきながら、簡単な朝食を二人に食べさせ仕事に出かけていくママ、シンディ。
のんびりと見送るパパ、ディーン。
思えばもう夫婦のすれ違いは表れている。

結局愛犬は車に轢かれて死んでおり、娘に気付かれないように埋葬する。
なんとなくギクシャクした夫婦関係を修復しようと、夫婦二人の時間を提案するディーンだが、向かった先はラブホテル。
途中のスーパーでボビーに会ったと報告するシンディだが、それに対して不機嫌になるディーン。

現在のディーンとシンディの姿を一通り見せられたあとで、物語は二人の結婚前にスリップする。
ディーンは髪も増え、若々しい。
シンディもスマートで美人。
大学に通うシンディはイケメンのボビーと付き合っており、祖母の老人ホームで偶然ディーンに出会う。

向学心を持ち医学を学ぶシンディと、高校中退でアルバイトで生計を立てているディーン。
付き合うならまだしも、結婚となるとどうだろうと良識ある者なら考えてしまうが、ある事情もあって二人は惹かれ合い結婚する。
その過程は純真で、“愛こそすべて”。

しかし、結婚は限りなき“現実の世界”。
シンディの両親もそうだし、やがてシンディ自身も限りなき“現実の世界”で愛が薄れていく事になる。
されどいまだ“愛こそすべて”の世界に生きるディーン。

過去と現在が交互に描かれる。
そこから感じるのは、やっぱりそうなってしまうのかという現実。
現実を経験し、悟っている経験者=親はだからこそ娘の結婚相手に敏感になる。
初めて会ったディーンに対し、無言のうちに両親から発せられる反対のオーラはそれをよく物語っている。

ディーンは家族を愛し、家族第一の姿勢を崩さない。
しかしそれで十分と考えてしまっている。
妻には妻の現実の生活があり、それは家事であったり仕事であったり娘の世話だったりする。
そうした雑事には目を向けず、朝からビールを飲んでそこそこの仕事をして、娘とだけ戯れる。
その危うさにディーンは気付かない。
何だか身につまされる思いがする。

愛が崩壊していく過程は、正義が滅びる姿にも通じる。
理想通りいかない現実を見せつけられているようだ。
それは多くの夫婦に通じる事なのかもしれない。
互いにすれ違うさまはひょっとしたら己にも当てはまるかもしれない、とふと思う。
ディーンの後ろ姿を他人事と思わないようにした方がいいかもしれない。
そんな風な事を考えさせられた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
      




    
posted by HH at 21:31 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年08月14日

ウォール・ストリート

ウォール・ストリート.jpg


原題: Wall Street: Money Never Sleeps
2010年 アメリカ
監督: オリヴァー・ストーン
出演: マイケル・ダグラス(Gordon Gekko)/シャイア・ラブーフ(Jake Moore)/ジョシュ・ブローリン(Bretton James)/キャリー・マリガン(Winnie Gekko)/スーザン・サランドン(Jake's Mother)/フランク・ランジェラ(Louis Zabel)/チャーリー・シーン(Bud Fox)

<STORY>********************************************************************************************************
2008年のニューヨーク。
投資銀行に勤めるジェイコブは順風満帆の人生を送っていた。
結婚を前提に付き合っている女性ウィニーとの交際も順調だった。
ところが、勤める投資銀行が急激な業績悪化により株価が暴落、突然破綻し、ジェイコブ自身も資産を失ってしまう。
それが、金融業界の黒幕ブレトンの陰謀だと知ったジェイコブは、刑務所を出た元大物投資家のゲッコーに接近する。
そのゲッコーは、ウィニーの実の父親でもあった。
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記録によれば、映画「ウォール街」を映画館に観に行ったのは1988年4月18日の事だ。
それからなんと20年経っての続編。
こういう映画作りっていうのもいいものだと思う。

当時ウォール街を肩で風を切って闊歩していたゴードン・ゲッコー。
されどインサイダーで捕まって8年のムショ暮らし。
出所の時に返されたバカでかい携帯電話が時間の経過を物語る。
本当はゲッコーほどの大物なら出所してからすぐ動きそうなものだが、映画化を待って大人しくしていたようだ。

現代、若手のホープ、ジェイコブは投資銀行に勤めている。
社長のルーにも気に入られていて、恋人のウィニーとも仲睦まじい。
そんなある日、ルーから巨額のボーナスを受け取る。
なんと145万ドルだから、さすが桁が違う。
会社は赤字だと言うのになぜだと問うも、浮かない顔のルーははぐらかす。
そしてやがて会社は倒産し、ルーは自らの命を断つ。

出所後、出版に講演にと活躍しているゴードン・ゲッコーは、実はウィニーの父親。
ウィニーにプロポーズしたジェイコブは、それを口実にゲッコーに近づく。
刑務所入りし、その後の長男の死もあって、実の娘から絶縁されているゲッコー。
娘との復縁を望み、若きジェイコブにアドバイスをし始める。

ゲッコーの逮捕にも、ルーの自殺にも金融業界の黒幕ブレトンが絡んでいるとわかる。
そんなブレトンの下で働き始めるジェイコブ。
目端が効いて、そつがないし、チャンスと見れば畳みこむ。
こういう人たちがウォール・ストリートを支配しているのだろう。
倒産する投資会社は何となくリーマン・ブラザーズを彷彿とさせるし、サブプライム・ローン問題に大騒ぎになった当時の裏側を見ているような感覚になる。
映画は虚構とは言え、ある程度の真実は見せてくれると思う。

生き馬の目を抜くようなウォール・ストリートの世界。
正直言ってストーリーについていくのも大変。
登場人物たちが何を意図して、何をやろうとしているのか、ミソは何なのか、よくわからない。
自分もそんなに金融の世界に疎いとも思えないのだが・・・

今やすっかり売れっ子のシャイア・ラブーフが、スーツを着こなして街を闊歩する。
さすが役者、「トランス・フォーマー」シリーズや、「イーグル・アイ」のように翻弄されて右往左往したりせずにしっかりと行動している。
マイケル・ダグラスは白髪になって一層の貫禄だし、前作でも登場したチャーリー・シーンが同じ役で登場したのもお愛想なのだろう。

ストーリーは少々わかりにくかったが、虚構の世界の雰囲気はよくわかるし、「大事なものって結局は」というオチもそれなりの落とし所だし、いろいろな切り口で観ると面白い映画だと思う・・・


評価:★★☆☆☆





    
   
posted by HH at 23:20 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年08月11日

セラフィーヌの庭

セラフィーヌの庭.jpg


原題: Séraphine
2008年 フランス=ベルギー=ドイツ
監督: マーティン・プロボスト
出演: ヨランド・モロー(Seraphine Louis)/ウルトリッヒ・トゥクール(Wilhelm Uhde)/アンヌ・ベネント(Anne-Marie Uhde)/ジュヌヴィエーヴ・ムニク(Mme Duphot)

<STORY>********************************************************************************************************
1912年、フランス・パリ郊外のサンリス。
貧しく孤独な女性セラフィーヌの日々を支えていたのは、草木との対話や歌うこと、そしてなによりも絵を描くことだった。
ある日、彼女はアンリ・ルソーを発見し、ピカソをいち早く評価したドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデに見出され、その後、彼の援助のもと、個展を開くことを夢見るようになる。
そんな中、第一次世界大戦が起こり……。
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実在の女流画家セラフィーヌ・ルイを描いた作品。
時代は20世紀初頭。
パリ郊外のサンリス。
孤独なセラフィーヌは家政婦をして暮らしを立て、絵を描く事を楽しみとしている。

と言っても家政婦をしてのわずかな給金では絵具も買えず、すべて身の周りのものをうまく加工して色を作り出し、どうしても作れない白の絵の具だけを買うといった様子。
もちろんキャンバスなども買えるわけもなく、木の板に描く有り様。
そんなある日、ドイツからやってきた画商のウーデの世話をする事になる。

偶然見つけた絵に心を動かされたウーデ。
こうして画商ウーデとセラフィーヌの付き合いが始る。
しかし1914年に第1次世界大戦が勃発。
ドイツ人のウーデはフランスを離れる。
やがて戦後、フランスを訪れたウーデは、セラフィーヌかせ変わらず絵を描き続けていて、腕も上がっている事を知る。
そしてスポンサーとなり、個展の計画も立てるのだった。

絵画の世界にはそれほど詳しくはないから、セラフィーヌ・ルイという画家の事もこの映画で初めて知った。
貧しいがゆえに絵具も手作り。
今の感覚から言ったら驚きだ。
当時からしたら高価な絵の具を買える人は限られており、ほとんどの人は絵とは無縁かあるいはこうした工夫を凝らしていたのかもしれない。
そしてこうした情熱が、長い絵画の歴史を支えてきたのかもしれないと思う。

天才と聞違いは紙一重とはよく言われる。
主人公のセラフィーヌも映画では奇行が見られる。
そして大恐慌の影響もあって、楽しみにしていた個展が開けないとわかると精神に異常をきたしていく。
やはりセラフィーヌもそうした部分があったのかもしれない。

映画としては大きな盛り上がりもなく、淡々と進んでいく。
見方によっては退屈でもあるかもしれない。
しかしながら、見方によってはフランスの郊外をバックに味わいのある映画にも映るだろう。
こういう画家がいた、という事実を知るだけでも良い映画であるかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆




     
   
posted by HH at 21:16 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ